「思い出す」は英語で?Remember, Recall, Memorizeの使い分けと記憶の英語フレーズ集
「あの人の名前、なんだっけ?」「確か、昨日は雨だったような…」私たちの日常会話は、「記憶」に関する表現であふれています。”Remember” という単語は知っていても、もっと細かなニュアンスを伝えたいのに、いつも同じ言葉の繰り返しになっていませんか?英語には「覚えている」「思い出す」「忘れる」を表す多彩な表現があり、それらを使い分けることで会話にぐっと深みが出ます。この記事では、似ている単語の使い分けから、ネイティブが使う便利なイディオムまで、記憶に関する英語表現を完全網羅。表現の引き出しを増やしたい方は、英語教室でアウトプットの機会を作るのもおすすめです。さあ、単調な会話から卒業し、表現の達人を目指しましょう!
レッスンの内容
英語の「記憶」は一言じゃない!ニュアンスで変わる単語たち
まず大前提として、「記憶」という言葉は、名詞で使うか動詞で使うかによって基本となる単語が変わります。
品詞 | 単語 | 意味・使い方 |
---|---|---|
名詞 | Memory | 記憶、思い出、記憶力 例: The memory of that day. (あの日の記憶) |
動詞 | Remember | 記憶している、覚えている、思い出す 例: I remember that day. (あの日のことを覚えている) |
この記事では、これらの基本単語に加え、さらに豊かな表現を可能にする様々な単語やフレーズを、意味のカテゴリーに分けて詳しく解説していきます。
【基本】「覚えている」状態を表す表現
まずは「記憶している」「覚えている」という状態を表す表現です。記憶の確かさによって、様々な言い方ができます。
“Remember”: 基本の「覚えている」
動詞の Remember は、「覚えている」という状態を表す最も基本的な単語です。
I remember last summer vacation.
(私は、去年の夏休みのことを覚えている。)
記憶の鮮明さを伝える表現
「はっきりと覚えている」と伝えたいときは、これらの表現が役立ちます。
- a vivid memory: 鮮明な記憶
- still fresh in one’s mind: 記憶に新しい
- remember it well / clearly: はっきりと覚えている
- impressed on one’s memory: 記憶に焼き付いている
記憶の曖昧さを伝える表現
逆に「うろ覚え」「なんとなく覚えている」という曖昧な記憶を表すには、以下のような表現を使います。
- a dim / vague memory: かすかな・曖昧な記憶
- vaguely remember: うっすらと覚えている
- kind of remember: なんとなく覚えている(口語的)
- barely remember: かろうじて覚えている
- only remember bits and pieces: 断片的にしか覚えていない
【使い分け】「思い出す」アクションを表す表現
次に、記憶を「思い出す」という行為(アクション)に焦点を当てた単語を見ていきましょう。似ていますが、それぞれニュアンスが異なります。

Rememberは自然に、Recallは努力して思い出すイメージです。
Remember vs. Recall: 自然に思い出すか、努力して思い出すか
- Remember: 「覚えている」だけでなく、「(自然に)思い出す」という意味でも使われます。何かのきっかけで、特に努力せずに記憶が蘇るイメージです。
例: I suddenly remembered I had an appointment. (急に約束があったことを思い出した。) - Recall: 「思い起こす」「呼び戻す」という言葉の通り、意識的に、努力して記憶を引き出すニュアンスがあります。よりフォーマルな響きも持ちます。
例: I cannot recall where I put my keys. (鍵をどこに置いたか思い出せない。)
Remind: 「誰か(何か)に思い出させる」
Remind は、自分ではなく「誰かに何かを思い出させる・気づかせる」という他動詞です。主語が人にも物にもなれるのが特徴です。
Could you remind me to call him later?
(後で彼に電話するよう、私にリマインドしてくれない?)This song reminds me of my high school days.
(この歌は私の高校時代を思い出させる。)
Recollection: フォーマルな「回想」
Recollection は “Memory” とほぼ同じ「記憶、思い出」という意味の名詞ですが、よりフォーマルな響きがあり、「過去の出来事を思い返す行為(回想)」そのものを指すニュアンスが強いです。
To the best of my recollection, he was not at the party.
(私の思い返す限りでは、彼はパーティーにはいませんでした。)
【目的別】特殊な「覚える」と「忘れる」
Memorize: 努力して「暗記する」
Memorize は、単に「覚える」のではなく、意図的な努力によって情報を記憶に定着させる「暗記する」という意味の動詞です。試験勉強で英単語や数式を覚える、といった場面に最適です。

Memorizeは、努力や反復によって「暗記する」ことを指します。
I had to memorize a long poem for school.
(学校のために長い詩を暗記しなければならなかった。)
Forget: 「忘れる」現在形と過去形の深い意味
Forget は「忘れる」を意味しますが、現在形と過去形でニュアンスが異なります。
- I forget… : 「忘れてしまって、今も思い出せない」という状態。
- I forgot… : 「(あの時は)忘れていたけど、今は思い出した」という状態の変化。
Q: What’s her name? (彼女の名前は?)
A: Sorry, I forget. (ごめん、忘れちゃった。思い出せない。)Q: Did you bring the document? (書類持ってきた?)
A: Oh, I forgot! (あ、忘れてた! ※言われて思い出した)
会話で実践!記憶をたどるリアルなやり取り
AnnaとLisaが、昨日の会議について記憶をたどっています。
【会話で学ぶ】AnnaとLisaの「あれ、なんだっけ?」
Anna: Do you remember what she said yesterday?
(昨日、彼女が言ってたこと覚えてる?)
Lisa: “She” who? That’s not enough information to recall anything.
(「彼女」って誰のことよ。それだけじゃ何も思い出せないわ。)
Anna: You know, the woman who was sitting in the corner at the meeting yesterday afternoon. She had long hair and wore glasses.
(ほら、昨日の午後の会議で隅に座ってた人。髪が長くて眼鏡かけてた…)
Lisa: Oh, the one from the accounting department, right? I forget her name, though.
ああ、経理部の人でしょ?名前は忘れちゃったけど。)
Anna: I’m pretty sure she said something important.
(彼女が何か大事なことを言っていたのは確かなんだけどなぁ。)
Lisa: Hmm…What was it? I don’t remember at all.
(うーん…何だっけ。全然覚えてないや。)
Anna: Something about the way to submit invoices will blah blah blah…
(請求書の出し方がなんとかかんとかって…)
Lisa: Oh, it’s all coming back to me now! Something about submitting them by the 10th of every month?
(あー、だんだん思い出してきた!毎月10日までに出すとかそんな話?)
Anna: Yeah, that’s right! Thanks for your help.
(そうそう!助かったわ、ありがとう。)
会話で役立つキーフレーズ解説
- I’m pretty sure: 「確信度は高いけど、100%ではない」という時に使う便利な表現。「ほぼ間違いないと思う」というニュアンスです。
- at all: 否定文の後につけて「全く~ない」と強調します。
- blah blah blah: 日本語の「なんとかかんとか」「かくかくしかじか」にあたる口語表現です。
【ネイティブ度UP】絶対使える!記憶に関するイディオム5選
日常会話で頻繁に使われる、記憶にまつわるイディオム(慣用句)です。使いこなせれば、一気にネイティブらしい表現になります。

言いたいことが思い出せない、もどかしい気持ちを表すイディオムです。
On the tip of my tongue: 「喉まで出かかってるのに!」
まさに思い出せそうで思い出せない、もどかしい状況を表すのに最適なフレーズ。日本語の「喉まで」に対し、英語では「舌先まで(tip of my tongue)」というのが面白いですね。
Slip one’s mind: 「うっかりど忘れ」
覚えておくべきだった予定や約束を「うっかり忘れてしまった」「記憶から抜け落ちていた」という状況で使います。”I forgot.” よりも「悪気はなかった」というニュアンスが出せます。
Ring a bell: 「ピンとくる、聞き覚えがある」
何かを見たり聞いたりしたときに、完全には思い出せないけれど「何か引っかかる」「聞き覚えがある」という感覚を表します。疑問文や否定文で使われることが多いです。
As far as I remember: 「私の記憶では…」
自分の記憶に100%の自信はないけれど、「私の覚えている限りでは~だ」と前置きしたいときに非常に便利なフレーズです。”As far as I can recall” も同じ意味で使えます。
It’s all coming back to me now: 「だんだん思い出してきた!」
忘れていた記憶が、何かのきっかけで徐々によみがえってくる様子を表すフレーズです。セリーヌ・ディオンの有名な楽曲のタイトルにもなっていますね。
まとめ:「記憶」の英語を使いこなし、表現の達人へ
今回は、「記憶」に関する様々な英語表現を見てきました。単に “Remember” や “Forget” を使うだけでなく、状況や記憶の度合いに応じて適切な単語やフレーズを選ぶことで、あなたの英語はより繊細で、表現力豊かなものになります。
特に、Remember, Recall, Remind, Memorize といった紛らわしい動詞のコアイメージを理解すること、そして日常会話で役立つイディオムをいくつかストックしておくことが、コミュニケーションを円滑にする鍵となります。今回学んだ表現を、ぜひ実際の会話で試してみてください。
それではまた、See you!