予防接種や流行り病のワクチン接種など、大人になっても病院で注射を打つ機会はあるものです。今回は「注射」にスポットをあてて、関連する英語表現や単語を学んでいきましょう。
「注射を打つ」英語でなんて言うの?
レッスンの内容
“注射”を表す単語は4つ
日本語では注射を表す単語は1つですが、英語では主に4つのワードが使われます。
基本的にはどの単語を使っても意味は伝わりますし、大きなニュアンスの違いはありません。但し、中級~上級レベルの英語力を身に付けたい場合には、それぞれの単語の特徴や雰囲気の違いを理解して使い分けることが求められます。
4つの単語の特徴を表にまとめました。
単語 | 特徴 |
Injection | ・医療用語としての「注射」 ・堅い言葉で日常会話ではあまり使わない |
Shot | ・ややカジュアルな表現 ・病名+Shot の形で使われることが多い |
Needle | ・スラングに近い表現 ・アメリカ英語 |
Jab | ・スラングに近い表現 ・イギリス英語 |
それぞれの単語について、例文を交えながらより深く確認していきましょう。
Injection
今回紹介している4ワードの中で、最もフォーマルな印象が強いのがこの Injection です。
Injection
発音記号:ɪndʒékʃən
意味:液体を注入する、ある物質を別の物質に加える、注射器を使って体内に薬液を打ち込む(注射)
「注射した?」など、日常的な会話シーンではほとんど使われません。医師からの話や公的な書類、医療関係の記事などで使われる単語です。
The injection contains a combination of vitamins and minerals.
この注射には、ビタミンとミネラルが含まれています。
The patient received an intravenous injection of the medication.
患者は、薬物の静脈内注射を受けた。
The injection site may be sore for a few days.
注射部位は、数日間痛む可能性があります。
Shot
Shot は“注射”という意味で最も多く使われている単語です。フォーマル過ぎず、だからといってスラングほどのカジュアル感もない、丁度いい塩梅のワードでしょう。
Shot
発音記号:ʃάt
意味:打つ、射る、発砲、発射、注射する、得点を入れる、撃ち落とす、チャンス
Shot にはたくさんの意味があるため、文脈がはっきりしないと誤解をうむ可能性があるため注意しましょう。正しく“注射”の意を伝えるためには「具体的な病名+Shot」の形で使うのがおすすめです。
I need some shots before I go on my trip.
私は旅行の前に注射を打たなければならない。
The nurse will give you a shot soon.
看護師さんがすぐに注射をしてくれます。
I get a flu shot every year.
私は毎年インフルエンザの予防接種を受けます。
“a”の付け忘れに注意!
Shot を使って「注射」を表現する際に注意したいのは“a”の存在です。Shot の前に a を付け忘れると「銃で撃たれた」という意味になってしまいます。Shot を使う際には必ず a を付けるのを忘れないでください。
I got a shot.
私は注射を打ちました。
I got shot.
私は(銃で)撃たれました。
Needle
“注射”をスラングに近い雰囲気で、カジュアルに言い表したい時に使えるのが Needle です。かなりくだけた表現なので、目上の人や医師に対して使うのは避けた方が無難でしょう。
Needle
発音記号:níːdl
意味:針、縫い針、編み物用の針、注射、磁針
厳密には Needle に“注射”という意味はありません。しかし針から注射が連想されることから、若い世代のスラングや子ども向けの言葉として使われるようになったといわれています。
こちらはアメリカ英語の雰囲気が強いため、イギリス英語の圏内ではあまり使われません。
I don’t like needles!
注射なんて嫌い!
Did the needle hurt?
注射、痛かった?
I’m going to get needle this weekend.
今週末、注射打つ予定なんだよね。
Jab
アメリカ英語のスラングである Needle のイギリス英語版が Jab です。口語表現ですので、手紙やメールなどの書き言葉としては適しません。
Jab
発音記号:dʒæb
意味:突く、突き刺す、素早く殴る
「鋭い物で何かを突く」という意味の単語ですが、そこから派生して注射という意味でも使われるようになりました。こちらもかなりくだけた表現で、主に若者が使う流行り言葉のようなものだと認識しておきましょう。
I can’t stand jab!
注射ほんと無理!
First jab
1回目の注射
I’m not afraid of jab.
注射なんて恐くない
注射を“打つ”を意味する動詞は4つ
“注射”を意味する単語の次は、“(注射を)打つ”に使われる動詞をおさらいしていきましょう。
日本語でも「打つ・受ける・接種する」と様々な表現があるように、英語にも注射とセットで使われる動詞は複数あります。中でも、覚えておきたい4つの表現についてまとめました。
単語 | 特徴 |
Get、Have | ・注射を受ける側の最もスタンダードな表現 ・どちらも同じ意味。置き換えも可 |
Give | ・注射を打つ側の最もスタンダードな表現 ・「Give+相手」の形で使われる |
Inoculation | ・日本語の「接種」に近いニュアンス ・やや堅めの表現 |
Receive | ・注射を「受ける」といいたい時に使う |
それぞれの単語が持つ微妙なニュアンスの違いや使用シーンなどを理解しましょう。
Get、Have
Get と Have は、注射を“打つ”といいたい時の、最もスタンダードな表現です。若干のカジュアル感はあるものの、基本的にはどのようなシーンでも問題なく使えます。
注射に関する文章に限っていえば、Get と Have は置き換えても問題なく、どちらを使っても意味に違いはありません。あえて違いをあげるとすれば、Get は“お願いして何かをしてもらう”、Have には“当然のこと・義務”というニュアンスが含まれる場合があります。
しかし、単純に「打つ」という意味だけで使われるシーンの方が圧倒的に多いため、両者の違いについて神経質になる必要はないでしょう。
英語は世界共通語として幅広い国と地域で使われています。そのため「(注射を)打つ」という時には、Get しか使わない・Have しか使わないという地域もあるでしょう。
しかし世界的に見ると、どちらの表現も同じくらいメジャーであるため、自分の使いやすい方を使ってください。「注射を“打つ”といいたい時には2つの表現があるんだ」とだけは理解しておきましょう。
I am getting a flu shot today.
今日、私はインフルエンザの注射を打ちにいきます。
I had a flu shot at the hospital.
私は病院でインフルエンザの注射を打ってもらいました。
You’ll feel all better after you get a shot.
注射を打てば、すぐに具合が良くなりますよ。
I need to have insulin injections.
私はインスリンの注射を打つ必要があります。
Give
注射を打つ側の立場では「Give+人+注射」で、「人に対して注射を打つ」という表現になります。
“人”の部分には、注射を受ける(打たれる)側の三人称が入り、“注射”の部分には、Shot・Injection・Needle 何を入れても構いません。
Doctors gave her an injection in her arm.
医師は、彼女の腕に注射をした。
I’ll give you an injection to relieve pain.
鎮静剤を打ちましょう。
I’m going to give you a shot, so please roll up your sleeve.
注射をしますので、袖をまくってください。
似たようなイディオムで「Give+Something+shot(試してみる・やってみる)」があります。Give と Shot の間が、“人”か“物事”かの違いで意味が大きく変わってきますので注意しましょう。
Inoculation
Inoculation は日本語の「接種」にあたる動詞です。「打つ」よりもかしこまった印象をあたえ、ビジネスやフォーマルなど幅広いシーンで使われています。
The injection inoculation target is all people over the age of 12.
注射の接種対象は12歳以上のすべての方です。
Go to the hospital every day to inoculation the injection.
注射を接種するために、毎日病院へ通ってください。
Receive
「打つ」ではなく「受ける」というニュアンスで注射の話をしたい時に使えるのが Receive です。注射を打たれる側の立場でしか使うことができない点に注意しましょう。
I received the Covid vaccine last week.
私は、先週コロナウイルスのワクチン接種を受けてきました。
Have you received a shot yet?
もう、注射を受けましたか?
会話
AnnaとLisaが会話をしています。
Anna:Have your family been get flu shot?
あなたの家族は、もうインフルエンザの予防接種を受けた?
Lisa:Yes, We already done fully last week. How about you?
先週2回目を終えたところよ。Annaのお宅は?
Anna:We are gonna get tomorrow. I’m quite worried about side effects.
我が家は明日打ちに行くの。副反応が怖いわ。
Lisa:I got a fever and had a strong pain in my arm.
私は熱が出たのと、腕の強い痛みがあったわ。
Anna:How high was your temperature?
最高でどのくらいまで熱あがった?
Lisa:It’s about 38 degrees. I’m feeling very weak. But, I was happy to take a sick day.
38度くらいかな。辛かったけど、仕事を休めたから良かったわ。
Anna:I’m really nervous. I might cry.
緊張する~。泣いちゃうかも。
Lisa:You are no longer a kid!
子どもじゃないんだから!
Anna:I know. I don’t like needles since I was a kid.
そうよね。昔から注射って苦手で。
ポイント
会話で出てきた単語や表現をおさらいしましょう。
Influenza インフルエンザ
略して Flu と表現するのが一般的で、発音は「flúː(フルー)」です。
Fully 完全に
小児のインフルエンザのワクチンは2回打つことが一般的ですので、Fully を使って、完全に終わっている→2回打ち終わっているという意味を表現しています。
Side effects 副反応
How high was your temperature? 熱は何度まであがったの?
熱が出た人に対して、最も高かった時の体温をたずねるためのフレーズです。一方、現在の体温をたずねる時の常用句は「What’s your temperature?」ですので、併せて覚えておきましょう。
Sick day 病欠・病気休暇
No longer ~ もう~ではない
例)It is no longer used. 今はもう使っていません。
例)This bag is no longer sold. このバックはもう売っていません。
世界と日本の注射事情
日本はアメリカやイギリスといった他の先進国と比べて「国の保険制度」が充実しており、医療機関での窓口負担額が大幅に軽減されます。そのことから病院に行く機会が他国と比べて多く、病院を身近なものと感じている人が多いといわれています。
予防接種はどうでしょうか?実は日本の予防接種は、他国と比べて種類が少ない傾向にあります。
気軽に医療を受けられる・より高い安全性が確保されたワクチンのみを認可しているなど理由は多岐にわたります。医療が充実しているイメージの強い日本ですが、予防接種に関しては若干種類が少ないのですね。
注射が痛いもの・怖いものと子どもが感じるのは万国共通。日本では医療行為の現場を動画や写真におさめるのはNGという傾向にありますが、世界では医者があやしながら子供に注射を打つ動画がいくつも出回っています。
歌やシャボン玉で子どもの気を引いたり、キャラクターのぬいぐるみやパペットで勇気づけるなど医師が試行錯誤している動画は見ている人をほほ笑ましい気持ちにさせてくれます。
注射に関する単語・フレーズ
Vaccine ワクチン
日本ではワクチンと言いますが、正しい発音は「ヴァクシーン」です。ビタミンを Vitamin(ヴァイタミン)と発音するのと同じように、V の発音に注意しましょう。
例)How effective is the vaccine? ワクチンの効果はどのくらいですか?
Vaccinate+人で「~に予防接種をする」という意味になります。予防接種を“受ける”といたい場合には、Get+Vaccinated の受け身の形で使いましょう。
例)Are you going to get vaccinated? あなたは予防接種を受ける予定ですか?
Appointment 予約
病院の予約では Reservation より Appointment の方が自然な英語に聞こえます。
例)I want to make an appointment for vaccinations. 予防接種の予約をとりたいのですが。
Dominant hand 利き手
例)Which is your dominant hand? 利き手はどちらですか?
例)Roll up the sleeves of your non dominant hand. 利き手とは反対の袖をまくってください。
Walk in clinic 予約なしでも通える病院・通いやすい病院
例)It’s a walk in dental clinic. 通いやすい歯科医院です。
例)There are walk in clinics where you can get vaccinated. 予防接種が予約なしで受けられる病院があります。
Family doctor / My doctor かかりつけ医
Not covered by insurance 保険適用外
I’m going to give you a shot.
それでは注射しますね。
It might hurt a little bit.
少し痛みますよ。
You might feel a slight pinch.
少しチクっとしますよ。
Hold this for 2 or 3 minutes.
このまま2~3分押さえてください。
Hold still!
じっとして!うごかないで!
It’s almost over.
もう終わりますからね。
I know, but just hang in there.
痛いよね、もうちょっと我慢してね。
Do you want to do it on your right hand?
右手でいいですか?
いろいろな病気・症状の名前
- Diarrhea 下痢
- Constipation 便秘
- Headache 頭痛
- Rhinitis 鼻炎
- Measles はしか
- Bronchitis 気管支炎
- Mumps おたふくかぜ
- Tuberculois 結核
- Tetanus 破傷風
- Rubella 風疹
- Chicken poxvaricella 水疱瘡
病院で使える注射に関するフレーズ
Does this injection have any side effect?
この注射には何か副反応はありますか?
Are there any other preventive measures that I should take?
他に打っておくべき予防接種はありますか?
How much does a flu shot cost?
インフルエンザ注射の値段はいくらですか?
May I take a bath tonight?
今日は入浴しても大丈夫ですか?
Could I drink alcohol today?
今日、アルコールを飲んでも問題ありませんか?
Do you use any injections for treatment?
治療で注射は使いますか?
I don’t like jab because they hurt.
注射は痛いので苦手です。
I don’t want to get a shot if I can.
できれば注射を打ちたくないです。
I want to get a painkilling injection.
痛み止めの注射をしてほしいです。
The anesthetic injection seems to start working.
麻酔の注射が効いてきたみたいです。
まとめ
注射に関する英単語や英語表現は分かりましたか?いくつかの言い方があるので、自分の覚えやすいものをシーンに合わせて使うようにしましょう。
いざという時サラッと口にできるように、繰り返し声に出して読んで覚えてみてください。それではまた、See you!
関連リンク
「注射」の英語|病院や会話で役立つ2つの基本とスラング・略語3:この記事では、注射に関する英語表現について、基本的な表現やスラング、略語について解説しています。また、注射に関する例文も紹介されています。