なぜNZ人は「キウイ」と呼ばれる?果物・鳥・人のKiwiの謎を解く英語雑学

  1. 会話で学ぶ英語表現

なぜNZ人は「キウイ」と呼ばれる?果物・鳥・人のKiwiの謎を解く英語雑学

こんにちは。スーパーの果物売り場で、一年中見かける「キウイフルーツ」。その甘酸っぱい味は、私たちにとってすっかりお馴染みですよね。ところで、「キウイ」と聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?実はこの一つの単語には、果物、鳥、そしてニュージーランドの人々という、3つの異なる意味が隠されています。そして、その背景には壮大な歴史と驚きのマーケティング戦略が。この記事では、その謎を解き明かす英語雑学の旅にご案内します。言葉の奥深さを知ると、コミュニケーションはもっと楽しくなります。本格的に学びたい方は、会話の実践ができる英語教室を覗いてみるのも良いでしょう。さあ、知的好奇心の扉を開けてみましょう!

あなたの知っている「キウイ」はどれ?3つの”Kiwi”

まず、この物語の主役である3種類の「Kiwi」を整理しておきましょう。スペルはすべて同じ“Kiwi”ですが、指し示すものが異なります。

  • 1. 果物の「キウイフルーツ (Kiwifruit)」: 私たちが日常的に食べている、緑や黄色の果肉を持つフルーツ。栄養価が高いことでも知られています。
  • 2. 鳥の「キーウィ (Kiwi Bird)」: ニュージーランドにのみ生息する、飛べない珍しい鳥。国の象徴であり、国鳥に指定されています。
  • 3. 人々の「キーウィ (Kiwi People)」: ニュージーランド人自身が親しみを込めて自らを指す愛称。

これら3つの「Kiwi」は、一体どのようにつながっているのでしょうか?その謎を解く鍵は、ウィリアム先生とヒカリの会話にありました。

英会話で探る!「キウイ」の語源ミステリー

キウイフルーツが大好きなヒカリが、ニュージーランド出身のウィリアム先生と話しています。

【会話で学ぶ】ウィリアム先生とヒカリの発見

Mr. Williams: Hikari, you have kiwifruit in your lunch every day. I guess you like kiwifruit, don’t you?

(ヒカリさん、毎日お弁当にキウイフルーツが入っていますね。キウイフルーツが好きなんですね?)

Hikari: Yes, I do! I’m crazy about kiwifruit. Especially the gold type.

(はい、そうなんです!キウイフルーツに夢中なんです。特にゴールド種が好きです。)

Mr. Williams: That’s great. The export of kiwifruit is a national project in New Zealand, you know.

(それはいいですね。キウイフルーツの輸出はニュージーランドの国家的な事業なんですよ。)

Hikari: I know that New Zealanders call themselves “Kiwi”. Does that name come from the fruit?

(ニュージーランドの人たちが自分のことを「キーウィ」と呼ぶのは知っていますが、その名前はフルーツから来ているのですか?)

Mr. Williams: That’s an excellent question. People call themselves “Kiwi”, but it doesn’t come from the fruit. It comes from a bird, the “Kiwi”.

(いい質問ですね。自分たちのことは「キーウィ」と呼びますが、それは果物から来たのではありません。鳥の「キーウィ」から来ているんです。)

Hikari: A bird? I haven’t heard of it. Does it only live in New Zealand?

(鳥ですか?聞いたことがありませんでした。ニュージーランドだけに住んでいるのですか?)

Mr. Williams: Yes, you’re right. The Kiwi is an endemic species in New Zealand, and it’s our national bird. Also, this bird is known as a flightless bird.

(ええ、その通りです。キーウィはニュージーランドの固有種で、国鳥でもあるんですよ。さらに、この鳥は飛べない鳥として知られています。)

Hikari: Flightless? You mean it can’t fly? How interesting!

(飛べない?飛ぶことができないということですか?面白いですね!)

夜の森の中、地面を長いくちばしで探っているニュージーランドの国鳥キーウィ。

これがニュージーランドの国鳥、キーウィ。フルーツとは似ていませんね。

会話のポイント解説:覚えておきたい英単語

会話に出てきた重要単語をおさらいしましょう。元の文章の単語も合わせて解説します。

  • be crazy about ~ : 「〜に夢中である、〜にはまっている」。(元の文の I’m in crazy on は文法的に不自然なため、こちらが一般的です)
  • national project : 国家事業、国家的なプロジェクト。
  • endemic species : 固有種。特定の地域にしか生息しない動植物のこと。
  • national bird : 国鳥。国を象徴する鳥。
  • flightless bird : 飛べない鳥。元の文にある “earthbound bird” も「地上性の鳥」という意味で使えますが、”flightless” の方がより直接的で一般的です。

衝撃の事実!キウイフルーツのルーツは中国にあった

会話で判明したように、ニュージーランド人の愛称は「鳥」が由来でした。では、なぜ「果物」が鳥と同じ名前を持つようになったのでしょうか?その答えは、キウイフルーツの意外な出自にあります。

チャイニーズグースベリーの房と、スライスされたキウイフルーツが並べてあり、品種改良の歴史を示している。

左が原種のチャイニーズグースベリー、右がお馴染みのキウイフルーツ。見た目も大きく変わりました。

元の名は「チャイニーズグースベリー」

実は、私たちが知るキウイフルーツは、もともとニュージーランド原産ではありません。そのルーツは、中国の長江流域に自生していた「オニマタタビ」という植物にあります。

20世紀初頭、この植物の種がニュージーランドに持ち込まれ、園芸家たちの手によって長年にわたる品種改良が行われました。その結果、美味しくて商業栽培に適した、現在のキウイフルーツの原型が誕生したのです。

そして、当初この果物は「Chinese Gooseberry(チャイニーズグースベリー)」と呼ばれていました。「中国のすぐり」という意味で、その出自を素直に表した名前でした。

なぜ「キウイフルーツ」に?驚きのマーケティング戦略

1950年代、ニュージーランドはこの新しい果物をアメリカへ輸出しようと試みます。しかし、ここで問題が発生しました。

当時のアメリカは冷戦の真っ只中。「チャイニーズ」という名前が共産圏である中国を連想させ、消費者から敬遠される可能性があったのです。さらに「グースベリー」という名前もアメリカ人には馴染みが薄く、関税も高くなるという問題がありました。

そこで、ニュージーランドの輸出業者は、この果物に新しい名前を付けることを決意します。自国のシンボルであり、ユニークで覚えやすい名前…彼らが選んだのが、国鳥の名を冠した「Kiwifruit」だったのです。

この改名戦略は大成功を収め、「キウイフルーツ」という名前は世界中に広まり、「ニュージーランド産の特別な果物」というブランドイメージを確立しました。フルーツが鳥の名前を名乗るようになったのは、国家的な一大マーケティング戦略の結果だったのです。

国の象徴「キーウィ鳥」が愛称になった歴史的背景

では、なぜそもそも鳥の「キーウィ」が、ニュージーランド人にとってそれほど特別な存在なのでしょうか。その歴史を紐解いてみましょう。

飛べない国鳥、キーウィとはどんな鳥?

キーウィ鳥は、ダチョウやエミューと同じく、飛べない鳥「走鳥類」の仲間です。主な特徴は以下の通りです。

  • 夜行性で、日中は巣穴に隠れている。
  • 羽毛は毛のようにふわふわしている。
  • 長いくちばしの先端に鼻の穴があり、鋭い嗅覚で地面の中の虫を探して食べる。
  • 体のサイズに比べて非常に大きな卵を産む。

天敵のいなかったニュージーランドで独自の進化を遂げた、まさに国の宝と言える存在です。

軍のバッジから始まった「Kiwi」の愛称

ニュージーランドの人々が「Kiwi」と呼ばれるようになった直接のきっかけは、19世紀後半にさかのぼります。当時、ニュージーランドの連隊が帽子のバッジにキーウィ鳥のデザインを採用しました。

このシンボルは第一次世界大戦でさらに広まります。戦地に赴いたニュージーランド兵士たちは、その勇敢さと親しみやすさから、他国の兵士たちに「Kiwis」という愛称で呼ばれるようになりました。兵士たちもこの呼び名を誇りに思い、自ら使うようになったのです。

戦争から帰還した兵士たちを通じて、この愛称はニュージーランド国内にも広まり、やがて国民全体のニックネームとして定着していきました。

ラグビー選手、ニュージーランドドル硬貨、軍のバッジを組み合わせたコラージュ画像。

スポーツから経済まで、ニュージーランドの文化に「Kiwi」は深く根付いています。

スポーツから金融まで広がる「Kiwi」の呼び名

一度定着した「Kiwi」の愛称は、様々な分野に広がっていきます。

  • スポーツ: ラグビーリーグのニュージーランド代表チームの愛称は、まさに「the Kiwis」です。
  • 金融: 外国為替市場では、ニュージーランドドルのことを「Kiwi」または「Kiwi dollar」と呼ぶのが一般的です。
  • 企業名や商品名: 靴磨きクリームの「Kiwi」ブランド(実はオーストラリア発ですが、創業者の妻がニュージーランド出身だったことに由来)など、多くの場面で使われています。

このように、「Kiwi」は単なるニックネームを超え、ニュージーランドのアイデンティティそのものを象徴する言葉となっているのです。

まとめ:「Kiwi」を知ればニュージーランドがもっと好きになる

さて、「Kiwi」をめぐる長い旅はいかがでしたか?最後に、3つのKiwiの複雑な関係を整理しましょう。

  1. まず、ニュージーランドの「鳥」が国の象徴となり、そこから「人々」の愛称が生まれた。
  2. その後、中国生まれの果物がニュージーランドで品種改良され、そのマーケティング戦略として、国の象徴である「鳥」の名前を借りて「キウイフルーツ」と名付けられた。

つまり、「人」と「果物」のKiwiは、どちらも「鳥」のKiwiに由来していたのです。普段何気なく口にしている果物の名前に、これほど壮大な歴史と文化、そして人々の知恵が詰まっているとは驚きですよね。

身近な言葉の裏側にある物語を知ることは、異文化理解の素晴らしい第一歩です。次にキウイフルーツを食べる時は、ぜひニュージーランドの空を(飛べないけれど)夢見るキーウィ鳥に思いを馳せてみてください。

それではまた、See you!

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オリビア (Olivia) この記事を書いた人

英語講師として10年以上の指導経験を持つ。イギリスにルーツを持ち、多様な文化背景を活かした視点からの英語指導が得意。実践的な英会話力の育成はもちろん、丁寧な発音・文法指導で学習者の目標達成をサポートすることに情熱を注ぐ。
自身の経験に基づき、キャリアアップや異文化理解に繋がる英語学習のヒント、言語を通したコミュニケーションの魅力などを発信していく。モットーは「楽しく、着実に」。教材作成、レッスンカリキュラム、講師育成など幅広い分野で活躍。

  
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