
海外で知り合った人と食事に行けば、ほぼ確実に「飲む?飲まない?」という話題になります。そこで「私はお酒に強いほうです」「あまり飲めないんです」と一言添えられるだけで、その場の空気は驚くほど和らぎます。逆に何も言えないまま曖昧に笑ってやり過ごすと、勧められ続けて苦しくなる、という残念な展開になりがちです。
ところが困ったことに、日本語の感覚をそのまま英語に置き換えると、まったく別の意味になってしまう表現がいくつもあります。その代表格が「強い・弱い」です。I’m strong at alcohol と言っても伝わりません。むしろ聞き手が一瞬固まる、というのが実際に起きることです。
この記事を読み終えると、お酒の強さ・弱さを自然な英語で言い分けられるようになります。加えて、誘い方と断り方、乾杯の掛け声、ほろ酔いから泥酔までの段階表現、二日酔いの言い方、飲み放題やチェイサーといった周辺語彙、そして海外の飲酒マナーまで、飲みの席で必要になるものを一通り手に入れられます。単語の羅列ではなく、その場で口に出せる形で並べてあります。
お酒にまつわる語彙は、教科書ではほとんど扱われないのに、実生活での登場頻度がとても高い分野です。だからこそ差がつきます。独学で伸ばしたい方は英語教室のような場で実際に声に出す練習を組み合わせると定着が早くなりますが、まずはこの記事の表現を頭に入れてしまいましょう。
では、最初の一歩として「お酒」という単語そのものから確認していきます。ここを押さえると、後の表現がすべてつながって見えてきます。
お酒は英語で「alcohol」だが、会話の主役は「drink」
- お酒を指す単語は alcohol だが、日常会話では drink がに多く使われる
- drink は目的語なしで「お酒を飲む」を意味する自動詞として機能する
- 飲みに誘うときは go for a drink / get a drink が定番の組み合わせ
- 飲酒習慣を尋ねるなら Do you drink? が最も自然で、Can you drink alcohol? は不自然に響く
結論から言えば、会話で「お酒」の話をするときの中心語は alcohol ではなく drink です。この一語を使いこなせるかどうかで、自然さが大きく変わります。
理由は、alcohol という語がやや硬く、成分寄りの響きを持つためです。alcohol は厳密にはエタノールという成分名でもあります。飲み物としてのお酒をはっきり示したいときは alcoholic drinks や alcoholic beverages(アルコール飲料)という言い方をします。
使われる場所にも傾向があります。メニュー表やレストランの案内、機内サービスの説明では beverages のほうがよく見かけます。一方、友人同士の会話では drinks が一般的です。
- フレーズ
- Do you serve alcoholic beverages?
- 日本語訳
- アルコール類は置いていますか?
- 使う場面
- 初めて入るカフェやレストランで、酒類の取り扱いを確認するとき。宗教的な事情で酒を出さない店もあるため、海外では実際に役立つ質問です。
- 注意点
- 友人に対してこの言い方をすると、書類のような硬さが出ます。友人相手なら Do they have beer here? のように具体的な酒名で聞くほうが自然です。
- 発音・ニュアンス
- beverages は「ベヴァリジズ」で第一音節に強勢。日本語のカタカナ発音「ビバレッジ」と母音が異なるため、be の部分を「ベ」に寄せると通じやすくなります。alcohol は「アルコホール」ではなく「アルカホール」に近い響きです。
では「お酒を飲む」はどう言うのでしょうか。理屈のうえでは drink alcoholic drinks となりますが、実際の会話でこう言う人はまずいません。英語では drink という動詞だけで「お酒を飲む」を意味します。
興味深いのは、これが英語だけの現象ではないという点です。日本語の「飲む」も、フランス語の boire も、ドイツ語の trinken も、目的語なしで使えば飲酒を指します。人類共通の省略と言ってもいいかもしれません。
英語の drink もその一つで、目的語を置かずに自動詞として使えば、水やお茶ではなくお酒のことだと理解されます。この感覚をつかんでおくと、後で出てくる I don’t drink. の意味の重さも自然に納得できます。
go / get を組み合わせた定番の言い回し
drink を名詞として使うときは、前に go や get を置くのが自然です。どちらを使っても意味に大きな差はなく、好みや地域差の範囲と考えて構いません。
- フレーズ
- Do you want to go for a drink after this?
- 日本語訳
- この後、一杯どうですか?
- 使う場面
- 会議やイベントの後、同僚や知り合いを気軽に誘うとき。after this が「この後」を指すので、その場の流れで使えます。
- 注意点
- go for a drink の a は「一杯だけ」という約束ではありません。日本語の「一杯どう?」と同じで、結果的に何杯になっても問題ない社交的な表現です。
- 発音・ニュアンス
- want to は会話では「ワナ」とつながります。go for a は「ゴーフォラ」と一息で言うと自然です。丁寧さは中間で、初対面でも同僚相手でも使える万能な高さです。
- フレーズ
- Let’s go get a drink.
- 日本語訳
- 飲みに行こう!
- 使う場面
- 友人や気の置けない同僚を、明るく誘うとき。すでに行くことがほぼ決まっている空気の中で使うと軽快です。
- 注意点
- go get のように動詞が二つ並ぶ形は口語特有です。文章として書くときは go and get a drink とするか、go for a drink に置き換えるほうが無難です。
- 発音・ニュアンス
- 「レツゴーゲッタドリンク」と一続きに。get a が「ゲッタ」になる連結を意識すると一気にこなれます。カジュアル度は高め。
もう一つ、誘いをやわらげたいときに便利なのが Why don’t we 〜? の形です。Why don’t we go for a drink?(一杯飲みに行かない?)は、相手に判断を委ねる響きがあり、押しつけになりません。
go for は「〜を求めて行く」という意味で、go for lunch なら「ランチに行く」になります。この型を覚えると、go for a coffee(コーヒーを飲みに行く)、go for a walk(散歩に行く)と応用が広がります。
最初から長くなりそうな予感があるときは、Go for a drink, or two?(一杯、いや二杯くらいどう?)とおどけて言うこともできます。こうした一言で場が笑いに包まれると、その後の会話がぐっと楽になります。
相手との距離で誘い方を切り替える
もっともくだけた場面なら Wanna get a drink? で十分です。Do you を省略した形で、友人同士のメッセージアプリでもよく使われます。
逆に上司や取引先など、少し距離のある相手にはクッションを置いた言い方が向いています。相手の都合を先に気遣う形にすると、断る余地を残せるので相手も答えやすくなります。
- フレーズ
- If you’re not busy, would you like to get a drink?
- 日本語訳
- お忙しくなければ、飲みに行きませんか?
- 使う場面
- 上司、取引先、年上の知人など、丁寧さが必要な相手を誘うとき。条件節を前に置くことで、断りやすさを相手に贈る形になります。
- 注意点
- would you like to を Do you want to に置き換えると丁寧さが一段下がります。相手が明確に上位の立場なら would を選んでください。
- 発音・ニュアンス
- would you は「ウッジュー」と融合します。文末を上げすぎず、やや控えめに落とすと押しつけ感が消えます。
- フレーズ
- When you’re free, let’s grab a drink sometime.
- 日本語訳
- お時間のあるときに、いつか一杯いかがですか。
- 使う場面
- 今すぐではなく、将来的な約束としてゆるやかに誘うとき。別れ際の一言としても使いやすい形です。
- 注意点
- sometime が入ると社交辞令に近い響きになります。本気で予定を組みたいときは、How about Friday? のように具体的な日を添えてください。
- 発音・ニュアンス
- grab a drink は「グラバドリンク」。grab には「軽くつまむ」感覚があり、堅苦しくない誘いになります。grab a bite なら「軽く食べる」です。
「お酒は飲みますか?」は Do you drink? が正解
初対面の相手に飲酒習慣を尋ねるとき、多くの学習者がつまずくのが Can you drink alcohol? という言い方です。文法的には成立しますが、響きが大きくずれます。
Can you drink alcohol? は「あなたはアルコールという成分を摂取することが可能ですか?」という、体質やアレルギーを確認するような響きになります。健康診断の問診票のような不自然さが出るため、雑談の場では避けてください。Do you drink alcohol? も間違いではありませんが、drink 自体にお酒の意味が含まれているため、やや冗長に聞こえます。
もっともシンプルで自然なのは Do you drink? です。たった三語で、飲酒習慣があるかどうかを尋ねられます。
- フレーズ
- Do you drink?
- 日本語訳
- お酒は飲みますか?
- 使う場面
- 食事に行く店を決める前、あるいは乾杯の飲み物を選ぶ前に、相手の習慣を確認するとき。
- 注意点
- 相手が No と答えたら、理由を追及しないのが礼儀です。宗教、健康、回復途上など、踏み込まれたくない背景があり得ます。
- 発音・ニュアンス
- 「ドゥユドリンク?」と軽く。文末を上げて疑問文らしく。詰問調にならないよう、笑顔と軽い調子を添えるのがコツです。
答え方も同じ調子で構いません。飲む場合は Yeah, I drink. Not every day, though.(ええ、飲みますよ。毎日ではないですけど)のように、一言添えると会話が続きます。
飲まない場合は No, I don’t drink at all.(いえ、まったく飲まないんです)とはっきり言って問題ありません。at all を付けると「一滴も」という明確さが加わります。
さて、ここまでで「お酒」と「飲む」の基本形が整いました。次はこの記事の中心テーマ、「強い」をどう言うかに進みます。ここが最大の落とし穴です。

「お酒に強い」を英語で言う五つの型
- strong / weak は人ではなく飲み物のアルコール度数に使う語である
- もっとも使いやすいのは I can drink a lot. で、can を落とすと意味が変わる
- hold one’s drink は「酔っても乱れない」という含みを持つ
- high tolerance は体質を淡々と伝えられる中立的な言い方
- drink like a fish や drink someone under the table は親しい相手向けの慣用句
日本語では飲める量を「強い・弱い」で表しますが、英語で strong や weak を人に対して使うと通じません。まずこの一点を、しっかり頭に刻んでおきましょう。
strong / weak はお酒そのものに使う語
英語の strong と weak は、飲み手ではなく飲み物の側を評価する言葉です。アルコール度数が高ければ strong、薄ければ weak になります。
This cocktail is really strong.(このカクテル、かなり強いね)や Could you make it a little weaker?(もう少し薄めにしてもらえますか?)が正しい使い方です。後者はバーで自分のペースを守るのに役立つので、覚えておくと安心です。
I’m strong at alcohol / I’m weak at alcohol という言い方は英語として成り立ちません。聞き手は一瞬固まり、悪気なく笑われることもあります。人の耐性は量や tolerance で表し、飲み物の度数は strong / weak で表す、と役割を分けて覚えてください。
can drink a lot ― もっとも自然で使いやすい
英語では「強い/弱い」という抽象的な尺度ではなく、「たくさん飲める/あまり飲めない」と量で表現するのが基本です。この発想の切り替えが、すべての言い換えの土台になります。
- フレーズ
- I can drink a lot.
- 日本語訳
- お酒はけっこう強いです。
- 使う場面
- 飲みの席で自分の強さを伝えるとき。初対面でも失礼にならず、相手の年齢や立場を問わず使えます。相手に尋ねるなら Can you drink a lot?(お酒、強いほう?)。
- 注意点
- can を外して I drink a lot. と言うと、量ではなく頻度の話になり「しょっちゅう飲んでいる」というニュアンスに変わります。強さを伝えたいのに酒好きの告白になってしまうので、can を落とさないでください。
- 発音・ニュアンス
- can は弱く「クン」に近く、a lot に強勢を置きます。「アイクンドリンカラッ」のリズム。中立的で誇張のない響きです。
a lot を省いて I can drink. と言うだけでも「飲める人」という意味になります。ただし文脈が薄いと「飲むことは可能」という程度に受け取られるので、強さを主張したいときは a lot を付けたほうが明確です。
量をもう少し具体的に言いたいときは、I can handle about five or six beers.(ビール五、六杯ならいけます)のように数で示す方法もあります。数字が入ると誇張のない、信頼できる自己申告になります。
hold one’s drink / hold one’s liquor ― 乱れない人
hold を使った言い方は、単に量が飲めるだけでなく「酔っても崩れない」という含みを持ちます。日本語の「お酒に呑まれない人」に近い感覚です。
- フレーズ
- He can really hold his drink.
- 日本語訳
- 彼は本当にお酒に強い。
- 使う場面
- 第三者の強さを評価するとき。飲んでも態度が変わらない人への軽い称賛として使われます。She holds her liquor really well.(彼女は飲んでも全然乱れない)も同じ発想です。
- 注意点
- 所有格は主語に合わせて変える必要があります。hold my drink、hold her drink のように活用してください。物理的にグラスを持つ意味の Hold my drink.(ちょっとグラス持ってて)と紛らわしいため、慣用句として使うときは well や really を添えると誤解が減ります。
- 発音・ニュアンス
- liquor は「リカー」で、qu を「クワ」と読まない点に注意。アメリカでは hold one’s liquor、イギリスでは hold one’s drink が耳になじみやすい傾向があります。liquor は本来蒸留酒を指しますが、この慣用句では酒全般を意味します。
heavy drinker / big drinker ― 量と頻度の大酒飲み
He’s a big drinker.(彼は大の酒好きだ)、My father is a heavy drinker.(父は酒量が多い)という言い方もあります。ただしこの二つは「強い」というより「よく飲む」に重心があります。
とくに heavy drinker は、健康を心配するような、ややネガティブな響きを帯びることがあります。初対面の相手を褒めるつもりで使うのは避けたほうが無難です。
自分について軽く言うぶんには問題ありません。I used to be a heavy drinker, but I’ve cut back.(昔は相当飲んでいましたが、控えるようになりました)のように、過去の話として使うと自然です。
drink like a fish ― 日本語の「ザル」「うわばみ」
She drinks like a fish.(彼女は底なしだね)は、魚が口を開けて水を通し続ける様子から生まれた比喩です。日本語では蟒蛇(うわばみ)と蛇に例えるのに対し、英語では魚に例えるという対比が面白いところです。
drink like a fish は冗談めかした褒め言葉として使われる一方で、飲みすぎを揶揄する文脈でも登場します。相手との距離感を見て使ってください。とくに相手の飲酒量を心配している人が同席している場では、軽口として響かない可能性があります。
high tolerance ― 酔いにくい体質を中立的に伝える
tolerance は「耐性」という意味で、医学的・体質的なニュアンスを含みます。「量を飲む人」ではなく「酔いにくい人」を正確に表せる便利な語です。
- フレーズ
- I have a high tolerance for alcohol.
- 日本語訳
- アルコールへの耐性が高いんです。
- 使う場面
- 酒好きだと思われたくないけれど、酔いにくい体質であることを伝えたいとき。ビジネスの会食でも使える落ち着いた表現です。
- 注意点
- 文脈からお酒の話だと明らかなら、for alcohol は省いて I have a high tolerance. で通じます。低い場合は I have a low tolerance. と言えば、そのまま「お酒に弱い」になります。
- 発音・ニュアンス
- tolerance は「タラランス」に近く、第一音節に強勢。感情を交えず淡々と伝えられるのが最大の利点で、飲めない理由を説明するときにも重宝します。動詞形を使った She tolerates alcohol better than I do.(彼女のほうが私よりお酒に強い)も自然です。
遠回しに強さを伝える描写型の言い方
決まり文句以外にも、状況を描写して強さを伝える方法があります。会話に表情が出るので、慣れてきたら取り入れてみてください。
It takes a lot to get me drunk.(かなり飲まないと酔わないんです)は、It takes 〜 to …(〜すれば…になる)の型を使った言い方です。No matter how much I drink, I never get drunk.(どれだけ飲んでも酔わないんですよ)も同様に、経験談として自然に響きます。
遊び心のある一言としては I could probably drink you under the table.(たぶん一緒に飲んだらあなたが先につぶれますよ)があります。drink someone under the table は「飲み比べで相手をテーブルの下に沈める」という直訳から、飲み比べで勝つことを表す慣用句です。
これは仲のいい相手との冗談として盛り上がる表現です。ただし実際に飲み比べを始めるのは健康上のリスクがあるので、言葉の遊びで終わらせるのが賢明です。
では、逆の立場はどうでしょうか。実は日本人学習者にとって出番が多いのは、こちらの「弱い」側の表現です。しかも表現の幅が広く、使い分けを間違えると思わぬ誤解を招きます。
「お酒に弱い」を英語で言い分ける
- I can’t drink much. がもっとも汎用性が高く、どんな相手にも使える
- I don’t drink. と I don’t drink much. は意味が大きく異なる
- lightweight は親しい間柄向けのくだけたスラング
- 体質的に飲めないなら I can’t drink. / can’t handle alcohol が明確
- 顔が赤くなる体質は alcohol flush reaction と説明できる
弱いほうも weak は使いません。こちらは表現の幅が広く、体質なのか、好みなのか、その日の体調なのかで言い分ける必要があります。
I can’t drink much ― もっとも汎用性が高い
- フレーズ
- I can’t drink much. I get drunk easily.
- 日本語訳
- あまり飲めなくて、すぐ酔っちゃうんです。
- 使う場面
- 飲みの席の最初に、自分のペースを伝えておきたいとき。この二文をセットで覚えておくと、たいていの場面をカバーできます。相手も勧める量を調整してくれます。
- 注意点
- much を落とすと I can’t drink.(一滴も飲めない)になり、意味が変わります。少しは飲むつもりなら much を必ず添えてください。
- 発音・ニュアンス
- can’t は「キャーント」または「キャント」で、can より強く長めに発音するのが区別のコツです。get drunk easily は easily に軽く強勢を置きます。謝罪の色はなく、事実の共有として明るく言って構いません。
I get drunk easily. は「〜しやすい」を表す get + 形容詞 + easily の型です。I get tired easily.(疲れやすい)、I get sleepy easily.(眠くなりやすい)と同じ構造で、応用が利きます。
体質を説明する場面で重宝する型なので、お酒以外でも使えるよう覚えておくと便利です。I get carsick easily.(乗り物に酔いやすい)などもすぐ作れます。
don’t を使うときは much を忘れない
I don’t drink much.(あまり飲まないんです)や I’m not a big drinker.(そんなに飲むほうじゃないんです)も便利な言い方です。can’t ではなく don’t を使うと、能力ではなく習慣の話になります。
much を落として I don’t drink. とだけ言うと、「まったく飲まない(下戸である、あるいは飲酒しない主義)」という意味に変わります。少しは飲むつもりなのに完全禁酒だと受け取られ、以降ソフトドリンクしか勧められなくなる、という行き違いが起こります。逆に、はっきり断りたいときは意図的に much を外すという使い方もできます。
この much の有無は、日本語話者がもっとも取りこぼしやすい一語です。声に出して練習するときは、I don’t drink much. の much を意識的に強めておくと、本番でも落ちにくくなります。
lightweight ― 親しい間柄で使うくだけた言い方
- フレーズ
- I’m a lightweight.
- 日本語訳
- 私、お酒弱いんだ。
- 使う場面
- 友人同士の気軽な会話で、自分の弱さを笑いに変えながら伝えるとき。He’s such a lightweight. Two beers and he’s done.(あいつほんと弱いんだよ。ビール二杯でもう限界)のように第三者にも使えます。
- 注意点
- ボクシングのライト級に由来するスラングで、半ば冗談としてからかうニュアンスを含みます。目上の人や初対面の相手に使うと軽すぎるので、その場合は I can’t drink much. を選んでください。他人に向けて使うときは、相手が気にしていないか見極めることも大切です。
- 発音・ニュアンス
- 「ライトウェイト」で light に強勢。自己申告として使うと、自分を軽く笑う余裕が伝わり、場が和みます。
can’t handle alcohol / can’t drink ― 体質的に飲めない
He can’t handle alcohol.(彼はお酒を受け付けないんだ)や I can’t drink. I’m allergic.(飲めないんです。アレルギーなので)は、身体的な理由をはっきり示す言い方です。
I can’t drink. を単独で使うと、体質やアレルギー、服薬など、意思ではなく身体的な理由で一滴も受け付けないという意味になります。だからこそ、はっきり断りたいときには強力なフレーズです。
逆に「少しは飲めるけれど今日は控えたい」だけなら、この言い方は避けましょう。その場合は次章で扱う断り方のほうが状況に合います。
日本人に多い、飲むとすぐ顔が赤くなる体質は alcohol flush reaction と呼ばれ、口語では Asian flush や Asian glow と言われます。
- フレーズ
- I get red in the face after just one drink. It’s called alcohol flush reaction.
- 日本語訳
- 一杯で顔が真っ赤になるんです。アルコール紅潮反応というやつで。
- 使う場面
- 顔が赤くなったことを心配された、あるいは指摘されたとき。体質であって具合が悪いわけではないと説明できます。
- 注意点
- Asian flush は当事者同士では気軽に使われますが、他人の顔色を指してこの語を口にするのは失礼になり得ます。自分について言うときだけに留めるのが安全です。
- 発音・ニュアンス
- flush は「フラッシュ」で、光の flash とは母音が違います。医学用語を添えると、単なる照れではなく生理的反応だと伝わり、無理に勧められにくくなります。
飲まない人を表す語
宗教や健康、回復途上など、飲まない理由はさまざまです。理由を詮索しないのが海外での基本マナーですが、自分から説明したいときには次の語が使えます。
- teetotaler 一滴も飲まない人(禁酒主義者)。やや古風だが今も通じる語。
- sober しらふの、あるいは断酒している状態。I’ve been sober for two years. で「二年断酒しています」。
- I’m the designated driver tonight. 今夜は運転手役なので飲みません。
- I’m taking a break from drinking. 今はお酒を控えているところです。理由を明かさずに断れる便利な言い方。
- I’m on medication. 薬を飲んでいるので。医療上の理由として広く尊重されます。
designated driver(略して DD)は、グループの中で酒を飲まずに送迎を担当する人を指し、車社会の国では広く浸透した仕組みです。これを口にすれば、それ以上勧められることはまずありません。
ここまでで、強さと弱さの言い分けは一通り揃いました。次は、これらが実際の会話でどう流れるのかを、店員と学習者のやり取りで確かめてみましょう。
会話例で流れをつかむ
- 初対面の場面では Do you drink? から自然に強さの話に発展する
- 翌日の会話では飲みすぎを振り返る定型表現が使われる
- for the first time in a while、couldn’t help myself などは応用範囲が広い
- take someone up on 〜 は「お言葉に甘えて」に対応する
単語を並べて覚えるより、やり取りの流れの中に置くと定着しやすくなります。まずは店で注文する場面から見ていきます。
場面1:店で自分のペースを伝える
- 会話
- 店員: Can I get you something to drink?
学習者: What do you recommend?
店員: Our house cocktail is popular, but it’s pretty strong.
学習者: I’m a bit of a lightweight. Could you make it weaker?
店員: Sure, I’ll go easy on the gin. Would you like some water as a chaser?
学習者: Yes, please. That would be great. - 日本語訳
- 店員: お飲み物はいかがですか?
学習者: おすすめは何ですか?
店員: 当店のハウスカクテルが人気ですが、けっこう強めです。
学習者: 私、少し弱いほうなんです。薄めにできますか?
店員: もちろん、ジンを控えめにしますね。チェイサーにお水はいかがですか?
学習者: お願いします。ありがたいです。 - 使う場面
- バーやレストランで最初の一杯を注文するとき。度数を調整してもらう依頼は珍しいことではなく、快く応じてもらえます。
- 注意点
- it’s pretty strong の strong は飲み物に対する用法なので正しい使い方です。一方 I’m a bit of a lightweight. は人について言っているため strong に置き換えられません。この対比が、この記事の核心です。
- 発音・ニュアンス
- go easy on 〜 は「〜を控えめにする」。Go easy on the ice.(氷は少なめで)など応用が広い便利な表現です。a bit of a を挟むと断定が和らぎ、感じよく響きます。
場面2:飲みすぎた翌日のやり取り
- 会話
- 同僚A: I drank too much last night.
同僚B: You looked like you were having a lot of fun.
同僚A: Yeah. I went drinking for the first time in a while, so I couldn’t help myself.
同僚B: How much did you drink?
同僚A: Hmm, I don’t really remember, but I had a lot of beer, wine, and whiskey.
同僚B: Oh, that’s way too much. Rest well today.
同僚A: Thanks. I’ll take you up on that offer. - 日本語訳
- 同僚A: 昨日はちょっと飲みすぎちゃったよ。
同僚B: ずいぶん楽しそうだったわね。
同僚A: そうなんだ。久しぶりに飲んだから楽しくてついつい。
同僚B: どのくらい飲んだの?
同僚A: う〜ん、あんまり覚えていないんだけど、ビールとワインとウイスキーをたくさん飲んだような。
同僚B: それは飲みすぎだよ。今日はゆっくりしてね。
同僚A: ありがとう。そうさせてもらうよ。 - 使う場面
- 飲み会の翌日、職場や学校で顔を合わせたとき。体調を気遣う定番のやり取りです。
- 注意点
- 飲みすぎを繰り返し武勇伝として語るのは、健康面を気にする文化圏では好意的に受け取られないことがあります。一度の失敗として軽く話すぶんに留めるのが無難です。
- 発音・ニュアンス
- way too much の way は「はるかに」を意味する強調語で、too の前に置いて驚きを出します。「ウェイトゥーマッチ」と way を強めに。
会話に出てきた表現の整理
この短いやり取りには、日常会話で頻出する表現がいくつも含まれています。順に見ていきましょう。
for the first time in a while ― 久しぶりに
直訳すると「しばらくぶりで初めて」。「久しぶりに〜した」を表します。同じ意味の It’s been a while. は挨拶として使われることが多いのに対し、こちらは行為とセットで使えるため、日常会話での登場頻度が高い言い回しです。I went to the movies for the first time in a while.(久しぶりに映画を観に行きました)のように、動作を表す文の後ろに置きます。
couldn’t help myself ― つい、我慢できなくて
自分を止められなかった、という意味です。飲みすぎたときだけでなく、食べすぎ、買いすぎ、笑いをこらえきれなかったときなど、幅広く使えます。help oneself は「自制する」の意味で、can’t とセットになって初めてこの用法になります。The cake looked so good, I couldn’t help myself.(ケーキがおいしそうで、つい食べちゃった)が典型例です。なお Help yourself. は「ご自由にどうぞ」という別の意味になるので混同しないでください。
Rest well ― ゆっくり休んで
Take care. と並ぶ、相手を気遣う定番の声かけです。体調が悪い相手にはもちろん、元気な相手にも「今日はのんびりしなよ」という意味で使えます。似た表現に Get some rest. や Take it easy. があります。Take it easy. は別れの挨拶としても機能する便利な一言です。
I’ll take you up on that offer ― お言葉に甘えて
take someone up on … で「相手の申し出に応じる」。日本語の「お言葉に甘えて」「そうさせてもらうね」にぴったり重なる表現です。offer の部分を that に置き換えて I’ll take you up on that. とすることもできます。You said you’d help me move? I’ll take you up on that.(引っ越し手伝ってくれるって言ったよね?じゃあお願いしちゃおうかな)のように、少し前の申し出を持ち出すときにも使えます。
会話の流れがつかめたら、次はグラスを合わせる瞬間の言葉です。ここを知っているだけで、場に加われる感覚が大きく変わります。
乾杯とその場の掛け声
- Cheers! が最も一般的で、イギリス英語では「ありがとう」の意味も持つ
- Let’s make a toast! は改まった場でスピーチを伴うときに使う
- Here’s to 〜! で人や出来事を主役にした乾杯ができる
- Bottoms up! は雰囲気づくりの掛け声で、一気飲みの強要は厳しく見られる
グラスを合わせる瞬間の言葉を、いくつか持っておくと場が華やぎます。使い分けの軸は「くだけているか、改まっているか」です。
まず Cheers! がもっとも一般的な「乾杯!」です。イギリス英語では「ありがとう」「じゃあね」の意味でも使われ、メールの結びに置かれることもあります。
Let’s make a toast! は乾杯の音頭を取ろう、というやや改まった言い方です。結婚式やパーティーでスピーチを伴う場面に向きます。toast は「乾杯の音頭」という名詞で、propose a toast とも言います。
Bottoms up! はグラスの底を上げて、つまり飲み干そう、という掛け声です。日本語の「一気!」に近い勢いがあります。
Bottoms up! は掛け声としては楽しいものの、実際に一気飲みを強要する行為は海外では厳しく見られます。急性アルコール中毒の危険もあり、大学などでは明確に禁止されている場合が少なくありません。あくまで雰囲気づくりの言葉と考えてください。
Here’s to Joe! は「Joeに乾杯!」という形です。誕生日や送別会で主役の名前を入れて使います。Here’s to our success!(成功を祈って!)のように出来事を入れることもできます。
この型は応用が広く、Here’s to new beginnings!(新しい始まりに!)、Here’s to friendship!(友情に!)と自由に作れます。一言添えるだけで、場の主役をきちんと立てられる便利な表現です。
多言語の乾杯が飛び交う理由
多民族国家では、それぞれのルーツの言葉が飛び交うのも特徴です。アイルランド系の Sláinte!、イタリア系の Salute!、スペイン語圏の ¡Salud!、ドイツ語圏の Prost! などは、英語圏のパーティーでもそのまま使われます。
相手の出身に合わせて一言返すと、距離が一気に縮まります。日本語の「乾杯(Kanpai)」も、日本料理店や日本文化に親しみのある人の間では通じることがあります。
乾杯の作法にも小さな違いがあります。多くの文化圏では、乾杯の際に相手の目を見るのが礼儀とされています。グラスばかり見ていると気づかれないことが多いので、視線を合わせる意識を持っておくと印象がよくなります。
さて、乾杯が済んだら次に必要になるのは、飲んでいる最中の自己申告です。今どのくらい酔っているかを言えると、ペース調整がずいぶん楽になります。

酔い具合を段階で言い分ける
- しらふは sober、ほろ酔いは tipsy / buzzed、泥酔は wasted / hammered
- スラング系は仕事関係の席では避け、穏当な言い方に置き換える
- I’ve had enough. や I’m done for tonight. は場を問わず使える
- 自己申告はペース調整に直結するので、早めに口に出すのが得策
日本語の「ほろ酔い」「いい感じ」「べろべろ」に相当する表現は、英語にも豊富にあります。飲んでいる最中の自己申告は、ペースを調整するうえでも役立ちます。
しらふの段階
I’m sober.(まったく酔っていません)が基本形です。I’m sobering up.(酔いがさめてきました)は進行形で回復の途中を表し、I need to sober up.(酔いをさまさないと)は意思を示します。
sober は「断酒している」という意味にもなるため、文脈で判断されます。I’m staying sober tonight.(今夜は飲まないでおきます)は、飲まない宣言としても使えます。
ほろ酔いの段階
I’m tipsy.(ほろ酔いです)がもっとも一般的です。I’m buzzed.(いい感じに回ってきました)や I’m feeling it.(効いてきたかも)もよく使われる自然な言い方です。
tipsy は tip(傾く)から来た語で、足元がふらつく感じを表します。楽しげで軽い響きがあり、自己申告として使いやすい語です。
しっかり酔った段階
I’m drunk.(酔っ払いました)が中心となる語です。I’m getting drunk.(酔ってきました)は進行中、I’m a little drunk.(少し酔ってます)は程度を和らげた形です。
なお I’m drunk. は日本語の「酔った」よりやや強めに響きます。軽く伝えたいときは a little や a bit を添えるとちょうどよい濃度になります。
泥酔の段階
I’m wasted.(べろべろです)、I’m hammered.(完全に潰れました)、I’m blitzed. / I’m done.(もう限界です)といった語があります。いずれも相当に酔った状態を表します。
wasted、hammered、blitzed はいずれもかなりくだけたスラングです。仕事関係の席で使うと品位を欠いた印象を与えかねません。I’ve had enough.(もう十分いただきました)や I’m done for tonight.(今夜はここまでにします)のような穏当な言い方を選ぶほうが安全です。
段階表現を知っておく実用的な利点は、限界を迎える前に申告できることです。I’m getting tipsy, so I’ll slow down.(ほろ酔いになってきたのでペースを落とします)と言えば、周囲も自然に合わせてくれます。
酔い具合が言えるようになったら、あとは周辺語彙です。ここからは飲みの席で耳にする単語をまとめて押さえていきます。
飲みの席で使える単語帳
- 注文の仕方(on the rocks / straight / a chaser)を押さえると意思が伝わる
- all-you-can-drink は飲み放題、hungover は二日酔いの状態を表す形容詞
- round は順番に全員分をおごる英語圏特有の習慣
- 割り勘にしたいときは Shall we just split the bill? と早めに提案する
飲み会の会話を成立させる語彙をまとめて押さえておきましょう。まずは注文や状態を表す基本語です。
- quit drinking / stop drinking 禁酒する
- tipsy ほろ酔い
- sober しらふ
- bottoms up 飲み干そう(乾杯の掛け声)
- drink up 飲み干す
- all-you-can-drink 飲み放題
- hungover 二日酔いの(名詞は a hangover)
- look flushed 顔が赤い
- nibbles / finger food / bar snacks おつまみ
- whiskey and water ウイスキーの水割り
- on the rocks ロックで
- straight / neat ストレートで
- a chaser チェイサー
- social drinking 付き合いの飲み、接待
- nightcap 寝酒
- a round 一巡ぶんの注文
- tab (バーの)勘定
- BYOB 酒類持ち込み可(Bring Your Own Bottle)
注文の場面では straight と neat の違いが気になるところです。どちらも何も加えないストレートを指しますが、バーでは neat のほうがより一般的に使われます。
日本の居酒屋で当たり前の飲み放題は、英語圏では珍しい仕組みです。all-you-can-drink と説明しても、驚かれることがあります。
round ― 英語圏の飲み文化を理解する鍵
round は英語圏の飲み文化を理解するうえで欠かせない概念です。誰か一人がその場の全員ぶんを注文して支払い、次は別の人が支払う、という順繰りの習慣を指します。
- フレーズ
- It’s my round. What are you having?
- 日本語訳
- 次は私が出すよ。何にする?
- 使う場面
- パブで自分の順番が来たとき。I’ll get the next round.(次は僕が払うね)と先に宣言しておく形もよく使われます。
- 注意点
- 日本の割り勘に慣れていると戸惑いますが、自分の番を飛ばすと印象が悪くなることがあります。グループの人数が多いときは、最初に Shall we just split the bill?(割り勘にしませんか)と提案しておくのも一つの方法です。飲まない人は round に参加しなくても問題ありませんが、一言添えると円滑です。
- 発音・ニュアンス
- What are you having? は現在進行形で注文を尋ねる定番の形です。「ワラユハヴィン」と一続きに言うと自然になります。round の習慣はイギリスやアイルランドでとくに強く根づいています。
では、飲めない、あるいは今日は飲みたくないというときはどうすればよいでしょうか。ここが多くの学習者にとって一番の関心事かもしれません。
誘いを上手に断る
- 断ること自体は失礼ではなく、理由を並べすぎるほうが不自然に映る
- I’m good, thanks. は追加を勧められたときにも使える万能な断り文句
- 参加はするが飲まない、という選択も明確に伝えられる
- I’m pacing myself. でペースを落としていることを示せる
飲めない、あるいは今日は飲みたくないという場面のために、角の立たない断り方も用意しておきましょう。前提として、断ること自体は失礼にあたりません。
むしろ理由をだらだら並べるほうが不自然に映ります。ひと言で完結させ、あとは笑顔で会話を続けるのが、もっとも自然な振る舞いです。
- フレーズ
- I’d love to, but I have an early start tomorrow.
- 日本語訳
- 行きたいのは山々なんですが、明日が早くて。
- 使う場面
- 誘いそのものを断るとき。I’d love to で好意を示してから理由を述べるので、関係を損ねずに済みます。
- 注意点
- but の後の理由は一つで十分です。複数並べると言い訳がましく響きます。Maybe next time. Have fun!(また今度ね。楽しんで!)を添えると、次回への含みも残せます。
- 発音・ニュアンス
- I’d love to は「アイドラヴトゥ」で love に強勢。残念そうな声色を少し乗せると、気持ちが伝わりやすくなります。
- フレーズ
- I’m good, thanks. I’ll stick with water tonight.
- 日本語訳
- 大丈夫です、ありがとう。今夜は水にしておきます。
- 使う場面
- 席にはいるが酒を辞退するとき、あるいは追加を勧められたとき。I’m good. は「間に合っています」という意味の便利な断り文句です。
- 注意点
- I’m good. だけだと文脈次第で「元気です」と受け取られることもあるため、thanks や具体的な代替(water、soda)を添えると意図が明確になります。
- 発音・ニュアンス
- stick with 〜 は「〜で通す」。I’ll stick with beer.(ビールで通します)のように、種類を変えないという意味でも使えます。軽く明るい調子で言えば、まったく気まずさは生じません。
参加はするが飲まない、という立場を示したいときは I’ll come along, but I won’t be drinking.(参加はしますが、お酒は飲まないつもりです)が明確です。誘った側も店を選びやすくなります。
飲む量を抑えたいときには I’m pacing myself.(ペースを落としています)も自然です。pace oneself は「配分を考えて進める」という意味で、仕事や運動にも使える表現です。
断り方が揃ったら、あとは翌朝の会話です。飲んだ後のやり取りも、実は飲み会の楽しみの一部です。
翌朝の会話と二日酔いの表現
- 二日酔いは形容詞 hungover、名詞 a hangover で表す
- black out(記憶喪失)と pass out(意識喪失)は意味が異なる
- I’m never drinking again. は冗談として世界共通で通じる
- 体調の訴えは具体的な症状名を添えると伝わりやすい
飲んだ翌日のやり取りも、飲み会の楽しみの一部です。まず覚えたいのは I’m so hungover.(二日酔いがひどい)という形です。
hungover は形容詞なので be 動詞と組み合わせます。名詞形を使うなら I have a hangover. となります。どちらも同じ意味で通じます。
症状を具体的に言うなら I have a splitting headache.(頭が割れそうに痛い)が便利です。splitting は「割れるような」という強い痛みを表す形容詞で、頭痛と組み合わせる定番の語です。
black out は記憶を失うこと、pass out は意識を失って眠り込むことで、意味が異なります。I blacked out. I don’t remember getting home.(記憶が飛んでる。どうやって帰ったか覚えてない)は前者の用法です。どちらも身体が限界を超えたサインであり、繰り返すべき状態ではありません。軽い笑い話として扱われがちですが、健康上は注意が必要な出来事です。
I’m never drinking again.(もう二度と飲まない)という一文は、世界共通の「守られない誓い」として、冗談まじりによく使われます。深刻に受け取られないので、翌日の軽口として気軽に使えます。
相手が二日酔いのときは、Are you feeling okay?(体調は大丈夫?)や Drink plenty of water.(水をたくさん飲んでね)と声をかけると親切です。気遣いの一言があると、関係がぐっと近づきます。
そのまま使える日常例文
- 飲んだときの変化は when / whenever で自然に表せる
- 過去との比較には used to be able to 〜 が便利
- Let’s call it a night. は解散を提案する定番句
- 短い一文を丸ごと覚えるほうが、単語の暗記より実戦で役立つ
日常の一場面を切り取った文を並べておきます。声に出して読み、そのまま口から出るようにしておくと便利です。
Even when he drinks, he doesn’t change much.(彼は飲んでもあまり変わらない)は、hold his drink と同じ内容をやさしい語彙で言い換えた形です。慣用句を思い出せないときの逃げ道になります。
Whenever I drink, I get sleepy.(飲むといつも眠くなります)や He becomes talkative when he drinks.(彼はお酒を飲むと饒舌になる)は、酔ったときの変化を伝える型です。talkative の代わりに quiet、funny、emotional などを入れれば応用できます。
I like meeting my friends for a drink after work.(友達と仕事帰りに飲みに行くのが好きです)は、趣味を語る場面で使えます。for a drink の形がここでも生きています。
My face turns red after just half a glass.(半分飲んだだけで顔が赤くなります)は、alcohol flush reaction をやさしく説明した言い方です。専門用語を使わなくても十分伝わります。
I used to be able to drink a lot, but not anymore.(昔はたくさん飲めたんですが、今はもう無理です)は、used to be able to 〜 という少し長い型ですが、そのまま覚える価値があります。年齢や体調の変化を語る場面で頻出します。
- フレーズ
- Let’s call it a night.
- 日本語訳
- 今日はこのへんでお開きにしましょう。
- 使う場面
- 飲み会の終わりを提案するとき。終電や翌日の予定を理由に、自然に切り上げられます。
- 注意点
- 仕事を切り上げるときは Let’s call it a day. となり、night と day を場面で使い分けます。夜の集まりで day を使うと違和感が出ます。
- 発音・ニュアンス
- 「レツコーリタナイト」と call it a が繋がります。強引さのない穏やかな提案として響くので、疲れてきたときの切り札になります。
国や文化で変わる飲み方の常識
- 飲めない人に無理に勧めないのが英語圏共通の原則
- 上下関係を理由にした飲酒の強要はハラスメントと受け取られる
- drink responsibly は広告や店の掲示で頻繁に見かける言葉
- アルコール分解酵素の働きには個人差があり、無理に量を増やすのは危険
同じ英語圏でも、飲酒をめぐる感覚には差があります。イギリスやアイルランドではパブが地域の社交場として機能し、仕事帰りに一杯という習慣が根づいています。
一方、アメリカでは州によって販売時間や購入場所の規制が細かく異なります。飲酒可能年齢は21歳と日本より高く設定されており、身分証の提示を求められる場面も多くあります。
共通しているのは、飲めない人に無理に勧めないという原則です。上下関係を理由に飲酒を促す行為は、多くの国でハラスメントと受け取られます。
「飲めないなら理由を言え」と迫るのも同様です。相手が No, thanks. と言ったら、それ以上踏み込まないのが礼儀とされています。
自分が勧められた側になったときも、遠慮して曖昧に受け流す必要はありません。No, thank you. のひと言で十分に通じますし、それで気を悪くする人はまずいません。
むしろ曖昧な返事のほうが、相手に「もう一押しすれば飲むのかな」と誤解させてしまいます。はっきり伝えることが、双方にとって楽な選択です。
drink responsibly という考え方
もう一つ覚えておきたいのが drink responsibly という言葉です。広告やバーの掲示でよく見かけるフレーズで、「節度をもって飲もう」という意味です。
飲酒運転への処罰は多くの国で日本以上に厳しく、送迎役を決めておく、配車アプリを使う、公共交通の終電を確認しておくといった段取りが前提になっています。
飲む前に How are you getting home?(帰りはどうする?)と確認し合うのは、ごく普通のやり取りです。心配ではなく気配りとして受け取られます。
体質の知識は自分を守る材料になる
アルコールを分解する酵素の働きには個人差があり、東アジア系には分解が遅い遺伝的タイプが多いことが知られています。これは努力や慣れではなく、生まれ持った体質です。
顔が赤くなる、動悸がする、頭痛が出るといった反応は、体が処理しきれていないサインです。無理に押し通す理由はどこにもありません。
「慣れれば飲めるようになる」という考え方は、健康上のリスクを高める可能性があります。無理に量を増やそうとするのは避けてください。体調に不安がある場合は、量や頻度について医療の専門家に相談するのが確実です。英語表現を学ぶ目的は、飲める量を増やすことではなく、自分の状態を正確に伝えられるようになることです。
では最後に、ここまでの内容を一覧で確認しておきましょう。避けたい言い方と、代わりに使える言い方を並べます。
言い換えの一覧で最終確認
- 人の耐性は量や tolerance で、飲み物の度数は strong / weak で表す
- much や can の一語の有無が意味を大きく変える
- 迷ったら I can drink a lot. / I can’t drink much. に戻れば安全
避けたい言い方と、代わりに使える言い方を対応させて並べておきます。飲みの席に出かける前に、ここだけ見返すのも有効です。
| 伝えたいこと | 避けたい言い方 | 自然な言い方 |
|---|---|---|
| お酒に強い | I’m strong at alcohol | I can drink a lot / I have a high tolerance |
| お酒に弱い | I’m weak at alcohol | I can’t drink much / I’m a lightweight |
| あまり飲まない | I don’t drink(意味が変わる) | I don’t drink much |
| 全く飲めない | ― | I can’t drink / I can’t handle alcohol |
| お酒は飲みますか | Can you drink alcohol? | Do you drink? |
| 酔いやすい | I’m easy to drunk | I get drunk easily |
| このお酒は度数が高い | ― | This drink is strong |
表の最終行が示すとおり、strong と weak が完全に使えないわけではありません。主語が人ではなく飲み物であれば、まったく問題なく通じます。
「人の耐性は量や tolerance で、飲み物の度数は strong / weak で」と覚えておけば、混乱することはなくなります。この一行が、この記事全体の要約です。
七日間で定着させる練習手順
- 核となる四文を口に出せるようにするのが最初の目標
- 一日に扱う量を絞り、声に出す時間を必ず確保する
- 役割を入れ替えたひとり二役の練習が実戦で効く
- 間隔を空けた復習が記憶の定着を助ける
読んで理解できても、口から出てこなければ飲みの席では使えません。声に出す練習を組み込んだ一週間の流れを置いておきます。
一日目は核となる四文だけに絞ります。I can drink a lot. / I can’t drink much. / I’m a lightweight. / I get drunk easily. をそれぞれ十回、声に出してください。can と can’t、much の有無を体で覚える日です。
二日目は誘い方と断り方です。go for a drink / grab a drink の型を三つ、断り方を三つ選び、実際に相手がいる想定で言ってみます。声の調子まで含めて練習するのがポイントです。
三日目は酔い具合の段階です。sober、tipsy、drunk、wasted の四段階を、自分の実感に紐づけて覚えます。過去の飲み会を思い出しながら、あのときは tipsy だったと当てはめると定着が早まります。
四日目は単語帳の章に戻り、注文に関わる語(on the rocks、neat、a chaser、a round)を実際の注文文の中で使ってみます。I’ll have a whiskey, neat, please. のように文にすると忘れにくくなります。
五日目は会話例の音読です。場面1と場面2を、店員役と学習者役の両方で読んでみてください。ひとり二役の練習は、相手の発言を予測する力を育てます。
六日目は乾杯と翌朝の表現です。Cheers! と Here’s to 〜! を使い、身近な出来事を三つ入れて即興で作ってみます。Here’s to the weekend! のような軽いものでかまいません。
七日目は総復習です。言い換え一覧の表を見ながら、避けたい言い方を自然な言い方に直す作業を口頭で行います。詰まった項目に印を付け、翌週に回してください。
この一週間を終えたら、二週間後、一か月後にもう一度同じ表を見返すのがおすすめです。間隔を空けた復習は、記憶の定着に有効だと広く知られています。

ひとりでの音読に加えて、相手の反応がある環境で試すと、通じたかどうかがその場で分かります。発音やニュアンスの微調整は、人と話す中でこそ進みます。
よくある質問
- 迷いやすい細部を質問形式で整理している
- 丁寧さの度合いと相手との距離が、表現選択の主な基準になる
最後に、学習者からよく挙がる疑問をまとめておきます。細かい点ほど、本番で迷いやすいところです。
「お酒に強い」を一番無難に言うならどれですか?
I can drink a lot. が最も無難です。相手の立場や場の格式を問わず使え、誇張や自慢の響きもありません。もう少し中立的に伝えたいなら I have a high tolerance. も適しています。heavy drinker や drink like a fish は響きに癖があるため、相手との距離が近い場面に限って使うほうが安全です。
I don’t drink. と I can’t drink. はどう違いますか?
I don’t drink. は「飲まない」という習慣や選択を表し、I can’t drink. は体質やアレルギー、服薬などの身体的な理由で飲めないことを表します。どちらも「一滴も飲まない」という強さを持つため、少しは飲むつもりなら much を加えて I don’t drink much. とするのが正確です。理由を言いたくない場合は I don’t drink. のままで十分通じ、それ以上詮索されることはあまりありません。
lightweight は初対面の相手に使っても大丈夫ですか?
自分について言うぶんには問題ありませんが、くだけたスラングなので、格式のある会食や目上の相手には向きません。その場面では I can’t drink much. を選んでください。また、他人に向けて You’re such a lightweight. と言うのは、親しい友人同士の冗談の範囲に留めるべきです。相手が飲めないことを気にしている場合、からかいと受け取られる可能性があります。
飲み放題は英語でどう説明すればよいですか?
all-you-can-drink が対応する言い方です。This place has a two-hour all-you-can-drink plan.(この店は二時間の飲み放題があります)のように使えます。英語圏では飲み放題という仕組み自体が一般的ではないため、驚かれることもあります。食べ放題は all-you-can-eat または buffet で、こちらは広く浸透しています。
お酒を勧められて断りたいとき、理由は言うべきですか?
理由は必須ではありません。No, thank you. や I’m good, thanks. のひと言で十分に通じ、それで気を悪くする人はまずいません。理由を並べるほうがかえって不自然に映ることもあります。伝えたい場合は、I’m driving tonight. や I’m on medication. のように短く一つだけ添えると自然です。曖昧な返事は「もう一押しすれば飲むのかな」と誤解を招くため、はっきり言うほうが双方にとって楽です。
Cheers! 以外の乾杯の言葉はいつ使いますか?
Let’s make a toast! は結婚式や送別会など、スピーチを伴う改まった場面に向きます。Here’s to 〜! は主役や出来事を立てたいときで、Here’s to Joe! や Here’s to our success! のように名前や事柄を入れます。Bottoms up! は勢いのある掛け声ですが、一気飲みを促す行為自体は海外では厳しく見られるため、雰囲気づくりの言葉と考えてください。日常のほとんどの場面は Cheers! で足ります。
black out と pass out はどう使い分けますか?
black out は記憶を失うこと、pass out は意識を失って眠り込むことを指します。I blacked out. なら「記憶が飛んだ」、He passed out on the couch. なら「彼はソファで寝落ちした」という意味になります。いずれも身体が限界を超えたサインであり、軽い笑い話として扱われがちですが、健康面では注意が必要な出来事です。
round の習慣で自分の番を飛ばしても構いませんか?
飲まない場合は無理に参加する必要はありませんが、何も言わずに飛ばすと印象が悪くなることがあります。I’m not drinking tonight, so I’ll skip the round.(今夜は飲まないので順番はパスします)と一言添えると誤解が生じません。人数が多くて負担が大きいときは、最初に Shall we just split the bill?(割り勘にしませんか)と提案するのも一つの方法です。
飲みの席を自分の言葉で楽しむために
- 核となる四文が言えれば、飲めるにせよ飲めないにせよ自分のペースを守れる
- 乾杯の掛け声と酔い具合の言い方が加わると話題に困らなくなる
- 語彙を学ぶ目的は量を増やすことではなく、状態を正確に伝えること
お酒は、大人同士の距離を縮めるきっかけとして世界中で親しまれてきました。同時に、自分の限界を正しく伝えられるかどうかで、その時間が楽しいものになるか苦しいものになるかが分かれます。
I can drink a lot.、I can’t drink much.、I’m a lightweight.、I get drunk easily. ――まずはこの四つを口に出せるようにしておけば、飲めるにせよ飲めないにせよ、自分のペースを守りながら会話を楽しめます。
そこに乾杯の掛け声や酔い具合の言い方が加われば、話題に困ることもなくなるはずです。断り方まで揃えば、飲まない選択も気持ちよく通せます。
量はほどほどに、会話は目一杯に。それではまた、See you!

