買ったばかりのイヤホンが片方だけ鳴らない。リモコンをいくら押しても反応しない。ペンのインクが会議の途中で切れる。紙で指を切って血がにじむ。取っ手がぽろっと外れる。どれも大事件ではないけれど、地味に困る出来事です。
日本語なら反射的に口から出てくるこうした一言が、英語だと途端に詰まる。その原因はたいてい一つで、あらゆる不具合を broken の一語で片づけようとしているからです。英語は「どう壊れているのか」を言葉で細かく切り分ける傾向が強く、そこがずれると相手に状況が伝わりません。
この記事を読み終えると、「壊れた・動かない・電池が切れた・外れた・血が出た」という日常頻出の五類型を、その場で言い分けられる状態になります。ホテルで、シェアハウスで、職場で、そのまま口に出せる例文と会話例、やりがちな誤用、発音の押さえどころ、練習の進め方まで順番に並べていきます。独学で足りない部分を人に見てもらいたくなったら英語教室のような場を併用するのも手ですが、まずは言葉の整理から始めましょう。
では、なぜ broken だけでは足りないのか。そこから確認していきます。
「壊れた」は broken だけでは伝わらない
- 英語は「壊れ方」で語を選ぶため、broken 一語では情報が足りないことが多い
- 物理的な損傷は broken、外見は無事で動かないなら not working が基本の分岐
- 公共設備は out of order、電子機器の誤作動は malfunctioning、初期不良は defective
- 口を開く前に「これはどう壊れているのか」を一拍考える習慣が語選びを決める
結論から言えば、「壊れた」は状態別に五つに分けて覚えるのが最短ルートです。broken を辞書的な訳語として暗記するのではなく、状況の分類として持つということです。
理由は、英語話者が broken という語から真っ先に想像するのが「物理的な損傷」だからです。落とした、割った、折れた、ひびが入った、といった目に見える壊れ方です。そのため、見た目に異常のない機械について broken を使うと、聞き手の頭の中に思い浮かぶ絵と実際の状況がずれます。
具体例を挙げます。ドライヤーが動かなくなった状況で My dryer is broken. と伝えると、Broken how? Did you drop it?(どう壊れたの?落としたの?)と聞き返されることがあります。話し手は「電源が入らない」と言いたかったのに、聞き手は「落として壊した」と受け取ったわけです。
つまり、覚えるべきは単語の数ではなく分岐の作り方です。落として損傷があるなら broken、外見は無事なのに動かないなら not working、駅やビルの公共設備なら out of order、電子機器やソフトの誤作動なら malfunctioning、買った時点でおかしければ defective。この五本の柱に、細かい壊れ方を表す語彙をぶら下げていきます。

ところで、こうしたトラブルを人に伝えるとき、多くの学習者が最初の一言でつまずきます。「ちょっとトラブルがあって」の言い方です。まずはそこを整えましょう。
「トラブル」をそのまま trouble と言うと重くなる
- 日常の小さな出来事には a little incident が使いやすい
- trouble は「まずい状況」、problem は「解決すべき課題」、issue はより柔らかい「不具合」
- 軽い災難は mishap、一時的な支障は hiccup で温度感を下げられる
日本語の「ちょっとしたトラブルがあって」は、かなり軽い意味で使われます。ところが英語の trouble や problem をそのまま当てると、相手は「何か深刻なことが起きたのか」と身構えてしまいます。語の重さを合わせることが、最初の一言の精度を決めます。
些細な出来事には a little incident
I have a problem. と言われれば、聞いた側は仕事上の重大な支障や人間関係のもつれを想像します。日常レベルの小さな不都合を指したいときは a little incident が便利です。
incident そのものは「出来事」という中立的な語ですが、実際にはよくない事柄について使われることがに多い語です。そこに little を添えると「小さな、ちょっと困った出来事」という温度感がぴったり出ます。
- フレーズ
- A little incident happened.
- 日本語訳
- ちょっとしたよくない出来事があった。
- 使う場面
- 遅刻の理由を軽く説明するとき、友人に出来事を切り出すとき。
- 注意点
- little を外した An incident happened. は事故・事件のような重い響きになります。軽さを出したいなら little や minor を必ず添えます。
- 発音・ニュアンス
- incident は「インシデント」ではなく第一音節を強く「ィンスィデント」。d は軽く弾く程度で十分です。
- フレーズ
- There was a little incident this morning, but everything’s fine now.
- 日本語訳
- 今朝ちょっとしたことがあったけど、もう大丈夫です。
- 使う場面
- 同居人や同僚に、心配させない形で報告するとき。
- 注意点
- but everything’s fine now を付けずに切ると、相手は続きを待って不安になります。軽い話なら着地まで言い切るのがコツです。
trouble / problem / issue の距離感
trouble は「困った状態」全般を指し、be in trouble となると「まずい状況にある」「怒られそう」という意味合いが強まります。problem は解決すべき課題、issue はそれより一段やわらかく、職場でも「気になる点」「不具合」を指すときに好まれます。
機械の不調について同僚に伝えるなら、There’s a problem with the printer. よりも There’s an issue with the printer. のほうが柔らかく響きます。相手を責めていないことを示したいときにも issue は有効です。
- フレーズ
- I’m having trouble with my laptop.
- 日本語訳
- パソコンの調子が悪くて手こずっています。
- 使う場面
- 原因がはっきりしないまま、助けを求める前置きとして。
- 注意点
- have trouble with は「うまく扱えず苦労している」。故障そのものを指すというより、自分が困っている状態に寄った表現です。
- フレーズ
- We found a small issue with the delivery.
- 日本語訳
- 配送に少し不具合が見つかりました。
- 使う場面
- 仕事上の連絡で、事実だけを穏やかに共有したいとき。
- 発音・ニュアンス
- issue は「イシュー」より「ィシュー」に近く、頭にアクセント。small を入れるだけで相手の緊張度が下がります。
mishap と hiccup も覚えておきたい
mishap は「小さな災難、不運なアクシデント」を指します。転んだ、こぼした、うっかり壊した、といった軽い出来事に向いています。
hiccup は本来「しゃっくり」ですが、比喩的に「一時的な小さな支障」を表します。予定が少しずれた程度のことを、深刻に聞かせずに伝えられる便利な語です。
- フレーズ
- We had a minor mishap with the cake, but it still tastes good.
- 日本語訳
- ケーキでちょっとした失敗があったけど、味は問題ないよ。
- 使う場面
- 見た目が崩れた料理を出すときなど、ユーモアを交えた前置きに。
- 注意点
- けが人が出た事故に mishap を使うと軽く扱った印象になります。人が無事なときに限って使いましょう。
- フレーズ
- There was a small hiccup with the schedule.
- 日本語訳
- スケジュールに少し支障が出ました。
- 使う場面
- 段取りが少し遅れた程度の連絡。カジュアルな職場で好まれます。
- 発音・ニュアンス
- hiccup は「ヒカップ」。深刻な遅延に使うと軽視して聞こえるので、影響が小さいときに限定します。
前置きが整ったら、次はいよいよ本題です。すべての土台になる break と broken の使い方を押さえます。
土台になるのは動詞 break と形容詞 broken
- break は「壊す」だけでなく、主語がモノなら「壊れる」も表す
- 会話で最も使うのは be broken の形。名詞の前に置いて a broken chair とも言える
- バラバラなら break into pieces、車や大型機械の故障は break down
動詞 break は「壊す」も「壊れる」も担う
辞書を開くと break はまず「壊す」と出てきますが、主語をモノにすれば「壊れる」という自動詞としても働きます。この二役を知るだけで表現の幅が変わります。
- フレーズ
- Sorry I couldn’t call you back. My phone broke.
- 日本語訳
- かけ直せなくてごめん、携帯が壊れてしまって。
- 使う場面
- 連絡が遅れた理由を説明するとき。過去の一時点の出来事として。
- 注意点
- My phone was broken. と言うと「壊れた状態だった」という状態説明になります。「壊れてしまった」という出来事は broke で表します。
- フレーズ
- My sister broke the toy I made. / If the shower breaks again, please let me know.
- 日本語訳
- 妹が私の作ったおもちゃを壊した。/またシャワーが壊れたら知らせてください。
- 使う場面
- 前者は他動詞(誰かが壊した)、後者は自動詞(勝手に壊れる)の例です。
- 発音・ニュアンス
- 活用は break – broke – broken。broke は「ブロウク」と二重母音を意識します。
文房具、オフィス用品、靴、鞄、傘、食器。身の回りのモノなら、まず break で広くカバーできます。細かい語彙が出てこないときの安全な逃げ道として持っ
形容詞 broken で「壊れている状態」を表す
会話でいちばん耳にするのは be broken の形です。broken は break の過去分詞ですが、形容詞として「壊れている」という状態を示します。
- フレーズ
- Oops! It’s broken. / I just bought it the other day, but it’s already broken.
- 日本語訳
- あっ!壊れちゃった。/この前買ったばかりなのに、もう壊れてしまった。
- 使う場面
- 手元で今まさに壊れたとき、購入直後の不満を伝えるとき。
- 注意点
- It’s break. とは言えません。be動詞のあとに動詞の原形は並べられないため、状態は broken、出来事は broke を使います。
形容詞なので名詞の前にも置けます。broken glass(割れたガラス)、a broken chair(壊れた椅子)、my broken phone(壊れた私のスマホ)のように使えると、表現が一気に自然になります。
- フレーズ
- Careful — there’s broken glass on the floor.
- 日本語訳
- 気をつけて、床に割れたガラスがあるよ。
- 使う場面
- 食器を落とした直後、家族や同僚に注意を促すとき。
- 発音・ニュアンス
- broken glass は glass を強めに。危険を知らせる場面なので、Careful を短く鋭く言うと伝わります。
粉々になったなら break into pieces
食器やガラスのように、落ちてバラバラになった場合は break into pieces が状況を的確に伝えます。単に broken と言うより、修理不能であることまで伝わります。
- フレーズ
- I dropped my new mug and it broke into pieces.
- 日本語訳
- 新しいマグカップを落として、粉々に割れてしまった。
- 使う場面
- 割れた程度を強調したいとき、片付けを手伝ってほしいとき。
- 注意点
- break into pieces は物理的にバラバラになった場合限定です。動かない家電には使えません。
車や大型機械は break down
車、エアコン、洗濯機、食器洗い機、エレベーターのような大きめの機械が「故障して止まる」ときは break down が定番です。動き続けるもの、稼働し続けるものが機能を失うイメージです。
- フレーズ
- Our car broke down on the way to my grandfather’s house.
- 日本語訳
- 祖父の家に向かう途中で車が故障した。
- 使う場面
- 移動中の故障、遅刻の説明、ロードサービスへの連絡。
- 注意点
- スマホやペンのような小物には break down を使いません。稼働する機械に限られます。
- フレーズ
- The dishwasher broke down just a week after the warranty expired.
- 日本語訳
- 保証が切れたちょうど一週間後に食洗機が壊れた。
- 使う場面
- 家電の故障を愚痴まじりに話すとき、修理見積もりの相談。
- 発音・ニュアンス
- broke down は down を下げ調子に。warranty は「ウォーランティ」と頭にアクセントです。
なお break down には「泣き崩れる」「細かく分解する」という意味もあり、Let me break it down for you. なら「かみ砕いて説明するね」になります。同じ形でも文脈で判断されるので、機械の話をしている流れなら誤解される心配はありません。
土台ができたところで、いよいよ本題の使い分けに入ります。ここが検索して来た人の一番知りたい部分です。
「どう壊れているか」で言い方を選び分ける
- 外見は無事で動かないなら not working / doesn’t work
- 駅・ビル・店の設備が使えないなら out of order(貼り紙の定型表現)
- 電子機器の誤作動は malfunctioning、初期不良・欠陥品は defective
- 損傷の形は cracked / chipped / smashed / dented / scratched / torn で言い分ける
動かない・機能していないなら not working
見た目に異常がなく、単に動かない・反応しないという状態は not working か doesn’t work で表します。この work は「(機械が)作動する」という意味です。
- フレーズ
- This remote doesn’t work. / The washing machine doesn’t work.
- 日本語訳
- このリモコンは動きません。/洗濯機が動かないよ。
- 使う場面
- 家の中で誰かに助けを求めるとき、宿泊先で不具合を伝えるとき。
- 注意点
- doesn’t work は「いつも動かない」という常態、isn’t working は「今この瞬間動いていない」という一時的な状態に寄ります。
- フレーズ
- Why is the Wi-Fi not working? / My laptop isn’t working properly.
- 日本語訳
- なんでWi-Fiがつながらないの?/パソコンがちゃんと動いていない。
- 使う場面
- 通信が不安定なとき、動作が不完全なとき。
- 発音・ニュアンス
- properly を添えると「まったく動かないわけではないが正常でない」という微妙な状態を表せます。
過去の一時点を指すなら stopped working が便利です。The printer stopped working again.(またプリンターが止まった)のように、「途中で動かなくなった」ニュアンスが出ます。My computer doesn’t work. It only shows a blank screen.(真っ白な画面が出るだけだ)のように症状を一文足すと、相手の対応が早くなります。
公共の設備が使えないなら out of order
エレベーター、自動販売機、公衆トイレ、券売機など、公共の機械や設備が故障中であることは out of order で表します。「故障中」の貼り紙にそのまま書かれる定型表現でもあります。
- フレーズ
- The elevator is out of order. / I tried to buy a drink, but the machine is out of order.
- 日本語訳
- エレベーターは故障中です。/飲み物を買おうとしたけど、その機械は故障中だった。
- 使う場面
- 駅やビルで状況を説明するとき、掲示を読み取るとき。
- 注意点
- 自宅の家電に My fridge is out of order. と言うと大げさで不自然です。個人の持ち物には not working を使います。
誤作動しているなら malfunctioning
電子機器やソフトウェアが「正常に動作していない」「誤作動している」ことを指すやや硬めの語が malfunctioning です。原因が特定できないエラーや不安定な挙動に向いていて、職場の報告でも使いやすい語彙です。
- フレーズ
- The sensor is malfunctioning. / The printer might be malfunctioning. Let’s restart it.
- 日本語訳
- センサーが誤作動しています。/プリンターが誤作動しているのかも。再起動してみよう。
- 使う場面
- 職場での不具合報告、技術サポートへの問い合わせ。
- 発音・ニュアンス
- mal-FUNC-tioning と第二音節を強く。日常の雑談で使うと少し堅い印象になります。
初期不良なら defective
買った時点で欠陥があった、届いた商品が最初から使えなかった、という場合は defective が適切です。返品や交換を求める場面で威力を発揮します。
- フレーズ
- I just bought these earbuds, but there’s no sound at all. They might be defective.
- 日本語訳
- このイヤホンを買ったばかりなのに全く音が出ない。不良品かもしれない。
- 使う場面
- 店頭やカスタマーサポートで交換・返品を求めるとき。
- 注意点
- might be を添えると断定を避けられ、話がこじれにくくなります。自分の落下が原因の破損には使えません。
The product was defective, so I returned it.(商品に欠陥があったので返品しました)のように、経緯を一文でまとめられると手続きが早く進みます。
見た目の壊れ方を言い分ける語彙
英語は損傷の形状をかなり細かく言い分けます。ここを使えると、写真を見せなくても状況が伝わります。よく出るものを並べます。
- cracked:ひびが入った。My phone screen is cracked.(画面にひびが入った)
- chipped:縁が欠けた。This plate is chipped.(この皿、欠けてる)
- smashed:粉々に割れた。The car window is totally smashed.(窓が粉々だ)
- dented:へこんだ。The door is dented.(ドアがへこんでいる)
- scratched:傷がついた。The table was scratched.(テーブルに傷がついた)
- torn / ripped:破れた。My jacket is torn.(上着が破れた)
- damaged:損傷を受けた。The package was damaged during shipping.(配送中に荷物が破損した)
- busted:ぶっ壊れた(口語)。My PC is busted!(パソコンがイカれた)
発音の押さえどころもあります。chipped と smashed は語尾の -ed を「トゥ」と歯切れよく出すのがポイントで、「チップトゥ」「スマッシュトゥ」に近い音になります。日本語話者は「チップド」と濁らせやすいので、そこだけ意識すれば十分伝わります。
dent は動詞(へこませる)としても名詞(へこみ)としても使えます。Someone dented my car.(誰かが車をへこませた)、There’s a dent on the door.(ドアにへこみがある)と展開できます。scratch も同様で、The cat scratched me.(猫にひっかかれた)、There’s a scratch here.(ここに傷がある)と広がります。
ちなみに start from scratch は「ゼロから始める」という別の慣用表現です。同じ単語でも成句になると意味が変わる好例なので、セットで覚えておくと読解でも役立ちます。
broken と not working の線引き
迷ったときは、この順に自問すると語が決まります。落としたり割ったりして見た目に損傷があるか。なければ動かないだけか。それは自分の持ち物か公共の設備か。技術的な誤作動か。買った時点からおかしかったか。
この分岐を一度紙に書いて手元に置くと、実際の場面での判断が速くなります。「どう壊れているのか」を一拍考える習慣そのものが、語彙以上の武器になります。
では、日常でもっとも頻度が高いトラブルへ進みます。電池切れです。ここには日本人がつまずきやすい落とし穴があります。
電池切れ・充電切れの言い方
- 基本形は run out of battery、会話では dead が主役
- 切れかけは dying、My phone is about to die. も頻出
- 乾電池を複数使う機器は batteries、内蔵バッテリーは battery
- dead はカジュアルなので、公式な連絡では has run out に置き換える
run out of battery が基本形
電池や充電がなくなって使えない状態は run out of battery で表します。run out of は「〜を使い切る」という句動詞で、ガソリンや在庫、牛乳にも同じ形で使えます。
- フレーズ
- My phone ran out of battery. / We ran out of milk.
- 日本語訳
- スマホの充電が切れました。/牛乳を切らしてしまった。
- 使う場面
- 連絡が取れなかった理由の説明、買い置きが切れた報告。
- 注意点
- out of の後ろは冠詞なしの battery が一般的です。It’s running out of batteries. のように進行形なら「切れかけている」意味になります。
会話では dead が主役
日常会話でに多いのは dead を使う形です。「電池が死んでいる、もう電気がない」というイメージで、スマホ、リモコン、ワイヤレスマウス、車のバッテリーなど何にでも使えます。
- フレーズ
- My phone is dead. / Sorry, my phone died in the middle of the call.
- 日本語訳
- スマホの充電が切れてる。/ごめん、通話中にスマホの電池が切れちゃって。
- 使う場面
- 友人や家族との会話、通話が切れた直後の言い訳。
- 注意点
- dead は「充電切れ」であって「故障」ではありません。修理してほしい状況で使うと、充電すればいいと受け取られます。
Everything is dead. で「全部壊れている」と言うのは不自然です。dead はバッテリー切れや電源が落ちた状態に限って使う語なので、複数の機器が動かないなら None of them are working. と表します。また、取引先へのメールなど公式な連絡では The battery has run out. や The device needs to be recharged. に置き換えるほうが無難です。
切れかけている段階なら dying です。The battery in my laptop is dying.(バッテリーが切れかけている)、My phone is about to die. Can I borrow your charger?(もう切れそう。充電器貸してくれる?)。この二文は旅先で驚くほど出番があります。
battery と batteries の使い分け
乾電池を複数使うリモコン、おもちゃ、時計は複数形にします。The batteries are dead.(電池が切れている)が自然な形です。
一方、スマホやパソコンのように内蔵バッテリーが一つのものは単数で The battery is dead. とします。細かい点ですが、正しく使うと英語がぐっと整って聞こえます。
充電まわりの周辺表現
充電に関する言い回しをまとめて覚えると、電池切れの場面で会話が途切れません。needs charging(充電が必要)、I’m at 5%(残り5パーセント)、low battery(残量が少ない)、plug it in(コンセントに差す)、charger(充電器)、outlet または socket(コンセント)。
- フレーズ
- I need to charge my phone. Is there an outlet nearby? / Did you plug it in? It’s not charging.
- 日本語訳
- スマホを充電したいんだけど、近くにコンセントある?/ちゃんと差した?充電されてないよ。
- 使う場面
- カフェや空港でコンセントを探すとき、充電できていない原因を確認するとき。
- 発音・ニュアンス
- outlet は主に北米、socket はイギリス系で使われます。plug it in は in を軽く上げて言うとつながって聞こえます。
電池と並んで頻度が高いのが、消耗品が切れるトラブルです。ここも run out of の応用で乗り切れます。
インク切れ・紙詰まり・水漏れ
- 「〜が切れた」は out of + 消耗品名でほぼ言える
- 紙詰まりは jammed、排水の詰まりは clogged、水漏れは leaking
- 「どうしても〜しない」もどかしさは won’t + 動詞で表す
最後に、消耗品のトラブルは out of + 名詞という型ひとつで大半をカバーできます。型を覚えて名詞を入れ替えるだけなので、覚える負担が小さいのが利点です。
- フレーズ
- My pen is out of ink. / The printer is out of paper. / We’re out of toner.
- 日本語訳
- ペンのインクが切れた。/プリンターの紙が切れています。/トナーが切れています。
- 使う場面
- オフィスで補充を頼むとき、書類にサインできないと伝えるとき。
- 注意点
- ink、paper、toner は不可算名詞なので複数形にしません。My pen is out of inks. とは言えません。
紙詰まりは jammed です。The printer is jammed.(紙詰まりしている)、The paper got stuck.(紙が詰まった)のどちらも使えます。水が流れないなら clogged(The sink is clogged./流しが詰まっている)、水漏れなら leaking(The tap is leaking./蛇口から水が漏れている)。
鍵が回らないなら The key won’t turn.、ドアが閉まらないなら The door won’t close.、窓が開かないなら The window won’t open.。この won’t + 動詞の形が「どうしても〜しない」というもどかしさを的確に表します。
では次に、固定されているはずのものが外れたときの言い方に移ります。
とれた・外れた・ゆるんだ
- 部品が外れたら come off、落ちて外れたら fall off
- ゆるんでいるなら loose、がたつくなら wobbly、引っかかって動かないなら stuck
- 賃貸やシェアハウスの不具合報告で使用頻度が高い表現群
固定されているはずのものが外れたときは come off が定番です。取っ手、ドアノブ、ボタン、フック、カーテンレールなど、対象はかなり広く使えます。
- フレーズ
- When I tried to open it, the handle came off. / A button came off my shirt.
- 日本語訳
- 開けようとしたら、取っ手がとれちゃった。/シャツのボタンがとれた。
- 使う場面
- 自分のせいではないと示しつつ状況を伝えるとき、修繕を依頼するとき。
- 注意点
- I broke the handle. と言うと自分が壊した責任を認める形になります。自然に外れたなら came off が事実に近い表現です。
似た表現も整理しておきます。落ちて外れた場合は fall off(The mirror fell off the wall./鏡が壁から落ちた)、ゆるんでいるなら loose(The screw is loose./ネジがゆるんでいる)、がたつくなら wobbly(This chair is wobbly./この椅子はガタガタする)、引っかかって動かないなら stuck(The zipper is stuck./ファスナーが動かない)。
ここまではモノの話でした。次は、自分の体に起きた小さなトラブルです。とっさに言えるかどうかで、周囲の助けの速さが変わります。
ケガ・血が出たときの言い方
- 出血は進行形の bleeding で表す
- 切った行為は cut、紙で切った傷は a paper cut
- あざ bruise、すり傷 scrape、やけど burn、ねんざ sprain と言い分ける
- 絆創膏は地域で Band-Aid / plaster / bandage と呼び名が変わる
血が出るは bleeding
出血している状態は進行形の bleeding で表します。今まさに血が出ているという継続の意味が進行形にぴったり合うためです。
- フレーズ
- My hand is bleeding. / Your nose is bleeding! / It stopped bleeding.
- 日本語訳
- 手から血が出ている。/鼻血が出てるよ!/血が止まった。
- 使う場面
- 絆創膏を借りるとき、相手の出血を知らせるとき、経過を報告するとき。
- 発音・ニュアンス
- bleeding は「ブリーディング」で ee を長めに。blood(血)は「ブラッド」と短く、母音が違うので区別して練習します。
切ったという行為は cut を使います。指を紙で切ったなら I cut my finger on this paper. となり、この on は「〜に触れて」と原因を示す使い方です。紙で切った傷そのものは a paper cut と呼ばれ、地味に痛い代表格として日常会話によく登場します。
ケガの種類を言い分ける
打撲によるあざは bruise、すりむいた傷は scrape または graze、やけどは burn、ねんざは sprain、ぶつけてできたこぶは bump。動詞で言えば I bumped my head.(頭をぶつけた)、I twisted my ankle.(足首をひねった)、I burned my finger.(指をやけどした)となります。
- フレーズ
- I got a bruise on my knee. / I scraped my elbow when I fell. / I think I sprained my wrist.
- 日本語訳
- 膝にあざができた。/転んだときに肘をすりむいた。/手首をねんざしたみたい。
- 使う場面
- 職場や学校で状況を説明するとき、薬局で症状を伝えるとき。
- 注意点
- 痛みが強い、腫れが引かない、出血が止まらないといった場合は自己判断せず医療機関の受診を優先してください。ここで扱うのは軽い傷を伝えるための言い方です。
絆創膏は地域で呼び名が変わる
アメリカでは Band-Aid が広く通じますが、これはもともと商品名です。日本で「ばんそうこう」「カットバン」と呼び方が分かれるのと同じ事情で、地域が変わると通じないことがあります。
中立的な語としては bandage、イギリスやオーストラリアでは plaster(adhesive plaster)が一般的です。Do you need a Band-Aid?(絆創膏いる?)、Have you got a plaster?(絆創膏ある?)と、地域に合わせて言い換えられると安心です。
続いて、トラブルの中でも件数が多い三つの動詞をまとめます。
こぼした・落とした・失くした
- spill(こぼす)、drop(落とす)、lose(失くす)の三つで大半が言える
- 置き場所を忘れただけなら misplace が正確
- しみは stain、汚れは dirty ではなく stained で表せる
小さなトラブルの多くは、spill・drop・lose の三つでほぼ表せます。まずこの三つを口に馴染ませておくと、とっさの場面で沈黙しません。
- フレーズ
- I spilled coffee on my clothes. / I dropped my phone in the sink. / I lost my favorite pen.
- 日本語訳
- 服にコーヒーをこぼしてしまった。/スマホを流しに落とした。/お気に入りのペンを失くした。
- 使う場面
- 着替える理由の説明、水没の相談、探し物を手伝ってもらうとき。
- 注意点
- spilled と spilt はどちらも使われます(後者はイギリス系に多い)。水没したスマホは It’s water-damaged. と言えると状況が正確に伝わります。
置き場所が思い出せないだけなら misplace が便利です。I misplaced my keys.(鍵をどこかに置き忘れた)は、完全に失くしたわけではないという含みが出ます。しみは stain で、There’s a coffee stain on my shirt.(シャツにコーヒーのしみがある)のように使います。
単語が揃ってきたので、次は実際の会話の流れで確認します。単語より流れで覚えたほうが、口から出るまでが速くなります。
会話で流れをつかむ
- What’s the matter? は冷たくなく「どうしたの?」の定番
- with you を付けると非難めいて響くことがある
- Ouch! Oops! Oh no! などの間投詞が会話の自然さを大きく左右する
- 不運が続いたときは I’ve not had much luck. で控えめに伝えられる
会話例:オフィスでの小さなけが
- 学習者
- Ouch!(痛っ!)
- 同僚
- What’s the matter?(どうしたの?)
- 学習者
- I’m okay. I just cut my finger on this paper.(大丈夫。紙で指を切っちゃっただけ。)
- 同僚
- Do you need a Band-Aid?(絆創膏いる?)
- 学習者
- Thank you. Lately, I’ve not had much luck. I lost my favorite pen, and I spilled coffee on my clothes a while ago.(ありがとう。最近ついてないの。お気に入りのペンを失くすし、さっきはコーヒーを服にこぼしちゃった。)
- 同僚
- Cheer up! Let’s have a snack together later.(元気出して!後で一緒におやつでも食べよう。)
- 学習ポイント
- 間投詞から入り、I’m okay. で相手を安心させ、原因を一文で説明する。この三段構えが自然な流れです。
What’s the matter? の温度感
直訳すると「何が問題なの?」で、字面だけ見ると少し冷たく感じますが、実際は「どうしたの?」「大丈夫?」と気づかうときの定番です。声のトーンが柔らかければ、まったく失礼になりません。
What’s the matter with you? は with you を添えた形ですが、言い方によっては「あなた、どうかしてるの?」と非難めいて聞こえます。心配を伝えたいだけなら Are you okay? や What happened? のほうが安全です。仕事寄りの場面なら What seems to be the trouble? が使えます。
とっさの声を出せるようにする
Ouch!(痛っ)、Oops!(あっ、しまった)、Yikes!(うわっ)、Ugh!(うへぇ)、Oh no!(ああもう)といった間投詞は、文法を組み立てる前に出てくる音です。これが自然に出るだけで会話の空気が変わります。
ものを落としたときの Oops、思わぬ損傷を見たときの Oh no, it’s totally broken! のように、感情をのせた一言をセットで覚えておくと実戦で強いです。日本語の「あっ」を英語の音に置き換える練習だと考えれば取り組みやすくなります。
ついてない・元気出して
I’ve not had much luck.(最近ついてない)は、小さな不運が続いたときの控えめな言い方です。ほかに It’s just not my day.(今日はどうもうまくいかない)、I’m having a rough day.(今日はさんざんな日だ)も使えます。
相手を励ますなら Cheer up!、It happens.(そういうこともあるよ)、Don’t worry about it.(気にしないで)、Better luck next time.(次はうまくいくよ)。トラブルの表現とセットで覚えると、会話が一往復で終わらなくなります。
状況を伝えられたら、次は解決を頼む段階です。ここまで言えると生活がぐっと楽になります。
修理・交換・返品を頼む
- fix はカジュアルな「直す」、repair は専門的な「修理する」
- 人に直してもらうなら get it fixed の形が便利
- replacement / return / refund / warranty の四語で買い物トラブルに対応できる
fix と repair
壊れたものを直すときの動詞は fix と repair です。fix は日常会話でに頻度が高いカジュアルな語で、repair は「修理する」という語感で専門業者による作業を指すことが多く、名詞としても使えます。
- フレーズ
- This morning a plumber came and fixed the broken tap.
- 日本語訳
- 今朝、水道業者が来て壊れた蛇口を直してくれた。
- 使う場面
- 修繕が終わったことを大家や同居人に報告するとき。
- 発音・ニュアンス
- tap はイギリス系で「蛇口」、北米では faucet も使われます。plumber の b は発音しません(プラマー)。
- フレーズ
- The mechanic said it would cost a lot to repair our car. / Our car is in the garage for repairs.
- 日本語訳
- 修理工は、車の修理費が高くつくだろうと言った。/車は修理のためにガレージに入っています。
- 使う場面
- 見積もりの共有、車が使えない理由の説明。
- 注意点
- 名詞の repairs は複数形で使われることが多い点に注意。for repair より for repairs が自然です。
自分で直すのではなく人に直してもらうなら get it fixed の形が便利です。I need to get my phone fixed.(スマホを直してもらわないと)。直せないほど壊れているなら It’s beyond repair. と言います。
交換・返品・保証
この四つを言えるだけで、海外での買い物トラブルの多くは切り抜けられます。Can I get a replacement?(交換してもらえますか)、I’d like to return this.(これを返品したいです)、Can I get a refund?(返金してもらえますか)、Is it still under warranty?(まだ保証期間内ですか)。
- 学習者
- Excuse me. I bought these earbuds here yesterday, but the left one has no sound at all.(すみません。昨日ここでこのイヤホンを買ったのですが、左側から全く音が出ません。)
- 店員
- I’m sorry about that. Do you have the receipt with you?(申し訳ありません。レシートはお持ちですか?)
- 学習者
- Yes, here it is. I think it might be defective. Can I get a replacement?(はい、これです。不良品かもしれません。交換してもらえますか?)
- 店員
- Of course. Let me check the stock. If we don’t have the same model, would a refund be okay?(もちろんです。在庫を確認します。同じ型がなければ返金でもよろしいですか?)
- 学習ポイント
- 「いつ買ったか → どんな症状か → どうしてほしいか」の順に並べると、短い英語でも交渉が進みます。

では、実際に出番の多い三つの場面を、そのまま使える形で並べます。
場面別のやりとり
- ホテルでは症状+Could someone take a look? が万能
- 賃貸では「入居時からあった」と言えるかが重要
- 職場では issue や won’t を使って柔らかく伝える
ホテルで
- フレーズ
- The air conditioner in my room isn’t working. Could someone take a look?
- 日本語訳
- 部屋のエアコンが動きません。誰か見てもらえますか。
- 使う場面
- チェックイン後に設備の不具合に気づいたとき。電話でもフロントでも使えます。
- 注意点
- Fix it now. のような命令形は避けましょう。Could someone 〜? の形にするだけで印象が大きく変わります。
お湯が出ないなら The hot water isn’t coming out, and the shower head is broken.(お湯が出ませんし、シャワーヘッドが壊れています)。部屋を替えてほしいなら Would it be possible to change rooms?(部屋を替えていただけますか)と続けられます。
シェアハウス・賃貸で
海外で部屋を借りると、入居時に備品のチェックリストを提出する仕組みがある国もあります。オーストラリアなどでは、入居後の短期間のうちに換気扇、オーブン、食洗機、カーテンレール、壁のフックまで一つずつ確認し、不具合を記録して不動産会社に提出します。
これは「自分たちが壊したのではない」という証明にもなるため、ここで使う英語は生活の実用度がもっとも高い部分です。退去時の敷金にも関わってきます。
- フレーズ
- The extractor fan doesn’t work. / The curtain rail has come off the wall. / There’s a crack in the bathroom tile. It was already there when we moved in.
- 日本語訳
- 換気扇が動きません。/カーテンレールが壁から外れています。/浴室のタイルにひびがあります。入居時からありました。
- 使う場面
- 入居時のチェックリスト提出、大家や管理会社への修繕依頼メール。
- 注意点
- It was already there when we moved in. の一文が責任の所在を明確にします。写真を添えるとさらに確実です。
職場で
- フレーズ
- The copier is jammed again. Could you help me clear it? / We’re having an issue with the projector — it won’t connect to my laptop.
- 日本語訳
- コピー機がまた紙詰まりしました。取り除くのを手伝ってもらえますか。/プロジェクターに不具合があって、パソコンにつながりません。
- 使う場面
- 会議前の機器トラブル、総務やIT担当への連絡。
- 発音・ニュアンス
- won’t は「ウォウント」で o を二重母音に。want と混同されやすいので、意識して伸ばすと通じやすくなります。
場面別の型が入ったところで、逆に避けたい言い方も押さえておきましょう。誤用は一度覚えてしまうと直すのに時間がかかるため、早めの確認が効きます。
誤解を招きやすい言い方
- dead は充電切れ限定。故障の意味では使わない
- This is bad. は情報量が乏しく伝わらない
- It’s break. は文法的に成立しない
- 人に He is broken. と言うと別の意味になる
最後に、誤用の多くは「情報が足りない」ことから生まれます。文法の誤りより、状況が特定できない曖昧さのほうが相手を困らせます。
My phone is dead. は「充電が切れている」であって「スマホが故障した」ではありません。ここを混同すると、修理してほしいのに「充電すればいいのでは」と返されます。故障なら My phone isn’t working. や My phone won’t turn on. と言い分けます。
This is bad. は意味が広すぎて、何がどうダメなのか伝わりません。This machine isn’t working. や This product is defective. のように具体化しましょう。同様に It’s no good. も避けたい曖昧表現です。
It’s break. のような形も見かけますが、be動詞と動詞の原形は並べられません。壊れている状態なら It’s broken.、壊れたという出来事なら It broke. です。
人に対して He is broken. と言うと「精神的に打ちのめされている」という別の意味になり、相手を傷つけるおそれがあります。体調が悪いなら I’m not feeling well.、ケガをしたなら I got hurt. を使ってください。
I have no battery. も日本語から直訳して作りやすい形ですが、自然な英語ではありません。My battery is dead. や My phone is out of battery. に置き換えます。
誤用の輪郭が見えたところで、これらを口から出せるようにする段階へ進みます。知識を使える状態に変える工程です。
発音とリズムで詰まらないようにする
- -ed の音は「ドゥ」「トゥ」「イドゥ」の三種類に分かれる
- doesn’t work、isn’t working は語尾をつなげて一息で言う
- 強く読む語を決めると、短い文でも伝わりやすくなる
語彙が増えても、音の作り方が曖昧だと聞き返されます。まず -ed の三分類を押さえましょう。cracked・chipped・smashed・scratched は「トゥ」に近い無声音、damaged・spilled は「ドゥ」、dented は「イドゥ」と一音増えます。
次にリズムです。It doesn’t work. は「イッダズントゥ ワーク」と三拍で、work を強く長めに置きます。It isn’t working. は「イティズントゥ ワーキン」と、g をほとんど響かせないのが自然です。
最後に強調位置です。伝えたい一語を強く読むだけで、文法が多少崩れても意図は届きます。My phone is DEAD.(充電切れを強調)、The LEFT one has no sound.(左側だけだと強調)のように、どこを立てるかを決めてから口を開くと安定します。
音が整ったら、あとは日常で回すだけです。具体的な練習の進め方を見ていきます。
身につけるための練習のしかた

- 身の回りで起きたことに、その場で英語の実況を一言つける
- 同じ物について複数の言い方を並べると語彙が状況に紐づく
- 短い一言から始め、時期・対処・依頼を後から足していく
これらの表現は、覚えた瞬間ではなく使えた瞬間に自分のものになります。おすすめは、身の回りで実際に何かが起きたときに、その場で英語の実況を一言つけてみることです。
ペンのインクが切れたら My pen is out of ink. とつぶやく。リモコンが反応しなければ The remote isn’t working. Maybe the batteries are dead. と続ける。指を切ったら Ouch, a paper cut. と言ってみる。日常のトラブルは頻度が高いので、練習素材としては理想的です。
もう一つ効くのは、同じ物について複数の言い方を並べてみることです。ひとつのスマホについて、It’s cracked.(画面が割れた)、It’s not working.(動かない)、It’s dead.(充電切れ)、It’s water-damaged.(水没した)と言い分けてみると、語彙が状況に紐づいて記憶に残ります。
逆に、broken 一語では表せない情報がどれだけあるかも実感できます。この気づきが、辞書的な暗記から使える語彙への転換点になります。
一週間の回し方の一例
負担を増やさずに定着させるなら、日ごとにテーマを分けるのが現実的です。以下は一例で、生活リズムに合わせて入れ替えて構いません。
- 1日目:break / broken / broke の三形を、家の中のモノ五つで声に出す
- 2日目:not working と out of order を、外出先で見かけた設備に当てはめる
- 3日目:電池と充電の表現(dead / dying / plug it in / outlet)をまとめて練習
- 4日目:cracked / chipped / dented / scratched を、実際の傷を見ながら言う
- 5日目:came off / fall off / loose / stuck を、服や家具で確認する
- 6日目:ケガの表現と間投詞をセットで、鏡の前で口に出す
- 7日目:ホテル・賃貸・職場の依頼文を三つだけ、暗唱できる状態にする
大切なのは、短い一言から始めるという点です。長い文を組み立てようとして黙ってしまうより、It’s not working. と一言出したほうが確実に伝わります。
そこから、いつからか(It stopped working this morning.)、何をしたか(I already restarted it.)、どうしてほしいか(Could you take
a look?)と足していけば、自然な説明になります。一言+三点セットという骨組みだけ覚えておけば、その場で文を作れます。
一日一言でも、声に出した表現は場面と結びついて残ります。
ひとりで練習していると、通じているかどうかの確認だけは難しくなります。発音や自然さを人に聞いてもらえる環境を組み合わせると、独学の弱点を補えます。
英語教室の情報を見てみる
よくある質問(FAQ)
- 迷いやすい疑問を短く整理
- 語の重複が気になるときの判断基準も収録
- broken と not working はどちらを使えば無難ですか?
- 見た目に損傷がない機械なら not working のほうが無難です。broken は物理的な損傷を連想させるため、落として割ったのかと確認されることがあります。逆に、割れた食器やひびの入った画面など目に見える壊れ方なら broken が的確です。
- 自宅の家電に out of order は使えますか?
- 不自然に響きます。out of order はエレベーターや自動販売機のように公共の設備が故障中であることを示す表現で、貼り紙の定型文としても使われます。自宅の冷蔵庫や洗濯機には not working や broke down を使ってください。
- My phone is dead. は故障の意味になりますか?
なりません。dead はバッテリーが切れて電気がない状態を指します。故障を伝えたいなら My phone isn’t working. や My phone won’t turn on. と言い換えてください。公式な連絡では The battery has run out. のような表現が適切です。
battery は単数と複数のどちらを使いますか?
乾電池を複数使うリモコンやおもちゃ、時計は The batteries are dead. と複数形にします。スマホやパソコンのように内蔵バッテリーが一つのものは The battery is dead. と単数にします。細かい点ですが、整った英語に聞こえる要素です。
fix と repair はどう使い分けますか?
fix は日常会話でよく使われるカジュアルな「直す」で、自分で直す場合にも使えます。repair は専門的な修理を指し、名詞としても使えます。人に直してもらうなら get it fixed、直せないほど壊れているなら It’s beyond repair. が便利です。
絆創膏はどう言えば通じますか?
アメリカでは Band-Aid が広く通じますが、これは商品名由来の呼び方です。イギリスやオーストラリアでは plaster が一般的で、中立的な語としては bandage が使えます。相手の地域が分からないときは bandage から始めると安全です。
用語解説:come off と fall off
come off は取っ手やボタンのように、固定されていた部品が外れることを表します。fall off は外れて下に落ちたことに重点があり、The mirror fell off the wall. のように使います。外れた事実だけを伝えるなら come off で十分です。
まとめ:次に何かが壊れたときのために
- 「壊れた・動かない・電池切れ・外れた・血が出た」の五類型を軸に整理する
- 口を開く前に壊れ方を一拍考えるだけで語が決まる
- 短い一言から始め、必要な情報を足していけば説明になる
小さなトラブルは避けられませんが、それを言葉にできるかどうかで、周りに助けを求められるかが変わります。壊れた、動かない、電池が切れた、外れた、血が出た。この五つを状況に応じて言い分けられるようになれば、生活の不便がかなり減ります。
今日から試せることは一つだけです。次に何かが壊れたとき、少し落ち着いて「これはどう壊れているのか」を考えてから口を開く。それだけで、選ぶ語が自然に決まっていきます。
それではまた、See you!

