「今日、飲みに行かない?」——この一言を英語で言おうとして、口の中でもごもごしたまま笑ってごまかしたことはありませんか。

飲み屋の英語がむずかしいのは、単語が難しいからではありません。むしろ使う語は中学レベルばかりです。それでも詰まるのは、注文・乾杯・おかわり・会計といった短いやりとりが、一瞬で順番に押し寄せてくるからです。

この記事では、仕事終わりに同僚を誘う一言から、ビールのサイズ指定、乾杯の掛け声、追加注文、割り勘やチップ、そして「お通しって何?」と聞かれたときの答え方まで、飲み屋の一晩をまるごと通しで追いかけます。会話例・日本語訳・使う場面・誤用の注意・発音の目安をセットにしているので、読み終えたその日の夜から声に出して試せます。

なお、実際の会話は相手の返しがあってはじめて完成します。ひとりで型を仕込んだあとに英語教室のような場で試すと、間の取り方や声量まで含めて身体になじみます。まずは型の全体像から見ていきましょう。

飲み屋の英語は「5系統の型」だけで回りはじめる

この章の要点
  • 飲み屋の会話は「誘う・頼む・乾杯する・追加する・支払う」の5系統に整理できる
  • 長い文を作る力より、短い型を0.5秒で出せるかどうかが勝負を分ける
  • まず5つの代表フレーズだけ暗記し、あとは差し替えで応用していく

飲み屋で必要な英語は、実は5つの系統に収まります。誘う、頼む、乾杯する、追加する、支払う。この5つの代表形を覚えておけば、一晩の会話の骨格はほぼ完成します。

なぜ型が効くのでしょうか。飲み屋は音が大きく、照明は暗く、相手も酔っています。文法を組み立てる余裕がある環境ではありません。だからこそ考えずに出る型が実用性を決めます。

具体的には次の5つです。誘うなら Would you like to have a drink after work?、頼むなら I’ll have ~. / Can I have ~?、乾杯なら Cheers! / Here’s to ~!、追加なら Can I have another one?、支払いなら Let’s split the bill. / It’s on me.

この5つは、それぞれ後ろの語を差し替えるだけで無限に伸びます。I’ll have ~ の後ろに a beer、a whiskey with water、the same again を入れればそのまま注文になりますし、Here’s to ~ の後ろに your new job を入れれば祝いの席の音頭になります。

まずは全体の流れを、ひとつの会話としてまとめて眺めてみましょう。

会話例:仕事終わりに同僚を誘って一杯
学習者: I need a drink. Would you like to have a drink after work?
同僚: I’d love to.
(At the bar…)
学習者: Do you have any beer?
店員: Sure. What kind of beer do you want?
学習者: Kirin, please.
同僚: I’d like one whiskey with water.
店員: All right.
学習者: What kind of snacks should we have?
同僚: I’ll leave it up to you.
学習者: Well, some cheese and boiled soybeans, please.
店員: Sure.
学習者: Cheers!
同僚: Cheers!
学習者: The first sip is the best!
同僚: That’s it!
学習者: Would you like a refill?
同僚: How do you like sake?
学習者: It’s strong for me. So I rarely drink it.
日本語訳
学習者: 一杯飲みたいな。仕事が終わったら飲みに行かない?
同僚: 是非、そうしよう。
(飲み屋にて)
学習者: ビールはありますか?
店員: はい。どのビールになさいますか?
学習者: キリンをお願いします。
同僚: 僕は水割りを1杯お願いします。
店員: かしこまりました。
学習者: つまみは何が良い?
同僚: 君に任せるよ。
学習者: ええと、チーズと枝豆をお願いします。
店員: かしこまりました。
学習者: 乾杯!
同僚: 乾杯!
学習者: 最初の一口が最高だね!
同僚: その通り!
学習者: おかわりする?
同僚: 日本酒はどう?
学習者: 僕には強すぎるよ。だから滅多に飲まないんだ。
使う場面
職場の同僚を誘い、居酒屋やバーのカウンターで2人で飲む、いちばん頻度の高い場面。誘う・頼む・乾杯・おかわりの4系統が一気に登場します。
注意点
clerk は「店員」全般を指す語で通じますが、飲食店なら server、バーなら bartender のほうが自然です。また boiled soybean は複数形の boiled soybeans、または edamame と言うほうが実際の会話に近くなります。
発音・ニュアンス
Would you like to は「ウッジュライクトゥ」とひと塊で。I’d love to. は「アイドラヴトゥ」で to をはっきり切らず軽く添えると自然です。Cheers! は「チアーズ」の r を強く巻かず、明るく短く。

この会話に出てきた語のうち、意味を取り違えやすいものを先に整理しておきます。drink は「アルコール飲料」で、a drink と数えられる形にすると「一杯」のニュアンスになります。leave it up to ~ は「~に任せる」、sip は「ひとすすり」、refill は「おかわり」、rarely は「めったに~ない」。

では、そもそも「飲み屋」という日本語を、英語ではどう言い分けるのでしょうか。ここを外すと、店の予約段階から話が噛み合わなくなります。

「飲み屋」「飲み会」は英語で何と言うのか

この章の要点
  • 店の性格で bar / pub / tavern を選び分け、居酒屋は izakaya と呼んで補足する
  • 「飲み会」は drinking party より get-together や grab a drink が日常的
  • 歓迎会・送別会・忘年会・二次会・はしご酒にはそれぞれ定訳がある

日本語の「飲み屋」は守備範囲が広い言葉です。英語では店の性格に応じて単語を選び分けます。

カウンターで酒を出す店は bar、イギリス系の大衆酒場は pub、雑多で気取らない店は tavern や dive bar。そして日本の居酒屋は世界的に独特なので、そのまま izakaya と呼ぶのが最も伝わります。

相手が首をかしげたら、Japanese-style pub(日本式のパブ)や a casual restaurant where you drink and share small dishes(飲みながら小皿を分け合うカジュアルな店)と一言足せば十分です。無理に既存の英単語に押し込めるより、固有名詞+説明のほうが誤解が少なくて済みます。

木製カウンターにビールサーバーが並び、バーテンダーがパイントグラスにエールを注いでいるパブの店内
タップが並ぶカウンターは pub の典型。on tap や a pint of の語感がつかみやすい光景です。

集まりそのものを指す「飲み会」は、直訳すると drinking party です。ただし実際の会話ではもっと軽い言い方が主流です。仲間内の集まりは get-together、食事が主なら dinner、「飲みに行く」という動作は go for a drink、go drinking、grab a drink。

仕事関係の会合的な飲みなら business drinking party や social drinking party と表現できます。とはいえ社内の誘いなら、We’re having a get-together after work. くらいが自然で構えさせません。

フレーズ
Let’s grab a drink somewhere.
日本語訳
どこかで一杯やろうよ。
使う場面
会議のあと、廊下やエレベーターでの立ち話から気軽に誘うとき。店を決めていない段階でも使えます。
注意点
grab はカジュアルな語なので、初対面の取引先には Would you like to join us for a drink? のほうが無難です。
発音・ニュアンス
grab a は「グラバ」とつなげます。t音を立てて区切ると硬く響くので、ひと息で流すのがコツです。

季節行事の言い方も持っておくと便利です。歓迎会は welcome party、送別会は farewell party、忘年会は year-end party、新年会は New Year’s party。二次会は the second round や after-party、3軒目まで流れるはしご酒は bar hopping と言います。

語彙がそろったところで、いよいよ実戦です。まずは一杯目より前、「誘う」段階のフレーズを固めましょう。

誘う・断る:一杯目の前にいちばん必要なフレーズ

この章の要点
  • Would you like to have a drink after work? は丁寧さと気軽さの均衡が取れた万能形
  • 気を使う相手には「予定を尋ねる→誘う」の二段構えが押しつけにならない
  • 断るときは残念な気持ち→短い理由→Can I take a rain check? の順で角が立たない

誘い文句は、迷ったら Would you like to have a drink after work? で構いません。丁寧さと気軽さの均衡が取れており、上司にも同僚にも使えます。

なぜこの形が強いのかというと、Would you like to ~? が「あなたの意向を尋ねる」構造になっているからです。命令や勧誘ではなく質問なので、相手に断る余地を残せます。

親しい相手には、もっとくだけた形が自然です。Why don’t we grab a drink after work?(仕事終わりに一杯どう?)、Let’s go for a drink tonight.(今夜飲みに行こう。)、How about a beer after this?(この後ビールでもどう?)、Do you want to hit that new izakaya?(新しくできた居酒屋、行ってみない?)。hit a bar は「その店に繰り込む」という勢いのある言い方です。

少し気を使う相手なら、いきなり誘わず予定を尋ねるところから始めます。

会話例:二段構えで丁寧に誘う
学習者: Are you free this Friday evening?
同僚: Yes, I think so. What’s up?
学習者: We’re having a get-together after work. Would you like to join us?
同僚: Sounds great. Count me in.
学習者: Perfect. We’re meeting at the izakaya near the station at seven.
日本語訳
学習者: 今週の金曜の夜、空いていますか?
同僚: たぶん空いています。どうしました?
学習者: 仕事の後で集まるんです。ご一緒しませんか?
同僚: いいですね。参加します。
学習者: よかった。駅の近くの居酒屋に7時集合です。
使う場面
まだ距離のある同僚や、他部署の相手を誘うとき。先に空き状況を聞くことで、相手が断りやすい形を保てます。
注意点
Are you free ~? だけで止めると「何をさせられるのか」と警戒されます。必ず用件をすぐ続けてください。
発音・ニュアンス
Count me in. は「カウンミーイン」と t を軽く飲み込みます。語尾を上げず、短く言い切ると乗り気に聞こえます。

主催者として声をかけるなら、We’re throwing a farewell party for Mr. Tanaka. I hope you can make it.(田中さんの送別会を開きます。来ていただけると嬉しいです。)が使えます。throw a party は「会を催す」、make it は「都合をつけて来る」という意味です。

誘われた側の返事も型で持っておくと、返答に詰まりません。I’d love to.(是非。)、Sure, sounds great!(もちろん、いいですね!)、Count me in.(参加します。)、I’m in.(乗った。)。ひとこと添えるなら I’ve been wanting to try that place.(あの店、行ってみたかったんです。)が喜ばれます。

断るときは順番が大切です。まず残念な気持ちを示し、次に理由を短く言い、最後に次回への橋を架けます。I wish I could, but I have plans tonight.(行きたいのですが、今夜は予定があります。)、Sorry, I have to pick up my kids.(すみません、子どもを迎えに行かないといけません。)、そしてCan I take a rain check?(また今度誘ってください。)。

注意点

断るときに No, I can’t. だけで切ると、内容以上に冷たく響きます。英語では「行きたい気持ち+事情」を並べるのが礼儀の形です。理由を細かく説明する必要はなく、I have plans. の一言で十分に通ります。

誘いが成立したら、次は店の入口です。ここには日本と海外で流れが違う場面が待っています。

入店から着席まで:聞き取れれば怖くないやりとり

この章の要点
  • 海外のバーではカウンターかテーブルかを自分で選ぶ場面がある
  • 店員側の定型文をあらかじめ知っておくと聞き取りの負担が激減する
  • 年齢確認は厳格。写真付き身分証は必ず携帯する

入店時にまず必要なのは、話すフレーズより聞き取る耳です。店員の質問はほぼ定型なので、先に音の形を知っておけば一気に楽になります。

よく飛んでくるのはこの5つです。Do you have a reservation?(ご予約はございますか?)、How many people are in your party?(何名様ですか?)、Please follow me. / This way, please.(こちらへどうぞ。)、Are you ready to order?(ご注文はお決まりですか?)、Would you like to order some drinks first?(お先にお飲み物はいかがですか?)

party は「パーティー」ではなく「一行・グループ」を指します。How many in your party? と短く言われることも多いので、人数だけ Two, please. と返せば通じます。

会話例:席を選ぶ
店員: Hi, how many people are in your party?
学習者: Just two. We’d like to sit at the bar, if that’s okay.
店員: Sure. Right this way.
学習者: Actually, how long is the wait for a table?
店員: About fifteen minutes.
学習者: Then we’ll stay at the bar. Thank you.
日本語訳
店員: いらっしゃいませ、何名様ですか?
学習者: 2人です。よければカウンター席に座りたいのですが。
店員: どうぞ、こちらへ。
学習者: ちなみに、テーブル席はどれくらい待ちますか?
店員: 15分ほどです。
学習者: ではカウンターのままで。ありがとうございます。
使う場面
予約なしで海外のバーやパブに入ったとき。混雑状況を確かめてから席を決める流れです。
注意点
sit at the bar の bar は店ではなく「カウンター」を指します。sit at the bar と言えばカウンター席、Can we get a table for two? ならテーブル席です。
発音・ニュアンス
Just two. は「ジャストゥー」と軽く。if that’s okay を語尾に添えると、要望が押しつけにならず柔らかくなります。

海外では年齢確認が厳格です。見た目が若いかどうかに関わらず、Can I see your ID, please? と聞かれることがあります。identification を略した ID が口語ではに一般的で、写真付き身分証がないと入店できない店もあります。旅行中はパスポートのコピーだけでなく原本の携帯可否を含めて事前に確認しておくと安心です。

席に着いたら、いよいよ注文です。ここが飲み屋英語の最大の山場になります。

ドリンクの注文:4つの型に飲み物名を差し込む

この章の要点
  • 注文は I’ll have ~. / Can I have ~? / Could I get ~? / ~, please. の4型で足りる
  • ビールはサイズ(pint)→種類(lager, IPA など)の順で伝える
  • ウイスキーは neat、on the rocks、with water の3語で飲み方を指定できる

まず覚える4つの注文フォーム

何を頼むにしても、次の4つの型に飲み物名を差し込めば注文は成立します。I’ll have ~. / Can I have ~? / Could I get ~? / ~, please.

丁寧さは Could I get ~? がやや上、I’ll have ~. が中立、~, please. がいちばん短い形です。会話例の I’d like one whiskey with water. も同じ仲間で、I’d like は落ち着いた印象を与えます。

何があるか分からないときは、Can I see the drink menu?(ドリンクメニューを見せてください。)と頼めば済みます。迷ったら What do you recommend?(おすすめは何ですか?)の一言で相手に委ねられます。

ビール:サイズ→種類の順で言う

日本の居酒屋なら「ビールください」で足りますが、海外のバーは銘柄も種類も多く、それだけでは注文が完成しません。伝える順番は、サイズが先、種類が後です。

フレーズ
A pint of IPA, please. / I’ll have half a pint of lager, please. / What do you have on tap?
日本語訳
IPAを1パイントください。/ラガーを半パイントください。/生ビールは何がありますか?
使う場面
パブやビアバーのカウンターで注文するとき。銘柄が分からなければ on tap を尋ね、そこから選ぶ流れが定番です。
注意点
ビールは a glass of ではなく a pint of で数えるのが基本です。1パイントはアメリカ英語で約473ml、イギリス英語で約568mlと差があるため、量の想定がずれることがあります。
発音・ニュアンス
pint は「パイント」で、pin ではなく「パイ」の二重母音を意識します。on tap は「オンタップ」と軽く、tap の p は破裂させすぎないほうが自然です。

容器の言い方も押さえておきます。ピッチャーなら a pitcher of beer、瓶なら a bottle of beer、缶なら a can of beer。地ビールを探すなら Do you have any local beer? が万能です。

種類の呼び名は次のとおりです。lager(ラガー)、ale(エール)、bitter / pale ale(ビター、ペールエール)、light ale(ライトエール)、stout / dark beer(スタウト、黒ビール)。生ビールは draft beer(イギリス表記は draught)や tap beer で、on tap は「樽から注がれる」という意味です。

ウイスキー:飲み方を3語で指定する

会話例に出てきた「水割り」は whiskey with water、あるいは and でつないで bourbon and water のようにも言います。ソーダ割りは scotch and soda、ジントニックも同じ発想で gin and tonic です。

実際の注文文はこの形になります。I’ll have a double bourbon, straight up, please.(ストレートのバーボンをダブルで。)、Scotch neat, please.(スコッチのストレートを。)、Scotch on the rocks, please.(スコッチのオンザロックを。)

ストレートは straight (up) のほか neat も定番です。オンザロックは rock が複数形になって on the rocks となる点に注意してください。綴りにも決まりがあり、アイルランドやアメリカ産は whiskey、スコットランドなどそれ以外は whisky と書き分けます。種類は bourbon、Irish whiskey、Scotch、Canadian whisky。

カクテルとその他の酒

I’d like a dry martini, please.(ドライ・マティーニをお願いします。)マティーニには dry、medium、sweet の指定があります。ほかに margarita(マルガリータ)、Bloody Mary(ブラッディ・マリー)、daiquiri(ダイキリ)、stinger(スティンガー)、Tequila Sunrise(テキーラ・サンライズ)などが定番です。

酒類全般では sherry(シェリー)、vermouth(ベルモット)、brandy(ブランデー)、cognac(コニャック)、liqueur(リキュール)、gin、rum、tequila、vodka。蒸留酒はまとめて spirits、醸造酒は brew と呼びます。

お酒を飲まない相手が同席するときは、Do you have any non-alcoholic drinks?(ノンアルコールの飲み物はありますか?)や a mocktail(ノンアル・カクテル)という語が役立ちます。相手が飲まない体質や信条を持っている可能性を前提に、最初に選択肢を示せる人は場の空気を柔らかくできます。

日本酒・焼酎・ハイボール

sake はそのまま英語になっていますが、海外では「日本の酒全般」と受け取られることもあります。清酒を指すと明確にしたいときは rice wine や Japanese rice wine を添えると誤解が減ります。

飲み方の説明も喜ばれます。Sake can be served hot or cold. Hot sake is called atsukan.(日本酒は温めても冷やしても飲めます。熱くしたものは熱燗と呼びます。)、This one is dry, and that one is sweet.(こちらは辛口、あちらは甘口です。)

会話例の It’s strong for me. は「自分にはアルコールが強い」という意味です。度数そのものを言うなら、Sake has about 15% alcohol, which is stronger than beer or wine. のように説明できます。

焼酎は shochu と呼び、a distilled spirit made from barley, sweet potato, or rice と補えば伝わります。チューハイやサワーは a shochu highball、ハイボールは highball で英語圏でもそのまま通じます。梅酒は plum wine と訳されることが多い一品です。

飲み物が決まったら、次はテーブルの主役、おつまみです。

おつまみを頼む・日本の一品を英語で言う

この章の要点
  • 店員に尋ねるなら Do you serve food here? / Do you have a food menu?
  • 日本のおつまみは「英語の説明+日本語名」の順で言うと会話が広がる
  • アレルギーと辛さの確認フレーズは最優先で覚える

会話例の What kind of snacks should we have? は仲間に相談する言い方です。店員に尋ねるなら、What do you have to snack on? や Do you serve food here?(何かつまめるものはありますか?)のほうが自然です。Do you have a food menu? も定番の一言です。

居酒屋のテーブルに枝豆や冷奴、焼き鳥、刺身の盛り合わせが並び、複数の手が箸を伸ばして取り分けている様子
小皿を分け合う食べ方は Let’s share some small dishes. の一言で説明できます。

日本のおつまみは、説明を添えると一気に話題になります。枝豆は boiled soybeans(edamame, boiled young soybeans in the pod)、冷奴は chilled tofu、唐揚げは Japanese-style fried chicken、焼き鳥は grilled chicken skewers、串カツは deep-fried skewers、刺身の盛り合わせは an assortment of sashimi、だし巻き卵は rolled omelet with dashi broth。

居酒屋のスタイルそのものを説明するなら、Let’s share some small dishes.(何品か取り分けて食べよう。)が便利です。取り皿が欲しければ Could we get some small plates? と頼めます。

注意点

アレルギーの確認は遠慮せず先に行ってください。I’m allergic to shrimp. Does this contain any?(エビアレルギーです。これに入っていますか?)が定型です。だしや魚醤など、見た目で分からない食材が入る料理は日本に多く、相手が自分から聞き出せないこともあります。辛さの確認は Is this spicy? が最短です。

店員側の答え方も知っておくと会話が続きます。Yes, it’s a bit spicy. You can request mild if you like.(少し辛いです。お好みで辛さを控えることもできます。)といった応対が返ってきます。

飲み物と料理がそろえば、あとはグラスを合わせる瞬間です。

乾杯のバリエーションとグラスを合わせるマナー

この章の要点
  • Cheers! が万能。音頭を取るなら Let’s make a toast.
  • 誰かに捧げるなら To ~! / Here’s to ~! の形で無限に応用できる
  • 英語圏では相手の目を見て合わせる。グラスの高さを下げる習慣はない

乾杯は Cheers! ひとつで乗り切れます。世界中でもっとも広く通じる形なので、迷う必要はありません。

それでもバリエーションを知っていると、場の温度に合わせられます。グラスを高く掲げて Bottoms up!(グラスの底を上げて=飲み干そう!)、イタリア語由来でカジュアルな Chin-chin!、音頭を取るなら Let’s make a toast. / Shall we have a toast?(乾杯しましょうか。)

フレーズ
Here’s to your new job! / To us! / To our success!
日本語訳
新しい仕事に乾杯!/私たちに!/成功を祈って!
使う場面
昇進、転職、契約成立、送別会など、理由のある乾杯。人物に捧げるなら To Mr. Suzuki! のように名前を入れます。
注意点
Here’s to ~ の後ろは名詞または名詞句です。Here’s to you succeed. のように文を続けると崩れます。Here’s to your success. と名詞化してください。
発音・ニュアンス
Here’s to は「ヒアズトゥ」とつなげ、to は弱く。掲げる動作と声を同時に出すと様になります。

昇進や合格を祝う席なら、Congratulations! と言いながらグラスを合わせても十分に伝わります。長い挨拶より、短い一言と笑顔のほうが場を温めます。

動作の作法にも触れておきます。英語圏では、グラスを合わせるときに相手の目を見るのがマナーとされます。日本のように上下関係でグラスの高さを下げる習慣はないので、そこは気にしなくて大丈夫です。

乾杯が済んだあと、多くの人が本当に困るのはここからです。注文は型で済みますが、雑談は型がないと感じるからです。

飲みながらの雑談:場が温まるスモールトーク

この章の要点
  • 切り出しは How’s it going? など軽い一言で足りる
  • グラスの中身を話題にすれば、初対面でも自然に話が始まる
  • 共感の反応(I know, right? など)を持つと会話が途切れにくい

飲み屋の英語は注文で終わりません。むしろ本番は雑談です。とはいえ、話題を凝る必要はまったくありません。

切り出しは Good evening! / Hi! / How’s it going? で十分です。返しは Pretty good. / Not bad. / I’m good. あたりで足ります。

そこから広げる鍵は、目の前のグラスです。Are you having a good time?(楽しんでる?)、What are you drinking?(それ、何飲んでるの?)、I’m having a Guinness.(ギネスだよ。)。飲み物は誰にでも共通の話題なので、初対面でも安全に入っていけます。

注意点

Do you come here often?(よく来るんですか?)は定番の切り出しですが、口説き文句の常套句としても広く知られています。言い方や相手によっては軽く受け取られることがあるため、Is this your first time here? のほうが無色透明で安全です。

自己紹介は、会話が始まってから差し込むのが英語らしい流れです。By the way, I’m Richard.(ところで、僕はリチャードです。)と途中で名乗り、Nice to meet you. / Glad to meet you.、Where are you from?、What do you do?(お仕事は?)と展開します。

職業の答え方も持っておきましょう。an engineer、a programmer、a sales person、a designer、a consultant、a researcher、a nurse、a homemaker、self-employed、a business owner。相手が来日中なら、What brought you to Japan?(どうして日本へ?)、Have you been to Asakusa yet?(浅草はもう行きました?)が話を膨らませます。

会話例:カウンターで隣の客と
学習者: Hi. Is this your first time here?
隣客: Yeah, my first time. What are you drinking?
学習者: A highball. It’s whisky with soda. Very common in Japan.
隣客: Oh, I should try that.
学習者: The first sip after work is the best.
隣客: I know, right?
日本語訳
学習者: こんばんは。ここは初めてですか?
隣客: はい、初めてです。それは何を飲んでいるんですか?
学習者: ハイボールです。ウイスキーのソーダ割りで、日本ではとても一般的なんです。
隣客: へえ、試してみようかな。
学習者: 仕事終わりの最初の一口が最高なんですよ。
隣客: ほんとそれ。
使う場面
カウンターで隣り合った相手と、短く言葉を交わすとき。深入りせず、相手が乗ってきたら続ける前提で始めます。
注意点
相手が短い返事だけで会話を切り上げる様子なら、それ以上続けないのが礼儀です。飲み屋では静かに飲みたい人もいます。
発音・ニュアンス
I know, right? は「アイノウライ」と語尾を軽く上げます。強い共感を示す反応で、飲み屋の相づちとして非常によく使われます。

共感の反応は種類を持っておくと便利です。会話例の That’s it!(その通り!)に加えて、Exactly! / I know, right? / Couldn’t agree more. も同じ役割を果たします。相づち+質問一つを繰り返すだけで、会話は驚くほど長く続きます。

グラスが空いてきました。次は追加注文の場面です。ここには日本にない文化的な作法が絡んできます。

おかわり・round・飲み放題

この章の要点
  • 自分の追加は another、相手に勧めるなら Would you like a refill?
  • round は「全員分をまとめておごる一巡」。順番制のパブ文化では重要
  • ラストオーダーは last call / last orders。last order では通じにくい

追加注文の主役は another です。Can I have another one?(もう一杯ください。)、Same again, please. / I’ll have the same.(同じものをもう一杯。)、We’d like another round of drinks, please.(皆にもう一杯ずつお願いします。)

ここで登場する round が、飲み屋英語の重要語です。round はその場の全員分をまとめて買う一巡のことを指します。

なぜ重要かというと、イギリスのパブ文化ではこの一巡が順番制になっているからです。一人が全員分を買い、飲み終わったら次の人が全員分を買う。この流れの中で自分の番を飛ばすと、金額の問題ではなく態度の問題として受け取られます。

だからこそ、It’s my round.(次は僕がおごる番だ。)という一言を言えるかどうかが効きます。What’s everyone having?(みんな何にする?)と聞いてカウンターへ向かえば、それだけで場に馴染めます。

会話例:round を回す
同僚: Another pint?
学習者: Sure. It’s my round this time. What’s everyone having?
同僚: A pint of bitter for me, thanks.
学習者: Got it. Anyone else?
同僚: I’m good for now, thanks.
日本語訳
同僚: もう1パイントいく?
学習者: いいね。今回は僕がおごる番だ。みんな何にする?
同僚: 僕はビターを1パイント、ありがとう。
学習者: 了解。ほかにいる?
同僚: 今はけっこうです、ありがとう。
使う場面
イギリス系のパブでグループで飲むとき。2杯目以降、誰かが立ち上がるタイミングで使います。
注意点
round に加わったのに自分の番で買わないと印象が悪くなります。人数が多く負担が大きいときは、最初から I’ll just get my own. と伝えておくほうが誠実です。
発音・ニュアンス
It’s my round. は my を強めに置きます。ここを弱く言うと聞き取られず、順番を主張できません。

日本の飲み放題を説明するなら all-you-can-drink(食べ放題は all-you-can-eat)です。The all-you-can-drink course lasts two hours.(飲み放題は2時間です。)と伝えれば、時間制の仕組みも一緒に伝わります。

注意点

「ラストオーダー」は和製英語寄りの表現です。英語では last call や last orders と言い、last order とそのまま言っても意図が伝わりにくいことがあります。Last call is 30 minutes before closing.(ラストオーダーは閉店30分前です。)の形で覚えておくと安全です。

追加が続けば、当然ペースの問題が出てきます。次は「断る」「酔いを伝える」という、自分を守るための表現です。

お酒を断る・酔い加減を伝える・トラブルに対応する

この章の要点
  • 断る理由は運転・服薬・体質など、短く言い切れば十分
  • 酔い加減は tipsy → drunk → wasted の段階で表現できる
  • 注文違いやこぼしたときは I think を挟むと相手を責めない言い方になる

飲めない事情があるとき、はっきり伝えられるかどうかで夜の快適さが変わります。遠慮して飲み続けるより、短く言い切るほうが相手も安心します。

定番はこの5つです。I’m driving tonight, so I’ll pass.(今日は運転なので控えます。)、I’m good for now, thanks.(今はけっこうです。)、I’ll stick to soft drinks.(ソフトドリンクにしておきます。)、I’m on medication.(薬を飲んでいるので。)、I have a low tolerance for alcohol.(お酒に弱いんです。)

体質の話をするなら、I get red easily when I drink.(飲むとすぐ赤くなります。)も便利です。これは英語圏の人には珍しく響くことがあり、体質の説明として素直に受け取ってもらえます。

酔い具合には段階の表現があります。軽く回ってきたら I’m a little tipsy.、しっかり酔ったら I’m drunk.、飲みすぎたら I’m wasted. / I’m hammered.、翌日を思って I’m going to have a hangover tomorrow.(明日は二日酔いだな。)

切り上げたいときの言い方も持っておきましょう。I should call it a night.(今夜はこれでお開きにします。)や I think I’ve had enough.(もう十分いただきました。)が穏やかで、場の空気を壊しません。

フレーズ
I think I got the wrong drink. I ordered a mojito.
日本語訳
頼んだものと違うようです。モヒートを注文しました。
使う場面
注文と違う飲み物が届いたとき。混雑した店では珍しくない場面です。
注意点
This is wrong. と断定すると強く響きます。冒頭に I think を置くだけで、相手を責めない柔らかい申し出になります。飲み物をこぼしたら I spilled my drink. Can I have something to wipe it up? と伝えましょう。
発音・ニュアンス
I think I got the は「アイスィンカイガッザ」と流れます。語尾を上げず落ち着いた調子で言うと、苦情ではなく確認として受け取られます。

店員側の対応も知っておくと安心です。I’m sorry. I’ll check with the kitchen right away.(申し訳ありません。すぐ厨房に確認します。)という返答が一般的です。

さて、楽しい時間の最後に控えているのが会計です。ここが日本と海外でもっとも差の出る場面になります。

会計:割り勘、おごり、tab、チップ

この章の要点
  • 会計はアメリカで check、イギリスで bill と呼ぶのが一般的
  • My treat. と Your treat. は一字で意味が反転する
  • tab は「付け払い」。open a tab → put it on my tab → close my tab の流れ

まず会計を呼ぶ一言から。Could we get the check, please?(アメリカ)、Can we have the bill, please?(イギリス)。呼び名が違うだけで、意味も丁寧さも同じです。

日本式の割り勘は Let’s split the bill. / Let’s pay separately. と言います。頭割りなら Let’s split it evenly.、自分の分だけ払うなら I’ll pay for my share.、2人で半分ずつなら Let’s go halves. も使えます。

おごる側の表現は種類が豊富です。It’s on me.(私が払います。)、My treat. / I’ll treat you.(ごちそうします。)、I’ll get this. / I’ve got this.(ここは私が。)、Put your money away!(お金は出さないで!)

注意点

My treat. は「私のおごり」ですが、Your treat. は「あなたのおごりね」。一語違いで意味が反転します。ごちそうするつもりで Your treat. と言ってしまうと、相手に支払いを求める形になり、気まずい沈黙が生まれます。自分が払うなら my、迷ったら It’s on me. と言い切るのが安全です。

海外のカウンターバーには、日本にあまりないtab(付け払い)の仕組みがあります。入店時に Would you like to open a tab?(付けにしておきますか?)と聞かれることがあり、自分から Can I start a tab? と言えばカードを預けて後払いにできます。

まとめて払いたいときは Please put it on my tab.、締めるときは Can I close my tab? と言います。一方、パブでよく見られるのは1杯ごとに現金で払う cash on delivery 方式で、この場合は都度支払いになります。

会話例:tab を開いて締める
店員: Would you like to open a tab?
学習者: Yes, please. Here’s my card.
(later…)
学習者: Can I close my tab, please?
店員: Sure. That’ll be forty-two dollars.
学習者: Can I pay by card? And please add five dollars for you.
日本語訳
店員: お付けにしておきますか?
学習者: お願いします。カードをどうぞ。
(しばらく後)
学習者: 会計をお願いできますか?
店員: はい。42ドルになります。
学習者: カードで払えますか?それと、5ドルをチップに足してください。
使う場面
アメリカのバーで数杯飲む予定があるとき。都度払いの手間が省け、席を離れずに飲み続けられます。
注意点
tab を開いたまま店を出るとカードを置き忘れる形になります。帰る前に必ず close my tab と伝えてカードを回収してください。
発音・ニュアンス
tab は短く「タブ」。top や tap と混ざりやすいので、a の音を平たく出すと聞き取ってもらいやすくなります。

チップの扱いも押さえておきましょう。アメリカでは会計の15〜20%が目安とされ、現金払いのときは1杯ごとに渡す形が一般的です。お釣りを全部チップにするなら Please keep the change.、一部だけ受け取るなら Give me back five dollars, please.(5ドルお釣りをください。)

いったんお釣りを受け取ってから渡す場合は、硬貨ではなく紙幣で渡すのがマナーとされます。10ドル以下のドリンクなら1〜2ドル、それ以上なら2〜5ドルが目安です。ただし国や店の方式によって慣習は変わるため、訪問先の事情は現地で確かめてください。支払い方法は Can I pay by card? / Cash, please. で伝わります。

ここまでは「自分が困らないための英語」でした。次は逆に、あなたが案内役になる場面の英語です。

日本の飲み屋文化を英語で説明する

この章の要点
  • お通しは a small appetizer that works like a table charge と説明すれば納得される
  • 「とりあえずビール」は Let’s start off with beer!
  • 注ぎ合う習慣とペース配慮の一言が、相手の安心につながる

外国人と居酒屋に行くと、必ず質問される項目があります。答えを先に用意しておけば、その場の案内役になれます。

最頻出はお通しです。日本人でも説明しづらい仕組みですが、”Otoshi” is a small appetizer served automatically, and it works like a table charge.(お通しは自動的に出てくる小皿で、席料のようなものです。)と伝えると納得してもらえます。cover charge や seating fee という語を使うのが最短ルートです。断れる店なら You can decline it if you’d like. と添えましょう。

次に「とりあえずビール」。日本の飲み屋の号砲ともいえるこの一言は、Let’s start off with beer! と言います。start off with ~ は「まず~から始める」という定番表現で、一人称なら I’ll start off with a beer.(とりあえずビール1つ!)。飲み物以外にも使え、Let’s start off with the salad. のように応用できます。

店内の設備も聞かれます。おしぼりは a wet towel、掘りごたつは a sunken table with a heater underneath、個室は a private room、カウンター越しの大将は the chef behind the counter。

習慣の説明はとくに盛り上がります。In Japan, people usually pour drinks for each other rather than for themselves.(日本では自分で注ぐのではなく、お互いに注ぎ合うのが普通です。)この一言は英語圏の人にとって新鮮で、そこから会話が広がります。

フレーズ
Please drink at your own pace. Nobody has to keep up.
日本語訳
自分のペースで大丈夫です。誰も合わせなくていいですよ。
使う場面
外国人を含む飲み会の冒頭。飲める量や飲まない理由は人それぞれなので、最初に宣言しておくと相手が楽になります。
注意点
相手のグラスが空くたびに勧めるのは、日本では気遣いでも、負担と受け取られることがあります。空いたグラスを見たら Would you like another one, or shall we get you something else? と選択肢の形で尋ねるのが親切です。
発音・ニュアンス
at your own pace は own を強めます。keep up は「ペースについていく」で、「キーパップ」とつなげて言います。

〆の一品も日本らしい話題です。We often finish with ramen or ochazuke.(〆にラーメンやお茶漬けを食べることが多いです。)と言えば、飲みの締めくくりまで文化として伝わります。

ここまで来れば、あとは落とし穴を避けるだけです。次に、日本人学習者がとくにつまずきやすい表現を並べておきます。

つまずきやすい誤用と、そのまま使える言い換え

この章の要点
  • snack、service、last order は日本語の感覚と英語のずれが大きい
  • Would you like ~? と Do you want ~? は相手との距離で使い分ける
  • イギリス英語の Cheers! は「ありがとう」の意味でも使われる

誤用の多くは、日本語の語感をそのまま英語に持ち込むことから生まれます。よくある9つを確認しておきましょう。

まず pub と bar の混同です。pub はイギリス系で食事も出す大衆酒場、bar はカウンター中心で酒が主役。日本の居酒屋はどちらとも性格が違うので、izakaya と呼ぶのが正確です。

次に snack。英語の snack は「軽食・間食」であり、日本語の「スナック(飲み屋の業態)」の意味はありません。おつまみとしては通じますが、より正確には appetizers、small dishes、イギリス英語なら bar snacks が近いです。

「これサービスです」を service と直訳すると伝わりません。正解はIt’s on the house.(お店のおごりです。)です。house が「店」を指す言い方で、バーでは頻出します。

Would you like ~? と Do you want ~? はどちらも「~はいかが?」ですが、前者のほうが丁寧です。上司や取引先には Would you like を、親しい同僚には Do you want を選ぶと距離感が合います。

Cheers! には二役あります。イギリス英語では「ありがとう」の意味でも日常的に使われ、飲み物を受け取ったときの返しにもなります。乾杯とお礼を兼ねる便利な一語です。

refill にも守備範囲があります。コーヒーやソフトドリンクの継ぎ足しには自然ですが、バーで新しいカクテルを頼むなら another one のほうが実際の言い方に近くなります。

「アルコール」の言い方も要注意です。alcohol は物質名寄りの語で、飲み物としては drinks や booze(口語)が一般的。お酒を飲むかどうか尋ねるなら Do you drink? が最もシンプルです。

strong の使い分けも押さえておきます。It’s strong for me. は「自分には強すぎる」という主観の表現で、度数が高いこと自体を言うなら It’s a strong drink. や It has a high alcohol content. となります。

最後に clerk です。「店員」として通じはしますが、飲食店なら server、バーなら bartender のほうがその場に合います。相手を呼ぶときは Excuse me. で十分で、Waiter! と呼びつける形は避けたほうが無難です。

誤用を避けられれば、あとは締めの一言です。ここが雑になると、せっかくの一晩の印象が薄れてしまいます。

帰り際の一言まで用意しておく

この章の要点
  • お礼+楽しかった+次回への一言の3点セットで締める
  • Get home safe. は相手を気遣う定番の別れ際
  • 二次会に誘うなら Should we go somewhere else?

別れ際は、3点セットで組み立てるときれいに収まります。お礼、楽しかったという感想、そして次回への一言です。

Thanks for inviting me. I had a great time.(誘ってくれてありがとう、とても楽しかった。)、Let’s do this again soon.(また近いうちにやりましょう。)。この2文だけで、関係を次につなげる役割は果たせます。

相手を気遣う一言も添えましょう。Get home safe.(気をつけて帰ってね。)、Text me when you get home.(着いたら連絡して。)。夜遅い時間ほど、この一言の重みが増します。

まだ続けたいなら、Should we go somewhere else? / Want to hit one more place?(もう一軒行く?)。切り上げるなら I’ll catch the last train.(終電で帰ります。)が便利です。日本の終電文化は説明が必要な場面もあり、The last train leaves around midnight, so I have to head out. と添えると納得してもらえます。

フレーズはそろいました。あとは、実際に声が出る状態まで持っていく作業です。

発音練習と1週間の練習メニュー

この章の要点
  • 音のつながりを意識して、単語単位ではなく塊で練習する
  • 7日間、1日5分で5系統を回すだけで口が動くようになる
  • 録音して聞き返す作業が、独学でいちばん効率のよい修正手段

飲み屋の英語で聞き返されやすいのは、発音そのものより「区切り方」です。単語ごとに切って言うと、騒がしい店内では逆に届きません。

夜の自宅デスクで手書きの英語ノートと録音画面のスマートフォンを前に練習している学習者
録音して聞き返す5分間が、飲み屋で実際に声が出るかどうかを分けます。

まず、つながりやすい6つの塊を音読してみてください。Would you like to →「ウッジュライクトゥ」、Can I have another →「キャナイハヴァナザー」、It’s on me →「イッツォンミー」、Let’s start off with →「レッツスタートフウィズ」、a pint of →「アパイントヴ」、on the rocks →「オンザロックス」。

カタカナは目安に過ぎませんが、塊で覚えるという発想そのものが実戦で効きます。単語を並べる意識を捨て、ひと息で言い切る練習に切り替えてください。

練習は7日で一周する形にすると続きます。1日5分で構いません。

  1. 1日目:誘う。Would you like to have a drink after work? / Why don’t we grab a drink after work? を各10回。
  2. 2日目:返事と断り。I’d love to. / Count me in. / I wish I could, but I have plans tonight. / Can I take a rain check? を各5回。
  3. 3日目:注文。I’ll have ~. の後ろを a beer、a pint of lager、a whiskey with water、a gin and tonic に差し替えて各5回。
  4. 4日目:乾杯。Cheers! / Let’s make a toast. / Here’s to ~! の後ろを your new job、our success に差し替えて各5回。
  5. 5日目:追加とペース。Can I have another one? / Same again, please. / I’m good for now, thanks. / I should call it a night. を各5回。
  6. 6日目:会計。Could we get the check, please? / Let’s split the bill. / It’s on me. / Can I close my tab? を各5回。
  7. 7日目:通し。冒頭の会話例を役割を入れ替えて2回音読し、スマートフォンで録音して聞き返す。

録音を聞き返すと、自分の想像より一語一語が切れていることに気づきます。この気づきが修正の起点になるので、恥ずかしくても一度は自分の声を聞いてみてください。

仕上げは、相手のいる場での実践です。ひとりの練習で作った型は、返しが来る環境に置いた瞬間に一段速くなります。ペースを見てもらいながら試したい方は、下のリンクから様子を見てみてください。

最後に、飲み屋の英語で頻出する4つの語を短く整理しておきます。

round(ラウンド)

その場の全員分の飲み物をまとめて買う一巡のこと。It’s my round. で「次は自分がおごる番」を意味します。イギリス系のパブでは順番制の慣習として機能します。

tab(タブ)

バーの付け払い。open a tab で開始、put it on my tab で追加、close my tab で精算という3段階で使います。カードを預ける方式が一般的です。

on tap(オンタップ)

樽から注がれる状態。What do you have on tap? で「生ビールは何がありますか」と尋ねられます。draft beer(英表記 draught)とほぼ同じ内容を指します。

neat / on the rocks

neat は何も加えないストレート、on the rocks は氷入り。rock が複数形になる点が定型で、水割りは with water、ソーダ割りは and soda で表します。

では最後に、読者からよく寄せられる疑問に答えていきます。

よくある質問

この章の要点
  • 店の呼び方、注文のサイズ指定、断り方でつまずく人が多い
  • 割り勘やラストオーダーは国ごとの慣習差が大きい
  • 迷ったときは短い型に戻れば、たいていの場面は乗り切れる

「飲み屋」は英語で bar と pub のどちらを使えばいいですか?

カウンターで酒を中心に出す店なら bar、イギリス系で食事も提供する大衆酒場なら pub を使います。気取らない雑多な店は tavern や dive bar と呼ばれます。日本の居酒屋はこのどれとも性格が違うため、izakaya と呼んで必要に応じて説明を添えるのが正確です。

居酒屋を英語で説明するときの一番短い言い方は何ですか?

Japanese-style pub というひと言が最短です。もう少し具体的に伝えたいときは a casual restaurant where you drink and share small dishes と説明すると、飲みながら小皿を分け合うという実際の使い方まで伝わります。

海外でビールを注文するとき、サイズはどう伝えればいいですか?

A pint of IPA, please. のようにサイズを先、種類を後の順で伝えます。半分の量なら half a pint、ピッチャーなら a pitcher of beer、瓶なら a bottle of beer です。1パイントはアメリカ英語で約473ml、イギリス英語で約568mlと差があるため、量の見込みがずれることがあります。

お酒を飲めないとき、失礼にならない断り方はありますか?

短く言い切る形が最も自然です。I’m driving tonight, so I’ll pass. や I’m on medication.、I have a low tolerance for alcohol.、I’ll stick to soft drinks. などが使えます。理由を細かく説明する必要はなく、英語圏では飲まない選択そのものが尊重されます。

割り勘をお願いするのは海外でも普通のことですか?

友人同士や同僚同士なら一般的で、Let’s split the bill. や Let’s pay separately. と伝えれば問題ありません。頭割りにするなら Let’s split it evenly.、自分の分だ

け払うなら I’ll pay for my share. と言います。ただしイギリス系のパブでは全員分をまとめて買う round の慣習があるため、その場の流れを見て合わせるほうが自然です。

「ラストオーダー」は英語でそのまま通じますか?

last order とそのまま言っても伝わりにくいことがあります。英語では last call や last orders と表現し、Last call is 30 minutes before closing. のように使います。日本の飲み放題を説明するときは all-you-can-drink が対応する語です。

お通しはどう説明すれば伝わりますか?

Otoshi is a small appetizer served automatically, and it works like a table charge. と伝えると納得してもらえます。cover charge や seating fee という語を使うのが最短で、断れる店であれば You can decline it if you’d like. と添えると親切です。

乾杯のとき、日本のようにグラスの高さを下げるべきですか?

英語圏では上下関係でグラスの高さを調整する習慣はありません。代わりに相手の目を見て合わせるのがマナーとされます。掛け声は Cheers! で十分で、理由のある席なら Here’s to your new job! のように To ~ の形を添えると場が温まります。

おかわりは refill と another one のどちらを使いますか?

コーヒーやソフトドリンクの継ぎ足しなら refill が自然ですが、バーで新しい一杯を頼むなら Can I have another one? のほうが実際の言い方に近くなります。同じものを頼むなら Same again, please.、全員分をまとめるなら another round of drinks と使い分けます。

仕事の後の一杯は、やはり格別です。あなたは一杯目に何を頼みますか。「とりあえずビール!」は、Let’s start off with beer! と言います。

次に外国人の同僚や友人と飲む機会があれば、まずこの一言から始めてみてください。あとは Cheers! と Can I have another one? があれば、夜は自然に転がっていきます。

では、また次回お会いしましょう。See you then.