海外の衣料店に入った瞬間、店員から “Hi, how are you?” と声をかけられて固まってしまった。試着したいのに言い方がわからず、結局何も買わずに店を出てしまった。レジで何か聞かれたけれど意味がわからず、とりあえず “Yes” と答えてしまった。洋服の買い物には、こういう小さな気まずさがぎっしり詰まっています。

けれど安心してください。服を買う場面で必要な英語は、難しい単語でも複雑な文法でもありません。実際に現地で交わされているのは、十数個の決まった型の使い回しです。この記事を読み終える頃には、入店の挨拶から試着、会計、返品までの流れが一本の線としてつながり、そのまま口に出せるフレーズが手元に残ります。

さらに、日本の店とは違う「間合い」も一緒に押さえていきます。なぜ店員は必ず話しかけてくるのか。なぜレジで「誰か手伝いましたか?」と聞かれるのか。この背景を知っているだけで、同じフレーズがぐっと自然に響きます。独学で型を固めたうえで、実際の人を相手に反応を確かめたい方は英語教室のような場を練習台にするのも一つの方法です。

まずは、この記事全体の地図を先に見ておきましょう。

目次 [ close ]
  1. 洋服の買い物で使う英語は「十数個の型」でほぼ足りる
  2. 服と店をあらわす基本の単語を整える
    1. 店の種類を言い分ける
    2. 品目名と和製英語の置き換え
  3. 入店から会計まで、実際の会話の流れを追う
  4. 声をかけられたときの返し方
    1. 用件を聞かれたときの答え方
  5. 探している物を伝える型「I'm looking for ~」
    1. 言葉で説明できないときの逃げ道
    2. 売り場の場所を尋ねる
  6. 色・サイズ・素材を尋ねる
    1. サイズ表記の読み方
    2. 素材と手入れの確認
  7. 試着まわりの英語と試着室の作法
    1. 点数を聞かれたときの答え方
    2. 感想を聞かれたときの答え方
    3. お直しと、決められないときの一言
  8. 値段とセール表示の読み方
    1. セール表示の意味
    2. 値段についての感想を言う
  9. 会計・支払いでの言い回し
    1. キャッシュバックという仕組み
    2. 会計時に聞かれる定番の質問
  10. 返品と交換をお願いする
  11. なぜレジで「誰か手伝いましたか?」と聞かれるのか
  12. 店員の名前を確認する習慣をつける
  13. 日本語の発想でつまずきやすいポイント
    1. wear と put on と try on
    2. Do you have ~? と Are there ~?
    3. tell と wish の使い方
    4. 褒められたときの受け取り方
  14. 通販で服を買うときの英語
  15. 買い物の場でのふるまい
  16. 口が動くようにする発音練習の手順
    1. 3ステップの練習法
  17. 一週間で仕上げる練習計画
  18. 入店から退店までの場面別早見表
  19. よくある質問

洋服の買い物で使う英語は「十数個の型」でほぼ足りる

この章の要点
  • 服の買い物で使う英語は、探す・尋ねる・試す・買うの4段階に整理できる
  • 覚える中心は “I’m looking for ~” “Do you have ~?” “Can I try ~ on?” “I’ll take ~.” の4つ
  • フレーズより先に「店員が必ず話しかけてくる」という前提を知ることが不安を減らす
  • 買い物は失敗しても実害が小さく、会話が確実に発生する練習の場になる

洋服を買う場面の英語は、覚える量を思い切って絞れます。理由は単純で、店内で起きる出来事の順番が決まっているからです。入る、挨拶する、探す、色やサイズを尋ねる、試着する、値段を確かめる、支払う。この流れから外れる出来事は、ほとんど起きません。

つまり必要なのは、各段階に一つずつ「言える文」を持っておくことです。たとえば探す段階なら “I’m looking for a T-shirt.”、尋ねる段階なら “Do you have this in blue?”、試す段階なら “Can I try this on?”、買う段階なら “I’ll take it.”。この4文だけでも、店内の会話は成立します。

実際、現地の店で交わされる会話を書き起こしてみると、使われている単語の水準は中学校で習う範囲に収まります。難しいのは語彙ではなく、声をかけられたときに反射で返すという部分です。ここは知識ではなく慣れの領域なので、型を先に頭に入れておくほど有利になります。

そしてもう一つ、買い物という場面には学習者にとって大きな利点があります。失敗しても命に関わらない。それでいて、黙っていても会話が発生する。語学の練習台としてこれほど都合のよい場所は、そう多くありません。値段を聞き間違えても、試着室の場所を二度尋ねても、誰も困りません。

では、その十数個の型を使う前に、土台となる単語を整えておきましょう。品目名を知らないと、そもそも探し物を伝えられません。

服と店をあらわす基本の単語を整える

この章の要点
  • 「服」は clothes と複数形で使い、cloth は「布地」を指す別の語
  • 店の種類は clothing store、boutique、department store、thrift store、outlet mall で言い分ける
  • パーカー、トレーナー、ワイシャツ、ワンピースなどの和製英語は置き換えが必要
  • イギリス英語との違い(sweater と jumper、pants の意味)も知っておくと誤解を防げる

洋服全体を指す語は clothes です。カタカナで書くなら「クロウズ」に近く、「クロージーズ」と伸ばす必要はありません。語尾の s も強く出さなくて構いません。

気をつけたいのは単数形の cloth で、これは「布地」を意味します。着るものを指すときは必ず複数形の clothes を使ってください。一着ずつ数えたいときは “a piece of clothing” や “an item of clothing” という言い方があります。

ただし実際の会話では、”I bought three pieces of clothing.” よりも “I bought three shirts.” のように具体的な品名で言うほうがずっと自然です。抽象的な言い方は、書き言葉のほうに向いています。

フレーズ
I need to go clothes shopping this weekend.
日本語訳
今週末、服を買いに行かないといけない。
使う場面
友人やホストファミリーに週末の予定を話すとき。「服を買いに行く」は go clothes shopping、または go shopping for clothes と言います。
注意点・誤用例
go to clothes shopping と to を入れるのは誤りです。また go shopping clothes とも言いません。for を忘れないでください。
発音・ニュアンス
clothes shopping は「クロウズ・シャピン」とつなげて一語のように言うと現地の速度に近づきます。日常的でくだけた響きの表現です。
木目の台に並べられたセーター、ジーンズ、フーディー、Tシャツ、靴下などの衣類を上から撮影した写真
品目名は実物と結び付けて覚えると、店内で言葉に詰まりにくくなります

店の種類を言い分ける

洋服を売る店は clothier や clothes shop と呼ばれますが、アメリカで日常的に耳にするのは clothing store です。ショッピングモールに入っているチェーン店は、たいていこの言い方に当たります。

そのほかの店の種類も押さえておくと、人に道を尋ねるときや予定を話すときに便利です。

  • boutique:複数ブランドを扱う小規模なセレクトショップ
  • department store:百貨店
  • thrift store / secondhand shop:古着屋
  • outlet mall:アウトレット

品目名と和製英語の置き換え

品目の英語をひととおり知っていると、探し物を伝える速度が上がります。上着は jacket、コートは coat、セーターは sweater、パーカーは hoodie、ズボンは pants、ジーンズは jeans、スカートは skirt、ワンピースは dress、靴下は socks、下着は underwear です。

日本語のカタカナ表記のまま使うと通じにくいものが多いので、置き換えを覚えておくと安心です。「パーカー」は hoodie、「トレーナー」は sweatshirt、「ワイシャツ」は dress shirt、「ワンピース」は dress、「Gパン」は jeans。カタカナ語を英語のつもりで言ってしまうのが、洋服の買い物で最も起きやすいすれ違いです。

注意点

pants はアメリカ英語では「ズボン」ですが、イギリス英語では「下着」を指します。イギリス系の店員に “I’m looking for pants.” と言うと意図と違って伝わることがあるため、イギリスやその影響が強い地域では trousers を使うほうが安全です。同様にセーターは、イギリス英語では jumper と呼ばれます。

単語の土台ができたら、次は実際の店内の流れです。入店からレジまでを、一本の会話で追ってみましょう。

入店から会計まで、実際の会話の流れを追う

この章の要点
  • 店内の流れ自体は日本とほとんど変わらず、順番も予測できる
  • 使われる語彙は基本的なもので、特別な表現はほぼ出てこない
  • 日本と大きく違うのはレジでの “Did anyone help you?” という質問
  • 案内の申し出は断っても失礼にならず、一言添えれば十分

まずは全体像を会話でつかみます。ここでは、地元のジャズ・フェスティバルのスポンサーTシャツを探して店に入った学習者と、店員のやりとりを追っていきます。役割は「学習者」「店員」「レジ店員」の三つです。

会話例(入店から売り場まで)
店員:May I help you? What are you looking for?
(お手伝いしましょうか。何かお探しですか)

学習者:Thank you. I’m looking for a T-shirt. It’s the sponsor T-shirt of the local jazz festival.
(ありがとうございます。Tシャツを探しています。この地域のジャズ・フェスティバルのスポンサーTシャツです)

店員:I see. The sponsor items are in that corner. Shall I go there with you?
(なるほど。スポンサーの商品はあちらの角にあります。ご一緒しましょうか)

学習者:It’s okay. I can go by myself, thank you.
(大丈夫です。一人で行けます、ありがとうございます)

店員:You’re welcome. My name is Gary. I hope you find what you’re looking for.
(どういたしまして。私はGaryです。お探しのものが見つかりますように)

使う場面
入店直後に店員から声をかけられ、探し物を伝えて売り場を教えてもらう場面。案内の申し出を断るところまで含めた、最も典型的な流れです。
注意点・誤用例
“Shall I go there with you?” に対して黙って歩き出すと、案内が必要なのか判断できず店員が付いてきてしまいます。断るなら “It’s okay.” と声に出してください。
会話例(レジでのやりとり)
レジ店員:One T-shirt. Is that all for you today?
(Tシャツ1枚ですね。以上でよろしいですか)

学習者:Yes, that’s all.
(はい、以上です)

レジ店員:Did anyone help you?
(誰か担当した店員はいますか)

学習者:Yes, Gary helped me.
(はい、Garyが手伝ってくれました)

レジ店員:Okay. That’ll be $19.90, please.
(承知しました。19ドル90セントになります)

使う場面
会計時の定型のやりとり。”Is that all?” は「以上ですか」という確認で、追加購入を促す圧力ではありません。
発音・ニュアンス
“That’ll be ~” は「ザロビー」に近く速く流れます。金額は $19.90 を “nineteen ninety” とだけ言うことが多く、dollars や cents は省略されます。

流れそのものは、日本で服を買うときとほとんど同じです。挨拶して、探し物を伝えて、選んで、レジに行く。それだけです。

では、どこが違うのか。最後のやりとりに出てきた Did anyone help you? です。日本ではまず聞かれない質問ですが、アメリカの衣料店では相当に重い意味を持っています。その理由は記事の後半で扱います。

まずは順番どおり、入店直後の挨拶から一つずつ組み立てていきましょう。

声をかけられたときの返し方

この章の要点
  • “How are you?” は「いらっしゃいませ」に近い定型だが、返事をするのが礼儀
  • 見て回りたいだけなら “I’m just looking, thank you.” で十分
  • “I’m good, thanks.” は柔らかい断りとして広く使える
  • 自分から声をかけるときは “Excuse me,” をワンクッション置く

アメリカの店に入ると、ほぼ確実に店員から声がかかります。”Hi, how are you?” “How’s it going?” “How are you doing today?” といった挨拶で、日本の「いらっしゃいませ」に近い定型句です。

ただし日本と違い、こちらも返事をするのが礼儀になります。無言で通り過ぎると、無視されたと受け取られることがあります。目を合わせて一言返すだけで、その後の対応が変わります。

フレーズ
Good, thanks. How about you?
日本語訳
元気です、ありがとう。あなたは?
使う場面
入店直後に “How are you?” と声をかけられたとき。問い返しを添えると場の空気が柔らかくなり、その後で質問しやすくなります。
注意点・誤用例
“I’m fine.” は間違いではありませんが、文脈によっては「もう結構です」と距離を置く響きに聞こえることがあります。挨拶への返答としては good のほうが無難です。
発音・ニュアンス
“How about you?” は「ハワバウチュー」とつながります。語尾を上げて軽く言うのがこの場面の調子です。

用件を聞かれたときの答え方

挨拶に続いて “Can I help you?” “May I help you?” “Are you finding everything okay?” と用件を尋ねられます。とりあえず自分で見て回りたいときは、次のように答えます。

  • I’m just looking, thank you.(見ているだけです、ありがとう)
  • I’m just browsing.(ちょっと見ているだけです)
  • I’m good, thanks.(大丈夫です、ありがとう)

“I’m good.” は「結構です」という柔らかい断りとして幅広く使われます。断ったあとも店員は “Let me know if you need anything.” と言って離れてくれるので、”Yes, I will. Thank you!” と返しておけば流れは完璧です。

逆に自分から声をかけたいときは、いきなり用件を切り出さず、ワンクッション置きます。”Excuse me, could you help me?” や “Excuse me, do you work here?” が使いやすい入り方です。店員かどうか判断できないときは、後者が便利です。

挨拶を返せたら、次は本題です。探しているものを伝える型を固めていきます。

探している物を伝える型「I’m looking for ~」

この章の要点
  • 買い物で最も出番が多い型は “I’m looking for ~”
  • 品名が言えないときは「用途」で伝えるか、画像を見せる
  • 初対面の店員には the ではなく a や複数形を使うのが自然
  • 売り場を尋ねる “Where can I find ~?” も併せて覚える

洋服の買い物で最も使う型が I’m looking for ~ です。後ろに名詞を置くだけで文が完成するので、単語を一つ差し替えれば無限に応用できます。

  • I’m looking for a T-shirt.(Tシャツを探しています)
  • I’m looking for a spring coat.(春物のコートを探しています)
  • I’m looking for something to wear to a wedding.(結婚式に着ていく服を探しています)
  • I’m looking for a gift for my mother.(母への贈り物を探しています)

品名がわからないときに強いのが、3番目のような「用途で伝える」やり方です。something to wear to ~ の形にすれば、結婚式でも面接でも寒い土地への旅行でも応用できます。店員は用途を聞けば適切な売り場に案内してくれます。

注意点

“I’m looking for the T-shirt.” のように the を使うと、「(お互いに了解している)例のTシャツ」という響きになります。初対面の店員に不特定の一枚を指すなら a T-shirt、種類として言うなら T-shirts が自然です。冠詞一つで相手の受け取り方が変わり、店員が「どのシャツの話だろう」と戸惑う原因になります。

言葉で説明できないときの逃げ道

説明する自信がないときは、画像を見せるのが最短ルートです。恥ずかしがる必要はまったくありません。

  • I’m looking for this. Do you have it?(これを探しています。ありますか)
  • Do you carry this brand?(このブランドは扱っていますか)

carry は「取り扱っている」という意味で、店を主語にした定番の言い方です。sell よりも自然に響きます。

売り場の場所を尋ねる

大型店では、まず場所を聞くほうが早い場合もあります。

  • Where can I find men’s jackets?(メンズのジャケットはどこにありますか)
  • Which floor is the women’s section on?(レディースは何階ですか)
  • Is this on sale?(これはセール品ですか)

案内を申し出られたとき、断ってもまったく失礼ではありません。”It’s okay, I can look around by myself. Thank you.” と言えば十分です。逆に案内してほしいなら “Yes, please. That would be great.” と返します。

目当ての品が見つかったら、次の関門は色とサイズです。ここも型は一つで済みます。

色・サイズ・素材を尋ねる

この章の要点
  • 色・サイズ・在庫はすべて “Do you have ~?” の一つの型で尋ねられる
  • 同じMサイズでも日本より一回り以上大きいことが普通なので試着が前提
  • Petite、Tall、Plus size という区分を知っておくと選択肢が広がる
  • 素材と洗濯方法は買う前に確認しておくと後悔が減る

気に入ったデザインが見つかっても、色やサイズが合わないことはよくあります。この場面で使う型は、ほとんど Do you have ~? の一種類だけです。

  • Do you have this in blue?/Do you have a blue one?(これの青はありますか)
  • Do you have this in another color?(他の色はありますか)
  • Do you have this in a medium?(これのMサイズはありますか)
  • Do you have a smaller one?/Do you have a bigger one?(小さい/大きいものはありますか)
  • Do you have this in stock?(在庫はありますか)
  • Is this the only one left?(これが最後の一点ですか)
フレーズ
Do you have this in a medium?
日本語訳
これのMサイズはありますか。
使う場面
棚に自分のサイズが見当たらないとき。商品を手に持ち、in a medium の部分だけ差し替えれば色でも柄でも応用できます。
注意点・誤用例
“Is there a medium?” は文法的には成立しますが、店の在庫を尋ねる場面ではやや不自然に響きます。店を主語にした Do you have ~? が自然です。
発音・ニュアンス
Do you have は「ドゥユハヴ」より「ヂュハヴ」に近く縮まります。this in は「ディスィン」とつながります。

サイズ表記の読み方

サイズ表記はXS(extra small)、S(small)、M(medium)、L(large)、XL(extra large)が基本で、読み方はアルファベットのままで通じます。数字表記の場合は 0、2、4、6 と偶数で並ぶことが多く、これはレディースの規格です。

日本人の体型だと、XSよりさらに小さい Petite(ペティート)、身長の高い人向けの Tall、大きめサイズの Plus size という区分が役に立つことがあります。売り場が分かれている店もあるので、”Do you have a petite section?” と尋ねてみる価値があります。

注意点

同じ「M」でも、日本のMより一回り以上大きいことが普通です。表記だけを信じて買うと、袖や丈が大幅に余ることがあります。返品しやすい国とはいえ、手間を減らすためにも試着を前提に考えてください。

靴のサイズは国ごとに数値がまったく違います。わからないときは、正直にそう言えば店員が換算してくれます。”I’m not sure what my US size is. In Japan, it’s 23.” のように、日本での数値を添えると話が早く進みます。

素材と手入れの確認

買ってから後悔しないために、素材と洗濯方法は確認しておきたいところです。留学中で洗濯機しか使えない環境なら、なおさら重要になります。

  • What is this made of?(素材は何ですか)
  • Is it 100% cotton?(綿100%ですか)
  • Can I wash this at home?(家で洗えますか)
  • Is it machine washable?(洗濯機で洗えますか)
  • Does it shrink?(縮みますか)

高級ブランド店では、勝手に商品に触れず一言断るのが作法です。”Can I pick it up?” または “Can I hold it?” と尋ねてから手に取ってください。

サイズの目星がついたら、いよいよ試着です。ここは動詞の語順に落とし穴があります。

試着まわりの英語と試着室の作法

この章の要点
  • 試着は try on で、代名詞は try it on の語順に挟む
  • ズボンや靴は複数扱いなので these / them を使う
  • 試着室は fitting room、dressing room、changing room のどれでも通じる
  • 点数を聞かれるのは全員に対する手続きなので正直に答えれば問題ない

試着は try on です。目的語が代名詞のときは try it on、try them on のように間に挟むのが正しい語順で、try on it とは言いません。ここは日本語の発想では気づきにくい部分なので、音で覚えてしまうのが早道です。

ズボン、ジーンズ、靴、メガネなど二つで一組のものは複数扱いになります。”Can I try these on?” と these を使ってください。一本のジーンズでも a pair of jeans なので複数形です。

  • Can I try this on?(これを試着してもいいですか)
  • Could I try these on?(これ〈ズボンなど〉を試着してもいいですか)
  • Where is the fitting room?(試着室はどこですか)
  • Could you tell me where the fitting room is?(試着室の場所を教えていただけますか)
衣料店の試着室エリアで鏡の前に立ち、水色のシャツの袖の長さを確かめている東アジア系の男性
袖や丈の確認は、試着室の前で一言伝えるだけで解決することが多くあります

点数を聞かれたときの答え方

試着室に入るとき、「何点持っていますか」と聞かれ、点数の書かれた札を渡されることがあります。”How many items?” という質問です。

これは盗難防止のためにすべての客に対して行っている手続きで、疑われているわけではありません。”Three items.” のように数だけ答えれば十分です。札は出るときに返却します。

感想を聞かれたときの答え方

試着室から出てきたところで、店員から感想を聞かれます。”How does it fit?” “Is that any good?” “How did everything work out?” のどれかが飛んでくると考えておけば身構えられます。

フレーズ
I love it, but do you have it in a smaller size?
日本語訳
気に入りましたが、もう一つ小さいサイズはありますか。
使う場面
試着後に感想を聞かれ、デザインは良いがサイズが合わないとき。先に肯定を置くと、店員も気持ちよく次のサイズを探してくれます。
注意点・誤用例
“It’s small.” だけだと商品そのものが小さいという商品評に聞こえます。自分に対して大きい・小さいと言うときは It’s too big for me. のように too を使うと意図が伝わります。
発音・ニュアンス
I love it は「アィラヴィッ」とつながり、語尾のtはほとんど聞こえません。but の前で軽く区切ると意図が明確になります。

感想の言い方をひととおり持っておくと、その場で迷いません。

  • It fits perfectly.(ぴったりです)
  • It’s just right.(ちょうどいいです)
  • It’s a little too big.(少し大きいです)
  • It’s a little too tight.(少しきついです)
  • It’s too short in the sleeves.(袖が短すぎます)
  • It didn’t fit.(サイズが合いませんでした)

お直しと、決められないときの一言

丈が長い、袖が余るといった場合は、お直しをしてもらえるか聞いてみる価値があります。店によっては無料または少額で対応してくれます。

  • Can you hem these pants?(この裾を詰めてもらえますか)
  • Do you offer alterations?(お直しはやっていますか)
  • How long does it take?(どのくらいかかりますか)

すぐに決められないときの言い方も一つ持っておくと、気が楽になります。”I’ll think about it.” “Let me think about it. Thank you for your help.” “I’ll come back later.” のどれでも構いません。

買わずに店を出ることに罪悪感を持つ必要はありません。店員も日常的に慣れています。ただ、何も言わずに立ち去るより一言添えたほうが、お互い気持ちよく終われます。

サイズが決まったら、次に確かめたいのは値段です。ここは知っているだけで金額が変わる領域です。

値段とセール表示の読み方

この章の要点
  • 値札がないときは “How much is this?” か価格照会を頼む
  • BOGO は一つ買えばもう一つ無料、Final sale は返品・交換ができない
  • cheap には「安っぽい」という含みがあるので affordable に言い換える
  • 値段交渉が通じるのは市場や個人店で、チェーン店では避けるのが無難

値札が見当たらない、セールの対象かどうかわからない。こういう場面は頻繁に起きます。遠慮せず尋ねるのが結局は早道です。

  • How much is this?(これはいくらですか)
  • Can you do a price check for me?(値段を調べてもらえますか)
  • Is this price with the discount?(これは割引後の値段ですか)
  • Is this the sale price?(これはセール価格ですか)

セール表示の意味

店頭の表示を読めると、無駄な出費も無駄な躊躇も減ります。”30% off” は3割引、”$10 off” は10ドル引き。Buy One, Get One Free(略してBOGO)は一つ買えばもう一つ無料、”Buy One, Get One 50% Off” は二つ目が半額です。

注意点

“Final sale” と表示された商品は、返品も交換もできないという意味です。サイズに少しでも不安があるなら、購入前に必ず試着してください。安く見えても、合わなければそのまま無駄になります。

値段についての感想を言う

値段の感想を言えると、店員や同行者との会話が広がります。

  • It’s pricey.(ちょっと高いですね)
  • It’s overpriced.(値段に見合っていません)
  • It’s a bargain./That’s a good deal.(お買い得です)
  • That’s a steal.(安すぎるくらいですね)

steal は本来「盗み」ですが、「盗みみたいに安い」という褒め言葉として日常的に使われます。一方 cheap は「安い」だけでなく「安っぽい」という含みを持つことがあるため、店員の前で商品に対して使うときは affordable(手ごろ)や reasonable に言い換えたほうが角が立ちません。

市場や個人経営の店であれば、値段交渉が通じることもあります。”Could you give me a little discount?” や “If I buy three of them, would you give me a discount?” と尋ねてみてください。ただしモール内のチェーン店や百貨店では定価販売が基本なので、交渉は避けたほうが無難です。

値段に納得したら、いよいよレジです。ここで使う動詞は buy ではありません。

会計・支払いでの言い回し

この章の要点
  • 購入を決めたら buy ではなく “I’ll take this.” が自然
  • 会計で聞かれる質問は袋、ギフトレシート、レシートの渡し方の3つがほぼ定番
  • 値札は税抜き表示が基本で、州や市により売上税の率が違う
  • カード決済ではPINや身分証を求められる場合がある

購入を決めたときの一言は、I’ll take this. です。”I’ll buy this.” でも通じますが、店頭では take のほうがに自然に響きます。

  • I’ll take this.(これをください)
  • I’ll take these.(これら〈ズボンや靴など〉をください)
  • I’ll take it, thank you.(これにします)
  • Where’s the cash register?(レジはどこですか)
  • Where can I check out?(お会計はどこでできますか)
フレーズ
Do you accept credit cards?
日本語訳
クレジットカードは使えますか。
使う場面
小規模な店や市場で、支払い方法を先に確かめたいとき。”I’ll pay in cash.” / “I’ll pay by card.” と併せて使います。
注意点・誤用例
“Can I use a credit card?” でも通じます。ただし pay by cash ではなく pay in cash、pay in card ではなく pay by card と前置詞が入れ替わるので注意してください。
発音・ニュアンス
accept は後半に強勢が来て「アクセプト」ではなく「アクセプt」に近い響きです。credit cards の語尾のsを落とさないよう意識してください。

キャッシュバックという仕組み

“Can I have $20 cashback?” と言うと、デビットカード決済のときに支払い額へ上乗せして現金を受け取れます。ATMを探す手間が省けるので、現地生活が長くなる人ほど重宝する仕組みです。

カード決済ではPIN(暗証番号)を求められることが多く、身分証の提示を頼まれる場合もあります。日本のJCBは都市部でも使えない店があるため、VisaかMastercardを一枚持っておくと安心です。

会計時に聞かれる定番の質問

レジで確認されることは、ほぼ決まっています。先に知っておけば、慌てて “Yes” と答えてしまう事故が防げます。

  • Would you like a bag?(袋はいりますか)
  • Would you like a gift receipt?(ギフトレシートはご入用ですか)
  • Would you like your receipt with you or in the bag?(レシートは手渡しと袋の中、どちらがよいですか)

ギフトレシートとは、金額を伏せた贈り物用のレシートです。贈られた側がサイズ交換や返品をするときに使えます。日本にはない習慣なので、贈り物を買うときは頼んでおくと親切です。

袋については “No bag, thank you.”(袋は結構です)、”Could you wrap this separately, please?”(別々に包んでもらえますか)、”Can I have three small bags, please?”(小さい袋を三つもらえますか)が使えます。

注意点

アメリカの値札は税抜き表示が基本で、州や市によって sales tax の率が違います。オレゴン州のように売上税がない州もあれば、合計で9%を超える地域もあります。手持ちの現金ぎりぎりで買おうとすると足りなくなるので、表示価格に一割ほど乗る前提で考えておくと安全です。

買った後に「やっぱり合わなかった」と気づくこともあります。次は、その場合の英語です。

返品と交換をお願いする

この章の要点
  • アメリカの小売は返品に寛容で、手続きは数分で終わることが多い
  • レシートと元の状態を保っておくことが条件になる
  • レシートがない場合は store credit での対応になりやすい
  • 買う段階で返品可否を確認しておくと後で慌てない

アメリカの小売は返品に寛容なことで知られています。サイズが合わなかった、部屋で見たら色の印象が違った、といった理由でも受け付けてもらえることが多く、レシートと元の状態を保っていれば手続きは数分で終わります。

  • I’d like to return this.(これを返品したいのですが)
  • I’d like to exchange this for a larger size.(これを大きいサイズに交換したいのですが)
  • Here’s the receipt.(レシートはこちらです)
  • I haven’t worn it. The tags are still on.(着ていません。タグもついたままです)
  • What’s your return policy?(返品の規定はどうなっていますか)
会話例(返品カウンターで)
学習者:Hi, I’d like to return this shirt. Here’s the receipt.
(こんにちは、このシャツを返品したいのですが。レシートはこちらです)

店員:Sure. Is there anything wrong with it?
(承知しました。何か不具合がありましたか)

学習者:No, it just didn’t fit. I haven’t worn it, and the tags are still on.
(いえ、サイズが合わなかっただけです。着ていませんし、タグもついたままです)

店員:No problem. Would you like a refund or store credit?
(問題ありません。返金と店内クレジット、どちらがよろしいですか)

学習者:A refund to my card, please.
(カードへの返金をお願いします)

使う場面
購入後、期限内に返品する場面。理由を尋ねられても、”It just didn’t fit.” のように事実を短く言えば十分です。
注意点・誤用例
refund は「返金」、store credit は「その店で使える金額分の引換証」です。取り違えると現金が戻らないので、どちらを希望するか明確に伝えてください。

返品期限は30日、60日など店ごとに決まっています。レシートがない場合は現金ではなく store credit での対応になることが多く、下着や水着、”Final sale” 表示の商品は対象外というのが一般的です。

買う段階で “Can I return this if it doesn’t fit?”(サイズが合わなかったら返品できますか)と一言確認しておけば、後で慌てずに済みます。この一言は、迷っている商品を買う決断も後押ししてくれます。

ここまでで買い物の流れは一周しました。残っているのは、冒頭で保留にした「あの質問」です。

なぜレジで「誰か手伝いましたか?」と聞かれるのか

この章の要点
  • “Did anyone help you?” は接客の貢献を記録するための質問
  • 接客業の給与構造と結びついた、チップ文化の延長にある仕組み
  • 手伝ってもらったら名前を伝えることが、費用のかからない親切になる
  • 衣料店のレジで金銭のチップを渡す習慣はない

冒頭の会話に戻ります。レジで聞かれた “Did anyone help you?” は、単なる世間話ではありません。

アメリカと日本で外出して過ごすときに最も大きく違うのは、チップの存在です。レストランで食事をすればウェイターやウェイトレスに、ホテルではベルボーイから客室を清掃する人まで、幅広い場面でチップを渡します。この習慣は、接客業全体の給与構造と結びついています。

衣料店でこの質問がされるのも、同じ発想の延長線上にあります。どの店員がどれだけ接客に貢献したかが記録され、それが歩合や評価として給与に反映される。つまり客が「Garyが手伝ってくれました」と答えることで、その店員の働きが正式に認められるわけです。

逆に言えば、どれだけ意欲を示して接客したかが収入に直接跳ね返ってくる仕組みでもあります。さらに、チップが支払われることを前提とした職種では基本給が低く設定されており、チップがなければ最低賃金に届かないという状況も現実に存在します。

この背景を知っておくと、”Did anyone help you?” が単なる確認ではなく、目の前の店員の生活に直結する質問だとわかります。手伝ってもらったなら、名前をきちんと伝える。これは客側にできる、費用のかからない親切です。

答え方そのものは簡単です。

  • Yes, Gary helped me.(はい、Garyが手伝ってくれました)
  • Gary was very helpful.(Garyがとても親切にしてくれました)
  • No, I found it myself. Thank you.(いいえ、自分で見つけました)

なお、衣料店のレジで金銭としてのチップを渡す習慣はありません。ここで求められているのは、名前という情報だけです。

となると、名前を聞き取れるかどうかが急に重要になってきます。

店員の名前を確認する習慣をつける

この章の要点
  • 聞き返すことは失礼ではなく、相手を尊重する姿勢として受け取られる
  • “Excuse me?” “Pardon?” の一語で聞き返しは成立する
  • つづりを確認する “How do you spell that?” も便利
  • 締めの一言は “Have a good one!” が時間帯を選ばず使える

ここまで見てきた会話には、凝った言い回しがほとんど出てきません。つまり「普通」の会話であり、特別な語彙は要らないということです。だからこそ大事になるのが、聞き取りと確認の姿勢です。

手伝ってくれた店員の名前が聞き取れなかったときは、遠慮せず聞き返してください。聞き返すことは失礼ではありません。むしろ、相手の話をきちんと受け取ろうとしている姿勢として好意的に理解されます。

  • Excuse me?/Pardon?(すみません、もう一度)
  • Sorry, could you say that again?(すみません、もう一度お願いできますか)
  • I’m sorry, what was your name again?(すみません、お名前をもう一度いただけますか)
  • How do you spell that?(つづりを教えてもらえますか)

名札がついていればそれを見て確認しても構いません。ただ、せっかくの日常会話の機会です。なるべく質問で返して、口に出してみることをおすすめします。

会計を終えるときの締めの一言も用意しておきましょう。”Thanks for your help.”(ありがとうございました)、”Have a good one!”(よい一日を)が定番です。”Have a good one.” は時間帯を選ばず使える便利な表現で、店を出るときにさらりと言えると現地の空気になじみます。

ここからは、日本語の発想が邪魔をしやすい部分を整理していきます。知っておくだけで、伝わり方が一段変わります。

日本語の発想でつまずきやすいポイント

この章の要点
  • wear は状態、put on は動作。試着の場面では try on を使う
  • 店の在庫は “Do you have ~?” で尋ね、”Are there ~?” は避ける
  • 断るときは “No.” だけで終わらせず “No, thank you.” と続ける
  • tell は about を伴い、相手の幸運を祈るときは wish より hope が適する

洋服の買い物では、日本語をそのまま英語に置き換えたために伝わりにくくなる場面がいくつかあります。代表的なものを順に見ていきます。

wear と put on と try on

wear は「身につけている状態」、put on は「身につける動作」を指します。日本語の「着る」が両方をまとめて表すため、混同が起きやすい組み合わせです。

試着して「着てみます」なら “I’ll try it on.”、「今日はコートを着ています」なら “I’m wearing a coat.” です。店で “Can I put this on?” と言うと、その場で着てしまう印象を与えることがあるので、試着の意図なら try on を選んでください。

Do you have ~? と Are there ~?

店にあるかを尋ねるときは、店を主語にした “Do you have this in black?” が自然です。”Is there a black one?” は文法的に成立しますが、やや不自然に響きます。

この違いは、英語では「所有・取り扱い」を店の行為として捉えるためです。carry も同じ発想で使われます。

注意点

断るときに “No.” の一語で済ませるのは避けたい癖です。英語では否定の一語だけだと素っ気なく、時に不機嫌に聞こえます。”No, thank you.” や “I’m good, thanks.” と必ず一言続けてください。同じ内容でも受け取られ方が大きく変わります。

tell と wish の使い方

「友人が教えてくれた店」を “This is the shop which Brian told me.” と言うと、聞き手は少し引っかかります。自然な形は “This is the shop Brian told me about.” です。tell は「〜について話す」ときに about を伴うためです。

同じく “I wish you can find what you want.” は “I hope you find what you’re looking for.” のほうがすんなり伝わります。wish は現実と違うことを願う場面で使われる語なので、相手の幸運を祈るときは hope が適しています。

細かい話ですが、こうした一語の違いが「通じる英語」と「自然な英語」を分けています。完璧を目指す必要はありませんが、知っていれば直せる部分です。

褒められたときの受け取り方

サイズについて “It’s tight.” と言えば「きつい」、”It’s loose.” なら「ゆるい」です。試着して出ていくと “It looks great on you.”(よくお似合いです)と言われることがよくあります。

このとき素直に “Thank you!” と受け取れば大丈夫です。日本のように謙遜して否定すると、かえって会話が止まってしまいます。褒め言葉は受け取るもの、と割り切ってしまうほうが場が回ります。

実店舗の話が続きましたが、通販でも同じ語彙が使えます。表記の読み方だけ押さえておきましょう。

通販で服を買うときの英語

この章の要点
  • サイト表記の定番語(size chart、in stock、backordered など)を押さえる
  • 問い合わせは短い一文で用が足りる
  • 返品手続きの開始は “How do I start a return?” と尋ねる
  • 実店舗で覚えた語彙がそのまま流用できる

通販サイトでよく出てくる表記は限られています。size chart(サイズ表)、in stock / out of stock(在庫あり/在庫切れ)、backordered(入荷待ち)、free shipping(送料無料)、estimated delivery(配送予定日)、return label(返品用ラベル)。この六つを知っていれば、購入画面で迷うことはほとんどありません。

問い合わせをするときも、短い一文で用が足ります。チャットでもメールでも同じ表現が使えます。

  • I ordered the wrong size. Can I exchange it?(サイズを間違えて注文しました。交換できますか)
  • My order hasn’t arrived yet. Could you check the status?(注文品がまだ届きません。状況を確認してもらえますか)
  • How do I start a return?(返品の手続きはどうすればよいですか)

問い合わせでは、注文番号(order number)を最初に添えると対応が速くなります。”My order number is 12345.” と一文足すだけで、やりとりの往復が減ります。

言葉が整ったら、最後は態度の話です。ここが伝えるものは、実は言葉と同じくらい大きいものです。

買い物の場でのふるまい

この章の要点
  • 後ろに続く人がいればドアを押さえ、”Go ahead.” と譲る
  • 話すときは相手の目を見る。誠意の表れとして受け取られる
  • カバンの接触には注意し、荷物は小さくまとめる
  • 言い間違えても最後に “Thank you.” を添えれば場が収まる

入店の際、すぐ後ろに人が続いていたらドアを押さえて待つ。”Go ahead.” や “After you.” と言って先に通せると印象が良く、押さえてもらった側は “Thank you.” を忘れずに返します。この短いやりとりは、一日に何度も発生する練習機会です。

話すときは相手の目を見ること。これは誠意の表れとして受け取られます。店員に気づいてほしいときは、じっと目で追うのではなく、声をかけるのが正解です。

列に割り込まない、体やカバンが人にぶつからないようにする、というのも大切な配慮です。特にカバンの接触はスリと誤解される場合があります。ガラス製品や酒類を扱う店では大きな荷物の持ち込みを断られることがあるので、荷物は小さくまとめておくと動きやすくなります。

そして何より、うまく言えなくても最後に Thank you. を添えることです。店員は買い物を楽しんでほしくて話しかけてくれています。言い間違えたと思っても、感謝の一言があればお互い気持ちよく終われます。

ここまでで知識は揃いました。あとは口に出せるようにするだけです。具体的な練習手順に入りましょう。

口が動くようにする発音練習の手順

この章の要点
  • 単語ごとに区切らず、音のかたまりとして覚える
  • 買い物の英語は語尾の子音とつながりが聞き取りの鍵になる
  • 録音して聞き返すと、自分の癖が客観的に見える
  • 覚えるのは10個程度に絞り、反射で出るまで繰り返す

フレーズを知っているのに口から出ない原因の多くは、音のかたまりで覚えていないことにあります。単語を一つずつ発音する練習は逆効果になりがちです。

たとえば “Can I try this on?” は「キャン・アイ・トライ・ディス・オン」ではなく、「キャナイ・トゥライ・ディソン」に近い一続きの音です。this on がつながるところまで含めて一かたまりで口に入れると、店の速度でも言えるようになります。

つながりやすい箇所を挙げておきます。それぞれ声に出して確かめてみてください。

  • Do you have this in ~? → 「ヂュハヴ・ディスィン」
  • I’m looking for ~ → 「アィム・ルッキンフォー」
  • I’ll take it. → 「アィウ・テイキッ」
  • Where is the fitting room? → 「ウェアズダ・フィティンルーム」
  • Thanks for your help. → 「サンクスフォヨー・ヘウプ」

3ステップの練習法

練習の手順は単純です。まず、文字を見ながら音声を追って声に出す。次に、文字を見ずに音声だけを追って口に出す。最後に、音声なしで自分から言ってみる。この三段階を、一つのフレーズにつき五回ずつ回せば十分です。

仕上げに、自分の声を録音して聞き返してみてください。想像していた音と実際の音の差に気づけるのが、この作業の価値です。語尾のsやtが落ちている、文全体が平板になっている、といった癖はここでしか見つかりません。

覚える対象は10個程度に絞ってください。数を増やすより、少ない型が反射で出るほうが実際の店では役に立ちます。足りない分は、その場で身振りや単語で補えます。

では、その10個をどの順番で仕上げていくか。一週間の割り振りを提案します。

一週間で仕上げる練習計画

この章の要点
  • 一日一場面に絞り、7日で入店から返品まで一周させる
  • 各日の練習は声に出す時間を必ず含める
  • 7日目は通し練習で、流れとして口が動くか確認する
  • 実際の店では一日一フレーズだけ試すと負担が小さい
木製の机に開いたノートとペン、コーヒーカップ、小さなショッピングバッグが並ぶ学習机の様子
一日一場面に絞れば、読んだ内容が使える形で残ります

記事を読んだ直後は理解できた気になりますが、口は動きません。一日一場面に区切って回すのが、負担を抑えて定着させる現実的な方法です。

  1. 1日目:挨拶と断り。”Good, thanks. How about you?” と “I’m just looking, thank you.” を反射で言えるまで。
  2. 2日目:探し物を伝える。”I’m looking for ~” の後ろを10種類差し替えて口に出す。
  3. 3日目:色とサイズ。”Do you have this in ~?” の in の後ろを色・サイズ・素材で入れ替える。
  4. 4日目:試着。”Can I try this on?” と “Where is the fitting room?” に加え、感想の三つを練習。
  5. 5日目:値段と会計。”How much is this?” “I’ll take it.” “Do you accept credit cards?” の三点。
  6. 6日目:返品と締め。”I’d like to return this.” と “Thanks for your help. Have a good one!”
  7. 7日目:通し練習。入店から退店までを一人二役で最初から最後まで声に出す。

一日にかける時間は10分ほどで構いません。大事なのは、机の上で黙読して終わらせないことです。声に出した回数だけが、店頭での反応速度に変わります。

実際の店では、一日一フレーズだけ試すと決めておくと気が楽です。今日は挨拶を返すだけ。明日は試着室の場所を聞くだけ。それでも一週間で7回の実戦になります。

とはいえ、一人で練習していると「この言い方で本当に自然なのか」がわからなくなる瞬間があります。反応を返してくれる相手がいると、修正の速度は上がります。人を相手に試す環境を探しているなら、下記から様子を見てみてください。

最後に、店に入る直前に見返せる早見表を置いておきます。

入店から退店までの場面別早見表

この章の要点
  • 入店から退店までの流れを、フレーズ一つずつでたどれる
  • 十数個の型を口に出せれば、たいていの衣料店で困らない
  • 迷ったら “Excuse me?” と聞き返せばやりとりは続く
  • 使って反応を見て直す、という循環が上達の中心になる

流れの順に並べておきます。店の前で一度目を通しておくだけでも、最初の一言が出やすくなります。

  1. 挨拶されたら:Hi, I’m good. How are you?
  2. 見て回りたい:I’m just looking, thank you.
  3. 探し物を伝える:I’m looking for a T-shirt.
  4. 色違いを聞く:Do you have this in blue?
  5. サイズを聞く:Do you have this in a medium?
  6. 試着する:Can I try this on?/Where is the fitting room?
  7. 感想を求められたら:It fits perfectly./It’s a little too big.
  8. 値段を確かめる:How much is this?/Is this on sale?
  9. 買うと決める:I’ll take it.
  10. 支払い:Do you accept credit cards?
  11. 担当店員を伝える:Gary helped me.
  12. 聞き取れないとき:Excuse me?/Pardon?
  13. 店を出るとき:Thanks for your help. Have a good one!

この十数個の型を口に出せるようにしておけば、たいていの衣料店で困ることはありません。あとは実際に使って、反応を見て、少しずつ自分の言い回しに直していくだけです。

買い物は、失敗しても笑って済ませられる練習の場です。試着室の前で一言、レジで一言。それを積み重ねていくうちに、店員との数十秒の会話が楽しみに変わっていきます。

残りやすい疑問を、最後にまとめて片付けておきましょう。

よくある質問

この章の要点
  • 断り方、サイズの尋ね方、税金、返品の疑問を短く整理
  • 迷いやすい場面ほど、決まった一言を持っておくと解決が早い

「I’m just looking.」と言うのは失礼になりませんか

失礼にはなりません。見て回りたいという意思を伝える定番の表現で、店員も日常的に耳にしています。thank you を添えて「I’m just looking, thank you.」と言えば、より柔らかく響きます。断ったあとに店員が「Let me know if you need anything.」と言って離れるのが一般的な流れです。

サイズを尋ねるとき「Is there a medium?」でも通じますか

意味は通じますが、やや不自然に響きます。店の在庫を尋ねる場面では、店を主語にした「Do you have this in a medium?」が自然です。英語では取り扱いを店の行為として捉えるため、have や carry を使うほうが場に合います。

試着室で持ち込みの点数を聞かれるのはなぜですか

盗難防止のためにすべての客に対して行っている手続きで、疑われているわけではありません。点数の書かれた札を渡され、出るときに返却する仕組みです。「Three items.」のように数だけ答えれば問題なく進みます。

「Did anyone help you?」と聞かれて名前を覚えていないときはどうすればよいですか

正直に伝えて構いません。「Someone helped me, but I didn’t get his name.」のように言えば、レジ店員が特徴を尋ねて確認してくれることがあります。手伝ってもらっていない場合は「No, I found it myself. Thank you.」と答えれば十分です。次からは、案内してもらった時点で名前を聞いておくとやりとりが早くなります。

値札の価格と会計の金額が違うのはなぜですか

アメリカの値札は税抜き表示が基本で、会計時に sales tax が加算されるためです。税率は州や市によって異なり、売上税がない州もあれば合計で9%を超える地域もあります。現金で払う予定のときは、表示価格に一割ほど乗る前提で用意しておくと安心です。

値段交渉はどんな店でもできますか

市場や個人経営の店では通じることがありますが、モール内のチェーン店や百貨店では定価販売が基本なので避けたほうが無難です。交渉できそうな場では「Could you give me a little discount?」や「If I buy three of them, would you give me a discount?」が使えます。

買わずに店を出るとき、何と言えばよいですか

「I’ll think about it. Thank you for your help.」や「I’ll come back later.」で十分です。買わずに出ることに罪悪感を持つ必要はなく、店員も慣れています。ただ、何も言わずに立ち去るより一言添えたほうがお互い気持ちよく終われます。

返品はどんな理由でも受け付けてもらえますか

サイズが合わなかった、色の印象が違ったといった理由でも受け付けてもらえることが多いですが、条件は店ごとに違います。返品期限は30日や60日など店により定められ、レシートがない場合は現金ではなく store credit での対応になりやすく、下着や水着、Final sale 表示の商品は対象外というのが一般的です。購入時に「Can I return this if it doesn’t fit?」と確認しておくと確実です。

ギフトレシートとは何ですか

金額を伏せた贈り物用のレシートで、贈られた側がサイズ交換や返品をするときに使えます。日本にはない習慣なので、会計時に「Would you like a gift receipt?」と聞かれて戸惑う人が多い部分です。贈り物を買うときは頼んでおくと相手に親切です。

店員の言葉が聞き取れないとき、何度も聞き返してよいのですか

問題ありません。聞き返すことは失礼ではなく、相手の話を受け取ろうとしている姿勢として理解されます。「Excuse me?」「Pardon?」の一語でも成立し、より丁寧には「Sorry, could you say that again?」が使えます。名前のつづりを知りたいときは「How do you spell that?」と尋ねてください。