海外で日本食を食べたとき、「おいしい。でも、日本で食べる味とは少し違う」と感じたことはありませんか。寿司、ラーメン、照り焼き、カツカレー、豆腐料理など、名前はよく知っているのに、香り、甘さ、塩気、食感、量の出し方がどこか違う。その違和感を英語で伝えようとすると、意外と言葉に詰まります。
そこで役立つのが、「本物ではない」と切り捨てる言い方ではなく、「日本でよく食べられている味に近い」「現地の好みに合わせている」とやわらかく言う表現です。相手が好きな店や料理を否定せず、違いだけを自然に伝えられるようになると、海外の友人との食事がずっと楽になります。
英語で日本食を説明する力は、旅行、留学、駐在、海外生活だけでなく、日本を訪れた友人を案内するときにも役立ちます。会話で練習したい方は、英語教室のような場で声に出して確認するのも一つの方法です。
このページでは、日本食が海外で違って感じられる理由、イギリス人向けに味が変わる背景、豆腐やだしを説明する英語、レストランで使える会話例、発音練習までを一つずつ整理します。まずは、海外の日本食で「何か違う」と感じる正体から見ていきましょう。
海外の日本食で「何か違う」と感じる正体
- 海外の日本食の違いは、質の低さではなく味の調整から生まれることが多い
- だし、米、味噌、醤油、食感の細部が「日本らしさ」を作る
- 本物か偽物かではなく、誰に向けた味かを見ると説明しやすい
海外の日本食で感じる違和感の多くは、料理が雑に作られているからではありません。大きな理由は、味の土台が日本と少し違うこと、そして店が想定しているお客さんが違うことです。
日本人が和食らしさを感じる要素には、炊きたての米、味噌汁の温度、だしの香り、醤油のなじみ方、豆腐の口当たり、焼き魚の香ばしさなどがあります。どれか一つだけが大きく違うというより、小さな違いが重なって「日本で食べる味とは違う」と感じるのです。
たとえば、照り焼きチキンが日本より甘く濃い味になっていたり、巻き寿司にマヨネーズやチリソースが多く使われていたり、豆腐が冷奴に向かないほど硬かったりすることがあります。これは失敗というより、現地のお客さんが食べやすいように調整された結果です。
つまり大切なのは、料理を「正しい」「間違っている」で判断することではなく、誰に向けて作られているかを見分けることです。日本人がほっとする味も、現地の人が楽しく食べる味も、それぞれ別の役割を持っています。
だしが変わると、同じ料理名でも印象が変わる
日本食の印象を大きく左右するのが、だしです。昆布、かつお節、煮干し、干し椎茸などから取るだしは、強い香辛料や濃いソースを使わなくても深い味を作ります。だしがしっかりしている味噌汁やうどんは、薄味でも物足りなく感じにくいものです。
一方、海外の店では、材料の入手しやすさ、保存のしやすさ、厨房の体制、現地のお客さんの好みによって、だしの取り方や調味料の使い方が変わります。だしの香りが弱い分、塩気や甘み、ソースの強さで分かりやすい味にしている店もあります。
この違いを英語で説明するなら、最初から難しい言葉を使う必要はありません。たとえば “Japanese food often uses dashi, a light stock.” と言えば、「日本食では、だしという軽いスープの土台をよく使う」と伝えられます。だしを説明できるだけで、味噌汁、うどん、揚げ出し豆腐、だし巻き卵の説明がかなり楽になります。
現地向けの味は、現地で愛されるための工夫でもある
料理は国を越えると変わります。日本でも、カレー、ラーメン、とんかつ、ナポリタンなど、外国に由来する料理が日本人の好みに合わせて発展してきました。海外で日本食が変わるのも、それと同じように自然な流れです。
イギリスでは、はっきりした味、甘辛いソース、揚げ物、ボリュームのある一皿が好まれる場面があります。そのため、ラーメンのスープが濃いめだったり、照り焼きソースが多めだったり、巻き寿司が見た目の華やかさを重視して作られたりします。
この変化を説明するときは、違いを説明する言葉を持っていると安心です。“It is tailored to British tastes.” と言えば、「イギリス人の好みに合わせています」という意味になり、料理や相手の好みを否定せずに話せます。
| 見るポイント | 日本人向けに近い印象 | 現地向けに近い印象 |
|---|---|---|
| 白米 | 短粒米らしい粘り、香り、炊き加減がある | 硬め、ぱらっとした食感、丼やソース料理向き |
| 味噌汁 | だしの香りがあり、温度や具材が自然 | 塩気が強い、だしが弱い、添え物として簡略化される |
| 豆腐 | 柔らかさ、大豆の香り、水分の多さがある | 炒め物やグリル向きに硬めで崩れにくい |
| ソース | 素材やだしを生かして控えめ | 甘み、辛み、濃さを分かりやすく出す |

では、この違いを英語ではどう言えばよいのでしょうか。次に、「日本人向け」「イギリス人向け」「現地向け」を自然に表す基本表現を確認します。
「日本人向け」「現地向け」を英語で言う基本表現
- 「日本人向けの味」は for Japanese tastes が使いやすい
- 「現地の好みに合わせている」は tailored to local tastes や adapted for local customers が自然
- 国籍ではなく味の好みを話していることが伝わる言い方を選ぶ
「日本人向け」を英語で言うとき、最初に覚えたいのは for Japanese tastes です。直訳すると「日本人の味の好みに向けた」という意味で、人そのものではなく味の傾向を指せます。
同じように、「イギリス人向け」は for British tastes、「現地向け」は for local tastes と言えます。もう少し自然に聞こえる表現として、tailored to と adapted to も便利です。
tailored to は「相手に合わせて仕立てた」、adapted to は「環境や好みに合わせて変えた」という響きがあります。レストランの味の違いを説明するときに使うと、否定的になりにくく、落ち着いた言い方になります。
- フレーズ
- This restaurant is more for Japanese tastes.
- 日本語訳
- このレストランは、どちらかというと日本人向けの味です。
- 使う場面
- 海外の友人を日本人客の多い店に連れて行く前、味が繊細だったり、見た目が地味だったりする可能性をやわらかく伝える場面で使います。
- 注意点・誤用例
- This restaurant is for Japanese. だけだと「日本人専用」のように聞こえることがあります。料理の話では tastes を入れると、味の好みについて話していることが明確になります。
- 発音・ニュアンス
- tastes は「テイスツ」に近く、最後の ts を軽くまとめます。more for Japanese tastes は断定を少し弱めるため、相手に押しつける感じが出にくい表現です。
- フレーズ
- The food is tailored to British tastes.
- 日本語訳
- その料理はイギリス人の好みに合わせられています。
- 使う場面
- ロンドンなどで、甘辛いソースが多めの照り焼き、華やかな巻き寿司、濃いめのラーメンを説明するときに使えます。
- 注意点・誤用例
- tailored は良い意味でも中立的な意味でも使えます。文脈によっては「本来の味から離れている」と聞こえることもあるため、This version is tasty, but… のように前置きすると穏やかです。
- 発音・ニュアンス
- tailored は「テイラード」に近い音です。「相手に合わせて整えた」という丁寧な響きがあるため、adapted より少し上品に聞こえることがあります。
- フレーズ
- This sushi roll is adapted for local customers.
- 日本語訳
- この巻き寿司は現地のお客さん向けに調整されています。
- 使う場面
- チリソース、クリームチーズ、アボカド、マヨネーズなどが入った巻き寿司を説明するときに便利です。現地で親しまれている形だと伝えられます。
- 注意点・誤用例
- adapted は「変えられた」という意味を含むため、言い方がきついと批判に聞こえることがあります。It has its own charm. を添えると、独自の魅力も認めている印象になります。
- 発音・ニュアンス
- adapted は「アダプティッド」に近く、真ん中の dap をやや強く言います。料理が国を移動して形を変えた、という説明に向いています。
for Japanese だけで終わると、「日本人専用」「日本人だけのため」という意味に聞こえる場合があります。料理の味について話すなら for Japanese tastes、for Japanese customers、closer to what people eat in Japan のように、対象を具体的にすると安全です。
- フレーズ
- The seasoning is closer to what people eat in Japan.
- 日本語訳
- 味つけは、日本で食べられているものに近いです。
- 使う場面
- 「本格的」という一言ではなく、味の方向性を具体的に伝えたいときに使います。家庭料理、定食、味噌汁、煮物、豆腐料理の説明に合います。
- 注意点・誤用例
- what Japanese eat と短く言うと意味は通じますが、少し雑に聞こえることがあります。what people eat in Japan と言うと、国籍ではなく日本で一般的に食べられているものを指しやすくなります。
- 発音・ニュアンス
- seasoning は「シーズニング」に近い音で、塩加減、甘み、醤油、だしの効き方などをまとめて指せます。closer to は「より近い」という比較なので、断定を避けたい会話に向いています。
ここまでの表現を覚えると、「日本食らしい」「現地向けっぽい」という感覚を英語で言いやすくなります。次は、実際のレストラン会話でどう使うかを見ていきます。
ロンドンの日本食レストランで使える会話例
- 店をすすめる前に、味が日本人向けか現地向けかを軽く伝える
- It might be a bit of a challenge. は相手に配慮しながら難しさを伝えられる
- That would be reassuring. は「心強いです」を表す便利な返答
会話では、正確さだけでなく、相手への配慮が大切です。特に相手が「日本食が好き」と言っているときに、いきなり「それは日本の味ではない」と言うと、せっかくの会話が止まってしまうことがあります。
まずは、軽い前置きを入れましょう。たとえば、「少し慣れないかもしれません」「日本人向けの味に近いです」「何を注文するか手伝います」と言っておくと、相手は安心して試しやすくなります。
- 会話例
- 友人: Could you recommend a Japanese restaurant that serves good tofu?
おいしい豆腐を出す日本食レストランを教えてもらえますか。学習者: I can recommend a place, but it is more for Japanese tastes.
紹介できますが、どちらかというと日本人向けの味です。友人: What is the difference?
どう違うのですか。学習者: The flavors are more subtle, and the tofu is softer than what you may find in many local supermarkets.
味がより繊細で、豆腐も現地のスーパーでよく見るものより柔らかいです。友人: That sounds interesting. I would like to try it.
面白そうですね。試してみたいです。学習者: If you are not sure what to order, I can help.
何を注文すればよいか分からなければ、手伝います。 - 使う場面
- 友人に日本人向けの店を案内するとき。豆腐、味噌汁、だしを使った料理など、初めての人には少し説明が必要な料理に向いています。
- 注意点・誤用例
- Japanese tastes と言ったあとに、It may be different from what you are used to. を添えると、相手の経験を尊重しながら違いを伝えられます。It is too Japanese. と言うと、人によっては距離を置く言い方に聞こえます。
- 発音・ニュアンス
- subtle は b を発音せず、「サトル」に近い音です。日本食の薄味を positive に伝えるときに使いやすい単語です。
- フレーズ
- It might be a bit of a challenge for you.
- 日本語訳
- 少し挑戦になるかもしれません。
- 使う場面
- 納豆、冷奴、漬物、塩辛、だしの効いた薄味の料理など、初めての人には慣れが必要かもしれない料理をすすめる場面で使えます。
- 注意点・誤用例
- This is impossible for foreigners. のように言うと強すぎます。It might be a bit of a challenge. なら、相手を下に見る感じを避けながら、慣れない可能性を伝えられます。
- 発音・ニュアンス
- might be a bit of はつながって「マイビーアビトヴ」のように聞こえることがあります。ゆっくり言うなら It might be / a bit of / a challenge と区切ると伝わりやすいです。
- フレーズ
- That would be very reassuring.
- 日本語訳
- それはとても心強いです。
- 使う場面
- 日本食に詳しい人が一緒に店へ行ってくれる、注文を手伝ってくれる、料理の内容を説明してくれるときの返答として使えます。
- 注意点・誤用例
- I am relieved. は「ほっとした」という自分の気持ちが中心です。reassuring は、相手の行動や状況が安心感を与えるという意味です。
- 発音・ニュアンス
- reassuring は「リーアシュアリング」に近い音です。少し丁寧で、相手の親切に感謝する響きがあります。

次に、日本食の中でも説明が難しい豆腐、だし、薄味について、相手に伝わりやすい英語を整理します。
豆腐・だし・薄味をやわらかく英語で説明する
- 豆腐は tofu だけでなく、soft、firm、silken、delicate で食感を補う
- だしは dashi, a Japanese stock と説明すると伝わりやすい
- 薄味は weak ではなく subtle、light、delicate を使うと自然
豆腐は海外でもよく知られていますが、国や店によって食感が大きく違います。日本で冷奴として食べるような柔らかい豆腐を想像していると、海外のスーパーで買った豆腐がかなり硬く感じられることがあります。
ここで大切なのは、食感を足して説明することです。tofu だけでは相手がどんな豆腐を思い浮かべているか分かりません。soft tofu、firm tofu、silken tofu、delicate tofu のように言うと、かなり伝わりやすくなります。
- フレーズ
- It is not quite the same as Japanese tofu.
- 日本語訳
- 日本の豆腐とは少し違います。
- 使う場面
- 海外のスーパーの豆腐や、現地向けレストランの豆腐料理について、日本で食べ慣れた豆腐との違いを説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- This is not real tofu. は、店や現地の食文化を否定しているように聞こえることがあります。not quite the same as は「まったく同じではない」という柔らかい言い方です。
- 発音・ニュアンス
- tofu は「トウフー」に近く、too のように長めに始めます。not quite は断定を弱める表現で、会話を穏やかに保ちます。
- フレーズ
- The texture is firmer than the tofu I am used to.
- 日本語訳
- 食感は、私が慣れている豆腐より硬めです。
- 使う場面
- 冷奴のような柔らかい豆腐を想定していたのに、炒め物向きのしっかりした豆腐が出てきたときに使えます。
- 注意点・誤用例
- hard tofu と言うと、石のように硬い印象になる場合があります。料理の食感では firm を使うと自然です。
- 発音・ニュアンス
- texture は「テクスチャー」に近い音です。食感を説明する単語なので、豆腐、麺、米、天ぷらの衣など、幅広く使えます。
だしを説明するときは、a Japanese stock という言い方が便利です。stock はスープやソースの土台になる煮出し汁のことで、英語話者にも比較的イメージしやすい言葉です。
- フレーズ
- Dashi is a Japanese stock made from ingredients such as kelp and bonito flakes.
- 日本語訳
- だしは、昆布やかつお節などの材料から作る日本のスープの土台です。
- 使う場面
- 味噌汁、うどん、そば、だし巻き卵、揚げ出し豆腐、煮物の味を説明するときに使います。
- 注意点・誤用例
- soup とだけ言うと、完成した汁物だと思われることがあります。だしは土台なので stock と言うと、料理に使われる基本の味だと伝わりやすくなります。
- 発音・ニュアンス
- dashi は「ダーシ」に近い音です。kelp は昆布、bonito flakes はかつお節を指します。bonito は「ボニートウ」に近く、flakes は薄い削り片のイメージです。
「薄味」を weak taste と言うと、「味が弱い」「味が足りない」という悪い評価に聞こえることがあります。日本食の繊細さを伝えたいときは subtle、light、delicate を使うと、肯定的で自然な響きになります。
- フレーズ
- The flavors are more subtle than at many local Japanese restaurants.
- 日本語訳
- 味は、多くの現地向け日本食レストランより繊細です。
- 使う場面
- 日本人向けの定食屋、だしを生かした料理、薄味の煮物、湯豆腐、茶碗蒸しなどを説明するときに使えます。
- 注意点・誤用例
- bland は「味気ない」という悪い意味で使われることがあります。日本食の良さとして薄味を伝えたいなら subtle や delicate の方が合います。
- 発音・ニュアンス
- flavors は「フレイヴァーズ」に近い音です。taste よりも、香りや余韻まで含んだ味わいを指しやすい単語です。
| 日本語 | 英語での説明 | ひとこと補足 |
|---|---|---|
| 冷奴 | cold tofu served with toppings such as ginger, spring onion, and soy sauce | 冷たい、柔らかい、薬味をのせる、と伝える |
| 揚げ出し豆腐 | deep-fried tofu served in a warm dashi-based sauce | 初めての人にもすすめやすい |
| だし巻き卵 | Japanese rolled omelet made with dashi | 甘い卵焼きとの違いを伝えやすい |
| 味噌汁 | miso soup made with dashi, miso paste, and ingredients such as tofu or seaweed | miso だけでなく dashi を添えると深みが伝わる |
豆腐やだしを説明できるようになると、日本食の会話はぐっと広がります。次は、「本格的」「本物ではない」という少し扱いに注意が必要な表現を、失礼になりにくい形に変えていきます。
「本格的」「本物ではない」を穏やかに言い換える
- authentic は便利だが、相手の好きな料理を否定しないように使う
- not real より different、adapted、local version の方が会話が穏やか
- 日本食にも地域差や家庭差があるため、一つの形だけを正解にしない
「本格的な日本食」は authentic Japanese food と言えます。レストランを探すときや、「日本で食べるものに近い料理を食べてみたい」と言うときに便利な表現です。
ただし、authentic は便利な一方で、人によって受け止め方が違います。相手が好きなレストランについて話しているときに、「あそこは authentic ではない」と言うと、相手の好みを否定したように聞こえることがあります。
そこで使いたいのが、closer to everyday Japanese food のような具体的な表現です。「本格的かどうか」ではなく、「日本で日常的に食べられているものに近いか」を伝えられます。
- フレーズ
- I want something closer to everyday Japanese food.
- 日本語訳
- 日常的な日本食に近いものが食べたいです。
- 使う場面
- 寿司やラーメンだけでなく、定食、味噌汁、焼き魚、煮物、冷奴のような日常の料理を食べたいときに使えます。
- 注意点・誤用例
- I want real Japanese food. は場面によって強く聞こえます。everyday Japanese food と言うと、家庭料理や日常の食事に近いものを探していると伝わります。
- 発音・ニュアンス
- everyday は「日常の」という形容詞です。every day と二語にすると「毎日」という意味になるため、書くときは区別しましょう。
This is not real Japanese food. は、相手の好きな料理や店を否定しているように聞こえることがあります。違いを伝えたいときほど、different from what I usually eat in Japan や adapted for local tastes のような表現を選ぶと会話が続きやすくなります。
- フレーズ
- It is inspired by Japanese food, but it has its own style.
- 日本語訳
- 日本食から影響を受けていますが、独自のスタイルがあります。
- 使う場面
- カリフォルニアロールのように、海外で発展した日本食風の料理、創作寿司、現地食材を使った丼などを説明するときに使えます。
- 注意点・誤用例
- Japanese-style とだけ言うと幅が広すぎる場合があります。inspired by Japanese food と言うと、日本食の影響を受けているが、まったく同じではないという距離感を出せます。
- 発音・ニュアンス
- inspired は「インスパイアード」に近い音です。批判ではなく、影響を受けて別の形になったという前向きな説明に使えます。
- フレーズ
- It is not wrong. It is just adapted to local preferences.
- 日本語訳
- 間違っているわけではありません。ただ、現地の好みに合わせられているだけです。
- 使う場面
- 現地向けの寿司やラーメンを見て、日本の形とは違うが、それを否定したくないときに使います。
- 注意点・誤用例
- wrong を使うときは、not wrong と否定形にして先に受け止めるのが大切です。そのあとで adapted to local preferences と言うと、変化を中立的に説明できます。
- 発音・ニュアンス
- preferences は「プレファレンスィズ」に近く、「好み」という意味です。tastes より少し広く、食感、見た目、量、食べ方まで含めて話せます。
日本食は日本国内でも一つではありません。関東と関西ではだしの印象が違いますし、味噌も地域によって赤味噌、白味噌、合わせ味噌などがあります。家庭によっても、甘さ、塩気、出し方は変わります。
だからこそ、海外の日本食について話すときは、正解を一つにしない姿勢が大切です。「私が育った味とは違う」「日本でよく見る形とは違う」「これは現地版として面白い」と言えると、相手との会話が前向きになります。
では実際に、イギリス人の友人を日本人向けの店へ連れて行くなら、何を事前に伝えればよいのでしょうか。次の章で、注文前の準備を具体化します。
友人を日本人向けの店に連れて行く前の準備
- 初めての人には、味の強さ、食感、生ものの有無を先に聞く
- 日本人向けの店では、最初から難しい料理をすすめすぎない
- 注文を手伝う一言があるだけで、相手は安心して試しやすくなる
日本人向けの店に友人を連れて行くときは、「おいしいから大丈夫」とだけ言うより、少しだけ準備をしておく方が親切です。特に、生魚、冷たい豆腐、納豆、漬物、だしの効いた薄味の料理は、初めての人には印象が強い場合があります。
最初に聞きたいのは、相手の安心ラインです。生魚は大丈夫か、濃い味と軽い味のどちらが好きか、伝統的なものに挑戦したいか、まずは食べやすいものから始めたいか。これを英語で聞けると、店選びも注文もスムーズになります。
- フレーズ
- Do you prefer stronger flavors or lighter flavors?
- 日本語訳
- 濃い味と軽い味のどちらが好きですか。
- 使う場面
- ラーメン、照り焼き、煮物、うどん、だしを使う料理を選ぶ前に、相手の好みを確認する場面で使います。
- 注意点・誤用例
- heavy taste より stronger flavors、weak taste より lighter flavors が自然です。flavors を使うと、味の濃さだけでなく香りやソースの強さも含められます。
- 発音・ニュアンス
- prefer は「プリファー」に近く、後ろをやや強く言います。好みを尋ねる丁寧で自然な動詞です。
- フレーズ
- Are you comfortable with raw fish?
- 日本語訳
- 生魚は大丈夫ですか。
- 使う場面
- 刺身、握り寿司、海鮮丼をすすめる前に使います。食べられるかどうかだけでなく、抵抗がないかを丁寧に確認できます。
- 注意点・誤用例
- Can you eat raw fish? も通じますが、少し直接的に聞こえることがあります。comfortable with を使うと、心理的に大丈夫かどうかまでやわらかく聞けます。
- 発音・ニュアンス
- comfortable は「カムフタブル」または「カムファタブル」に近く、会話では短く聞こえます。with raw fish の with は軽くつなげます。
初めての人にすすめやすい料理としては、唐揚げ、焼き鳥、揚げ出し豆腐、だし巻き卵、カツ丼、うどんなどがあります。豆腐を試したい相手には、いきなり冷奴ではなく、温かいだしの中で食べる揚げ出し豆腐から始める方が受け入れやすい場合があります。
- フレーズ
- Would you like to try something traditional, or something easier to start with?
- 日本語訳
- 伝統的なものを試したいですか。それとも、まずは食べやすいものから始めたいですか。
- 使う場面
- メニューを見ながら、相手の挑戦したい度合いを確認するときに使います。納豆や冷奴に進む前の会話にも合います。
- 注意点・誤用例
- traditional は便利ですが、「古い」「堅苦しい」という印象になる場合もあります。something easier to start with を並べると、相手が選びやすくなります。
- 発音・ニュアンス
- Would you like to は「ウッジューライクトゥ」に近くつながります。丁寧に提案したいときの基本形です。
- フレーズ
- If you are not sure what to order, I can help.
- 日本語訳
- 何を注文すればよいか分からなければ、手伝います。
- 使う場面
- 日本語名の料理が多いメニュー、写真が少ないメニュー、店員の説明が短い店で、友人を安心させるときに使います。
- 注意点・誤用例
- I will choose for you. だと、相手の選択肢を奪うように聞こえることがあります。I can help. なら、必要なら手伝うという控えめな言い方になります。
- 発音・ニュアンス
- not sure は「ナッシャー」に近くつながることがあります。what to order は注文内容を迷っているときの定番表現です。
準備の目的は、相手に日本食を「正しく」食べさせることではありません。相手が安心して選べる状態を作ることです。そのうえで、違いを英語で説明できれば、食事の時間が文化の話へ自然につながります。
すぐ使える場面別フレーズ集と発音練習
- 店をすすめる、味を比べる、相手の好みを聞く、訂正する表現を分けて覚える
- 長い説明より、短い一文を場面ごとに用意すると会話で使いやすい
- 発音は tastes、subtle、cuisine、authentic、reassuring を優先して練習する
ここからは、会話ですぐ使える表現を場面ごとに並べます。丸暗記するより、まずは 一文だけ選んで声に出すのがおすすめです。慣れてきたら、tofu、miso soup、sushi roll、ramen のように料理名を入れ替えて練習します。
店をすすめるとき
| 英語 | 日本語 | 使い方 |
|---|---|---|
| I know a Japanese restaurant that serves food closer to what people eat in Japan. | 日本で食べられているものに近い料理を出す日本食レストランを知っています。 | 日本人向けに近い店をすすめる |
| This place is not flashy, but the food feels familiar to Japanese people. | この店は派手ではありませんが、日本人にはなじみのある味です。 | 家庭料理に近い店を説明する |
| The menu has many home-style dishes, not just sushi and ramen. | メニューには寿司やラーメンだけでなく、家庭料理も多いです。 | 店の特徴を簡単に伝える |
味の違いを説明するとき
| 英語 | 日本語 | 注意 |
|---|---|---|
| The seasoning is a little sweeter than what I am used to in Japan. | 私が日本で慣れている味より少し甘めです。 | 批判ではなく個人の感覚として言う |
| The sauce is stronger, probably because local customers prefer a clearer flavor. | ソースが濃いめです。おそらく現地のお客さんが分かりやすい味を好むからです。 | 理由を添えると冷静に聞こえる |
| This version is tasty, but it is different from the one I grew up with. | この形もおいしいですが、私が育った味とは違います。 | 先に tasty と認めると会話が穏やか |
やわらかく訂正するとき
相手が「日本では毎日カリフォルニアロールを食べるんでしょう」と言ったとき、すぐに否定すると角が立つことがあります。そんなときは、It depends や many people を使って、幅を持たせて返すと自然です。
- It depends on the person and the region. / 人や地域によります。
- Many people in Japan eat simple home-style meals more often. / 日本では、素朴な家庭料理をよりよく食べる人も多いです。
- That dish is popular abroad, but it is not an everyday meal for everyone in Japan. / その料理は海外で人気ですが、日本の誰もが日常的に食べるものではありません。
- Japanese food also changes from region to region. / 日本食も地域によって変わります。
発音練習で優先したい単語
| 単語 | 発音目安 | 練習文 |
|---|---|---|
| tastes | テイスツ | This place is more for Japanese tastes. |
| subtle | サトル | The flavors are subtle. |
| cuisine | クウィズィーン | Japanese cuisine uses a lot of dashi. |
| authentic | オーセンティック | I want to try authentic Japanese food. |
| reassuring | リーアシュアリング | That would be very reassuring. |
練習するときは、まず日本語を見て英語を一文で言う、次に料理名だけを入れ替える、最後に自分が実際に行った店を思い浮かべて説明する、という順番にすると使いやすくなります。たとえば tofu を ramen に変えるだけでも、かなり多くの会話に応用できます。

声に出す練習を続けるなら、次の流れが取り組みやすいです。最初の日は for Japanese tastes だけ、次の日は tailored to local tastes、次に tofu、dashi、subtle と増やしていきます。一度に全部を覚えようとせず、食事の場面を思い浮かべながら口を動かすことが大切です。
- 日本語訳を見て、英語を一文だけ言う
- 料理名を tofu、miso soup、ramen、sushi roll に入れ替える
- subtle、stronger、sweeter、firmer などの形容詞を入れ替える
- 自分が行ったことのある店を思い浮かべて説明する
- 最後に、相手の好みを聞く質問を一つ足す
この順番で練習すると、「言える単語」は少しずつ「会話で使える表現」に変わっていきます。特に日本食の話題は、相手も質問しやすく、会話が広がりやすいテーマです。
最後に、よく迷いやすい質問を短く確認しておきましょう。ここを読んでおくと、実際の会話で言い換えに迷ったときの助けになります。
よくある質問と用語ミニカード
- Japanese food、Japanese cuisine、Japanese dish は場面で使い分ける
- not real より different や adapted を使うと穏やか
- 料理名だけでなく、味、食感、温度、だしの有無を添えると伝わりやすい
日本食を英語で話すときに迷いやすいのは、単語そのものよりも、相手にどう聞こえるかです。相手を否定しない言い方を選べると、味の違いも自然に共有できます。
日本食は英語で何と言えば自然ですか?
一般的には Japanese food が最も使いやすいです。料理文化として少し改まって話すなら Japanese cuisine、一品なら Japanese dish、食事全体なら Japanese meal と言えます。
「日本人向けの味」は英語でどう言いますか?
for Japanese tastes が使いやすい表現です。文にするなら This restaurant is more for Japanese tastes. や The seasoning is closer to what people eat in Japan. と言うと、国籍ではなく味の好みについて話していることが伝わります。
authentic Japanese food は失礼になりませんか?
使えますが、相手の好きな店と比べる場面では少し強く聞こえることがあります。closer to everyday Japanese food や home-style Japanese food のように、何を求めているかを具体的に言うと穏やかです。
「これは本物ではない」と言いたいときの安全な表現は?
This is not real Japanese food. よりも This is different from what I usually eat in Japan. や It has been adapted for local tastes. が安全です。違いを伝えながら、相手の食文化や好みを否定しにくい言い方になります。
tofu の食感を英語でどう説明しますか?
柔らかい豆腐は soft and delicate、硬めの豆腐は firm、なめらかな豆腐は smooth と言えます。日本の冷奴に近いものを探すなら I am looking for soft, delicate tofu. が便利です。
英語で日本食を説明するとき最初に何を伝えると良いですか?
料理名だけでなく、味の強さ、食感、温度、だしの有無を先に伝えると分かりやすくなります。たとえば It is a cold tofu dish with soy sauce and toppings. のように一文で描写すると、相手が味を想像しやすくなります。

