ニュースでは毎日のように耳にする「振り込め詐欺」。ところが英語で言おうとした瞬間、口が止まってしまう——そんな経験はありませんか。

「詐欺」を辞書で引くと fraud、scam、swindle、deception と似た語がずらりと並び、どれを選べばいいのか迷います。さらに「オレオレ詐欺」のような日本独自の犯罪名になると、直訳しても相手が首をかしげてしまう。これは語彙力の問題ではなく、言葉の格と場面の対応を整理していないだけです。

この記事を読み終えると、次の三つができるようになります。第一に、fraud と scam を場面で選び分けられる。第二に、「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」を相手に通じる形で言い換えられる。第三に、不審な電話を英語で確認し、断り、切るまでの流れを口に出せる。

母から届いた一本の電話をめぐる会話を軸に、単語のニュアンス、誤用例、発音、そして家族を守る一言までをひと続きで身につけていきましょう。会話をそのまま声に出して練習したい方は、講師と一緒に読み合わせできる英語教室のような場を使うと定着が早まります。

まずは、いちばん知りたい結論から確認します。

目次 [ close ]
  1. 「振り込め詐欺」を英語で言うなら、まずこの三つ
  2. 母からの電話——会話で全体像をつかむ
  3. 会話に出てきた表現をひとつずつ噛みくだく
    1. Are you OK now?——「今、大丈夫?」
    2. What's the matter?——「どうしたの?」
    3. a little while ago——「少し前に」
    4. get a phone call——「電話がかかってきた」
    5. calm down——「落ち着いて」
    6. sound like——「~のような声だ」
    7. quite——「かなり」のはずが、通じ方が違う
    8. bank account——口座まわりの語をまとめて
    9. almost+過去形——「もう少しで~するところだった」
    10. believe と believe in の違い
    11. be taken in by ~——「~にだまされる」
    12. pay attention to ~ の限界
  4. 同じ会話を、より自然な英語に磨き直す
  5. 「詐欺」を表す英単語の使い分け
    1. fraud——ニュースや法律の文脈で使う「詐欺」
    2. scam——日常会話で使う「詐欺」
    3. swindle——「だまして金を巻き上げる」
    4. fraudulence と fraudulent——「欺くという行為」
    5. rip-off——「ぼったくり」
  6. 「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」を場面で選び分ける
    1. 手口を説明的に伝える言い方
    2. 「オレオレ詐欺」は It's me scam
    3. 英語圏に実在する類似の手口——grandparent scam
  7. 詐欺の種類を英語で言い分ける
  8. 「騙す」「騙される」を動詞で言い分ける
    1. だます側の動詞
    2. だまされる側の言い方
  9. 「詐欺師」を英語でどう呼ぶか
  10. 不審な電話に出たときにそのまま使えるフレーズ
    1. 確認する
    2. 断る・切る
    3. 家族に注意を促す
  11. 日本の振り込め詐欺事情を英語で説明する
  12. つまずきやすいポイントの整理
  13. 発音とリズムを整える三分間の練習
  14. 語彙を定着させる一週間の復習計画
  15. 覚えておきたい表現の総ざらい
  16. よくある質問(FAQ)
    1. 「振り込め詐欺」を英語で一言で言うなら、どれが無難ですか?
    2. It's me scam は英語ネイティブに通じますか?
    3. fraud と scam はどちらを使えばいいですか?
    4. 「詐欺に遭った」は英語でどう言いますか?
    5. 英語で不審な電話を受けたら、最初に何と言えばいいですか?
    6. 「特殊詐欺」は英語でどう説明すればいいですか?
    7. 用語解説:grandparent scam
    8. 用語解説:money mule
  17. まとめ:今日から持ち歩ける一文

「振り込め詐欺」を英語で言うなら、まずこの三つ

この章の要点
  • もっとも伝わりやすい訳は bank transfer scam(銀行振込を使わせる詐欺)
  • 電話が手口の中心だと伝えたいときは phone scam / phone fraud
  • 「オレオレ詐欺」は It’s me scam と言い、必ず一文の説明を添える
  • 英語圏の類似犯罪 grandparent scam を使うと説明なしで通じやすい

迷ったときは bank transfer scam を選べば、まず誤解されません。理由は単純で、この語が「銀行振込(bank transfer)」という手段と「詐欺(scam)」という性質を、そのまま二語で言い切っているからです。日本独自の犯罪名を知らない相手でも、単語の中身から手口を推測できます。

具体例で確認します。Bank transfer scams are still a serious problem in Japan.(振り込め詐欺は日本でいまも深刻な問題です。)この一文だけで、相手は「お金を振り込ませる詐欺が日本で多い」と理解できます。

一方で、犯行の入口が電話だという点を強調したいなら phone scam が便利です。さらに「息子や孫になりすます」という日本特有の型まで伝えたいときに、It’s me scam と grandparent scam が効いてきます。つまり、一語で片づけるのではなく、伝えたい焦点によって語を差し替える——これが自然な英語に近づく近道です。

では、その語が実際の会話ではどう現れるのでしょうか。まずは母からの電話を、まるごと覗いてみます。

母からの電話——会話で全体像をつかむ

この章の要点
  • 「電話が来た」「声が似ていた」「振り込めと言われた」の三点が話の骨格
  • be taken in by ~(だまされる)が会話の山場になる
  • まずは全文を音読し、細部の文法は後から回収する

この話題に必要な要素は、短いやり取りの中にほぼ出そろいます。学習用に平易に書かれた会話なので、初級者でも意味を追えるはずです。まず通しで読み、知らない語があっても止まらずに最後まで進んでください。

会話(母からの電話)
Your mother calls you up.
You: Hello.
Mother: Hi. Are you OK now?
You: Yes, but what’s the matter?
Mother: A little while ago, I got a phone call. He said to me you lost much money.
You: Please, calm down. I didn’t lose money!
Mother: But that voice was quite similar to your voice. He said to me to pay money into his bank account soon.
You: Did you believe his story?
Mother: I almost believed. But I remembered the news. Many people are taken in by scams. So I didn’t believe him.
You: You are right! So many people are taken in by such bank transfer scams. You have to pay attention to strange stories.
Mother: All right. I will.
日本語訳
あなたのお母さんが電話をかけてきます。
あなた:もしもし。
母:もしもし。今、大丈夫なの?
あなた:うん、どうかしたの?
母:少し前に電話があったの。あなたが大金をなくしたって言われたわ。
あなた:落ち着いて。お金なんてなくしてないよ。
母:でも、その声はあなたの声によく似ていたの。彼の銀行口座にすぐ振り込むように言われたわ。
あなた:それで、その話を信じたの?
母:もう少しで信じそうになった。でもニュースを思い出したの。たくさんの人が詐欺に遭っているという話を。だから信じなかったわ。
あなた:それでいいんだよ。ものすごく多くの人が振り込め詐欺に引っかかっている。妙な話には気をつけないとね。
母:分かったわ。そうする。
使う場面
家族から不審な電話について相談されたとき。海外の友人に日本の詐欺事情を話すときの土台にもなります。
注意点
この会話には、学習者がまねしないほうがよい表現もあえて残してあります。get a phone、said to me you lost、much money、be similar to your voice の四か所です。理由は後の章で一つずつ整理します。
発音・ニュアンス
母親のせりふは語尾を上げ気味に、あなたのせりふは低く落ち着いて読むと、感情の対比が体に残ります。taken in by は「テイクニン バイ」とつなげて発音されます。

読み終えた印象はどうでしたか。おそらく be taken in by のあたりで一度立ち止まったのではないでしょうか。次の章で、出てきた表現を頭から順に噛みくだいていきます。

会話に出てきた表現をひとつずつ噛みくだく

この章の要点
  • 電話の切り出しは Is this a good time? が誤解を生みにくい
  • 「電話がかかってきた」は get a phone call。call を落とさない
  • 声が似ているは sound like、口座に振り込むは transfer money into an account
  • almost+過去形で「もう少しで~するところだった」

会話を丸暗記しても、部品の意味が曖昧なままでは応用できません。ここでは一語ずつ、使える形に直しながら確認していきます。

Are you OK now?——「今、大丈夫?」

相手の状況をたずねる言い方です。体調を心配する意味にもなりますが、電話の冒頭では「今話しても平気?」というニュアンスで使われます。ただし、けが人や病人に向けた「大丈夫?」と紛れやすいのが弱点です。

誤解を避けたいなら Is this a good time?(今、都合いい?)、Are you free right now?(今ひま?)、Can you talk now?(今話せる?)が便利です。相手が忙しそうなら Should I call you back later?(あとでかけ直そうか?)とつなげられます。

What’s the matter?——「どうしたの?」

何か起きたのかを尋ねる定番表現です。ほぼ同義で What’s wrong?、What happened?、Is something wrong? が使えます。どれも家族や友人との会話にそのまま乗せられます。

注意点

What’s the matter with you? と with you を付けると、「あなた、どうかしてるんじゃないの?」という非難の響きが出ることがあります。心配して尋ねる場面では with you を足さないほうが安全です。

a little while ago——「少し前に」

時間の幅はゆるやかで、数分前から数時間前くらいまでを覆います。もっと直前なら a moment ago、just now。もう少し離れているなら earlier today(今日さっき)と言い分けられます。

get a phone call——「電話がかかってきた」

ここは学習者がつまずきやすい急所です。get a phone は文字どおりには「電話機を手に入れる」、つまり「携帯を買った・もらった」という意味になります。

フレーズ
I got a call from an unknown number.
日本語訳
知らない番号から電話が来ました。
使う場面
不審な着信を家族や同僚に報告するとき。詐欺の話題では登場頻度がとても高い一文です。
注意点・誤用例
誤用例:I got a phone from an unknown number.(知らない番号から電話機をもらった、という珍妙な意味になります。)言い換えは I got a call.、Someone called me.、There was a call for you. など。
発音・ニュアンス
got a call は「ガラ コール」のように、t が軽くはじける音になります。unknown は「アンノウン」で、最初の n は発音しません。

calm down——「落ち着いて」

自分に使えば I need to calm down.(落ち着かないと)、相手に使えば「落ち着いて」。ただし命令形は、言い方次第で「うるさい、静かにして」と受け取られることがあります。

動揺している家族をなだめるなら、It’s OK. Take a deep breath.(大丈夫、深呼吸して)や Take your time. Tell me what happened.(ゆっくりでいいよ。何があったか話して)のほうが柔らかく響きます。

sound like——「~のような声だ」

be similar to ~ は「~に似ている」で、物や内容が似ているときの定番です。ただし声について語るなら sound like のほうがに英語らしくなります。The voice sounded just like yours.(その声はあなたの声そのものだった。)He sounded exactly like you.(彼はあなたにそっくりの声だった。)

この sound like は、なりすまし詐欺の手口を語るうえで欠かせません。声が似ていたという一点が、被害者を信じ込ませる引き金になるからです。

quite——「かなり」のはずが、通じ方が違う

程度を強める副詞ですが、アメリカ英語では「まったく、完全に」に近い強い意味、イギリス英語では「まあまあ、けっこう」と控えめな意味に傾く差があります。誤解を避けたい場面では very、really、pretty を選ぶほうが無難です。

bank account——口座まわりの語をまとめて

bank account は「預金口座」。「口座番号」は account number、「普通預金口座」は savings account、「決済用の口座」は checking account(イギリスでは current account)です。

「口座に振り込む」は言い方が複数あります。pay money into an account、transfer money to an account、deposit money into an account、そして海外送金なら wire money。詐欺の話題では transfer がもっとも使いやすい動詞です。

英単語ノート、ペン、付箋、着信画面のスマートフォン、辞書が並んだ学習机を真上から撮った写真
語彙は書き出して比べると、使い分けの境界が見えてきます

almost+過去形——「もう少しで~するところだった」

I almost believed him. は「もう少しで彼を信じてしまうところだった」。同じ働きで nearly も使えます。I nearly fell for it.(もう少しで引っかかるところだった。)

I almost sent the money.(お金を送ってしまいそうだった。)のように、実行しなかったことをはっきり伝えられるのがこの形の利点です。

believe と believe in の違い

believe+人は「その人の言っていることを本当だと思う」、believe in+人は「その人の人格や能力を信頼する」。詐欺の文脈では前者です。Don’t believe him.(彼の話を信じてはいけない。)と I believe in you.(あなたを信じている。)は意味がまったく違うので、区別して覚えておくと安心です。

be taken in by ~——「~にだまされる」

動詞句 take in には「取り込む」以外に「人をだます」の意味があり、受動態でよく使われます。Don’t be taken in by such stories.(そんな話にだまされないで。)

フレーズ
Don’t fall for it.
日本語訳
それに引っかからないで。
使う場面
怪しいメールや電話について家族・友人に注意を促すとき。短く強く言えるので、実際の場面で口から出やすい一言です。
注意点・誤用例
誤用例:Don’t fall it.(for が必要です。)また fall for には「~に恋をする」の意味もあるため、She fell for him. は文脈によって「彼にだまされた」ではなく「彼に惚れた」になります。詐欺の話では fall for the scam のように対象を明示すると安全です。
発音・ニュアンス
fall for it は「フォー フォーリッ」のようにつながります。同義表現の be duped、be conned、be tricked も併せて覚えると表現の幅が広がります。

pay attention to ~ の限界

「~に注意を払う」ですが、意識を向けるという中立的な意味合いで、危険への警戒を促す力は弱めです。危ないものを避けさせたいなら watch out for(用心する)や be careful of のほうが意図が伝わります。Watch out for suspicious phone calls.(不審な電話に気をつけて。)

部品が見えてきたところで、同じ会話をネイティブが話すとどう変わるのか比べてみましょう。

同じ会話を、より自然な英語に磨き直す

この章の要点
  • 学習用の会話と自然な会話を並べると、直すべき癖が浮かび上がる
  • 変更点は phone call、sounded exactly like、a lot of money、I hung up の四つ
  • hang up(電話を切る)は詐欺対策で最も実用的な動詞

教科書的な英語と会話の英語は、どちらが正しいかという話ではありません。ただ、両方を並べて読むと自分の表現の癖が見えるので、上達の効率が上がります。

会話(自然な言い回しに直した版)
You: Hello?
Mother: Hi, honey. Is this a good time?
You: Sure. What’s wrong?
Mother: I got a phone call a little while ago. The man said you’d lost a lot of money.
You: Take a deep breath, Mom. I haven’t lost any money.
Mother: But the voice sounded exactly like yours. He told me to transfer the money into his bank account right away.
You: And did you believe him?
Mother: I almost did. But then I remembered the news — so many people get taken in by these scams. So I hung up.
You: Good call. Those bank transfer scams are everywhere. If a story sounds strange, don’t act on it right away.
Mother: All right. I will.
日本語訳
あなた:もしもし。
母:もしもし。今、平気かしら。
あなた:うん、どうしたの。
母:少し前に電話があってね。男の人が、あなたが大金をなくしたって言ったの。
あなた:深呼吸して、お母さん。お金なんて一円もなくしてないよ。
母:でも声があなたにそっくりだったの。すぐに口座へ振り込むように言われたわ。
あなた:それで、信じたの?
母:もう少しで信じかけた。でもニュースを思い出したの。すごく多くの人がこの手の詐欺にだまされているって。だから電話を切ったわ。
あなた:それが正解だよ。振り込め詐欺はどこにでもある。話が変だと思ったら、すぐ動かないこと。
母:分かったわ。そうする。
使う場面
親しい家族との電話。honey や Mom といった呼びかけが入るので、ビジネスの場面には持ち込みません。
注意点
Good call. は「いい判断だね」の意味で、電話(call)とは無関係の慣用句です。「よい電話だった」と直訳しないように注意しましょう。
発音・ニュアンス
you’d lost は you had lost の短縮で、実際には「ユード ロスト」と一息で流れます。hung up は「ハンガップ」。

変わったのは主に四点です。第一に I got a phone を I got a phone call に直したこと。第二に was quite similar to your voice を sounded exactly like yours にしたこと。第三に肯定文で不自然な much money を a lot of money に替えたこと。第四に I didn’t believe him を、行動として明確な I hung up(電話を切った)に置き換えたことです。

とくに四点目は語学の話を超えています。信じないという心の状態より、切るという行動のほうが被害を止めるからです。次に、そもそも「詐欺」を表す英単語をどう選ぶのかを整理します。

「詐欺」を表す英単語の使い分け

この章の要点
  • fraud はニュースや法律などの硬い文脈、scam は日常会話
  • swindle は「だまして金を巻き上げる」動詞で、受動態で使うことが多い
  • fraudulence は抽象名詞、実用度は形容詞 fraudulent のほうが高い
  • rip-off は「ぼったくり」で、厳密には詐欺と別物

日本語の「詐欺」に対応する英語は複数あり、フォーマルさと着眼点が異なります。硬さの軸で並べると、fraud が上、scam が下、swindle は行為そのものを指す動詞、と覚えるのが実用的です。

fraud——ニュースや法律の文脈で使う「詐欺」

もっとも一般的かつ硬めの語です。発音は「フロード」で、「フラウド」ではありません。書類の偽造、制度の悪用、刑事事件としての詐欺など、公的な文脈で選ばれます。

He was arrested for credit card fraud.(彼はクレジットカード詐欺で逮捕された。)I lost a lot of money in an investment fraud.(投資詐欺で大金を失った。)The company is under investigation for accounting fraud.(その会社は会計不正の調査を受けている。)

不可算名詞としても可算名詞としても使われ、commit fraud(詐欺を働く)というコロケーションも押さえておきたいところです。

注意点

人を指して He’s a fraud. と言うと「あいつはインチキだ、看板に偽りありだ」という強い侮辱になります。犯罪の話ではなく相手の人格を否定する響きになるため、実際の会話で軽く使うのは避けましょう。

scam——日常会話で使う「詐欺」

意味は fraud とほぼ重なりますが、口語的でくだけた響きです。海外ドラマや友人同士の会話ではこちらの登場率が高くなります。

This email looks like a phishing scam.(このメールはフィッシング詐欺のようだ。)Don’t click that link. It’s a scam.(そのリンクは押さないで。詐欺だよ。)My grandmother almost lost her savings to a phone scam.(祖母は電話詐欺で貯金を失いかけた。)

フレーズ
It’s a scam. / I got scammed.
日本語訳
それは詐欺だよ。/詐欺に遭いました。
使う場面
怪しいメールや電話を見せられたときの決まり文句。I got scammed. は被害を報告するときの言い方で、警察や銀行への説明にも通じます。
注意点・誤用例
誤用例:I was scam.(scam は名詞または動詞なので、受動態にするなら I was scammed. とします。)また、正式な被害届や書面では scam より fraud のほうが場にそぐいます。
発音・ニュアンス
scam は「スキャム」。日本語の「スカム」に寄せると別語に聞こえるので、a の音を強めに出します。

swindle——「だまして金を巻き上げる」

お金を奪う点に着目した動詞です。「詐欺に遭う」と言いたいときは受動態にします。I was almost swindled by him. His business is a scam.(彼にだまされそうになった。彼の商売は詐欺だ。)It took me a while to realize I’d been swindled.(だまされたと気づくまで時間がかかった。)

They swindled her out of her life savings.(彼らは彼女の老後の蓄えをだまし取った。)この swindle 人 out of お金 の形を覚えると、被害の中身まで一文で言えるようになります。

fraudulence と fraudulent——「欺くという行為」

fraudulence は抽象名詞で、日本語の「欺瞞」に近い硬い語です。I’m really angry at his fraudulence.(彼の欺瞞的なふるまいに本当に腹が立っている。)We need to address fraudulence in online transactions.(オンライン取引における不正行為に対処する必要がある。)

実用度が高いのは形容詞の fraudulent(詐欺的な、不正な)です。a fraudulent website(詐欺サイト)、fraudulent charges(不正請求)のように、身近な話題でそのまま使えます。

rip-off——「ぼったくり」

厳密には詐欺ではなく、値段が不当に高いという不満を表す語ですが、混同されやすいので押さえておきましょう。Five thousand yen for a coffee? What a rip-off!(コーヒー一杯5000円? ぼったくりだ。)I got ripped off at that souvenir shop.(あの土産物屋でぼったくられた。)

基本語の輪郭がつかめたところで、いよいよ本題の「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」に入ります。

「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」を場面で選び分ける

この章の要点
  • 日本特有の犯罪名なので訳語は一つに定まらず、場面で選ぶのが現実的
  • 手口を説明するなら bank transfer scam、remittance fraud、wire transfer scam
  • It’s me scam は定着しつつあるが、初耳の相手には一文の説明が必須
  • grandparent scam や impersonation scam を使うと理解が早い

結論を先に置くと、相手が日本の事情を知らない前提で話すときは「手口を説明する語」を選び、そのうえで日本語の呼び名を添えるのが最も伝わります。単語一つで置き換えようとすると、どうしても情報が落ちるからです。

手口を説明的に伝える言い方

bank transfer scam と bank transfer fraud は、もっとも直訳に近く、銀行振込を使わせる点が明確です。remittance fraud の remittance は「送金」で、硬い文書や報道調の文脈に合います。

payment transfer scam は支払いの振込を求める詐欺という言い方。wire transfer scam は英語圏で電信送金を悪用する詐欺の名として使われており、海外の人にはこの語がもっとも想像しやすい場合があります。advance-fee scam は「先に手数料を払えば大きな利益が得られる」と誤信させる型で、振り込め詐欺の一部がここに当たります。

フレーズ
She was tricked into making a bank transfer to a stranger’s account.
日本語訳
彼女はだまされて、他人の口座に振り込んでしまいました。
使う場面
被害の経緯を第三者に説明するとき。ニュースの内容を英語で要約する練習にも向きます。
注意点・誤用例
誤用例:She was tricked to make a bank transfer.(trick は trick 人 into ~ing の形をとります。)また a stranger’s account の所有格を落として a stranger account とすると意味が崩れます。
発音・ニュアンス
tricked into は「トリックティントゥ」と一続きに。transfer は名詞では前、動詞では後ろにアクセントが寄る傾向があります。

もう一つ、家族に伝えるための一文も押さえておきましょう。Never transfer money to an account you were told about over the phone.(電話で聞いた口座に絶対にお金を振り込まないこと。)

「オレオレ詐欺」は It’s me scam

電話口で「オレだよ、オレ」と名乗るところから来た日本語なので、英語では It’s me scam、It’s me fraud と、そのまま持ち込む言い方が定着しつつあります。あわせて ‘ore-ore’ scam とローマ字表記のまま紹介されることもあります。

ただし、これだけでは初耳の相手に通じません。必ず一文の説明を添えてください。

フレーズ
An “It’s me” scam is a scam in which the caller pretends to be your son or grandson and asks for money by telling lies. It’s usually done over the phone.
日本語訳
オレオレ詐欺とは、電話をかけてきた人物があなたの息子や孫になりすまし、嘘をついてお金を要求する詐欺です。たいてい電話で行われます。
使う場面
海外の友人や同僚に日本の事情を説明するとき。in which を使った関係詞の練習素材にもなります。
注意点・誤用例
誤用例:It’s me scam is a scam that the caller pretends…(that では前置詞の関係が示せません。in which、または a scam where を使います。)また pretend to be の be を落とすのもよくある間違いです。
発音・ニュアンス
It’s me の部分はカギ括弧付きの引用として、少し区切って読むと「呼び名である」ことが伝わります。pretends to be は「プリテンズタビー」。

もっと広く「電話を使った詐欺」と言いたいなら phone scam、phone fraud、telephone fraud が便利で、日本語の「オレオレ詐欺」の訳としても使われます。

英語圏に実在する類似の手口——grandparent scam

英語圏で「オレオレ詐欺」にもっとも近い犯罪として知られているのが grandparent scam(祖父母詐欺)です。孫を装って「事故を起こした」「保釈金が必要だ」と高齢者に電話をかけ、送金させる手口で、北米では長年にわたり注意が呼びかけられています。

In the U.S., there’s a similar crime called the grandparent scam.(アメリカには祖父母詐欺と呼ばれる似た犯罪があります。)The scammer pretended to be her grandson and said he’d been in a car accident.(詐欺師は孫を装い、交通事故に遭ったと言いました。)

なりすまし全般を指すなら impersonation scam も便利です。警察官、銀行員、役所の職員を装う型まで一語で覆えます。My father got a call from someone claiming to be a police officer — a classic impersonation scam.(父は警察官だと名乗る人物から電話を受けました。典型的ななりすまし詐欺です。)

呼び名の選択が見えてきたら、次は手口ごとの名前をまとめて覚えてしまいましょう。

詐欺の種類を英語で言い分ける

この章の要点
  • fraud や scam の前に手段や対象を表す語を足すだけで、多くの手口が言える
  • phishing の派生として smishing(SMS)と vishing(音声通話)がある
  • 「特殊詐欺」の直訳 special fraud は通じにくいので補足説明を添える

語彙を増やすうえでいちばん効率がよいのは、修飾語+scam という組み立てを覚えることです。手段(phone、wire、one-click)、対象(tax refund、charity、investment)、感情(romance)のどれかが前に来ると理解しておけば、初めて見る語も推測できます。

代表的なものを見ていきます。phishing scam はフィッシング詐欺で、偽サイトやメールでIDやカード情報を抜く手口。SMSを使う型は smishing、音声通話を使う型は vishing と呼ばれます。

one-click fraud はワンクリック詐欺。広告や動画のリンクを一度押しただけで高額請求が届く型で、この英語はそのまま通じます。billing fraud と fake invoice scam は架空請求詐欺で、存在しない料金の請求書を送りつける手口です。

refund scam、tax refund scam は還付金詐欺。税金や保険料が戻ると言って口座情報を聞き出したり、ATM操作をさせる型です。charity fraud、charity scam は募金詐欺で、善意を利用する悪質な型。旅行先で観光客が声をかけられ、造花を服に留められて寄付を促されるという例も各地で報告されています。募金するなら、その場の勢いではなく、自分で調べた信頼できる団体に。

investment fraud は投資詐欺、Ponzi scheme は出資金を後続の出資者に回して配当を装う型のことです。romance scam は恋愛感情を利用して送金させる型、lottery scam は「当選しました」と持ちかけて手数料を振り込ませる型、tech support scam は偽のサポート窓口を装い遠隔操作や送金を求める型です。

catfishing はSNSで別人になりすます行為を指し、画像を加工して他人を装う文脈でも使われます。写真の加工そのものについて言うなら、This photo is definitely photoshopped.(この写真は絶対に加工されている。)This picture is totally fake.(この写真は完全に偽物だ。)が使えます。

注意点

日本の警察統計でいう「特殊詐欺」を special fraud と直訳しても、英語圏ではほぼ伝わりません。organized phone-based fraud targeting the elderly(高齢者を狙った組織的な電話詐欺)のように、手口と標的を補って説明してください。

明るいリビングでスマートフォンを耳から離し、疑わしげな表情で片手を上げて不審な電話を断ろうとしている人物
怪しいと感じた瞬間に言える一言を、あらかじめ準備しておく

名詞が整ったら、次は動きを表す語です。「騙す」と「騙される」を言い分けられると、状況説明が一気に立体的になります。

「騙す」「騙される」を動詞で言い分ける

この章の要点
  • だます側は trick、deceive、mislead、con、pose as を場面で選ぶ
  • cheat は「ズル」の色が濃く、詐欺の説明には不向きな場面がある
  • だまされた側は got scammed、fell for、was taken in by が使いやすい

同じ「だます」でも、英語は手段や結果によって語を替えます。まずは加害側の動詞から確認します。

だます側の動詞

trick はずるく賢い方法で相手を勘違いさせるイメージです。He tried to trick me into believing his story.(彼は私をだまして自分の話を信じ込ませようとした。)trick 人 into ~ing の型が頻出します。

deceive は「欺く」に近い、やや硬めの語。She deceived me by pretending to be someone else online.(彼女はネット上で別人を装って私を欺いていた。)mislead は「誤解させる」「誤った方向へ導く」で、必ずしも故意でない場合にも使えます。This ad could mislead people into paying money they don’t need to.(この広告は人々を誤解させ、不要な支払いをさせかねない。)

con は口語で「信用させてだます」。He conned her out of two million yen.(彼は彼女から200万円だまし取った。)pose as と pretend to be は「なりすます」で、He posed as a police officer.(彼は警察官を装った。)は詐欺の説明に必須の型です。

注意点

cheat は試験のカンニングや競技の不正といった「ズル」の色が濃く、さらに cheat on 人 は「浮気する」の意味になります。詐欺の話で He cheated me. と言うと、相手が別の話題を想像してしまうことがあるため、scammed や conned に替えるほうが安全です。

だまされる側の言い方

被害を語るときは、次の言い方を場面ごとに使い分けます。I got scammed.(詐欺に遭った。)I was taken in by a phone scam.(電話詐欺にだまされた。)She fell for it.(彼女は引っかかってしまった。)He was conned into transferring money.(彼はだまされて振込をしてしまった。)I almost got tricked.(もう少しで引っかかるところだった。)

フレーズ
Luckily, I didn’t take the bait.
日本語訳
幸い、その手には乗りませんでした。
使う場面
危ない誘いを回避した話の締めに。take the bait は「餌に食いつく」という比喩で、怪しい誘いに乗ってしまうことを表します。
注意点・誤用例
誤用例:I didn’t take a bait.(慣用句なので the bait と定冠詞にします。)釣りの話と混ざらないよう、文脈を先に示してから使いましょう。
発音・ニュアンス
bait は「ベイト」で、bat(バット)と混同しないように二重母音をしっかり伸ばします。

では、その行為をする人物は英語でどう呼ぶのでしょうか。

「詐欺師」を英語でどう呼ぶか

この章の要点
  • 日常会話では scammer がもっとも使いやすい
  • 報道調なら fraudster、金銭をだまし取る者は swindler
  • con artist は性別を問わず使え、手口の巧みさを含む

迷ったら scammer で問題ありません。Block that number. It’s a scammer.(その番号はブロックして。詐欺師だよ。)のように、日常の会話にそのまま乗ります。

fraudster はやや報道寄りの語で、イギリス英語でよく見かけます。swindler は金銭をだまし取る者。The swindler promised to double my money and then disappeared.(詐欺師は資金を倍にすると約束し、そのまま消えた。)

con man と con artist は手口の巧みさを含んだ「ペテン師」。con artist は性別を問わず使えるので便利です。ほかに trickster(人をかつぐ者。物語の「いたずら者」の意味も持ちます)、impostor(他人になりすます者)、scam artist(You are a scam artist. あなたは詐欺師だ。)があります。

興味深いのは、con man が confidence man の略だという点です。confidence(信用)という語が根にある。詐欺は結局のところ信用を利用する犯罪だという発想が、単語そのものに刻まれているわけです。

語彙が揃いました。ここからは、実際に電話を取ったその場で使える言い方に移ります。

不審な電話に出たときにそのまま使えるフレーズ

この章の要点
  • 確認・拒否・切断の三段構えで文を用意しておく
  • かけ直すときは相手が言った番号ではなく、公式サイトの番号を使う
  • 家族への注意喚起には red flag と rush someone が効く

とっさの場面で新しい文を組み立てるのは、母語でも難しいものです。だからこそ、あらかじめ型を持っておくと落ち着いて対応できます。確認、拒否、切断の順に並べます。

確認する

Who is this, please?(どちら様ですか。)Can I have your name and department?(お名前と部署を教えていただけますか。)I’ll call the bank back on the number listed on their website.(銀行のサイトに載っている番号にかけ直します。)Let me verify this first. I’ll call you back.(まず確認させてください。折り返します。)

フレーズ
I’ll call the bank back on the number listed on their website.
日本語訳
銀行の公式サイトに載っている番号にかけ直します。
使う場面
銀行やカード会社を名乗る電話を受けたとき。相手が本物なら、この申し出を嫌がる理由はありません。
注意点・誤用例
誤用例:I’ll call back the bank on the number you gave me.(相手が伝えた番号にかけ直すのでは確認の意味がありません。英語の正しさ以上に、行動としてこの点が重要です。)
発音・ニュアンス
call back の間は切らず、call the bank back のように目的語を挟む形も自然です。落ち着いた低めの声で言うと、押し切られにくくなります。

断る・切る

I’m not going to transfer any money over the phone.(電話で振込をするつもりはありません。)I don’t give out personal information over the phone.(電話で個人情報は伝えません。)Please don’t call this number again.(この番号には二度と電話しないでください。)I’m hanging up now.(もう切ります。)

いずれも短く、理由を説明していないところがポイントです。理由を述べると相手に反論の余地を与えてしまいます。I’m hanging up now. と言って切る、それで十分です。

家族に注意を促す

If someone asks you to transfer money right away, that’s a red flag.(すぐに振り込めと言われたら、それは危険信号だよ。)Call me first, no matter what they say.(相手が何を言っても、まず私に電話して。)Real police officers and bank staff never ask for your PIN.(本物の警察官や銀行員が暗証番号を聞くことはありません。)Take your time. Scammers always try to rush you.(急がなくていい。詐欺師はいつも急がせようとするから。)

red flag(危険信号)と rush someone(人を急かす)は応用の効く表現です。手口の共通点は「緊急性の演出」「秘密の要求」「即時の送金」の三点で、英語でも urgency, secrecy, and immediate payment としてしばしば注意喚起されています。

ここまでの語彙とフレーズを、ひとまとまりの説明に組み立ててみましょう。

日本の振り込め詐欺事情を英語で説明する

この章の要点
  • 呼び名、手口、類似犯罪、対策の順に並べると伝わりやすい
  • 「受け子」は a money mule または someone hired to collect the cash
  • 音読して自分の言葉に置き換えると、そのまま会話素材になる

海外の友人に日本の状況を伝えるとき、単語を並べるだけでは話が続きません。呼び名から入り、手口、似ている犯罪、対策の現状という順に置くと、相手が質問しやすい流れになります。

フレーズ(説明のモデル)
In Japan, there’s a type of phone fraud called “ore-ore sagi,” which literally means “it’s me, it’s me fraud.” A scammer calls an elderly person, pretends to be their son or grandson, and says something urgent — a car accident, a lost bag of company money, or debt. Then the caller asks them to transfer money into a bank account right away, or sends someone to pick up the cash in person. It’s very similar to what’s called the grandparent scam in North America. Police and banks put up posters everywhere, and ATMs display warnings, but new variations keep appearing.
日本語訳
日本には「オレオレ詐欺」と呼ばれる電話詐欺があります。文字どおりには「オレだよオレだよ詐欺」という意味です。詐欺師は高齢者に電話をかけ、息子や孫になりすまし、交通事故、会社の金を入れたカバンの紛失、借金など、緊急の話を持ち出します。そして、すぐに銀行口座へお金を振り込むよう求めたり、現金を直接受け取る人物を差し向けたりします。北米で祖父母詐欺と呼ばれるものによく似ています。警察も銀行もあちこちにポスターを貼り、ATMには警告が表示されますが、新しい手口が次々に現れています。
使う場面
海外の友人との雑談、オンラインレッスンでのフリートーク、留学先での文化紹介。
注意点
被害者を「だまされるほうが悪い」と印象づける言い方は避けましょう。They were careless. ではなく The scammers are extremely convincing.(詐欺師の話し方は非常に巧妙です。)と伝えると、事実に即して誤解も生みません。
発音・ニュアンス
which literally means の前で一拍置くと、聞き手が呼び名を受け取る時間ができます。urgent は「アージェント」で、最初の音節を強く。

現金を受け取りに来る役の人物を説明するなら a money mule、あるいは someone hired to collect the cash が使えます。My grandmother was told that a bank employee would come to pick up her cash card — that person was actually a money mule.(祖母は銀行員がカードを取りに来ると言われましたが、その人物は実際には受け子でした。)

説明ができるようになると、残るのは細かい文法の癖です。この話題で特に多いつまずきを集めました。

つまずきやすいポイントの整理

この章の要点
  • say と tell の使い分けが最大の関門
  • 肯定文の much money は避け、a lot of money にする
  • 声の話は sound like、警戒の促しは watch out for

先に挙げた会話には、あえて学習者らしい表現を残しておきました。ここで六か所を回収します。

一つ目は get a phone と get a phone call の混同です。電話がかかってきたなら call を落とさないこと。この一語の有無で意味が別物になります。

二つ目は He said to me you lost much money. のような語順と量の表現です。「彼は私に~と言った」は He told me (that) … が自然で、said to me は硬く響きます。また much money は肯定文では不自然になりやすく、a lot of money や a large sum of money が普通です。時間関係まで正確にするなら He told me that I had lost a lot of money. と過去完了にします。

三つ目は He said to me to pay money. です。命令や依頼を伝えるときは He told me to transfer the money. と tell を使います。say は「to+人」を挟んで不定詞につなぐ形を取りません。

四つ目は Your mother call you up. の三単現の抜けです。Your mother calls you up. と s を付けます。call up は「電話をかける」の口語表現で、give someone a call も同義です。

五つ目は be similar to と sound like の選択です。Your voice is similar to his. は文法的には成立しますが、You sound just like him. のほうが会話ではに自然に響きます。

六つ目は pay attention to strange stories の解釈です。pay attention to は「意識を向ける」で、警戒の色は薄い。危険を避けるよう促すなら Be careful of strange stories. や Watch out for suspicious calls. と言い換えると意図がはっきり伝わります。

注意点

被害を語る相手に You should have known better.(気づくべきだったのに。)と言うのは、英語では相当に冷たく、責める響きになります。I’m so sorry that happened to you.(そんなことになって本当に残念です。)から始めてください。

文法の穴が埋まったら、あとは口を動かす番です。

発音とリズムを整える三分間の練習

この章の要点
  • fraud は「フロード」、scam は「スキャム」と母音を意識する
  • 語のつながり(taken in by、fall for it、hung up)を音でまとめる
  • 強く読む語を一つだけ決めると、意図が伝わる話し方になる

この話題の語には、日本語話者が読み間違えやすい音がいくつか含まれています。先に確認しておくと、聞き取りも楽になります。

fraud は「フロード」で、au を「アウ」と読まない点が急所です。fraudulent は「フロージュレント」に近く、第一音節にアクセントが来ます。remittance は「リミタンス」で真ん中を強く、impersonation は「インパーソネイション」で ne の部分を強く読みます。

次に、語のつながりを三つ練習します。be taken in by は「テイクニンバイ」、fall for it は「フォーフォーリッ」、I hung up は「アイハンガップ」。単語ごとに区切らず、ひと息で言えるまで繰り返してください。

最後に、強調の練習です。同じ文でも、強く読む語で意味が動きます。I’m not going to transfer any money over the phone. の any を強めれば「一円も」、over the phone を強めれば「電話ではしない」という主張になります。強く読む語を一つだけ選ぶと決めておくと、話し方が急に大人びます。

音が整ったら、覚えたものを忘れない仕組みを作りましょう。

語彙を定着させる一週間の復習計画

この章の要点
  • 音読、置き換え、要約の三段階で記憶に残す
  • 自分の身近な話に引き寄せると定着しやすい
  • 三文要約の型を一つ作れば、あらゆる詐欺の話題に応用できる

単語リストを眺めるだけでは、いざというときに口から出ません。次の流れで一週間回すと、使える状態に近づきます。

初日から二日目は音読です。上の会話を声に出し、母親役の焦りと自分役の落ち着きを演じ分けてみてください。感情を乗せると Take a deep breath や Good call といった短いフレーズが体に残ります。

三日目から四日目は置き換え練習です。bank transfer scam の部分を phishing scam、romance scam、refund scam に差し替え、そのつど後半の説明文を作ってみる。My grandmother almost fell for a refund scam.(祖母は還付金詐欺に引っかかりそうになりました。)のように、自分の身の回りの話に寄せると記憶に残りやすくなります。

五日目から七日目は要約です。詐欺の事件をニュースで見たら、英語で三文にする。誰が、誰になりすまし、いくらを要求したか。A man posing as a bank employee called an 80-year-old woman and told her to transfer two million yen. She got suspicious and called the police.(銀行員を装った男が80歳の女性に電話し、200万円を振り込むよう指示しました。女性は不審に思い、警察に通報しました。)この型を一度作っておけば、多くの事件に応用できます。

ソファに座る家族三人が、スマートフォンの画面を一緒に見ながら笑顔で話し合っている様子
覚えたフレーズは、家族との約束ごとに変えたときに本当の力を持つ

そして、いちばん大切な仕上げがあります。If anything sounds urgent, hang up and call me back.(急ぎの話に聞こえたら、いったん切ってかけ直して。)この一文を、家族との合図として共有しておくこと。語学の勉強が、そのまま身近な人を守る備えに変わります。

一人で音読していると、通じる発音になっているか、断り方が失礼に響かないかが分かりにくいものです。会話の相手がいる環境で試してみたい方は、下の案内から様子を見てみてください。

最後に、この記事で扱った表現を一覧で振り返ります。

覚えておきたい表現の総ざらい

この章の要点
  • 硬い語と口語の対応を横に並べて確認する
  • 手口の名前は「修飾語+scam / fraud」で覚える
  • 行動を表す動詞(hang up、transfer、pose as)を最優先で口に出す

下の表は、印刷して手元に置くか、暗記アプリに写して使うことを想定して並べました。日本語から英語を言う向きで練習すると、実際の会話で取り出しやすくなります。

日本語 英語
詐欺(一般・硬め) fraud
詐欺(口語) scam
だまして金を取る swindle
振り込め詐欺 bank transfer scam / remittance fraud
オレオレ詐欺 It’s me scam / phone fraud
祖父母詐欺(英語圏の類似手口) grandparent scam
なりすまし詐欺 impersonation scam
フィッシング詐欺 phishing scam
架空請求詐欺 billing fraud / fake invoice scam
還付金詐欺 refund scam
募金詐欺 charity fraud
投資詐欺 investment fraud / Ponzi scheme
ロマンス詐欺 romance scam
ワンクリック詐欺 one-click fraud
詐欺師 scammer / con artist / swindler / fraudster
なりすます pose as / pretend to be
だまされる be taken in by / fall for / get scammed
もう少しで信じるところだった I almost believed him.
電話を切る hang up
危険信号 red flag
口座に振り込む transfer money into an account
受け子 a money mule

最後に、読者から寄せられやすい疑問に答えておきます。

よくある質問(FAQ)

この章の要点
  • 訳語選びは「相手が日本の事情を知っているか」で決まる
  • 被害の報告は I got scammed. が最も通りやすい
  • 用語解説カードで grandparent scam と money mule を再確認

「振り込め詐欺」を英語で一言で言うなら、どれが無難ですか?

bank transfer scam が最も無難です。銀行振込という手段と詐欺という性質が二語で示されるため、日本の事情を知らない相手でも手口を推測できます。硬い文書や報道調の文脈では remittance fraud、電信送金を悪用する型として説明したいときは wire transfer scam を選ぶとよいでしょう。

It’s me scam は英語ネイティブに通じますか?

日本の犯罪を紹介する文脈では使われていますが、初めて聞く相手には通じません。An “It’s me” scam is a scam in which the caller pretends to be your son or grandson and asks for money by telling lies. のように一文の説明を添えるか、英語圏で知られている grandparent scam に置き換えると理解が早くなります。

fraud と scam はどちらを使えばいいですか?

場面の硬さで選びます。ニュース、法律、被害届、会社の報告などの公的な文脈では fraud、友人や家族との会話では scam が自然です。意味はほぼ重なるので、迷ったら会話では scam、書き言葉では fraud と覚えておけば大きく外れません。

「詐欺に遭った」は英語でどう言いますか?

I got scammed. が最も口にしやすく、広く通じます。ほかに I was taken in by a phone scam.、He was conned into transferring money.、She fell for it. などがあり、未然に終わった場合は I almost got tricked. や I nearly fell for it. と言えます。I was scam. は誤りで、受動態にするなら scammed とします。

英語で不審な電話を受けたら、最初に何と言えばいいですか?

Who is this, please? と相手を確認し、続けて Let me verify this first. I’ll call you back. と伝えるのが安全です。かけ直すときは相手が言った番号ではなく、公式サイトに載っている番号を使ってください。振込や個人情報を求められたら I’m not going to transfer any money over the phone. I’m hanging up now. と短く断って切ります。

「特殊詐欺」は英語でどう説明すればいいですか?

直訳の special fraud は英語圏でほぼ通じません。organized phone-based fraud targeting the elderly のように、電話が中心である点、組織的である点、高齢者が狙われる点を補って説明すると伝わります。個別の手口名を添えると、さらに具体的になります。

用語解説:grandparent scam

孫を装って高齢者に電話をかけ、事故や保釈金といった緊急の事情を訴えて送金させる手口を指す英語です。北米で長年注意が呼びかけられており、日本の「オレオレ詐欺」を説明するときの橋渡しとして使えます。

用語解説:money mule

他人の犯罪収益の受け取りや送金に関与する人物を指す語で、日本語の「受け子」「出し子」に近い意味で使われます。説明的に言うなら someone hired to collect the cash となります。

まとめ:今日から持ち歩ける一文

この章の要点
  • 手口の共通点は urgency, secrecy, and immediate payment
  • 知識は、とっさの場面で静かに効く
  • 家族との合図を一文だけ決めておく

冒頭の会話に出てきた母親は、ニュースを覚えていたことで踏みとどまりました。知識は、こういうときに静かに効きます。逆に言えば、聞いたことがない手口には誰でも弱いということです。

相手が狙うのは油断ではなく、家族を心配する気持ちのほうです。だからこそ、あらかじめ家族と「お金の話は必ず折り返してから」と決めておくのが、いちばん確実な備えになります。urgency, secrecy, and immediate payment——この三つがそろったら、いったん立ち止まる。英語でも日本語でも、判断の基準は同じです。

If anything sounds urgent, hang up and call me back. この一文を、大切な人に伝えておいてください。そして自分のためにも、I’m hanging u

ほぼ通じません。organized phone-based fraud targeting the elderly のように、電話が中心である点、組織的である点、高齢者が狙われる点を補って説明すると伝わります。個別の手口名を添えると、さらに具体的になります。” } } ] }