英語で学ぶ:日本の特撮ヒーローが欧米うけしない理由

  1. 会話で学ぶ英語表現

特撮ヒーローとは、特殊撮影技術を用いて制作された映画やテレビ番組に登場するヒーローです。特殊能力を駆使して悪と戦う姿が特徴で、多くのファンに愛されています。

今回は、日本の特撮ヒーローの海外での人気に注目しながら英語を学んでいきましょう。

英語で学ぶ:日本の特撮ヒーローが欧米うけしない理由

「Hero」のもつ2つの意味

特撮ヒーローやヒーロー戦隊など、「ヒーロー」という言葉は日本語の中でもすっかり定着しています。元となっている英単語「Hero」には、2つの意味があります。

【英雄、勇気のある人、憧れの存在】

That is a hero for children.

それは子どもたちの憧れの存在だ。

He became a national hero.

彼は国民的ヒーローになった。

There was one hero who protected the world.

世界の平和を守る、1人の英雄がいました。

【主人公、主要人物】

He is the hero of this movie.

彼は、この映画の主人公です。

He was the person who was another hero of this comic.

彼はこの漫画の、もう一人の主人公だった。

The hero in the story are two young firefighters.

この物語の主要人物は、2人の若い消防士だ。

日本語の中では主に前者の意味で使われている「ヒーロー」ですが、英語ではどちらも同じくらいの頻度で用いられています。前後の文脈から、どちらの意味で使われているのかを推測できるようにしましょう。

また、日本ではヒーローは男性・ヒロインが女性といった認識がありますが、英語本来の意味は若干異なります。Hero は、性別を問わず使える表現で、女性に対して使われることも少なくありません。一方で Heroine は、女性にのみ使われる表現です。

The hero of her new novel is Japanese girl.

彼女の新しい小説の主人公は、日本人の少女だ。

She became a national hero for his part in the revolution.

彼女は革命に参加し、国民的な英雄となりました。

The novel ends with the heroine’s death.

この小説は、ヒロインの死で幕を閉じる。

英英辞書での Hero の説明書き

英語の辞書では、どのような説明がなされているのか見てみましょう。

Hero /ˈhɪər·oʊ / plural heroes

a person who is admired for having done something very brave or having achieved something great

sb who is admired for doing brave things

・A war hero

・The firefighters were treated as heroes.

the most important person in a book, play, movie, etc

・The hero of the movie

Cambridge English Dictionaryより引用

ヒーロー 複数形:ヒーローズ

非常に勇敢なことをした、または何か素晴らしいことを成し遂げたことで賞賛される人

勇敢なことをして人々から憧れられる人物

・戦争の英雄

・その消防士たちは、英雄として扱われた。

本、演劇、映画などで最も重要なキャラクター

・その映画の主人公

英語の辞書では、「Admired:賞賛」や「Brave:勇敢」「Great:素晴らしい」といった表現が使われています。

2 人の人物がスタジオ内で三脚に取り付けられたプロ用ビデオカメラの近くで論文を審査し、英語で自分たちの仕事について話し合っています。

特撮アニメは英語で「Special Effects animation」

特撮アニメ・特撮ヒーローなど、「特撮」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。「特撮」とは、特殊撮影技術の略称です。英語では「Special Effects」と表記し、略称として SFX とも呼ばれています。

The movie is full of action and exciting special effects. 

この映画には、エキサイティングな特撮技術とアクションがたくさん詰まっている。

He shot many special effects films.

彼は、数々の特撮映画を撮りました。

特殊な機器・装置や技法を駆使して撮影し、実際には不可能なことや特殊な効果を画面に表すことで、具体的には CG や合成技術が使われることを指します。

特撮アニメは、アニメーションではなく実写+特撮を駆使して作られた作品のことで、ウルトラマンや仮面ライダーといった番組をイメージしてもらえれば分かりやすいでしょう。

アニメーション技術が大幅に向上し、実写さながらのリアルさが表現できるようになっていますが、それでも特撮アニメには特撮アニメにしかない魅力があり世界中でさまざまな作品が作られています。

日本の特撮アニメを英語で説明しよう

日本の特撮アニメは世界的にも有名です。中でも多くのファンがいる2つの作品について、英語で説明してみました。コミュニケーションのネタとして、是非使ってみてください。

Godzilla:ゴジラ

日本で有名な特撮といえば、世界でも人気をほこる「Godzilla:ゴジラ」があげられるでしょう。巨大怪獣ゴジラは「核の落とし子」などの煽り文句で、核実験から構想を得た怪獣が日本を襲う物語です。

Godzilla is a fictional monster that first appeared in the 1954 Japanese film.

ゴジラは、1954年に公開された日本の映画に登場した架空の怪獣です。

Godzilla is depicted as a symbol of human horror and natural disasters.

ゴジラは、人間の恐怖と自然災害の象徴として描かれています。

For example, the original Godzilla is portrayed as an ancient creature disturbed by nuclear testing.

例えば、初代ゴジラは核実験によって住処を失った古代生物の生き残りという設定です。

The size of Godzilla varies depending on the movie.

ゴジラの大きさは、映画によって異なります。

In the first piece, it is about 50 meters long.

最初の作品では、全長50メートルほどです。

It has grown in size over the years, and in the 2017 work it is 300 meters.

年々大きく描かれるようになっており、2017年の作品では全長300メートルになっています。

Ultraman:ウルトラマン

ウルトラマンとは、人間と協力して地球の平和を守るために戦ってくれる、地球とは別の星の種族です。数多くの必殺技を持ち、シリーズによって色合いや技が異なります。

子どもから大人まで幅広い世代に人気があり、主人公であるウルトラマンはもちろんのこと、敵側の怪獣や宇宙人にも魅力的なキャラクターが多いのが特徴です。

Ultraman is a Japanese special effects television series that aired from 1966 to 1967.

ウルトラマンは、1966年から1967年にかけて放送された日本の特撮テレビ番組です。

The main character transforms into Ultraman using items.

主人公が、アイテムを使ってウルトラマンに変身します。

There are also many popular monsters, and the TV series continues to this day.

人気の高い怪獣も多く、現在でもテレビシリーズが続いています。

明るく照らされた屋内展示エリアに展示された、口を開けた大きなとがったゴジラ像のクローズアップ。

会話

BrianKei が日本の特撮アニメについて話をしています。

Brian:Did you see new Godzilla movie, Kei?

新しいゴジラの映画見た、ケイ?

Kei:No, I didn’t.

見ていないよ。

Brian:Then why don’t we go see it together?

それならば今度一緒に見に行かない?

Kei:That’s great!

それいいね!

Brian:You are so lucky Kei. The Godzilla is made in Japan, so you grew up with watching Godzilla.

ケイはラッキーだよね。ゴジラは日本で作られているから、ゴジラを見ながら育ったんでしょ?

Kei:Actually, I didn’t see Godzilla when I was small.

実は、僕が小さかったときゴジラは見なかったんだ。

Brian:You don’t know what you are missing! What were you watching when you were small.

もったいないな!ちいさかった時何を見ていたの?

Kei:I was crazy about transform heroes. The season changes about every year.

僕は変身ヒーローに夢中だったんだ。シリーズは大体毎年変わるんだよ。

The heroes change in every season and each of them has their own transformation belt.

ヒーローはシリーズごとに変わってね、それぞれ彼らの変身ベルトを持っているんだ。

Brian:Does that transformation hero drama continue now?

その変身ヒーローのドラマは今も続いているの?

Kei:Yes, of course! Most of all boys grow up with that transform heroes.

もちろんだよ!ほとんどの男の子はこれらの変身ヒーローで育つよ。

Brian:I want to look it someday.

いつかそれを見てみたいね。

Kei:I search it on the internet. But I can’t understand why these transform heroes didn’t become popular in the world, like Godzilla.

インターネットで探してみるよ。でもこれらの変身ヒーローが、なぜゴジラみたいに世界で有名にならなかったか、わからないんだよね。

ポイント

会話ででてきた単語や言いまわしをみてみましょう。

Grow up 成長する、大人になる

When I was small 僕が小さかった時

人間が小さい時は”Child”「子供」を使いますが、話の流れでは”Small”を使う事もよくあります。

You don’t know what you are missing. もったいない

「勿体ない」を、Waste(無駄にする、浪費する)という単語で表現することもありますが、言い方によっては非常にトゲのある言葉なので注意が必要です。

その点、Missing を使った今回の表現は「失っていることを分かっていない」といった感じで、Waste ほど尖ったニュアンスなく勿体なさを伝えることができます。貴重な機会やチャンスを見逃している時に使われる決まり文句ですので覚えておきましょう。

Crazy about 夢中

直訳すると「~に狂った」となりますが、1つのことに夢中になる・首ったけになっている様子を表す定番フレーズです。文脈によっては、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも使える非常に便利な表現です。

例)He is crazy about baseball. 彼は、野球に夢中です。

例)I am really crazy about the game. 私はこのゲームにすっかり入れ込んでいます。

Transform heroes 変身ヒーロー

英語では「変身ヒーロー」そのものをあらわす言葉はありませんが、トランスフォーマーという日本でも有名になった映画にもあるように、「変身」は Transform を使って表現するのが一般的です。

翻訳サイトなどでは、変身と入力すると Changing costume が出ることもありますが、こちらはどちらかというと「衣装替え」のイメージが強くなります。

スパイダーマンに扮した人物がレンガ造りの建物の端にしゃがみ込んでおり、背景には別の建物が見え、今にも動き出しそうな様子だ。

世界はヒーローで溢れている?

日本の特撮やアニメは、キャラクターやストーリーを変えてシリーズ化されています。

男の子向けであれば、ウルトラマンシリーズ・仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズ、女の子向けであれば、プリキュアシリーズ・ガールズ×戦士シリーズが有名で、これらのヒーローは、日本では長年続くロングヒットシリーズとして愛されています。

これだけ歴史があるのならば、海外で誰かの目にとまってもいいような気がしますが、実際には世界で有名な日本のヒーローものはほんの一握りです。

これは世界には、その国ごとにスーパーマンやポパイなどヒーローがすでに存在していたことが影響しているでしょう。

「アニメと言えば日本!」「日本のアニメ文化は素晴らしい!」と世界各国から高い評価を受けていますが、海外にアニメ文化がない訳ではありません。

国ごとに、その国の価値観をベースとしたアニメ作品・ヒーローものが作られており、子どもたちはそれを見て育っています。

ヒーローものといってアメリカ人が一番にイメージする「Avengers(アベンジャーズ)」シリーズは、アメリカの価値観が詰まった作品です。

単独行動を基本とし、1人1人に異なる個性がありお互いにそれを尊重しています。個人個人の行動・考え・思いなどがベースにストーリーが進んでいるのも大きな特徴です。

自分の思いや感情を抑えて、組織として動く・協調性が重要視されるといった日本的な価値観とは大きく異なることがわかるでしょう。

【ゴジラやウルトラマンがヒットした理由】

ではなぜゴジラやウルトラマンは世界的に大ヒットしたのでしょうか?

当時、ヒーローとしての巨大怪獣は存在していませんでした。そのため、巨大怪獣はアメリカ人にとって物珍しく魅力的に映ったのでしょう。また、ゴジラは核実験により生み出された怪獣でもあり、世界の人々にとって身近な問題でもありました。

ウルトラマンは家族や友情・他人や異種との信頼といった心理描写が深いところが、大人も楽しめるヒーローものとして多くの人に支持されているのでしょう。

海外のヒーローは個人主義の側面が強く、強さで他社を導くようなストーリー構成となっています。それに対してウルトラマンは自分がウルトラマンであることを多くの人に公言しないところなど、自己主張が限りなく控えめなのも日本人ならではだと新鮮に感じるようです。

日本の戦隊ものにそっくり?Power Rangers とは

Power Rangers とは、日本のスーパー戦隊シリーズをベースに作られたアメリカの特撮アニメ作品です。

パワーレンジャーがヒットするまでアメリカには子供向け実写番組が存在しておらず、「アニメは世界中からアメリカに入ってくるからいらない、実写番組が欲しい」とのことで制作がスタートしたのは非常に有名です。

1993年にシーズン1がスタートし、2023年にはテレビアニメシーズン30を達成した他、劇場版やゲーム・スピンオフ作品も数多く制作されるなど、アメリカ国内で非常に高い人気を誇っています。

シーズン1から多様な人種が主要メンバーとして取り入れられており、ストーリーも日本のレンジャーものとは大きく異なります。

アメリカの子供番組では表現上の規制が厳しいため、たとえ悪役でも人間が死亡したりすることは基本的に厳禁です。

モンスターは原作同様に普通に倒されているが、倒されて爆発するシーンにはファンタジー的な描写を入れなければならないなど様々な制約があります。

子ども向け作品なので使われる英語言葉が比較的分かりやすいことに加え、日本との価値観の違いなども学べるため、普段特撮アニメを見ない人でも一度見てみると勉強になるでしょう。

緑、黒、赤のスーパーヒーローのコスチュームを着た人が、緑のドアが付いたカラフルな壁の前で腕を組んでポーズをとり、英語で書かれたエンブレムを誇らしげに見せています。

特撮アニメに関する単語・表現

  • Signature phrase キメ台詞
  • Costume 衣装
  • Make、Have (アニメの中での)設定

例)This character have a background as a ninja. このキャラクターは、元忍者という設定です。

例)I’m thinking of making this character has super abilities. このキャラクターは特殊能力が使える設定にしようと思っています。

  • Move、Skill 技
  • Super powers、Special abilities 特殊能力
  • Villain、Antagonist 敵
  • Attack 攻撃
  • Weapon 武器
  • Beat 倒す・やっつける

例)I can’t beat the boss. ボスが倒せない。

例)Hooray. I’ve beat it! やった。やっつけたぞ!

  • Every week 毎週
  • Rival ライバル
  • Final attack、Special technique 必殺技
  • Combine 合体

例)My son was having fun combining the robot toys. 息子はロボットのおもちゃを合体させて遊んでいました。

例)Several small robots combine into a single robot. 複数の小型ロボが合体して1つのロボットになります。

まとめ

多くの人々にとって、自分の国で生まれたヒーローを超えるヒーローは必要なかったわけです。日本で長年愛された特撮ヒーローは、世界では必要ない存在だったのですね。

逆に日本も同じことで、海外で長年愛された特撮ヒーローも、少年にとってはさほど魅力的にはうつりません。こういった「流行り」の思考もなかなかおもしろいものですね。

それではまた、See you!

関連リンク

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