蛇口から水がぽたぽた落ち続ける。暖房を入れてもラジエーターが冷たい。洗濯機が途中で止まってアラームが鳴りやまない。海外で暮らしていると、こうした住まいのトラブルは高い確率でやってきます。
困るのは故障そのものより、「これを英語でどう言えばいいのか分からない」という壁です。電話をかける勇気が出ないまま二日、三日と過ぎ、そのあいだ洗濯もお風呂もままならない。そんな時間の使い方は、あまりにもったいありません。
安心してほしいのは、住まいの英語がほとんど中学校レベルの文法で足りるという事実です。必要なのは、症状を表す名詞をいくつか知っていることと、誰に何をどの順番で頼むかという型を持っていることだけ。難しい構文は一切登場しません。
この記事では、連絡先の使い分け、そのまま口に出せる場面別フレーズ、電話とメールの実例、費用負担の確認、隣人の騒音への対応、そして一週間で口が動くようになる練習手順まで、順番に並べていきます。読み終えたときには「今日、連絡できる」状態になっているはずです。体系的に学び直したい方は英語教室のような場も選択肢になりますが、まずはここにある型をそのまま使ってみてください。
- 家の故障を英語で伝える基本は「症状・いつから・依頼」の三点
- 連絡先を間違えない:landlord と property manager の使い分け
- 伝わる連絡の型は5ステップで完結する
- 会話例:洗濯機が止まったときの電話をたどる
- トラブル別の第一声:水まわり・電気・暖房・家電・鍵
- 緊急度の伝え方で対応の速さが変わる
- 訪問日程の調整と、不在時の入室をどうするか
- 写真と動画を添えると、語彙の不足は補える
- メール・メッセージのテンプレートをそのまま使う
- 返事が来ないときの再連絡は、失礼ではなく手続き
- 修理費用の負担者は、頼む前に確認する
- 隣人の騒音は段階を踏んで、穏やかに伝える
- イギリスとアメリカで違う住まいの語彙
- 言いがちな誤りと、自然な言い換え
- 電話で伝わる発音とイントネーションの練習
- 冬に備えるひと言と、季節ごとの相談
- 7日間で口が動くようになる練習手順
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:簡単な文法で、暮らしは動きはじめる
家の故障を英語で伝える基本は「症状・いつから・依頼」の三点
- 伝えるべき情報は「何が」「どんな症状で」「いつから」「どうしてほしいか」の四つだけで足りる。
- The 〇〇 doesn’t work. と There’s something wrong with the 〇〇. の二つの型で、ほぼすべての設備に対応できる。
- 完璧な言い回しを探すより、通じる表現で早く連絡したほうが暮らしは早く元に戻る。
家の不具合を英語で伝えるときに必要な情報は、たった四つです。何が壊れたのか、どんな症状なのか、いつからなのか、そして誰かに来てほしいのか。この四つが並んでいれば、相手は判断できます。
なぜ四つで足りるのでしょうか。修理を手配する側が知りたいのは、部品交換が必要な故障なのか、使い方の問題なのか、緊急対応が要るのかという切り分けだけだからです。原因の推測や気持ちの説明は、相手の仕事ではありません。
たとえば「洗濯機が壊れました」だけでは情報が足りません。症状を目と耳で分かる事実に置き換えると、途端に伝わる英語になります。「アラームが鳴っている」「水が入ってこない」「画面にE4と出ている」。この三つはすべて、簡単な単語で言えます。
- フレーズ
- The washing machine doesn’t work.
- 日本語訳
- 洗濯機が動きません。
- 使う場面
- 電源が入らない、動き出さない、途中で止まるなど、機械が本来の働きをしていないときの第一声。washing machine の部分を fridge、oven、heating などに入れ替えるだけで応用できます。
- 注意点・誤用例
- 機械が動かないことを The washing machine is not moving. と言うと、位置が動かないという意味に受け取られます。動作しないという意味では work を使います。また doesn’t work だけで終えると症状が不明なので、次の一文で具体化しましょう。
- 発音・ニュアンス
- 「ザ ワッシン(グ) マシーン ダズン(ト) ワーク」。doesn’t の t はほとんど聞こえません。work を強く長めに言うと、症状の核心が伝わりやすくなります。責める調子ではなく、事実を報告する平坦な言い方で十分です。
- フレーズ
- There’s something wrong with the heating.
- 日本語訳
- 暖房の調子がおかしいようです。
- 使う場面
- 完全に壊れてはいないけれど何かが変、という曖昧な状態を伝えるとき。異音、温度の不足、動作の不安定さなど、原因が自分でも分からない場合に便利です。
- 注意点・誤用例
- something を somewhere と言い間違える人が多いので注意しましょう。また with を省いて There’s something wrong the heating. とすると文が崩れます。with までをひとかたまりで覚えるのが安全です。
- 発音・ニュアンス
- 「ゼアズ サムシン(グ) ロン(グ) ウィズ ザ ヒーティン(グ)」。something wrong をひと息で続けるとネイティブらしく響きます。断定を避ける言い方なので、相手に原因の判断を委ねる丁寧さがあります。
この二つの型に「いつから」を足すと精度が上がります。It hasn’t worked since yesterday.(昨日から動きません)、It started making a strange noise last night.(昨夜から変な音がし始めました)。時点と症状が揃うだけで、相手は必要な部品や職種を予想できます。
つまり、家の故障を伝える英語の骨格は「症状・いつから・依頼」の三点。ここが決まっていれば、あとは語彙を足していく作業です。では、その連絡はいったい誰に向けて行えばよいのでしょうか。
連絡先を間違えない:landlord と property manager の使い分け
- 賃貸物件の設備不具合は、自分で業者を呼ぶ前にまず貸主側へ報告するのが原則。
- 窓口は landlord、letting agent、property manager、management office などに分かれ、物件の形態で変わる。
- 入居直後に営業時間外の緊急連絡先と申請方法を確認しておくと、いざというとき迷わない。
住まいのトラブルで最初に決めるべきは、誰に電話をかけるかです。海外で暮らす日本人の住居は、学生寮、シェアハウス、家具付きのフラット、会社の借り上げ住宅など形態がさまざまですが、共通点は「持ち主が別にいる」ことです。
だからこそ、勝手に修理業者を手配してはいけません。まず貸主側へ報告するのが原則です。これは礼儀の問題であると同時に、費用と責任の問題でもあります。建物付帯の設備は貸主が維持する義務を負っている場合が多く、独断で直すと費用が自己負担になったり、退去時に揉める材料になったりします。

では、窓口の呼び名を整理しておきましょう。それぞれの単語が指す相手が違うため、言い分けができると話が早く進みます。
- landlord/大家、貸主。個人オーナーに直接連絡する場合の相手です。女性オーナーを landlady と呼ぶこともあります。
- letting agent / estate agent/イギリスで仲介と管理を担う不動産会社。大家の代理として窓口になります。
- property manager/物件の管理担当者。修理手配や入居者対応を実務で行う個人を指します。
- management company/管理会社という組織そのもの。
- management office/建物内や敷地内にある管理事務所。窓口が常設されている大型物件で使います。
- maintenance/保守・修理の担当部署や担当者。実際に工具を持って直しに来る人たちです。
- superintendent(略して super)/アメリカの集合住宅にいる住み込み管理人。日常的な修理の第一窓口になります。
- work order/修理依頼、作業指示書。アメリカの大型物件では、この書式や専用ポータルから申請します。
イギリスでは letting agent が窓口となり、agent 経由で業者が手配される流れが多くなります。個人の大家と直接やりとりする小規模物件なら、電話やメッセージで相談する形です。アメリカの大型アパートメントでは敷地内のオフィスに work order を出す仕組みが一般的で、オンライン申請の物件も増えています。
入居したら真っ先に確認したいのが、営業時間外の連絡先です。emergency contact、out-of-hours contact、after-hours line といった表記で契約書や掲示板に書かれています。水漏れやガスのにおいは、平日の九時まで待ってくれません。連絡先を冷蔵庫に貼っておくくらいの用意があってちょうどよいでしょう。
- フレーズ
- Who should I contact if something breaks?
- 日本語訳
- 何か壊れたら誰に連絡すればいいですか。
- 使う場面
- 鍵の受け渡しや入居説明のとき。ここで聞いておけば、実際に困ったときに連絡先を探す時間がゼロになります。
- 注意点・誤用例
- contact to you とは言いません。contact は前置詞なしで目的語を取ります。Who should I contact to? は誤りです。
- 発音・ニュアンス
- 「フー シュッダイ コンタク(ト) イフ サムシン(グ) ブレイクス」。should I は「シュッダイ」とつながります。将来の可能性を淡々と尋ねる質問なので、明るい調子で問題ありません。
- フレーズ
- Is there an emergency number for after hours?
- 日本語訳
- 営業時間外の緊急連絡先はありますか。
- 使う場面
- 契約時や入居直後。夜間や週末に水漏れが起きたときのために欠かせない確認です。
- 注意点・誤用例
- emergency call number と言うと通報番号のような響きになります。物件の窓口を尋ねるなら emergency number や out-of-hours contact が自然です。
- 発音・ニュアンス
- 「イズ ゼア アン イマージェンシー ナンバー フォー アフターアワーズ」。emergency の強勢は二つめの mer にあります。after hours はひとかたまりで「業務時間外」を指す定型表現です。
連絡すべき相手が決まりました。次は、その相手に何をどんな順番で伝えるかという「型」を組み立てます。
伝わる連絡の型は5ステップで完結する
- 名乗る、問題を言う、状況を具体化する、対応を頼む、日程を確認する、の5ステップで用件は完結する。
- 部屋番号を最初に言うだけで、聞き返しややりとりの往復が大幅に減る。
- 長い説明を先に始めると、相手はどの部屋の誰の話か分からず話が進まない。
英語を長く話す必要はありません。順番さえ決めておけば、単文の積み重ねで用件は完結します。順番を固定するというのは、緊張していても口が動くようにするための工夫です。
なぜ順番が大事なのでしょうか。相手は一日に何件も同じような連絡を受けています。最初に部屋番号を名乗るかどうかで、その後の会話の効率がまったく変わります。
- 名乗る・部屋番号を言う/Hello, this is Yuki in flat 305.(こんにちは、305号室のユキです)
- 問題を伝える/There’s a problem with the washing machine.(洗濯機に問題があります)
- 状況を具体化する/It started this morning, and no water is coming in.(今朝からで、水が入ってきません)
- 対応を頼む/Could you send someone to check it?(誰か見に来てもらえますか)
- 日程を確認する/When could they come?(いつ来られそうですか)
この五文を並べるだけで、相手が判断に必要な情報はほぼ揃います。逆に、いきなり長い説明から始めると、相手は「どの部屋ですか」「お名前は」と聞き返すことになり、やりとりが二倍に増えてしまいます。
- フレーズ
- Hello, this is Yuki in flat 305. I’m calling about a problem with the boiler.
- 日本語訳
- こんにちは、305号室のユキです。給湯器の不具合についてお電話しました。
- 使う場面
- 電話の第一声。名前と部屋番号、用件の主題を一息で示す定型です。ここまで言い切ってしまえば、あとは相手の質問に答えるだけになります。
- 注意点・誤用例
- 電話で I am Yuki. と言うのは不自然です。This is Yuki. または It’s Yuki. を使います。また I’m calling for a problem ではなく about a problem が正しい組み合わせです。
- 発音・ニュアンス
- 「ディスィズ ユキ イン フラット スリーオーファイヴ」。部屋番号は305なら three-oh-five と読むのが一般的です。名前と番号はゆっくり、はっきり言うと聞き返されません。
- フレーズ
- Could you send someone to check it?
- 日本語訳
- 誰か見に来てもらえますか。
- 使う場面
- 症状を伝えたあとの依頼部分。修理を確約させるのではなく「点検に来てほしい」と頼む形なので、どんな不具合にも使えます。
- 注意点・誤用例
- Please repair it now. は命令調に響き、関係を悪くしがちです。Could you 〜? の疑問形にするだけで印象がやわらぎます。
- 発音・ニュアンス
- 「クッジュ センド サムワン トゥ チェッキッ」。Could you は「クッジュ」とつながり、check it は「チェッキッ」となります。文末を軽く上げると依頼らしくなります。
型が頭に入ったところで、実際の電話がどう流れるのかを見てみましょう。次の章では、洗濯機が動かなくなった場面の会話例を丸ごとたどります。
会話例:洗濯機が止まったときの電話をたどる
- 実際の会話は現在進行形と助動詞が中心で、難しい構文はほとんど出てこない。
- 「アラームが鳴っている」「水が出ない」のように、目と耳で分かる事実を並べれば十分に通じる。
- 寒い地域では屋内の配管が凍ることもあり、原因は現地の常識に助けられて判明する場合がある。
ここからは、冬のロンドンで洗濯機が動かなくなったという想定で、学習者と大家の電話を追います。登場するのは役割としての「学習者」と「大家」で、特定の誰かの体験ではなく、典型的なやりとりを再現したものです。
読みながら注目してほしいのは、使われている文法のやさしさです。現在進行形と助動詞だけで、症状の説明から対処法の指示まで完結しています。
- 学習者
- Hello, this is the tenant in flat 305. I have a problem with the washing machine. The alarm keeps beeping and no water is coming in, even though the tap is turned on.
こんにちは、305号室の入居者です。洗濯機に問題があります。アラームが鳴り続けていて、蛇口は開いているのに水が入ってきません。 - 大家
- I see. I think I know the reason. The water is probably freezing in the pipe.
なるほど。理由が分かったと思います。おそらく配管の中で水が凍っています。 - 学習者
- How can water freeze inside the house?
どうして家の中で水が凍るのですか。 - 大家
- That’s quite usual here. You need to melt the frozen water. Cover the pipe with a cloth and blow warm air on it with a hair dryer.
ここではよくあることです。凍った水を溶かす必要があります。配管を布で覆って、ドライヤーで温風を当ててください。 - 学習者
- Thank you for the help. I’ll warm the pipe and call you back if it doesn’t work.
助かります。配管を温めて、直らなければまた連絡します。 - 大家
- Don’t pour boiling water on it. It’s dangerous — the pipe may break.
熱湯はかけないでください。危険です。配管が割れるかもしれません。
この会話が成立している理由は、症状が具体的だからです。「アラームが鳴っている」「水が入ってこない」「蛇口は開いている」という三つの事実が並んだ瞬間、大家は原因を凍結だと推測できました。
会話に出てきた表現の要点
- keeps beeping/鳴り続けている。keep + 動詞のing形で「〜し続ける」。The breaker keeps tripping.(ブレーカーが何度も落ちます)のように、繰り返す不具合にとても便利です。
- the tap is turned on/蛇口が開いている。tap はイギリス英語で蛇口、turned on は栓や電源が入っている状態を指します。
- even though 〜/〜にもかかわらず。自分は正しく操作しているという情報を添えられるため、故障の切り分けに役立ちます。
- That’s quite usual here./ここではよくあることです。usual は「いつもの」より「珍しくない」という響きで、驚いている相手を落ち着かせる言い方です。
- call you back/折り返し連絡する。対処してみて結果を報告する、という流れをつくる一言です。
機械の異常を伝えるとき、日本語の「エラーが出ている」をそのまま英語にしようとして固まる人が少なくありません。そんなときは It says “E4” on the display.(画面にE4と出ています)のように say を使うと口語的で自然です。機械が「言っている」と表現するのが英語の感覚です。
屋内の配管が凍るという現地の事情
水道が凍って出なくなる現象は、日本でも寒冷地の屋外では起こります。ところがイギリスの古い住宅では、屋内にある洗濯機の給水管が凍ることがあります。
レンガ造りや石造りの建物が多く、配管が外壁沿いや暖房の効かない裏手のユーティリティスペースを通っている場合があるためです。暖かいリビングと、洗濯機を置いた小部屋では体感温度がまるで違います。日本の住宅の感覚で「家の中なのに凍るはずがない」と思い込むと、原因にたどり着けません。
凍結した配管に熱湯をかけるのは避けてください。急激な温度差で管が割れ、解凍した瞬間に大量の水が噴き出すおそれがあります。布やタオルを巻いてぬるま湯をゆっくりかける、ドライヤーの温風を当てる、室温を上げて自然に溶けるのを待つといった方法が安全です。判断に迷うときは自分で作業せず、貸主側の指示を仰いでください。
この場面で使える英語もまとめておきます。The pipe is frozen.(配管が凍っています)、Please don’t pour boiling water on it.(熱湯はかけないでください)、I’m warming the pipe with a hair dryer.(ドライヤーで温めています)、The water is running again now.(また水が出るようになりました)。
洗濯機の例を見てきましたが、家の不具合は水まわりだけではありません。次は、トラブルの種類ごとに「最初の一言」を揃えておきましょう。
トラブル別の第一声:水まわり・電気・暖房・家電・鍵
- 水漏れ、停電、ガスのにおいは被害が広がるため、発見したらすぐ連絡すべき項目。
- leak、clogged、drain、boiler、radiator など、症状を表す語彙を先に覚えると会話が一気に楽になる。
- 電球やフィルター交換は自分の担当か管理側の担当かが物件ごとに違うため、必ず確認する。
場面ごとの第一声を用意しておくと、いざというときに探す手間がありません。声に出して読んで、口が覚えているものを増やしていきましょう。

水まわり
- There’s a water leak under the sink./シンクの下で水漏れしています。
- The tap is dripping and I can’t stop it./蛇口から水がぽたぽた落ちて止まりません。
- The toilet is clogged./トイレが詰まっています。
- The sink won’t drain./シンクの水が流れません。
- There’s no hot water in the shower./シャワーのお湯が出ません。
- Water is leaking from the ceiling in the bathroom./浴室の天井から水が漏れています。
- There’s water coming from the flat upstairs./上の階から水が漏れてきています。
水漏れは時間とともに被害が拡大します。発見したら即日連絡が原則です。入居時に止水栓の位置を確認しておくと、いざというとき自分で被害を止められます。Where is the water shut-off valve?(止水栓はどこですか)と聞いておきましょう。
- フレーズ
- There’s a water leak under the kitchen sink, and it’s getting worse.
- 日本語訳
- 台所のシンク下で水漏れしていて、だんだんひどくなっています。
- 使う場面
- 水漏れを見つけたときの第一報。場所(under the kitchen sink)と進行度(getting worse)を添えると、優先順位を上げてもらいやすくなります。
- 注意点・誤用例
- leak を漏れている「水」の意味で使うと不自然になります。leak は漏れ・漏れ口を指す名詞、または漏れるという動詞です。The water is leaking. と There’s a leak. のどちらかで表現しましょう。
- 発音・ニュアンス
- 「ゼアズァ ウォーター リーク アンダー ザ キッチン シンク」。leak は「リーク」と長めに。深刻さを伝えたいので、早口にせず落ち着いた低い調子で言うと効果的です。
電気・ガス・暖房
- The power is out in the whole flat./部屋全体が停電しています。
- The breaker keeps tripping./ブレーカーが何度も落ちます。
- There’s no running water./水が出ません。
- The heating isn’t working./暖房が効きません。
- The radiator is cold even when the heating is on./暖房を入れてもラジエーターが冷たいままです。
- The boiler is making a loud noise./給湯器が大きな音を立てています。
- I can smell gas near the stove./コンロの近くでガスのにおいがします。
イギリスの住宅では boiler(給湯と暖房を兼ねるボイラー)と radiator(放熱器)が暖房の中心です。この二語を知らないと冬の相談ができないため、優先して覚える価値があります。
ガスのにおい、火花、焦げた匂い、大量の漏水など差し迫った危険があるときは、通常の修理依頼の手順にこだわらないでください。まず安全な場所へ移動し、現地の緊急窓口や供給会社の緊急番号へ連絡するのが先です。英語では I can smell gas and I’ve left the flat.(ガスのにおいがして、部屋の外に出ました)のように、状況と自分の居場所を短く伝えます。
家電
- The fridge isn’t keeping things cold./冷蔵庫が冷えていません。
- The freezer stopped making ice./冷凍庫で氷ができません。
- The oven temperature won’t go up./オーブンの温度が上がりません。
- Water started leaking from the dishwasher./食洗機から水が漏れ始めました。
- The washing machine stops in the middle of the cycle./洗濯機が途中で止まってしまいます。
- The dryer runs but the clothes are still wet./乾燥機は動くのに洗濯物が乾きません。
- The air conditioner isn’t cooling the room./エアコンで部屋が冷えません。
冷暖房が建物全体で管理されている住宅では、操作パネルに change filter と表示されることがあります。自分で交換するのか管理側に頼むのかは物件ごとに違うので、It says “change filter” on the panel. Should I change it myself?(パネルにフィルター交換と出ています。自分で交換すべきですか)と確認しておくと安心です。
電球のような小さな部品も、扱いは物件次第です。The bulb of the light outside the door is out. Should I change it, or will you send someone?(玄関外の電球が切れています。自分で替えるべきですか、それとも誰か来てもらえますか)。The light at the stairs is out and the ceiling is too high for me to reach.(階段の照明が切れていますが、天井が高くて手が届きません)。
鍵・ドア・窓・そのほか
- The key doesn’t turn in the lock./鍵が回りません。
- I’m locked out of my flat./部屋から締め出されてしまいました。
- The window doesn’t close properly./窓がきちんと閉まりません。
- There’s mould on the bathroom wall./浴室の壁にカビが生えています。
- I’ve seen cockroaches in the kitchen. Could you arrange pest control?/台所でゴキブリを見ました。害虫駆除を手配してもらえますか。
- The smoke alarm keeps beeping./火災報知器が鳴り続けています。
イギリスの古い建物では、結露とカビ(mould)が定番の悩みです。放置すると退去時に責任を問われることもあるため、早めに報告して換気の指示を仰ぐのが得策です。
症状は言えるようになりました。しかし同じ「壊れました」でも、今日来てほしいのか来週で構わないのかで相手の動きは変わります。次はその伝え方です。
緊急度の伝え方で対応の速さが変わる
- 感情的に急かすより、生活にどんな支障が出ているかを事実として描くほうが強く働く。
- 急ぎでない場合もそれを明示すると、相手は予定を組みやすくなり信頼関係が保たれる。
- urgent、as soon as possible、getting worse の三語で緊急度はほぼ表現できる。
緊急度を伝えるひと言を添えるだけで、対応の順番が変わります。相手は複数の依頼を抱えているため、優先順位の判断材料を渡してあげるという発想が有効です。
ここで大事なのは、怒りや焦りではなく事実で示すことです。生活への支障を具体的に言うのが、最も確実に優先順位を上げる方法です。
- It’s getting worse./だんだんひどくなっています。
- It needs urgent attention./急ぎの対応が必要です。
- Could you send someone as soon as possible?/できるだけ早く誰か来てもらえますか。
- It’s not urgent, but I’d like to have it checked./急ぎではありませんが、一度見てもらいたいです。
- We can’t use the kitchen at all right now./今は台所がまったく使えない状態です。
- There’s no heating and it’s freezing in the flat./暖房がなく、部屋の中が凍えるほど寒いです。
- フレーズ
- I can’t cook or wash the dishes, so it would really help if someone could come today.
- 日本語訳
- 料理も洗い物もできないので、今日誰か来てもらえると本当に助かります。
- 使う場面
- 台所や浴室が使えず、日常生活が回らないとき。困っている状態を説明したうえで、当日対応を丁寧に依頼する形です。
- 注意点・誤用例
- You must come today. のような言い方は相手を追い詰めます。it would really help if 〜 という仮定の形にすると、強い希望を保ちながら失礼になりません。
- 発音・ニュアンス
- 「アイ キャン(ト) クック オー ウォッシュ ザ ディッシズ」。can’t は強めに、really help はやや高めの調子で。困っているけれど礼儀は保っている、という声色が理想です。
緊急度が伝わったら、次に待っているのは訪問日程の調整です。ここには日本と違う慣習があるため、知っておくと予定が崩れません。
訪問日程の調整と、不在時の入室をどうするか
- 訪問時間は「午前9時から午後1時のあいだ」のように幅で指定されることが多い。
- 在宅が必要かどうかを最初に確認すれば、一日を無駄に空けずに済む。
- 不在時の入室を許可するかは自分で決められるので、希望をはっきり伝えてよい。
修理担当が来る日時の調整は、意外に神経を使う場面です。時間の感覚が日本とは違うため、あらかじめ確認する癖をつけておくと安心です。
- What time will the technician arrive?/修理担当は何時に来ますか。
- Could they come after 3 p.m.?/午後3時以降に来てもらえますか。
- I’m available on weekday mornings./平日の午前中なら在宅しています。
- Do I need to be home?/在宅する必要はありますか。
- Is it okay if maintenance enters while I’m out?/不在中に修理担当が入室しても構いませんか。
- Please let me know before they arrive./到着前に知らせてください。
- Could you ask them to call me when they’re on the way?/向かうときに電話をもらえるよう伝えてもらえますか。
海外では時間指定に幅があるのが一般的で、その時間内に来ないことも珍しくありません。だからこそ在宅が必要かどうかを最初に聞くことが、自分の一日を守る鍵になります。
- フレーズ
- Do I need to be home, or can they let themselves in?
- 日本語訳
- 在宅する必要がありますか、それとも鍵で入ってもらえますか。
- 使う場面
- 仕事や学校で日中に家を空ける人が、日程を決める段階で確認する質問です。二択で聞くと相手も答えやすくなります。
- 注意点・誤用例
- let themselves in は「自分たちで鍵を使って入る」という決まった言い方です。enter by themselves では不自然に響きます。入室を望まない場合は I’d prefer to be home when they come. と伝えれば問題ありません。
- 発音・ニュアンス
- 「ドゥアイ ニード トゥ ビー ホーム オー キャン ゼイ レット ゼムセルヴズ イン」。二択の前半は上げ調子、後半は下げ調子にすると自然です。
日程が決まったら、あとは症状を正確に伝える工夫です。言葉に自信がない人にとって、次に紹介する方法はいちばん心強い味方になります。
写真と動画を添えると、語彙の不足は補える
- 写真や動画を送れば、部品の名前を知らなくても症状は正確に伝わる。
- 先にメッセージを送り、その件で電話をすると会話がぐっと楽になる。
- 異音は録音、水漏れは動画、表示はスクリーンショットが有効。
語彙に不安があるときほど、画像が助けになります。「継ぎ目」「排水口」「ホースの付け根」といった部品名を英語で言えなくても、写真を一枚送れば相手は状況を理解します。
- Can I send you a photo or a video?/写真か動画を送ってもいいですか。
- I’ve attached photos of the problem./問題箇所の写真を添付しました。
- This photo shows where the water is coming from./この写真で、どこから水が出ているか分かります。
- I recorded the noise it makes./異音を録音しました。
- I’m calling about the message I sent earlier./先ほど送ったメッセージの件でお電話しました。
電話が不安な人には、この順序を強くおすすめします。まず写真つきのメッセージを送り、そのうえで電話をかける。相手はすでに状況を把握しているので、説明の負担が半分以下になります。
書き言葉なら、辞書を引きながら落ち着いて組み立てられます。次はそのまま使えるメールの形を見ていきます。
メール・メッセージのテンプレートをそのまま使う
- 件名に部屋番号を入れると、誰の依頼か一目で分かり処理が早くなる。
- 状況を1〜2文、依頼を1文、都合のよい時間を1文、という配分が扱いやすい。
- メールは記録として残るため、あとで経緯を示す証拠にもなる。
メールやメッセージには、電話にない利点があります。落ち着いて書けること、そして記録が残ることです。まずは基本の形を頭に入れましょう。
- メール例文
- Subject: Maintenance request — Flat 305
Hello,
This is the tenant in flat 305. The washing machine has not been working since this morning. The alarm keeps beeping and no water comes into the machine, although the tap is turned on.
Could you send someone to check it? I’m available after 3 p.m. on weekdays. I’ve attached a photo of the display.
Thank you for your help.
Best regards,
Yuki - 日本語訳
- 件名:修理依頼 — 305号室
こんにちは。305号室の入居者です。洗濯機が今朝から動いていません。蛇口は開いているのに、アラームが鳴り続けて水が機械に入ってきません。
誰か点検に来ていただけますか。平日の午後3時以降は在宅しています。表示の写真を添付しました。
ご対応よろしくお願いします。
- 使う場面
- letting agent や management office へ最初に連絡するとき。設備名と症状を入れ替えれば、あらゆる不具合に流用できます。
- 注意点・誤用例
- 冒頭に Dear Sir or Madam を置くと堅すぎる印象になります。担当者名が分からなければ Hello, で十分です。件名に Urgent!!! のような感嘆符を並べるのは避け、内容で緊急度を示しましょう。
- 発音・ニュアンス
- 音読の練習にも向く文章です。has not been working は「ハズ ノッ(ト) ビン ワーキン(グ)」と軽く流し、日付や時間だけはっきり発音する感覚をつかんでおくと、電話でもそのまま使えます。
短いメッセージアプリで送る場合は、さらに簡潔でよいでしょう。Hi, this is flat 305. The heating isn’t working since last night. Could someone come and check it? Photos attached. これだけで用は足ります。
丁寧さを保ちつつ簡潔にまとめるには、状況・依頼・都合の三部構成が扱いやすい形です。ところが、送ったのに返事が来ないこともあります。その場合の対処も用意しておきましょう。
返事が来ないときの再連絡は、失礼ではなく手続き
- 催促は権利であり、遠慮する必要はない。follow up という言葉を使えば穏やかに伝わる。
- いつ、どの方法で連絡したかを記録しておくと、話がこじれたときの裏づけになる。
- 電話で決めた内容は、あとでメールにして残しておくと安心。
連絡したのに音沙汰がない、というのは海外の賃貸では珍しくありません。担当者が休みだった、依頼が別の部署で止まっていた、業者の予約が取れなかった。理由はさまざまです。
だからこそ、催促は失礼ではなく必要な手続きだと考えてください。英語では follow up という表現があり、責めずに進捗を確かめるための便利な言い方です。
- I’m following up on my maintenance request from Monday./月曜に出した修理依頼の件で再度ご連絡しています。
- I contacted you yesterday but I haven’t received a response yet./昨日連絡しましたが、まだお返事をいただいていません。
- Could you tell me the status of my request?/依頼の進捗を教えていただけますか。
- Could you confirm when someone will come?/いつ来てもらえるか確認していただけますか。
- I just want to make sure my message was received./メッセージが届いているか確認したいだけです。
- Just to confirm what we discussed on the phone, someone will come on Thursday morning./お電話で話した内容の確認ですが、木曜の午前に来ていただけるということですね。
最後の一文は特に覚えておく価値があります。口約束を文字にして残す作法で、揉め事の予防になります。日付、担当者名、約束された内容を短く書いて送るだけで十分です。
記録の話が出たところで、もうひとつ避けて通れない論点に触れます。修理費用は、いったい誰が払うのでしょうか。
修理費用の負担者は、頼む前に確認する
- 経年劣化は貸主負担、入居者の過失は入居者負担が大まかな原則だが、線引きは契約書と地域の制度で変わる。
- 依頼の前に費用が発生するかを尋ね、必要なら見積もりを求めるのが安全。
- 入居時の状態を日付つきの写真で残しておくと、退去時のトラブルを防げる。
修理を頼む前に、費用負担の線引きを確認しておきましょう。あとから請求されて驚くという事態は、ひと言の質問で避けられます。
- Is this repair covered by the landlord?/この修理費は大家の負担になりますか。
- Will there be a charge?/費用はかかりますか。
- Am I responsible for this?/これは私の負担になりますか。
- Could you send me an estimate first?/先に見積もりを送っていただけますか。
- This was already like this when I moved in./入居したときからこの状態でした。
- Could you let me know in writing?/書面で知らせていただけますか。
経年劣化や設備の寿命による故障は貸主負担、入居者の過失による破損は入居者負担、というのが大まかな原則です。ただし実際の線引きは契約書の文言と地域の法制度によって変わるため、自分で断定しないほうが賢明です。
貸主の許可を得ずに自分で業者を呼ぶと、費用が自己負担になったり、退去時の原状回復で不利になる場合があります。緊急時を除き、まず貸主側へ連絡して指示を受けてください。費用や責任の判断で不安が残るときは、契約書の該当条項を確認し、必要に応じて現地の入居者支援窓口や専門家に相談するのが安全です。
入居時に部屋の状態を記録しておくことも、退去時の争いを防ぎます。I’d like to report the condition of the flat when I moved in.(入居時の状態を報告しておきます)と伝え、傷や汚れの写真を日付つきで残しましょう。この習慣は、費用の話になったときに自分を守る材料になります。
住まいの困りごとは設備だけではありません。集合住宅なら、もうひとつ避けられない話題があります。
隣人の騒音は段階を踏んで、穏やかに伝える
- 最初は本人へ直接、穏やかに依頼するのが関係を悪くしない順序。
- Could you 〜? は Can you 〜? よりやわらかく響き、依頼に向いている。
- 改善しない場合は管理側へ、状況と経緯を事実で伝えて相談する。
音の問題は、集合住宅に住むかぎりついて回ります。基本は段階を踏むこと。いきなり管理会社や公的な窓口に持ち込むより、まず本人に穏やかに伝えるほうが、その後の暮らしやすさにつながります。
- フレーズ
- Hi, I’m your neighbour from downstairs. Could you turn down the music a little? My kids are trying to sleep.
- 日本語訳
- こんにちは、下の階に住んでいる者です。音楽を少し下げてもらえますか。子どもが寝ようとしていて。
- 使う場面
- 夜の音量が気になり、初めて本人へ声をかけるとき。自己紹介、依頼、理由という三つの要素をこの順に置くのが穏やかな形です。
- 注意点・誤用例
- Turn down the music! と命令形で言うと衝突のもとになります。また You are too noisy. のように相手を主語にすると人格の批判に聞こえます。音量という物事を主語にするのが安全です。
- 発音・ニュアンス
- 「クッジュ ターン ダウン ザ ミュージック ア リトル」。a little を添えるだけで要求がぐっとやわらぎます。笑顔と落ち着いた声量が、どの単語よりも効きます。
切り出しにくいときは、I’m sorry to bring this up, but could you keep it down after ten?(言いにくいのですが、10時以降は静かにしていただけますか)という前置きが便利です。Could のほうがやわらかいという感覚は、依頼全般で役立ちます。
それでも改善しない場合は、管理側へ相談します。
- We’ve asked the people in 425 a few times to lower the volume at night, but it hasn’t improved. Could you speak to them?/425号室の方に夜の音量を下げるよう何度かお願いしましたが、改善しません。話していただけますか。
- There’s a lot of noise coming from the flat next door almost every night./隣の部屋からほぼ毎晩、大きな音がしています。
- The noise usually starts around eleven and lasts for a few hours./音はだいたい11時ごろに始まり、数時間続きます。
深夜の騒音について、地域によっては非緊急の公的窓口へ連絡するのが通常の手続きとされている場合もあります。その場合は緊急回線ではなく非緊急の連絡先を使い、住所と状況を落ち着いて伝えます。
さて、ここまで多くのフレーズを見てきましたが、住宅まわりには英米で単語が違うという厄介な問題があります。次はその整理です。
イギリスとアメリカで違う住まいの語彙
- 住宅は英米差が大きい分野で、蛇口や階数の呼び方が違う。
- イギリスの first floor は日本の2階を指すため、待ち合わせで食い違いやすい。
- 住む土地の語彙を優先して覚えると、会話が噛み合いやすくなる。
同じ英語でも、住宅まわりは語彙の差が目立ちます。イギリスで暮らすなら左側、アメリカなら右側を優先して覚えておくとよいでしょう。
- 集合住宅の一戸/イギリス:flat /アメリカ:apartment
- 蛇口/イギリス:tap /アメリカ:faucet
- エレベーター/イギリス:lift /アメリカ:elevator
- 1階/イギリス:ground floor /アメリカ:first floor
- ゴミ/イギリス:rubbish /アメリカ:trash、garbage
- 掃除機をかける/イギリス:hoover /アメリカ:vacuum
- 敷金/イギリス:deposit /アメリカ:security deposit
- 不動産仲介/イギリス:letting agent、estate agent /アメリカ:realtor、leasing office
とりわけ注意したいのが階の数え方です。イギリスの first floor は日本の2階を指します。修理担当と玄関前で待ち合わせる場面で食い違うと、貴重な時間を失うことになります。
先の会話例に出てきた tap も、まさにイギリス英語です。アメリカ英語だけを学んできた人は faucet が先に浮かびますが、ロンドンの大家に通じやすいのは tap のほうです。どちらも知っておき、相手の使う語に合わせるのが実践的です。
語彙が揃ってきたところで、初中級の学習者がつまずきやすい表現の癖も見ておきましょう。ここを直すと、印象がぐっと良くなります。
言いがちな誤りと、自然な言い換え
- It’s broken. だけで終えると症状が伝わらないので、必ず一言添える。
- 命令形や I want you to 〜 は強すぎるため、Could you 〜? に置き換える。
- 部屋番号を言い忘れるのは集合住宅では致命的なミス。
誤りを恐れる必要はありませんが、知っていれば避けられるつまずきもあります。よくある六つを順に見ていきます。
- 「壊れた」を It’s broken. だけで済ませる。通じますが症状が分かりません。It’s broken — it won’t turn on at all.(電源がまったく入りません)のように一言足しましょう。
- Please repair it now. は命令調に響きます。Could you send someone to look at it? が無難です。
- I want you to fix it. も直接的すぎます。I’d appreciate it if you could arrange a repair. なら丁寧です。
- 部屋番号を言い忘れる。集合住宅では致命的です。名乗りとセットで習慣にしましょう。
- The water is not pouring. のような直訳。伝わりますが、No water is coming out. のほうが自然です。ただし通じることのほうが優先です。
- 「エラーが出ている」を訳そうとして黙り込む。It says E4 on the display. で十分です。
You broke it. や It’s your fault. のように相手の責任を決めつける言い方は、修理そのものを遠ざけてしまいます。原因が分からない段階では I’m not sure why it happened.(なぜこうなったのか分かりません)と正直に伝え、判断は専門家に委ねるのが賢明です。
ここまでで、言うべき中身は揃いました。あとは口が動くかどうかだけです。次は、電話でも聞き取ってもらえる発音の練習に移ります。
電話で伝わる発音とイントネーションの練習

- 電話では子音が聞き取りにくいため、数字と固有名詞だけはゆっくり発音する。
- leak と lake、work と walk のように、混同されやすい音は文脈で補える。
- 聞き取れなかったときの聞き返しフレーズを準備しておくと、会話が途切れない。
電話は対面より音声情報が乏しく、口の動きも見えません。だからこそ、練習しておくべき箇所は限られています。
優先すべきは数字です。部屋番号、電話番号、時間。ここが伝わらないと、話が前に進みません。305なら three-oh-five、8時半なら half past eight または eight thirty。<strong style=”font-weight: 700;
Could you spell that for me?/綴りを教えていただけますか。担当者名や業者名を確認するときに使います。
Let me repeat that — someone will come on Thursday between nine and one, right?/確認させてください。木曜の9時から1時のあいだに誰か来る、ということですね。
Sorry, my English isn’t perfect. Could I send you a message instead?/すみません、英語が得意ではありません。代わりにメッセージを送ってもいいですか。
最後のフレーズは、無理をしないための逃げ道です。電話で行き詰まったら文字に切り替えてよい。そう決めておくだけで、受話器を取るハードルは下がります。
音読練習の具体的な手順
練習は三段階に分けると続きます。まず文字を見ながら声に出して読む。次に自分の声を録音して聞き返す。最後に文字を見ずに、症状だけ思い浮かべて言ってみる。
録音を聞き返す工程を飛ばさないのがポイントです。自分の声は思ったより速いものです。電話では、ゆっくり話すほうが確実に伝わります。
練習素材としておすすめなのは、この記事のメール例文です。書き言葉として整っているので、そのまま読めば電話の台本になります。では、季節特有の話題にも備えておきましょう。
冬に備えるひと言と、季節ごとの相談
- 凍結による破損は修理費が高額になりやすく、責任の所在で揉れやすい項目のひとつ。
- 冬の前に予防策を尋ねておけば、万一のときも指示に従っていたと説明できる。
- 長期間留守にする前の注意点も、事前に確認しておくと安心。
故障してから連絡するより、故障しないように尋ねておくほうが賢いやり方です。とくに冬の凍結は、事前のひと言で防げる場合があります。
How should I keep the pipes from freezing in winter?/冬に配管を凍らせないにはどうすればいいですか。
Should I leave the heating on at a low setting overnight?/夜間も暖房を弱めにつけておいたほうがいいですか。
Is there anything I should do before I go away for a week?/一週間留守にする前にしておくべきことはありますか。
When was the boiler last serviced?/給湯器の点検はいつ行われましたか。
Could you show me where the stopcock is?/止水栓の場所を教えてもらえますか。
イギリスの住宅では、止水栓を stopcock と呼ぶことがあります。water shut-off valve と言っても通じますが、現地の呼び名を知っておくと会話がスムーズです。
実際、凍結による破損は修理費が高くつきやすく、責任の所在で意見が分かれる項目でもあります。あらかじめ指示を仰いでおくことは、そのまま自分を守る行動になります。
結露やカビが気になる季節にも、相談の言い方があります。There’s condensation on the windows every morning. Should I use a dehumidifier?(毎朝、窓に結露がつきます。除湿機を使ったほうがいいですか)。The mould keeps coming back even after I clean it.(掃除してもカビが繰り返し生えます)。
ここまでの内容を、実際に使える形に落とし込みましょう。次の章では一週間の練習手順を用意しました。
7日間で口が動くようになる練習手順
- 覚える対象を「二つの型」と「症状の名詞」に絞れば、一週間で実用域に届きやすい。
- 一日10分でも、声に出す時間を確保するほうが黙読よりも定着しやすい。
- 最終日に自宅の設備を英語で説明できるか試すと、抜けている語彙が見つかる。
読んだだけで終わらせないために、日ごとの作業を決めておきます。所要時間はいずれも10分から15分程度を想定しています。
声に出して録音するひと手間が、電話での落ち着きにつながります
1日目:二つの型を口に入れる/The 〇〇 doesn’t work. と There’s something wrong with the 〇〇. を、設備名を入れ替えて20回ずつ声に出します。fridge、oven、heating、boiler、shower、dishwasher などを順番に当てはめてください。
2日目:症状の語彙を集める/leak、drip、blocked、clogged、drain、frozen、beeping、tripping の八語を、それぞれ使った短文で書き出します。自分の言葉で作るほど記憶に残ります。
3日目:5ステップを通しで言う/名乗る、問題、状況、依頼、日程の順に、架空の不具合を一つ決めて通しで音読します。録音して聞き返し、速すぎないか確認します。
4日目:メールを一通書く/この記事のテンプレートを見ずに、自宅の設備を題材にして一通書いてみます。書けなかった単語だけを調べ、その語を手帳に残します。
5日目:聞き返しと確認の練習/Could you say that again more slowly? と Let me repeat that — 〜, right? を、日付や時間を入れ替えて10通り言います。日程調整はここで決まります。
6日目:緊急度と費用の表現/It’s getting worse. / It’s not urgent, but 〜 / Will there be a charge? の三つを、状況を変えて使ってみます。丁寧さの調整に慣れる日です。
7日目:部屋を歩いて実況する/台所、浴室、洗面所、玄関を順に歩き、目に入った設備を英語で言います。言えなかったものが、あなたにとっていま必要な語彙です。
この手順のねらいは、暗記量を増やすことではありません。迷わず口が動く状態をつくることです。実際の電話では、考えている時間が最大の負担になります。
一人での練習に限界を感じたら、相手役がいる環境で試すのも有効な選択です。実際に声を出して反応をもらう経験は、独学では代えがたい部分があります。
生活の場面で使う英会話をレッスンで試してみる
最後に、住まいのトラブルでよく寄せられる疑問をまとめておきます。読み終えたあとの不安の残りを、ここで解消してください。
よくある質問(FAQ)
- 英語に自信がなくても、文字連絡と写真を組み合わせれば連絡は成立する。
- 費用や責任の判断は契約書と地域の制度によるため、書面での確認が基本。
- 緊急時は手順より安全確保が優先。
- 英語が苦手で電話が怖いのですが、どうすればいいですか。
文字での連絡から始めて構いません。メールやメッセージアプリで、部屋番号、症状、依頼、都合のよい時間の四点を書いて送れば用件は成立します。写真や動画を添えると、語彙が足りなくても状況は正確に伝わります。どうしても電話が必要なときは、先にメッセージを送っておき、I’m calling about the message I sent earlier. と切り出すと相手が状況を把握した状態で聞いてくれるため、説明の負担が大きく減ります。
修理費用は大家と入居者のどちらが負担するのですか。
経年劣化や設備の寿命による故障は貸主負担、入居者の過失による破損は入居者負担というのが大まかな原則です。ただし実際の線引きは契約書の文言と地域の法制度によって変わるため、自分で判断せず Will there be a charge? や Is this repair covered by the landlord? と事前に尋ねてください。金額が生じる場合は Could you send me an estimate first? と見積もりを求め、やりとりを書面やメールで残しておくと安心です。
連絡しても返事が来ないときは、どう催促すればいいですか。
催促は失礼ではなく必要な手続きです。I’m following up on my maintenance request from Monday. のように follow up を使うと、責める調子にならずに進捗を確認できます。Could you tell me the status of my request? や Could you confirm when someone will come? も有効です。いつ、どの方法で連絡したかを記録に残しておくと、話がこじれた場合の裏づけになります。電話で決めた内容は Just to confirm what we discussed on the phone… とメールで送っておくとよいでしょう。
landlord と property manager はどう使い分けますか。
landlord は物件の持ち主である大家や貸主を指し、property manager は修理手配や入居者対応を実務で担う管理担当者を指します。組織を指す場合は management company、建物内の窓口は management office、修理に来る担当は maintenance です。イギリスでは letting agent や estate agent が大家の代理として窓口になることが多く、アメリカの大型物件では敷地内のオフィスへ work order を出す形が一般的です。誰が窓口かは入居時に Who should I contact if something breaks? と確認しておくのが確実です。
ガスのにおいや大量の水漏れなど、緊急のときはどうしますか。
通常の修理依頼の手順にこだわらず、まず安全を確保してください。安全な場所へ移動したうえで、現地の緊急窓口や供給会社の緊急番号、契約書に記載された out-of-hours contact へ連絡します。英語では I can smell gas and I’ve left the flat. や There’s a lot of water coming from the ceiling. It’s an emergency. のように、状況と自分の居場所を短く伝えれば十分です。長い説明は不要で、場所と危険の種類が伝わることが最優先です。
不在中に修理担当が部屋に入るのは断ってもいいですか。
希望を伝えて構いません。I’d prefer to be home when they come.(立ち会いたいです)と言えば、在宅できる日時に合わせてもらえるか相談できます。逆に日中どうしても不在なら Is it okay if maintenance enters while I’m out? と許可を出す形もあります。入室に関する事前通知の扱いは契約や地域の制度で定められている場合があるため、契約書の該当箇所を一度確認しておくと判断しやすくなります。
電球やフィルターの交換は自分でやるべきですか。
物件によって扱いが違うため、確認するのが確実です。The bulb outside the door is out. Should I change it, or will you send someone? と尋ねれば、担当の切り分けがはっきりします。手が届かない高所や、専用の部品が必要な場合は無理に作業せず、The ceiling is too high for me to reach. と伝えて手配を依頼してください。冷暖房のパネルに change filter と表示された場合も、Should I change it myself? と一言確認しておくと安心です。
まとめ:簡単な文法で、暮らしは動きはじめる
- 住まいの英語で必要なのは難しい構文ではなく、症状の名詞と決まった順序。
- 通じる表現で今日連絡するほうが、完璧な言い回しを待つより暮らしは早く戻る。
- トラブルの会話は、その土地の生活の知恵を教わる入口にもなる。
ここまで見てきたフレーズを振り返ると、特別な言い回しや難解な単語はほとんど登場していません。使われているのは現在進行形、助動詞、そして Could you 〜? という依頼の形が中心です。
それでも洗濯機は動くようになり、暖房は入り、水漏れは止まります。日常会話とは、簡単な文でできることの積み重ねなのです。
難しいのは文法ではなく、口を開くまでの一歩と、症状を表す具体的な名詞を知っているかどうかです。tap、leak、blocked、boiler、work order といった単語をいくつか手元に置いておけば、あとは名乗る、問題を言う、いつからか言う、来てほしいと頼む、日程を聞くの順に並べるだけです。
そして、この種の会話にはもうひとつの効用があります。大家との短いやりとりから「ここでは屋内でも水が凍る」という土地の常識を教わったように、暮らしの知恵はたいてい人との会話を通じて手に入ります。トラブルは面倒ですが、その土地の生活を知る入口でもあるのです。
海外で暮らす機会があったら、壊れたものを前に黙り込まず、ぜひ声をかけてみてください。連絡したその日から、家はまた少しずつ住みやすくなっていきます。
それではまた、See you!
