教科書ではあまり目にしない「Would you rather ~」の持つ2つの意味と使い方を解説します。ネイティブが良く使う言い回しの一つで、映画やドラマなどでも頻繁に使われるフレーズです。
使い方をマスターして、会話の幅を広げましょう!
レッスンの内容
「Would you rather ~」の基本的な意味と使い方
Would rather は「~の方がいい」「できれば~したい」という2つの意味を持ち、相手の希望を聞く時や自分の意見を伝える時に役立つ言い回しです。
使い方のポイントとして、Rather の後に必ず動詞の原型を置くことを忘れないようにしてください。また、会話の中では、Would は省略して表現されることもあります。
I would rather walk.
発音:アイ ウッドゥ ラダー ウォーク
I’d rather walk.
発音:アイドゥ ラダー ウォーク
どちらを使っても意味やニュアンスに違いはありませんが、会話文では省略して使われることの方が多い印象です。いずれの表現がきてもきちんと聞きとれるようにしておきましょう。
~の方がいい
Would rather ~ の使い方1つ目は、Like better や Want のように、相手の好みを聞いたり、自分の選択を主張する方法です。
A:Would you rather have beer or wine?
ビールとワインどちらがいいですか?
B:I would rather drink beer tonight.
今夜はビールを飲みたいです。
このように、選択肢を提示して相手の希望を聞く場合などに使いましょう。Would rather を使って聞かれた場合は、同じく Would rather を使って答えます。
「Which do you want to drink, beer or wine?」とニュアンスとしてはほとんど同じですので、使い分けなどは特別ありません。
あえて日本語に例えるとすれば、Would you rather が「どちらにしますか?」と聞いているのに対して、Which do you want は「どっちが飲みたいですか?」と聞いているくらいの違いです。
できれば~したい
Would rather ~ の使い方2つ目は、「できれば~」「どちらかと言えば~」と相手への気遣いも含めつつ自分の意見を述べる方法です。
A:Let’s go out for lunch!
ランチでも食べに行こうよ!
B:Umm, I’d rather eat at home.
あ~、できれば家で食べたい気分なのよね。
主張しすぎず、「できたら~がいい」と角を立てずに自分の意見を相手に伝えることができます。
このシチュエーションで「I want to eat at home.(私は家で食べたい)」と言っても自分の気持ちは伝わりますが、誘ってくれた相手に対して冷たい断り方をしている印象を与えます。
また、自分の欲求を Want ばかりで主張するのは子供っぽいと捉えられることもあるでしょう。
相手の気持ちに配慮しつつ、自分の意見を伝える時に Would rather は役に立ちます。
【応用】Than をつけてより詳しく伝える
Would rather の文章に「Than」をプラスすることで、より自分の気持ちを詳しく相手に伝えることができます。
I‘d rather read a book at home.
I‘d rather read a book at home than go out.
上の文章が「私は家で本を読んでいたい」であるのに対して、下の文章は「私は外に出るよりも、家で本を読んでいたい」と、より自分の希望を詳細に伝えています。
I would rather like beer.
I would rather like beer than wine.
こちらも同様に、上は「私はビールがいいです」下は「私はワインよりもビールがいいです」とより丁寧に答えていることがわかります。
このように、Would rather を使う時には「Than+比較対象」を文末にプラスして文章をより詳しくすることができます。
I’d rather go by car than walk.
私は徒歩よりも車で行きたいです。
I would rather eat cold rice than hot one.
熱いご飯より、むしろ冷たいご飯がいいです。
I’d rather relax at home than go outside.
外に行くよりも、できれば家でゆっくりしていたいなぁ。
【応用】疑問詞と組み合わせて使う
「What(何)」や「Where (どこ)」といった疑問詞と組み合わせて使うことで、Would you rather ~ の表現の幅がグンと広がります。Would you rather と一緒に使われることの多い、英語の疑問詞を4つ紹介します。
疑問詞(訳) | 例文 |
What:なに | What would you rather do today? 今日するとしたら、何がしたい? |
Where:どこ | Where would you rather go today? 今日行くとしたら、どこがいい? |
Who:だれ | Who would you rather work with? 一緒に働くとしたら、誰がいい? |
Which:どちら | Which would you rather get marry, rich or kind. 結婚するなら、お金持ちと優しい人どっちのほうがいい? Which would you rather sleep with mom or dad? お父さんとお母さん、寝るならどっちのほうがいい? |
会話中での「Would you rather ~」の活用例
実際の会話の中で「Would you rather ~」がどのように使われているかを、いくつかの例をあげて確認しましょう。
日常シーンでの活用例文
A:Should we wash out car today?
今日、洗車でもしない?
B:Umm.. I’m so tired. I’d rather do it tomorrow.
うーん。疲れているのよね。できれば明日にしたいな。
このように、Would you rather ~ で聞かれていない場合でも 、I would rather を使って答えることができます。
「How about tomorrow?」でも通じますが、こちらだと「明日にしない?/明日はどう?」と軽い提案といったカジュアルな印象になります。
一方、「I’d rather do it tomorrow.」は、「できれば明日にしたい/明日にしてくれたほうがいいな」と丁寧に自分の希望を伝えています。
A:Who would you rather go out with, Ken or Syo?
ケンとショウ、付き合うとしたらどっちがいい?
B:Why do you ask me that?
どうしてそんなこと聞くの?
A:I heard that they want go out with you.
彼らがあなたのこと狙ってるって聞いたのよ。
疑問詞の「Who」と組み合わせた例文です。「もしも/~するとしたら」といった、あくまでも仮定・空想の話であるという「Which do you want to ~」では表現できないニュアンスを含めることができます。
A:We just missed it.
間に合わなかった~。
B:Let me see. The next bus comes in 30 minutes.
どうしようか。次のバスは30分後よ。
A:I would rather walk than wait for 30 minutes.
30分も待つくらいなら、歩きたいな。
B:Sure.
そうしましょう。
Than との組み合わせで「30分も待つくらいなら」を表現しています。相手から、AとBどちらにする?などと提案されていない上記のようなシチュエーションで使っても不自然ではありません。
ビジネスシーンでの活用例文
Would rather の文章は、ビジネスシーンにおいても有効です。比較的丁寧な表現なので、失礼なく自分の希望を伝えることができるでしょう。
具体的な例文をいくつか紹介しますので、参考にしてください。
I would rather you came my office in 1 hour.
できれば、1時以内にオフィスまで来てほしい。
I would rather you came on Friday than on Wednesday.
水曜日よりも、金曜日に来てほしいです。
I would rather they studied English.
できれば、彼らに英語を学んでもらいたい。
I would rather listen to others idea.
私は、他の人の意見を聞きたいと思っている。
Would you rather have a cup of coffee or a cup of tea?
お茶とコーヒーどちらになさいますか?
I would rather go home early tomorrow.
明日、できたら早帰り(早退)したいのですが。
I would rather refrain from making any comments.
この件についてのコメントは差し控えたい。
やんわりとした否定文の作り方
Rather の後に Not を付けることで、「できたら~したくない」というやんわりとした否定を表現できます。
A:I heard boss got mad at you.
上司に怒られたって聞いたぞ。
B:I’d rather not talk about it.
できればその話はしたくないな。
上の文章を「I don’t want to talk about it.」に置き換えると、「その話はしたくない!」と強い否定になります。はっきりと自分の意思を伝えることができるものの、急に冷たい口調で否定されたと受け取られてしまう可能性も…
同じ「その話はしたくない」という意思表示でも、Would rather not の文章は「そういう気分じゃないんだ」「できればやめてほしいな」と角の立たない否定表現です。
相手の提案をやんわりと断りたい時やノリ気じゃないことを伝えたい時に使ってみましょう。
会話中での「Would rather not」の活用例
A:My friend wants to know your phone number. Is it OK with you?
私の友達が、あなたの電話番号を知りたいって言ってるの。教えてもいい?
B:I’d rather not do.
できれば教えたくないな。
A:Do you want to go for a dinner after work?
会社帰り、ご飯いかない?
B:I’d rather not. I eat too much these days.
遠慮しとく。最近食べ過ぎでさ。
A:Are you free to talk now?
いま話せる?
B:I’d rather you not call me this late.
こんな遅い時間に電話はやめてほしいな。
実践!日常会話での「Would you rather ~」の使用例
Mom(母)と Emily(娘)の会話を見てみましょう。
Mom:How about going out tomorrow? Would you rather take a car or bus?
明日お出かけしない?バスと車どちらがいいかしら?
Emily:I’d rather go by a car!
車がいい!
Mom:Why is that?
どうして?
Emily:Because I have to be quiet on the bus.
だってバスでは静かにしていないといけないから。
Mom:I see. OK , let’s do so.
そうね。じゃあ車で行きましょうか。
Emily:Where to?
どこに行くの?
Mom:I’d rather not tell you.
できたら言いたくないわ。
Emily:Tell me!
教えてよ!
Mom:We will go to the dentist’s office. You have to treat cavities.
歯医者さんよ。虫歯を治さないと。
Emily:No! I don’t want to go!
いやだ!行きたくない!
ポイント
会話で出てきた単語や表現をおさらいしましょう。
Going out お出かけ
単純に外へ行くという意味よりも「お出かけ」と何か楽しいことが待っているという意味がこもった時に使われる表現です。
例)Let’s go out and grab dinner. 夜ご飯食べいこうよ。
例)Can I go out, Mom? お母さん、ちょっとお出かけしてきてもいい?
Why is that? どうして?
単純に Why? でもよいのですが、こちらのほうがより「どうしてそう思うの?」と丁寧に聞いているというニュアンスが伝わります。聞かれた方も、しっかりと自分の考えを伝えようと思ってくれるでしょう。
Where to? どこに(行くの)?
かなりカジュアルな表現です。家族間や親しい友人などに「どこに行く予定なのですか?」ではなく「どこに?」とサラッと聞きたい時に使いましょう。
Treat cavities 虫歯治療
Cavities で虫歯ですが、子供に向けていうのであれば Bad tooth でも伝わります。Treat は治療を意味する言葉ですが、場合によっては Fix や Cure が使われることもあります。
例)If you don’t brush your teeth, you will get a bad tooth! 歯磨きしないと、虫歯になっちゃうよ。
会話で使われる関連表現とフレーズ
今回紹介してきた Would you rather ~ と似たような意味を持つ言い回しや英語し表現を2つ紹介します。それぞれ、Would you rather ~ とのニュアンスの違いについても解説していますので、併せて参考にしてください。
I prefer~:~の方がいい
Would rather と同じく、I prefer ~ も「~の方がいい」という意味をもちます。
私は、サッカーよりも野球をするほうがいい。
I prefer playing baseball to football.
I would rather play baseball than football.
Prefer の文章には「(どちらでもいいけど、どちらかと言えば)野球がいい。」というニュアンスが含まれます。「野球の方がいい」と訳すことはできるものの、「どっちでも構わない」という意味合いのほうが強くなってしまいます。
一方で Would rather の文章は「(できれば)野球の方がいい。」となり、どちらでも良いわけではなく「自分は野球がしたい」という意思がよりストレートに伝わる文章です。
初対面の人やあまり親密でない人から、何か提案をされた時には「I prefer ~」を使って選択を委ねつつ若干の希望を伝えるくらいの気遣いをするの好ましいでしょう。
しかし親しい間柄であれば「I would rather ~」を使った方が、自分の意見が的確に伝わるのでおすすめです。
英語圏では、自分の意見をはっきりと伝えることが好まれる傾向にあるため、I prefer ~ ばかり使っていると「意見のない人」「優柔不断な人」という印象を与えかねません。
私は、歩くよりも運転するほうがいい。
I prefer driving to walking.
I would rather drive than walk.
この例では、Prefer の文章では単純な好みを表現しているのに対し、Would rather の文章では「今は(今日は)」という特別感がニュアンスとして含まれます。
普段から運転が好きという事ではなく、今というこのシチュエーションに対して「運転する方がいい」と言っていることが伝わります。
これらの意味の違いに加えて Rather が副詞であるのに対して Prefer は動詞であるという違いもあります。そのため、意味合いは似ているものの、文法が変わってくるため単純な置き換えはできません。
I would like ~:~したい
今回のテーマである Would rather と同じく「Would」を使った表現です。また、「~したい」という自身の希望を伝えるという点も共通しており、使い方を混同してしまう人も多いでしょう。
I would like to drink beer.
私はビールが飲みたいです。
I would rather drink beer.
私はビールのほうが飲みたいです。
Would like では、単純な自分の希望や好みを表現しています。Want をより丁寧に言っているとイメージしてください。
一方で Would rather は「~のほう」となっており何かと比較した時の希望や好みであることがニュアンスとして含まれます。
I want to eat hamburger.
私はハンバーガーが食べたい。
I would like to eat hamburger.
私はハンバーガーが食べたいです。
I would rather eat hamburger (than spaghetti).
私は(スパゲッティよりもむしろ)ハンバーガーのほうが食べたいです。
このように、Would like が、自分の希望を伝える敬語表現であるのに対し、Would rather は、比較対象があっての選択という違いがあります。
まとめ
Would は丁寧語で頻繁に登場するイメージの単語ですが、今回は Rather と組み合わせた時の活用方法について学びました。
子供向けの絵本のタイトルにも使われるなど非常にメジャーな表現方法なので、使い方をマスターしておくとよいでしょう。それではまた、See you!