「ちょっと相談があるんだけど」を英語にしようとして、手が止まった経験はありませんか。辞書を引けば consult が出てきます。けれど、それを友人にそのまま使っていいのか、上司に使うと重すぎないか、判断がつかないまま結局 Can I talk to you? だけで済ませてしまう——そんな方はとても多いはずです。
この記事では、その混乱を解く「たった二つの判断軸」から出発し、consult・talk to・ask for advice・seek advice・discuss などの使い分け、切り出しのクッション表現、相談される側の返し方、そして相談メールの型までを、そのまま口に出せる例文つきで整理していきます。
読み終えるころには、相手の顔を思い浮かべた瞬間に使う表現が決まる状態になっているはずです。独学での発音やニュアンス確認に不安がある方は、英語教室のような対話の場を併用すると定着が早まります。

「相談する」を英語にする前に決めるべき二つのこと
実は、日本語の「相談」が異常に守備範囲の広い言葉なのです。友人への打ち明け話も、医師への受診も、契約条件の交渉も、すべて「相談」の一語で片づけられてしまう。だから英語に置き換えようとすると、対応する動詞が一つに定まらず混乱します。
まずは、英語で相談を切り出す前に頭の中で確認すべきことから見ていきましょう。
- 英語には日本語の「相談する」に一対一で対応する動詞が存在しない
- 判断軸は「相手との距離と専門性」と「自分が何を得たいのか」の二つだけ
- この二軸が決まれば consult / talk to / ask for advice / seek advice は自動的に絞り込める
- 「相談する」を直訳せず「この場面の相談は英語ではどういう行為か」と言い換えるのが近道
結論から言えば、英語で「相談する」を選ぶ作業は、単語探しではなく場面の分解作業です。二つの質問に答えれば、使うべき動詞はほぼ一つに絞られます。
なぜ分解が必要なのでしょうか。日本語の「相談」は、行為の中身を問わず「誰かと問題について話す」という枠だけを示す言葉だからです。一方で英語は、その行為が「助言を求めること」なのか「一緒に検討すること」なのか「ただ聞いてもらうこと」なのかを、動詞のレベルで区別します。枠だけを訳しても、中身が伝わらないのです。
軸1:相手との距離と専門性
ひとつ目の軸は、相手が誰かということです。医師・弁護士・税理士・コンサルタントのように、自分にはない専門知識を持つ人に判断を仰ぐのか。それとも家族・友人・同僚のように、対等な立場の人と話し合うのか。
前者であれば consult が中心になります。後者であれば talk to や consult with、あるいは ask for advice が自然です。上下関係というより「知識の非対称性があるかどうか」で捉えると判断しやすくなります。
軸2:自分が何を得たいのか
ふたつ目の軸は、その会話のゴールです。明確な答えや助言がほしいのか。結論を出すための後押しがほしいのか。それとも、単に話を聞いてもらって気持ちを整理したいだけなのか。
答えがほしいなら ask for advice や ask someone’s opinion。重い決断の前に意見を集めたいなら seek advice。聞いてほしいだけなら talk to。議題として検討したいなら discuss。ゴールが違えば動詞も違う、という感覚をつかんでください。
二軸を組み合わせた早見の考え方
たとえば「転職を考えている」という同じ悩みでも、相手と目的で表現は変わります。キャリアコンサルタントに専門的判断を仰ぐなら consult a career advisor。親友に打ち明けて気持ちを整理したいなら talk to my best friend about it。上司に方針の是非を尋ねるなら ask for your advice on this。
同じ悩みが三通りの英語になる。この体験をすると、単語ではなく場面で覚える感覚が身につきます。逆に言えば、日本語の「相談する」という一語に引きずられている限り、いつまでも consult 一択から抜け出せません。
では、その中心にある consult から、正しい使い方と落とし穴を確認していきましょう。

consult の正しい使い方と三つの落とし穴
- consult の芯は「知識や権威を持つ相手に意見・指導・助言を求める」こと
- consult + 人=専門家に判断を仰ぐ、consult with + 人=対等な立場で話し合う
- consult + 物=「参照する、調べる」の意味になる
- consult to は誤り。他動詞なので前置詞 to は入らない
- 友人への軽い相談に使うと堅すぎる印象になる
consult は「相談する」の代表選手ですが、使える範囲は日本語よりずっと狭いと考えてください。芯にあるのは知識や権威を持つ相手に意見を求めるという感覚です。
辞書では「(識者・専門家などに)相談する、意見を聞く」と説明されます。日本語でも定着しているコンサルタント(consultant)が、専門的な相談を受ける職業を指すことを思い出せば、ニュアンスはつかみやすいでしょう。
consult + 人:専門家に判断を仰ぐ
目的語に人を直接取る形が、consult のもっとも典型的な使い方です。相手は基本的に専門家です。
事業承継について専門家に相談する必要があります。
consult は後ろの sult にアクセント(カンサルト)。expert は前の ex にアクセント(エクスパート)です。フォーマルで、責任の所在を明確にしたい場面に合います。
社内会議で、自分たちだけでは判断できない案件を外部の専門家に委ねる方針を提案するとき。
×I need to consult to an expert. / ×I need to consult about an expert. 相談内容は on または about で続け、人には前置詞を付けません。
相続のことで税理士に相談しようと思っています。
accountant は カウン にアクセント(アカウンタント)。inheritance は her にアクセント(インヘリタンス)です。まだ確定していない予定を柔らかく伝えられます。
家族や知人に、自分の今後の予定として専門家への相談を伝えるとき。
be thinking of の後ろは動名詞です。×I’m thinking of consult ~ とはできません。
お医者さんに相談したほうがいいですよ。
might want to は実際には「マイゥワナ」に近く滑らかにつながります。「〜したほうがいいですよ」を最も角が立たない形で伝えられる万能表現です。
体調の話を聞いた相手に、押しつけがましくならないように受診をすすめるとき。
consult には「医者にかかる、診察を受ける」という含みがあります。You should see a doctor. でも通じますが、should は指示に近く響くことがあります。
consult with + 人:対等な立場で話し合う
with が入ると、上下関係のない相手と意見を交わす、協議するという色合いが強まります。配偶者、同僚、チームメンバーが典型的な相手です。
個人的には興味がありますが、妻に相談しないといけません。
personally は per を強く(パーソナリー)。断りではなく保留であることが明確に伝わり、相手も待ちやすくなります。
住宅や大きな買い物の商談で、即答を避けつつ前向きな姿勢は示したいとき。
ここで with を落として consult my wife とすると、妻を専門家扱いするような妙な響きが出ることがあります。家族には with を添えるのが無難です。
決定する前に上司に相談する必要があります。
need to は「ニードゥ」と t が弱まります。決定権の所在を丁寧に説明でき、相手に失礼になりません。
取引先との交渉で、自分の裁量を超える条件を提示されたとき。
before の後は未来のことでも現在形にします。×before I will make a decision とはしません。
「専門家には consult、身近な人には consult with」という整理は実用上とても役に立ちます。ただし現実の英語、特にアメリカ英語では両者の境界はかなり曖昧です。専門家相手に consult with a lawyer と言っても不自然ではありません。
厳密なルールというより、with がつくと「一緒に話し合う」感じが増すという感覚で覚えておけば十分でしょう。
consult + 物:調べる、参照する
人以外を目的語に取ると、意味が「参照する、調べる」に変わります。ここは日本語の「相談」からは離れるため、読解のときに戸惑いやすい用法です。
棚を組み立てる前に説明書を確認してください。
assembling は sem にアクセント(アセンブリング)。やや硬めで、掲示や説明書の文面に多く見られます。
取扱説明書や社内規程など、書かれた情報を参照するよう促すとき。
この用法では「説明書に相談する」という意味にはなりません。refer to や check で言い換えられます。
ニュアンスを確認するために辞書を引きました。
nuance は「ヌーアンス」に近く、日本語の「ニュアンス」と音が異なります。通じないことがあるので注意しましょう。
自分の調べた手順を説明するとき。学習の記録やレポートでも使えます。
日常会話では look it up in a dictionary のほうが自然な場面も多くあります。consult はやや改まった響きです。
落とし穴1:consult に to はつかない
日本語の「〜に相談する」に引きずられ、consult to my boss としてしまう誤りが非常に多く見られます。consult は他動詞なので、consult my boss か consult with my boss のどちらかです。前置詞 to は入りません。相談内容を添えるときは on か about を使い、consult someone on the matter、consult with him about the schedule のような形にします。
落とし穴2:consult が重すぎる場面がある
友人に「ちょっと相談があるんだけど」と言いたい場面で I’d like to consult with you. と切り出すと、まるで正式な面談を申し込まれたような堅い印象を与えます。文法的には正しくても、場面に合っていません。
日常の悩み事や軽い相談には、この後に紹介する talk to や ask for advice のほうがはるかに自然です。正しい英語と自然な英語は別物だという意識を持っておきましょう。
落とし穴3:consult と counsel の混同
綴りが似ているため混同されがちですが、counsel は心理的・法的な助言を「与える側」の行為を指すことが多い語です。counsel a client なら、専門家がクライアントに助言する側になります。
相談する側の動作としては consult や ask for advice を選んでください。名詞の counsel には「弁護士」の意味もあり、法廷ドラマなどで耳にすることがあります。
consult の輪郭がつかめたところで、次はもっと出番の多い日常表現に進みましょう。相手と場面ごとに使い分けていきます。
相手と場面で選ぶ「相談する」表現six選
- 話を聞いてほしいときは talk to / talk with
- 聞きたいことが明確なら ask for advice / ask someone’s opinion
- 重い決断の後押しがほしいときは seek advice
- 意見交換や気持ちの共有は exchange opinions / share thoughts
- 議題として検討するなら discuss(about は不要)
- 軽い確認レベルなら run something by someone / go over
最後に、日常でもビジネスでも出番が多いのは consult ではなく、これから紹介する六つの表現です。使い分けの基準は前章の二軸、つまり相手と目的です。
順に見ていきましょう。それぞれに例文と、つまずきやすい点を添えます。
talk to / talk with:話を聞いてほしいとき
解決策そのものより、まず話を聞いてもらいたい。日本語の「相談に乗って」に一番近いのがこの形です。中学レベルの語彙で成立するのに、応用範囲が非常に広いという利点があります。
相談したいことがあるのですが、今日この後お時間ありますか。
want to は「ワナ」、talk to you about は「トークトゥユアバウト」と一息でつなげます。重すぎず軽すぎない、最も汎用性の高い切り出しです。
同僚や上司に、内容を明かさず先に時間だけ確保したいとき。
文末の about を落とすと不完全な文になります。×I have something I want to talk to you. は誤りです。
職場の先輩のことで悩んでいます。休憩時間に相談させてもらえませんか。
colleague は前にアクセント(カリーグ)。時間帯を指定することで、相手が予定を立てやすくなります。
人間関係の悩みを、信頼できる相手に打ち明けたいとき。
a senior colleague of mine のように of mine を添えると、特定の個人を名指しせずに済みます。my senior と直訳すると通じにくいことがあります。
talk to は「こちらから話しかける」、talk with は「双方向で話し合う」というニュアンスの差があります。互いの意見を突き合わせたいなら with を選ぶとしっくりきます。There’s something I need to talk with you about. のように使います。
じっくり時間を取って話したい場合は、sit down together to talk about ~ や sit down and discuss ~ という言い方も便利です。実際に座るかどうかは関係なく、腰を据えて話すという比喩表現になります。
ask for advice / ask someone’s opinion:聞きたいことが明確なとき
何を尋ねたいかがはっきりしているなら、ask を使った形が最も汎用的です。ビジネスでも日常でも使え、丁寧さの調整もしやすい表現です。
ご相談に乗っていただけないでしょうか。
advice の語尾は s の音(アドヴァイス)。I was wondering if ~ と過去形にすることで、押しつけがましさが消えます。
目上の人や、あまり親しくない相手に丁寧に相談を持ちかけるとき。メールの書き出しにも使えます。
advice は不可算名詞です。×an advice、×advices とは言えません。数えるときは a piece of advice とします。
この提案について意見を聞かせてもらえますか。
proposal は po にアクセント(プロポウザル)。Can I ~? は軽快で、会議中の割り込みにも使いやすい形です。
具体的な資料や案を見せながら、判断材料としての意見をもらいたいとき。
相談内容は on で続けるのが基本です。about も使えますが、on のほうがビジネス文書に馴染みます。より格式を上げたいときは regarding に置き換えます。
提案の仕方について相談に乗ってほしいのですが。
Could you は「クッジュー」とつながります。some を入れることで「少しだけ」という控えめな響きが出ます。
経験のある同僚や先輩に、進め方そのものを教えてほしいとき。
on の後ろに動詞を置くときは動名詞にします。×advice on make a proposal は誤りです。
seek advice:結論を出すための後押しがほしいとき
seek は「(助言や解決策を)求める」という、やや改まった動詞です。重い決断を前に、複数の意見を集めているという状況によく合います。
結婚式についてアドバイスを求めています。
seek は「シーク」と長めに。現在進行形にすることで「今まさに探している最中」という能動性が伝わります。
式場や代理店に問い合わせるとき、あるいは経験者に広く助言を募りたいとき。
友人同士の軽い会話で seek を使うと、かしこまりすぎて距離を感じさせることがあります。その場合は ask for advice に。
金銭的な問題について意見を求める必要があると思います。
financial は nan にアクセント(ファイナンシャル)。I think を添えると断定を避けられ、相談の余地が残ります。
自分一人では抱えきれない問題について、外部の視点が必要だと認めるとき。
opinion は可算名詞なので an が付きます。advice との可算・不可算の違いを混同しないようにしましょう。
exchange opinions / share thoughts:意見交換・気持ちの共有
答えを求めるのではなく、互いの見方を突き合わせたい。あるいは、ただ考えを共有したい。そういう「相談」もあります。
学校のことで意見交換できますか。
exchange は change 側にアクセント(イクスチェインジ)。どちらか一方が教える関係ではないことが明確に伝わります。
同じ立場の保護者同士など、上下関係なく情報を持ち寄りたいとき。
opinions と複数形にするのが自然です。双方の意見を指すためです。
子どもたちのことで考えを共有したいのです。
thoughts の th は舌先を軽く歯に当てて(ソーツ)。柔らかく、対立を避けたいときに向いています。
家族や配偶者に、結論を急がず自分の考えを伝えたいとき。
share は「分け与える」ではなく「共有する」の意味です。相手に押しつける響きはありません。
discuss:議題として話し合う
discuss は「議論する、話し合う」で、会議や打ち合わせの文脈で使われます。感情的な悩みより、検討事項として扱う相談に向いています。
discuss は他動詞です。日本語の「〜について話し合う」に引きずられて discuss about the budget としてしまうのは誤りで、正しくは discuss the budget です。about を使いたい場合は talk about the budget と動詞を変えてください。この誤りは英文メールでも頻出するため、書いた後に about が付いていないか確認する習慣をつけると安心です。
また別途相談させてください。
discuss は cuss にアクセント(ディスカス)。Let’s で始めることで、一方的な打ち切りではなく共同の判断に見せられます。
会議で時間切れになった議題を持ち越すとき。角を立てずに話題を切り上げられます。
×Let’s discuss about this again later. は誤りです。this が目的語なので前置詞は不要です。
run something by someone / go over:確認レベルの軽い相談
同僚に案を見てもらう程度の軽い相談には、この二つが便利です。ネイティブが日常的に多用するにもかかわらず、教科書ではあまり扱われない表現でもあります。
このアイデアについて意見をもらえますか。
run this idea by you は一息で「ランディスアイディアバイユー」。相手の負担が軽いことが伝わるため、断られにくい依頼になります。
まだ固まっていない案を、正式な提案の前に軽く当ててみたいとき。
by の位置に注意します。×run by you this idea とはしません。目的語が長い場合は run by you the following idea のように後置することもありますが、短い目的語では間に挟むのが自然です。
スケジュールを一緒に確認しましょう。
go over は「ゴウオウヴァ」と滑らかに。together を添えると協働の姿勢が強まります。
資料や予定表を目の前に置いて、順を追って点検したいとき。
go over は「乗り越える」ではなく「ざっと見直す、検討する」の意味です。文脈で判断してください。
表現の引き出しは揃いました。しかし、実際の会話では「どう切り出すか」で相談の成否が決まることも少なくありません。次はその前置きの技術を見ていきます。

相談を切り出すクッション表現と会話の型
- いきなり本題に入らず、相手の都合を確認するひと言を添える
- Do you have a minute? / Could I pick your brain for a moment? などが定番
- I wanted to ~ と過去形にすると控えめで丁寧に響く
- happen to は「たまたま」の意味で、都合を尋ねる場面に馴染む
相談は、切り出し方でその後の流れが大きく変わります。いきなり本題に入ると、相手の都合を無視した印象を与えかねません。
理由は単純で、相手にも進行中の仕事や思考があるからです。ひと言添えるだけで、相談は驚くほど滑らかに進みます。
都合を尋ねる定番フレーズ
まずは短く、相手の時間を確認する言い方です。Do you have a minute?(今、少しお時間ありますか)は最も汎用的で、対面でもチャットでも使えます。
Are you busy right now?(今お忙しいですか)は、相手が明らかに何か作業中のときに向いています。Do you happen to have time for a little chat?(少しお話しする時間ありませんか)は、やや柔らかく雑談寄りの雰囲気を作れます。
Could I pick your brain for a moment?(ちょっと知恵を貸していただけますか)は、相手の知識や経験を頼りにしていることを伝える表現です。直訳すると物騒に聞こえますが、実際には親しみのある慣用句です。
会話例1:時間を確保してから本題へ
学習者:今、少しお時間ありますか。同僚:もちろん。どうしました。学習者:ご相談したいことがあるのですが。
オフィスで隣席の同僚に声をかけるとき。廊下ですれ違いざまにも使えます。
What’s the matter? は「どうしたの」ですが、心配げなトーンで言うと「何かあったの」という深刻な響きになります。軽く言うのがコツです。
会話例2:過去形で控えめに切り出す
学習者:今お忙しいですか。先輩:ちょうど手が空いたところです。学習者:次のプレゼンについてご相談したかったのです。
happen to は「たまたま〜する」。I just happen to be free. で「ちょうど手が空いたところです」となり、快く応じている感じが出ます。
目上の相手に、押しつけがましくならないよう配慮しながら相談を持ちかけるとき。
I wanted to ~ が過去形である点は見落とされがちです。英語では「話しかけた理由」を述べるとき、want をあえて過去形にして控えめさを出します。I want to ~ より丁寧に響きます。
会話例3:知恵を借りたいと伝える
学習者:ちょっと知恵を貸していただけますか。先輩:もちろん。何か気がかりでも。学習者:データのまとめ方に迷っていまして。ご意見をいただけますか。
相手の専門知識や経験を借りたいが、大げさな面談にはしたくないとき。
pick your brain は親しい間柄やカジュアルな職場向けです。極めて格式の高い場面では I would like to ask your advice. のほうが無難でしょう。
相談は持ちかけるだけのものではありません。次は、受ける側の表現に目を向けてみましょう。
相談される側の表現を知ると関係が変わる
- I’m always here for you. は「味方だよ」という支えを伝える表現
- What’s on your mind? は相手が話し出しやすくなる問いかけ
- Feel free to reach out anytime. は連絡のハードルを下げる定番
- 受ける側の一言を知ると、相談される関係が築きやすくなる
相談を受ける側の表現を持っていると、人間関係の質が変わります。理由は、相手が「話してもいい」と感じられる合図を出せるようになるからです。
代表的な五つを見ていきましょう。どれも短く、覚えればすぐに使えます。
いつでも相談に乗りますよ。
here for you を一息で。直訳は「いつでもここにいるよ」ですが、「味方だよ」「ひとりじゃないよ」という支えの気持ちがこもります。
友人や家族が困難な状況にあるとき、支える意思を伝えたいとき。
親密さの強い表現です。取引先など距離のある相手には Please don’t hesitate to contact me. のほうが適切でしょう。
どうしました、何か気がかりでも。
What’s on は「ワッツォン」とつながります。柔らかい上昇調で言うと、相手が話しやすくなります。
相手が何か言いたそうにしているとき、話の口火を切ってあげたいとき。
What’s your problem? は「何が不満なんだ」という喧嘩腰の響きになります。混同しないよう注意が必要です。
いつでも気軽に連絡してください。
reach out は「リーチアウト」とつなげて。カジュアルすぎず堅すぎない、使い勝手のよい距離感です。
メールの結びや、面談の締めくくりに。ビジネスでも日常でも使えます。
reach out は「手を伸ばす」から転じて「連絡を取る」の意味です。out を落とすと意味が変わります。
ほかにも I’m always happy to listen.(いつでも話を聞くよ)や Let me know if there’s anything I can do.(何かできることがあれば言ってください)が使えます。後者は具体的な助けを申し出る形なので、実務的な場面に向いています。
ここまでの表現を、ひとつながりの会話で確認してみましょう。学校での相談場面を例にします。
会話で学ぶ:検定試験について先生に相談する
- 相談の型は「切り出し→状況説明→依頼→受け答え」の四段構成
- 用件を最初に一文で示すと、相手も心の準備ができる
- consult with は対話しながら方針を決める場面に馴染む
- I’d love to. は Yes より積極的で感謝が伝わる返答
英語の検定試験は、実用英語技能検定(英検)だけではありません。観光分野、国際関係分野、技術分野など、専門に特化した試験がいくつも存在します。
ここでは、そうした試験の受験を考える学習者が先生に相談する場面を見ていきます。相談の型がきれいに揃ったやり取りです。
英語の会話例
学習者:テストについてご相談があるのですが。先生:どの試験を受けるのですか。学習者:観光英語検定試験を受けようかと思っています。いつか観光ガイドになりたいのです。先生:わかりました。その試験を受けるのは初めてですか。学習者:はい。なので、どのように勉強したらよいのか分からないのです。どのように勉強したらよいのか教えていただけますか。先生:まず、過去問題について知る必要があります。その問題集はもう買いましたか。学習者:いいえ、まだです。できるだけ早く買おうと思います。先生:問題集が何をすべきかを教えてくれるでしょう。それから、私にはツアーガイドをしている友人がいます。ご希望であれば紹介できますよ。彼はきっと良い助言をくれるはずです。学習者:本当ですか。ありがとうございます。ぜひそうしてください。
会話に出てきた表現のポイント
need to ~ は「〜する必要がある」。must より客観的で、状況がそうさせているという響きになります。相談の切り出しで使うと、わがままな要求ではないことが伝わります。
consult with ~ は「〜に相談する」。ここでは生徒が先生に相談していますが、対話しながら方針を決めていく場面なので with がよく馴染みます。専門家に一方的に判断を仰ぐのとは少し違うためです。
Tourism English Proficiency Test は「観光英語検定試験」。proficiency は「熟達、習熟度」という意味で、語学の検定名に頻出する単語です。発音は fi にアクセントを置きます。
some day は「いつか」で、漠然とした未来を指します。the first time は「初めて」。Is this the first time for you to ~? で「〜するのは初めてですか」となり、It’s my first time doing this. という言い方も自然です。
past exam questions は「過去問」。past papers という言い方もよく使われます。workbook は「問題集、ワークブック」。as soon as possible は「できるだけ早く」で、頭文字を取って ASAP と略されます。
a friend who is a tour guide の who は関係代名詞です。is a tour guide の部分が a friend を後ろから説明しています。
introduce A to B は「AをBに紹介する」です。introduce you to him で「あなたを彼に紹介する」となります。日本語では「彼をあなたに紹介する」と語順が逆になるため、英作文のときに取り違えやすい箇所です。誰を誰のところへ連れて行くのか、という向きで考えると間違えにくくなります。
I’d love to. は「ぜひそうしたいです」。Yes よりずっと積極的で、感謝と乗り気な気持ちが同時に伝わります。申し出を受けるときの定番として覚えておくと便利です。
この会話では、切り出し(I need to consult with you about ~)、状況説明(So I don’t know how to study it.)、依頼(Could you tell me ~?)、そして相手の申し出への受け答え(I’d love to.)という流れが揃っています。この構成は検定の相談に限らず、仕事でも学校でもそのまま応用できます。
検定名を英語で言えるようにしておく
自分が受ける試験の英語名を知らないと、留学先や外国人講師との会話で説明に詰まってしまいます。代表的なものを確認しておきましょう。
実用英語技能検定(英検)は EIKEN Test in Practical English Proficiency、児童向けの英検Jr.は EIKEN Jr.、観光英語検定は Tourism English Proficiency Test、国連英検は United Nations Associations Test of English です。
工業英語検定は現在「技術英検」として実施されており、Test of English for Technical Professionals などの英語名が用いられています。商業英語系は日商ビジネス英語検定などに引き継がれています。名称や実施形態は変更されることがあるため、受験前には主催団体の案内で確認するのが確実です。
正式名称が出てこないときは、無理に直訳しなくて構いません。It’s a certification test for English used in tourism.(観光分野の英語の検定試験です)のように説明してしまえば十分伝わります。
ここまでは動詞としての「相談する」を見てきました。次は名詞としての「相談」に目を移します。
名詞としての「相談」を英語で言う
- 日本語の「〜相談」という複合語は、英語では別々の語に分かれる
- 結婚相談所は matchmaking agency、法律相談は legal consultation
- 「要相談」は to be discussed、「応相談」は negotiable
- consultation を機械的に当てはめると通じないことがある
結論から言えば、日本語の「〜相談」という複合語は、英語ではまったく別々の語に分かれます。consultation を機械的に当てはめても通じないことが多いのです。
理由は、日本語の「相談」が場所・制度・サービスの名称にまで拡張されているからです。英語ではそれぞれの機能に応じた語が使われます。
よく使う「〜相談」の英訳
相談センターは support center または guidance center、人生相談は life coaching や counseling、進路相談は career guidance counseling と表現します。
結婚相談所は matchmaking agency、結婚生活の相談は marriage counseling です。同じ「結婚相談」でも、出会いを探す場と関係を修復する場ではまったく別の語になる点に注意しましょう。
法律相談は legal advisory または legal consultation、相談窓口は customer service や helpdesk、相続相談は inheritance consulting、悩み相談は counseling です。
ビジネス文書で役立つ二語
実務で特に出番が多いのが「要相談」と「応相談」です。この二つは決まった言い方があるので、そのまま覚えてしまいましょう。
納期は応相談です。
negotiable は go にアクセント(ネゴウシャブル)。柔軟に対応する用意があるという前向きな印象を与えます。
見積書や求人票、契約条件の提示など、交渉の余地があることを示すとき。
×The delivery date is consultation. とは言えません。「要相談」は to be discussed で、TBD と略されることもあります。ただし TBD は to be determined(未定)の略でもあるため、文脈で誤解されないよう配慮しましょう。
「また別途相談させてください」は Let’s discuss this again later. で足ります。丁寧にしたければ I’d like to revisit this at a later date. という言い方もあります。
対面での相談は表情や間で補えますが、メールはそうはいきません。次は文面での相談の組み立て方を見ていきましょう。
相談メールの書き方と使える型
- 件名だけで用件が分かるようにする
- 冒頭でメールの趣旨を述べ、相談事項が複数なら箇条書きにする
- 初対面には My apologies for this impromptu email. が定型句
- 結語は Kind regards, / Best regards, などを選べば失礼にならない
対面より難しいのがメールでの相談です。理由は明快で、相手は一日に何十通も受け取っているため、何を相談したいのかが一目でわかる構成が求められるからです。
押さえるべき点は三つ。件名を見ただけで用件が分かるようにすること。冒頭でメールの趣旨を述べること。相談事項が複数あるなら箇条書きで整理すること。
この三点を守るだけで、返信の得やすさは目に見えて変わります。実例で確認しましょう。
例1:取引先への相談メール
Dear Mr. Sanchez,
My name is Masato Tsuchida at DC Co., Ltd. I have taken over our website management duties from my predecessor, Aya Kato. I look forward to working with you.
We are now planning to create a blog and would like to consult you on the items below:– how much it will cost to create blog content– whether you can handle 10 articles per month
I would appreciate it if we could have a meeting soon. May I ask for a few possible dates that will be convenient for you next week? Please forgive me for giving such short notice. We look forward to hearing back from you.
Best regards,Masato Tsuchida
件名で「見積依頼」と明示。自己紹介と引き継ぎの経緯を述べ、相談事項を箇条書きで二点に整理。最後に日程調整の依頼で締めています。
例2:初めての相手への問い合わせ
My apologies for this impromptu email.
I’m wanting to contact the Sports Science Lab, who might be able to help my son gain a day or two of on-site experience, as he is interested in the Sport Science Course at the university. We would appreciate it if you could give us any advice.
I look forward to hearing from you soon.
Kind regards,Riku Richards
突然の連絡を詫びる定型句から入り、なぜ連絡したのかを早い段階で明示。相手が対応可否を判断できる形で依頼しています。
初対面の相手へのメールで押さえたい作法をまとめておきます。宛名には Dear を使う。突然の連絡であればその旨を詫びる。なぜ連絡したのかを早い段階で明示する。相手にとって対応可能かどうかが判断できる形で質問する。
締めには I look forward to hearing from you soon. を置き、結語は Kind regards, / Best regards, / Yours sincerely, / All the best のいずれかを選べば失礼になりません。
例3:社内向けの軽めの相談メール
Hi, this is Kyota from Product Development. As you may have heard from Hika, we are currently in need of a new member who has a good command of the Japanese language, and I would like to ask for your advice on how we should proceed. We know that this new person does not have to be a full-timer, but I am still yet to decide whether it would be best to look for a part-timer or an intern.
Would it be OK if I set up a meeting with you on the 25th this month?
Thank you, and talk to you later,Kyota
社内なので Hello で始め、所属を短く名乗ります。背景を共有したうえで ask for your advice on ~ と相談内容を明示し、具体的な日程提案で締めています。
社内向けであれば、このくらい軽い調子でも構いません。相手との距離に応じて、書き出しと結語の硬さを調整するのがコツです。
ここまでで表現は一通り揃いました。最後に、間違えやすいポイントをまとめて点検しておきましょう。
つまずきやすいポイントの総点検
- advice は名詞、advise は動詞。発音も s と z で異なる
- consult to、discuss about はいずれも誤り
- 「相談させてください」を Let me consult you. と直訳しない
- counsel は助言を与える側の行為を指すことが多い
ここまで各所で触れてきた誤りやすい点を、あらためて一箇所に集めて確認します。書いた後の見直しリストとして使ってください。
advice と advise の混同
advice は名詞、advise は動詞です。綴りが一文字違うだけなので、書き間違いが非常に多く見られます。
発音も異なります。advice は語尾が s の音、advise は z の音になります。名詞のほうは不可算なので an advice とは言えず、数えたい場合は a piece of advice、some advice とします。
使い分けの例としては、I need your advice.(あなたの助言が必要です)と Could you advise me on this?(この件について助言いただけますか)のようになります。
前置詞の余分・不足
consult to someone、discuss about the issue はいずれも誤りです。正しくは consult someone(または consult with someone)、discuss the issue となります。逆に、talk to you about it の about のように必要な前置詞を落とすと文が成立しません。「日本語の助詞に引きずられていないか」を確認する習慣が有効です。
「相談させてください」の直訳
日本語では「相談させてください」と自分を低めて表現しますが、英語で Let me consult you. とは言いません。この形は不自然に響きます。
英語では、相手から何かをもらう形で表現するのが自然です。I’d like to ask for your advice.(ご助言をいただきたいのですが)や Could I get your input on this?(この件についてご意見をいただけますか)のようにします。
counsel と consult
counsel は心理的・法的な助言を与える側の行為を指すことが多く、日常の相談には向きません。相談する側の動作としては consult や ask for advice を選んでください。
なお counseling という名詞形は「心理相談」の意味で日本語にも定着しており、この用法であれば問題なく使えます。
誤りの型が見えたところで、これらを定着させる練習方法に進みましょう。

使いこなすための練習メニューと復習計画
- 自分の「相談したいこと」を三つ書き出し、相手まで決めて英作文する
- 同じ悩みを相手違いで三通りに言い換えると使い分けが体に入る
- 用件を先に一文で言い切る順序を練習する
- 表現が出ないときは Can I talk to you about something? で始める
表現を覚えるだけでは、いざというときに口から出てきません。理由は、記憶が「単語と訳語の対」の形で保存されており、場面と結びついていないからです。
そこで有効なのが、自分の生活に紐づけた英作文です。具体的な手順を示します。
ステップ1:相談したいことを三つ書き出す
まず、いま自分が誰かに相談したいことを日本語で三つ書き出します。仕事のこと、家庭のこと、健康のこと、何でも構いません。
大切なのは、架空の題材ではなく実際に抱えていることを選ぶ点です。自分ごとであるほど、表現が記憶に残ります。
ステップ2:相手を決めて動詞を選ぶ
次に、それぞれを誰に相談するかまで決めます。医者に相談するなら consult、友人に打ち明けるなら talk to、上司に判断を仰ぐなら ask for your advice。
ここで冒頭の二軸を思い出してください。相手との距離と専門性、そして自分が何を得たいのか。この二つを確認してから動詞を選びます。
ステップ3:同じ悩みを三通りで言い換える
最も効果的なのがこのステップです。ひとつの悩みについて、相手を変えて三通りの英文を作ります。
たとえば「今の仕事を続けるべきか」という悩みなら、キャリアの専門家には I’d like to consult a career advisor about my next step.、親友には I need to talk to you about something. It’s about my job.、上司には Could I ask for your advice on my career path?
同じ悩みでも相手が変わると表現が変わる、という体験をすると定着が早まります。頭で理解するのと、手を動かして書き分けるのとでは、身につき方がまったく違います。
ステップ4:用件を先に言う順序を練習する
前章の会話例のように、まず何を相談したいのかを一文で言い切ってから背景を説明する順序も練習しておくと効果的です。
英語では結論を先に置くほうが伝わりやすく、I need to consult with you about the test. のように用件を最初に示すと、相手も心の準備ができます。逆に背景から長々と話すと、相手は「結局何が言いたいのか」と身構えてしまいます。
一週間の復習リズム例
初日に本記事の表現から使いそうなものを五つ選び、自分の状況に当てはめた例文を作ります。二日目から四日目は、その五文を声に出して読み、書かずに言えるかを確認します。
五日目は相談メールを一通、実際に書いてみます。六日目は誤用リストを見返し、自分の作った文に consult to や discuss about が混ざっていないか点検します。七日目は、覚えた表現のうち実際に使えたものを振り返る日にあてます。
完璧を目指す必要はありません。五つのうち二つでも口から出るようになれば、次の週の五つが積み上がります。
表現が出てこないときの逃げ道
最後にひとつ。表現が思い出せないときに固まらないことが何より大切です。Can I talk to you about something? という中学レベルの一文があれば、たいていの相談は始められます。
難しい語を探すより、簡単な言葉で会話の扉を開けるほうが、実際のコミュニケーションでははるかに役に立ちます。扉が開いてしまえば、あとは相手が助けてくれます。
とはいえ、書いた英文が自然かどうか、発音が伝わるかどうかは自分では判断しにくいものです。相手のいる環境で試してみると、独学では気づけない癖が見えてきます。
よくある質問
- consult と consult with の使い分けは「専門性の有無」が目安
- 迷ったときは talk to や ask for advice が安全
- 「相談」の名詞形は場面ごとに別の語を選ぶ
最後に、学習者からよく挙がる疑問をまとめました。迷いやすい箇所を短くおさらいしておきましょう。
日本語の「相談する」は一語でも、英語では相手と目的によって表現が分かれます。逆に言えば、その二つさえ決まれば選ぶべき言葉はほぼ絞られるということです。
今日覚えるのは一つで構いません。明日誰かに相談する場面を思い浮かべて、その相手にふさわしい一文を書いてみてください。それが次に口をついて出る表現になります。

