私たちの身近なフルーツの1つに「キウイフルーツ」があります。それと非常に似た言葉である「キーウィ」はニュージーランド人のことを指すとご存知ですか?
今回は、世界の国とその国に住む人々の呼び方について英語を交えながら考えていきます。
キウイとキーウィの違いとは?世界の国と人々の呼び方を英語で学ぶ
レッスンの内容
キウイとキーウィ
南半球オセアニアの海に位置するニュージーランド(New Zealand)は、オーストラリアの丁度東側に位置します。
豊かな自然が溢れる島国として知られ、日本からの観光客も多く、英語の語学留学の地としても高い人気を誇る国です。
キウイとキーウィの違い
【キーウィ】
そんなニュージーランドに古くから生息している固有種の鳥が「キーウィ(Kiwi)」です。肉食動物のいない環境で育ってきたことから翼が退化し、反対に足が発達する進化をたどりました。
結果、空を飛ぶことができない珍しい鳥となり、毛のような短い翼はバランスを取って体を支える用途でしか使われません。
ニュージーランドを象徴する存在として人々に愛されてきたキーウィは、19世紀ごろに軍隊バッジのマークに採用されます。
ここから、国のシンボルとしてより一層親しまれるようになり、国鳥としての認定・ニュージーランドの多くの都市・組織の紋章やロゴに使われるようになりました。
ニュージーランド人とキーウィの結びつきは深く強く、ニュージーランド人に対する愛称として「キーウイ」が用いられるようになるほどです。
【キウイフルーツ】
キウイフルーツは、ニュージーランドで行われた品種改良の結果生まれた果物です。
ニュージーランド産であることを象徴するために、国鳥であるキーウィにちなんでキウイフルーツとした説や、キウイフルーツの見た目が国鳥のキーウィに似ていたことから命名された説など諸説あります。
キウイフルーツのことを略して「キウイ」と呼ぶのは日本だけではありません。英語でも「Kiwi fruit」だけでなく「Kiwi」と略した表現が多く見受けられます。
いずれにしても、キーウィという鳥が古くから愛されていたこと・ニュージーランド人とキーウィには深いつながりがあることが分かるでしょう。
- キーウィ(鳥)
- キーウィ(ニュージーランド人の愛称)
- キウイ(果物)
全てスペルは同じ”Kiwi”ですが、呼び方の微妙な違いでカタカナが「キウイ」と「キーウィ」に分かれています。
キーウィについて英語で考える
鳥のキーウィは、いくつかの種類が存在します。
- Southern brown kiwi キーウィ
- Great spotted kiwi オオマダラキーウィ
- North Island brown kiwi キタキーウィ
- Little spotted kiwi コマダラキーウィ
- Okarito kiwi オカリトキーウィ
いずれも全長は45~60センチ、体重は3~4キロ程度まで成長します。鳩やスズメと比べると大きめで、イメージとして小柄な犬くらいの大きさです。
ニュージーランド人を指すキーウィという表現は、様々なシーンで使われます。
軽蔑的な言葉という認識はなく、キーウィ銀行・キーウィ鉄道など公的な機関の名前にも採用されています。FX など外国為替のトレーダーの間では、ニュージーランド・ドルのことを Kiwi や Kiwi dollar と呼ぶケースも見られます。
英語の辞書では、どのような説明がなされているのか見てみましょう。
Kiwi(ˈkiːwiː)
1. A New Zealand bird that cannot fly.
・Kiwi lays an egg a quarter her own weight.
・Kiwi’s nares are located at the tip of their bills.
2. Informal someone from New Zealand
LONGMAN dictionary より引用
1. 空を飛ぶことができないニュージーランドの鳥
・キーウィは、自分の体重の4分の1の大きさの卵を産みます。
・キーウィの鼻は、くちばしの先にあります。
2. 非公式な言い方で「ニュージーランド人の誰か」
このように、Kiwi(キーウィ)には2つの意味があると英語の辞書でもはっきりと明記されています。
キウイについて英語で考える
キウイはキウイフルーツの略称です。カタカナで表記する場合には、キウイとキーウィという違いがありますが、実際にネイティブに発音してもらうとその違いはほとんど分かりません。
人によってはどちらも同じように発音しているという人も多く、音だけで聞き分けるのは非常に困難です。
キウイ(果物)だとはっきりと伝えたい時には、Kiwi fruit と略さずに伝えるようにしてください。
英語の辞書では、どのような説明がなされているのか見てみましょう。
Kiwi fruit
a small fruit that is green inside and has black seeds and brown, hairy skin.
a small sweet fruit with a brown skin, which is green inside.
・Peel and slice the kiwi fruit.
・Pile the cottage cheese on to the potatoes and arrange slices of kiwi fruit on top.
・Sliced kiwi fruit may be used to decorate the dessert.
LONGMAN dictionary より引用
内側が緑色で、黒い種子と茶色の毛むくじゃらの皮を持つ小さな果物
内側が緑色をしている茶色の皮を持つ小さな甘い果物
・カッテージチーズをじゃがいもに重ね、その上にキウイフルーツのスライスを並べます。
・キウイフルーツの皮をむいてスライスします。
・スライスしたキウイフルーツはデザートを飾るのに用います。
キウイフルーツは、世界の多くの国で親しまれている果物です。日本と同じように、デザートとして楽しむのはもちろん、サラダや前菜の一部など幅広い料理に活用されています。
会話
ヒカリ(Hikari)とウィリアム先生(Mr. Williams)がキウイフルーツの会話をしています。みてみましょう。
Mr. Williams:You have kiwi fruits in your lunch every day. I guess you like kiwi fruits, aren’t you?
あなたは、お昼に毎日キウイフルーツを食べていますね。キウイフルーツが好きなのじゃありませんか、違いますか?
Hikari:Yes, I am! I’m in crazy on kiwi fruits. Especially, I like gold type.
はい、そうなのです!キウイフルーツにハマっているのです。特にゴールドタイプが好きです。
Mr. Williams:Exporting kiwi fruit is New Zealand’s national business.
キウイフルーツの輸出はニュージーランドの国家事業なのですよ。
Hikari:I know that New Zealanders call themselves “Kiwi”, is it came from kiwi fruits?
ニュージーランド人は自分たちのことを「キーウィ」と呼ぶのを知っています、それはキウイフルーツからきたのですか?
Mr. Williams:They call themselves “Kiwi” but it didn’t come from the fruits. It came from the birds, “Kiwi”.
彼らは自分たちのことを「キーウィ」といいますが、それはフルーツからきたわけではありません。それは「キーウィ」という鳥からきたのです。
Hikari:I haven’t heard about those birds. Are they live only in New Zealand?
それらの鳥は聞いたことがありませんでした。その鳥たちはニュージーランドだけに住んでいるのですか?
Mr. Williams:Yes, you are right. Kiwi is the endemic species in New Zealand and it’s a national bird, too. Also, this bird is known as an earthbound bird.
ええそうですよ。キーウィはニュージーランドの固有種であり、国鳥でもあります。さらにキーウィはアースバウンド・バードとしても知られています。
Hikari:What is an earthbound bird?
アースバウンド・バードとはなんですか?
Mr. Williams:That means the bird cannot fly. Penguins and ostriches are also earthbound birds.
それは飛べない鳥ということです。他には、ペンギンやダチョウなどもアースバウンド・バードですね。
Hikari:I see! Thank you for telling me such an interesting story.
なるほど!興味深いお話を聞かせてくれてありがとうございます。
Mr. Williams:Start with what you like and expand your interests to many different things.
好きなものから、多くのことに興味や関心を広げていってくださいね。
キウイフルーツの輸出がニュージーランドの国家事業であるならば、キウイフルーツはニュージーランド原産のものと考えてしまうでしょう。
しかしもとは中国原産のオニマタタビを品種改良して作られたものです。始めはチャイニーズグースベリーと呼ばれていましたが、1959年にキウイフルーツに変更しました。
原産国こそニュージーランドではないものの、キウイフルーツが現在の形に成長したのは、ニュージーランドで行われた品種改良の賜物なのです。
ポイント
会話ででてきた単語をみてみましょう。
Crazy on 夢中になる、はまっている
狂気・狂ったという意味で、ネガティブな言葉として使われることの多い単語ですが、夢中になる・虜になると言いたい時にも使えます。
会話文のような使い方の Crazy は、マイナスな印象を一切与えませんが、人に対して使う時には口調や表情によっては「悪い意味でハマってしまっている」というニュアンスにもなりかねませんので注意しましょう。
Gold type 金色のもの
キウイフルーツは、果肉が緑色のものだけでなく金色(黄色)のタイプもあります。
英語で Kiwi fruit というと緑色の果肉のものを指します。果肉が金(黄色)のものは、Golden Kiwi や Gold Kiwi fruit と呼び、果肉が赤色のものは Red kiwi や Kiwi Red Jumbo と呼ばれます。
National project 国家事業
Endemic species 固有種
National bird 国鳥
Earthbound bird 飛べない鳥
Earthbound が地に根差したという意味で、「飛べる」の逆の意味として使われています。飛べない鳥にはこの他にも”Flightless bird”という言い方もあります。
Ostriches ダチョウ
Expand 広げる
何かを大きくする・広げる・拡大するという意味を持つ単語です。単純に、布を広げる腕を広げると言いたい時に使う単語「Lay」や「Spread」とはニュアンスが異なります。
Expand には拡大や膨張といったイメージが根本にあり、サイズ、数、または重要性を増加させるという意味での広がりに対して使います。
例)Expand your horizons 視野を広げる
例)I want to travel around the world to expand my horizons. 世界中を旅して、視野を広げたい。
例)The city has expanded to the ocean. その街は、海の方まで広がっている。
世界の国と国民の愛称
ニュージーランドでは自分たちのことを Kiwi という愛称で呼びます。これは世界的にも広く知られており、多くのシーンで ニュージーランド人を指して Kiwi という言葉が使われます。
他の国にもこのような“愛称”はあるのか調べてみました。
オーストラリア
オーストラリアは英語表記で Australia ですが、これを略して Aussie(オージー)と言います。英語でのスペルは様々あり、Ozzie・Ossie・OZ も同じ意味で使われます。
使い方としては「オーストラリアの」という意味を持ち、名詞とセットで使われることが多い単語です。しかし、単品で使うことでオーストラリア人やオーストラリアドルの意味を持つこともあります。
Our teacher is Aussie.
私たちの先生は、オーストラリア人です。
Come to oz and you will see a koala.
オーストラリアに来れば、コアラが見られますよ。
オーストラリアなまりの英語のことを OZ English と呼んだり、オーストラリア産の肉のことを Ozzie beef と呼ぶのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。オージーは差別用語的な意味を含む言葉ではありません。
イギリス
日本では「イギリス」と呼ばれていますが、正式な名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。
英語では United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland と表記されますが、通称としてUnited Kingdom(UK)やGreat Britain(GB)が使われています。
正式名称の Great Britain の部分からとったイギリス人の愛称が「British」です。こちらも Aussie と同じように「イギリスの」という意味の言葉で、単体で使うことでイギリス人・英国民の意味としても使うことができます。
This letter bears a British stamp.
この手紙には、イギリスの切手が貼ってあります。
He is British.
彼はイギリス人です。
British like cricket.
イギリス人はクリケットを好みます。
British をさらに省略してフランクなニュアンスを含めた言葉が「Brit」です。こちらは、友人通しなど親しい間柄での会話で使うのに適しています。
オランダ
日本語ではオランダと呼びますが、正式名称は「オランダ王国」です。英語では Kingdom of the Netherlands が正式名称となり、通称は Netherlands です。日本での呼び方とは大きく異なるので注意しましょう。
2020年までは、オランダを指す通称は「Netherlands」と「Holland」など複数ありました。日本人がオランダと呼ぶのは、Holland のポルトガル語発音「ホランダ」に由来していると考えられています。
2019年に、オランダ政府が「2020年1月から、オランダを指す正式名称は The Netherlands に統一する」と発表して以降、Holland という表現は姿を消してしまいましたが、日本ではオランダという呼び方が続いています。
そんなオランダ人の愛称は Netherlander です。こちらは Japan と Japanese のように国名と似ているので分かりやすいですね。
一見分からない呼び方である「Dutch」も紹介します。こちらもオランダ人やオランダの物を意味する単語で、ダッチと読みます。
元々はドイツやオランダ周辺のゲルマン民族を指す言葉でしたが、そこからオランダ人のことを指す言葉へと変化していったことに由来します。
2020年以降、呼び方が Netherlands に統一されたことからあまり聞かなくなった表現ではありますが、過去のドラマや映画の中で耳にすることもあるでしょう。
愛称と差別用語の違いには注意
各国の国民の愛称について紹介してきましたが、愛称と差別用語の違いには慎重にならなければいけません。
例えば、肌の色で差別するような言葉は、私たち日本人をはじめとしたアジア人に対して向けられることもあります。国名とセットで使われる差別用語も少なくありません。
日本にいると「愛国心」という言葉をあまり耳にしませんが、国によっては自分をバカにされるよりも自分の生まれ育った国や国籍を軽視されることに強い憤りを抱く人も多く存在します。
Kiwi のように愛称として使っている言葉であれば、気軽に私たちが使うのもかまいませんが、それが差別用語的なニュアンスを含む言葉なのか友好的な意味での言葉なのか判別できない時には、使わないに越したことはありません。
まとめ
日本のスーパーマーケットでも良く目にするキウイフルーツ。その“Kiwi”には3つもの意味があることがわかりましたね。
ニュージーランドと国鳥のキーウィの絆は深く、「Kiwis for kiwi:キーウィ(鳥)を支援するキーウィ(ニュージーランド人)」というスローガンもあるほど。
身近な食べ物をきっかけに、世界の国々や文化の学びへとつなげていきましょう。
それではまた、See you!