【危険】そのジェスチャー、海外では大誤解?英語圏と日本の違い&タブーを徹底解説! | 異文化コミュニケーション
「言葉は通じなくても、身振り手振りでなんとかなる!」… そう思っていませんか?確かにジェスチャーはコミュニケーションを助けてくれますが、使い方を間違えると、言葉以上に深刻な誤解を生んだり、相手を深く傷つけたりする可能性も秘めています。日本で当たり前に使っているジェスチャーが、海外、特に英語圏では全く違う意味に取られたり、場合によっては非常に失礼なタブー行為と見なされたりすることがあるのです。
この記事では、異文化コミュニケーションを円滑に進めるために知っておきたい、日本と英語圏でのジェスチャーの違い、誤解されやすい日本のジェスチャー、そして絶対に避けるべきタブージェスチャーについて徹底解説します。さらに、ネイティブがよく使う特徴的なジェスチャーの意味もご紹介。ジェスチャーの文化差を理解し、無用なトラブルを避け、より豊かな国際交流を実現しましょう!

ジェスチャー一つで伝わり方が変わる!
レッスンの内容
言葉より伝わる?ジェスチャーの重要性と文化差
非言語コミュニケーションとは?
私たちがコミュニケーションをとる際、言葉(言語情報)だけでなく、表情、声のトーン、視線、そして身振り手振り(ジェスチャー)といった非言語情報(ノンバーバル・コミュニケーション)も重要な役割を果たしています。メラビアンの法則によれば、感情を伝えるコミュニケーションにおいて、言語情報が占める割合はわずか7%で、残りの93%(視覚情報55%、聴覚情報38%)は非言語情報が占めるとも言われています。
特にジェスチャーは、言葉を補強したり、感情を表現したり、時には言葉の代わりになったりするため、スムーズな意思疎通に欠かせません。
なぜジェスチャーは文化によって違うのか?
しかし、この便利なジェスチャーが、文化によって意味が異なるのはなぜでしょうか?それは、各文化が持つ歴史、習慣、価値観、そしてコミュニケーションのスタイルが反映されているからです。
- ハイコンテクスト文化 vs ローコンテクスト文化: 日本のように、言葉以外(文脈、表情、場の空気など)から多くの情報を読み取る「ハイコンテクスト文化」では、曖昧な表現や控えめなジェスチャーが好まれる傾向があります。一方、欧米のような「ローコンテクスト文化」では、言葉で明確に伝えることが重視され、ジェスチャーも比較的はっきりとしたものが多く使われます。
- 歴史的・宗教的背景: 特定のジェスチャーが、歴史的な出来事や宗教的な意味合いを持つこともあります(例:タブージェスチャーの由来)。
- 慣習・偶然: 特に意味はなく、たまたまその地域で定着したジェスチャーもあります。
そのため、「このジェスチャーなら世界共通だろう」という思い込みは危険です。異文化の人と接する際は、ジェスチャーの違いを意識することが大切になります。
【要注意】日本ではOKでも海外(英語圏)ではNG・誤解されるジェスチャー
まずは、私たちが日本で日常的に使っているものの、英語圏では通じなかったり、意図しない意味に取られたりする可能性のあるジェスチャーを見ていきましょう。

その手振り、「臭い」って思われてるかも?
顔の前で手を左右に振る (「違う」「いらない」)
日本では「いいえ、違います」「結構です、いりません」といった否定や遠慮を示す際に、顔の前あたりで手のひらを相手に向け、左右に振る仕草をよくしますよね。道を尋ねられて分からない時や、勧められたものを断る時など、無意識にやってしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、このジェスチャーは英語圏では全く通じません。それどころか、相手によっては「何かが臭い (Smelly / Stinky)」と感じている、あるいは「目の前から消えてほしい」というような、ネガティブなメッセージと受け取られてしまう可能性があります。
【代替案】 否定や断りを示したい場合は、ジェスチャーに頼らず、はっきりと “No, thank you.” や “Sorry, I don’t know.” と言葉で伝えましょう。首を横に振るジェスチャーは比較的通じやすいですが、言葉を添えるのが確実です。
人差し指で自分の鼻を指す (「私」)
「私のこと?」と自分自身を指すときに、人差し指で自分の鼻の頭あたりを指すのも、日本人特有のジェスチャーです。
これも英語圏の人にとっては意味不明です。「鼻に何か付いてるよ、と教えてくれているの?」「鼻がどうかしたの?」と困惑させてしまいます。
【代替案】 英語圏で「私 (me)」を指す場合は、手のひら全体、または親指で自分の胸のあたりを指すのが一般的です。
手招き (手のひらの向き)
誰かを「こっちへおいで」と呼ぶとき、日本では手のひらを下に向けて指を動かすことが多いですが、英語圏では失礼にあたることがあります。これは動物を呼ぶ仕草や、「あっちへ行け」と追い払う仕草に見えることがあるためです。
【代替案】 英語圏で人を招く際は、手のひらを上に向け、指全体を自分の方へ動かすのが一般的です。
OKサイン (親指と人差し指で輪を作る)
日本では「OK」「大丈夫」「お金」などを意味するこのサインですが、国によっては非常に侮辱的な意味を持つことがあります。特に、フランス、ベルギー、ギリシャ、トルコ、ブラジル、一部の中東諸国などでは、性的な侮辱や「ゼロ=価値がない」といったネガティブな意味になることがあるため、注意が必要です。
【代替案】 「OK」を伝えたい場合は、“OK” と言葉で言うか、サムズアップ (Thumbs up) を使うのがより安全です(ただしサムズアップも注意が必要な国があります)。
数字の数え方
指で数字を示す方法も異なります。日本では「1」を人差し指を立て、「2」で中指を追加…と指を立てていきますが、欧米では親指から立て始めることが多いです(1=親指、2=親指+人差し指…)。また、日本では指を折って数を数えることもありますが、これも一般的ではありません。
【ポイント】 誤解を避けるためには、指で数を示す際は数字を口で言うのが最も確実です。
Vサイン(ピースサイン)の向き
写真を撮る時などにお馴染みのピースサイン。手のひらを相手に向けて行う場合は、世界的に「平和」や「勝利」の良い意味で通じます。しかし、手の甲を相手に向けてVサインをすると、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでは中指を立てるのと同じくらい侮辱的な意味になるため、絶対に避けましょう。
絶対NG!英語圏でタブーとされるジェスチャー
誤解を招くだけでなく、相手を意図的に侮辱したり、敵意を示したりすると受け取られる「タブージェスチャー」も存在します。これらは絶対に避けなければなりません。

このジェスチャーは世界中でタブー!
中指を立てる (“Giving the finger” / “Flipping the bird”)
これは欧米文化圏において最も有名で、最も下品で侮辱的なジェスチャーです。「F**k you」と同じ意味合いを持ち、強い怒りや軽蔑を表します。古代ギリシャ・ローマ時代から存在したとも言われ、非常に長い歴史を持つ侮辱行為です。
日本では「おはなしゆびさん」の歌のように、無邪気に中指を使ってしまう場面がありますが、海外では絶対に避けなければなりません。冗談でやったとしても、深刻なトラブルに発展する可能性があります。また、中指で物を指したり、ボタンを押したりする行為も、意図せずとも相手に不快感を与える可能性があるので注意しましょう。
他の侮辱的なジェスチャー
中指ほどではありませんが、他にも国や文化によってネガティブな意味を持つジェスチャーがあります。
- こめかみを指でくるくる回す: 「頭がおかしい」「馬鹿げている」という意味。(英語圏でも使われる)
- 手の甲を向けたVサイン: 前述の通り、イギリス連邦諸国などで侮辱的。
- 親指を立てる (Thumbs up): 多くの国で「Good」の意味ですが、ギリシャ、中東の一部、西アフリカなどでは侮辱的な意味になることがあります。
- OKサイン: 前述の通り、多くの国で侮辱的。
- 足の裏を相手に向ける: アラブ諸国やタイなど、多くの文化で非常に失礼とされます。靴を脱ぐ文化のない国も多いです。
- 角を作るジェスチャー (Corna): 人差し指と小指を立てる。イタリアなどでは「(あなたの妻は)浮気されているぞ」という侮辱、または悪運を払う魔除けの意味も。ロック・ミュージックのファンが使うこともあり、文脈によります。
なぜタブージェスチャーが存在するのか?
これらのタブージェスチャーは、歴史的な出来事、宗教的な背景、性的な暗示、あるいは単に社会的な慣習として「失礼である」と認識されるようになったものです。その意味合いは文化によって大きく異なるため、安易な使用は避けるべきです。
ネイティブはこう使う!英語圏の頻出ジェスチャー
誤解やタブーだけでなく、英語圏のネイティブスピーカーが会話の中でよく使う、特徴的なジェスチャーも知っておくと、コミュニケーションがよりスムーズになります。
手のひらを下にして振る (So-so / まあまあ)
手のひらを下に向け、手首を軸にして左右にゆらゆらと振るジェスチャー。これは「まあまあだね」「良くも悪くもない」「何とも言えない」といった、中立的、あるいはややネガティブな感情を表します。”How was the movie?” (映画どうだった?) と聞かれて、このジェスチャーをしながら “It was okay.” や “So-so.” と言うと、「うーん、まあまあかな…(あまり良くはなかった)」というニュアンスが伝わります。苦笑いを伴うことが多いです。
Jake: How was the job interview? (仕事の面接はどうだった?)
Finn: (手のひらを振るジェスチャー) Well… so-so. I’m not sure if I got it. (うーん、まあまあかな…。受かったかどうか分からないよ。)
Air Quotes / Finger Quotes (引用符、皮肉、強調)
両手の人差し指と中指を立てて(ピースサインのように)、話しながら指先をクイッと折り曲げるジェスチャー。これは文章で使う引用符 (” “) を空中 (air) で表現しているもので、いくつかの意味合いで使われます。
- 皮肉・疑い: 最もよく使われるのがこの用法。相手の言った言葉や、一般的に使われる言葉を引用しつつ、「(言葉とは裏腹に)実際はそうじゃない」「(言葉通りには受け取れない)」「(いわゆる)~ってやつね」といった皮肉や疑い、軽蔑のニュアンスを込めます。元の記事の例文はこの用法です。
- 文字通りの引用: 誰かが言った言葉や本のタイトルなどを、そのまま引用していることを示す場合にも使われます。
- 特定の言葉の強調: 新しい言葉や専門用語、あるいは特に注意を向けたい言葉を強調するために使われることもあります。

“Air quotes” は皮肉で使われることが多い
【皮肉・疑い】
He said he was “working” late, but I saw him at the bar. (彼は遅くまで「仕事」だって言ってたけど、バーで見かけたよ。)
She calls this monstrosity a “work of art”? (彼女はこの化け物みたいなのを「芸術作品」と呼ぶのか?)
【文字通りの引用】
And then he said, “It’s not you, it’s me.” Can you believe it? (それで彼、「君のせいじゃない、僕なんだ」だって。信じられる?)
【強調】
We need to focus on “synergy” to achieve our goals. (目標達成のためには「シナジー」に集中する必要がある。)
文脈や表情、声のトーンからどの意味で使われているか判断する必要がありますが、皮肉や疑いの意味で使われることが多いジェスチャーです。
肩をすくめる (Shrug)
両肩を上げ、手のひらを上に向けて少し広げるジェスチャー。これは「さあ?」「知らない」「分からない」「どうでもいい」「仕方ない」といった意味を表します。答えられない時や、状況を受け入れるしかない時に使われます。
A: Where are my keys? (私の鍵はどこ?)
B: (肩をすくめるジェスチャー) I don’t know. (さあ、知らないよ。)
指を交差させる (Fingers crossed)
人差し指と中指を交差させるジェスチャー。これは「幸運を祈る」「うまくいきますように」という意味です。自分のため、または相手のために幸運を願う時に使います。”Keep your fingers crossed!” (幸運を祈ってて!) と言ったりします。
I have a big exam tomorrow. Fingers crossed! (明日大事な試験があるんだ。うまくいきますように!)
ウインク (Wink)
片目をつぶるジェスチャー。様々な意味合いで使われます。
- 秘密の合図・冗談: 「これは内緒だよ」「冗談だよ」という合図。
- 親近感・フレンドリーさ: 軽い挨拶や、親しみを込めて。
- 魅力のアピール・誘惑: 異性に対して好意を示す場合も。(ただし、文化や状況によっては軽薄に見えることも)
文脈によって意味が変わるので注意が必要です。
サムズアップ (Thumbs up)
親指を立てるジェスチャー。主に「Good!」「OK」「了解」「賛成」といった肯定的な意味で広く使われます。しかし前述の通り、一部の国では侮辱的な意味になるため、使う相手や国を考慮する必要があります。
その他のジェスチャー
- うなずく (Nod): 基本的に「はい」「同意」だが、国によっては首を横に振るのが肯定の場合も(ブルガリアなど)。
- 首を横に振る (Shake head): 基本的に「いいえ」「否定」。
- 頭をかく (Scratch head): 困惑、不確かさ、考え中。
ジェスチャーから学ぶ異文化理解のポイント
ジェスチャーの違いを知ることは、異文化理解の第一歩です。円滑なコミュニケーションのために、以下の点を心がけましょう。
- 観察する: 相手がどのようなジェスチャーを使っているか、注意深く観察しましょう。映画やドラマを見る際も、登場人物のジェスチャーに注目すると面白い発見があります。
- 決めつけない: 日本での意味を、そのまま海外でも通用すると思い込まないようにしましょう。
- 分からない時は聞く: 相手のジェスチャーの意味が分からない時は、失礼にならないように気をつけながら「”Excuse me, what does that gesture mean?” (すみません、そのジェスチャーはどういう意味ですか?)」などと尋ねてみましょう。
- 自分のジェスチャーに注意する: 特に海外では、自分が無意識に使っているジェスチャーが誤解を招かないか、少し意識してみましょう。
- 言葉を補う: ジェスチャーだけに頼らず、言葉での説明を補うことで、誤解を防ぐことができます。
実践!ジェスチャークイズで理解度チェック
学んだことをクイズで確認してみましょう!
問題1: 日本人がよくやる「顔の前で手を振る」ジェスチャーは、英語圏ではどう解釈される可能性がある?
- 「ありがとう」
- 「臭い」または「あっちへ行って」
- 「はい、そうです」
問題2: 英語圏でタブー中のタブーとされる、最も侮辱的なジェスチャーは?
- OKサイン
- 手の甲を向けたVサイン
- 中指を立てる
問題3: 会話中に両手の指で引用符を作る “Air quotes” は、主にどんなニュアンスで使われることが多い?
- 感謝
- 皮肉や疑い
- 同意
問題4: 英語圏で「私」を指すとき、一般的にどうする?
- 人差し指で鼻を指す
- 手のひらや親指で胸を指す
- 小指を立てる
解答: 1. (b), 2. (c), 3. (b), 4. (b)
フレーズ紹介:会話で使える表現
記事で紹介されていたフレーズと、ジェスチャーに関連する表現をまとめました。
うんざりした時に使える “I’m sick of it.”
何か(または誰かの行動)に対して、「もうウンザリだ!」「飽き飽きした!」「いい加減にして!」という強い不満を表すフレーズです。口調によってはかなりキツく聞こえるので、使う相手や状況には注意が必要です。
Sally: Do you mind if we have leftover stew for dinner? (夕飯、残り物のシチューでもいいかな?)
Dave: Not again! I’m so sick of it! (カンベンして!もうシチューは飽きたよ。)
I’m sick of listening to his complaints all the time. (いつも彼の不平不満を聞くのにはウンザリだ。)
「また始まったよ」と呆れる “Here you go again.”
相手がいつもと同じ(好ましくない)言動を繰り返すのを見て、「やれやれ、また始まったよ」「またその話か」と、呆れたり、うんざりしたりする気持ちを表すフレーズです。皮肉っぽく、あるいはため息交じりに使われることが多いです。
Emily: Look at this bracelet. My boyfriend gave it to me on my birthday. He’s the best! (このブレスレット見て。彼氏が誕生日にくれたの。彼って最高!)
Cindy: (Sighs) Here you go again… ((ため息)あ~また始まったよ…。)
※主語を変えて Here he goes again. (彼がまたやってるよ)、Here they go again. (彼らがまた…) のようにも使えます。
ジェスチャーについて尋ねるフレーズ
相手のジェスチャーの意味が分からない時に使えるフレーズです。
Excuse me, what does that gesture mean? (すみません、そのジェスチャーはどういう意味ですか?)
Sorry, I’m not familiar with that gesture. Could you explain? (すみません、そのジェスチャーには馴染みがないのですが、説明していただけますか?)
まとめ:ジェスチャーの違いを知り、円滑な国際交流を!
ジェスチャーは、言葉の壁を越えてコミュニケーションを助けてくれる便利なツールですが、文化によってその意味は大きく異なります。日本で当たり前の仕草が海外では誤解されたり、逆に相手のジェスチャーの意味が分からず戸惑ったりすることもあります。特に、中指を立てるようなタブージェスチャーは、深刻なトラブルを引き起こす可能性さえあります。
【この記事のポイント】
- 日本の「顔の前で手を振る」「鼻を指す」などのジェスチャーは英語圏では通じないか誤解される。
- 「中指を立てる」は英語圏で最も有名なタブージェスチャー。絶対に避ける。
- OKサインやVサインの向きなども、国によっては注意が必要。
- ネイティブがよく使う「So-so」「Air quotes」「Shrug」「Fingers crossed」などの意味を知っておくと便利。
- ジェスチャーの違いは文化の違い。決めつけず、観察し、分からない時は尋ねることが大切。
- ジェスチャーだけに頼らず、言葉でのコミュニケーションを心がける。
異文化の人々とコミュニケーションをとる際には、言葉だけでなく、ジェスチャーという非言語コミュニケーションにも意識を向けることが、相互理解を深め、より良い関係を築くための鍵となります。違いを楽しみながら、適切なジェスチャーを使えるように心がけましょう。
それではまた!