海外のデパートでブランドバッグの売り場に足を踏み入れたものの、店員に声をかけられた瞬間に固まってしまった。値札を見て「もう少し手頃なものを」と言いたいのに、単語が出てこない。ようやく気に入った一点を見つけても、支払いの相談まで英語でできる自信がない。買い物の英語は簡単そうに見えて、高額な品を扱う売り場になると急に難易度が上がります。
理由ははっきりしています。高い品物の売り場では、「探す」「比べる」だけでは終わらず、「支払い方法を相談する」という一段深いやり取りが発生するからです。分割払い、利息、手数料、免税、ギフト包装。日本語ならレジで一言済むことが、英語だと丸ごと会話になります。
この記事では、デパートでブランドバッグを選ぶ一連の会話を丸ごと追いながら、店頭の定番フレーズと「分割払い」まわりの英語を、使う場面・注意点・発音までセットで整理していきます。読み終えるころには、売り場で口に出せる型が手元に残るはずです。独学で不安が残る部分は、英語教室のような場で実際に声に出して確かめると定着が早くなります。

まずは売り場の会話をそのまま体験する
- 売り場の会話は「声かけ→要望→提案→価格の相談→支払い方法」という決まった順番で進む
- 店員の第一声はほぼ May I help you? 系の申し出表現なので、聞き取りの負担は小さい
- まず全体の流れを頭に入れると、個々のフレーズが記憶に残りやすくなる
最初にやるべきことは、単語を一つずつ覚えることではありません。会話全体の流れを先につかむことです。流れが見えていれば、次に何を聞かれるかを予測でき、聞き取りの精度が一気に上がります。
売り場で交わされる会話には型があります。声をかけられ、探している物を伝え、提案を受け、価格について何か言い、支払い方法を決める。この五段階はどの国のどの売り場でもほぼ共通です。まずは、デパートでガールフレンドへの贈り物を選ぶ場面の会話を通しで見てみましょう。
英文の会話
- 場面
- A shopper is at the department store now.(買い物客は今デパートにいます。)
- 会話
- Clerk: May I help you?
Shopper: Yes, please. I’m looking for a bag.
Clerk: Sure. What kind of bags do you need?
Shopper: I’d like a designer bag. I’m going to give it to my girlfriend.
Clerk: I see. There are the latest bags of that brand here.
Shopper: Oh, these are too expensive! Can you show me the reasonably priced bags?
Clerk: Well, all of the designer bags are expensive.
Shopper: She likes this brand very much. Then can I buy it on the installment plan?
Clerk: All right. How many payments would you like?
Shopper: Can I make 12 payments?
Clerk: Sure.
日本語訳
- 訳
- 店員: いらっしゃいませ。
客: はい。かばんを探しています。
店員: かしこまりました。どのようなかばんをお求めでしょうか。
客: ブランドのバッグがいいです。ガールフレンドに贈るつもりで。
店員: 承知しました。こちらにそのブランドの新作がございます。
客: わあ、すごく高いですね。もう少しお手頃なかばんを見せてもらえますか。
店員: そうですね、ブランドバッグはどれも高額な品ばかりです。
客: 彼女はこのブランドが大好きなんです。では、分割払いはできますか。
店員: 大丈夫です。何回払いになさいますか。
客: 12回払いにできますか。
店員: かしこまりました。
短いやり取りですが、この中に売り場の英語の骨格がほぼ収まっています。声かけ、要望、提案、価格への反応、支払い交渉。どれ一つ欠けても買い物は完結しません。では、一つずつ中身を確かめていきましょう。
会話に出てきた表現を一つずつ確かめる
- May I help you? は「いらっしゃいませ」ではなく「お手伝いしましょうか」という申し出
- look for ~ は進行形で使うのが自然で、買い物の最重要フレーズ
- expensive の主語は物であり、人を主語にはできない
会話を丸暗記するより、部品ごとに意味と使い方を理解したほうが応用が利きます。ここでは登場した表現を、実際に口に出す場面とセットで確かめていきます。部品の理解が応用力を作るという順序を意識してください。
May I help you? ― 店員の第一声
- フレーズ
- May I help you?
- 日本語訳
- いらっしゃいませ。(直訳は「お手伝いしてもよろしいですか」)
- 使う場面
- 入店直後や、商品を眺めている客に店員が声をかけるとき。同じ場面で How may I help you? / Are you looking for anything in particular? / Can I help you find something? も使われます。イギリスの百貨店では Are you being served?(ご用は伺っておりますか)と聞かれることもあります。
- 注意点
- 英語圏の接客は「手伝いを申し出る」形が基本なので、答えないまま無視すると不自然に映ります。買う気がなくても Just looking, thanks. と返すのが礼儀です。誤用例として、客側が店員に May I help you? と言ってしまうケースがありますが、これは立場が逆になります。
- 発音・ニュアンス
- 「メイ・アイ・ヘルプ・ユー」と区切らず、May I がつながって「メァイ」、help you が「ヘウピュ」に近く聞こえます。語尾は軽く上げる調子で、押しつけがましさのない柔らかい響きになります。
look for ~ ― 買い物の最重要フレーズ
- フレーズ
- I’m looking for a bag.
- 日本語訳
- かばんを探しています。
- 使う場面
- 店員に声をかけられた直後。目的の品を伝える万能の型で、a bag の部分を a handbag for my wife、a gift for my mother などに差し替えるだけで応用できます。
- 注意点
- I look for a bag. と現在形にすると習慣のように響き、その場の状況を表しません。進行形が自然です。また look for と look at は別物で、look at は「見る」。目の前の品を見たいだけなら I’d like to look at this one. です。
- 発音・ニュアンス
- looking for は「ルッキン(グ)フォ」と一息で。for は弱く「ファ」程度に落として構いません。強く発音すべきなのは looking と、その後の目的語です。
What kind of ~ do you need? ― 要望を引き出す質問
need は「必要である」。What kind of bags do you need? は「どのようなかばんをお求めでしょうか」という意味になります。売り場では What kind of bag are you looking for? や Do you have anything specific in mind? も同じ役割を果たします。
答え方は難しく考えなくて構いません。Something for everyday use.(普段使いのものを)、Something for a formal occasion.(かしこまった場に合うものを)のように、名詞句だけで返しても十分通じます。文を作ろうとして黙るより、単語の塊で答えるほうが会話は前に進みます。
give A to B ― 語順で前置詞が変わる
give it to my girlfriend のように「物」を先に置く語順では、前置詞 to が必要です。逆に「人」を先に置くときは give my girlfriend a bag と前置詞なしで並べます。この二つの形を行き来できるようにしておくと、贈り物の話がぐっと楽になります。
it や them のような代名詞を物の側に使うときは、give it to her の形が原則です。give her it という並びは英語として不自然に響きます。「それを彼女にあげる」と言いたいときほど代名詞が続くので、to を落とさないよう気をつけてください。
the latest ― 「遅い」ではなく「出たばかり」
the latest は「いちばん新しい」「出たばかりの」という意味です。the latest collection(今シーズンの新作)、the latest model(新型)のように使います。late の最上級ですが、「最も遅い」ではなく「最後に出た」と解釈するのがポイントです。
売り場では the new collection、this season’s collection という言い方も頻繁に耳にします。逆に「昨シーズンのもの」は last season’s items で、値下がりしていることが多い品です。Do you have any items from last season?(昨シーズンの品はありますか)と尋ねると、掘り出し物に出会える場合があります。
expensive と reasonably priced ― 値段を語る二つの軸
- フレーズ
- Can you show me the reasonably priced bags?
- 日本語訳
- お手頃な価格のかばんを見せてもらえますか。
- 使う場面
- 提示された品が予算を超えているとき。reasonable は「理にかなった」が原義で、価格に使うと「納得できる値段」という響きになります。It’s a reasonable price. とも言えます。
- 注意点
- expensive の主語は「物」です。I’m expensive. とは言えません。「予算オーバー」は It’s out of my budget. / It’s a bit over my budget. が便利です。
- 発音・ニュアンス
- expensive は第2音節に強勢があり「イクスペンスィヴ」。reasonably priced は「リーズナブリ・プライスト」と、二語をひと続きの形容詞のように言うと自然です。
designer と brand ― カタカナ語との距離
designer は形容詞として「有名デザイナーが手がけた」「ブランド物の」を表します。designer bag、designer clothes、designer goods のように名詞の前に置く使い方が基本です。ブランド品全般を指すなら luxury brands、high-end brands という言い方も一般的です。
一方 brand は「銘柄」「メーカー」を指す名詞です。She likes this brand very much.(彼女はこの銘柄が大好きです)のように使います。日本語の「ブランド物」という総称的な意味では使いにくいので、その場合は designer 系の語に切り替えてください。

ここまでで、売り場の入口から商品を選ぶところまでの語彙がそろいました。では、この記事の山場である支払いの相談に進みましょう。
「分割払い」の英語を正しく使い分ける
- 「分割払いにする」の基本形は pay in installments で、通常は複数形
- payment plan は制度や支払い計画そのものを指す語
- 「一括払い」は pay in full が最も通じやすい
高額な買い物では、支払い方法の相談が会話の山場になります。ここは日本語のカタカナ語からの類推が効きにくい領域なので、表現ごとに輪郭をはっきりさせておくと安心です。動作を言うのか、制度を尋ねるのかで選ぶ語が変わります。
いちばん自然な基本形は pay in installments
- フレーズ
- Can I pay in installments?
- 日本語訳
- 分割払いにできますか。
- 使う場面
- レジで支払い方法を決めるとき。関連例として I paid for the laptop in installments.(そのノートパソコンは分割で払いました)、We can pay in three installments.(3回に分けて払えます)。
- 注意点
- installment は「分割した支払いの1回分」を指す名詞なので、通常は複数形で使います。1回分だけを取り上げるときは単数形で、The first installment is due next month.(最初の分割金は来月が支払期限です)。イギリス英語では instalment と l を二つ重ねて綴ります。
- 発音・ニュアンス
- 「インストールメント」ではなく、真ん中を強めた in-STAWL-ment に近い音です。語尾の -ment は軽く添える程度で十分。カタカナの「インストール」に引きずられて第1音節を強く読むと通じにくくなります。
なぜ by ではなく in なのか
ここでの in は「どんな形で支払うか」を示しています。代金が複数の支払いに分かれた「形」だから in installments。同じ発想の仲間が pay in cash(現金という形で)と pay in full(全額そろった形で)です。
一方、カード払いは pay by card と by を使います。手段としての「カード」と、形態としての「分割」で前置詞が変わる、と整理すると迷いません。pay by installments という言い方も実際には見かけますが、どちらか迷ったら in を選べば安全です。
payment plan は「制度・支払い計画」
payment plan は、何回払いか、毎月いくらか、いつまでに払い終えるかという仕組み全体を指します。その場で「分けて払う」という動作を言うなら pay in installments、店にそういう制度があるかを尋ねるなら payment plan が自然です。
- フレーズ
- Do you offer a payment plan?
- 日本語訳
- 分割で払えるプランはありますか。
- 使う場面
- その店に分割の仕組みがあるかどうか、まだ分からない段階。関連表現に What payment plans are available?(どんな支払いプランがありますか)、I’m on a monthly payment plan.(月払いのプランを利用しています)。
- 注意点
- Do you offer an installment? のように単数形で制度を尋ねると不自然です。制度を聞くなら payment plan、回数を伴う動作なら installments と切り分けてください。
- 発音・ニュアンス
- offer は第1音節に強勢。Do you offer が「ドゥユ・オファ」と一続きになります。丁寧に響くので、初対面の店員にも使いやすい問い方です。
「一括払い」は pay in full
全額を一度に払うと伝えるなら I’d like to pay in full.(一括で全額払いたいです)が最も通じます。確認したいときは Do I have to pay in full today?(今日、全額払う必要がありますか)。過去の話なら I paid the full amount at once.(全額を一度に払いました)も使えます。
lump-sum payment という言い方もありますが、こちらは契約書や金融の文脈で見かける硬めの表現です。店頭では pay in full を選んでおけば間違いありません。
日本のレジでおなじみの「一括で、それとも分割で」という確認は、海外では行われないことも珍しくありません。制度は国やカード会社によって大きく違うため、回数や条件は自分から具体的に確かめる姿勢が必要です。聞かれなかったから自動的に一括、というケースも十分あり得ます。
混同しやすい installment と loan
installment は「支払いの仕方」、loan は「借りたお金・融資」です。ローンを毎月分割で返すことはできますが、この二語は同義ではありません。売り場の会計で loan という語を持ち出すと、話が住宅ローンや自動車ローンのような融資契約に寄って聞こえることがあります。
店員側の自然な言い方は次のとおりです。How many installments would you like?(何回払いになさいますか)、How would you like to split the payments?(何回に分けてお支払いになりますか)、Would you like to pay in full or in installments?(一括と分割、どちらにされますか)。
聞かれたときの答えは、Twelve installments, please. / I’d like to pay in 12 installments. / Twelve months, please. のいずれでも通じます。数字を先に言って、後ろに installments か months を添える、という型で覚えておくと口が動きやすくなります。
回数・利息・手数料を確かめる言い方
- 回数だけ決めて安心せず、interest と fee の二語を必ず確認する
- 1回あたりの金額と支払い期間を尋ねる型を持っておく
- installment が出てこなくても、知っている語の組み合わせで伝えられる
分割払いは、回数だけ決めて話を終えると後で驚くことがあります。interest と fee はセットで確認する、と決めておくと安全です。
金額と期間を尋ねる
回数を提案したあとは、実際の負担を数字で把握します。Can I pay in three installments?(3回払いにできますか)、Can I make monthly payments?(月払いにできますか)、How much is each payment?(1回の支払いはいくらですか)、How long is the payment plan?(支払い期間はどのくらいですか)。
数字が聞き取れなかったときは、遠慮せず Could you write that down?(書いていただけますか)と頼んでください。金額に関しては、聞き返すことのほうが礼儀にかないます。
利息と手数料を尋ねる
- フレーズ
- Is there any interest? / Is there an extra fee? / Is it interest-free?
- 日本語訳
- 利息はかかりますか。/追加手数料はかかりますか。/無利息ですか。
- 使う場面
- 回数を伝えた直後、確定する前。三つを続けて聞いても不躾にはなりません。
- 注意点
- interest は「興味」の意味と同じ綴りですが、この文脈では「利息」で、数えられない扱いです。Are there any interests? とすると「趣味は何ですか」に近い妙な響きになります。fee は「手数料」で数えられる名詞、charge もほぼ同義で使われます。
- 発音・ニュアンス
- interest は「インタレスト」より「イントレスト」に近く、2音節で言われることが多い語です。interest-free はハイフンでつながった一語のように「イントレストフリー」と続けます。
単語が出てこないときの逃げ道
installment がとっさに思い出せなくても、「結局どう払いたいのか」を分解すれば伝わります。I don’t want to pay all of it now. Can I pay a little every month?(今すぐ全額は払いたくありません。毎月少しずつ払えますか)。
ほかにも Can I pay every month?(毎月払えますか)、Can I pay three times?(3回に分けて払えますか)、I want to pay a little at a time.(少しずつ払いたいです)。all、now、every month、a little といった知っている語だけで十分に切り抜けられます。
難しい単語を探して黙り込むより、事実を平易に説明するほうが会話は前に進みます。この「言い換えて逃げる力」は、売り場に限らずあらゆる場面で効いてきます。では次に、支払い以外の場面で必要になる表現を場面別にそろえていきましょう。
売り場のやり取りを広げるフレーズ集
- 高額品はショーケース内にあるため、触る前に一言かけるのがマナー
- 「安い」を cheap で表すと品質への評価に聞こえてしまう
- ギフト包装や免税は、頼まないと省略されることが多い
会話の流れに沿って、実際の売り場で必要になる表現を場面別に並べます。ブランドバッグのカウンターは在庫確認や取り置きの相談が多いので、後半の表現も出番があります。場面ごとに一つ型を持つだけで、対応できる範囲が大きく広がります。
商品を見せてもらう
ガラスケースの中の品は、まず店員に出してもらうところから始まります。Can I see that one, please?(あれを見てもいいですか)、Could you show me the one in the display case?(ショーケースの中のものを見せてもらえますか)、May I pick it up?(手に取ってもいいですか)、Can I try it on?(掛けてみてもいいですか)。
高価な品は勝手に触らず、May I pick it up? と一声かけるのが世界共通の作法です。指さしながら that one と言えば、名前が分からなくても指定できます。

色・サイズ・在庫を尋ねる
気に入った形が見つかったら、条件を絞り込みます。Do you have this in other colors?(色違いはありますか)、Do you have this in black?(黒はありますか)、Do you have a smaller one?(もう少し小さいものはありますか)、Is this the only size you have?(サイズはこれだけですか)。
在庫や取り置きに関しては、Do you have it in stock?(在庫はありますか)、Can you check if another store has it?(他の店舗にあるか調べてもらえますか)、Could you put it on hold for me?(取り置きしてもらえますか)、Is there a waiting list?(順番待ちのリストはありますか)が役立ちます。
人気の型は入荷待ちになっていることがあります。待つ意思があるなら How long is the wait?(どのくらい待ちますか)と続けて聞いておくと、旅程との兼ね合いを判断できます。
値段について尋ねる
値札が見当たらないことも多いので、尋ねる型は必須です。How much is this?(これはいくらですか)、How much is it in total?(全部でいくらですか)、Do you have anything less expensive?(もう少し安いものはありますか)、Is this the sale price?(これはセール価格ですか)、Does this include tax?(税込みですか)。
「安い」を cheap で表すと「安っぽい」「品質が低い」という響きが出てしまいます。ブランド売り場で Do you have anything cheaper? と言うと、店員によっては失礼に受け取られかねません。値段の低さだけを言いたいときは less expensive、inexpensive、affordable のいずれかを使ってください。
保留する・断る
その場で決めきれないときの表現も用意しておきましょう。Let me think about it.(少し考えます)、Can I look around a little more?(もう少し見て回っていいですか)、I’ll come back later.(また後で来ます)、I’m still deciding.(まだ迷っています)、It’s a bit more than I wanted to spend.(思っていた予算より少し高いです)。
「買わない」とはっきり言うのが気まずいときは、Thank you, but I’ll pass for today.(ありがとうございます、今日は見送ります)が穏やかで角が立ちません。無言で立ち去るより、この一言があるほうが双方にとって気持ちのよい終わり方になります。
会計する
決断したら会計です。I’ll take this.(これをいただきます)、Do you accept credit cards?(クレジットカードは使えますか)、I’d like to pay in cash.(現金で払います)、Can I use this card?(このカードは使えますか)、Can I tap?(タッチ決済できますか)、Can I have the receipt, please?(レシートをください)。
I’ll take this. は「買います」の最も簡潔な宣言です。長い文を組み立てる必要はなく、この四語で意思ははっきり伝わります。
プレゼント用に頼む
贈り物なら包装の相談が続きます。Can I get this gift-wrapped?(プレゼント用に包んでもらえますか)、Could you wrap them separately?(別々に包んでもらえますか)、Do you have a gift box?(ギフトボックスはありますか)、Could you leave the price off the receipt?(値段の入っていないレシートにしてもらえますか)、Can I have an extra bag, please?(袋をもうひとついただけますか)。
贈り物には gift receipt(値段が載っていない、交換用のレシート)を頼んでおくと親切です。海外では袋も言わないともらえないことが多いので、遠慮せずに頼んでください。
免税・配送
旅行中の高額な買い物では、免税手続きが金額に大きく響きます。Can I get a tax refund?(免税を受けられますか)、Where is the tax-free counter?(免税カウンターはどこですか)、Do I need my passport?(パスポートは必要ですか)。
荷物が増えるのを避けたいときは Could you ship it to my hotel?(ホテルに送ってもらえますか)、Do you ship internationally?(海外へ発送していますか)も使えます。ただし配送費や関税の条件は国によって異なるため、Is there a shipping fee?(送料はかかりますか)まで確認しておくと安心です。
返品・交換
万一のときの表現も持っておきましょう。I’d like to return this.(これを返品したいのですが)、Could I exchange this for a different one?(別のものと交換してもらえますか)、It’s a defective item.(欠陥品です)、The zipper is broken.(ファスナーが壊れています)、I’d like a refund, please.(返金をお願いします)。
条件を確かめる表現は How long do I have to return it?(返品できるのは何日以内ですか)、Do I need the receipt?(レシートは必要ですか)。国や店によっては、理由がなくても一定期間内なら返品に応じる方針のところがある一方、セール品や特注品は返品不可(final sale)という条件がつくこともあります。高額品を買う前に return policy(返品規定)を確かめておくと安心です。
日本語からの直訳でつまずきやすい落とし穴
- 「ハイブランド」「ノーブランド」はいずれも和製英語
- bag はレジ袋から旅行かばんまで含む広い語
- 許可を求めるなら Can I、依頼するなら Could you と主語で切り替える
買い物の英語でつまずく原因の多くは、文法ではなくカタカナ語です。知っているつもりの語ほど危ないという前提で、代表的なものを押さえておきましょう。
「ハイブランド」は英語ではない
日本語の「ハイブランド」をそのまま high brand と言っても伝わりません。英語では luxury brand、high-end brand、designer brand と表します。「ブランド品」も brand goods ではなく designer goods、luxury goods、あるいは brand-name products と言います。
「ノーブランド」も和製英語
no-brand ではなく generic、unbranded が一般的です。店のオリジナル商品を指すなら store brand、own brand という語があります。ブランドにこだわらない意思を伝えたいなら It doesn’t have to be a designer brand.(ブランド物でなくて構いません)が自然です。
bag は「かばん」全般を指す
英語の bag はレジ袋から旅行かばんまで含む広い語です。用途を伝えたいときは handbag、shoulder bag、tote bag、crossbody bag、backpack と具体的に言いましょう。
紛らわしいのが purse で、アメリカでは「ハンドバッグ」、イギリスでは「財布」を指します。財布はアメリカ英語では wallet です。相手の国によって指すものが変わる語なので、確実に伝えたいときは a small bag for coins のように説明を足すと誤解が減ります。
present と gift の使い分け
どちらも「贈り物」で使えますが、店頭では It’s a gift.(贈り物です)が定番です。gift-wrap、gift receipt、gift card といった複合語はすべて gift 側で作られるため、売り場では gift を軸にしたほうが話が通りやすくなります。
Can I ~? と Could you ~? の切り替え
自分の行為の許可を求めるなら Can I / May I、相手に何かを頼むなら Could you / Would you。May I try it on?(試着していいですか)と Could you show me that one?(あれを見せてください)のように、主語で切り替えると自然です。
よくある誤用が Could I show me ~? のような混線です。動作をするのは誰かを一瞬考えてから口を開くと、この種の取り違えは防げます。
too expensive をやわらげる
Oh, these are too expensive! は率直で親しみのある言い方ですが、少していねいにしたいときは These are a little out of my price range.(少し予算を超えています)や I was hoping for something around five hundred dollars.(500ドルくらいを考えていました)と伝えると、店員も次の提案をしやすくなります。
予算を数字で示すことは、失礼ではなく親切です。店員にとっては提案の範囲が決まるため、むしろ歓迎されます。では、ここまでの表現を実際の流れに戻して練習してみましょう。
練習用の追加ダイアログ二本
- 予算を伝える型と、分割払いを相談する型の二本を通しで練習する
- 店員役と客役の両方で音読すると、聞く力と話す力が同時に育つ
- 数字と条件のやり取りに慣れておくと本番で落ち着ける
単発のフレーズを覚えても、会話の中で出てこなければ意味がありません。役を入れ替えて音読することで、聞き取るべき表現と自分から言うべき表現の両方が身につきます。
その1:予算を伝えて選んでもらう
- 会話
- Clerk: Hi, are you looking for anything in particular?
Customer: Yes, I’m looking for a handbag as a gift for my wife.
Clerk: Certainly. Do you have a price range in mind?
Customer: Something around 100,000 yen, if possible.
Clerk: Then let me show you these. They’re from this season’s collection.
Customer: This one is lovely. Do you have it in navy?
Clerk: Let me check the stock for you. - 日本語訳
- 店員「何かお探しですか」/客「はい、妻へのプレゼントにハンドバッグを探しています」/店員「かしこまりました。ご予算はお決まりですか」/客「できれば10万円くらいで」/店員「では、こちらをご覧ください。今シーズンの新作です」/客「これは素敵ですね。ネイビーはありますか」/店員「在庫を確認いたします」
- 使う場面
- 予算を先に伝えて、提案の範囲を絞ってもらいたいとき。price range という語が聞き取れると、その後の展開が読めます。
- 注意点
- Something around ~ の around を落とすと「ぴったりこの額」という指定に聞こえます。幅を持たせたいときは around か about を必ず添えてください。
その2:分割払いを相談する
- 会話
- Customer: I’d like to take this one. Can I pay in installments?
Clerk: Of course. We offer three, six, or twelve installments.
Customer: Is there any interest?
Clerk: Three installments are interest-free. Six or twelve include a small fee.
Customer: Then I’ll go with three. How much is each payment?
Clerk: About 40,000 yen a month.
Customer: That works for me. And could you gift-wrap it, please? - 日本語訳
- 客「これをいただきます。分割払いにできますか」/店員「もちろんです。3回、6回、12回がございます」/客「利息はかかりますか」/店員「3回払いは無利息です。6回と12回は手数料が少しかかります」/客「では3回にします。1回の支払いはいくらですか」/店員「月々4万円ほどです」/客「それで大丈夫です。それと、プレゼント用に包んでいただけますか」
- 使う場面
- 購入を決めてから会計を終えるまで。I’ll go with ~(〜にします)は選択肢から選ぶときの定番表現で、飲食店でも使えます。
- 注意点
- That works for me. は「それで大丈夫です」という同意の表現です。That’s OK. は文脈によっては「いえ、結構です」と断りに取られることがあるため、はっきり承諾したいときは works を使うほうが安全です。
- 発音・ニュアンス
- I’ll go with three. は go with をひとまとまりで「ゴゥウィズ」と軽く言い、最後の three にしっかり強勢を置きます。数字が情報の中心なので、そこだけは明瞭に。
この二本を、店員役と客役の両方で音読してみてください。役を入れ替えると、受け身では気づかない発音のつまずきが見つかります。
国ごとに違う支払い習慣を知っておく
- レジで回数を選ぶ日本の方式は世界共通ではない
- Buy Now, Pay Later(BNPL)や layaway など独自の仕組みがある
- カード払いの手数料や最低利用額を尋ねる表現も備えておく
言葉が正しくても、制度を知らないと会話がかみ合いません。背景の違いを知っておくことが、支払いの相談を落ち着いて進めるための土台になります。
店頭で回数を聞かれないことがある
日本のクレジットカード決済では、レジで回数を選ぶのが当たり前です。ところが海外では、カード会社側のサービスとして後から分割に変更する仕組みが主流の国もあり、店頭で回数を聞かれないことがあります。
そのため、分割にしたいなら自分から切り出す必要があります。Can I split this into monthly payments?(月々の支払いに分けられますか)と尋ねれば、店側の制度かカード会社側の手続きか、どちらになるか教えてもらえます。
Buy Now, Pay Later という選択肢
近年広く使われているのが Buy Now, Pay Later(BNPL、後払い分割)と呼ばれるサービスです。専用のアプリや決済画面を通じて、数回に分けて支払う仕組みが用意されています。
尋ねるときは Can I use Buy Now, Pay Later?(後払い分割は使えますか)、Do you accept installment payment apps?(分割払いのアプリは使えますか)。利用条件は国や事業者によって異なるため、Is it available for tourists?(旅行者でも使えますか)と確認しておくと無駄足を避けられます。
アメリカの layaway は順番が逆
アメリカには layaway という古くからの仕組みがあります。商品を店に取り置いてもらい、代金を数回に分けて払い終えた時点で受け取る方式で、先に商品を受け取る分割払いとは順番が逆です。
Do you have layaway? と聞くと、「払い終わるまで取り置き」という提案が返ってくることになります。すぐに持ち帰りたい場合は意図がずれるので、Can I take it home today?(今日持ち帰れますか)を添えて確認しましょう。
カードの手数料と最低利用額
現金主義かカード主義かも国によって違います。カード払いに追加料金がかかる店では Is there a surcharge for using a card?(カード払いに手数料はかかりますか)が役立ちます。
少額決済を断られたときは There’s a minimum of ten dollars for cards.(カードは10ドル以上から)などと言われることもあります。minimum という語が聞こえたら金額の下限の話だ、と反応できるようにしておきましょう。
発音とリズムを整える練習
- カタカナ語と英語で強勢の位置が違う語を重点的に直す
- 数字は情報の中心なので、そこだけは明瞭に発音する
- 語尾をつなげて言うと、聞き取りやすさが上がる
売り場の英語で通じにくくなる最大の原因は、語彙不足ではなく強勢の位置です。強く読む場所を一つ直すだけで、伝わり方が変わります。
強勢がずれやすい語
installment は第2音節。カタカナの「インストール」に引かれて頭を強く読むと別の語に聞こえます。designer も第2音節で「ディザイナー」。日本語の「デザイナー」は頭が強いので、ここも要注意です。
expensive は第2音節、receipt は第2音節で p を読まず「リスィート」、refund は名詞なら第1音節で「リーファンド」、動詞なら第2音節寄りになります。brand は日本語より短く、母音を伸ばさないのがコツです。
数字をはっきり言う
支払いの会話は数字が命です。thirteen と thirty、fifteen と fifty は聞き間違いが起きやすい代表格で、-teen は後ろを強く、-ty は前を強く読みます。自分が言うときも、この差を意識してください。
確認したいときは Did you say thirteen or thirty?(13ですか、30ですか)とそのまま聞き返すのが最短です。高額な取引では、遠慮するより確認するほうが誠実です。
音のつながりに慣れる
pay in full は「ペイ・イン・フル」ではなく、pay と in がつながって「ペィイン・フゥ」に近い音になります。pay in installments も同様で、in が前後にくっついてほとんど聞こえません。
聞き取れないのは知らないからではなく、音が変わることを知らないから、というケースが大半です。自分でつなげて言えるようになると、相手の音も自然に拾えるようになります。
一週間で口に定着させる練習メニュー
- 買い物の英語は覚える量より「口から出る速さ」で決まる
- 「探す・比べる・払う」の三つを一つずつの型で押さえる
- 日記や独り言に落とし込むと、記憶が使える形に変わる
ここまでの表現を並べただけでは、売り場では出てきません。口から出る速さを鍛えるための、一週間分の具体的な手順を示します。
骨格になる三つの型
売り場で必ず起こる三つの流れ、すなわち探す、比べる、払う。これをそれぞれ一つの型で押さえておくと本番に強くなります。探すは I’m looking for ~.、比べるは Do you have anything less expensive? / Do you have this in ~?、払うは Can I pay in installments? / I’d like to pay in full.
この三つだけで会話の骨格は組み立てられます。ほかの表現は、骨格に肉づけしていく形で少しずつ足していけば十分です。
七日間の進め方
- 1日目:冒頭の会話を、英文を見ながら三回音読する。意味の分からない語だけ確認する。
- 2日目:和訳を見て英文を言ってみる。詰まったところに印をつける。
- 3日目:分割払いの表現を、pay in installments、payment plan、pay in full の三本柱で言い分ける練習をする。
- 4日目:利息と手数料を尋ねる三文を、店員役の返答つきで声に出す。
- 5日目:追加ダイアログ二本を、客役で通しで音読する。
- 6日目:同じ二本を店員役で音読し、聞き取るべき表現を体に入れる。
- 7日目:会話の流れを見ずに、探す・比べる・払うの三段階を自分の言葉で再現する。
一日にかける時間は十分程度で構いません。間隔を空けて繰り返すことのほうが、まとめて長時間やるより記憶に残りやすいと言われています。
英語日記と独り言に落とし込む
覚えた表現は、自分の生活に結びつけると定着します。I bought a new bag and paid in installments.(新しいバッグを買って分割払いにしました)、I make a payment every month.(毎月支払いをしています)。
ほかにも I decided to pay in full because there was an extra fee.(手数料がかかるので一括にしました)、I have two installments left.(分割払いがあと2回残っています)、I asked the clerk to gift-wrap it.(店員にプレゼント用に包んでもらいました)。
実際に買い物をした日に、その出来事を一文だけ英語にする。この習慣が、教材の中の表現を自分の言葉に変えてくれます。

独学で発音や間の取り方に不安が残るときは、相手のいる場で試すのがいちばんの近道です。実際の会話で使ってみると、どの表現が体に入っていて、どれがまだ頭の中にあるだけなのかがはっきりします。
よくある質問
- 読者がつまずきやすい疑問を、短い答えで整理する
- 迷ったときは、より平易で誤解の少ない言い方を選ぶ
最後に、売り場の英語について寄せられやすい疑問を並べておきます。迷ったら平易な言い方を選ぶ、という原則はここでも変わりません。
「分割払い」は pay in installments と pay by installments のどちらが正しいですか
どちらも実際に使われますが、迷ったら in を選んでおけば安心です。in は「どんな形で払うか」を示す働きで、pay in cash や pay in full と同じ発想の仲間になります。by は手段を示す前置詞で、pay by card のようにカードや小切手といった支払い手段に使われるのが典型です。
installment は単数形で使ってはいけないのですか
単数形も使えます。installment は「分割した支払いの1回分」を指す名詞なので、1回分だけを話題にするときは The first installment is due next month. のように単数形になります。ただし「分割払いにする」と全体を指す場合は複数回に分かれるため、通常は複数形の installments を使います。
「もっと安いものはありますか」と聞くとき cheap を使ってもよいですか
避けたほうが無難です。cheap には「安っぽい」「品質が低い」という響きがあり、ブランド売り場で使うと商品への評価に聞こえてしまう場合があります。値段の低さだけを伝えたいときは less expensive、inexpensive、affordable のいずれかを使ってください。
「ハイブランド」は英語でどう言えばよいですか
high brand は和製英語なので伝わりません。luxury brand、high-end brand、designer brand と表します。「ブランド品」も brand goods ではなく designer goods、luxury goods、brand-name products が自然です。
レジで支払い回数を聞かれなかった場合はどうすればよいですか
自分から切り出してください。国によっては、カード会社側で後から分割に変更する仕組みが主流で、店頭では回数を尋ねない場合があります。Can I split this into monthly payments? や Do you offer a payment plan? と尋ねれば、店の制度かカード会社の手続きかを教えてもらえます。
installment という単語が出てこないときはどうすればよいですか
やりたいことを平易な語で分解して説明すれば通じます。Can I pay a little every month? や I don’t want to pay all of it now. のように、all、now、every month、a little といった基本語だけで意図は伝わります。難しい単語を探して黙り込むより、事実を述べるほうが会話は前に進みます。
purse と bag と wallet はどう使い分けますか
bag はレジ袋から旅行かばんまで含む広い語で、用途を伝えたいときは handbag や tote bag のように具体的に言います。purse はアメリカでは「ハンドバッグ」、イギリスでは「財布」を指すため注意が必要です。財布はアメリカ英語では wallet を使います。
売り場で落ち着いていられるということ
- 探す・比べる・払うの三段階を型で持てば、会話の骨格は完成する
- 回数だけでなく利息と手数料まで確かめる姿勢が、安心につながる
- 包装や免税の頼み方は、旅先での買い物で必ず出番がある
ブランド品は、高価な物が多いものです。高価な品を現金だけで支払うのはなかなか大変で、こんなときに分割払いができると助かります。回数の言い方と確認の一言を持っていれば、海外の売り場でも落ち着いて相談できます。
プレゼント用の包み方や免税の頼み方も、旅先での買い物ではきっと出番があります。どれも短い文ばかりなので、覚える負担は思うほど大きくありません。
大切なのは、完璧な文を作ることではなく、言いたいことを止めずに伝えることです。今日読んだ表現のうち三つでも口に出せるようになれば、次に売り場に立ったときの景色は確実に変わります。

