バス停で時刻表とスマートフォンを見比べている外国人旅行者に「Excuse me…」と声をかけられて、頭の中が真っ白になった経験はありませんか。行き先を聞かれているのは分かる。バスも間もなく来る。それでも、整理券のことも、両替機のことも、降車ボタンのことも、どう英語にすればいいのか分からない。そのまま「Sorry, I don’t speak English.」と言ってしまい、あとで悔しくなる。
安心してください。バスの案内が難しく感じられる原因は、英語力ではありません。説明すべき手順が多いこと、そして日本のバス特有の仕組みに英語圏の対応物がないことが原因です。逆に言えば、手順を五つに整理して、それぞれに一文ずつフレーズを用意しておけば、使う文法は中学レベルで足ります。
この記事では、バス停で実際に交わされるやり取りを丸ごと再現した会話文から始めて、均一運賃と距離制運賃の説明手順、整理券や両替機といった訳しにくい装備の言い方、get on と take の使い分け、乗り過ごしや乗り換えへの対応、そして声に出して確認できる練習素材まで、順番に組み立てていきます。読み終えたときには、次に声をかけられたときの一言目と二言目が口から出てくる状態になっているはずです。学習をさらに深めたい方は英語教室のような対話練習の場も選択肢になりますが、まずはここにあるフレーズを声に出してみてください。
では、いちばん実感の湧く場所から入りましょう。バス停での会話を、最初から最後まで通して見ていきます。

バス停でのやり取りを丸ごと再現する
- 案内の骨組みは「情報の入手先→乗り場→乗車口→整理券→運賃の払い方」の五段階
- この五段階を押さえれば、どの路線でも同じ型で応用できる
- 会話は長い一文ではなく、短い一文を並べる方が伝わる
- 語彙は route map、catch a bus for、fare、change a bill into が中心
結論から言えば、バスの案内で必要な会話は一つの型に収まります。まずは羽田空港行きのバスを案内する場面を通して読み、その型を体感してください。細かい語法はこのあと一つずつ分解していきます。
会話:羽田行きのバスを案内する
- 場面設定
- A visitor talks to you.(観光客があなたに話しかけてきます)
- 会話
- Visitor: Excuse me. Where can I get a bus route map?
You: You can get it at the information center. Can I help you?
Visitor: Could you tell me where I can catch a bus for Haneda?
You: Well, take the bus for Haneda Airport. Oh, that bus is coming there! I’ll get on it, too. We can board the bus through the front door.(You board the bus.)
You: Take a ticket.
Visitor: All right.
You: There’s a number written on the ticket. You can see a price list to the left of the driver. The number and the amount of the fare are indicated on that list. Some coins are needed. You can change a bill into small coins by the money changing machine next to the driver.
Visitor: Oh, I see. Thanks. - 日本語訳
- 旅行者:すみませんが。バスの路線図はどこで入手できますか?
あなた:インフォメーションセンターで入手できます。お手伝いしましょうか?
旅行者:羽田行きのバスはどこで乗れるのか教えてください。
あなた:ええ、羽田空港行きのバスに乗ってください。あ、そのバスがそこに来ています! 私もそれに乗ります。前のドアからバスに乗ることができます。(バスに乗る)
あなた:券を取ってください。
旅行者:わかりました。
あなた:券には番号が書かれています。運転手の左側に運賃表があります。その番号と料金がリストに示されています。いくらか小銭が必要になります。運転手の隣にある両替機で札を小銭に換えることができます。
旅行者:ああ、わかりました。ありがとう。 - 使う場面
- 距離制運賃の路線で、自分も同じバスに乗る場合。整理券を取る動作から運賃の確認方法まで、車内で並んで説明できる状況を想定しています。
- 発音・ニュアンス
- fare は「フェア」に近く、fair と同じ響きです。route は英米で「ルート」「ラウト」と分かれますが、どちらでも通じます。Take a ticket. のような短い命令形は、指で発券機を示しながら言うと命令的に響かず、案内として自然に受け取られます。
ワンポイント語彙
この会話に出てきた語彙を整理します。どれも案内の場面で繰り返し使うものばかりです。
- visitor:訪問客、観光客
- route map:路線図
- Could you ~?:~していただけますか?
- which:どの(限られた候補から選ぶとき)
- catch a bus for ~:~行きのバスに乗る
- is coming there:そこまで来ている
- get on:(電車・バスなどに)乗る
- board:乗車する(やや硬い語)
- through:~を通って
- the front door:前のドア
- amount of ~:~の量(ここでは「~の額」)
- fare:運賃
- indicate:~を示す
- change a bill into ~:札を~に換える
- small coin:小銭、小額硬貨
この会話には、案内の骨組みがほぼ全部入っています。情報の入手先を教える(information center)、行き先別の乗り場を示す(a bus for Haneda)、乗車口を伝える(the front door)、整理券を取らせる(take a ticket)、運賃の確認方法を示す(price list)、支払いに必要な現金を用意させる(small coins / money changing machine)。
つまり、五段階を順番に一文ずつという進め方が案内の基本形です。長い説明を一気に話す必要はまったくありません。
ただし、この型がそのまま当てはまらない路線もあります。都心の均一運賃のバスでは整理券を取りませんし、支払いのタイミングも逆です。では、その違いをどう見分け、どう説明すればよいのでしょうか。
説明の前に押さえたい日本のバスの二つの型
- 日本のバスは「均一運賃・前乗り前払い型」と「距離制運賃・整理券型」の二つに大別できる
- 型を先に見極めないと、支払いのタイミングを逆に伝えてしまう
- 均一運賃は flat rate / flat fare、距離制は distance-based fare と表現する
- 整理券は a numbered ticket と説明しないと切符と誤解される
案内を始める前に確認すべきことは一つだけです。目の前のバスが均一運賃型なのか、距離制運賃型なのか。ここを取り違えると、支払いのタイミングも整理券の要否もすべて逆になり、相手を混乱させたまま送り出してしまいます。
見分け方は単純です。乗車口に整理券の発券機があれば距離制、なければ均一運賃です。都心の路線バスは前扉から乗って乗車時に払う均一運賃、郊外や地方の路線は整理券を取って降車時に払う距離制、というのが大まかな傾向です。

均一運賃・前乗り前払い型の説明
都営バスや多くの市街地路線は、どこまで乗っても同額です。この型で伝えるべきことは「金額」「払うタイミング」「乗降口」の三点だけで、整理券の説明は不要になります。
- フレーズ
- You can go anywhere within the Tokyo metropolitan area at a flat rate of 210 yen.
- 日本語訳
- 東京都内なら210円の均一料金でどこへでも行けます。
- 使う場面
- 「ここからいくらですか」と料金を聞かれたとき。行き先を言わなくても運賃が決まる路線だと伝える場面です。
- 注意点・誤用例
- 金額だけを「210 yen」と答えても通じますが、「どこまで乗っても同じ」という情報が抜けると、相手は行き先を告げなければならないと思い込んだまま乗車します。at a flat rate of ~ を添えるのが要点です。なお fare は「運賃」、rate は「料率・単価」で、flat fare / flat rate はどちらも使えます。
- 発音・ニュアンス
- metropolitan は「メトロポリタン」の「ポ」に強勢が来ます。長くて言いにくければ、in Tokyo と短く言い換えても意味は通じます。
- フレーズ
- You have to pay up front to the driver when you get on the bus.
- 日本語訳
- 乗るときに運転手さんに前払いしてください。
- 使う場面
- 均一運賃のバスに乗ろうとしている人に、支払いのタイミングを伝える場面。
- 注意点・誤用例
- pay up front は「前払いする」という決まった言い方です。pay in front と言うと「前の方で払う」という位置の話に聞こえてしまいます。位置を示したいときは pay at the front door と表現を変えてください。
- 発音・ニュアンス
- have to は「ハフトゥ」と濁らずに発音します。命令的に響くのが気になる場合は You’ll need to pay when you get on. と言い換えると柔らかくなります。
乗降口と整理券の要否も続けて伝えておくと、乗車後に迷いません。
- We get on the bus at the front door, and get off at the rear door.(前扉から乗って、後ろの扉から降ります)
- It’s a flat fare, so you don’t need to take a ticket.(均一運賃なので、整理券は必要ありません)
- Just pay 210 yen into the box next to the driver.(運転手の隣の箱に210円入れるだけです)
- The fare is the same no matter how far you go.(どこまで乗っても運賃は同じです)
距離制運賃・整理券型の説明
郊外路線や地方の路線では、乗った停留所によって運賃が変わります。冒頭の会話がまさにこの型で、乗車時に整理券を取り、降車時に精算します。伝える順番は「整理券を取る→番号を運賃表で探す→降りるときに払う」の三段階です。
- フレーズ
- This is a distance-based fare, so please take a numbered ticket when you get on.
- 日本語訳
- 距離制運賃なので、乗るときに整理券を取ってください。
- 使う場面
- 整理券方式のバスに乗ろうとしている人に、最初の動作を指示する場面。発券機を指で示しながら言うと確実です。
- 注意点・誤用例
- 単に take a ticket と言うと「切符を買う」と誤解され、券売機を探し始める人がいます。a numbered ticket、または a boarding ticket with a number on it のように「番号が書かれた券」と説明してください。
- 発音・ニュアンス
- distance-based は「ディスタンスベイスト」と一続きに読み、based にわずかな強勢を置きます。numbered は「ナンバード」で、d の音を落とさないよう意識してください。
- フレーズ
- Look for your number on the board above the driver, and the amount below it is your fare.
- 日本語訳
- 運転手の上の表示で自分の番号を探すと、その下の金額が運賃です。
- 使う場面
- 車内で、整理券と運賃表示の対応関係を説明する場面。降車前に自分の運賃を確認してもらうために使います。
- 注意点・誤用例
- 運賃表は a fare table、a fare chart、a fare display、a price list など複数の言い方があり、どれでも通じます。ただし a price tag(値札)は別物なので使いません。
- 発音・ニュアンス
- Look for ~(探す)と Look at ~(見る)は前置詞で意味が変わります。ここは「探す」なので for です。表示板を指差しながら言うと、前置詞を聞き取れなくても伝わります。
支払いのタイミングと、券をなくさないよう伝える一言も加えましょう。
- The number on your ticket matches the number on the fare display at the front.(整理券の番号が前方の運賃表示の番号と対応しています)
- Please pay when you get off, at the front door.(降りるときに前扉で支払ってください)
- Don’t lose it — you’ll need it to pay.(支払いに必要なのでなくさないでください)
- Put the ticket and the money into the fare box together.(整理券とお金を一緒に運賃箱に入れてください)
整理券を取らずに乗ってしまうと、降車時に始発停からの運賃を請求される場合があります。案内する側が「整理券が必要かどうか」を言い切れないときは、Please watch what other passengers do at the door.(扉のところで他の乗客の動きを見てください)と伝える方が、誤った断定より安全です。
両替と支払い手段の説明
車内両替機は日本のバスならではの装備で、これを知らないまま乗ると車内で立ち往生します。千円札のみ対応という点まで伝えられると、案内の質が一段上がります。
- You can change a bill into coins at the machine next to the driver.(運転手の隣の機械で札を硬貨に換えられます)
- The machine only accepts 1,000-yen bills.(その機械は千円札しか使えません)
- Please get the exact amount ready.(お釣りのいらない金額をご用意ください)
- Buses don’t give change, so the machine is there for that.(バスはお釣りが出ないので、そのための機械です)
- You can pay in cash or with an IC card like Suica or PASMO.(現金か、SuicaやPASMOなどのICカードで支払えます)
- Just tap your card on the reader when you get on and again when you get off.(乗るときと降りるときにカードを読み取り機にタッチするだけです)
- If you’re taking buses three or more times today, an unlimited ride one-day pass is a good idea.(今日3回以上バスに乗るなら、一日乗り放題パスがおすすめです)
- You can buy an IC card at the station, and you can use it on trains, too.(ICカードは駅で買えて、電車にも使えます)
冒頭の会話にあった Some coins are needed. という控えめな言い方も実用的ですが、You’ll need coins or an IC card. のように選択肢を並べる方が、相手は次の行動を決めやすくなります。
ここまでで、バスの型に応じた説明の骨格ができました。次は、実際の案内で必要になる場面別のフレーズを、バス停の位置から乗り過ごしへの対応まで順に見ていきます。
場面別に使える案内フレーズ
- 停留所を指す語は bus stop / bus station / bus terminal を規模で使い分ける
- 行き先を示す前置詞は for が基本、動詞を伴うときは go to に切り替わる
- 「あと5分で」は in five minutes、after は使わない
- 降車ボタンの案内には let the driver know が最適
案内の場面は、およそ七つに分類できます。バス停の場所、どのバスに乗るか、待ち時間と所要時間、乗り降りの動作、降車ボタン、車内でのやり取りと乗り換え、情報の入手先。それぞれに定型フレーズを用意しておけば、その場で英作文をする必要がなくなります。
バス停の場所を教える
停留所を指す語は規模で使い分けます。街角の停留所は bus stop、複数路線が集まる発着所は bus station、始発・終着の大規模な拠点は bus terminal です。この区別を意識するだけで、相手が探す対象の大きさが伝わります。
- The bus stop is right in front of the convenience store.(バス停はコンビニのちょうど前にあります)
- It’s at the southwest corner of this intersection.(この交差点の南西の角にあります)
- Go out the east exit and you’ll see the bus terminal on your left.(東口を出ると左手にバスターミナルが見えます)
- The stop for the airport bus is at Bay 4.(空港バスの乗り場は4番乗り場です)
- You’re waiting at the right bus stop.(このバス停で合っていますよ)
- I’m afraid you’re waiting at the wrong bus stop. The one you want is across the street.(残念ながらこのバス停は違います。向かい側です)
- It’s about a two-minute walk from here. I’ll walk you there.(ここから徒歩2分ほどです。ご一緒しますよ)
- フレーズ
- It’s at the southwest corner of this intersection.
- 日本語訳
- この交差点の南西の角にあります。
- 使う場面
- 大きな交差点の周辺に複数のバス停が散っているとき。地図アプリを見ている相手には方角が最も伝わりやすい情報です。
- 注意点・誤用例
- 方角を組み合わせるときは南北が先に来ます。northeast、southwest が正しい語順で、eastnorth や westsouth という形は存在しません。また、乗り場番号は英語圏では Bay、Platform、Stand と表示されることが多いため、「4番乗り場」は Bay 4 や Stand 4 と言い添えると理解が早まります。
- 発音・ニュアンス
- intersection は「インターセクション」で、セに強勢が来ます。言いにくければ this corner や this crossing でも十分に伝わります。
どのバスに乗るかを伝える
同じバス停に複数の路線が停まる場合、番号と行先表示の確認を促すことが最も重要になります。番号を言うだけでなく、乗る前に表示を見るよう促す一文を添えてください。
- Take the number 12 bus from that stop. It goes directly to the museum.(あの停留所から12番のバスに乗ってください。博物館まで直行です)
- This bus goes to Kumamoto Station via Kumamoto Castle.(このバスは熊本城経由で熊本駅に行きます)
- Make sure the sign says “For Haneda Airport.”(行先表示が「羽田空港行き」になっているか確認してください)
- Both buses stop here, so please check the number before you get on.(どちらのバスもここに停まるので、乗る前に番号を確認してください)
- The limousine bus is the easiest way to the airport with big luggage.(大きな荷物があるなら、空港へはリムジンバスが一番楽です)
- There are two routes with the same number. Look for the one that says “via the hospital.”(同じ番号で二つの経路があります。「病院経由」と書かれた方を探してください)
行き先を示す前置詞は for が基本です。a bus for Haneda、the bus for Shinjuku Station のように使います。ただし動詞を伴う場合は This bus goes to ~ と to に切り替わります。This bus goes for Shinjuku. は不自然に響くため、for と to の切り替えを意識してください。
待ち時間と所要時間を伝える
時間の情報は、相手が「このまま待つべきか」を判断する材料になります。ここで前置詞を間違えると意味がぼやけるので、in を使う点だけは確実に押さえておきましょう。
- The next bus is coming in about five minutes.(次のバスはあと5分ほどで来ます)
- The buses come every ten minutes.(バスは10分間隔で来ます)
- The buses seem to be delayed due to a traffic jam.(渋滞でバスが遅れているようです)
- How long does it take?(どのくらいかかりますか?)
- It takes about twenty-five minutes.(25分ほどです)
- It’s about fifteen minutes by bus from here.(ここからバスで15分ほどです)
- The last bus leaves at 10:40 p.m.(最終バスは午後10時40分発です)
- It might take longer in the evening because of traffic.(夕方は渋滞でもっとかかるかもしれません)
- フレーズ
- The next bus is coming in about five minutes.
- 日本語訳
- 次のバスはあと5分ほどで来ます。
- 使う場面
- 時刻表を見て、次の便までの時間を伝える場面。「ここで待っていればいいですか」と聞かれたときの返答としても使えます。
- 注意点・誤用例
- 「あと5分で」を after five minutes とすると不自然です。経過時間の「~後に」は in を使い、in five minutes とします。after は「特定の出来事のあとで」という意味なので、after this bus leaves のような使い方になります。
- 発音・ニュアンス
- is coming と現在進行形にすると、確定した近い未来を表せます。will come より「もう来ることになっている」という確実さが出るため、時刻表を見ながら伝える場面に合います。
所要時間を聞かれたときの take は「(時間が)かかる」の意味です。on foot、by train、from here to the station などを続ければ条件を絞り込めます。How long does it take from here to the museum by bus? のように長く尋ねられても、答えは It takes about twenty minutes. の一文で足ります。

乗り降りの動作を伝える
乗降の動詞は、乗り物の大きさで決まります。バスや電車のように歩いて乗り込む乗り物には get on / get off、車やタクシーのように身をかがめて入る乗り物には get in / get out を使うのが基本です。
- Please get on at the front door.(前の扉から乗ってください)
- Please get off at Ueno Station.(上野駅前で降りてください)
- Get off at the third stop.(3つ目の停留所で降りてください)
- It’s the fifth stop from here.(ここから5つ目です)
- Please move to the back so others can get on.(他の方が乗れるよう奥へ進んでください)
- Please hold on to the strap or the handrail.(つり革か手すりにつかまってください)
- Priority seats are near the door.(優先席は扉の近くにあります)
- You can put your suitcase in that space by the door.(スーツケースは扉横のスペースに置けます)
board は搭乗・乗車を表す改まった語で、掲示やアナウンス向きです。会話では get on の方が自然に響きますが、冒頭の会話にあった We can board the bus through the front door. のように、丁寧に伝えたい場面では使えます。
降車ボタンとアナウンスを案内する
日本のバスは、降りる人がボタンで意思表示しなければ通過することがあります。この習慣を知らない人は多く、伝えておく価値が最も高い情報のひとつです。
- フレーズ
- When you hear the announcement for your stop, press the button to let the driver know.
- 日本語訳
- 降りる停留所のアナウンスが聞こえたら、ボタンを押して運転手に知らせてください。
- 使う場面
- 乗車前でも車内でも使えます。降車方法の説明として、案内の締めに置くと相手の不安が大きく減ります。
- 注意点・誤用例
- let the driver know の let は「相手が~できるようにする」という許可のニュアンスを持つ使役動詞で、tell の直接的な響きよりも柔らかく届きます。同じ「~させる」でも have は役割として当然のことを頼む場合(I’ll have the driver stop the bus.)、make は本人の意思に関わらず強制する場合に使われ、案内の場面ではまず let が選ばれます。let のあとの動詞は原形なので、let the driver to know とはしません。
- 発音・ニュアンス
- announcement は「アナウンスメント」で、ナウに強勢が置かれます。長い文なので、When you hear your stop, / press the button. と二つに区切って言うと確実に伝わります。
- There’s a button on the wall and on the pole. Press it once before the bus reaches the stop.(壁とポールにボタンがあります。停留所に着く前に一度押してください)
- The bus won’t stop unless someone presses the button.(誰かがボタンを押さないとバスは停まりません)
- Please stay seated until the bus comes to a complete stop.(バスが完全に停まるまで座ったままでいてください)
- Announcements are in Japanese and English on this route.(この路線のアナウンスは日本語と英語です)
- The screen at the front shows the next stop in English, too.(前方の画面には次の停留所が英語でも表示されます)
車内でのやり取り、乗り換え、乗り過ごしへの対応
同じ車内に自分もいるなら、降車のタイミングを知らせると約束するだけで相手の緊張はほぐれます。I’ll let you know when to get off. の一文は、覚えておくと最も感謝されるフレーズかもしれません。
- Where are we now?(今どこですか?)
- Where should I get off to get to the museum?(博物館に行くにはどこで降りればいいですか?)
- I’ll let you know when to get off.(どこで降りるか知らせますね)
- You should get off at the next stop.(次の停留所で降りてください)
- I’m afraid you’ve missed your stop.(残念ですが乗り過ごしています)
- Get off at the next stop and take the number 20 bus from the opposite side of the street.(次で降りて、道の反対側から20番のバスに乗ってください)
- You should change buses at Shibuya.(渋谷でバスを乗り換えてください)
- Usually the stop for the return trip is on the other side of the street.(帰りのバス停はたいてい道の反対側にあります)
- Excuse me, do you want to get off at the next stop?(すみません、次で降りますか?)
- I agree with you that Tokyo’s bus routes can be confusing.(東京のバス路線は確かに分かりにくいですよね)
乗り過ごしを指摘するときは、You’ve missed the stop. の前に I’m afraid を置いてください。事実だけを伝えると相手を責める響きになりますが、I’m afraid が入るだけで「残念ながら」という緩衝材が働きます。
路線図や情報の入手先を教える
自分で答えられない質問が来たときの逃げ道にもなるのが、この分類です。案内所やアプリを示せば、相手は次の一手を自分で打てます。
- You can get a bus route map at the information center.(バスの路線図は案内所でもらえます)
- There’s a route map posted on the pole at the bus stop.(バス停のポールに路線図が掲示されています)
- The timetable is on the other side of the sign.(時刻表は表示板の裏側にあります)
- This app shows real-time bus locations in English.(このアプリならバスの現在位置が英語で見られます)
- Weekday and weekend timetables are different, so check the column for today.(平日と休日で時刻表が違うので、今日の欄を見てください)
- The bus company’s website has an English page.(バス会社のサイトに英語のページがあります)
フレーズが揃ったところで、次はつまずきやすい語法を整理します。ここを押さえると、案内の精度がはっきり変わります。
使い分けを間違えやすい表現
- get on は乗り込む動作、take はその路線を利用する手段の選択
- 運賃は fare、fee や charge では不自然になる
- change は「両替する」「小銭」「乗り換える」の三役
- 間接疑問は平叙文の語順に戻す(where I can catch)
語法の誤りは、意味が通じないというより「情報が足りない」「不自然に響く」という形で表れます。四つの分類だけ押さえておけば、案内の場面で困ることはほとんどなくなります。
get on / take / ride / board
get on は「乗り込む」という一瞬の動作、take は「その路線を利用して移動する」という手段の選択を表します。だから「12番のバスで博物館まで行ってください」は Take the number 12 bus to the museum. が自然です。
Get on the number 12 bus. と言うと乗り込む行為だけを指すため、案内としては目的地の情報が抜け落ちます。ride は「乗っている状態」で、I rode the bus for an hour. のように使います。board は改まった語で、掲示やアナウンスに向いています。
- フレーズ
- Take the number 12 bus and get off at the museum.
- 日本語訳
- 12番のバスに乗って、博物館で降りてください。
- 使う場面
- 行き先を聞かれたときの中核となる返答。この一文で「どの路線」と「どこで降りるか」の両方が伝わります。
- 注意点・誤用例
- 「私もそれに乗ります」は I’ll get on it, too. の語順になります。it のような代名詞は get と on の間に置く形も見られますが、on を伴う句動詞では get on it が最も無理なく響きます。
- 発音・ニュアンス
- number 12 は「ナンバートゥエルブ」ですが、口語では the 12 bus、a number 12 とも言います。数字だけははっきり強く発音してください。
fare / fee / charge / ticket
乗り物の運賃は fare です。fee は入会金や手数料、charge はサービスに対する請求額を指すため、バス代を fee と言うと不自然に響きます。How much is the fare? が正しい形で、How much is the fee? だと何かの手数料の話に聞こえます。
切符は ticket ですが、日本の整理券は「支払額を決めるための番号札」です。a numbered ticket と説明しないと切符と混同されます。運賃表は a fare table、a fare chart、あるいは a price list と表せます。
change の三つの顔
change は「両替する」という動詞(change a bill into coins)、「小銭・釣り銭」という名詞(Do you have any small change?)、「乗り換える」という動詞(change buses at Shibuya)の三役を担います。バスの案内では三つすべてが登場するため、区別を意識しておくと混乱しません。
名詞の change(小銭)は数えられないため、a change ではなく some change、any change と言います。また Keep the change.(お釣りは取っておいてください)はタクシーでは頻出ですが、運賃箱に入れる路線バスでは使う場面がありません。場面を取り違えると意図が伝わらないので注意してください。
間接疑問の語順
Could you tell me where I can catch a bus for Haneda? のように、tell me のあとに疑問文の内容を入れるときは、疑問文の語順(where can I)ではなく平叙文の語順(where I can)に戻します。
Could you tell me where is the bus stop? は語順が崩れた形で、正しくは Could you tell me where the bus stop is? です。案内する側も Do you know which bus you need to take?(どのバスに乗るか分かりますか?)のように同じ構造を頻繁に使います。
「どの」を尋ねる which と what
複数の候補から一つを選ばせるときは which を使います。Which bus goes to the station?(どのバスが駅に行きますか?)、Which stop do you want?(どの停留所ですか?)のように、限られた選択肢が前提です。候補が漠然としている場合は what になります。
語法が整理できたところで、次は聞かれていないことをどう補うかという話に移ります。案内の質を決めるのは、実はこの部分です。
相手の不安に先回りする情報
- 両替機は千円札のみという情報が、車内での立ち往生を防ぐ
- 大きな荷物の置き場所や荷室の説明は空港連絡バスで特に有効
- 停留所名は日本語表記を画面で見せる方が発音より確実
- 前払いと後払いが路線ごとに違うことを伝えておくと次に効く
案内の質を決めるのは、聞かれていないことをどれだけ補えるかです。質問に答えるだけなら誰でもできますが、相手が数分後につまずく場面を予測して先に伝えておくと、案内の価値がまったく変わります。
紙幣が使えるかどうかは大きな関心事です。車内両替機は千円札のみ対応というのが一般的で、Only 1,000-yen bills work in the machine, so please break larger bills before you get on.(機械は千円札のみなので、それより大きい札は乗る前に崩してください)と伝えるだけで、車内での立ち往生を防げます。
大きな荷物を持っている場合は置き場所の案内が役立ちます。Buses can get crowded, so you might want to keep your suitcase in front of you.(混み合うので、スーツケースは前に置くとよいです)や、空港連絡バスなら The driver will put your suitcase in the luggage compartment and give you a claim tag.(運転手が荷物を荷室に入れ、引換札を渡してくれます)といった説明が使えます。
行き先の読み方に不安がある人には、文字の一致の方が発音より頼りになります。This is how the stop is written in Japanese — let me show you on your phone.(停留所の日本語表記はこれです。スマートフォンでお見せしますね)と画面を使うのが確実です。
支払い方法が路線ごとに違うことも伝えておくと安心されます。Some buses are pay-as-you-board and some are pay-when-you-get-off, so watch what other passengers do.(前払いのバスと後払いのバスがあるので、他の乗客の動きを見てください)という一文が、次の乗車で効いてきます。
海外でバスに乗る側になったとき
立場が逆になる場面も想定しておきましょう。ここで挙げた語彙はそのまま質問に転用できます。
- Does this bus go to the city center?(このバスは中心街に行きますか?)
- Where do I buy a ticket?(切符はどこで買えますか?)
- Can I pay with a card?(カードで払えますか?)
- Could you tell me when we get to the museum?(博物館に着いたら教えていただけますか?)
- How many stops is it from here?(ここからいくつ目ですか?)
- Do I need to change buses?(乗り換えは必要ですか?)
- Is this seat taken?(この席は空いていますか?)
では、こうしたやり取りをどう始め、どう締めればよいのでしょうか。最初と最後の一言が、案内全体の印象を決めます。
声のかけ方と締めのひと言
- 声のかけ方は Can I help you? 以外にも複数の選択肢がある
- 説明の途中で Does that make sense so far? と確認を挟む
- 分からないことは正直に伝え、案内所を示せば十分
- 別れの言葉は一言で温度が伝わる
案内は最初と最後で印象が決まります。話しかけるときは Can I help you? のほかに、Do you need any help?、Are you looking for something?、May I help you find your bus? などが使えます。相手が地図を広げて立ち止まっているなら、Are you trying to get somewhere?(どこかへ行こうとしていますか?)も自然です。
説明の途中では、Does that make sense so far?(ここまで大丈夫ですか?)と確認を挟むと、相手は質問を返しやすくなります。一気に話し切ってしまうと、相手は分からない箇所を指摘するタイミングを失います。
分からないことを聞かれたら、I’m not sure, but the information center over there should know.(分かりませんが、あそこの案内所なら分かると思います)と正直に案内先を示せば十分です。曖昧な情報で送り出すより、確実な情報源に繋ぐ方が親切です。
別れの言葉は短くて構いません。Have a great day!、Enjoy your trip!、Hope you find your way back safely.(帰り道も無事に見つけられますように)、Good luck!。どれも一言で温度が伝わります。
声に出して確認する練習
- 日本語から英語へ変換する練習をしないと、口からは出てこない
- 七つの場面で、答えを見る前に自分の言い方を声に出す
- 短い一文に区切る練習が、実際の案内でそのまま活きる
覚えたつもりの表現は、日本語から英語へ変換する練習をしないと口から出てきません。次の七つの場面で、答えを見る前に自分ならどう言うか声に出してみてください。
一つ目。「このバス停で待っていればいいですか?」と聞かれ、「はい。次のバスはあと5分ほどで来ます」と答える場面。現在進行形と in を使って、Yes. The next bus is coming in about five minutes. となります。
二つ目。「バスの乗り方を少し教えてもらえますか?」と頼まれ、快く引き受ける場面。Sure. の一語で足ります。Of course. や No problem. も同じ働きをします。
三つ目。「ここからだといくらですか?」と聞かれ、均一運賃だと伝える場面。You can go anywhere within the Tokyo metropolitan area at a flat rate of 210 yen. 金額だけでなく「どこまで行っても同じ」という点を含めるのが要点です。
四つ目。前払いと乗降口を続けて説明する場面。You have to pay up front to the driver when you get on the bus. We get on at the front door and get off at the rear door.
五つ目。整理券式のバスで、券の番号と運賃表の関係を説明する場面。Take a numbered ticket when you get on. Find the same number on the display above the driver, and the amount under it is your fare.
六つ目。降車ボタンを教える場面。When you hear the announcement for your stop, press the button to let the driver know.
七つ目。乗り過ごした人を助ける場面。I’m afraid you’ve missed your stop. Get off at the next one and take the same bus back from the other side of the street.
七つとも言えたなら、実際のバス停で必要な範囲はほぼ網羅できています。詰まった場面があれば、そのフレーズだけを三回音読してから次に進んでください。

語句・用語の整理
- 施設・運賃・装備・動作の四分類で語彙を覚えると引き出しやすい
- 訳しにくい日本特有の装備は、説明を添えた言い方で覚える
最後に、記事全体で登場した語彙を分類して並べます。四つのグループに分けて覚えると、実際の場面で必要な語を素早く引き出せます。
- bus stop:バス停/bus station:発着所/bus terminal:始発・終着拠点
- bus route map:路線図/timetable:時刻表/destination sign:行先表示
- fare:運賃/flat fare, flat rate:均一運賃/distance-based fare:距離制運賃
- numbered ticket:整理券/fare table, fare chart, price list:運賃表
- money changing machine:両替機/small change:小銭/the exact amount:ちょうどの金額
- IC card:ICカード/card reader:読み取り機/unlimited ride one-day pass:一日乗り放題パス
- front door:前扉/rear door:後扉/stop button:降車ボタン/strap:つり革/handrail:手すり
- priority seat:優先席/luggage compartment:荷室/claim tag:手荷物引換札
- fare box:運賃箱/Bay, Stand, Platform:乗り場番号の表示語
- get on / get off:乗る・降りる/board:乗車する/change buses:乗り換える
- miss one’s stop:乗り過ごす/via ~:~経由で/delayed:遅れている
- pay up front:前払いする/pay when you get off:後払いする
案内する側が押さえておきたいこと
- 難しさの原因は英語力ではなく手順の多さ
- 五つの要素を一文ずつ短く区切れば中学レベルの語彙で足りる
- 指で示す、画面を見せるといった動作は言葉の何倍も情報を運ぶ
バスの説明が難しく感じられるのは、英語力ではなく手順の多さが原因です。どの乗り場か、どの扉から乗るか、券を取るか取らないか、いつどうやって払うか、どこで降りると知らせるか。この五つを順番に、一文ずつ短く区切って伝えれば足ります。
長い文を一気に言うより、Take a numbered ticket. / Find your number on the board. / Pay when you get off. と区切る方がはるかに伝わります。短い一文の連続が、案内における最大の武器です。
そして、指で示す、路線図を一緒に見る、地図アプリの画面を見せる、といった動作は言葉の何倍も情報を運びます。発音に自信がなくても、方向を指して番号を口にすれば意図は届きます。
バス停に立つ数分間の会話が、その人の旅の記憶に残ることは珍しくありません。次に「Excuse me…」と声をかけられたときのために、まずは Can I help you? と Take the number ~ bus and get off at ~. の二つを、口が覚えるまで唱えておくと心強いはずです。
フレーズを声に出して練習していると、次に気になるのは「相手の返事を聞き取れるか」という点です。実際の会話で試す機会がほしいと感じたら、対話の場を持つことも選択肢になります。
よくある質問
- 整理券、運賃の言い方、get on と take の違いなど頻出の疑問をまとめた
- 答えられないときの対応も含めて確認できる
最後に、バスの案内で迷いやすい点をまとめました。気になる項目だけ拾い読みしても構いません。
整理券は英語でどう説明すればいいですか?
a numbered ticket、または a boarding ticket with a number on it と説明します。単に a ticket と言うと切符と誤解され、券売機を探し始める人がいます。Please take a numbered ticket when you get on. Don’t lose it — you’ll need it to pay. のように、取る動作と保管の必要性をセットで伝えると確実です。
バス代は fare と fee のどちらですか?
乗り物の運賃は fare です。How much is the fare? が正しい形になります。fee は入会金や手数料、charge はサービスに対する請求額を指すため、バス代を fee と呼ぶと不自然に響きます。均一運賃は flat fare または flat rate、距離制運賃は distance-based fare と表現します。
get on と take はどう使い分けますか?
get on は「乗り込む」という一瞬の動作、take は「その路線を利用して移動する」という手段の選択を表します。行き先を案内するときは Take the number 12 bus to the museum. のように take を使います。Get on the number 12 bus. だと乗り込む行為だけを指すため、案内としては情報が足りません。
「次のバスはあと5分で来ます」を after five minutes と言ってもいいですか?
不自然になります。経過時間の「~後に」は in を使い、The next bus is coming in about five minutes. とします。after は「特定の出来事のあとで」という意味なので、after this bus leaves のような形で使います。また is coming と現在進行形にすると、確定した近い未来を表せます。
降車ボタンの案内で let を使う理由は何ですか?
let は「相手が~できるようにする」という許可のニュアンスを持つ使役動詞で、tell の直接的な響きよりも柔らかく届きます。press the button to let the driver know が定番の形です。have は役割として当然のことを頼む場合、make は本人の意思に関わらず強制する場合に使われるため、案内の場面ではまず let が選ばれます。
bus stop と bus terminal はどう違いますか?
街角の停留所が bus stop、複数路線が集まる発着所が bus station、始発・終着の大規模な拠点が bus terminal です。規模で使い分けることで、相手が探す対象の大きさが伝わります。乗り場番号は英語圏では Bay、Stand、Platform と表示されることが多いため、Bay 4 のように言い添えると理解が早まります。
聞かれたことが分からないときはどう答えればいいですか?
I’m not sure, but the information center over there should know. と伝えて、確実な情報源を示すのが最善です。曖昧な情報のまま送り出すと、相手が遠回りをすることになります。乗り過ごしなど相手にとって不都合な事実を伝えるときは、I’m afraid you’ve missed your stop. のように I’m afraid を添えると響きが和らぎます。
車内両替機について何を伝えるべきですか?
You can change a bill into coins at the machine next to the driver. と場所を伝えたうえで、The machine only accepts 1,000-yen bills. と対応紙幣を添えてください。それより大きい紙幣を持っている人には、please break larger bills before you get on と乗車前の準備を促すと、車内での立ち往生を防げます。

