英語を話そうとした瞬間、「眠い」「昨日は家にいた」「来るって言っていた」の最初をどう英語にすればよいか迷ったことはありませんか。日本語では誰の話か分かれば主語を省けますが、英語では原則として、動作や状態の主体を文の中に置きます。
そのため、日本語を左から一語ずつ置き換えるより、最初に「誰が、または何が、どうするのか」を決めるほうが英文を組み立てやすくなります。ここで役立つのが、主語と主部を分けて捉える考え方です。
この記事では、短い文から長い文まで、主部の範囲と中心語を見つける手順を具体例とクイズで確かめます。英文の骨格を自分で見抜けるようになりたい方は、英語教室で学ぶ際の予習や復習にも活用できます。
まず押さえたいのは、「主部はかたまり」「主語の中心語はその核」という違いです。では、短い英文を使って境界線を引いてみましょう。
英語の主語と主部は何が違うのか
- 主部は「誰が・何が」に当たる文のかたまり
- 主語の中心語は主部の核になる名詞や代名詞
- 教材によって主部全体を主語と呼ぶ場合もある
主部とは、文の中で「誰が」「何が」「何は」に当たる部分です。主語を狭い意味で使う場合は、その主部の中で中心になっている名詞や代名詞を指します。つまり、主部は範囲、中心語は核と考えると整理できます。
- フレーズ
- The little boy is running in the park.
- 日本語訳
- その小さな男の子は公園を走っています。
- 使う場面
- 公園で見かけた子どもの様子を伝える場面です。主部はThe little boy、中心語はboy、述部はis running in the parkです。
- 注意点・誤用例
- littleだけを主語と考えないようにします。littleはboyを説明する形容詞です。文の主体となる人はboyです。
- 発音・ニュアンス
- The little boyを一つの意味のまとまりとして読み、boyの後ろに軽い区切りを置くと骨格を意識できます。runningをやや強く読むと、何をしているかが伝わりやすくなります。
Theは「その」と範囲を定め、littleはboyの特徴を加えています。この三語で一人の男の子を指すため、The little boy全体が主部です。一方、動詞の形を選ぶときに中心となるのは単数名詞boyです。
- フレーズ
- The notebook on the desk is mine.
- 日本語訳
- 机の上にあるノートは私のものです。
- 使う場面
- 複数の持ち物がある場所で、自分のノートを特定するときに使えます。主部はThe notebook on the desk、中心語はnotebookです。
- 注意点・誤用例
- deskは動詞に近くても中心語ではありません。on the deskはnotebookの場所を説明する前置詞句なので、動詞は単数のnotebookに合わせてisにします。
- 発音・ニュアンス
- notebookとdeskを比較的はっきり発音し、is mineで所有者を示します。mineに自然な強勢を置くと「私のもの」という対比が伝わります。
学校や参考書では、The notebook on the desk全体を「主語」と呼ぶことがあります。これは誤りというより、用語を広く使っているためです。問題を解くときは「中心語だけを答えるのか、主部全体を答えるのか」を設問から確認しましょう。

違いが見えたら、次は日本語で省かれている主語を英語でどう補うかを確認します。英作文の最初の一語が出ない悩みは、ここを整理すると軽くなります。
日本語で省かれた主語を英語で補う
- 日本語に主語がなくても英語では主体を確認する
- 話し手ならI、聞き手ならyou、第三者ならheやsheなどを選ぶ
- 天候や時刻では意味上の人物がいなくてもitを置く
日本語から英語にするときは、単語を訳す前に「これは誰の動作や状態か」と問いかけます。自分のことならI、相手のことならyou、会話に登場している男性ならhe、女性ならsheというように、文脈から主体を補います。
たとえば「眠い」は、話し手自身の状態ならI am sleepy.です。英語ではamだけを置くのではなく、amと結び付くIが必要です。
- フレーズ
- I’m tired today. I’ll go home early and get some sleep.
- 日本語訳
- 今日は疲れています。早く帰って少し眠ります。
- 使う場面
- 仕事や外出のあと、自分の体調と予定を伝える場面です。二つの文はどちらも話し手について述べるため、主語はIです。
- 注意点・誤用例
- × Am tired today.や× Will go home early.のように主語を落とさないようにします。くだけたメモでは省略を見かけても、基本の英文ではIを置きます。
- 発音・ニュアンス
- I’mは「アイム」、I’llは「アイル」に近い一まとまりで発音します。get some sleepは単に寝るだけでなく、「睡眠を取る」という自然な言い方です。
「明日で30歳?」と相手に尋ねるなら、隠れた主語はyouです。Are you turning 30 tomorrow?のようにします。「来るって言っていた」が会話中の男性についてなら、He said he was coming.となります。
He said he was coming.には、He saidとhe was comingという二組の主語と動詞があります。英文全体で主語を一つだけ探すのではなく、節ごとに主語と動詞を組にすることが重要です。
「日本語に書かれていないから英語にも主語を置かない」という判断は避けます。まず、話し手・聞き手・第三者・物事のどれについて述べているかを確認してください。
主語を補えたら、今度は英文のどこまでが主部なのかを見抜く番です。長い英文でも、中心となる動詞を探せば境界が見えやすくなります。
長い主部を見分ける基本手順
- 最初に時制を持つ主節の動詞を探す
- 中心名詞を説明する語句や節を主部に含める
- 途中の分詞や従属節の動詞と主節の動詞を区別する
長い英文では、最初に現在や過去などの時制を担う動詞を探します。文の中心となる動詞が見つかれば、その主体を表す部分がどこまで続くかを逆向きに確認できます。
手順1:時制を持つ動詞を探す
- フレーズ
- The man standing near the door is my brother.
- 日本語訳
- ドアの近くに立っている男性は私の兄です。
- 使う場面
- 人が複数いる場所で、位置を手掛かりに家族を示す場面です。The man standing near the doorまでが主部で、中心語はman、主節の動詞はisです。
- 注意点・誤用例
- standingを主節の動詞と判断しないようにします。standingは時制を単独で示さず、ここではmanを後ろから説明する現在分詞です。
- 発音・ニュアンス
- The man standing near the doorを一息のまとまりとして読み、isの直前で軽く区切ります。doorとisを完全に切り離しすぎず、自然につなげます。
骨格だけにするとThe man is my brother.です。standing near the doorを一時的に括弧へ入れると、The man(standing near the door)is my brother.となり、主節が見えます。
手順2:名詞を説明する部分を含める
名詞の後ろには、前置詞句、現在分詞、過去分詞、to不定詞、関係詞節などが続きます。それらが中心名詞を特定しているなら、主部の中に含めて考えます。
- The flowers on the table look beautiful.
- The woman wearing a red dress is my aunt.
- The pictures taken in Kyoto are beautiful.
- The best way to learn English is to use it every day.
- The people who live next door are very friendly.
太字の部分は、それぞれflowers、woman、pictures、way、peopleを説明しています。したがって、主部は説明部分を含むところまで続きます。中心語だけを残すと文の骨格が見えるため、迷ったときは修飾部分をいったん外してみましょう。
手順3:節の内側と外側を分ける
- フレーズ
- The real reason why I came here is to see you.
- 日本語訳
- 私がここへ来た本当の理由は、あなたに会うためです。
- 使う場面
- 訪問の本当の目的を伝える場面です。主部はThe real reason why I came here、中心語はreason、主節の動詞はisです。
- 注意点・誤用例
- cameを見つけたところで主部を終わらせないようにします。I came hereはwhyで導かれ、reasonの内容を説明する内側の節です。文全体の述部を始める動詞はisです。
- 発音・ニュアンス
- real reasonをやや強く読むと「本当の理由」が際立ちます。主部が長いため、hereの後ろに軽い区切りを置くと聞き取りやすくなります。
長い文では、動詞らしい形を最初に見つけただけで判断せず、その動詞がどの節に属するかを確認します。主節の骨格を最後まで探すことが、読み違いを減らす手順です。
境界を探せるようになったら、主部の中身を広げてみましょう。英語では人や物を表す名詞だけでなく、行為や節全体も主語として働きます。
英語で主語になれるもの
- 名詞、代名詞、動名詞、to不定詞、名詞節が主語になれる
- 行為や内容全体を一つのものとして扱う場合がある
- 主語の形を見て主節の動詞を判断する
最も分かりやすい主語は、Dogsやmy brotherのような名詞・名詞句です。I、you、he、she、it、we、theyなどの代名詞も主語になります。主語の位置ではIやheを使い、目的語の位置ではmeやhimを使う点も大切です。
- フレーズ
- She called him yesterday.
- 日本語訳
- 彼女は昨日、彼に電話しました。
- 使う場面
- 第三者同士の連絡について伝える場面です。電話をした主体はShe、電話の相手はhimです。
- 注意点・誤用例
- × Her called he yesterday.とはしません。主語にはShe、動詞の後ろの目的語にはhimを使います。
- 発音・ニュアンス
- called himは音がなめらかにつながります。対比がなければhimは強く読みすぎず、calledやyesterdayに情報の重みを置きます。
動名詞が主語になる場合
動詞のing形を名詞のように使い、「~すること」を主語にできます。Reading English aloud helps your pronunciation.では、ReadingだけでなくEnglish aloudまで含めたReading English aloudが主部です。
このような行為は通常、一つの事柄として扱われます。そのため、Getting enough sleep is important.のように単数に対応するisを使います。行為全体が一つの主語になっていると考えましょう。
to不定詞と名詞節が主語になる場合
To know something is one thing.のTo know somethingは「何かを知ること」という主部です。ただし、会話では長い内容を後ろへ置き、It is important to get enough sleep.のようにitを先に置く形がよく使われます。
What he said surprised me.では、What he said全体が「彼が言ったこと」という名詞節で、主部として働きます。節の中にはhe saidという主語と動詞があり、その外側にはWhat he said surprisedという別の骨格があります。
- フレーズ
- Whether she will join us depends on her schedule.
- 日本語訳
- 彼女が参加するかどうかは、彼女の予定次第です。
- 使う場面
- 参加が未定で、予定によって判断が変わることを伝える場面です。Whether she will join us全体が主部です。
- 注意点・誤用例
- sheだけを文全体の主語としないようにします。sheはwhether節の内側の主語で、主節の動詞dependsに対応するのは節全体です。
- 発音・ニュアンス
- Whether she will join usを一まとまりで読み、usの後ろに短い間を置きます。dependsをはっきり発音すると、判断が予定に左右される意味が伝わります。
主語の種類が分かっても、動詞の形を誤ると文が不安定になります。次は、長い主部でも迷いやすい単数・複数の一致を見ていきます。
主語の中心語と動詞を一致させる
- 動詞に近い名詞ではなく主部の中心語に合わせる
- 三人称単数の現在形では一般動詞にsやesを付ける
- andで結ばれた二つの主体は基本的に複数として扱う
現在の習慣や事実を表すとき、主語がhe、she、it、または単数名詞なら、一般動詞にsまたはesを付けます。She works at a bank.やMy brother plays tennis every Sunday.が基本例です。
主部が長くなると、動詞の直前にある名詞へ引っ張られやすくなります。しかし、形を決めるのは主部の中心語です。
- フレーズ
- The list of names is on the desk.
- 日本語訳
- 名前の一覧は机の上にあります。
- 使う場面
- 参加者名簿などの置き場所を伝える場面です。主部はThe list of names、中心語は単数のlistです。
- 注意点・誤用例
- × The list of names are on the desk.とはしません。namesが複数でも、of namesはlistの内容を説明しているため、動詞はlistに合わせてisにします。
- 発音・ニュアンス
- listとdeskに自然な強勢を置きます。ofは弱く短く発音されることが多く、list of namesが一つの名詞句として聞こえます。
反対に、The students in this class are very active.では中心語が複数のstudentsなのでareです。classが単数でも、in this classはstudentsの所属を説明する部分にすぎません。
Ken and Lisa are good friends.のように、二人がandで結ばれていれば基本的に複数として扱います。初心者の段階では、A and Bを見たらまず複数を候補にし、一まとまりの料理名や概念などの例外は個別に覚えると整理しやすくなります。
The box of old photos is under the bed.では、動詞の直前に複数名詞photosがあっても中心語はboxです。「何がベッドの下にあるのか」と問い、箱が一つならisを選びます。
肯定文の一致が分かったところで、語順が変わる疑問文も確かめましょう。文頭に来る語が必ず主語とは限らないことが、ここではっきり分かります。
疑問文・it・there・命令文の主語
- 疑問文ではbe動詞や助動詞が主語の前に出る
- 天候・時刻・距離や長い内容にはitが使われる
- 命令文では聞き手を表すyouが通常は表面に出ない
疑問文では主語が文頭とは限らない
You are tired.を疑問文にするとAre you tired?です。文頭のAreはbe動詞で、主語はyouです。一般動詞の疑問文Do you like coffee?でも、Doは助動詞、youが主語、likeが中心となる動詞です。
- フレーズ
- Does Ken live near here?
- 日本語訳
- ケンはこの近くに住んでいますか。
- 使う場面
- 知人の住まいがおおよそ近いか尋ねる場面です。主語はKenで、Doesが主語の前に置かれています。
- 注意点・誤用例
- × Does Ken lives near here?とはしません。三人称単数の情報はDoesに含まれるため、後ろは原形のliveです。
- 発音・ニュアンス
- Doesは弱く発音されることが多く、Kenやnear hereに情報の強勢が置かれます。通常の確認なら、文末をやや上げて発音します。
Who called you?では、電話した人を尋ねるWhoそのものが主語です。一方、Who did you call?ではyouが主語で、Whoは電話をかけた相手を尋ねています。「誰が」と「誰に・誰を」を日本語で確認すると区別しやすくなります。
意味上の人物がいないときのit
It is raining.、It is ten o’clock.、It is five kilometers from here to the station.では、itが特定の物を指しているわけではありません。英語の文に必要な主語の位置を満たし、天候、時刻、距離を表します。
It is difficult to understand this rule.では、文法上の主語の位置にitを置き、内容上の主語に当たるto understand this ruleを後ろへ回しています。長い内容を後ろへ置くことで、聞き手が文の構造を早くつかめます。
存在を示すthere
There is a book on the desk.は、机の上に本があることを初めて話題に出す表現です。There are some flowers on the table.では、存在するものが複数なのでareを使います。
thereを文法上の主語として扱う説明と、後ろの名詞句を実質的な主語として扱う説明があります。用語に違いがあっても、There is+単数名詞、There are+複数名詞という基本の組み合わせを使えることが実践では重要です。
命令文ではyouが表面に出ない
Sit down.、Be careful.、Come and see me sometime.のような命令文では、聞き手を表すyouが通常は省かれます。意味の上では(You)sit down.のように考えられます。
命令文でYou be quiet.とyouをあえて言うと、強い命令や対比に聞こえる場合があります。穏やかに頼みたいときはPlease be quiet.やCould you be quiet, please?などを場面に応じて選びます。
例外的な形まで確認できたら、英語らしい表現の幅を広げましょう。日本語では人を中心に言う場面でも、英語では物や出来事が主語になることがあります。
無生物を主語にすると英語らしく伝えやすい
- 物、出来事、天候、知らせも英語の主語になれる
- 日本語訳では人を中心とした自然な表現に変わることがある
- 「何がその結果を起こしたか」と考えると作りやすい
英語では、原因となる物や出来事をそのまま主語にできます。The news made her happy.は構造上「その知らせが彼女をうれしくさせた」ですが、日本語では「彼女はその知らせを聞いて喜んだ」と訳すほうが自然です。
- フレーズ
- This road will take you to the station.
- 日本語訳
- この道を行けば駅に着きます。
- 使う場面
- 道を尋ねられ、進む方向を簡潔に伝える場面です。英語ではThis roadが主語、will takeが動詞、youが目的語です。
- 注意点・誤用例
- 日本語と同じ発想で必ずYouを主語にする必要はありません。道を案内の主体として捉えると、短く自然な英文になります。
- 発音・ニュアンス
- This roadとstationをやや強く読みます。take youは音がつながりやすく、実際の会話では滑らかに聞こえます。
The heavy rain prevented us from going out.も同じ発想です。主語はThe heavy rainですが、日本語では「大雨のため、私たちは外出できなかった」と原因を表す形にすると自然です。
英作文でIやWeばかりが続いたら、「何がその気持ちや結果を生んだのか」と考えてみてください。The smell reminded me of my childhood.、This medicine will help you sleep.、The accident caused a long traffic jam.のように、原因を主語にする選択肢が見えてきます。
次は、実際の会話で長い主部がどのように使われるかを見てみましょう。人物や物を特定する場面では、主部を長くする理由がはっきり分かります。
会話で長い主部を使って人や物を特定する
- 長い主部は複数の人や物から対象を特定するために使える
- 修飾語が増えても中心語と主節の動詞を見失わない
- 発話では主部の後ろに軽い区切りを置くと伝わりやすい

- フレーズ
- The flower arrangement on the table is lovely.
- 日本語訳
- テーブルの上のフラワーアレンジメントがすてきです。
- 使う場面
- 会場や訪問先で、テーブルに飾られた花を褒める場面です。主部はThe flower arrangement on the table、中心語はarrangementです。
- 注意点・誤用例
- flowerを見て複数の花を想像しても、中心語は一つのarrangementなのでisを使います。複数の装花ならThe flower arrangements on the tables are lovely.です。
- 発音・ニュアンス
- arrangementは第二音節付近を強くし、「アレインジメント」に近い流れで発音します。lovelyは温かく上品に褒める語です。
- 会話
- 学習者A:The flower arrangement on the table is lovely!
学習者B:It really is. By the way, isn’t your boyfriend here today?
学習者A:He is. The man with long hair in the black suit is my boyfriend.
学習者B:I see. The tall man leaning against the wall is my boyfriend. - 日本語訳
- 学習者A:テーブルのお花のアレンジがすてきですね。
学習者B:本当に。ところで、今日はあなたの彼も来ているんじゃないですか。
学習者A:来ています。黒いスーツを着た長髪の男性が私の彼です。
学習者B:なるほど。壁に寄りかかっている背の高い男性が私の彼です。 - 使う場面
- 人が多い会場で、服装、髪形、位置を使って特定の人物を示す練習です。
- 注意点・誤用例
- with long hair、in the black suit、leaning against the wallはいずれもmanを説明しています。hair、suit、wallを中心語と考えず、主節の動詞は単数のmanに合わせてisにします。
- 発音・ニュアンス
- 長い主部を一語ずつ切らず、The man / with long hair / in the black suitのように意味の単位で読みます。主部の終わりで軽く間を置き、is my boyfriendを続けます。
長い主部を話すときは、最初に中心語を決め、その後ろへ必要な説明を足します。The man is my boyfriend.という骨格を作り、with long hair、in the black suitを追加すれば、途中で構造を見失いにくくなります。
つまり、最初から長文を一気に作る必要はありません。短い骨格から情報を足す方法なら、会話中にも応用できます。
では、日本語から英文を作るときの手順を、迷いにくい順番に並べてみましょう。
主語から英文を組み立てる実践手順
- 日本語の隠れた主語を最初に補う
- 主語と中心動詞だけの骨格を先に作る
- 主語の説明、時、場所などを後から加える
第1段階:誰が何をしたのかを決める
「昨日、映画を見た」だけでは、表面上の主語がありません。自分が見たならI watched、相手が見たか尋ねるならDid you watchと、文脈に応じて主体と文の形を決めます。
第2段階:主語と動詞の骨格を作る
「私の兄は毎朝早く起きる」なら、まずMy brother gets up.を作ります。my brotherが三人称単数なのでgetではなくgetsです。その後でearly every morningを加えます。
第3段階:主語を説明する情報を足す
- フレーズ
- My brother who lives in Osaka gets up at six every morning.
- 日本語訳
- 大阪に住んでいる私の兄は、毎朝6時に起きます。
- 使う場面
- 家族の居住地と生活習慣を一文で伝える場面です。主部はMy brother who lives in Osaka、中心語はbrotherです。
- 注意点・誤用例
- livesはwhoを主語とする関係詞節の動詞、gets upは文全体の主節の動詞です。動詞が二つある理由を節の境界で確認します。
- 発音・ニュアンス
- My brother who lives in Osakaまでを一つの主部として読み、Osakaの後ろで軽く区切ります。時刻を新しい情報として伝えるならsixを少し強めます。
この作り方では、My brother gets upという骨格を壊さずに、who lives in Osaka、at six、every morningを追加しています。骨格を先に固定することで、語順の混乱を抑えられます。
音読では区切りを見える形にする
音読するときは、主部と述部の間に縦線を書いてみましょう。My brother who lives in Osaka | gets up at six every morning.のようにすると、主節の動詞gets upが見つけやすくなります。
次に、主部の中心語へ丸を付けます。この文ならbrotherです。最後に、内側の節であるwho lives in Osakaを括弧で囲むと、主節と関係詞節の役割が視覚的に分かれます。

独学では、答えだけを見て終えるより、「主部の境界」「中心語」「主節の動詞」の三点を声に出して確認すると復習しやすくなります。体系的な学習環境も検討したい場合は、無理のない範囲で次の案内を確認してください。
手順を理解したら、実際に見分ける練習へ進みましょう。答えを見る前に、主部へ下線、中心語へ丸、主節の動詞へ四角を付けるつもりで考えてください。
主語と主部を見分ける実践クイズ
- 各文の主部、中心語、主節の動詞を探す
- 動詞に近い名詞やing形へ引っ張られない
- 節が複数あれば、それぞれの主語と動詞も確認する
次の十問に取り組んでください。すぐ下の答えを見ず、一文につき「何について述べているか」「時制を持つ主節の動詞はどれか」「中心語は単数か複数か」の順に考えます。
- The young woman by the window is our new manager.
- The books on the top shelf belong to my father.
- The man wearing glasses works at the hospital.
- Learning a foreign language takes time.
- What she told me was true.
- The sound of the waves makes me feel calm.
- There are three chairs in the kitchen.
- It is important to check the details.
- Before the meeting started, everyone turned off their phone.
- The only way to solve this problem is to ask for help.
答え1~3:名詞を説明する部分に注目する
第1問はThe young woman by the window | is our new manager.です。主部はThe young woman by the window、中心語はwoman、主節の動詞はisです。by the windowは女性の位置を説明しています。
第2問はThe books on the top shelf | belong to my father.です。主部はThe books on the top shelf、中心語はbooks、主節の動詞はbelongです。動詞に近いshelfではなく、複数のbooksが所有関係の主体です。
第3問はThe man wearing glasses | works at the hospital.です。主部はThe man wearing glasses、中心語はman、主節の動詞はworksです。wearingはmanを説明する現在分詞なので、文の時制を担う動詞ではありません。
答え4~6:行為や節、of句に注目する
第4問はLearning a foreign language | takes time.です。Learning a foreign language全体が主部で、「外国語を学ぶこと」という一つの行為を表します。主節の動詞はtakesです。
第5問はWhat she told me | was true.です。主部はWhat she told meという名詞節、主節の動詞はwasです。節の内側にはsheという主語とtoldという動詞があります。
第6問はThe sound of the waves | makes me feel calm.です。主部はThe sound of the waves、中心語は単数のsound、主節の動詞はmakesです。wavesが複数でも、波そのものではなく「音」が気持ちを落ち着かせています。
答え7~10:特殊な形と節の境界に注目する
第7問はThere are three chairs in the kitchen.です。Thereが存在を示す形を作り、存在するものはthree chairsです。複数の椅子に応じてareが使われています。
第8問はIt | is important to check the details.です。文法上の主語はIt、動詞はis、内容上の主語はto check the detailsです。確認する内容が長いため、後ろに置かれています。
第9問ではBefore the meeting startedが時を示す節です。その内側の主語はthe meeting、動詞はstartedです。主節はeveryone | turned off their phoneで、主節の主語はeveryone、動詞はturned offです。
第10問はThe only way to solve this problem | is to ask for help.です。主部はThe only way to solve this problem、中心語はway、主節の動詞はisです。to solveはwayを説明し、to ask for helpはisの後ろで内容を示しています。
十問すべてで見るべきものは同じです。主部・中心語・主節の動詞の三点を毎回確認すれば、文の長さや形が変わっても判断の軸は変わりません。
追加の英作文練習
次の日本語について、隠れた主語を先に決めてから英文を作ってください。「今日はとても寒い」「昨日、駅へ行った」「机の上に問題が二つある」「この薬を飲めば眠りやすくなる」の四つです。
例となる答えは、It is very cold today.、I went to the station yesterday.、There are two problems on the desk.、This medicine will help you sleep.です。二つ目の主語は文脈によってI以外にも変わります。大切なのは、誰が行ったのかを自分で決めることです。
最後に、学習中に迷いやすい疑問をQ&A形式で確認します。用語の違いだけでなく、実際の読解や会話でどう判断するかまで整理しておきましょう。
英語の主語と主部に関するQ&A
- 用語の範囲は教材によって異なる場合がある
- 実際の判断では中心語と主節の動詞を確かめる
- 省略形を使う前に完全な文を身につける
主語と主部は同じ意味ですか?
教材によって扱いが異なります。主部を「誰が・何が」に当たるかたまり、主語の中心語をその核となる名詞や代名詞として区別する説明があります。一方で、主部全体を広い意味の主語と呼ぶ教材もあります。
長い英文では最初に何を探せばよいですか?
最初に、現在や過去などの時制を持つ主節の動詞を探します。次に、その動詞の主体となる中心語を探し、中心語を説明する前置詞句、分詞、to不定詞、関係詞節などを主部へ含めます。
文頭にある語が主語ではないこともありますか?
あります。YesterdayやTwo hours agoのような時を表す語句、疑問文のDoやAre、Beforeで始まる時の節などが文頭に置かれる場合があります。「誰が、または何が、その動作や状態の主体か」を確認してください。
動詞の直前の名詞に合わせればよいですか?
必ずしもそうではありません。The list of names is on the desk.では、直前のnamesではなく中心語のlistに動詞を合わせます。of句や前置詞句を一時的に外し、中心となる名詞を確認すると判断しやすくなります。
itはいつも「それ」と訳しますか?
いつも「それ」と訳すわけではありません。天候、時刻、距離を表すitは特定の物を指さない場合があります。また、It is important to check the details.のitは、長い内容を後ろへ置くための形式的な主語です。
there isとthere areはどう選びますか?
後ろに置く、存在する人や物の単数・複数を確認します。単数名詞ならThere is a problem.、複数名詞ならThere are two problems.が基本です。場所を表すthereとは役割が異なります。
英語でも主語を省略できますか?
命令文では聞き手を表すyouが通常は省かれます。くだけた会話でWant some coffee?やTold you.のような省略もありますが、英作文や改まった場面では、まず完全な形を使えるようにするほうが安全です。
主部を見分ける練習は毎日何をすればよいですか?
短い英文を一つ選び、主部と述部の間に線を引き、中心語へ印を付け、主節の動詞を確認します。その後、主語を別の単数名詞や複数名詞に変え、動詞の形も一緒に変えると、構造と一致を同時に練習できます。
英語の主部は「誰が・何が」に当たるかたまりで、狭い意味の主語はその中心となる名詞や代名詞です。The tall man leaning against the wall is my boyfriend.なら、主部はThe tall man leaning against the wall、中心語はman、主節の動詞はisです。
英文を読むときは、主節の動詞を探し、その主体を見つけ、名詞を説明する部分を主部へ含めます。次に中心語の単数・複数と動詞が合っているかを確認し、節が複数あれば節ごとの組も探します。
英文を作るときは、日本語に隠れている主体を先に補います。「眠い」ならI am sleepy.、「明日で30歳?」ならAre you turning 30 tomorrow?、「雨が降っている」ならIt is raining.です。
長い英文でも、中心には主語と動詞の骨格があります。短い骨格を見つけてから説明部分を戻す練習を重ねれば、読解でも会話でも、文の構造を落ち着いて捉えやすくなります。

