海外旅行中や留学先で体調を崩したとき、あるいは予防接種が必要になったとき、「注射を打つ」という表現がパッと英語で出てこず、戸惑った経験を持つ方は多いのではないでしょうか。日本語では、自分が患者の立場でも「昨日、注射を打った」と言いますが、英語でこれを直訳しようとすると、意味が通じなかったり、全く別の恐ろしい意味に捉えられたりすることがあります。

英語では、「誰がその処置を行ったのか」「誰が処置を受けたのか」という立場を明確にして動詞を選びます。この違いを理解することで、現地の医師や看護師とのコミュニケーションが驚くほどスムーズになります。基礎からしっかり学びたい方は、医療英語もカバーしている英語教室で実践的なロールプレイを取り入れることも、確かな表現力を身につける有効な手段です。

この記事を読めば、病院の予約から診察室でのやり取り、そして副作用の相談まで、医療現場で必要となる自然な英語表現を迷わず使えるようになります。日常会話から医療記録で使われるフォーマルな表現まで、具体的な場面を想定しながら学習を進めていきましょう。

目次 [ close ]
  1. 「注射を打つ」の英語表現は立場によって変わる
    1. 患者が「注射を受ける」場合
    2. 医療従事者が「注射をする」場合
    3. 自分で自分に注射する場合(インスリンなど)
  2. 患者目線の表現:get・have・receiveの違い
    1. 最も自然な「get a shot」
    2. イギリス英語で一般的な「have an injection」
    3. 医療記録や案内で使われる「receive」
  3. 医療従事者目線の表現:give・inject・administer
    1. 会話で最も使われる「give」
    2. 部位や薬剤を強調する「inject」
    3. 公的な文書や指示で使われる「administer」
  4. 注射を表す名詞:shot・injection・needle・jab
    1. アメリカ英語の「shot」
    2. 処置を指す「injection」
    3. 針そのものを表す「needle」と注意点
    4. イギリスの口語表現「jab」
  5. 絶対に避けたい誤用と注意点
    1. "I got a shot." と "I got shot." の致命的な違い
    2. 冠詞の有無と所有格の使い方
  6. 予防接種とワクチンの英語表現
    1. vaccination・vaccinate・vaccinatedの使い分け
    2. vaccineの発音とアクセント
    3. 接種回数(1回目、2回目、追加接種)の表現
  7. シーン別実践会話:病院の予約から受付まで
    1. 予約を取る・ウォークインを利用する
    2. 費用や保険の確認
  8. シーン別実践会話:診察室でのやり取り
    1. 自分の体質や恐怖心を伝える
    2. 医師や看護師からの指示を聞き取る
  9. シーン別実践会話:注射後の体調や副作用を相談する
    1. 痛み、腫れ、発熱の伝え方
    2. 入浴や運動などの生活上の制限を確認する
  10. 注射の種類と体の部位を表す英単語
    1. 筋肉注射、皮下注射、静脈注射など
    2. 前置詞(in, into, on)の使い分け
  11. よくある質問(Q&A)

「注射を打つ」の英語表現は立場によって変わる

この章の要点
  • 日本語の「注射を打つ」は、英語では患者と医療従事者で動詞が異なる。
  • 患者の立場では「注射という処置を受ける」という受け身のニュアンスを持つ動詞を選ぶ。
  • 自分で針を刺す特別なケースを除き、患者を主語にして「注射する」という動作動詞は使わない。

英語で「注射に関する出来事」を話す際、最も重要になるのが主語が誰なのかを明確にすることです。日本語の日常会話では、自分が患者であっても「明日、病院で注射を打つんだ」と表現することが一般的ですが、実際に針を刺すのは医師や看護師です。

英語はこの「行為の主体」に対して非常に論理的な言語です。そのため、患者が主語になる場合は「処置を受ける」という意味を持つ動詞を用い、医療従事者が主語になる場合は「処置を与える」という意味を持つ動詞を用います。

患者が「注射を受ける」場合

患者の立場で「注射を打ってもらう」「注射を受ける」と表現する場合、英語では自分がその行為を「受け取る側」であることを示す必要があります。そのため、自らが能動的に針を刺すような表現は避けます。

日常会話で最も頻繁に用いられるのは、手に入れる、受けるという意味を持つ基本動詞です。これにより、「医療従事者から注射という処置を施してもらった」という状況が自然に伝わります。

フレーズ
I am going to get a shot tomorrow.
日本語訳
明日、注射を打ってもらう予定です。
使う場面
友人や同僚に対して、翌日の病院の予定を伝えるとき。
注意点・誤用例
「I will inject tomorrow.」と言ってしまうと、自分が誰かに注射器で薬を注入する(または自分自身に突き刺す)ような不自然な響きになります。
発音・ニュアンス
「ゲラ・ショット」のように get と a をリンキング(連結)させて発音すると、より自然な英語に聞こえます。

では、医療従事者の立場から「患者に注射をする」と言う場合は、どのように表現するのでしょうか。

医療従事者が「注射をする」場合

医師や看護師が主語になる場合、「患者に対して注射という処置を与える」という意味の動詞を使用します。行為を提供する側であることを明確にするためです。

医療ドラマや現地のクリニックでの説明でも、誰が誰に対して処置を行うのかをはっきりさせるため、この形が頻繁に登場します。状況を正確に伝えるためにも、与える側の視点を理解しておきましょう。

フレーズ
The nurse gave me a shot.
日本語訳
看護師が私に注射をしました。
使う場面
病院での出来事を家族や友人に振り返って話すとき。
注意点・誤用例
「The nurse got a shot.」としてしまうと、看護師自身が他の誰かから注射を受けたという意味になってしまいます。
発音・ニュアンス
give + 人 + 物(処置)の文型を使うことで、誰が誰に対して行った行為なのかが明確になります。

自分で自分に注射する場合(インスリンなど)

糖尿病の治療などで、患者自身がインスリンを打つような特別な状況もあります。この場合は、行為の主体も対象も自分自身になります。

このような場面では、再帰代名詞(myself)を用いることで、自らの手で処置を行っていることを正確に表現できます。日常会話の「注射を受ける」とは明確に区別されるため、持病について英語で説明する際には非常に重要な表現です。

フレーズ
I inject myself with insulin every morning.
日本語訳
私は毎朝、自分でインスリンを注射します。
使う場面
自身の治療スケジュールや日課について、医師や知人に説明するとき。
注意点・誤用例
「I get an insulin shot every morning.」と言うと、毎朝病院に行って医療従事者から注射を打ってもらっている響きになります。
発音・ニュアンス
「give myself an injection」という表現でも全く同じ意味として使えます。
清潔なステンレストレイの上に注射器と小さな薬瓶が置かれているクローズアップ写真。明るいクリニックの柔らかな医療用ブルーの照明。
注射器などの医療器具は、誰が扱うかによって使うべき動詞が変わります。

次に、患者の立場から「注射を受けた」と言う場合の、より詳しい動詞の使い分けを見ていきましょう。

患者目線の表現:get・have・receiveの違い

この章の要点
  • get は日常会話で最も汎用性が高く、アメリカ英語でよく使われる。
  • have は特にイギリス英語で自然な響きを持ち、落ち着いた印象を与える。
  • receive は医療記録や公的な案内など、やや改まった場面に適している。

「注射を受ける」という意味を表す際、英語では主に get、have、receive の3つの動詞が使われます。どれを使っても意味は通じますが、それぞれが持つ響きや適した使用場面には違いがあります。

状況や相手に合わせてこれらの動詞を使い分けることで、より自然で洗練された英語を話すことができます。それぞれの具体的な使い方を確認していきましょう。

最も自然な「get a shot」

アメリカ英語の日常会話において、最もポピュラーで使いやすいのが get を使った表現です。友人同士の会話や、予定・経験を話す際に幅広く活用できます。

get は「ある状態を手に入れる」「何かを受ける」という幅広い意味を持つため、医療的な文脈以外でも頻繁に使われる万能な動詞です。

フレーズ
Where can I get a flu shot?
日本語訳
どこでインフルエンザの予防接種を受けられますか?
使う場面
現地の薬局やクリニックの受付、または友人に情報を尋ねるとき。
注意点・誤用例
旅行前の複数の予防接種を指す場合は、「get some shots」や「get several vaccinations」のように複数形を用います。
発音・ニュアンス
flu shot は flu(インフルエンザ)と shot(注射)を組み合わせた日常的な呼称です。医療専門用語を使わなくても十分に伝わります。

イギリス英語で一般的な「have an injection」

一方、イギリス英語や一部の英語圏では、have を使った表現が好まれる傾向があります。get よりも少し落ち着いた、きちんとした印象を与えることができます。

医療の文脈において、have は「処置を受ける」という意味で広く使われます。have a blood test(血液検査を受ける)、have an X-ray(レントゲン検査を受ける)などと同様の使われ方です。

フレーズ
She is having a pain-relief injection.
日本語訳
彼女は痛み止めの注射を受けています。
使う場面
病院の待合室で、同伴者の現在の状況を他の人に説明するとき。
注意点・誤用例
have は所有を表すイメージが強いですが、ここでは動作(処置を受けること)を表しているため、進行形(is having)にすることができます。
発音・ニュアンス
pain-relief(痛みを和らげる)は、薬や処置の効果を説明する際によく使われる便利な複合語です。

医療記録や案内で使われる「receive」

よりフォーマルな場面や、公式な文書、病院側からの案内文などでは receive が好まれます。日常会話で使うとやや堅苦しく聞こえますが、書類を記入したり読んだりする際には必ず目にする単語です。

公的な記録として「誰が何を摂取したか」を明確に残す必要があるため、正確さを重視する文脈において receive は非常に適した動詞と言えます。

フレーズ
All participants received the vaccine at no cost.
日本語訳
参加者全員が無料でワクチン接種を受けました。
使う場面
プログラムや治験の報告書、またはニュース記事など。
注意点・誤用例
会話の中で「I received a shot yesterday.」と言うと、ニュースキャスターのように少し堅い印象を与えます。
発音・ニュアンス
at no cost は for free と同じ意味ですが、よりフォーマルな響きを持つ表現です。

では次に、視点を変えて、医療従事者が注射を行う場合の英語表現を詳しく見ていきましょう。

医療従事者目線の表現:give・inject・administer

この章の要点
  • give は医療従事者を主語にした日常会話で最も一般的な動詞。
  • inject は「どこに何を注入するか」を具体的に説明する際に用いる。
  • administer は注射だけでなく、薬全般の「投与」を表す専門的・公的な動詞。

医師や看護師が注射を打つ側として話す場合、英語では give、inject、administer といった動詞が使われます。これらは、処置の詳細度や専門性の高さによって使い分けられます。

あなたが医療従事者でなくても、病院で医師から説明を受ける際にはこれらの動詞を耳にすることになります。適切に聞き取るための準備として確認しておきましょう。

会話で最も使われる「give」

医療従事者が処置を行う際、最もシンプルで一般的な表現が give です。「give + 人 + a shot / an injection」という基本の語順を覚えておけば、大半の状況に対応できます。

患者にとっても理解しやすい平易な単語であるため、医師や看護師が処置の前に患者を安心させるために声かけをする際にもよく使われます。

フレーズ
I’m going to give you a shot in your left arm.
日本語訳
左腕に注射しますね。
使う場面
医師や看護師が、これから注射を行うことを患者に伝えるとき。
注意点・誤用例
「give it a shot」という表現は「(注射ではなく)それを試しにやってみる」という全く別のイディオムになるため、文脈に注意が必要です。
発音・ニュアンス
in your left arm のように、体の部位を指定する場合は前置詞 in を用いるのが一般的です。

部位や薬剤を強調する「inject」

inject は「液体や薬剤を注入する」というより医療的な動詞です。何をどこへ入れたかを具体的に説明したい場合に向いています。

「inject + 人 + with + 薬剤」または「inject + 薬剤 + into + 部位」という2つの代表的な文型があります。外から中へ入る動きを強調するため、前置詞 into との相性が非常に良いのが特徴です。

フレーズ
The doctor injected me with a local anesthetic.
日本語訳
医師は私に局所麻酔薬を注射しました。
使う場面
手術や処置の詳細を振り返って、どのような薬を使われたかを説明するとき。
注意点・誤用例
「inject an injection」とは言いません。injection自体が注入という行為を表すため、重複して不自然になります。
発音・ニュアンス
local anesthetic(局所麻酔薬)など、特定の薬剤を伴う処置を表現する際にプロフェッショナルな響きを持ちます。

公的な文書や指示で使われる「administer」

administer は「(薬を)投与する」という格式高い専門用語です。注射に限らず、錠剤、点滴、吸入薬などあらゆる形態の薬の投与に使われます。

日常会話で患者が使うことは稀ですが、病院で渡される同意書、注意事項の書類、あるいは医療従事者同士の会話や記録では頻繁に登場します。「by injection(注射によって)」と組み合わせることで、投与経路を明示することができます。

フレーズ
The medication was administered by injection.
日本語訳
その薬は注射によって投与されました。
使う場面
カルテの記録、または医師が患者の家族に対して治療内容を正式に説明するとき。
注意点・誤用例
この場合の by injection は方法(手段)を示しているため、a などの冠詞は付けません。
発音・ニュアンス
administer は「管理する」という意味も持つため、「医療の枠組みの中で計画的に薬を与える」というニュアンスが含まれます。
クリニックでフレンドリーな外国人の医師と英語の会話を練習している日本人の大人。手には医療用問診票を持っている。明るく励まされるような雰囲気。
医師からの声かけを理解できるようになると、不安も大きく和らぎます。

動詞の使い分けがわかったところで、次は「注射」そのものを表す名詞の種類について整理しておきましょう。

注射を表す名詞:shot・injection・needle・jab

この章の要点
  • shot はアメリカの日常会話で最も普及している。
  • injection はより説明的で、処置そのものや薬液を指す。
  • needle は「針」そのものであり、注射全般を指す名詞としては不自然。
  • jab はイギリス英語特有の口語表現。

日本語の「注射」に該当する英単語は一つではありません。それぞれが指しているものの範囲や、よく使われる地域に違いがあります。

文脈に合わせて名詞を適切に選び分けることで、会話の相手に誤解を与えずに意図を伝えることができます。

アメリカ英語の「shot」

アメリカ英語の日常会話では、注射のことを shot と呼ぶのが最も一般的です。特に、病名やワクチンの種類と組み合わせて使われることが多く、何の注射なのかが一目でわかります。

例えば、flu shot(インフルエンザの予防接種)、tetanus shot(破傷風の予防接種)、painkiller shot(鎮痛薬の注射)など、非常に便利な使い方ができます。

フレーズ
I get a flu shot every year.
日本語訳
毎年インフルエンザの予防接種を受けています。
使う場面
問診で過去の接種歴や習慣について尋ねられたとき。
注意点・誤用例
文脈がないところで単に a shot と言うと、お酒の一杯(ショット)や写真などを指す可能性もあるため、病院以外の会話では注意が必要です。
発音・ニュアンス
親しみやすく、かつ迅速な処置を連想させる軽快な響きがあります。

処置を指す「injection」

injection は、注射という「医療行為」そのものや、投与される「薬液」を指す名詞です。shot よりも少し改まった響きがあり、書類や説明書などでよく見かけます。

予防接種だけでなく、麻酔、ステロイド、インスリンなど、針を使って体内に何かを入れる処置全般に対して使用できる、非常に正確な用語です。

フレーズ
Does this injection have any side effects?
日本語訳
この注射には副作用がありますか?
使う場面
処置を受ける前に、医師に安全性やリスクについて確認するとき。
注意点・誤用例
injection site(注射部位)という複合名詞もよく使われるのでセットで覚えておきましょう。
発音・ニュアンス
説明的で真面目なトーンを持つため、医療スタッフとの真剣なやり取りに適しています。

針そのものを表す「needle」と注意点

needle の基本的な意味は「針」です。注射器の先端部分や、針が刺さることへの恐怖を表現する際には使われますが、「注射という処置を受ける」という意味で使うのは不自然です。

「注射が苦手」「注射針が怖い」と伝える際には、特定の一本の針ではなく「注射針というもの全般」を指すため、複数形の needles にするのが自然です。

フレーズ
I’m afraid of needles.
日本語訳
注射(注射針)が怖いです。
使う場面
採血や注射の前に、看護師に自分の恐怖心を正直に伝えて配慮を求めるとき。
注意点・誤用例
「I’m going to get needle this weekend.」とは言いません。処置を受けるなら get a shot が正解です。
発音・ニュアンス
物理的な痛みを連想させる単語です。I hate needles.(注射が大嫌いです)といった表現もよく使われます。

イギリスの口語表現「jab」

jab は本来「素早く突く」「突き刺す」という意味の動詞ですが、イギリス英語では名詞として「注射」「予防接種」の意味で広く使われています。

アメリカの flu shot が、イギリスでは flu jab となります。ニュースや新聞などでも普通に使われる認識度の高い表現ですが、公的な医療記録にはあまり適していません。

フレーズ
I’m getting my flu jab tomorrow.
日本語訳
明日、インフルエンザの予防接種を受けます。(英)
使う場面
イギリスやオーストラリアなどで、友人との日常会話。
注意点・誤用例
アメリカ英語圏で使うと少し珍しがられるか、ボクシングのジャブを連想される可能性があります。

このように名詞を使い分けられるようになると、表現の幅が広がります。しかし、注射の英語表現には、一歩間違えると大変な誤解を招く落とし穴が存在します。次に、その致命的な誤用について見ていきましょう。

絶対に避けたい誤用と注意点

この章の要点
  • “I got a shot.” は「注射を受けた」だが、”I got shot.” は「銃で撃たれた」になる。
  • 冠詞 “a” の有無が、意味を決定的に分ける。
  • 可算名詞には必ず a, the, my などの限定語をつける習慣を身につける。

日本人学習者が最も陥りやすく、かつ最も危険なミスが冠詞(a/the)の抜け落ちです。日本語には冠詞の概念がないため、つい省略してしまいがちですが、これによって全く違う恐ろしい意味になってしまうことがあります。

特に「注射」に関する表現では、この小さな単語一つが会話の行方を大きく左右します。しっかりと確認しておきましょう。

“I got a shot.” と “I got shot.” の致命的な違い

「注射を受けた」と言いたくて、冠詞の a を抜かして「I got shot.」と言ってしまったとしましょう。相手は驚いて警察や救急車を呼ぼうとするかもしれません。なぜなら、これは「私は(銃で)撃たれました」という意味になるからです。

a がある場合、shot は可算名詞の「1本の注射」として機能します。しかし、a がない場合、shot は動詞 shoot(撃つ)の過去分詞となり、「get + 過去分詞」で「〜される」という受け身の文法(撃たれる)が完成してしまうのです。

注意点

「I got a shot.(注射を受けた)」と「I got shot.(撃たれた)」は、発音上も a の有無だけで区別されます。ネイティブスピーカーはこれを明確に聞き分けるため、冠詞を省略する癖のある人は特に意識して「ア・ショット」と発音するようにしてください。

冠詞の有無と所有格の使い方

「a が必要」と丸暗記するのではなく、英語の可算名詞(数えられる名詞)の単数形には、必ず何らかの限定語(a, the, my, this など)が必要だと理解することが重要です。

もし「自分が受ける予定だった特定の予防接種」について話すなら、my を使うのが自然です。この場合、my が限定語の役割を果たすため、a は不要(不自然)になります。

フレーズ
I got my flu shot.
日本語訳
インフルエンザの予防接種を受けました(受けるべきものを完了しました)。
使う場面
毎年の恒例として受けている予防接種を済ませたことを報告するとき。
注意点・誤用例
「I got a my flu shot.」のように a と my を並べて使うことはできません。

注射という手段を使って行われる代表的なものが「予防接種」です。次に、ワクチンや予防接種に関する特有の表現を整理していきましょう。

予防接種とワクチンの英語表現

この章の要点
  • injection は「方法(注射)」、vaccination は「目的(予防接種)」を表す。
  • vaccine(ワクチン)の発音はカタカナとは大きく異なるため注意が必要。
  • 患者は受け身の「get vaccinated / be vaccinated」を使うのが自然。

注射(injection)と予防接種(vaccination)は、現実には同じ行為を指すことが多いですが、概念としては異なります。injection は針で体内に薬を入れる「方法」を指し、vaccination は病気を防ぐための「目的や行為」を指します。

例えば、麻酔やインスリンの注射は injection ですが、vaccination ではありません。この違いを意識しながら、関連用語をマスターしましょう。

vaccination・vaccinate・vaccinatedの使い分け

品詞の違いによって形が変わります。vaccination は名詞(予防接種)、vaccinate は動詞(予防接種をする)、そして vaccinated は過去分詞(予防接種を受けた状態)です。

患者の立場で「予防接種を受ける予定だ」と言う場合は、受け身の形である get vaccinated または be vaccinated を使うのが最も自然です。

フレーズ
I’m going to get vaccinated next week.
日本語訳
来週、予防接種を受ける予定です。
使う場面
旅行前や感染症の流行期に、自分の予定を話すとき。
注意点・誤用例
「I will vaccinate next week.」と言うと、「私が(誰かに)ワクチンを打つ予定だ」という意味になってしまいます。
発音・ニュアンス
fully vaccinated(必要な接種をすべて終えた)というフレーズも、証明書などの文脈で非常によく使われます。

vaccineの発音とアクセント

「ワクチン」はもともとドイツ語由来の言葉が日本語に定着したもので、英語の vaccine とは発音が全く異なります。カタカナ英語で「ワクチン」と言っても、ネイティブスピーカーにはまず通じません。

英語では「ヴァクシーン」のように発音します。アメリカ英語では後半(シーン)にアクセントがあり、イギリス英語では前半(ヴァク)にアクセントが置かれる傾向があります。特に最初の v の音を下唇を軽く噛んで振動させることが重要です。

接種回数(1回目、2回目、追加接種)の表現

複数回にわたる予防接種では、自分が今何回目を受けているのかを伝える必要があります。この場合、shot や dose(一回分の投与量)という単語を使います。

また、基礎となる接種を終えた後に追加で受けるものを「booster shot(ブースター接種)」と呼びます。

フレーズ
I received my first dose last month. Do I need a booster shot?
日本語訳
先月1回目の接種を受けました。追加接種は必要ですか?
使う場面
今後の接種スケジュールについて医師に確認するとき。
注意点・誤用例
単に first shot と言うよりも、my や the をつけて「(一連のスケジュールのうちの)1回目」であることを示すと自然です。
国際空港でワクチンの接種証明書をスマートフォンで見ている若い日本人の旅行者。安心した表情で出発の準備ができている。明るい自然光。
海外渡航前の予防接種は、英語での手続きを避けて通れないことが多いです。

基本的な表現や用語を学んだところで、ここからは実際の場面を想定したシミュレーションに入ります。まずは病院の予約や受付での会話例です。

シーン別実践会話:病院の予約から受付まで

この章の要点
  • 病院の予約には reservation ではなく appointment を使う。
  • 予約不要のクリニックは walk-in clinic と呼ばれる。
  • 海外では費用や保険適用(covered by insurance)の確認が必須。

病院で注射や予防接種を受ける際、最初に関門となるのが予約と受付です。この段階でつまずかないよう、決まったフレーズを覚えておくことが大切です。

特に海外の医療システムは日本と異なり、費用が非常に高額になるケースがあるため、事前に保険が利くかを確認する表現は必ず押さえておきましょう。

予約を取る・ウォークインを利用する

病院や美容院など、専門家と時間を約束する場合は appointment を使います。レストランやホテルのような reservation は使いません。

また、北米などでは、予約なしで受診できる「walk-in clinic」が普及しており、簡単な予防接種などはここで済ませることが多いです。

会話例
Learner: I’d like to make an appointment for a flu shot.
(インフルエンザの予防接種の予約を取りたいのですが。)

Receptionist: We actually accept walk-ins for flu shots. You can just come in anytime today before 5 PM.
(インフルエンザの予防接種は予約なしでも受け付けております。本日は午後5時までのお好きな時間にお越しください。)

Learner: Oh, that’s great. I’ll be there in the afternoon.
(それは助かります。午後に行きます。)

ポイント
accept walk-ins で「予約なしの患者を受け入れる」という意味になります。

費用や保険の確認

処置を受ける前に、必ず費用の負担について確認しましょう。保険のカバー範囲を尋ねる cover という動詞が役立ちます。

自費で支払う(自己負担する)場合は、out of pocket という表現がよく使われます。

会話例
Learner: Is the vaccination covered by insurance?
(その予防接種は保険の対象ですか?)

Receptionist: It depends on your insurance plan. If it’s not covered, you will have to pay out of pocket. It costs 40 dollars.
(保険のプランによります。対象外の場合は自費でお支払いいただく必要があり、40ドルかかります。)

Learner: I see. Let me check my insurance card.
(なるほど。保険証を確認させてください。)

ポイント
out of pocket(ポケットから出す=自腹を切る)は医療費の話で非常によく登場するイディオムです。

無事に受付を済ませたら、次はいよいよ診察室です。医師や看護師とのやり取りを見てみましょう。

シーン別実践会話:診察室でのやり取り

この章の要点
  • 恐怖心やアレルギー、過去の失神経験は事前に必ず申告する。
  • 利き腕(dominant arm)を聞かれたら、注射を打たれたくない方の腕を答える。
  • 医師の指示(深呼吸、腕の力を抜くなど)を聞き取れるようにしておく。

診察室では、注射を打つ前にアレルギーや過去の反応について確認されます。もし注射に対する強い恐怖心があるなら、我慢せずに事前に伝えることが医療安全上も推奨されます。

また、処置中の医師からの指示(力を抜く、深呼吸するなど)を正確に聞き取れるようにしておくことで、落ち着いて注射を受けることができます。

自分の体質や恐怖心を伝える

「注射が怖い」「針を見たくない」あるいは「アレルギーがある」といった情報は、担当者に配慮を促す重要なメッセージです。遠慮せずに伝えましょう。

会話例
Doctor: Are you allergic to any medications or latex?
(薬やラテックスのアレルギーはありますか?)

Learner: No, I don’t have any allergies. But I’m really afraid of needles. I sometimes feel faint during injections.
(いいえ、アレルギーはありません。でも、注射針がとても怖くて。注射のときに気が遠くなることがあります。)

Doctor: Thanks for letting me know. You can lie down for the injection if you prefer. Please don’t look at the needle.
(教えてくれてありがとうございます。よければ横になって注射を受けますか? 針は見ないようにしてくださいね。)

ポイント
feel faint(気が遠くなる、気を失いそうになる)や、faint(失神する)は、注射の副作用や精神的な反応を伝える際によく使われます。

医師や看護師からの指示を聞き取る

いざ針を刺す段階になると、リラックスするための声かけや、動作の指示があります。利き腕(dominant arm)を尋ねられたら、基本的には「利き腕ではない方」を指定して注射してもらいます(筋肉痛のような痛みが出るため)。

会話例
Nurse: Which is your dominant arm?
(利き腕はどちらですか?)

Learner: I’m right-handed. Could you use my left arm?
(右利きです。左腕にしてもらえますか?)

Nurse: Sure. Please roll up your left sleeve. Try to relax your arm and take a deep breath. You may feel a slight pinch… All done.
(もちろんです。左の袖をまくってください。腕の力を抜いて、深呼吸して。少しチクッとしますよ… はい、終わりました。)

ポイント
a slight pinch は直訳すると「軽い抓り(つねり)」ですが、注射の痛みを和らげて表現する定番のフレーズ(チクッとしますよ)です。

注射が無事に終わっても、その後に体調が変化することがあります。最後に、副作用や制限事項について質問する場面を見ていきましょう。

シーン別実践会話:注射後の体調や副作用を相談する

この章の要点
  • 副作用は side effects、不快な反応は adverse reaction と表現する。
  • 痛み(soreness)や腫れ(swollen)の伝え方を覚えておく。
  • 入浴や運動などの制限は「Is it okay to…?」や「Should I avoid…?」で尋ねる。

ワクチン接種後には、発熱や腕の痛みといった副反応が出ることがあります。もし不安な症状が現れた場合、電話や再診で自分の症状を的確に伝えることができれば安心です。

また、処置直後にその日の過ごし方(お風呂、お酒、運動など)について尋ねる表現も、日常生活をスムーズに送るために不可欠です。

痛み、腫れ、発熱の伝え方

注射した部分(injection site)の異常や、全身の熱っぽさ、だるさを訴える表現です。熱の温度を伝える際は、摂氏(Celsius)であることを明記すると、華氏(Fahrenheit)を使う国(アメリカなど)での誤解を防げます。

会話例
Learner: Hello, I got a vaccine shot yesterday, and my arm is very sore. The injection site is swollen.
(こんにちは、昨日ワクチンを打ったのですが、腕がとても痛いです。注射部位が腫れています。)

Nurse: I see. Did you develop a fever?
(なるほど。熱は出ましたか?)

Learner: Yes, I felt tired and achy. My temperature was about 38 degrees Celsius last night.
(はい、だるくて体の節々が痛みました。昨日の夜は熱が38度くらいありました。)

ポイント
sore は筋肉痛のようなジンジンする痛みを表し、注射後の腕の痛みを表現するのに最適です。

入浴や運動などの生活上の制限を確認する

処置が終わった後、帰宅する前に「やってはいけないこと」を確認しておきましょう。Is it okay to…?(〜しても大丈夫ですか?)や、Should I avoid…?(〜は避けたほうがいいですか?)という構文が便利です。

会話例
Learner: Is there anything I should avoid today? Can I take a bath tonight?
(今日、避けたほうがよいことはありますか? 今夜はお風呂に入っても大丈夫ですか?)

Doctor: Taking a shower is fine, but avoid soaking in a hot bath. Also, you should avoid strenuous exercise and drinking alcohol today.
(シャワーは問題ありませんが、熱いお風呂に浸かるのは避けてください。また、今日は激しい運動や飲酒も控えてください。)

ポイント
strenuous exercise(激しい運動)は、医療現場での生活指導でよく使われるフレーズです。

注射の種類と体の部位を表す英単語

この章の要点
  • 注射の種類(筋肉注射、静脈注射など)は専門的な英単語で区別される。
  • IV(静脈内)は点滴を指すこともある。
  • 部位を表す前置詞は、状況に応じて in, into, on を使い分ける。

医療機関では、薬を体内のどこへ、どの深さまで入れるかによって注射の呼び方が変わります。専門用語に見えますが、略語として頻繁に登場するため、知っておくと非常に役立ちます。

また、「腕に」や「体内に」など、空間的な位置関係を表す前置詞の使い方についても整理しておきましょう。

筋肉注射、皮下注射、静脈注射など

ワクチンの種類などによって、注射の方法は異なります。以下の単語や略語は、医療現場でしばしばそのまま使われます。

  • intramuscular injection / IM injection:筋肉内注射(一般的なワクチンなど)
  • subcutaneous injection:皮下注射
  • intravenous injection / IV injection:静脈注射

特に「IV」は intravenous(静脈内の)の略ですが、文脈によっては「点滴」や「静脈ライン」そのものを指すことがあります。「The nurse started an IV.」と言えば、「看護師が点滴のラインを確保した」という意味になります。

前置詞(in, into, on)の使い分け

注射に関する前置詞は、何にフォーカスしているかによって変わります。

「腕という場所に処置を受けた」と言いたい場合は in を使います(例:I got a shot in my arm.)。一方、「薬液が腕の中(血管や筋肉)に入っていく動き」を強調したい場合は into を使います(例:The medicine was injected into my arm.)。皮膚の表面の症状(発疹など)について話す場合は on the skin などのように表現します。

よくある質問(Q&A)

Q. 自分で自分に注射する場合は “get a shot” を使ってもいいですか?

A. いいえ。get a shot は「誰か(医療従事者)から注射を打ってもらう」という意味になります。インスリンなど自分で注射する場合は「I inject myself with insulin」や「I give myself an injection」という表現を使ってください。

Q. “I got a shot.” と言うつもりが、”a” を言い忘れるとどうなりますか?

A. “I got shot.” となり、「私は銃で撃たれました」という全く別の深刻な意味になってしまいます。注射を表す場合は必ず可算名詞として扱い、a や my などの限定語をつけるように強く意識してください。

Q. アメリカとイギリスで「注射」の呼び方に違いはありますか?

A. はい。アメリカ英語の日常会話では shot(例:flu shot)が主流ですが、イギリス英語では jab(例:flu jab)や have an injection と表現されることが多くなります。どちらを使っても専門家には通じますが、現地で使われる表現を知っておくと聞き取りが楽になります。

Q. 注射が怖くて仕方ないのですが、英語で角が立たないように伝える方法は?

A. 「I’m afraid of needles.(注射針が怖いです)」と正直に伝えるのが一番自然で確実です。また、「I’d rather not have a shot if possible.(可能であれば注射は受けたくありません)」や「Is there an alternative to the injection?(注射以外の方法はありますか?)」と代案を尋ねることもできます。

Q. ワクチンの英語発音は「ワクチン」で通じますか?

A. 通じません。英語の vaccine は「ヴァクシーン」のように発音します。アメリカ英語では後ろの「シーン」の部分にアクセントがあるため、日本語の平坦な「ワクチン」とは全く違う音として認識されます。