「ISSは英語で何の略?」「文章ではISSの前にtheを付ける?」「宇宙船がISSにドッキングした、と英語でどう言う?」。宇宙ニュースを英語で読もうとすると、短い略称の周りに意外な疑問がいくつも出てきます。
最初に押さえたい答えは明快です。国際宇宙ステーションの正式な英語名は the International Space Station、その頭字語が ISS です。通常の英文では the ISS と表し、読み方は「イス」ではなく、I・S・Sを一字ずつ発音します。
この記事では、名称だけでなく、space stationとspacecraftの違い、on・in・aboardの使い分け、打ち上げからドッキングまでの動詞、宇宙を話題にした会話まで段階的に学べます。発音や会話を先生と練習したい場合は、英語教室を利用する方法もありますが、まずは本文の例文を声に出し、自分が言える表現を一つずつ増やしてみましょう。
ISSという名称には、単なる宇宙施設以上の背景があります。宇宙開発で競い合った国々が、異なる技術、言語、運用手順を調整して築いた施設だからです。その流れを知るため、後半ではアポロ・ソユーズテスト計画と国際協力の歩みも取り上げます。
ISSはInternational Space Stationの略
- ISSの正式名称はInternational Space Station
- 通常の英文ではthe International Space Stationまたはthe ISSと書く
- ISSはI・S・Sを一字ずつ読む
ISSは、International Space Stationの三つの単語の頭文字を並べた略称です。日本語では「国際宇宙ステーション」と呼ばれます。正式名称を単語ごとに見ると、施設の性格も理解しやすくなります。
| 英語 | 基本の意味 | ISSでの意味 |
|---|---|---|
| international | 国際的な、国家間の | 複数の国や宇宙機関が協力すること |
| space | 宇宙、宇宙空間 | 地球の大気圏外に広がる空間 |
| station | 駅、拠点、施設 | 人が滞在し、研究や作業をする軌道上の拠点 |
stationという語を見て「駅」とだけ覚えると、意味を狭く捉えてしまいます。英語のstationは、目的を持った設備や活動拠点にも使われます。police stationは警察署、research stationは研究基地、space stationは宇宙で人が生活や研究を行う施設です。
正式名称と一般名詞を区別する
特定の施設の正式名称を書くときは、各主要語の先頭を大文字にしてInternational Space Stationとします。一方、特定されていない一つの宇宙ステーションならa space station、複数ならspace stationsです。
- フレーズ
- ISS stands for the International Space Station.
- 日本語訳
- ISSはInternational Space Stationの略です。
- 使う場面
- 略称の意味を尋ねられたときや、発表の冒頭で名称を説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 「AはBの略」を表すstand forでは、主語がISSなのでstandsと三人称単数形にします。誤:ISS stand for …/正:ISS stands for …
- 発音・ニュアンス
- stands forは「スタンズ・フォー」に近く、standsの語末とforを切り離しすぎずにつなげます。正式な説明にも日常会話にも使える中立的な表現です。
ISSの読み方と発音
ISSは一語として「イス」と読むのではなく、I-S-Sと一字ずつ読みます。発音の目安は /ˌaɪ.esˈes/ です。最後のSを少し明瞭にすると、三文字の区切りが相手に伝わりやすくなります。
- I:/aɪ/。「ア」と「イ」を滑らかにつなぐ
- 最初のS:/es/。短くはっきり発音する
- 最後のS:/es/。語全体の終わりとしてやや明瞭にする
International Space Stationでは、spaceとstationの両方に/eɪ/という二重母音があります。「スペース」「ステーション」と平らに伸ばすより、「エ」から「イ」へ少し移動させる意識で、spaceを「スペイス」、stationを「ステイション」に近づけます。

発音練習では、最初から長い名称を一息で言う必要はありません。「International」「Space Station」「the International Space Station」の順に組み立てます。最後に「the ISS」と言い換えるところまで練習すると、実際の説明に近い流れになります。
普通の英文ではthe ISSと表す
- 特定の施設を指すためthe ISSが基本
- 見出しやラベルではtheが省かれることがある
- 初出で正式名称を示し、その後はthe ISSと言い換えられる
文章や会話では、原則としてthe ISSと表します。話し手と聞き手が「どの施設か」を特定できる固有の宇宙ステーションだからです。正式名称にもtheを付け、the International Space Stationとします。
- フレーズ
- The ISS orbits Earth.
- 日本語訳
- ISSは地球を周回しています。
- 使う場面
- ISSの基本的な動きを説明する場面で使えます。科学発表の最初の一文にも向いています。
- 注意点・誤用例
- orbitは他動詞として「~を周回する」と言えるため、簡潔なorbit Earthが使えます。誤:ISS orbit Earth./正:The ISS orbits Earth.
- 発音・ニュアンス
- orbitsの語末は「ツ」だけでなく、/ts/の子音を意識します。Earthの/th/では舌先を歯の間に軽く置きます。
見出しでtheがないのはなぜか
ウェブページのタイトル、案内板、図表のラベルでは、International Space Stationのように冠詞が省略されることがあります。これは短く見せるための見出し表現です。通常の文章で同じ語を主語や目的語にする場合は、theを戻すと考えると迷いにくくなります。
普通の文で「ISSに宇宙飛行士がいる」と言うとき、in ISSやon ISSのように冠詞を落とすのは避けましょう。on the ISS、inside the ISS、aboard the ISSのように表します。
レポートでの初出の書き方
レポートでは、初めて名称を出す位置で正式名称と略称を結び付けます。その後はthe ISSまたはthe stationと書けば、長い名称の反復を避けられます。
- フレーズ
- The International Space Station, or ISS, is a research facility in low Earth orbit.
- 日本語訳
- 国際宇宙ステーション、すなわちISSは、地球低軌道にある研究施設です。
- 使う場面
- 英語レポート、発表原稿、施設紹介で、正式名称と略称を初めて提示するときに使います。
- 注意点・誤用例
- or ISSは挿入情報なので、前後をコンマで区切ります。low Earth orbitは一般にLEOとも略されます。
- 発音・ニュアンス
- or ISSの前後に短い間を置くと、正式名称の言い換えだと伝わります。発表では名称部分を急がず、区切って読むのが効果的です。
ここまでで、名称、略称、冠詞の基本がそろいました。次に、宇宙ニュースで混同しやすいspace station、spacecraft、rocketの役割を整理しましょう。
space station・spacecraft・rocketの違い
- space stationは軌道上で生活や研究を行う拠点
- spacecraftは宇宙を移動する機体の総称
- rocketは宇宙機を加速して打ち上げるための推進手段
ISSはspace stationです。ISSへ乗員や物資を運ぶ機体はspacecraft、地上から機体を加速する推進手段はrocketです。三つを「宇宙へ行くもの」と一括りにせず、役割で区別します。
| 英語 | 日本語の目安 | 主な役割 |
|---|---|---|
| space station | 宇宙ステーション | 軌道上で生活、研究、保守作業を行う拠点 |
| spacecraft | 宇宙機、宇宙船 | 宇宙空間を移動する機体の総称 |
| spaceship | 宇宙船 | 日常会話や物語で使われやすい語 |
| capsule | 宇宙カプセル | 乗員や貨物を収容する区画 |
| rocket | ロケット | 推力によって宇宙機を加速する |
| module | モジュール、区画 | 宇宙船や施設を構成する機能単位 |
- フレーズ
- A rocket launched the spacecraft into orbit. The spacecraft then traveled to the space station.
- 日本語訳
- ロケットが宇宙船を軌道へ打ち上げました。その後、宇宙船は宇宙ステーションへ向かいました。
- 使う場面
- 打ち上げからステーション到着までを順番に説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- rocketとspacecraftは同じ役割ではありません。ロケット全体をcrewとともにISSへ到着する機体として扱うと、技術的な区別が曖昧になります。
- 発音・ニュアンス
- spacecraftはspaceとcraftをほぼ一続きで読みます。into orbitは「イントゥ・オービット」と区切りすぎず、toからorbitへつなげます。
spacecraftの複数形
spacecraftは、単数でも複数でも通常は同じ形です。one spacecraftは1機、two spacecraftは2機を意味します。数を示す語や動詞の形を見れば、単数か複数かを判断できます。
- One spacecraft is approaching the station.:1機の宇宙船がステーションへ接近しています。
- Two spacecraft are approaching each other.:2機の宇宙船が互いに接近しています。
- Several spacecraft can visit the station.:複数の宇宙船がステーションを訪れることができます。
複数を機械的にspacecraftsとするより、two spacecraftの形を基本として覚えましょう。また、複数主語ではTwo spacecraft isではなくTwo spacecraft areとします。
orbitを名詞と動詞で使い分ける
orbitは「軌道」という名詞にも、「周回する」という動詞にもなります。宇宙船がすでに軌道上にあるならin orbit、軌道へ投入される動きならinto orbitです。前置詞の違いが、状態と移動の違いを表します。
- The spacecraft is in orbit.:宇宙船は軌道上にあります。
- The spacecraft entered orbit.:宇宙船は軌道に入りました。
- The rocket placed the spacecraft into orbit.:ロケットは宇宙船を軌道へ投入しました。
- The station orbits Earth.:ステーションは地球を周回しています。
名称の区別ができると、ニュースの主語と動作が見えやすくなります。では、「ISSにいる」を表すon、in、aboardには、どのような視点の差があるのでしょうか。
ISSに「いる」はon・in・aboardを使い分ける
- 活動場所として述べるならon the ISS
- 施設内部を強調するならinまたはinside the ISS
- 搭乗・滞在の響きを出すならaboard the ISS
日本語の「ISSにいる」は、英語では一つの前置詞に固定されません。一般的な生活や任務の場所にはon the ISS、内部と外部を対比するならinside the ISS、搭乗している状態を端的に表すならaboard the ISSが自然です。
on the ISS:活動の舞台として捉える
- フレーズ
- Astronauts live and work on the ISS.
- 日本語訳
- 宇宙飛行士はISSで生活し、働いています。
- 使う場面
- ISSでの日常生活、研究、仕事について一般的に話す場面で使います。
- 注意点・誤用例
- 誤:Astronauts live on ISS./正:Astronauts live on the ISS. 特定の施設なのでtheを付けます。
- 発音・ニュアンス
- live and workはandを弱く読み、「リヴァンワーク」に近くつなげると滑らかです。onは物理的な表面より、任務を行う場所という視点を示します。
in・inside the ISS:内部を強調する
in the ISSも文法的に使えますが、施設の内部という空間を意識させます。船外活動との対比ならinsideを使うと、内側であることがさらに明確です。
- The air pressure in the ISS is carefully controlled.:ISS内部の気圧は慎重に管理されています。
- The crew is working inside the ISS.:乗組員はISSの内部で作業しています。
- Some experiments are conducted outside the station.:一部の実験はステーションの外部で行われます。
aboard the ISS:搭乗・滞在を表す
- フレーズ
- The crew conducted experiments aboard the ISS.
- 日本語訳
- 乗組員はISS内で実験を行いました。
- 使う場面
- ニュース、任務紹介、宇宙飛行士の滞在説明などで使われます。
- 注意点・誤用例
- aboard自体に「~に乗って」という前置詞の働きがあります。誤:aboard on the ISS/正:aboard the ISS
- 発音・ニュアンス
- aboardは後半のboardを強く読みます。onよりも「搭乗している」「船内にいる」というニュース調の響きがあります。
迷ったときは、一般的な活動ならon、内外の位置ならinside、搭乗や滞在を印象づけるならaboardと判断します。次は、宇宙船が地上を離れ、ISSへ到着し、地球へ戻るまでを動詞の連鎖で覚えます。
打ち上げから帰還までの英語を流れで覚える
- launchからreturn to Earthまでを時系列で覚える
- rendezvousは接近、dockは接続を表す
- dock withとundock fromでは前置詞が異なる
宇宙ニュースの動詞は、任務の順番と結び付けると覚えやすくなります。中心となる流れは、launch → enter orbit → rendezvous → dock → undock → returnです。
- launch:打ち上げる
- lift off:離昇する
- enter orbit:軌道に入る
- rendezvous with the station:ステーションへ接近して位置と速度を合わせる
- dock with the ISS:ISSとドッキングする
- deliver supplies:物資を届ける
- undock from the ISS:ISSから分離する
- return to Earth:地球へ帰還する
launchとliftoffの違い
launchは「打ち上げる」という動詞にも「打ち上げ」という名詞にもなります。lift offは「地面を離れて上昇する」という動詞句です。名詞では一般にliftoffと一語で書きます。
- The spacecraft was launched successfully.:宇宙船は無事に打ち上げられました。
- The rocket lifted off on schedule.:ロケットは予定どおり離昇しました。
- Liftoff occurred in the morning.:打ち上げは朝に行われました。
動詞はThe rocket lifted off.のように二語、名詞はLiftoff was successful.のように一語で書くのが一般的です。品詞を確認して綴りを選びましょう。
rendezvousとdockは同じではない
宇宙飛行におけるrendezvousは、二つの宇宙機が軌道上で接近し、位置や速度を調整する過程です。dockは、その後に接続装置を使って物理的につながる動作です。接近しただけなら、まだドッキングしたとは限りません。
- フレーズ
- The spacecraft rendezvoused with the station and docked with it.
- 日本語訳
- 宇宙船はステーションとランデブーし、ドッキングしました。
- 使う場面
- 宇宙船が接近してから接続するまでの二段階を説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- dockの相手にはwithを使います。誤:docked to the ISS/基本形:docked with the ISS。分離はundocked from the ISSです。
- 発音・ニュアンス
- rendezvousはフランス語由来で、英語ではおおむね「ラーンデイヴー」に近い発音です。綴りの末尾のsは独立して読みません。

実験と補給に使う動詞
ISSで実験を行う場合、conduct an experimentまたはcarry out an experimentがよく使われます。会話ではdo an experimentでも意味は通じますが、科学記事や発表ではconductやcarry outが文脈に合います。
- Astronauts conduct experiments in microgravity.:宇宙飛行士は微小重力環境で実験を行います。
- The crew carried out a joint experiment.:乗組員は共同実験を実施しました。
- Cargo spacecraft deliver supplies to the ISS.:貨物宇宙船はISSへ物資を届けます。
- The crew performed maintenance on the station.:乗組員はステーションの保守作業を行いました。
- フレーズ
- A cargo spacecraft delivered food, water, and equipment to the ISS.
- 日本語訳
- 貨物宇宙船が食料、水、機器をISSへ届けました。
- 使う場面
- 補給任務の目的や、宇宙飛行士に必要な物資を説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- deliverは「物を人・場所へ届ける」動詞です。deliver supplies to the ISSの語順で覚えます。equipmentは通常、不可算名詞として扱います。
- 発音・ニュアンス
- deliverは第2音節を強く読みます。cargoは貨物全般、suppliesは生活や任務に必要な物資という響きです。
ISSの施設を英語で説明する
- ISSは地上約400キロメートルの地球低軌道を飛行する有人実験施設
- 約90分で地球を一周し、微小重力環境を研究に利用する
- 日本の「きぼう」はJapanese Experiment Moduleと呼ばれる
ISSは、地上約400キロメートルのlow Earth orbitを飛行する有人実験施設です。low Earth orbitは「地球低軌道」を意味し、LEOと略されます。
JAXAの施設紹介では、ISSの寸法は約108.5メートル×約72.8メートル、質量は約420トンとされています。複数回に分けて部品を打ち上げ、宇宙空間で組み立てられました。NASAによると、ISSは約90分で地球を一周し、24時間でおよそ16周します。
| 英語 | 意味 | 説明に使える組み合わせ |
|---|---|---|
| microgravity | 微小重力 | experiments in microgravity |
| solar array | 太陽電池アレイ | generate electrical power |
| robotic arm | ロボットアーム | move equipment |
| docking port | ドッキングポート | connect a spacecraft |
| airlock | エアロック | prepare for a spacewalk |
| laboratory module | 実験モジュール | conduct scientific research |
| crew quarters | 乗員用の個室 | sleep in crew quarters |
- フレーズ
- The ISS completes an orbit around Earth in about 90 minutes.
- 日本語訳
- ISSは約90分で地球を一周します。
- 使う場面
- ISSの速度や軌道を紹介する発表、科学に関する会話で使えます。
- 注意点・誤用例
- complete an orbitは「一周を完了する」という表現です。aboutを付けることで、厳密に毎回同じ秒数だと断定せず、概数を示せます。
- 発音・ニュアンス
- completeは第2音節を強く読みます。about 90 minutesではaboutを弱め、数字を明瞭に読むと情報が伝わりやすくなります。
ISSでは何を研究するのか
ISSでは、地上とは異なる微小重力環境を利用し、人体、生命科学、物質、流体、燃焼、植物、地球観測、宇宙技術などの研究が行われます。宇宙に浮かぶ居住施設というだけでなく、将来の長期宇宙飛行に必要な技術や運用方法を試す研究拠点です。
- Scientists study how microgravity affects the human body.:科学者は微小重力が人体に与える影響を研究します。
- The crew observes Earth from orbit.:乗組員は軌道上から地球を観測します。
- Researchers test materials in space.:研究者は宇宙で材料を試験します。
- The experiments may support longer missions.:その実験は、より長期間の任務を支える可能性があります。
「きぼう」を英語で紹介する
日本の「きぼう」日本実験棟は、Kibo Japanese Experiment ModuleまたはJapanese Experiment Moduleと呼ばれます。略称はJEMです。Kiboという名称の意味を英語で添えるなら、Kibo, meaning “hope” in Japaneseと表せます。
- フレーズ
- Kibo is Japan’s laboratory module on the ISS.
- 日本語訳
- 「きぼう」はISSにある日本の実験モジュールです。
- 使う場面
- 日本がISS計画で担う役割を短く紹介するときに使えます。
- 注意点・誤用例
- Japan laboratoryではなく、所有を示すJapan’s laboratory、または形容詞のJapaneseを使います。
- 発音・ニュアンス
- laboratoryは地域によって音節の取り方が異なります。難しい場合はlab moduleという短い言い換えも会話で使えます。
アポロ・ソユーズ計画が示した国際協力
- Apollo-Soyuz Test Projectは米国とソ連による共同宇宙任務
- 1975年7月17日に2機が地球周回軌道上でドッキングした
- 得られた技術、手順、人間関係は後の国際協力に貢献した
ISSのInternationalという語を深く理解するには、Apollo-Soyuz Test Projectを知ることが役立ちます。略称はASTPです。米国のアポロ宇宙船とソ連のソユーズ宇宙船が、冷戦中に共同任務を行いました。
宇宙開発競争から共同任務へ
第二次世界大戦後、米国を中心とする西側とソ連を中心とする東側は、政治体制や思想の違いから対立しました。この時期はthe Cold Warと呼ばれます。両国は宇宙開発でも技術力と国家の威信を競い、この競争はthe Space Raceと呼ばれました。
その一方、1960年代末から1970年代には、緊張を和らげようとする動きも進みました。宇宙で事故が起きた場合、異なる国の宇宙船が接近し、接続し、乗員を移動できる共通技術には現実的な価値があります。そこで、両国の接近・ドッキングシステムの互換性を試す共同計画が準備されました。
打ち上げと歴史的なドッキング
NASAの記録では、ソユーズとアポロは1975年7月15日にそれぞれの発射場から打ち上げられました。ソユーズが先に出発し、アポロが数時間後に続きます。2日後の7月17日、2機は地球周回軌道上でドッキングしました。
- フレーズ
- Apollo and Soyuz docked in Earth orbit on July 17, 1975.
- 日本語訳
- アポロとソユーズは1975年7月17日、地球周回軌道上でドッキングしました。
- 使う場面
- アポロ・ソユーズ計画の中心的な出来事を一文で説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 日付の前にはonを使います。Earth orbitは「地球周回軌道」という意味で、on Earthではありません。
- 発音・ニュアンス
- Soyuzは英語では「ソイユーズ」に近い音です。日付はJuly seventeenth, nineteen seventy-fiveのように読めます。
アポロ側の乗組員はThomas P. Stafford、Vance D. Brand、Donald K. “Deke” Slaytonの3人、ソ連側はAlexei LeonovとValeri Kubasovの2人でした。英語では米国の宇宙飛行士をastronaut、ロシアや旧ソ連の宇宙飛行士をcosmonautと呼び分けることがあります。
ハッチが開かれた後、StaffordとLeonovは宇宙空間で握手を交わしました。乗組員は互いの宇宙船を訪れ、食事、記念品、科学実験、記者会見などを共にしました。この場面はthe handshake in spaceとして知られています。
異なる船内環境をつないだdocking module
アポロとソユーズは、もともと同じ規格で作られた宇宙船ではありません。接続機構だけでなく、船内気圧や空気の組成にも違いがありました。その差を調整するため、アポロ側には専用のdocking moduleが取り付けられました。
このモジュールは、2機を物理的につなぐ通路であり、気圧を調整するairlockでもありました。乗員はハッチを閉じた状態で気圧を調整し、安全を確認してから相手側へ移動しました。
- フレーズ
- The docking module served as an airlock between Apollo and Soyuz.
- 日本語訳
- ドッキングモジュールは、アポロとソユーズの間のエアロックとして機能しました。
- 使う場面
- 装置の目的や機能を説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- serve asは「~として機能する」です。serve to an airlockとはせず、serve as an airlockとします。
- 発音・ニュアンス
- served asは子音が続くため、区切りすぎず「サーヴダズ」に近くつなげます。機器の役割を客観的に述べる表現です。
言語の違いを乗り越える通信
共同任務では、機械だけでなく言葉の調整も欠かせませんでした。米国側はロシア語を、ソ連側は英語を学び、無線通信では相手の言語も使いました。数値、時刻、警告、確認手順を誤解なく伝える必要があるためです。
- フレーズ
- How do you read me? — I read you loud and clear.
- 日本語訳
- こちらの声はどう聞こえますか。――はっきり聞こえます。
- 使う場面
- 無線通信の聞こえ方を確認する場面で使います。
- 注意点・誤用例
- ここでのreadは文字を読む意味ではなく、無線信号を受信し理解できるという意味です。日常の対面会話では通常の聞き返し表現を使います。
- 発音・ニュアンス
- loud and clearはandを弱くして一まとまりで読みます。「音量も明瞭さも問題ない」という通信上の定型表現です。
ISSの直接の建設計画ではない
アポロ・ソユーズ計画を「ISSを建設するための計画」と表すのは正確ではありません。当時、現在のISSをそのまま建設する計画が存在したわけではないからです。
ただし、異なる宇宙機を接続する技術、共通手順、管制組織の連携、言語や規格の違いへの対応、共同訓練、人間関係は、後の協力に役立ちました。NASAも、そこで発展した技術、過程、関係がシャトル・ミール計画やISSへつながる国際協力に貢献したと説明しています。
歴史を一文で伝えるなら、The Apollo-Soyuz mission helped pave the way for future international cooperation in space.と言えます。pave the way forは、道路を舗装するという原義から「将来への道を開く」という比喩になった表現です。
宇宙英語で間違えやすい表現を直す
- 助動詞の後ろは動詞の原形
- 数えられる名詞には必要に応じて冠詞を付ける
- 直訳より、その場面で自然な定型表現を選ぶ
宇宙について詳しく話せても、冠詞や動詞の形が崩れると意味が伝わりにくくなります。特に直したいのは、the・a・動詞の原形です。
visit Moonではなくvisit the Moon
地球の衛星である月を指すときは、通常the Moonとします。「いつか月へ行けたら」と願うなら、I wish I could visit the Moon someday.が自然です。I wish I couldは、現時点では実現が難しい願いを柔らかく表します。
I’m acrophobiaではなくI’m afraid of heights
acrophobiaは「高所恐怖症」という名詞です。そのため、be動詞の後ろにそのまま置いてI’m acrophobiaとは言えません。日常会話ではI’m afraid of heights.が最も使いやすく、医学的な名称を使うならI have acrophobia.とします。
That’s pityではなくThat’s a pity
「それは残念だ」と言う場合、pityには冠詞を付けてThat’s a pity.とします。会話ではThat’s too bad.も自然です。深刻な不幸ではなく、小さな残念さへの応答ならThat’s too bad.が使いやすいでしょう。
How could that happened?ではなくHow could that happen?
couldなどの助動詞の後ろには動詞の原形を置きます。したがって、happenedではなくhappenです。過去に実際に起きた出来事の経緯を尋ねるなら、How did that happen?も自然です。
new languageにはaを付ける
languageは数えられる名詞です。「新しい言語を一つ学ぶ」ならlearn a new languageとします。「学ぶのは苦にならない」はI don’t mind learning a new language.です。I don’t care about learning …では「関心がない」という冷たい響きになる場合があります。
project was executedよりmission was carried out
executeは計画を実行する意味を持ちますが、文脈によっては非常に硬く響きます。共同宇宙任務ならThe mission was carried out successfully.、The two countries conducted a joint mission.、The mission was a success.などが自然です。
「成功した」をfinished with successと直訳するより、was successful、ended successfully、was a successを使うと自然です。名詞successと形容詞successfulを混同しないようにしましょう。
誤用訂正ミニテスト
- ISS stand for International Space Station.
- Many astronauts work on ISS.
- Two spacecrafts approached the station.
- The capsule docked the ISS.
- How could that happened?
- I wish I could visit Moon.
- I’m acrophobia.
- It is good hear that they cooperated.
訂正すると、ISS stands for the International Space Station.、Many astronauts work on the ISS.、Two spacecraft approached the station.、The capsule docked with the ISS.となります。後半はHow could that happen?、I wish I could visit the Moon.、I’m afraid of heights.、It is good to hear that they cooperated.です。
会話と音読でISS英語を実践する
- 短い質問と回答を役割別に音読する
- 名称、位置、活動、歴史の順で話す
- 一度に全部覚えず、毎回一つの言い換えを加える
知識を会話へ移すには、長い説明を丸暗記するより、質問と回答を一組で練習する方法が効果的です。まずは一問一答から始め、答えに情報を一文ずつ加えます。
- 会話
- 学習者A:What does ISS stand for?
学習者B:It stands for the International Space Station.
学習者A:Where is it?
学習者B:It is in low Earth orbit, about 400 kilometers above Earth.
学習者A:What do astronauts do there?
学習者B:They live, work, and conduct experiments aboard the ISS. - 日本語訳
- 学習者A:ISSは何の略ですか。
学習者B:International Space Stationの略です。
学習者A:どこにあるのですか。
学習者B:地上約400キロメートルの地球低軌道にあります。
学習者A:宇宙飛行士はそこで何をしますか。
学習者B:ISSで生活し、働き、実験を行います。 - 使う場面
- 英会話練習、学校での発表準備、宇宙を話題にした雑談で使えます。
- 注意点・誤用例
- What does ISS stand for?のdoesの後ではstandを原形にします。回答では主語がItなのでstandsになります。
- 発音・ニュアンス
- 質問ではISSとstand forを明瞭にします。回答ではIt stands forを一まとまりにし、正式名称を少しゆっくり発音します。
歴史を話題にする会話
- 会話
- 学習者A:Did the United States and the Soviet Union ever work together in space?
学習者B:Yes. They carried out the Apollo-Soyuz Test Project during the Cold War.
学習者A:What happened during the mission?
学習者B:Apollo and Soyuz docked in Earth orbit, and the crews met in space.
学習者A:Was it part of the ISS program?
学習者B:No, but its experience contributed to later international cooperation. - 日本語訳
- 学習者A:米国とソ連が宇宙で協力したことはありますか。
学習者B:はい。冷戦中にアポロ・ソユーズテスト計画を実施しました。
学習者A:任務では何が起きたのですか。
学習者B:アポロとソユーズが地球周回軌道上でドッキングし、乗組員が宇宙で対面しました。
学習者A:ISS計画の一部だったのですか。
学習者B:いいえ。ただし、そこで得た経験は後の国際協力に貢献しました。 - 使う場面
- 歴史の発表、国際協力についての意見交換、過去の出来事を尋ねる練習に使えます。
- 注意点・誤用例
- Didの後はwork、happenのように原形を使います。「ISSを直接作った計画」とは言わず、later cooperationへの貢献として表します。
- 発音・ニュアンス
- Did theは会話では滑らかにつながります。No, but …のbutを強くしすぎず、訂正の後に補足を加える柔らかな調子で読みます。
短い発表を組み立てる型
30秒ほどの発表なら、名称、場所、活動、国際協力の四段階で構成できます。次の原稿を音読し、慣れたら一文を自分の言葉に置き換えてください。
The ISS stands for the International Space Station. It is a research facility in low Earth orbit. Astronauts and cosmonauts live and work aboard the station. They conduct experiments, maintain equipment, and observe Earth. The ISS also represents international cooperation in space.
日本語では「ISSはInternational Space Stationの略です。地球低軌道にある研究施設です。宇宙飛行士たちはステーションで生活し、働いています。実験、機器の保守、地球観測を行います。ISSは宇宙における国際協力も表しています」という内容です。

7回の練習で定着させる手順
- the International Space Stationとthe ISSを3回ずつ音読する
- ISS stands for …を見ながら1回、見ずに1回言う
- on、inside、aboardの例文を一つずつ読む
- launchからreturnまでを順番に言う
- dock withとundock fromを対にして言う
- 30秒発表を録音し、theと動詞の語尾を確認する
- 翌日に同じ内容を見ずに話し、忘れた表現だけ復習する
録音を聞くときは、英語らしさを一度にすべて直そうとせず、「theが抜けていないか」「ISSを一字ずつ読めたか」「docksの語末を発音できたか」の三点に絞ります。確認項目を少なくすると、修正した結果を自分で感じやすくなります。
ISS英語に関するQ&A
- ISSの名称、冠詞、発音を短く再確認できる
- 前置詞や宇宙機関連語の迷いを整理できる
- 歴史的背景を正確な一文で説明できる
最後に、検索や会話で疑問になりやすい点を短い回答で確認します。回答を隠して質問だけを読み、自分の言葉で答えてから見比べると復習になります。
ISSは英語で何の略ですか?
ISSはInternational Space Stationの略です。日本語では国際宇宙ステーションと呼びます。
ISSの前にはtheを付けますか?
通常の英文ではthe ISSとします。見出しや図表のラベルでは、冠詞が省かれることがあります。
ISSは英語でどう発音しますか?
I、S、Sを一字ずつ読みます。「イス」と一語にせず、最後のSまで明瞭に発音します。
on the ISSとin the ISSの違いは何ですか?
on the ISSは生活や任務の場所として述べるときに使いやすい表現です。inまたはinside the ISSは、施設の内部であることを強調します。
aboard the ISSの後にonは必要ですか?
必要ありません。aboard自体に「~に乗って」という働きがあるため、aboard the ISSとします。
space stationとspacecraftはどう違いますか?
space stationは人が軌道上で生活や研究を行う拠点です。spacecraftは宇宙空間を移動する機体の総称です。
spacecraftの複数形はspacecraftsですか?
通常は複数でもspacecraftです。1機ならone spacecraft、2機ならtwo spacecraftと表します。
「ISSにドッキングする」は英語で何と言いますか?
dock with the ISSと表します。過去形ならThe spacecraft docked with the ISS.です。
rendezvousとdockingは同じ意味ですか?
同じではありません。rendezvousは宇宙機同士が接近して位置や速度を合わせる過程で、dockingは接続装置によって物理的につながることです。
アポロ・ソユーズ計画はISS建設計画の一部ですか?
直接の建設計画ではありません。ただし、そこで培われた接続技術、共同手順、訓練、人的関係は、後の国際宇宙協力に貢献しました。
最初に覚える三つの表現
学習を始めるときは、the International Space Station、aboard the ISS、dock with the ISSの三つを声に出してください。そこへISS stands for …、The ISS orbits Earth.、Astronauts conduct experiments.を加えると、名称、場所、動作を一通り説明できます。
歴史まで一文で表すなら、The Apollo-Soyuz Test Project brought two Cold War rivals together in space and helped pave the way for future international cooperation.が使えます。対立していた二つの国が宇宙で協力し、その経験が将来への道を開いたという内容です。

