道路標識にアルファベットが書かれているのに、「読めても意味が分からない」と感じたことはありませんか。たとえば、郵便局を示す文字が「Yubinkyoku」だけなら日本語の音は再現できますが、日本語を知らない旅行者には何の施設なのか伝わりにくいでしょう。
交通標識の英語表記を理解する鍵は、ローマ字と英語を同じものとして扱わないことです。ローマ字は主に日本語の「読み」を示し、英語は施設や地形の「意味」を伝えます。この役割分担が分かれば、Tokyo Station、Ueno Park、Asakusa Police Stationといった表示を迷わず分解できるようになります。
このページでは、固有名詞と普通名詞の分け方、駅・道路・橋・役所などの表記、ヘボン式ローマ字の注意点、外国人旅行者への道案内まで順番に学べます。短いフレーズを声に出して練習したい場合は、英語教室で発音や会話の流れを確認する方法もあります。
最初から長い英文を覚える必要はありません。まずは「名称のどこが地名で、どこが施設の種類なのか」を見抜き、次にGo straightやTurn leftのような短い案内を加えていきましょう。
交通標識のアルファベットは英語とは限らない
- ローマ字は日本語の音、英語は対象の意味を伝える
- 地名などの固有名詞と、施設の種類を表す普通名詞を分けて考える
- 案内標識では両方を組み合わせることで目的地を特定しやすくなる
最初に押さえたいのは、アルファベット表記と英語表記は別物だという点です。日本語をラテン文字に置き換えたものはローマ字であり、英単語へ翻訳したものとは役割が異なります。
「国会」をKokkaiと書けば、日本語でどう発音するかは推測できます。しかし、Kokkaiという語を知らない人には、それが立法機関を指すとは分かりません。The National Dietやthe National Diet Buildingと示せば、対象の性質まで伝えられます。
同じことは、YubinkyokuとPost Office、ShiyakushoとCity Hall、KoenとParkにも当てはまります。前者は日本語の読みを文字にしたもの、後者は英語として意味を表したものです。
| 日本語 | 読みを示す表記 | 意味を示す英語 |
|---|---|---|
| 郵便局 | Yubinkyoku | Post Office |
| 市役所 | Shiyakusho | City Hall |
| 警察署 | Keisatsusho | Police Station |
| 公園 | Koen | Park |
| 駅 | Eki | Station |
| 橋 | Hashi | Bridge |
それでは地名もすべて英語へ訳せばよいのでしょうか。答えは違います。ShinjukuやGinzaのような地名を英単語へ置き換えると、住所、駅名、地図アプリ、予約情報との対応が分かりにくくなります。
そこで、地名や人名に当たる固有名詞はローマ字で残し、駅、川、公園などの種類を示す普通名詞は英語にする考え方が使われます。Tokyo StationならTokyoが固有名詞、Stationが普通名詞です。

国土交通省四国地方整備局の案内でも、案内標識は日本語にローマ字を併記することを原則とし、地名などの固有名詞にはヘボン式ローマ字、駅や河川などの普通名詞には英語を使う考え方が示されています。つまり、ローマ字をなくすのではなく、読みと意味の両方を伝えようとしているのです。
基本構造が見えたところで、次は街で出会いやすい施設名を具体的に整理しましょう。
駅・役所・病院・警察署などの基本表記
- 施設の規模や行政区分によって選ぶ英単語が変わる
- 市役所と区役所、病院と診療所を同じ語で処理しない
- 実際の案内では施設が定めた英語名称を優先する
公共施設の英語表記は、単語を一つ覚えるだけでなく、日本語側の区分まで確かめることが大切です。特に役所と医療施設は、似た英語を機械的に当てはめると、別の種類の施設として受け取られることがあります。
| 日本語 | 基本となる英語 | 組み合わせ例 |
|---|---|---|
| 市役所 | City Hall | Yokohama City Hall |
| 区役所 | Ward Office | Chiyoda Ward Office |
| 町役場 | Town Office | ○○ Town Office |
| 村役場 | Village Office | ○○ Village Office |
| 警察署 | Police Station | Asakusa Police Station |
| 交番 | Police Box | Police Boxまたは公式名称 |
| 病院 | Hospital | Sensoji Hospital |
| 診療所 | Clinic | ○○ Clinic |
| 小学校 | Elementary School | ○○ Elementary School |
| 中学校 | Junior High School | ○○ Junior High School |
| 高等学校 | High School | ○○ High School |
| 空港 | Airport | Haneda Airport |
City HallとWard Officeを区別する
市役所は一般にCity Hall、区役所はWard Officeです。名称に役所が含まれるからといって、すべてを同じOfficeにするのではなく、行政区分に対応する語を選びます。
City Officeという表記を採用する自治体もあり、公式名称は一律ではありません。標識、自治体の外国語ページ、施設入口の表示で同じ名称が使われているか確認すると安全です。
Police StationとPolice Boxを区別する
警察署にはPolice Stationが一般的です。Police Officeでも意図を推測してもらえる可能性はありますが、施設の案内として自然な選択はPolice Stationです。一方、日本の交番はPolice Boxと示されることがあります。
道案内で「警察の建物」とだけ言いたいときも、相手が探しているのが警察署なのか交番なのか確かめましょう。大きな警察署を探している人に小さな交番を案内すると、手続きができないことがあります。
HospitalとClinicを区別する
Hospitalは入院設備や複数の診療部門を備える医療施設に使われることが多く、Clinicは比較的小規模な診療所に使われる傾向があります。日本語の「病院」を一律にClinicへ置き換えないことが重要です。
施設名には運営者が定めた英語名称がある場合があります。一般的な訳語だけで決めず、公式サイト、建物の表示、公的な地図を優先してください。
入口・出口・交差点も覚えておく
移動中に特に役立つのがEntrance、Exit、Intersectionです。Entranceは入口、Exitは出口、Intersectionは交差点を表します。駅の出口番号ならExit 1、Exit A2のように番号や文字と組み合わせます。
ただし、高速道路の出入口、建物の出入口、駅の改札口では、表示に使われる語が異なることがあります。改札口はticket gateやgate、高速道路の出入口にはinterchange、entrance、exitなどが使われるため、対象を先に確認しましょう。
施設名の基本を覚えたら、次は地名の中に含まれる「川」「橋」「山」をどう扱うかがポイントになります。
固有名詞と普通名詞を分ける追加方式・置換方式
- 名称全体の読みを残して英語を加える方法と、種類を示す部分を英語に置き換える方法がある
- 日本語名との照合しやすさ、認知度、公式表記を考慮する
- 漢字を見ただけで一律にRiverやBridgeへ変換しない
山、川、橋を含む名称は、英語部分を後ろに足す方法と、名称の一部を英語へ置き換える方法に分けて考えられます。どちらかが常に正しいのではなく、日本語名との対応を保てるかが判断材料になります。
追加方式は名称全体の音を残す
追加方式では、日本語名称の読みをローマ字にした後で、Mountain、River、Bridgeなどを加えます。たとえばArakawa Riverなら、Arakawaという名称全体を残し、川であることをRiverで補っています。
- 荒川:Arakawa River
- 月山:Mt. Gassanまたは案内で定められた表記
- 駒形橋:Komagatabashi Bridge
- 雷門:Kaminarimon Gate
Arakawaのkawaはすでに「川」に由来するため、Arakawa Riverは意味の上で川が重なっているように見えます。それでも、日本語で呼ばれる音を保ちながら対象の種類を伝えられるという利点があります。
旅行者が地図でArakawaと見て、日本人に「Arakawa」と尋ねる場面では、名称全体が残っているほうが照合しやすいでしょう。音声案内や検索語との一致も期待できます。
置換方式は種類を表す部分を英語にする
置換方式では、名称に含まれる普通名詞部分を英語へ変えます。Tokyo Station、Ueno Park、Tone River、Sakura Bridgeなどが分かりやすい形です。
- 東京駅:Tokyo Station
- 上野公園:Ueno Park
- 利根川:Tone River
- 桜橋:Sakura Bridge
- 富士山:Mt. Fuji
この方法は英語として簡潔で、標識の表示幅も抑えやすくなります。ただし、普通名詞部分を取り除いた結果、固有名詞が短すぎたり、日本語名とのつながりが見えにくくなったりする場合には注意が必要です。
「かっぱ橋」はKappa Bridgeではない
「かっぱ橋」のbashiは橋に由来しますが、Kappabashiは地域名として定着しています。東京都の観光案内などでは、かっぱ橋道具街にKappabashi Kitchenware Townという名称が使われています。
Kappa Bridgeと独自に訳すと、実在する橋を指しているように聞こえ、地図検索でも目的地と一致しない可能性があります。地域名としてのKappabashiを保ち、必要に応じてKitchenware Town、Street、districtなどを添えるほうが伝わりやすくなります。
「馬道通り」の道は固有名詞の一部
馬道通りでは、Umamichiが固有名詞、Streetが道路の種類を示す部分と考えられます。Uma Streetのように「馬」だけを残すと、日本語名との対応が崩れてしまいます。
- 馬道:Umamichi
- 通り:Street
- 馬道通り:Umamichi Street
言問通りも、文字の意味から独自の英訳を作るのではなく、Kototoi Streetなど現地で採用されている名称を確認します。名称に含まれる漢字が普通名詞に見えても、地域固有の呼び名として切り離せないことがあるためです。
橋、川、山、道という漢字があっても、その部分が名称と切り離せるとは限りません。地図、道路標識、自治体、施設運営者が使う名称を照合し、独自の直訳を避けましょう。
Street・Avenue・Roadの選び方
streetは街中の通り、avenueは比較的大きな通り、roadは地点間を結ぶ道路に幅広く使われます。laneは細い道や小路、highwayは幹線道路、expresswayは高速道路を表す際に使われます。
ただし、日本の道路名を話し手の感覚だけでStreetからAvenueへ変えるのは避けましょう。同じ道路が媒体ごとに別名で表示されると、旅行者は別の道だと考えるかもしれません。正式表示を優先し、会話の中でも同じ名称を使うことが大切です。
名称の組み立て方を理解したら、次はローマ字部分を正しく読むためのヘボン式を確認します。
交通標識で見かけるヘボン式ローマ字の読み方
- し・ち・つ・ふなどはshi・chi・tsu・fuと表す
- 連濁によりhashiがbashi、kawaがgawaになることがある
- 媒体ごとに表記規則が異なる場合があるため、一つの案内内では統一する
道路案内標識で地名の読みを示す際は、ヘボン式ローマ字が基本になります。英語話者が日本語の音に近い形で読みやすいよう、shi、chi、tsuなどのつづりを使う方式です。
| 日本語 | ヘボン式 | 含まれる例 |
|---|---|---|
| し | shi | Shinjuku |
| ち | chi | Chiyoda |
| つ | tsu | Otsuka |
| ふ | fu | Fuji |
| しゃ | sha | Shakujii |
| しょ | sho | Shiyakusho |
| ちゃ | cha | Chayamachi |
| じょ | jo | Joetsu |
Shiyakushoのshoを確認する
市役所を読みとして示すならShiyakushoです。「しょ」はshoなので、Shiyakusyoとは異なります。標識を読む際は、つづりを英単語として分析するのではなく、日本語の音を写したものだと理解しましょう。
長音が省略される場合がある
日本語の長音は、道路標識では長音符号を使わずに示されることがあります。たとえば郵便局はYubinkyokuのように表されます。別の媒体では母音を重ねたり、長音記号を使ったりすることがあり、表記が一種類だけとは限りません。
パスポート、鉄道事業者、自治体、民間地図では、それぞれの規則や長年の慣用表記が採用される場合があります。案内文を作るときは、複数の方式を一つの資料内で混在させないようにします。
hashiがbashi、kawaがgawaになる
日本語では、語が結び付いたときに後ろの音が濁る「連濁」が起こります。橋は単独ならhashiですが、日本橋はNihombashi、新橋はShimbashi、かっぱ橋はKappabashiとなります。
- 橋:hashi
- 日本橋:Nihombashi
- 新橋:Shimbashi
- かっぱ橋:Kappabashi
川もkawaだけでなくgawaになる場合があります。漢字だけを見て読みを決めるのではなく、正式な地名の読みを確認する必要があります。
NihonbashiではなくNihombashiと書く理由
ヘボン式では、「ん」の後ろにb、m、pが続くとき、nをmとして表すことがあります。そのため、日本橋はNihombashi、新橋はShimbashiと表記されます。英語の音のつながりを考えると、mのほうが実際の発音に近づきやすいためです。
見慣れたつづりと異なっていても、すぐに誤記とは判断できません。鉄道駅名、道路名、行政上の名称には慣用表記があるため、公式の表示を確認してください。
標識の英語を声に出す練習
発音練習では、名称全体を一息で読むより、固有名詞と普通名詞に分けると取り組みやすくなります。Tokyo|Station、Asakusa|Police Station、Ueno|Parkのように区切って読みましょう。
英語部分は、最後の強い子音を意識します。Parkのk、Streetのt、Leftのtを完全に消さず、短く止める感覚です。一方、日本語由来の地名は無理に英語風へ変えず、相手が地図上のつづりと照合できる速さで伝えます。
読み方の準備ができたところで、標識を実際の道案内にどう結び付けるか見ていきましょう。
外国人に道を尋ねられたときの基本フレーズ
- 道案内は短い命令文と目印を組み合わせれば伝えやすい
- 左右は案内される人が進む向きを基準にする
- 距離や時間に自信がなければaboutなどで幅を持たせる
道案内では、複雑な文法よりも、方向、曲がる場所、目印の三つを順番に伝えることが重要です。Go straight+Turn+目印という形だけでも、実用的な案内を組み立てられます。
- フレーズ
- Could you tell me how to get to Kappabashi Kitchenware Town?
- 日本語訳
- かっぱ橋道具街への行き方を教えていただけますか。
- 使う場面
- 知らない人や駅員に、目的地までの経路を丁寧に尋ねる場面です。
- 注意点・誤用例
- May I ask you the way to …?でも意図は伝わりますが、日常会話ではCould you tell me how to get to …?が自然です。最初にExcuse me.を添えると丁寧です。
- 発音・ニュアンス
- Could youは会話で「クッジュー」に近くつながります。命令ではなく、相手に依頼する柔らかな表現です。
- フレーズ
- I’d like to walk there.
- 日本語訳
- そこまで歩いて行きたいです。
- 使う場面
- 徒歩経路を案内してほしいと伝える場面です。Can I walk there from here?なら、歩ける距離かどうかも尋ねられます。
- 注意点・誤用例
- I want to go there by walk.とは言いません。「徒歩で」はon foot、または動詞walkを使います。
- 発音・ニュアンス
- I’d like toは「アイド・ライクトゥ」のようにつなげます。I want toより控えめで、旅行中の希望を丁寧に伝えられます。
- フレーズ
- Go straight along this street.
- 日本語訳
- この通りに沿ってまっすぐ進んでください。
- 使う場面
- 現在いる道路から離れず、そのまま直進してもらう場面です。
- 注意点・誤用例
- Walk the street.では、道路を歩き回るような曖昧な意味になり得ます。経路に沿うことを示すならwalk alongまたはgo straight alongが明確です。
- 発音・ニュアンス
- straightのstrを一つのまとまりとして発音し、最後のtを短く止めます。alongを加えると「道に沿って」という経路が明確になります。
- フレーズ
- Turn left at the second intersection.
- 日本語訳
- 2つ目の交差点で左へ曲がってください。
- 使う場面
- 曲がる場所を交差点の順番で指定する場面です。信号を目印にするならat the traffic lightsを使えます。
- 注意点・誤用例
- in the second intersectionではなく、曲がる地点にはatが自然です。小さな路地を交差点として数えるか曖昧な場合は、建物などの目印も添えます。
- 発音・ニュアンス
- Turn leftを一まとまりで読み、leftの最後を短く止めます。手ぶりを添える場合も、相手が進む方向から見た左を示します。
- フレーズ
- You’ll see a police station on your right.
- 日本語訳
- 右手に警察署が見えます。
- 使う場面
- 曲がり角や目的地の手前にある目印を伝える場面です。
- 注意点・誤用例
- at the right sideよりon your rightが自然です。話し手自身の右ではなく、旅行者が進んだときの右側を指します。
- 発音・ニュアンス
- You’ll seeは「ユル・スィー」に近くつながります。未来の経路上で自然に見えてくる目印を伝える表現です。
- フレーズ
- Cross the street at the traffic lights.
- 日本語訳
- 信号のところで道路を渡ってください。
- 使う場面
- 安全に横断できる信号や横断歩道の場所を示す場面です。横断歩道ならUse the pedestrian crossing.とも言えます。
- 注意点・誤用例
- Crossには「横切る」という意味があるため、cross over the streetと重ねる必要はありません。歩道橋を使うならTake the pedestrian overpass.です。
- 発音・ニュアンス
- trafficは最初のtraに強さを置きます。安全な横断地点を示すため、指差しと組み合わせると明確です。
- フレーズ
- It’s across from City Hall.
- 日本語訳
- それは市役所の向かいにあります。
- 使う場面
- 目的地と目印になる建物の位置関係を伝える場面です。
- 注意点・誤用例
- across fromは道路などを挟んだ向かい側です。単に隣ならnext to、二つの建物の間ならbetween A and Bを使います。
- 発音・ニュアンス
- acrossの後半crossをやや強く読みます。City Hallが固有の公式名称なら、冠詞を付けずに使うことがあります。
- フレーズ
- It takes about ten minutes on foot.
- 日本語訳
- 徒歩で10分ほどかかります。
- 使う場面
- 目的地までのおおよその所要時間を伝える場面です。
- 注意点・誤用例
- by walkではなくon footを使います。所要時間に確信がなければabout、roughly、I thinkを添え、断定を避けます。
- 発音・ニュアンス
- aboutを入れると「およそ」という幅が生まれます。ten minutesは複数形のsを軽く残します。
使える表現はほかにもあります。Keep going straight.は「そのまま直進」、Take the first street on your left.は「最初の道を左へ」、It’s just past the bridge.は「橋を過ぎた少し先」です。
- Follow this road until you reach the station.:駅に着くまでこの道を進んでください。
- Make a right just after the post office.:郵便局を過ぎたところで右へ曲がってください。
- Go across the bridge.:橋を渡ってください。
- It’s next to the post office.:郵便局の隣です。
- It’s between the bank and the convenience store.:銀行とコンビニの間です。
- It’s not far from here.:ここからそれほど遠くありません。
- It’s a little too far to walk.:歩くには少し遠すぎます。
- You may want to take a bus.:バスを使ったほうがよいかもしれません。
道路工事、通行止め、私有地、車両専用道路などがある場合は、分かる範囲で安全な経路を案内してください。経路に自信がなければ、地図や近くの案内所を一緒に確認するほうが安全です。

個々のフレーズが分かったら、会話の中でどの順番に使うかを確認しましょう。
浅草からかっぱ橋道具街へ案内する会話例
- 現在地、進行方向、曲がる場所、目印の順に伝える
- Kappabashiのような公式案内で使われる名称を選ぶ
- 聞き手に復唱してもらうと左右や交差点の誤解を減らせる
会話では、すべての説明を一度に詰め込まないことが大切です。まず現在地を確認し、次に最初の曲がり角を伝え、相手の反応を見ながら続きを話します。これなら聞き手が途中で情報を見失いにくくなります。
- フレーズ
-
旅行者:Excuse me. Could you tell me how to get to Kappabashi Kitchenware Town?
案内する人:Of course. You’re now in front of Kaminarimon Gate.
旅行者:I’d like to walk there. Can I get there on foot?
案内する人:Yes. Walk along this street and turn left at the intersection.
旅行者:Which street will I be on?
案内する人:You’ll be on Kototoi Street. Keep going straight until you reach the intersection near the elementary school.
旅行者:How long will it take?
案内する人:It should take a few minutes from there. You’ll see a hospital and a police station on your left.
旅行者:So I go straight and turn left at that intersection, right?
案内する人:That’s right. Walk a little farther, and you’ll soon reach Kappabashi.
旅行者:Thank you very much.
案内する人:You’re welcome. - 日本語訳
-
旅行者:すみません。かっぱ橋道具街への行き方を教えていただけますか。
案内する人:もちろんです。今、雷門の前にいます。
旅行者:歩いて行きたいです。徒歩で行けますか。
案内する人:はい。この通りに沿って歩き、交差点で左へ曲がってください。
旅行者:どの通りに出ますか。
案内する人:言問通りに出ます。小学校近くの交差点まで、そのまま直進してください。
旅行者:どのくらいかかりますか。
案内する人:そこから数分ほどです。左手に病院と警察署が見えます。
旅行者:まっすぐ進み、その交差点で左へ曲がるのですね。
案内する人:そのとおりです。もう少し歩けば、まもなくかっぱ橋に着きます。
旅行者:どうもありがとうございます。
案内する人:どういたしまして。 - 使う場面
- 浅草周辺で徒歩経路を尋ねられた状況を想定した練習です。実際の案内では、現在地、工事、横断可能な場所、目的地の入口を地図で確認してください。
- 注意点・誤用例
- 案内役の名称にPassengerを使うと、電車やバスの乗客という意味になります。役割名にはLocal、Passerby、Residentなどが適しています。You are at in front of …のようにatとin front ofを重ねないようにします。
- 発音・ニュアンス
- 長い地名は急いで発音せず、Kappabashi|Kitchenware Townのように区切ります。So I go straight … right?という復唱は、経路を確認する自然な方法です。
現在地はatかin front ofで表す
You are at Kaminarimon Gate.なら「雷門という地点にいる」、You are in front of Kaminarimon Gate.なら「雷門の前にいる」という違いがあります。at in front ofのように二つを重ねる必要はありません。
一文につき一つの動作を伝える
初対面の人へ案内するときは、Go straight, turn left, cross the street, and take the second rightのように動作を連続させすぎないほうが親切です。一文を短くし、必要なら地図上で区間ごとに示します。
特に左右は、向かい合って話していると互いに反対になります。on your left、on your rightと相手基準で言い、手を同じ方向へ向けて確認しましょう。
聞き取れなかったときの支援表現
目的地名を聞き取れないときは、分かったふりをせず、Could you show me the place on your map?と頼めます。「地図でその場所を見せてもらえますか」という意味です。
- Could you say the name again?:名前をもう一度言っていただけますか。
- Could you show me the address?:住所を見せていただけますか。
- Do you mean this place?:この場所のことですか。
- I’m not sure, but the information center may be able to help.:確かではありませんが、案内所なら分かるかもしれません。
会話が成立しても、目的地の英語名と日本語名が結び付かなければ、タクシーや現地で困ることがあります。次は、名称を確実に照合する方法を見ていきます。
公式英語名の確認と誤訳を防ぐ手順
- 名称を固有名詞と普通名詞に分けてから公式表記を探す
- 施設サイト、現地標識、地図で同じ場所を指すか照合する
- タクシーでは日本語名、住所、地図のピンも用意する
誤訳を防ぐ最も確実な方法は、辞書の訳語だけで完成させず、実際に使われている名称を照合することです。正しい英単語を使っていても、施設公式の名称と違えば、地図検索や予約画面で見つからないことがあります。
手順1:固有名詞と普通名詞に分ける
浅草警察署ならAsakusaが固有名詞、Police Stationが施設の種類です。上野公園ならUenoが固有名詞、Parkが普通名詞です。この分解をせず、Asakusa KeisatsushoやUeno Koenだけにすると、日本語を知らない人には施設の種類が伝わりません。
手順2:施設自身が使う英語名を探す
施設公式サイト、自治体の外国語ページ、公的な観光案内、鉄道会社の駅案内を確認します。同じ施設について複数の候補がある場合は、施設自身の表示や地域内で統一されている名称を優先します。
たとえば、かっぱ橋道具街はKappabashi Kitchenware Townという名称で案内されています。直訳だけに頼らず、検索される名称、標識に出る名称、現地で通じる日本語の読みを一組にして覚えましょう。
手順3:現地標識と地図を照合する
作成した英語名を地図で検索し、意図した施設が表示されるか確認します。別の場所が出る、候補が多すぎる、検索結果が出ない場合は、名称だけでなく住所や地域名を補います。
Kaminarimon、Kaminari-mon、Kaminarimon Gateのように、媒体によってハイフンや補足語が異なる場合もあります。一つだけを無条件に正解とせず、利用者が現地表示と結び付けられるかを見ます。
手順4:意味と検索可能性の両方を確認する
英語話者に意味が伝わるだけでは不十分です。日本語を知らない人がその表記を地図へ入力し、目的地を見つけられるかも確認します。反対に、ローマ字だけで検索できても、駅、病院、橋のどれなのか分からなければ案内として弱くなります。
必要なのは、意味が分かることと現地名へ到達できることの両立です。英語名と日本語名を並べた対訳表を作ると、案内板、ウェブページ、印刷物で表記をそろえやすくなります。
手順5:表記リストを管理する
同じ施設が、道路標識ではCity Hall、地図ではMunicipal Office、パンフレットではCivic Centerとなっていると、利用者は別の施設だと考えるかもしれません。施設名、道路名、駅名、日本語表記、英語表記、参照先を一覧にしておくと、担当者が変わっても統一しやすくなります。
タクシーでは英語名だけに頼らない
タクシー運転手へThe National Diet Buildingと伝えても、英語名と「国会議事堂」がすぐに結び付かない場合があります。Ward Officeだけでは、どの区役所なのかも特定できません。
そこで、日本語の施設名、住所、地図のピン、電話番号、近くの駅を一緒に見せます。英語表記を使うことと、日本語名を使わなくすることは同じではありません。両方を結び付けることで確認しやすくなります。
- フレーズ
- Could you take me to the National Diet Building? Here is the address in Japanese.
- 日本語訳
- 国会議事堂までお願いします。こちらが日本語の住所です。
- 使う場面
- タクシーで英語の目的地名を伝え、日本語の住所も見せる場面です。
- 注意点・誤用例
- Please go National Diet.のように前置詞を省かず、take me toまたはI’d like to go toを使います。似た施設がある場合は地域名も示します。
- 発音・ニュアンス
- take me toは「テイク・ミー・トゥ」と区切れば十分です。Here is …を使うと、口頭説明から画面や紙を見せる動作へ自然につなげられます。
- I’d like to go to Taito City Office. I’ll show you the location on the map.:台東区役所へ行きたいです。地図で場所をお見せします。
- It’s near Asakusa Station. This is the Japanese name of the hotel.:浅草駅の近くです。こちらがホテルの日本語名です。
- Please follow this map pin.:この地図のピンを目印に進んでください。
住所や地図を見せるときは、不要な個人情報や宿泊予約番号まで表示しないようにしてください。目的地名と所在地が分かる範囲だけを提示します。
確認手順が分かったら、自分の街を題材に短時間で練習できる形へ落とし込みましょう。
自分の街でできる実践トレーニング
- 身近な五つの施設を英語と日本語の組で覚える
- 地図を見ながら一文ずつ道案内を声に出す
- 翌日、一週間後にも同じ経路を再現して定着を確かめる
知識を実際に使える形へ変えるには、遠い観光地より、自宅や職場の周辺を題材にするのが取り組みやすい方法です。駅、公園、病院、警察署、市役所など、普段から位置関係を知っている施設を五つ選びます。
練習1:施設名を二つの部分に分ける
ノートの左に日本語名、中央に固有名詞、右に普通名詞を書きます。たとえば「上野公園」なら「上野|公園」「Ueno|Park」です。「浅草警察署」なら「浅草|警察署」「Asakusa|Police Station」とします。
- 地図から身近な施設を五つ選ぶ
- 名称を固有名詞と普通名詞に分ける
- 施設公式サイトまたは公的案内で英語名を確認する
- 地図でその英語名を検索する
- 日本語名と英語名を声に出して読む
この練習では、最初から多くの名称を集めるより、五つを正確に照合することを優先します。読みと意味を一組にすると、標識を見たときに施設の種類をすばやく判断できます。
練習2:三文だけで道案内する
出発地点から目的地までを、まず三文に収めます。第一文で直進、第二文で曲がる場所、第三文で目印を伝えます。細かな説明は後から加えればよく、最初は経路の骨組みだけで構いません。
- フレーズ
- Go straight for two blocks. Turn right at the traffic lights. The post office will be on your left.
- 日本語訳
- 2区画まっすぐ進んでください。信号で右へ曲がってください。郵便局が左手にあります。
- 使う場面
- 比較的単純な碁盤目状の道路で、郵便局まで案内する練習です。
- 注意点・誤用例
- blockで数えにくい地域では、for about 200 metersやuntil you reach the traffic lightsに置き換えます。実際の距離が分からないまま数値を断定しないようにします。
- 発音・ニュアンス
- 三文の間に短い間を置き、手順を区切って伝えます。will be on your leftは、進んだ先に目印が現れることを自然に示します。
練習3:地図を隠して再現する
地図を見ながら二回話した後、画面や紙を隠して同じ経路を説明します。途中で止まったら、方向、曲がる地点、目印のどこが抜けたかを確認します。英文を丸ごと暗記するより、情報の順番を再現できるかを見る練習です。
練習4:質問される側も演じる
一人で練習するときも、旅行者と案内する人の両方を演じられます。Excuse me.から始め、目的地を尋ね、自分で答え、最後にSo I turn right at the station, correct?と確認します。
- 旅行者:How can I get to the nearest station?
- 案内する人:Go straight and turn left at the convenience store.
- 旅行者:Is it within walking distance?
- 案内する人:Yes. It’s about a five-minute walk.
- 旅行者:So the station will be on my right?
- 案内する人:Yes, that’s right.
練習5:復習の間隔を空ける
練習した直後に言えるだけでなく、翌日にも同じ案内を再現してみます。その後、一週間ほど空けて再び地図を見ずに話し、忘れた表現だけを確認します。
復習時は、目的地を入れ替えると応用力を確かめられます。StationをParkへ、Police StationをCity Hallへ変え、前置詞や方向表現がそのまま使えるか試してください。

発音や会話の順番を一人で判断しにくい場合は、短い道案内を相手に聞いてもらう方法があります。最初は三文だけ用意し、相手が地図上で同じ目的地へたどり着けるか確認すると、改善点が見えやすくなります。
街で標識を見たときの30秒チェック
実際の標識を見つけたら、最初に英語部分を隠すつもりで日本語名を読み、次に固有名詞と普通名詞へ分けます。その後、英語表記を見て自分の予想と一致したか確かめます。
- 固有名詞はどこか
- 施設や地形の種類は何か
- ローマ字は日本語のどの音を示すか
- 地図の名称と一致するか
- その場所を一文で案内できるか
この確認を続けると、標識を単なるアルファベットの列ではなく、目的地へ導く情報として読めるようになります。最後に、迷いやすい疑問をQ&Aで整理します。
交通標識の英語表記に関するQ&A
- ローマ字が残るのは日本語名との対応を保つため
- 表記が揺れるときは公式名称と現地表示を優先する
- 道案内では短い英語、日本語名、地図を組み合わせる
交通標識にローマ字が残っているのはなぜですか?
地名などの日本語の読みを示し、地図、住所、駅名、現地で使われる名称と結び付けるためです。施設や地形の種類は英語で補い、読みと意味の両方が伝わる形にします。
アルファベットで書かれていれば英語ですか?
必ずしも英語ではありません。YubinkyokuやShiyakushoは日本語の音を表すローマ字で、Post OfficeやCity Hallは施設の意味を伝える英語です。
市役所と区役所は英語でどう区別しますか?
市役所はCity Hall、区役所はWard Officeが基本です。ただし、自治体が別の公式英語名を採用している場合は、その名称を優先します。
Arakawa Riverは「川」が重なっていて間違いですか?
意味の上ではkawaとRiverが重なって見えますが、日本語名称の音を残しながら川であることを伝える追加方式として使われます。個別の名称では公式標識や地図の表記を確認してください。
Street、Avenue、Roadは自由に選んでよいですか?
一般的な意味の違いはありますが、日本の道路名では公的な標識、自治体、地図で使われる名称を優先します。同じ道路を案内の途中で別の語へ変えないことが大切です。
外国人に道を聞かれたら長い英文が必要ですか?
長い英文は必要ありません。Go straight、Turn left、It’s on your rightのような短い表現に、目印、指差し、地図を組み合わせれば経路を伝えられます。
公式英語名が見つからない場合はどうしますか?
自治体の外国語ページ、施設入口の表示、公的な観光案内、鉄道会社の案内、地図を順に確認します。それでも不明なら、日本語名のローマ字と施設の種類を示す一般的な英語を併記し、住所も添えます。
タクシーでは英語の施設名だけで通じますか?
通じない場合があります。日本語の施設名、住所、地図のピン、近くの駅を一緒に示すと、目的地を照合しやすくなります。
交通標識を読むときは、ローマ字か英語かを最初に見分けます。次に、地名などの固有名詞と、Station、Park、River、Bridge、City Hallのような普通名詞へ分ければ、表示が伝えようとしている内容をつかみやすくなります。
案内する側になったときは、流暢さより確認を優先してください。短い方向表現、日本語の名称、英語の名称、地図を組み合わせれば、聞き間違いや目的地の取り違えを減らせます。
まずは今日、最寄り駅の周辺にある標識を一つ見て、固有名詞と普通名詞を分けてみましょう。その標識を使ってGo straight、Turn left、It’s on your rightの三文を作れば、読む練習から使う練習へ進めます。
参考:国土交通省四国地方整備局「国際化に対応する英語表記」、東京都公式観光サイト「Kappabashi Kitchenware Town」

