外国人のお客様が受付に現れた瞬間、「最初の挨拶はできるけれど、その後に何を聞けばよいのかわからない」と緊張する方は少なくありません。名前を聞き取れなかったり、担当者が遅れていたりすると、知っている単語まで出てこなくなることがあります。
来客対応では、長く流暢な英語を話す必要はありません。受付から見送りまでの流れを分け、各場面で使う短い定番文を準備すれば、相手の話を一つずつ確認しながら進められます。英語の基礎から会話練習を続けたい場合は、英語教室も練習環境の選択肢になります。
この記事では、挨拶、用件・氏名・会社名の確認、担当者への連絡、待機の依頼、会議室への案内、飲み物の提供、遅延時の説明、見送りまでを実際の順番に沿って整理しています。聞き返し方や発音、失礼に聞こえやすい表現も確認できるので、必要な場面から読み進めてください。
来客対応の英語は「受付の流れ」で覚える
- 来客対応は十個ほどの場面に分けると準備しやすい
- 質問は一度に重ねず、一つ聞いて一つ確認する
- 英語と表情、視線、案内動作を組み合わせる
最初に押さえたいのは、来客対応が自由会話ではなく、ある程度決まった手順で進む業務だという点です。基本は、挨拶、用件確認、氏名と会社名の確認、面会予定の確認、担当者への連絡、待機、案内、飲み物、見送りという順番です。
この流れを理解していれば、相手の英語をすべて聞き取れなくても、次に確認すべき情報を判断できます。重要なのは、会話を小さな単位に分けることです。
受付から見送りまでの基本手順
- 時間帯に合う挨拶をする
- 来社の目的を尋ねる
- 氏名と会社名を確認する
- 面会相手、予定時刻、予約の有無を確認する
- 必要な入館手続きを案内する
- 担当者へ到着を知らせる
- 待つ場所と次の動きを伝える
- 会議室や応接スペースへ案内する
- 必要に応じて飲み物をすすめる
- 面談後に出口やエレベーターまで見送る
一度に「お名前と会社名と面会相手と予約時刻を教えてください」と尋ねると、相手はどれから答えるべきか迷います。まず用件を尋ね、次に不足している情報だけを聞くほうが、受付側にも訪問者側にも負担がありません。
たとえば、訪問者が「I have an appointment with Ms. Tanaka at two.」と話したなら、面会相手と時刻はすでに確認できています。続けて会社名や氏名を尋ねれば十分です。同じ内容を最初から質問し直す必要はありません。

短い英語に案内動作を加える
受付では、英文の丁寧さだけで印象が決まるわけではありません。落ち着いた速さ、相手の顔を見る姿勢、開いた手で方向を示す動作があると、短い英語でも意図が明確になります。
「This way, please.」と言いながら手のひらで進行方向を示せば、相手は迷わず動けます。一方、長い英文を早口で話して先に歩き出すと、文法が正しくても相手を置き去りにする可能性があります。相手が動き始めたことを確認するところまでが案内です。
では、受付の第一声には何を使えばよいのでしょうか。次の章では、挨拶から用件確認までを一続きの型にして見ていきます。
最初の挨拶と用件確認で使う英語
- 挨拶と用件確認を一組で覚える
- 迷ったら「How may I help you?」を使う
- 予定を把握している相手には歓迎の一言を添えられる
受付の第一声は、「Good morning. How may I help you?」を基本形にすると安定します。時間帯を問わない場合は「Hello.」でも構いません。挨拶だけで止まらず、用件を尋ねる文まで続けると、相手が話し始めやすくなります。
- フレーズ
- Good morning. How may I help you?
- 日本語訳
- おはようございます。どのようなご用件でしょうか。
- 使う場面
- 午前中に来訪者を迎え、用件を自由に話してもらうときに使います。午後はGood afternoon.に替えられます。
- 注意点・誤用例
- What do you want?は「何が欲しいのですか」という直接的な響きになり、受付の第一声には向きません。日本語の「いらっしゃいませ」を一語ずつ置き換えようとする必要もありません。
- 発音・ニュアンス
- How may Iは区切りすぎず「ハウ・メイアイ」に近い流れで発音します。mayを強く押し出すより、help youを落ち着いて言うと自然です。
「How can I help you?」も自然で、幅広い職場で使えます。「How may I help you?」は少し改まった印象を作りやすいため、相手との関係がわからない受付でも選びやすい表現です。どちらを使う場合も、柔らかい声で最後まで言うことが大切です。
来社への感謝や歓迎を添える
訪問予定を把握しているお客様には、「We’ve been expecting you.」を添えられます。これは「お待ちしておりました」という歓迎を表し、相手の来訪が社内で共有されていることも伝えられます。
- フレーズ
- Welcome. We’ve been expecting you.
- 日本語訳
- ようこそ。お待ちしておりました。
- 使う場面
- 予約名簿などで来訪を把握しており、相手の到着を歓迎するときに使います。
- 注意点・誤用例
- We were waiting for you.は、状況や言い方によって「ずっと待たされていた」という不満に聞こえることがあります。歓迎を示すならexpectを使うほうが安全です。
- 発音・ニュアンス
- We’veは「ウィーヴ」のようにつなげます。expectingの第二音節付近をやや強くし、語尾を急がず伝えます。
訪問者側からよく聞く表現
- I’m here to see Ms. Tanaka.(田中さんに会うために参りました)
- I have an appointment with Mr. Sato at 10:00.(10時に佐藤さんとの約束があります)
- I’m here for the sales meeting.(営業会議のために参りました)
- I’m here to deliver these documents.(こちらの書類を届けに参りました)
- I’m Morgan Lee from ABC Inc.(ABC社のモーガン・リーです)
「I’m here to see ~」のseeは、ここでは「見る」ではなく「人に会う」という意味です。訪問者がこの型を使ったら、後ろに続く人名を聞き取ることを優先しましょう。人名だけ聞き取れなければ、会話全体をやり直さず、その部分だけ聞き返せます。
Hi.は誤りではありませんが、親しみのある響きがあります。社風や相手との関係がわからない場合は、Hello.、Good morning.、Good afternoon.から選ぶと場面に合わせやすくなります。
用件がわかったら、次は氏名、会社名、面会予定を正確に確認します。ここでは、聞こえたふりをせず、必要ならつづりまで尋ねる姿勢が重要です。
氏名・会社名・アポイントを丁寧に確認する
- 名前は「May I have your name, please?」で確認する
- 聞き取れなければ、繰り返しやつづりをお願いする
- 予約が見つからないときは、予約がないと断定しない
氏名の確認では、「May I have your name, please?」を定番にするとよいでしょう。「What’s your name?」も文法上は問題ありませんが、企業受付では直接的に聞こえる可能性があります。
- フレーズ
- May I have your name and company name, please?
- 日本語訳
- お名前と会社名をお伺いできますか。
- 使う場面
- 訪問者が用件や面会相手だけを伝え、氏名や所属をまだ名乗っていないときに使います。
- 注意点・誤用例
- 名前だけが不足しているのに、面会相手や時刻まで繰り返し質問すると会話が長くなります。すでに得た情報を意識し、不足部分だけを確認します。
- 発音・ニュアンス
- companyは最初の音節を強め、「カンパニー」に近いリズムです。pleaseは強調しすぎず、依頼全体を柔らかく閉じる感覚で添えます。
名前を聞き取れないとき
外国の氏名は、発音だけではつづりを判断できない場合があります。間違った名前を担当者へ伝えるより、その場で丁寧に再確認するほうが確実です。
- I’m sorry, I didn’t catch your name.(申し訳ありません、お名前を聞き取れませんでした)
- May I have your name again, please?(もう一度お名前をお伺いできますか)
- Could you spell your last name, please?(苗字のつづりを教えていただけますか)
- Could you write the name down for me, please?(お名前を書いていただけますか)
- Did you say Brown?(ブラウン様とおっしゃいましたか)
「I didn’t catch your name.」のcatchは、ここでは「聞き取る」という意味です。「理解できませんでした」と広く伝えるより、名前だけが聞き取れなかったと限定できるため、相手も何を繰り返せばよいか判断できます。
会社名と所属を確認する
会社名は「May I have your company name, please?」で確認できます。「Which company are you with?」も、所属先を尋ねる自然な表現です。電話や内線で担当者に伝えることを考え、聞き慣れない会社名はつづりや名刺で確認しましょう。
- フレーズ
- Which company are you with?
- 日本語訳
- どちらの会社にお勤めですか。どちらの会社に所属されていますか。
- 使う場面
- 訪問者の氏名は確認できたものの、所属企業がわからないときに使います。
- 注意点・誤用例
- Where is your company?では、会社の所在地を尋ねる意味になります。所属企業を知りたい場合はcompanyとwithを組み合わせます。
- 発音・ニュアンス
- are youは会話では「アーユ」に近くつながります。ただし、慣れないうちは一語ずつ明瞭に発音しても問題ありません。
面会予定と時刻を確認する
- Do you have an appointment?(お約束はございますか)
- Who are you here to see?(どなたにお会いになる予定ですか)
- What time is your appointment?(お約束は何時でしょうか)
- Let me check the appointment list.(予約一覧を確認いたします)
- Could you show me the appointment confirmation?(予約確認画面を見せていただけますか)
appointmentは「アポイントメント」に近い形で、途中を省略せずに発音します。日本語の職場で使われる「アポ」は、そのまま英語として言っても通じない可能性があります。
予約一覧に名前がない場合でも、You don’t have an appointment.と断定しないようにします。入力漏れや共有の行き違いも考えられるため、I can’t find your name on the appointment list.と、現時点で確認できない事実だけを伝えます。
入館手続きをお願いする
- Could you fill out this form, please?(こちらの用紙にご記入いただけますか)
- Could you sign in here, please?(こちらで受付の記入をお願いできますか)
- Please write your name and company name here.(こちらに氏名と会社名をご記入ください)
- Could you please wear this visitor badge?(こちらの来場者用バッジを着けていただけますか)
- Please return the badge when you leave.(お帰りの際にバッジをご返却ください)
fill outは用紙全体に必要事項を記入して完成させる感覚、fill inは空欄へ情報を入れる感覚で使われます。受付票への記入ではどちらも耳にします。用紙を指し示しながら話すと、相手が次に行うことがさらに明確になります。
確認が済んだら、担当者への連絡と待機の依頼へ進みます。ここで必要なのは、待つ場所だけでなく、なぜ待つのかを伝えることです。
担当者への連絡と待機をお願いする英語
- 待機依頼には場所と理由を添える
- 担当者には氏名、会社名、現在地を簡潔に伝える
- Pleaseだけに頼らず、依頼文全体を柔らかくする
お客様に待ってもらうときは、「Please have a seat. I’ll let Ms. Tanaka know you’re here.」のように、行動と理由を続けて伝えると安心感が生まれます。無言で内線を操作するより、何をしているかを短く共有するほうが親切です。
- フレーズ
- Please have a seat. I’ll let Mr. Sato know you’re here.
- 日本語訳
- どうぞお掛けください。佐藤にお見えになったことを伝えます。
- 使う場面
- 氏名や面会予定を確認し、内線や社内連絡で担当者へ到着を知らせる直前に使います。
- 注意点・誤用例
- Sit down, please.は、口調によって強い指示に聞こえることがあります。また、Please wait.だけでは場所や理由がわかりません。have a seatや具体的な説明を使います。
- 発音・ニュアンス
- let Mr. Sato knowは、letとMr.を不自然に伸ばさず、knowをやや明瞭に発音します。「到着したことを知らせる」という実務的で自然な表現です。
「Please have a seat.」と「Please take a seat.」は、どちらも「どうぞお掛けください」という意味です。have a seatは柔らかく聞こえやすく、受付で使いやすい表現です。椅子の位置がわかりにくければ、over thereやhereを加えます。
- Please have a seat over there.(あちらにお掛けください)
- Could you wait here for a moment, please?(こちらで少々お待ちいただけますか)
- One moment, please. I’ll check with Ms. Tanaka.(少々お待ちください。田中に確認します)
- Mr. Sato will be with you shortly.(佐藤が間もなく参ります)
- I’ll see if Ms. Tanaka is available.(田中が対応できるか確認します)
担当者へ到着を伝える
社内連絡では、訪問者の氏名、会社名、いる場所、面会目的を簡潔に伝えます。必要な情報を一文にまとめると、担当者が次の指示を出しやすくなります。
- Ms. Green from XYZ Corporation is here to see you.(XYZ社のグリーン様がお見えです)
- Mr. Brown is waiting in reception.(ブラウン様が受付でお待ちです)
- Your 10 o’clock appointment is here.(10時のお約束のお客様がお見えです)
- I have a visitor for the sales meeting in reception.(営業会議のお客様が受付にお見えです)
receptionは受付業務だけでなく、受付場所を指すことがあります。「in reception」「at reception」「in the reception area」などの形が使われます。社内でよく使われる言い方があるなら、表現を統一しておくと連絡が円滑です。
Pleaseを付ければ丁寧になるとは限らない
pleaseは重要な語ですが、命令形に付けるだけで、どの表現も同じように丁寧になるわけではありません。依頼の形、状況説明、声の調子まで含めて印象が決まります。
Please wait.やPlease sit down.だけでは、状況によって強く聞こえます。One moment, please.、Please have a seat.、Could you wait here for a moment, please?など、場面に合うまとまりで覚えましょう。
受付から担当者への短い会話
- 会話
- 受付担当者:Ms. Green from XYZ Corporation is waiting in reception.
担当者:Please bring her to Meeting Room B.
受付担当者:Certainly. - 日本語訳
- 受付担当者:XYZ社のグリーン様が受付でお待ちです。
担当者:会議室Bへお連れしてください。
受付担当者:承知しました。 - 使う場面
- 受付から担当者へ連絡し、訪問者をどこへ案内するか確認するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 名前から性別を判断できない場合は、代名詞を無理に使わず、Please bring Alex Morgan to Meeting Room B.のように氏名を繰り返せます。
- 発音・ニュアンス
- Certainly.は「承知しました」に近い丁寧な返答です。最初の音節より、中央のcer付近に自然な強さを置きます。
担当者から行き先の指示を受けたら、お客様へ目的地を伝えて案内を始めます。次は、廊下やエレベーターで使える短い表現を確認しましょう。
会議室へ案内するときの英語とbring・takeの違い
- 行き先を伝えてから歩き始める
- bringは基準の場所へ、takeは別の場所へ移す感覚で使う
- 到着後は担当者が来る時期も伝える
会議室への案内は、「Please follow me. I’ll take you to the meeting room.」を基本形にできます。先に行き先を伝えれば、お客様はどこへ移動するのか理解したうえで歩き始められます。
- フレーズ
- Please follow me. I’ll take you to the meeting room.
- 日本語訳
- こちらへどうぞ。会議室へご案内します。
- 使う場面
- 受付から会議室へ一緒に移動するときに使います。This way, please.やLet me show you to the meeting room.にも置き換えられます。
- 注意点・誤用例
- Follow me.だけでも意味は通じますが、口調によって強く聞こえます。pleaseを添え、相手が動き始めたことを見てから歩き出します。
- 発音・ニュアンス
- followは第一音節を強くし、「ファロウ」に近い音です。take youは速い会話ではつながりますが、受付では明瞭に発音して構いません。

移動中に使える短い一言
- The meeting room is on the third floor.(会議室は3階にあります)
- We’ll take the elevator to the fifth floor.(エレベーターで5階へ上がります)
- The elevator is this way.(エレベーターはこちらです)
- It’s just down the hall.(廊下を少し進んだところです)
- Please watch your step.(足元にお気をつけください)
- After you.(お先にどうぞ)
- We’re almost there.(もうすぐ着きます)
移動中にずっと会話を続ける必要はありません。階数、曲がる方向、段差など、相手の行動に必要な情報を短く伝えれば十分です。エレベーターの扉を押さえて先に乗ってもらうときは、「After you.」が自然です。
bringとtakeを方向で使い分ける
bringとtakeは、どちらも人や物を移動させる語ですが、移動の基準が異なります。bringは基準の場所へ近づける、takeは現在地から別の場所へ移す、と考えると整理しやすくなります。
- フレーズ
- Please bring the visitor here.
I’ll take the visitor to the meeting room. - 日本語訳
- 来訪者をこちらへお連れください。
来訪者を会議室へお連れします。 - 使う場面
- 担当者が自分のいる場所へ連れてきてほしい場合はbring、受付から別の会議室へ案内する場合はtakeを使います。
- 注意点・誤用例
- 日本語ではどちらも「連れていく」「連れてくる」と訳されるため、訳語だけで暗記すると混乱します。hereとto the meeting roomを対にして方向を想像します。
- 発音・ニュアンス
- bringの語尾は「グ」だけを強く切らず、鼻に響く音で閉じます。takeは二重母音を意識し、「テイク」と一息で発音します。
会議室に到着したとき
- Here is the meeting room.(こちらが会議室です)
- Please have a seat here.(こちらにお掛けください)
- Please have a seat wherever you like.(お好きな席にお掛けください)
- Mr. Sato will be with you shortly.(佐藤が間もなく参ります)
- Is there anything you need?(何か必要なものはございますか)
会議室へ入れた後、無言で立ち去ると、お客様はその場で待つべきか迷います。「Mr. Sato will be with you shortly.」と伝え、次に起こることを明確にしましょう。担当者の到着まで時間がある場合は、飲み物の希望も尋ねられます。
飲み物をすすめる英語と好みの確認
- 提供できる飲み物を具体的に示す
- コーヒーや紅茶はミルクと砂糖の希望も確認する
- 熱い飲み物を置くときは注意を添える
飲み物をすすめるときは、「Would you like something to drink?」が基本です。選択肢が決まっているなら、「Would you like water, tea, or coffee?」のように具体的に伝えると、相手が答えやすくなります。
- フレーズ
- Would you like some tea or coffee?
- 日本語訳
- お茶かコーヒーはいかがですか。
- 使う場面
- 会議室で担当者を待ってもらうときや、面談開始前に飲み物を用意するときに使います。
- 注意点・誤用例
- What do you want to drink?は、受付では直接的に聞こえる場合があります。また、提供できない選択肢まで広げないよう、実際に用意できるものを示します。
- 発音・ニュアンス
- Would youは「ウッジュー」に近くつながることがあります。無理につなげず、Would you likeを一まとまりとして穏やかに言えば十分です。
ミルクや砂糖を確認する
- How do you take your coffee?(コーヒーはどのようにお飲みになりますか)
- Would you like milk or sugar?(ミルクか砂糖はいかがですか)
- Do you take milk and sugar?(ミルクと砂糖はお使いになりますか)
- Black, please.(ブラックでお願いします)
- Just milk, please.(ミルクだけお願いします)
「How do you take your coffee?」のtakeは、コーヒーをどのような状態で飲むかを尋ねています。初めて聞くと「どこへ持っていくのか」と誤解しやすいので、好みを尋ねる一つの型として覚えると便利です。
飲み物を置くとき
- Here’s your coffee.(コーヒーをどうぞ)
- Here you are.(どうぞ)
- Please be careful. It’s hot.(熱いのでお気をつけください)
- Let me know if you need anything else.(ほかに必要なものがあればお知らせください)
熱い飲み物を置くときは、相手の書類や電子機器から少し離れた位置を選びます。英語だけでなく、置く場所への配慮も来客対応の一部です。
予定どおり担当者が来れば、この後は面談へ進みます。しかし、前の会議が長引いたり、担当者が外出先から戻れなかったりすることもあります。次は、相手を不安にさせにくい遅延説明の組み立て方です。
担当者の遅れ・不在・予約未確認を伝える
- 謝罪、状況、時間の目安、選択肢の順で伝える
- 不確かな到着時刻を断定しない
- 待機が難しい相手には日程変更や別担当者を提案する
担当者が遅れているときは、謝るだけでなく、現在の状況と待ち時間の目安を伝えます。相手に時間の余裕がない可能性もあるため、待つ以外の選択肢も示すと実務的です。
- フレーズ
- I’m sorry, but Ms. Tanaka’s previous meeting is running late. She should be here in about ten minutes.
- 日本語訳
時間表現を区別する
- in ten minutes:今から10分後に
- by 3:00:遅くとも3時までに
- around 3:00:3時ごろに
- for another ten minutes:あと10分間
- shortly:間もなく
待ち時間がわかる場合は、soonだけでなく具体的な目安を示すと、相手が次の予定を判断できます。一方、わからないときに数字を推測して伝える必要はありません。「I’m checking when he’ll be available.」と、確認中であることを共有します。
担当者が外出中の場合
- I’m afraid Mr. Sato is still out of the office.(あいにく佐藤はまだ外出しております)
- He’s on his way back to the office.(佐藤は会社へ戻っている途中です)
- He should be back by 3:00.(3時までには戻る見込みです)
- He was delayed by traffic.(交通事情で遅れております)
- He asked me to apologize for the delay.(遅れていることについて本人からお詫びを申し上げております)
「He is out.」だけでは、約束を忘れて外出しているように聞こえる可能性があります。戻る途中なのか、何時ごろ戻る見込みなのか、本人から連絡があるのかを添えると状況が伝わります。
待機以外の選択肢を示す
- Would you be able to wait for another ten minutes?(あと10分ほどお待ちいただけますか)
- Would you prefer to reschedule the meeting?(日程を変更したほうがよろしいでしょうか)
- May I ask someone else to assist you?(別の者が対応いたしましょうか)
- Would you like to leave a message?(伝言を残されますか)
- May I have your phone number or email address?(電話番号またはメールアドレスをお伺いできますか)
お客様が急いでいる場合、待つよう強く求めるのは適切ではありません。待機、日程変更、別担当者という選択肢を示し、相手に判断してもらいます。
予約が一覧に見つからない場合の会話
- 会話
- 訪問者:I have an appointment with Mr. Sato at 11:30.
受付担当者:Thank you. I’m sorry, but I can’t find your name on the appointment list. Let me check with Mr. Sato directly.
訪問者:Of course.
受付担当者:Could you wait here for a moment, please? - 日本語訳
- 訪問者:11時30分に佐藤さんとの約束があります。
受付担当者:ありがとうございます。遅延や予約の行き違いでは、正確な確認が最優先です。そのためには、聞き取れないときに会話を止め、必要な部分を聞き返せることが欠かせません。
英語を聞き取れないときの聞き返し方
- 聞き返しは失礼ではなく、正確な案内に必要な確認
- 聞き取れなかった部分を限定して尋ねる
- 復唱、つづり、筆記、予約画面を組み合わせる
受付で避けたいのは、わかったふりをして別の担当者へ連絡することです。聞き返すこと自体は失礼ではありません。むしろ、名前や面会相手を間違えないための責任ある確認です。
- フレーズ
- I’m sorry, I didn’t catch your name. Could you say it again, please?
- 日本語訳
- 申し訳ありません、お名前を聞き取れませんでした。もう一度おっしゃっていただけますか。
- 使う場面
- 訪問目的や会社名は理解できたものの、氏名だけを聞き取れなかったときに使います。
- 注意点・誤用例
- Pardon?だけを何度も繰り返すと、相手はどの部分が伝わらなかったのか判断できません。name、company name、appointment timeなどを明示します。
- 発音・ニュアンス
- didn’t catchを一息で言う必要はありません。catch your nameを明瞭にすると、聞き取れなかった対象が伝わります。
速度を落としてもらう
- Could you speak a little more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか)
- Could you say that again, please?(もう一度おっしゃっていただけますか)
- Could you repeat the company name, please?(会社名をもう一度お願いできますか)
- Could you spell that for me, please?(そのつづりを教えていただけますか)
英語に不慣れであることを伝える場合は、謝罪だけで終わらせず、相手にしてほしい行動まで続けます。「I’m still learning English. Could you speak a little more slowly, please?」なら、速度を落としてほしいことが明確です。
復唱して認識を合わせる
- Let me make sure I understood correctly.(正しく理解できたか確認させてください)
- You’re here to see Ms. Tanaka at 11:00, correct?(11時に田中との面会でお越しということでよろしいですか)
- Did you say Meeting Room B?(会議室Bとおっしゃいましたか)
- So your last name is Green, G-R-E-E-N. Is that correct?(苗字はグリーン、つづりはG-R-E-E-Nでよろしいですか)
復唱は、聞き取れた情報を確定する作業です。疑問形のcorrect?を最後に添えると、相手が短くYesまたはNoで修正できます。
Would you mind ~?への答え方
「Would you mind waiting here?」は、直訳すると「ここで待つことを気にしますか」という形です。待ってもよい場合は、気にしないという意味で「No, not at all.」「Of course not.」「That’s fine.」と答えられます。
依頼を受け入れるつもりでYes.と答えると、「気にします」という意味に受け取られる可能性があります。受付側が誤解を避けたい場合は、Could you wait here for a moment, please?のような答えやすい依頼に替えられます。
正確に確認し、無事に面談が終わったら、最後は出口やエレベーターまで案内します。見送りも受付対応の一部であり、来社への感謝を伝える機会です。
見送りで使う英語と自然な締めくくり
- 出口やエレベーターまで案内する意思を伝える
- 来社への感謝と帰路への気遣いを添える
- see someone outは「出口まで見送る」という表現
面談が終わった後は、「I’ll show you to the exit.」や「I’ll walk you to the elevator.」と声をかけます。お客様が建物の出口を知っている場合でも、会社の運用に合わせて見送りを行います。
- フレーズ
- I’ll see you out. Thank you for coming today.
- 日本語訳
- 出口までお見送りします。本日はお越しいただきありがとうございました。
- 使う場面
- 面談を終えたお客様を部屋や建物の出口まで案内するときに使います。
- 注意点・誤用例
- see youは通常「また会いましょう」ですが、see you outは句全体で「出口まで見送る」という意味です。outを落とすと意図が変わります。
- 発音・ニュアンス
- see you outは一まとまりで発音します。outを明瞭にし、案内を申し出る穏やかな調子で伝えます。
出口で添えられる表現
- Thank you for taking the time to visit us.(お時間を割いてお越しいただきありがとうございました)
- It was a pleasure meeting you.(お会いできて光栄でした)
- Have a safe trip back.(お気をつけてお帰りください)
- We look forward to seeing you again.(またお会いできることを楽しみにしております)
- Please give our regards to your team.(皆様によろしくお伝えください)
エレベーター前で見送りを終えるなら、「I’ll say goodbye here. Have a safe trip back.」と伝えられます。どこまで同行するのかが明確になり、別れの挨拶も自然につながります。
ここまでの表現を実務で使えるようにするには、単語帳の順ではなく、受付の流れで口から出す練習が有効です。次は、短時間でも続けやすい練習手順へ進みます。
実務で使えるようにする音読・発音・ロールプレイ
- 最初は十二個の基本文を流れに沿って練習する
- 英文だけでなく、視線や案内動作も一緒に再現する
- 遅延や聞き取り失敗を含む練習も行う
多くの表現を一度に暗記するより、頻度の高い文を受付の順番で言えるようにするほうが実務につながります。最初は、次の十二文を声に出してください。
- Good morning. How may I help you?
- May I have your name and company name, please?
- Who are you here to see?
- Do you have an appointment?
- Let me check the appointment list.
- Please have a seat.
- I’ll let Mr. Sato know you’re here.
- Mr. Sato will be with you shortly.
- Please follow me.
- I’ll take you to the meeting room.
- Would you like something to drink?
- Thank you for coming today.
一文ずつ読めるようになったら、番号を見ずに流れを再現します。途中で止まった場合は、忘れた文だけでなく、その直前の文から言い直します。前後の場面を結び付けることで、実際の受付でも次の表現を思い出しやすくなります。

発音は強弱と区切りを意識する
すべての音を同じ強さで読むと、文の要点が伝わりにくくなります。名前、会社名、時刻、場所など、相手に必ず聞いてほしい情報をやや明瞭にします。
- How may I HELP you?
- May I have your NAME, please?
- Your appointment is at THREE O’CLOCK, correct?
- The meeting room is on the THIRD FLOOR.
- She should be here in about TEN MINUTES.
速く話すことを目標にする必要はありません。固有名詞と数字を明瞭にすることのほうが、受付では重要です。相手の氏名を復唱するときは、語尾を曖昧にせず、確認の表情も添えます。
一人で行う三段階練習
- 日本語訳を見ながら英文を三回読む
- 日本語訳だけを見て英文を思い出す
- 受付の動作を付けて会話の順番を再現する
動作練習では、椅子を示しながら「Please have a seat.」、進行方向へ手を向けながら「This way, please.」と言います。飲み物を置く動作や、内線へ手を伸ばす動作も加えると、英文が場面と結び付きます。
二人で行うロールプレイ
一人が受付担当者、もう一人が訪問者を担当します。最初から順調な会話だけを行うのではなく、氏名が聞き取れない、予約一覧に名前がない、担当者が遅れている、といった変化を一つ入れます。
- 練習会話
- 受付担当者:Good afternoon. How may I help you?
訪問者:I’m here to see Ms. Tanaka at 2:00.
受付担当者:May I have your name and company name, please?
訪問者:Jordan Clarke from North Hill Partners.
受付担当者:I’m sorry, I didn’t catch your last name. Could you spell it, please?
訪問者:Certainly. C-L-A-R-K-E.
受付担当者:Thank you. Please have a seat while I contact Ms. Tanaka. - 日本語訳
- 受付担当者:こんにちは。どのようなご用件でしょうか。
訪問者:2時に田中さんに会うために参りました。
受付担当者:お名前と会社名をお伺いできますか。
訪問者:ノースヒル・パートナーズのジョーダン・クラークです。
受付担当者:申し訳ありません、苗字を聞き取れませんでした。つづりを教えていただけますか。
訪問者:もちろんです。C-L-A-R-K-Eです。
受付担当者:ありがとうございます。田中に連絡しますので、どうぞお掛けください。 - 使う場面
- 氏名を一度で聞き取れなかった状況を含め、確認から待機依頼まで練習するときに使います。
- 注意点・誤用例
- 練習でも、聞こえたふりをして先へ進まないようにします。聞き取れない役を意図的に作り、確認表現を使う機会を増やします。
- 発音・ニュアンス
- アルファベットは一文字ずつ間を置きます。似た音がある場合は、相手のつづりを復唱して確認すると安全です。
一週間単位の復習例
- 一日目:挨拶、用件、氏名確認を音読する
- 二日目:予約確認、待機依頼、担当者への連絡を加える
- 三日目:会議室への案内とbring・takeを練習する
- 四日目:飲み物、遅延、不在の表現を練習する
- 五日目:聞き返しと復唱を重点的に行う
- 六日目:受付から見送りまで通して再現する
- 七日目:止まった箇所だけを短く復習する
毎回すべてをやり直すのではなく、その日に扱う場面を絞ると続けやすくなります。実際の社内で使う会議室名、部署名、担当者名に置き換えて練習すると、業務との距離が縮まります。
まとめ:受付で避けたい誤用と社内で準備したいこと
- 敬称や代名詞を推測だけで決めない
- 不確かな時間や予約状況を断定しない
- 英語表示と受付用資料を整えて言葉の負担を減らす
受付英語では、難しい文法よりも、短い断定や呼び方の誤りが問題になりやすい傾向があります。間違いやすい箇所を事前に共有し、個人の判断だけに頼らない運用を作ることが大切です。
英語と日本語の敬称を重ねない
英語で「Mr. Sato-san」のようにMr.と「さん」を重ねる必要はありません。Mr. Sato、Ms. Tanaka、Dr. Brownのように使います。相手が希望する肩書や呼び方がわかっている場合は、それを尊重します。
性別を名前だけで推測しない
氏名だけで性別を判断し、heやsheを使うと誤る可能性があります。判断できない場合は、氏名を繰り返すか、単数のtheyを使えます。
- Alex Morgan is waiting in reception.
- They have a 3:00 appointment with you.
- Could you meet Alex Morgan at reception?
担当者への連絡では、代名詞を使わず氏名を繰り返しても不自然ではありません。推測より正確さを優先すると考えましょう。
不確かな時間を約束しない
担当者の到着時刻が不明なのに、He’ll be here in five minutes.と断定すると、さらに遅れた場合に信頼を損ねます。He should be here in about ten minutes.、I’m checking when he’ll be available.など、確実性に合う表現を選びます。
視覚情報を整える
英語力だけに頼らず、受付票、入館ルール、会議室名、階数、トイレ、非常口を英語でも表示すると、説明の負担を減らせます。訪問者が指さして確認できる資料があれば、聞き取りにくい固有名詞も確かめやすくなります。
- Wi-Fiの接続情報
- トイレと非常口の位置
- 来場者用バッジの着用・返却方法
- 会議室名と階数
- 部署名と内線番号
- 受付で確認する項目の英語表記
無言の時間を減らす
担当者への連絡に時間がかかるとき、受付担当者が無言で画面操作を続けると、訪問者は手続きが進んでいるのかわかりません。「I’m trying to reach Ms. Tanaka now.」「It may take another minute. Thank you for your patience.」と短く状況を伝えます。
ここまで準備できれば、必要なのは完璧な英語ではありません。名前と目的を正確に確認し、次に何をするのかを明確に伝え、わからないことは確認する。この三つを受付の判断基準にできます。
来客対応の英語に関するよくある質問
- 受付で迷いやすい表現を短く再確認する
- 丁寧さはpleaseだけでなく文全体で作る
- 聞き取れない場合は具体的な部分を尋ね直す
最後に、受付の現場で迷いやすい疑問を確認します。すぐに思い出せない項目は、質問と回答を一組にして音読してください。
「いらっしゃいませ」は英語で何と言えばよいですか?
会社の受付では、一語で置き換えようとせず、Good morning. How may I help you?のように挨拶と用件確認を組み合わせると自然です。来訪予定を把握している相手には、Welcome.やWe’ve been expecting you.も添えられます。
名前を聞き取れないと失礼になりますか?
丁寧に確認すれば失礼ではありません。I’m sorry, I didn’t catch your name.やCould you spell your last name, please?を使い、聞き取れなかった部分だけを尋ねます。誤った名前で担当者へ連絡するより、その場で確認するほうが確実です。
Please wait.は来客対応で使えますか?
意味は伝わりますが、口調や状況によって強い指示に聞こえる場合があります。One moment, please.やCould you wait here for a moment, please?を使い、I’ll contact Mr. Sato.のように待ってもらう理由も添えると親切です。
bringとtakeはどう使い分けますか?
bringは人や物を基準となる場所へ持ってくる、連れてくるときに使います。takeは現在地から別の場所へ持っていく、連れていくときに使います。Please bring the visitor here.とI’ll take the visitor to the meeting room.を対にすると覚えやすくなります。
予約一覧に名前がない場合は何と伝えますか?
I’m sorry, but I can’t find your name on the appointment list. Let me check with the person directly.と伝えます。予約がないと断定せず、現時点で一覧から見つけられないことを説明し、担当者や部署へ確認します。
担当者が遅れているときは何から伝えますか?
最初に謝罪し、遅れている理由、待ち時間の目安、待機以外の選択肢を順に伝えます。到着時刻が確定していない場合は、shouldやaboutを使い、不確かな時間を断定しないようにします。
meeting roomとconference roomに違いはありますか?
どちらも会議室を表します。meeting roomは小規模な打ち合わせを含む一般的な会議室、conference roomは比較的大きい会議や正式な会議に使われる傾向があります。ただし、実際には会社ごとの部屋名を使うのが確実です。
最初に覚えるなら、どのフレーズが優先ですか?
How may I help you?、May I have your name, please?、Please have a seat.、I’ll let the person know you’re here.、Please follow me.、I’ll take you to the meeting room.の六つを優先すると、受付から案内までの骨組みを作れます。
来客対応では、長い英文を即興で作るより、短い定番文を正しい順番で使うことが重要です。挨拶したら用件を聞き、不足情報を確認し、待つ理由と次の動きを伝えます。
英語を聞き取れないときは、名前、会社名、時刻など、聞き取れなかった部分を限定して尋ね直してください。担当者が遅れている場合は、わかっている事実と時間の目安を伝え、必要なら日程変更や別担当者という選択肢を示します。
まずは、挨拶、氏名確認、待機、案内、見送りの五場面を声に出してつなげてみましょう。言葉に表情、視線、手の動きを加えることで、短い英語でも相手が次に何をすればよいか伝わる来客対応へ近づけます。

