「駅まで15分かかります」「支度に30分かかるの」——日本語ならためらわず言えるのに、英語にした瞬間、主語は何にすればいいのか、人はどこに置くのか、to のあとは原形なのか ing なのかで手が止まってしまう。そんな経験はありませんか。
所要時間の言い方は、道案内、待ち時間の確認、仕事の見積もり、旅行の移動、毎日の通勤通学まで、会話に顔を出す回数がとにかく多い型です。逆に言えば、ここを一度きちんと整えておくと、話せる場面が一気に増えます。
この記事では、take ~ to …の語順を音でまるごと覚えるところから始めて、人を加える二つの形、疑問文、否定文、そして take・spend・cost の役割分担までを順番にたどります。場面別の会話例、誤用例、発音のポイント、口に出す練習問題も揃えているので、読み終えたその場から使い始められます。独学で進めるうちに「自分の言い方が自然かどうか」を確かめたくなったら、英語教室のような対話の場を併用するのも一つの手です。
まずは、この型が実際の会話でどう飛び出すのかを覗いてみましょう。

会話:公衆電話を探して30分
- 所要時間を伝える It took about 30 minutes to find it! が会話の中心になっている
- 電話の言い回しと道に迷ったときの表現が同時に登場する
- まず全体を読み、次にワンポイントで語句を確認する二段構えで理解が深まる
舞台は外出先。携帯電話を家に置き忘れたあなたが、街をさまよってようやく見つけた一台の公衆電話から友人に電話をかけています。日常のささいな困りごとこそ、所要時間の表現が最も生きる場面です。
- 会話(英語)
- 友人: Hello?
学習者: Hello. Can you hear me?
友人: Yeah, but why is it so noisy there?
学習者: I’m calling from a coffee shop. I left my cell phone at home. So I have to use a pay phone. It took about 30 minutes to find it!
友人: It’s really getting harder to find a pay phone these days. I guess cell phones are so popular that pay phones are decreasing. What’s up?
学習者: I’m lost.
友人: Oh! Can you see any landmark?
学習者: Well, I can see the big yellow building just in front of this shop. And next to that building, there is a post office.
友人: I suppose you are close to my house! I’ll pick you up soon. - 日本語訳
- 友人: もしもし。
学習者: もしもし。私の声、聞こえる?
友人: うん。でも、なぜそこはそんなにうるさいの?
学習者: コーヒーショップから電話しているの。携帯電話を家に置いてきちゃった。だから公衆電話を使わないといけなくて。見つけるのに30分もかかったのよ。
友人: 最近は公衆電話を見つけるのが本当に難しくなってきているね。携帯電話がとても普及して、公衆電話が減ってきているのだと思う。どうしたの?
学習者: 道に迷ったの。
友人: あらら。何か目印は見える?
学習者: ええと、このお店のちょうど前に大きな黄色いビルが見えるわ。それから、そのビルの隣には郵便局がある。
友人: 僕の家の近くにいるんだと思う。すぐに迎えに行くよ。 - 使う場面
- 出先から連絡するとき、居場所を説明するとき、そして「思ったより時間がかかった」と伝えるとき。
- 発音・ニュアンス
- It took about は「イットゥック・アバウト」と切らずに「イッ・トゥッカ・バウト」とつなげます。about が入るだけで「だいたい30分ね」という肩の力の抜けた口ぶりになります。
ワンポイント(語句チェック)
会話の中で意味を支えている語句を拾っておきます。どれも使い回しが効くものばかりです。
- make a call to ~:~に電話をする
- noisy:うるさい、騒々しい
- left:置き忘れた(leave の過去形)
- pay phone:公衆電話
- take ~ to …:…するのに~かかる
- find:見つける
- getting harder:より難しくなってきている
- so ~ that …:~なので…
- decrease:減る
- What’s up?:どうしたの?
- I’m lost.:道に迷った
- landmark:目印になるような物
- in front of ~:~の前に
- suppose ~:~ではないかと思う
- close to ~:~の近くに
- pick up:迎えに行く
さて、この会話の主役となった一文の構造を、ここから分解していきます。
It takes ~ to … の骨組みをつかむ
- 基本形は It takes + 時間 + to + 動詞の原形
- 文頭の it は訳さない形式主語で、内容は文の後半で明かされる
- take のコアイメージは「取り込む」。時間だけでなく忍耐や勇気も取り込める
会話に出てきた It took about 30 minutes to find it. が今日の中心です。直訳に近づけて読むと「その状況が約30分を取っていった。その状況とは、それを見つけることだ」。ここから「公衆電話を見つけるのに30分ほどかかった」という日本語になります。
型として覚えるべきものは一つだけです。It takes + 時間 + to + 動詞の原形。この並びが崩れないかぎり、中身をいくら入れ替えても文は壊れません。
- It takes 30 minutes to get to the station.(駅まで30分かかります)
- It takes only a minute to microwave this.(これを電子レンジで温めるのは1分で済みます)
- It takes three days to get a reply.(返事が来るまで3日かかります)
- It took two hours to clean the room.(その部屋を掃除するのに2時間かかりました)
- It takes five minutes to boil the pasta.(パスタをゆでるのに5分かかります)
- It will take a month to renew my passport.(パスポートの更新には1か月かかるでしょう)

なぜ主語が it なのか
多くの学習者が最初に引っかかるのが、文頭の it の正体です。この it は「それ」と訳す代名詞ではなく、後ろの to + 動詞のかたまりを先に置き換えておくための形式主語です。
英語は主語が長くなることを嫌います。「駅に着くこと」という長い主語をいったん it で受けておき、中身は文の後半で明かす。だから To get to the station takes 30 minutes. と言っても文法上は成立するのに、会話ではほとんど耳にしないのです。
頭でっかちな文を避け、まず「30分かかるよ」という結論を出してから「何にかかるのか」を補う。この順番が英語のリズムに合っています。天気の It’s raining. や時刻の It’s five o’clock. の it と同じ仲間だと考えると、訳さない it への抵抗感がぐっと薄れます。
動詞 take が持つイメージ
take のコアイメージは「取り込む」「自分の側へ引き寄せる」。take a taxi はタクシーを拾って自分の移動手段に取り込むこと、take medicine は薬を体に取り込むこと、take a break は休憩を自分のものにすること。すべて一本の線でつながっています。
時間の take も同じで、「その行為が時間という資源を取り込んでいく」感覚です。ここまでイメージがつながると、取り込まれるものは時間だけに限らないことも自然に見えてきます。
時間以外も「かかる」
消費されるものが労力なら takes patience、勇気なら takes courage。所要時間の型を覚えると、こうした「時間以外の消費」までまとめて表せるようになります。
- It takes patience to teach children.(子どもに教えるには根気がいります)
- It takes courage to admit your mistake.(自分の誤りを認めるには勇気がいります)
- It takes practice to master this skill.(この技術を身につけるには練習が必要です)
- It takes two people to carry this desk.(この机を運ぶには2人必要です)
- It takes effort to keep a diary every day.(毎日日記を書くには努力が必要です)
では、「私が」「彼が」という行為者を言いたいときはどうするのでしょうか。ここで形が二つに分かれます。
「誰が」を加える二つの形
- 会話で軽快なのは It takes + 人 + 時間 + to do
- 説明調・書き言葉になじむのは It takes + 時間 + for 人 + to do
- for のあとには人だけでなく物や機械も置ける
行為者を明示したいときのパターンは二つ。どちらも意味は通じますが、口ぶりの軽さが少し違います。迷ったら会話では前者と決めておけば十分です。
It takes + 人 + 時間 + to do
人を動詞 take のすぐ後ろに置く形です。テンポがよく、日常会話でいちばん耳にします。
- It takes me two hours to finish this task.(私がこの作業を終えるのに2時間かかります)
- It takes him 40 minutes to commute to his office.(彼は会社まで通勤に40分かかります)
- It took us a whole day to move.(引っ越しには丸一日かかりました)
- It takes her ten minutes to do her makeup.(彼女は化粧に10分かかります)
- It took me three tries to open the door.(そのドアを開けるのに3回試しました)
- It doesn’t take me long to fall asleep.(私は寝つくのに時間がかかりません)
- フレーズ
- It takes me about 20 minutes to walk to the station.
- 日本語訳
- 駅まで歩くと20分ほどかかります。
- 使う場面
- 通勤通学の話、待ち合わせ時間の相談、初対面の相手との雑談。自分の生活に直結するので、最初に暗記する一文に向いています。
- 注意点・誤用例
- It takes about 20 minutes me … のように人を後ろへ回すと崩れます。人は必ず takes の直後です。
- 発音・ニュアンス
- takes me は「テイクスミー」より「テイクスミ」と弱く速く。強く読むのは 20 minutes と walk の部分です。
大事なのは位置です。take → 人 → 時間 → to do。この並びを理屈で覚えるより、音のかたまりとして口に馴染ませたほうが早く定着します。
It takes + 時間 + for 人 + to do
行為者を for で示す形です。やや説明調で、書き言葉や少し丁寧な口調によくなじみます。for のあとに人だけでなく物や機械も置けるのが、この形の便利なところです。
- It only takes about 15 minutes for you to get to my house.(あなたなら私の家まで15分ほどです)
- It takes a long time for him to peel an apple.(彼はリンゴの皮をむくのにやたら時間がかかります)
- It takes a lot of time for her to take a bath.(彼女はお風呂に長時間かかります)
- It takes about three minutes for this computer to start up.(このパソコンは起動に3分ほどかかります)
- It will take a few days for the paint to dry completely.(塗料が完全に乾くには数日かかります)
- It takes two weeks for the seeds to sprout.(種が芽を出すには2週間かかります)
二つの形の使い分けの目安
厳密な規則はありません。傾向としては、短く言い切りたい会話では It takes me …、行為者を際立たせたいときや主語が物・機械のときは for を使う、と押さえておけば困りません。
たとえば「あなたなら15分で来られますよ」と相手を主役にして伝えるなら for you のほうが響きます。一方、自分の話をさらっと差し出すなら It takes me 15 minutes. で十分です。
語順が固まったら、次は「どのくらい」の部分を自由に動かしてみましょう。
時間の量を自在に言い換える
- 具体的な数字だけでなく a while や forever などのざっくり表現も入る
- about / around / at least / only / another が数字の相棒になる
- 数字が2以上なら minutes / hours / days と複数形にする
「30分」「2時間」といった具体的な数字はもちろん、ぼんやりした量を表す語もそのまま入れられます。数字がなくても所要時間は語れるという感覚を持てると、会話がぐっと楽になります。
ざっくり量を表す言葉
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| a little time | 少し時間 | It takes a little time to cook an omelette.(オムレツを作るには少し時間がかかります) |
| a long time | 長い時間 | It takes a long time to build a tall building.(高い建物を建てるには長い時間がかかります) |
| a lot of time | 多くの時間 | It takes a lot of time to learn a language.(言語の習得には多くの時間がかかります) |
| a while | しばらく | It may take a while.(少し時間がかかるかもしれません) |
| forever | 永遠に(大げさに) | It took forever to find a pay phone!(公衆電話を見つけるのに永遠にかかった気がします) |
| no time (at all) | まったく時間がかからない | It took no time at all.(あっという間でした) |
forever と no time は数字ではなく気持ちを乗せる言葉です。待たされて疲れたときの forever、思いのほか早く終わった安堵の no time at all。表情まで伝わる言い方なので、覚えておくと会話が立体的になります。
数字に添える相棒
数字を言うときは、about(約)、around(およそ)、at least(少なくとも)、only / just(~しか)、another(さらに)などがよく一緒に登場します。会話の It took about 30 minutes to find it! も、about が入ることで「だいたい30分」という自然な口ぶりになっていました。
- It’ll take another ten minutes.(あと10分かかります)
- It takes at least an hour by train.(電車で少なくとも1時間はかかります)
- It only takes five minutes on foot.(歩いて5分しかかかりません)
- It takes around half an hour in traffic.(渋滞だと30分前後かかります)
- It took me just two minutes to fill in the form.(その用紙を書くのに2分しかかかりませんでした)
数字をぴったり言い切らずに about を添えるのは、日本語の「〜くらい」と同じ働きです。断定を避けることで、相手に余裕を残す優しい言い方になります。
では、自分から所要時間を尋ねたいときは、どう聞けばよいのでしょうか。
「どれくらいかかりますか?」を尋ねる
- 決まり文句は How long does it take ~?
- 人を入れるなら How long does it take you to …?
- 交通手段は by、徒歩は on foot
所要時間を聞くときの決まり文句は How long does it take ~? です。旅行でも仕事でも登場頻度が高く、丸ごと口に出せるようにしておく価値があります。
How long does it take ~? の型
- How long does it take to bake a cake?(ケーキを焼くのにどれくらいかかりますか)
- How long does it take him to read one book?(彼が一冊読むのにどれくらいかかりますか)
- How long does it take for this computer to start up?(このパソコンは起動にどれくらいかかりますか)
- How long did it take you to get here?(ここまで来るのにどれくらいかかりましたか)
- How long will it take to fix my car?(車の修理にはどれくらいかかりますか)
- How long does it usually take to get a reply?(返事が来るまで普段どれくらいかかりますか)
過去のことなら did it take、これからの予測なら will it take。does / did / will のところだけを入れ替える意識で練習すると、迷いが減ります。
移動手段は by、徒歩は on foot
移動手段を添えるときは前置詞が活躍します。by train / by bus / by car / by bike のように交通手段には by を、歩きなら on foot を使います。by のあとに the や my を付けないのが決まりです。
- How long does it take to get to the airport by train?(電車で空港までどれくらいですか)
- It takes about 25 minutes on foot.(歩いて25分ほどです)
- It takes 15 minutes by taxi, but an hour by bus.(タクシーなら15分、バスなら1時間です)
答え方のパターン
答えは、聞かれた形をそのまま利用すれば十分です。About 20 minutes. と時間だけ返すのも自然で、丁寧に答えたいときは It takes about 20 minutes. と文の形にします。
- フレーズ
- How long does it take to get there? — About twenty minutes, I’d say.
- 日本語訳
- そこまでどれくらいかかりますか。— 20分くらいでしょうか。
- 使う場面
- ホテルのフロント、駅の窓口、道端で通行人に尋ねるとき。get there の there を the station などに替えれば応用できます。
- 注意点・誤用例
- How much time does it take? も通じますが、時間の長さを問うなら How long が自然です。How long time … は誤りです。
- 発音・ニュアンス
- How long does it take は「ハウロン(グ)ダズィッ・テイク」とひとかたまりに。I’d say を末尾に添えると「たぶんね」という控えめな響きになります。
逆に「そんなにかからないよ」と言いたい場面も多いはずです。否定文には少しコツがあります。
否定文で「そんなにかからない」を伝える
- 否定文では much time や long と組むのが定番
- 肯定文の a long time に対し、否定文では long 単独が軽やかに響く
- won’t take more than ~ で上限を示せる
否定文では much time(多くの時間)や long(長く)と組み合わせます。It doesn’t take long. は覚えておくと出番の多い一文です。
- It doesn’t take much time to learn this phrase.(このフレーズを覚えるのにたいして時間はかかりません)
- It doesn’t take long to assemble this furniture.(この家具の組み立てはすぐ終わります)
- It won’t take more than ten minutes.(10分以上はかかりません)
- It didn’t take me long to get used to the new job.(新しい仕事に慣れるのに時間はかかりませんでした)
- It shouldn’t take too long.(そんなに長くはかからないはずです)
肯定文では It takes a long time. のように a long time を使うのに、否定文や疑問文では long 単独が好まれます。It doesn’t take a long time. も誤りではありませんが、It doesn’t take long. のほうが自然で軽やかです。
ここまでで take の型は一通り揃いました。次は、似ているのに混ざりやすい spend と cost との住み分けを整理します。
take・spend・cost の役割分担
- take は it を主語にして客観的に必要な時間を述べる
- spend は人を主語に「自分の意思で使った時間」を述べ、あとは動詞の ing 形
- cost は主にお金、ときに代償としての時間を表す
「時間を使う」に関わる動詞は take だけではありません。似て見える三つを整理しておくと、伝えたいニュアンスに合わせて選べるようになります。主語が何かで見分けるのがいちばん確実です。
take は「客観的に必要な時間」
主語は it。誰がやってもこれくらいかかるという、状況側の必要時間を述べます。It took two hours to clean the room.(その部屋の掃除には2時間かかりました)。
時間を消費しているのは「その状況」なので、話し手の気持ちや意図は前面に出ません。時刻表、作業の見積もり、道案内など、事実として所要時間を伝える場面にぴったりです。
spend は「人が主観的に使った時間」
主語は人。持ち時間を自分の意思で投じたという感覚が出ます。構文は spend + 時間 + 動詞の ing 形が基本です。I spent two hours cleaning the room.(私はその部屋の掃除に2時間かけました)。
「2時間もかけて頑張った」「じっくり取り組んだ」といった主観がにじみます。時間だけでなくお金にも使えるのが spend の特徴です。I spent 5,000 yen on books.(本に5,000円使いました)。
cost は主にお金、そして代償
cost は「〈お金〉がかかる」が中心ですが、時間や労力の犠牲を表すこともあります。
- It cost me 3,000 yen to take a taxi.(タクシーで3,000円かかりました)
- That mistake cost me a whole week.(あのミスで一週間を失いました)
- How much does it cost to ship this?(これを送るのにいくらかかりますか)
| 動詞 | 主語 | 消費するもの | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| take | It | 時間・労力 | 客観的に必要な量 |
| spend | 人 | 時間・お金 | 自分の意思で投じた量 |
| cost | It / 物・事 | お金(ときに時間) | 支払い・代償 |
人を主語にした take はどうなるか
I take about five minutes to go to the station. のように人を主語にした take も、文としては存在します。ただしこの場合は「私が意識的に5分かける」という色合いが出ます。
「駅まで5分かかる」という客観的な事実を伝えたいなら、It takes about five minutes for me to go to the station. のほうが誤解がありません。所要時間を素直に表したいときは it で始める、と決めておくと安全です。
動詞の住み分けが見えたところで、実際に添削の場でよく見かける間違いを確認しておきましょう。
つまずきやすい6つのポイント
- 人は takes の直後、時間はそのあと。順番を崩さない
- to のあとは必ず動詞の原形。ing 形と組むのは spend
- 行為者を示す前置詞は for。時間には前置詞を付けない
間違いの型はだいたい決まっています。先に落とし穴の位置を知っておくだけで、口に出すときの迷いが減ります。
1. 語順の入れ替え
It takes two hours me to finish. は不自然です。人は take の直後、時間はそのあと。正しくは It takes me two hours to finish. です。この並びが崩れると、聞き手は一瞬意味を取り損ねます。
2. to のあとを ing 形にしてしまう
It takes 30 minutes to finding it. は誤りです。to のあとは必ず動詞の原形で to find。ing 形と組むのは spend のほう(spend time doing)だと対比で覚えると混ざりません。
3. 前置詞の取り違え
行為者を示すのは for です。It takes 30 minutes of me … や It takes for 30 minutes … は成り立ちません。for が付くのは人や物のほうで、時間そのものには前置詞を付けません。
4. 時制の一致もれ
すでに終わった話なら took、今の一般的な話なら takes、これからの予測なら will take。会話の It took about 30 minutes to find it! は過去形だからこそ「探し回った末にようやく見つけた」という実感が伝わります。
三人称単数の s も忘れがちなところです。It take 30 minutes. ではなく It takes 30 minutes.。小さな s ですが、抜けると耳に引っかかります。
5. 単数・複数
It takes an hour.(1時間)と It takes two hours.(2時間)。数字が2以上なら minutes / hours / days と複数形にします。an hour は「アナワー」とつながるので、a hour と書かないよう気をつけましょう。
6. Take your time. との混同
Take your time. は「ゆっくりどうぞ」という別の慣用表現です。「私は時間がかかる」を I take time. と言うと意図が伝わりにくいので、It takes me time to … の形を使いましょう。急かされていないのに Take your time. と返すと、相手が遅いと責めているように響く場合もあります。
落とし穴の確認が済んだら、いよいよ実際の場面に置いてみます。ここからは、そのまま真似できる会話を場面別に並べます。
場面別の会話例
- 道案内、店、職場、空港、オンライン会議の5場面で型を試せる
- 質問と答えをセットで覚えると、その場で会話が回る
- 数字と行動を入れ替えるだけで自分の生活に転用できる
型を知るだけでは口から出てきません。場面ごと丸ごと覚えるのが、遠回りに見えていちばん近い道です。

道を尋ねる
- 会話(英語)
- 学習者: Excuse me, how do I get to the museum from here?
通行人: Go straight and turn left at the second corner.
学習者: Thank you. How long does it take on foot?
通行人: It takes about ten minutes. It’s a bit faster by bus, but the bus doesn’t come often.
学習者: Ten minutes is fine. Thanks a lot. - 日本語訳
- 学習者: すみません、ここから博物館へはどう行けばいいですか。
通行人: まっすぐ行って、二つ目の角を左に曲がってください。
学習者: ありがとうございます。歩くとどれくらいかかりますか。
通行人: 10分ほどです。バスのほうが少し早いですが、あまり来ませんよ。
学習者: 10分なら大丈夫です。ありがとうございました。 - 使う場面
- 旅先で道を尋ねるとき。道順を聞いたあとに所要時間を確認すれば、歩くか乗るかを判断できます。
- 注意点
- How long does it take by walk? とは言いません。徒歩は on foot、または How long does it take to walk there? と動詞で表します。
店で待ち時間を確認する
- 会話(英語)
- 学習者: Table for two, please. How long is the wait?
店員: It’ll take about 20 minutes. Would you like to wait?
学習者: Sure. Does it take long to get the food after we order?
店員: Not at all. It doesn’t take more than ten minutes.
学習者: That’s good to know. Thank you. - 日本語訳
- 学習者: 2名でお願いします。どれくらい待ちますか。
店員: 20分ほどかかります。お待ちになりますか。
学習者: はい。注文してから料理が来るまでは時間がかかりますか。
店員: いいえ。10分以上はかかりません。
学習者: それなら安心です。ありがとうございます。 - 使う場面
- レストランやカフェの入店時、テイクアウトの注文時。
- 発音・ニュアンス
- How long is the wait? は待ち行列の場面に限った定型句で、ぶっきらぼうには響きません。It’ll は「イトゥル」と一息で。
職場で作業の見積もりを伝える
- 会話(英語)
- 上司: How long will it take to finish the report?
学習者: It’ll take me about three hours if I start now.
上司: Can you do it by five?
学習者: I think so. It won’t take more than three hours unless something comes up.
上司: Great. Take your time with the numbers, though. - 日本語訳
- 上司: 報告書を仕上げるのにどれくらいかかりますか。
学習者: 今から始めれば3時間ほどかかります。
上司: 5時までにできますか。
学習者: できると思います。何か起きなければ3時間以上はかかりません。
上司: よかった。ただ、数字のところは慎重にお願いします。 - 使う場面
- 作業時間の申告、納期の相談、進捗の共有。
- 注意点
- 見積もりには about や around を添えるほうが安全です。断定してしまうと、超過したときに説明が難しくなります。
空港や駅で
- 会話(英語)
- 学習者: How long does it take to get downtown from the airport?
係員: About 40 minutes by train, or an hour by bus.
学習者: And how long does it take to go through security?
係員: It usually takes 15 to 20 minutes at this hour.
学習者: Then I still have time. Thank you. - 日本語訳
- 学習者: 空港から中心街まではどれくらいかかりますか。
係員: 電車で40分ほど、バスなら1時間です。
学習者: 保安検査を通るのにはどれくらいかかりますか。
係員: この時間帯なら普段15分から20分です。
学習者: それならまだ時間がありますね。ありがとうございます。 - 使う場面
- 乗り継ぎの計画、到着後の移動、待ち合わせ時間の調整。15 to 20 minutes のように幅で答える言い方も覚えておくと便利です。
オンラインでのやりとり
- 会話(英語)
- 同僚: Sorry, you’re breaking up. Can you hear me?
学習者: I can hear you now. My connection is slow today.
同僚: No problem. How long will it take to share the file?
学習者: It takes a few minutes for this file to upload. I’ll send the link right after.
同僚: Sounds good. Take your time. - 日本語訳
- 同僚: すみません、声が途切れています。聞こえますか。
学習者: 今は聞こえます。今日は回線が遅くて。
同僚: 大丈夫です。ファイルを共有するのにどれくらいかかりますか。
学習者: このファイルのアップロードに数分かかります。すぐあとにリンクを送ります。
同僚: 了解です。ゆっくりで大丈夫ですよ。 - 使う場面
- オンライン会議、通信状況の説明、作業待ちの合間。for this file to upload のように主語が物になる形が生きる場面です。
会話の中には、所要時間以外にも使い回しの効く表現が詰まっています。周辺の言い方もまとめて拾っておきましょう。
会話から広がる周辺表現
- 電話の定型句は数が限られているので丸暗記が効く
- I’m lost. に位置情報を足すと相手が助けやすくなる
- so ~ that … と be getting + 比較級で表現の幅が広がる
電話の英語をひとまとめに
電話の言い回しは、実は数が限られています。十数個覚えれば大半の場面が回るので、投資効率のよいところです。
- make a call to ~ / give ~ a call:~に電話する
- Can you hear me?:私の声、聞こえますか
- You’re breaking up.:声が途切れています
- I’m calling from ~:~から電話しています
- Can I call you back later?:あとでかけ直してもいいですか
- Sorry, it’s a bit noisy here.:すみません、ここは少し騒がしいです
- My battery is running low.:電池が少なくなってきました
- I have a bad signal here.:ここは電波が悪いです
- Could you speak up a little?:もう少し大きな声で話してもらえますか
- Let me call you from a quieter place.:もっと静かな場所からかけ直します
道に迷ったときに使える言い方
I’m lost. は短いながら万能です。ここに情報を足していくと、相手がぐっと助けやすくなります。
- I think I’m lost.(道に迷ったみたいです)
- I have no idea where I am.(自分がどこにいるのか分かりません)
- Can you see any landmark?(何か目印は見えますか)
- There’s a post office next to a big yellow building.(大きな黄色いビルの隣に郵便局があります)
- I’m standing in front of a coffee shop.(コーヒーショップの前に立っています)
- How do I get to your place from here?(ここからあなたの家までどう行けばいいですか)
- I’ll pick you up.(迎えに行きます)
位置を伝える語句も一緒に押さえましょう。in front of ~(~の前に)、next to ~(~の隣に)、across from ~(~の向かい側に)、around the corner(角を曲がったところ)、close to ~ / near ~(~の近くに)。
目印になる建物と位置関係を二つ組み合わせるだけで、相手は場所を特定しやすくなります。そしてここでも所要時間の表現が生きます。It takes about ten minutes from here.(ここから10分ほどです)、How long will it take you to get here?(ここまで来るのにどれくらいかかりますか)。道案内と所要時間はセットで使う場面がとても多いのです。
so ~ that … で理由と結果をつなぐ
友人のセリフ I guess cell phones are so popular that pay phones are decreasing. にある so ~ that … は「とても~なので…」と、程度と結果を一気に表す形です。
- The coffee shop was so noisy that I couldn’t hear her.(店がうるさすぎて彼女の声が聞こえませんでした)
- He was so tired that he fell asleep on the train.(疲れすぎて電車で寝てしまいました)
- It was so far that it took us three hours.(あまりに遠くて3時間かかりました)
似た形の too ~ to …(~すぎて…できない)と合わせて覚えると幅が広がります。The line was too long to wait.(列が長すぎて待てませんでした)。
be getting + 比較級(~になってきている)も便利な型です。It’s getting harder to find a pay phone.(公衆電話を見つけるのが難しくなってきています)、Days are getting shorter.(日が短くなってきています)のように、変化の途中を描くときに使います。
公衆電話をめぐる事情
かつては駅前やコンビニの脇に当たり前のように公衆電話が立っていました。今はすっかり数が減り、いざ探すとなると本当に見つかりません。会話の「30分かかった」は決して誇張ではないでしょう。
とはいえ公衆電話には、災害時に通信規制の影響を受けにくいという強みがあります。電池切れや紛失で携帯電話が使えない状況もあり得るので、自宅や職場の近くにどこがあるか一度確認しておくと安心です。
海外旅行先でも、ホテルのフロントの電話や店の固定電話を借りる場面はまだあります。そのときに Could I use your phone?(電話をお借りできますか)や I need to make a call.(電話をかけたいのです)が口から出れば、状況は一気に楽になります。
表現が揃ったら、あとは口が覚えるかどうかです。次は音の面から仕上げていきます。
発音とリズムを整える
- It takes は語と語をつなげて「イッテイクス」と一息で読む
- 強く読むのは時間の数字と動詞。it や to は弱く速く
- takes / took / take の子音を落とさないよう意識する
この型が聞き取れない原因の多くは、語彙ではなく音のつながりです。It takes は一語のように響くと知っているだけで、耳の解像度が上がります。
つなげて読む箇所
- It takes → イッ・テイクス(t が飲み込まれ、ひとかたまりになる)
- It took about → イッ・トゥッカ・バウト(took と about がつながる)
- How long does it take → ハウロン(グ)・ダズィッ・テイク(does it が「ダズィッ」)
- an hour → アナワー(h は読まない)
- It’ll take → イトゥル・テイク(will は縮約して軽く)
強弱のつけ方
英語は情報の中心を強く、機能語を弱く読みます。It takes THIRTY minutes to FIND it. のように、数字と動詞を持ち上げ、it や to はほとんど聞こえないくらい軽く流します。
日本語のように全ての音を同じ強さで発音すると、相手には平板に聞こえます。手で軽く机を叩いてリズムを取りながら音読すると、強弱の感覚がつかみやすくなります。
落としやすい子音
takes の s、took の k、minutes の ts は、日本語話者が省略しがちな音です。ここが抜けると take と takes、took の区別が消え、時制が伝わらなくなります。語尾まで言い切る意識を持つだけで、通じ方が変わります。
音の準備ができたら、いよいよ自分の口で組み立てる練習に進みます。
声に出して身につける練習
- 日本語を見て英語を口に出し、すぐ下の答えで確認する
- 答え合わせのあとに必ず3回音読して口に残す
- 最後は自分の生活の数字に置き換えて言い直す
日本語を見て、英語を口に出してみてください。答えはそのすぐ下にあります。黙読ではなく声に出すことが、この練習の要です。
基本編
- 駅まで歩いて15分かかります。→ It takes 15 minutes to get to the station on foot.
- 私がこの本を読み終えるのに1週間かかりました。→ It took me a week to finish this book.
- 空港までどれくらいかかりますか。→ How long does it take to get to the airport?
- 彼が支度をするのにいつも30分かかります。→ It always takes him 30 minutes to get ready.
- この書類を仕上げるのに、あまり時間はかかりません。→ It doesn’t take long to finish this document.
- あなたがここに来るのに1時間くらいかかるでしょう。→ It will take you about an hour to get here.
- 公衆電話を見つけるのに30分もかかりました。→ It took about 30 minutes to find a pay phone.
- 新しい言語を身につけるには忍耐が必要です。→ It takes patience to learn a new language.
応用編
- このパソコンは起動に3分ほどかかります。→ It takes about three minutes for this computer to start up.
- 塗料が乾くには数日かかります。→ It will take a few days for the paint to dry.
- 返事をもらうまでどれくらいかかりましたか。→ How long did it take to get a reply?
- 電車なら少なくとも1時間かかります。→ It takes at least an hour by train.
- あと10分かかります。→ It’ll take another ten minutes.
- あっという間でした。→ It took no time at all.
- 新しい仕事に慣れるのに時間はかかりませんでした。→ It didn’t take me long to get used to the new job.
- この机を運ぶには2人必要です。→ It takes two people to carry this desk.
- 私は掃除に2時間かけました。→ I spent two hours cleaning.
- タクシーで3,000円かかりました。→ It cost me 3,000 yen to take a taxi.
- 彼女がお風呂に入るのはとても時間がかかります。→ It takes a long time for her to take a bath.
- 10分以上はかからないはずです。→ It shouldn’t take more than ten minutes.
自分の数字に置き換える
慣れてきたら、自分の生活の数字に差し替えてみましょう。通勤通学の時間、朝の支度、買い物、帰省。数字と行動を入れ替えるだけで、この型は一気に自分のものになります。
It takes me 20 minutes to walk to the station.(駅まで歩いて20分)のように、毎日言えるフレーズを一つ持っておくと定着が早くなります。同じ文を何十回も口にするうちに、語順を考えずに出てくるようになります。
では、この練習をどう日々に組み込むか。無理のない流れを描いてみます。
一週間で自分のものにする流れ
- 一日10分程度に区切り、型・人あり・疑問文・否定文の順で広げる
- 週の後半は会話ごと音読し、最後に自分の生活の文へ置き換える
- 誰かに聞いてもらう機会を挟むと、通じるかどうかが確かめられる
一度にすべてを詰め込む必要はありません。一日一つの形に絞るほうが、記憶に残りやすくなります。

1日目は基本形だけ。It takes + 時間 + to do を、身の回りの行動で10文つくって声に出します。2日目は人を加えた It takes me …。3日目は for 人 の形で、主語に物や機械も入れてみます。
4日目は疑問文の How long does it take ~? を、does / did / will の三通りで練習。5日目は否定文の It doesn’t take long. と It won’t take more than ~. を口に馴染ませます。
6日目は take・spend・cost を意識して、同じ出来事を三通りに言い換える練習。7日目は冒頭の会話を役割を入れ替えて音読し、最後に自分の一日を所要時間で語ってみます。
ここまで来ると、独学で足りなくなるのは「相手の反応」です。自分の英語が本当に通じているか、語順や前置詞が自然かは、聞いてもらって初めて分かります。学習の伸び方は人それぞれですが、会話の相手がいる環境は確認の手間を大きく減らしてくれます。
最後に、学習中によく出てくる疑問をまとめて片づけておきましょう。
よくある質問
- 語順、前置詞、動詞の使い分けに関する疑問をまとめて確認できる
- 迷ったときは it で始める、という判断基準を持つと安全
同じところで立ち止まる人が多い6つの疑問に答えます。迷いの正体が分かれば、口に出すときのためらいも小さくなります。
It takes me two hours と It takes two hours for me はどちらが正しいのですか
どちらも正しい形です。会話でテンポよく言い切りたいときは It takes me two hours to finish it. が自然で、行為者を強調したいときや主語が物や機械のときは It takes two hours for this machine to cool down. のように for を使います。厳密な規則はないので、短く言うなら人を takes の直後、説明調にするなら for、と覚えておけば困りません。
It takes のあとの to は ing 形にできますか
できません。It takes 30 minutes to finding it. は誤りで、to のあとは必ず動詞の原形の to find です。ing 形と組むのは spend のほうで、I spent 30 minutes looking for it. のように spend + 時間 + 動詞の ing 形になります。この二つを対比で覚えておくと混ざりません。
How long does it take? と How much time does it take? の違いは何ですか
どちらも通じますが、時間の長さを尋ねる決まり文句としては How long does it take? がに自然です。How much time do you need? のように「必要な時間量」を問う言い方もありますが、日常の所要時間なら How long で始めれば十分です。なお How long time … という形は誤りです。
人を主語にして I take five minutes と言ってもよいのですか
文としては存在しますが、「私が意識的に5分かける」という色合いが出ます。駅まで5分という客観的な事実を伝えたいなら It takes me about five minutes to get to the station. のほうが誤解がありません。所要時間を素直に表したいときは it で始める、と決めておくと安全です。
Take your time. は「時間がかかる」という意味ですか
違います。Take your time. は「ゆっくりどうぞ」「急がなくていいですよ」と相手に伝える慣用表現です。自分に時間がかかることを言いたいときは It takes me time to … の形を使います。急かされていない相手に Take your time. と言うと、遅いと責めているように響く場合もあるので、場面を選んで使いましょう。
否定文で long time と long のどちらを使うべきですか
否定文や疑問文では long 単独が好まれます。It doesn’t take long. のほうが It doesn’t take a long time. より軽やかに響きます。一方、肯定文では It takes a long time to learn a language. のように a long time を使うのが普通です。同じ語でも文の形によって好まれる姿が変わる、という感覚を持っておくと選びやすくなります。
つ・ぶ・や・き
- 所要時間の表現は、出来事や気持ちを乗せる器にもなる
- まずは毎日言える一文を決めて、口に出す回数を積む
携帯電話を家に置いてきた日ほど、街の風景が違って見えるものです。公衆電話を探して30分歩き、ようやく受話器を握ったときの安心感。そこで口をついて出るのが It took about 30 minutes to find it! という一言でしょう。
所要時間を語る表現は、ただの文法項目ではなく、その日の出来事や気持ちを乗せる器でもあります。長くかかったこと、思ったより早く済んだこと、これから何分かかりそうか。数字と一緒に語れるようになると、話の輪郭がぐっとはっきりしてきます。
今日はまず、自分の通勤や通学の時間を一文にしてみてください。It takes me ~ minutes to … の空欄を、あなたの数字で埋めるところから。明日には、それがもう考えずに出てくる一文になっているかもしれません。
では、また次回お会いいたしましょう。See you then.

