留学や駐在、長めの旅行で海外に出るとき、多くの人が最後まで不安を残すのが「お金の話を英語でする場面」です。カフェの注文や道案内なら多少間違えても笑って済みますが、金額や口座番号を取り違えれば実際の損失につながります。

ただ、心配しすぎる必要はありません。銀行の窓口で交わされる会話は、日常英会話のなかでもっともパターンが限られている領域のひとつです。用件を告げ、身分証を出し、金額を伝え、手数料を確認する。この四つの流れを頭に入れておけば、相手が次に何を聞いてくるかまで予測できるようになります。

この記事では、口座開設・入金・出金・振込・両替・ATM操作・カード紛失・解約までを場面別にたどり、そのまま口に出せる言い方と、日本の銀行常識との差でつまずきやすい点をまとめて整理します。読み終えたときに「窓口で何を言えばいいか」がひと通り決まっている状態を目標にしています。声に出して練習する相手が必要になったら、英語教室のような場で場面を再現しておくのも有効です。

まずは、銀行英語の全体像をつかむところから始めましょう。

銀行のカウンターでパスポートとカードを持った学習者が窓口担当者に用件を伝えている様子
窓口での会話は「用件・身分証・金額・手数料」の四つで進む
目次 [ close ]
  1. 銀行の英会話は二つの型で組み立てられる
    1. 窓口の会話は四段階で進む
  2. 銀行そのものを表す英単語と、国ごとに違う前提
    1. 口座が作れる国、作れない国
    2. 窓口は日本より早く閉まりがち
  3. 窓口と書類で必ず出てくる英単語
    1. 口座に関する語
    2. 入出金・送金に関する語
    3. 手数料・条件に関する語
    4. 本人確認・カードに関する語
    5. 「手数料」の言い方は担当者によって変わる
    6. bill と note の使い分け
  4. 口座の種類を言い分ける
  5. 口座開設のフレーズ|用件から確認事項まで
    1. 開設前に確認しておきたいこと
    2. 申込書に書く・口頭で伝える個人情報
    3. 手続きの最後に確認すべきこと
  6. 会話例|口座開設の窓口でのやり取り
    1. 雑談を振られたときの返し方
  7. 入金・出金・振込・残高照会のフレーズ
    1. お金を預ける
    2. お金を引き出す
    3. 振込・海外送金
    4. 残高照会と明細
  8. 両替のフレーズとレートの確認
  9. ATMの英語|尋ね方と画面表示
    1. ATMについて尋ねるフレーズ
    2. ATM画面に出てくる英語
  10. トラブルが起きたときの英語
    1. 暗証番号を忘れた
    2. カードを紛失した・盗まれた
    3. カードが使えない
  11. 口座の解約とオンラインバンキング
    1. 解約の手続き
    2. オンラインバンキングと投資口座
  12. 日本の銀行との違いで戸惑いやすいこと
  13. つまずきやすい表現と誤用例
  14. 発音とリズムを整える練習
    1. 日本語から英語への瞬間変換
  15. 七日間で口が動くようにする練習プラン
  16. 銀行英語のよくある質問
  17. 覚えておきたいポイント

銀行の英会話は二つの型で組み立てられる

この章の要点
  • 窓口の用件はほぼ「I’d like to 〜」と「Could you 〜?」の二つで表せる
  • 会話は用件→本人確認→金額→手数料確認の順に進むと予測できる
  • 聞き返しの表現を先に覚えておくと、聞き取れなくても会話が止まらない

銀行で必要な英語の骨格は、I’d like to と Could you の二つだけです。難しい構文はほとんど登場しません。この二つの型に「口座を開く」「引き出す」「両替する」といった動詞句を差し替えていくと、用件の九割は伝わります。

理由は単純で、窓口の会話は「依頼」と「質問」しかないからです。自分がしたいことを依頼し、条件や手数料を質問する。感想を述べたり議論したりする場面がないため、必要な文型が絞られます。

たとえば I’d like to open a bank account.(口座を開設したいのですが)、I’d like to withdraw some money.(お金を引き出したいのですが)、Could you show me how to use the ATM?(ATMの使い方を教えていただけますか)。用件が変わっても形は同じです。

窓口の会話は四段階で進む

実際のやり取りは、順序がほぼ決まっています。第一に用件を告げる、第二に身分証や書類を出す、第三に金額や口座を伝える、第四に手数料と所要時間を確認する。この流れを知っているだけで、相手の質問を待ち受ける姿勢が作れます。

逆に言えば、この四段階のどこかで詰まったときの対処法だけ用意しておけば十分です。聞き取れなければ聞き返し、書類がなければ後日持参する旨を伝える。それ以上のことは求められません。

フレーズ
Could you speak a little more slowly, please?
日本語訳
少しゆっくり話していただけますか。
使う場面
担当者の説明が速くて追いつけないとき。手続きの最初に一度伝えておくと、そのあとの説明速度が変わることも多いです。
注意点・誤用例
Speak slowly! だけだと命令口調に響きます。Could you と please を添えるだけで依頼になります。Please speak slowly. も可ですが、Could you のほうが柔らかい印象です。
発音・ニュアンス
「クッジュ スピーク ア リル モア スローリィ」。Could you は「クッジュ」とつながり、a little は「ア リル」に近く縮みます。slowly の語頭 sl を「スロ」と丁寧に出すと通じやすくなります。
フレーズ
Sorry, could you repeat that, please?
日本語訳
すみません、もう一度お願いできますか。
使う場面
金額や口座番号を聞き取れなかったとき。数字は一度で聞き取れないのが普通なので、遠慮せず使って構いません。
注意点・誤用例
One more time? だけでも通じますが、やや素っ気なく聞こえます。数字を確認したいなら Could you repeat the amount? のように対象を明示すると噛み合いやすくなります。
発音・ニュアンス
「ソーリィ、クッジュ リピート ザッ プリーズ」。repeat は後ろの pea を強く。that の語末 t はほとんど発音されず、次の please につながります。

型が見えたところで、次は土台になる語彙と、国ごとに違う前提条件を押さえていきます。

銀行そのものを表す英単語と、国ごとに違う前提

この章の要点
  • 日常会話では規模を問わず bank で通じ、書類では financial institution が使われる
  • 口座開設の条件は国と銀行で大きく異なり、ビザや住所証明が必要な場合がある
  • 窓口は日本より早く閉まる傾向があるため、営業時間を尋ねる表現を持っておく

銀行は英語で bank です。日本にはメガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合と規模や設立根拠で呼び分ける言葉がいくつもありますが、英語の日常会話では基本的に bank で統一されています。街角の支店を指すときも、給与の振込先を伝えるときも、bank と言えば伝わります。

もう少し硬い場面では別の言い方も出てきます。契約書や公的な書類では financial institution(金融機関)が使われ、これは銀行に限らず証券会社や保険会社まで含む広い言葉です。企業体としての銀行を指すときは banking company や banking corporation が使われ、経営方針や報道で目にします。

窓口でこれらを使う必要はありませんが、書類を読む段になって「これは自分の銀行のことだ」と気づけるだけでも安心感が違います。なお bank には「川岸・土手」という別の意味もあり、riverbank の bank がそれです。金融の文脈で取り違えることはまずないので、辞書で面食らわないよう頭の隅に置いておけば十分です。

パスポート、無地のカード、申込書、メモ帳が机に並べられた口座開設の準備を示す俯瞰写真
必要書類を先に確認しておけば、出直す手間を避けられる

口座が作れる国、作れない国

口座開設の条件は国や銀行によって大きく異なります。その国に居住していないと作れない場合もあれば、インターネット専業の銀行のように非居住者でも比較的気軽に開設できる場合もあります。

求められる書類の組み合わせも一様ではありません。就労ビザや学生ビザの提示を求められるケース、現地の住所証明が必須のケース、雇用主や学校が発行する在籍証明・在職証明のレターを要求されるケースなど、支店単位で運用が違うことさえあります。

それでも、長く滞在する予定なら現地口座を持つ価値は大きいと言えます。家賃や光熱費の引き落とし、給与や奨学金の受け取り、デビットカードでの日常決済まで、口座があるかどうかで手間がまるで変わります。渡航が決まった段階で、住む予定の街にある銀行のサイトを英語のまま覗いておくのが、もっとも確実な下調べです。

窓口は日本より早く閉まりがち

アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ主要都市の銀行も、平日の朝から夕方までの営業が中心です。ただし15時前後に窓口が閉まる傾向があり、土日はもちろん、国によっては祝日の前後も短縮営業になります。

仕事や授業の合間に駆け込むつもりでいると、扉が閉まっていて予定が崩れることになりがちです。用事があるなら、営業時間を確認してから出向きましょう。電話でも支店の入口でも使える聞き方を用意しておくと安心です。

フレーズ
What are your opening hours?
日本語訳
営業時間は何時から何時までですか。
使う場面
支店に電話するとき、あるいは訪問した際に次回の予定を立てるとき。Are you open on Saturdays?(土曜日は開いていますか)、What time do you close today?(今日は何時に閉まりますか)と併せて覚えると使い回せます。
注意点・誤用例
business hours も通じますが、店舗の営業時間としては opening hours のほうが自然です。What time is your bank? のように time と bank を直結させる言い方は誤りです。
発音・ニュアンス
「ワッタ ユア オープニング アワーズ」。hours の h は発音せず「アワーズ」。opening を強めに置くと質問の意図が伝わりやすくなります。

前提が整ったところで、窓口と書類の両方で効いてくる語彙を一気に押さえましょう。

窓口と書類で必ず出てくる英単語

この章の要点
  • 口座・入出金・手数料・本人確認の四グループで語彙を覚えると定着しやすい
  • 手数料には fee / charge / commission など複数の言い方があり、すべて同義に扱える
  • 紙幣は米英で bill と note が分かれ、bill には請求書の意味もある

語彙は闇雲に覚えるより、場面ごとのグループでまとめるほうが定着します。窓口の会話も申込書も、下に挙げた単語がわかるかどうかで理解度が大きく変わります。

口座に関する語

  • Account 銀行口座
  • Savings account 普通預金(貯蓄性の口座)
  • Checking account / Current account 当座預金(日常使いの口座)
  • Fixed deposit / Time deposit 定期預金
  • Joint account 共同名義口座
  • Individual account / Private account 個人名義口座
  • Business account 法人口座
  • Trading account 証券取引口座
  • Account number 口座番号
  • Branch name 支店名
  • Bank book / Passbook 通帳
  • Statement 取引明細書

入出金・送金に関する語

  • Deposit / Savings 預入(入金)
  • Withdraw / Withdrawal 払出(出金)
  • Transfer 振込・資金移動
  • Remittance 送金(文書扱いの振込)
  • Wire transfer 電信扱いの送金
  • Balance 残高
  • Interest / Interest rate 利息・金利
  • Exchange 両替
  • Exchange rate 為替レート
  • Currency 通貨
  • Denomination 紙幣の額面
  • Change 小銭・釣り銭

手数料・条件に関する語

  • Commission / Fee / Charge 手数料
  • Account maintenance fee 口座維持費
  • Monthly fee 月額手数料
  • Minimum deposit 最低入金額
  • Minimum balance 最低維持残高
  • Free of charge 無料
  • Opening hours 営業時間

本人確認・カードに関する語

  • Identification (ID) 本人確認書類
  • Proof of address 住所証明
  • Signature 署名(サイン)
  • PIN number / Personal ID number 暗証番号
  • Cash card キャッシュカード
  • Debit card デビットカード
  • Bank clerk / Teller 窓口担当者

「手数料」の言い方は担当者によって変わる

手数料は要注意の語です。fee のほか、charge、commission、bank charge、bank fee、service charge、service fee と、担当者によって使う語がまちまちです。

意味はどれも「手数料」なので、聞こえた形が違っても同じことを言っていると受け取って構いません。自分から聞くときはfee か charge のどちらかを使えば確実に通じます。Is there a fee for this? と Is there a charge for this? はどちらも自然な質問です。

bill と note の使い分け

紙幣はアメリカ英語で bill、イギリス英語で note です。アメリカでは note も通じることが多いのですが、イギリス英語圏では bill が通じにくい場面があります。硬貨は coin、小銭全般は change です。

注意点

bill には「請求書」の意味もあります。イギリス英語圏のレストランで The bill, please. と言えばお会計の意味になり、紙幣の話とは受け取られません。紙幣を指したいときは a ten-pound note のように現地の呼び方に合わせるのが無難です。

語彙が入ったら、次は窓口でほぼ確実に聞かれる「口座の種類」に答えられるようにしておきます。

口座の種類を言い分ける

この章の要点
  • 窓口では口座の種類を必ず聞かれるため、答えを先に決めておく
  • savings は貯蓄用、checking は日常の支払い用という役割分担が基本
  • イギリス英語圏では checking ではなく current account と呼ばれる

海外の窓口で口座を作ろうとすると、ほぼ確実に What type of account would you like to open?(どの種類の口座を開設されますか)と聞かれます。ここで固まってしまう人が多いので、答えを先に決めておきましょう。

押さえるべきは二つだけです。savings account は貯蓄用の口座で、利息が付きます。その代わり、月あたりの引き出し回数に制限がある銀行もあります。日本語では「普通預金」と訳されますが、感覚としては日本の普通預金より貯蓄寄りの位置づけです。

checking account は日常的な支払いと引き出しに使う口座です。デビットカードやATMカードが発行され、小切手も切れます。イギリス英語圏ではcurrent accountと呼ばれ、アメリカで current account と言っても通じにくく、イギリスで checking account と言っても首をかしげられることがあります。

英語圏では両方を持っている人が珍しくありません。生活費は checking、貯金は savings と役割を分けるのが一般的です。定期預金は fixed deposit または time deposit で、一定期間引き出せない代わりに金利が高く設定されます。同居家族と共有するなら joint account、事業用なら business account です。

フレーズ
I’d like to open both a checking and a savings account.
日本語訳
当座預金口座と普通預金口座の両方を開設したいです。
使う場面
生活費用と貯蓄用を分けたいとき。口座種別を尋ねられた直後にこう答えれば、二つ分の書類をまとめて用意してもらえます。
注意点・誤用例
滞在先がイギリス英語圏なら checking を current に置き換えます。both A and B の形を崩して both checking savings account と言うと伝わりにくいので、a を二つ入れる形で覚えましょう。
発音・ニュアンス
「アイドライク トゥ オープン ボース ア チェッキング アンダ セイヴィングズ アカウント」。savings の語末 s を落とさないこと。account は後ろの count を強く読みます。

では、実際に口座を開設する流れをフレーズで追っていきましょう。

口座開設のフレーズ|用件から確認事項まで

この章の要点
  • 最初のひと言は I’d like to open a bank account. だけで足りる
  • 必要書類・最低入金額・維持費・免除条件を開設前に確認しておく
  • 名字はアルファベットを一字ずつ読み上げると書類の誤記を防げる

用件を伝える最初のひと言は、これだけ覚えれば足ります。I’d like to open a bank account.(銀行口座を開設したいのですが)。丁寧に言うなら I would like to open a new account, please. でも構いません。

大きな支店ではカウンターが業務ごとに分かれていることがあります。その場合は Could you tell me where I should go to open an account?(口座開設はどちらの窓口でしょうか)と場所を尋ねる表現が役に立ちます。

開設前に確認しておきたいこと

口座開設は、書類が一つ足りないだけで出直しになります。可能なら電話やメールで先に問い合わせ、当日は確認事項だけを聞く形にしておくと効率がよくなります。

  • What documents do I need to open a bank account? 口座開設に必要な書類は何ですか。
  • How much cash do I need to deposit to open an account? 口座開設にはいくら入金が必要ですか。
  • What is the minimum deposit required? 最低入金額はいくらですか。
  • What’s the interest rate for a savings account? 普通預金の金利はどのくらいですか。
  • Is there a service charge? 口座に維持費はかかりますか。
  • Is there a monthly fee? 月々の手数料はありますか。
  • Are there any other fees I should know about? ほかに知っておくべき手数料はありますか。
  • Are there ways to waive the monthly fee? 月額手数料が免除される条件はありますか。
  • I want to apply for a debit card. デビット機能付きのカードもお願いします。

口座維持費は、給与振込の設定や一定額の残高維持といった条件で免除される銀行も多くあります。単に「かかりますか」で終わらせず、「どうすれば無料になるか」まで踏み込んで聞くのが得策です。

フレーズ
Are there ways to waive the monthly fee?
日本語訳
月額手数料が免除される条件はありますか。
使う場面
維持費のかかる口座を勧められたとき。学生向けの免除条件が用意されている銀行もあるため、学生であればその点も併せて伝えると話が進みます。
注意点・誤用例
waive(免除する)は wave(手を振る)と綴りも音も近いので混同しがちです。難しければ How can I avoid the monthly fee? と言い換えても同じ意図が伝わります。
発音・ニュアンス
「アー ゼア ウェイズ トゥ ウェイヴ ザ マンスリー フィー」。waive の語末 v をしっかり響かせると wave との区別がつきやすくなります。

申込書に書く・口頭で伝える個人情報

申込書には氏名、住所、電話番号、生年月日、職業などを記入します。担当者が画面に入力しながら口頭で確認してくる場合もあるので、ゆっくり、はっきり伝えましょう。

  • My family name is Tanaka. That’s T-A-N-A-K-A. 名字は田中です。TANAKAと綴ります。
  • My address is 123 Main Street, Apartment 4B. 住所はメインストリート123番地、アパート4Bです。
  • My phone number is 090-1234-5678. 電話番号は090-1234-5678です。
  • I’m a student at the university here. こちらの大学の学生です。
  • Could you repeat that, please? もう一度お願いできますか。

日本人の名前は聞き取ってもらいにくいので、名字はアルファベットを一字ずつ読み上げる(スペルアウトする)癖をつけておくと書類の誤記を防げます。M と N、B と V、D と T は特に取り違えられやすいため、M as in Mary のように単語を添えて示すとほぼ確実に伝わります。

生年月日は、アメリカ英語では月→日→年、イギリス英語では日→月→年の順が基本です。年は二桁ずつ区切って読むのが一般的で、書類の記入欄も国によって順序が違うため、数字だけを書き込む前に欄の並びを確認しておくと安心です。書類を忘れてしまったときは I don’t have it with me today. Can I bring it later?(今日は持っていません。後日持ってきてもいいですか)と伝えれば、次回の予約に切り替えてもらえます。

手続きの最後に確認すべきこと

  • What is my account number? 私の口座番号を教えてください。
  • When can I start using my account? いつから口座を使い始められますか。
  • When will I receive my debit card? デビットカードはいつ届きますか。
  • Do I need to activate the card? カードの有効化は必要ですか。

カードは一週間から二週間ほどで郵送されるのが一般的です。届いたカードは有効化が必要な場合があるので、その手順も一緒に確認しておくと後で困りません。

ここまでの表現が、実際の会話ではどうつながるのかを見てみましょう。

会話例|口座開設の窓口でのやり取り

この章の要点
  • 実際の会話は短い応答の積み重ねで、長い文を作る必要はない
  • 身分証・カード申込・待機の指示という三つの質問がほぼ定型で来る
  • 雑談を振られたら、ひと言返すだけで手続きが和やかに進む

窓口担当者と学習者のやり取りを、典型的な流れで並べてみます。返答が Yes, please. や I understand. のような短い一文で足りることに注目してください。

窓口担当者
Hello. May I help you?(こんにちは。ご用件をお伺いします)
学習者
Thank you. I’d like to open a bank account, please.(ありがとうございます。銀行口座を作りたいのですが)
窓口担当者
OK. Do you have any ID?(わかりました。何か身分証明書はお持ちですか)
学習者
Yes, I brought my passport with me.(はい、パスポートを持ってきました)
窓口担当者
Would you also like to apply for a debit card?(デビットカードも一緒に申し込みますか)
学習者
Yes, please.(はい、お願いします)
窓口担当者
We’ll prepare the documents for the procedure, so please wait.(では手続きに必要な書類を用意しますので、お待ちください)
学習者
I understand. Thank you.(わかりました。ありがとうございます)

この会話で学習者が発した英語は、どれも五語前後です。長い文を作らなくても手続きは進むという事実を、先に体で知っておくと当日の緊張がずいぶん軽くなります。

雑談を振られたときの返し方

書類を待つあいだ、担当者から世間話を振られることもあります。緊張して黙り込むより、ひと言返したほうが場が和み、手続きも滑らかに進みます。

窓口担当者
Are you from Japan? I’d love to visit someday.(日本から来られたんですね。いつか行ってみたいです)
学習者
Yes, you should! The food is amazing.(ぜひ。食べ物がとてもおいしいですよ)
使う場面
書類の準備や入力を待っているあいだ。出身地、滞在目的、滞在期間はよく聞かれる三点なので、答えを一文ずつ用意しておくと沈黙を避けられます。
注意点・誤用例
You should. は「ぜひ行くべきですよ」という前向きな相槌で、命令的には響きません。ただし手続きに関わる質問と雑談を混同しないよう、金額や書類の話が始まったら短く応じて本題に戻しましょう。

口座ができたら、次は日々の入出金です。ここが実際にもっとも使用頻度の高い場面になります。

入金・出金・振込・残高照会のフレーズ

この章の要点
  • 入金は make a deposit、出金は make a withdrawal が定型
  • 出金時は紙幣の額面(denomination)を必ず聞かれるので答えを用意する
  • 送金は remittance と wire transfer で手数料も日数も異なる

お金を預ける

入金は deposit です。動詞としても名詞としても使えるため、二通りの言い方が並存します。

  • I’d like to make a deposit. 入金をお願いします。
  • I’d like to deposit 100 dollars into my account. 口座に100ドル入金したいです。
  • I’d like to deposit cash. 現金で入金します。
  • I’d like to deposit a check. 小切手を入金したいです。
  • How much is the bank charge for this deposit? この入金の手数料はいくらですか。

お金を引き出す

  • I’d like to withdraw some money. お金を引き出したいのですが。
  • I want to make a withdrawal. 出金をお願いします。
  • I’d like to withdraw 500 dollars. 500ドル引き出したいです。
  • I’d like to take out 200 dollars. 200ドル引き出したいです。

出金を頼むと、こんな質問が返ってきます。In what denominations would you like it? / What bills would you like? / How would you like that? いずれも「お札の種類はどうされますか」という意味です。

denomination(額面)という語が出てくると身構えてしまいますが、要は何ドル札で欲しいかを聞かれているだけです。答え方は単純で、枚数と額面を並べるだけで足ります。

フレーズ
One 50-dollar bill and five 10-dollar bills, please.
日本語訳
50ドル札1枚と10ドル札5枚でお願いします。
使う場面
額面を尋ねられたとき。細かいこだわりがなければ Could you give me some smaller bills?(小額紙幣も混ぜてください)だけでも十分です。高額紙幣は小さな店で受け取ってもらえないことがあるため、この一言は現地生活で重宝します。
注意点・誤用例
額面を表す 50-dollar は形容詞的な使い方なので dollars と複数にしません。five 10-dollars bills は誤りで、正しくは five 10-dollar bills です。
発音・ニュアンス
「ワン フィフティ ダラー ビル アンド ファイヴ テン ダラー ビルズ プリーズ」。fifty と fifteen の混同が金額の取り違えにつながるので、fifty は前を強く、fifteen は後ろを強く読む違いを意識します。

振込・海外送金

  • I’d like to transfer some money. 振込をお願いしたいです。
  • Could you transfer 100 dollars from my account to this account? 私の口座からこの口座へ100ドル振り込んでください。
  • I would like to wire transfer money to Japan. 日本へ電信送金したいです。
  • How much is the wire transfer fee? 電信送金の手数料はいくらですか。
  • How long does it take? 着金までどのくらいかかりますか。
  • Could I take a look at the confirmation, please? 控えを確認させてください。

送金には remittance(文書扱い)と wire transfer(電信扱い)があり、手数料も所要日数も異なります。手数料を尋ねるときは remittance fee か wire transfer fee のどちらかを明示したほうが、噛み合わない答えを避けられます。

海外送金では、送る通貨を確認されることもあります。Would you like to send funds in Japanese yen or US dollars?(日本円と米ドル、どちらで送金されますか)と聞かれたら、In Japanese yen, please. のように通貨名で答えます。

残高照会と明細

  • I’d like to check my balance. 残高を確認したいです。
  • Where can I check my account balance? 残高はどこで確認できますか。
  • I need to view my transaction history. 取引履歴を見たいのですが。
  • Could you print out my statement? 取引明細を印刷していただけますか。

通帳のない銀行では、残高確認はアプリか statement が中心になります。窓口で明細を印刷してもらう場合、期間を指定すると話が早く進みます。for the last three months(直近三か月分)のように添えるだけで十分です。

銀行の窓口で担当者が紙幣を計数し、客がレート掲示板を指して確認している場面
レートは掲示板を指しながら確認すると誤解が起きにくい

続いて、旅行者でも必ず使う両替の場面に移りましょう。

両替のフレーズとレートの確認

この章の要点
  • 両替は exchange、レートは exchange rate で通じる
  • 掲示板の BUY / SELL は両替所側の売買を表すため向きに注意する
  • 迷ったら「この額を出したらいくら受け取れるか」を直接聞くのが確実

両替の依頼は決まった形で足ります。手数料の有無まで一度に確認しておけば、後から差額に驚くことがありません。

  • Could you exchange Japanese yen into dollars? 日本円をドルに変えていただけますか。
  • I’d like to change some money. 両替をお願いします。
  • What’s today’s exchange rate? 今日の両替レートはどのくらいですか。
  • What’s the exchange rate for Japanese yen to US dollars? 日本円から米ドルの為替レートはいくらですか。
  • What is 1,000 yen worth in US dollars? 1,000円は米ドルでいくらになりますか。
  • Would you cash these traveler’s checks, please? トラベラーズチェックを現金に変えてください。
  • Is there a commission for exchanging money? 両替に手数料はかかりますか。

両替所では、お金を「売り買いする」という言い方も普通に使われます。掲示レートに BUY / SELL と書かれているのはそのためで、これは両替所側から見た売買を表しています。

自分から言うなら I want to sell Japanese yen.(日本円を売りたいです)、I want to buy US dollars.(米ドルを買いたいです)という表現になります。ただし掲示板の数字がどちら向きなのか迷ったら、無理に読み解こうとしなくて構いません。

フレーズ
If I give you 30,000 yen, how much will I get?
日本語訳
3万円を出したら、いくら受け取れますか。
使う場面
掲示レートの向きがわからないとき、手数料込みの受取額を知りたいとき。レートと手数料を別々に計算する手間がなくなり、金額の誤解も防げます。
注意点・誤用例
通貨単位の yen は複数形にしません。30,000 yens は誤りです。また、手数料が引かれる前の額を答えられることもあるので、after the fee?(手数料を引いた後で)と一言添えると確実になります。
発音・ニュアンス
「イフ アイ ギヴ ユー サーティ サウザンド イェン、ハウ マッチ ウィル アイ ゲット」。thirty の th を「サ」に近づけ、後半の how much を強く読むと質問だと明確に伝わります。

窓口以上に使用頻度が高いのがATMです。画面の英語を先に覚えておけば、操作の不安はほぼ消えます。

ATMの英語|尋ね方と画面表示

この章の要点
  • 操作に不安があるときは屋外ではなく支店内のATMを使う
  • 画面表示は十数語しかなく、先に覚えれば操作は単純作業になる
  • クレジットカードでの海外キャッシングでは口座種別で Credit を選ぶ

海外渡航中に「ATMの使い方がわからず困った」という声は多く聞かれます。日本のキャッシュカードやクレジットカードも、国際ブランドのマークが付いていて海外での利用設定が済んでいれば海外のATMで使えますが、画面の言葉と操作の順序が違うだけで戸惑ってしまうものです。

分からないときは、路上のATMで一人で粘るより、支店内のATMを使って担当者に聞くほうが安全です。屋外の機械で長く手間取ることは、防犯上あまり好ましくありません。

ATMについて尋ねるフレーズ

  • Could you show me how to use the ATM? ATMの使い方を教えてください。
  • Where can I find the ATM machines? ATMはどこにありますか。
  • Is there an ATM nearby? 近くにATMはありますか。
  • How can I withdraw money from the ATM? ATMでお金を引き出すにはどうすればいいですか。
  • I’d like to transfer money using the ATM. ATMで振込をしたいのですが。
  • Is there an ATM fee? ATMの利用手数料はかかりますか。
  • Does this ATM accept foreign cards? このATMは海外発行のカードが使えますか。
  • What’s the maximum I can withdraw at once? 一度に引き出せる上限はいくらですか。
  • What is the meaning of this word? これはどういう意味ですか。
  • Can I use this card? このカードを使うことはできますか。

送金機能が使えないATMも存在します。口座開設のときに、どのATMで何ができるのかを一度確認しておくと、後の空振りを防げます。他行のATMを使うと手数料が上乗せされるのも一般的なので、自分の銀行のATMがどこにあるかを把握しておく価値があります。

ATM画面に出てくる英語

画面の表示を先に頭に入れておけば、操作は驚くほど単純になります。多くの機種には言語選択の画面があり、日本語がなくても英語には対応しています。

  • Insert your card カードを入れてください
  • Enter your PIN 暗証番号を入力してください
  • Select transaction 取引を選んでください
  • Withdrawal / Withdraw / Cash withdrawal 引き出し
  • Deposit 預け入れ
  • Balance inquiry 残高照会
  • Transfer 振込・資金移動
  • Checking / Savings / Credit どの口座から出金するかの選択
  • Enter amount 金額を入力してください
  • Other amount その他の金額
  • Do you want a receipt? 明細票は必要ですか
  • Take your cash 現金をお取りください
  • Insufficient funds 残高不足です
  • Transaction cancelled 取引が中止されました
  • Please wait / Processing 処理中です

海外キャッシングでクレジットカードを使う場合、口座種別の選択画面で Credit を選ぶ必要があります。ここで Checking や Savings を選ぶとエラーになるので、クレジットカードなら Credit と覚えておきましょう。

注意点

Would you like to be charged in JPY? のように、現地通貨か日本円かを選ばせる画面が出ることがあります。これは海外事務手数料や上乗せレートに関わる選択で、一般には現地通貨での決済を選んだほうが有利になりやすいと言われています。ただし料率の仕組みはカード会社ごとに異なるため、渡航前に自分のカードの条件を確認しておくのが確実です。

順調に進めば使わずに済む表現ですが、備えの価値がもっとも高いのが次の章です。

トラブルが起きたときの英語

この章の要点
  • 紛失・盗難は連絡の速さが被害を左右するため、電話で使う文を音読しておく
  • 暗証番号は PIN だけでも通じ、再設定は reset my PIN で伝わる
  • カードが使えないと感じたら、まず有効化済みかどうかを確認する

暗証番号を忘れた

  • I’ve forgotten my PIN number. 暗証番号を忘れてしまいました。
  • My PIN doesn’t work with my debit card. デビットカードの暗証番号が使えません。
  • I’d like to reset my PIN. 暗証番号を再設定したいです。

PIN number は単に PIN でも通じます。PIN code や password という言い方もあり、どれで言っても意図は伝わります。

カードを紛失した・盗まれた

紛失は一分でも早い連絡が肝心です。電話で伝えることが多いため、口が覚えるまで音読しておくと、いざというときに言葉が出てきます。

  • I’ve lost my bank card. カードをなくしました。
  • I want to report the theft of my card. カードが盗まれたことを届け出たいです。
  • Could you please cancel my card immediately? すぐにカードを無効にしてください。
  • Could you check if my card has been used since June 2nd? 6月2日以降にカードが使われていないか確認してください。
  • Could you issue a new one for me? 新しいカードを発行してください。
  • Someone has used my credit card without permission. クレジットカードが不正に使われました。
フレーズ
I’ve lost my bank card. Could you please cancel it immediately?
日本語訳
カードをなくしました。すぐに無効にしていただけますか。
使う場面
紛失・盗難に気づいた直後の電話。この二文を最初に言えば、あとは相手の質問に答える形で進みます。氏名、口座番号、最後に使った場所を聞かれるので、手元に情報を出してから電話しましょう。
注意点・誤用例
stop my card でも通じますが、cancel my card や block my card のほうが銀行の用語に近い言い方です。急ぎであることは immediately や right away で示せば十分で、強い口調にする必要はありません。
発音・ニュアンス
「アイヴ ロスト マイ バンク カード。クッジュ プリーズ キャンセリッ イミーディエトリィ」。cancel it は「キャンセリッ」とつながります。lost をはっきり発音すると事情が一度で伝わります。
注意点

不正利用が判明した場合は、警察への届け出も必要になることがあります。届け出番号(police report number)を求められる場合があるので、必ず控えておきましょう。渡航前に、カード裏面の連絡先とは別に海外用の紛失受付番号を紙に書き写しておくと、カードごと財布を失っても連絡できます。

カードが使えない

  • My bank card doesn’t work. キャッシュカードが使えません。
  • Could you check if my bank card is active? カードが有効になっているか確認していただけますか。
  • Could you show me how to activate my bank card? カードを有効化する方法を教えてください。
  • The ATM swallowed my card. ATMにカードが吸い込まれてしまいました。

新規発行のカードや、有効期限更新で届いた新しいカードは、有効化しないと使えないことがあります。使えないと感じたら、まず有効化済みかどうかを疑うのが順序です。ATMにカードを取り込まれた場合は、その機械の設置銀行に連絡するのが基本になります。

では、帰国が決まったときに必要になる手続きの英語も見ておきましょう。

口座の解約とオンラインバンキング

この章の要点
  • 解約は close my account、理由を告げるときは I’m afraid で柔らかくなる
  • 自動引き落としをすべて止めてから解約するのが原則
  • 投資口座を勧められても即断する必要はなく、断る定型表現がある

解約の手続き

  • I’d like to close my account. 口座を解約したいです。
  • I need to cancel my account. 口座を解約する必要があります。
  • I’m leaving the country next month. 来月この国を離れます。
  • I’m afraid I’ve decided to change to another bank. 申し訳ありませんが、他行に移すことにしました。
  • Please let me know the requirements for that. 手続きに必要なものを教えてください。
  • Could you send the final statement to this address? 最終の取引明細をこの住所に送ってください。
  • Is there any cancellation fee? 解約手数料はかかりますか。
  • Can I withdraw the remaining balance in cash? 残高は現金で受け取れますか。

他行への乗り換えを理由に告げるのは、担当者にとって歓迎できる話ではありません。I’m afraid(申し訳ありませんが)を頭に付けるだけで、印象がずいぶん柔らかくなります。

帰国前の解約は、家賃や公共料金の自動引き落としをすべて止めてから行うのが原則です。順序を誤ると、解約後に引き落とし不能の請求が残ることになります。

オンラインバンキングと投資口座

窓口に行かずに済ませられることは年々増えています。設定方法は口座開設のときにまとめて聞いておきましょう。

  • Can I use online banking? オンラインバンキングは使えますか。
  • How do I set up online banking? オンラインバンキングはどう設定しますか。
  • Does your bank have a mobile app? モバイルアプリはありますか。
  • Would you tell me how to access the bank’s website? 銀行のサイトへのアクセス方法を教えていただけますか。

口座開設の流れで、投資や証券の口座を勧められることもあります。証券取引口座は trading account で、銀行と証券会社が提携していて銀行経由で開設できる国もあります。

  • I’d like to open an investment account, too. 投資用の口座も開設したいです。
  • What do I need to bring to open an investment account? 投資口座の開設に必要なものは何ですか。
  • I’d like to make an appointment with your financial advisor. アドバイザーの方と面談をお願いできますか。
  • I’m just interested in opening an account today. 今日は口座開設だけで大丈夫です。
  • Maybe another time. Thank you, though. また今度にします。ありがとうございます。

勧められて即断する必要はありません。金融商品の判断は各国の制度や税制、為替の影響を受けます。実際に契約するかどうかは書面の条件を確認し、必要なら専門家に相談してから決めるのが賢明です。

ここまでフレーズを見てきましたが、日本の銀行と前提が違う点を知らないと、正しい英語を使っても話が噛み合いません。

日本の銀行との違いで戸惑いやすいこと

この章の要点
  • 本人確認の中心は印鑑ではなくサインで、筆跡を一つに固定しておく
  • 通帳を発行しない銀行が多く、記録は statement で確認する
  • 小切手が現役の国があり、口座維持費が発生する口座も珍しくない

日本では届出印が手続きの要ですが、海外では signature(サイン)が本人確認の中心です。サインはパスポートと同じ筆跡で書く必要があり、書類ごとに崩し方が変わると本人と認められないことがあります。自分のサインの形を一つに固定しておきましょう。

日本の印鑑を説明する必要があるときは seal や personal stamp、そのまま hanko と言っても通じる場面があります。ただし海外の手続きで印鑑が有効になることはまずないため、説明は雑談の範囲にとどめて構いません。

通帳を発行しない銀行も多く、取引の記録は郵送またはオンラインの statement で確認します。「通帳を作ってほしい」と言っても存在しないことがあるので、代わりに明細の受け取り方法を確認しましょう。Could you send my statement by post?(明細を郵送してもらえますか)という言い方が使えます。

また、アメリカなどでは家賃の支払いに check(イギリス英語では cheque)が今でも使われます。小切手帳を頼むなら I’d like to order a checkbook.(小切手帳を注文したいです)です。口座維持費についても、最低残高を維持する、給与を直接振り込むといった条件で免除されることが多いので、契約前の確認が効きます。

最後にもう一つ。担当してくれた窓口の人の名前を控えておくと、後日同じ件で相談するときに話が早く進みます。名刺をもらえるなら受け取っておきましょう。

では、日本語から英語に直すときに起きやすい間違いを潰しておきます。

つまずきやすい表現と誤用例

この章の要点
  • 「口座を作る」は make ではなく open an account
  • withdraw は動詞、withdrawal は名詞で、文型に合わせて選ぶ
  • 金額と口座番号は必ず復唱して確認する習慣をつける

日本語の「口座を作る」に引きずられて make an account と言ってしまいがちですが、英語の定型はopen an accountです。閉じるほうも close an account で対になっています。サービスへの入り口を開く、閉じるというイメージで覚えると自然に定着します。

deposit は名詞にも動詞にもなります。「入金する」という動詞(deposit money)でも、「預金・預け入れ」という名詞(make a deposit)でも使えます。名詞で使う場合は make a deposit / make a withdrawal のように make と組むのが定型です。

withdraw と withdrawal の使い分けも同じ発想です。動詞が withdraw、名詞が withdrawal なので、I’d like to withdraw some money. と言うか、I’d like to make a withdrawal. と言うか、どちらかに揃えます。I’d like to withdrawal は誤りです。

注意点

通貨の両替に change を使うと誤解が生じることがあります。change には「小銭・釣り銭」の意味もあり、Can I have some change? は「小銭に崩してください」と受け取られます。通貨を替えたいときは exchange を使い、Could you exchange this into dollars? のように対象を明示しましょう。

「無料」は free of charge です。手数料の有無を尋ねて It’s free of charge. と返ってきたら無料の意味で、No charge. も同じことを言っています。逆に There’s a small fee. と言われたら金額を確認しましょう。

フレーズ
So that’s 350 dollars, right?
日本語訳
つまり350ドルということですね。
使う場面
金額、口座番号、日付を聞き取った直後。復唱して確認する習慣は、担当者の側も歓迎します。お金に関する会話では、確認しすぎて失礼になることはありません。
注意点・誤用例
口座番号のような長い数字は、一気に読み上げるより二桁か三桁ずつ区切って復唱すると誤りが見つけやすくなります。数字を書いて見せてもらう Could you write it down for me? も有効です。
発音・ニュアンス
「ソウ ザッツ スリー フィフティ ダラーズ ライッ」。文末の right? を上げ調子にすると確認の意図が明確になります。350 は three fifty と略して読まれることも多いので、耳を慣らしておきましょう。

語彙と表現がそろったら、あとは口が動くかどうかの問題です。次に練習の手順を示します。

発音とリズムを整える練習

この章の要点
  • 銀行英語で誤解を生みやすいのは単語ではなく数字の音
  • withdrawal や denomination は強く読む位置を覚えれば通じる
  • 日本語を見て即座に英語を言う練習が窓口で最も効く

銀行の場面で誤解の原因になりやすいのは、難しい単語より数字の音です。thirty と thirteen、fifty と fifteen のような対は、強く読む位置が前か後ろかで区別されます。thirty は前を強く、thirteen は後ろを強く読むのが原則です。

語のなかで強く読む位置も、いくつか押さえておくと安心です。withdrawal は draw の部分、deposit は po の部分、balance は ba の部分、denomination は na の部分を強く読みます。account は count のほうが強く、頭の a はほとんど聞こえません。

PIN は「ピン」と一音で言えば通じますが、pen と混ざりやすいので口を横に引いて発音します。心配なら PIN number と二語で言うか、four digits(四桁)と補足すれば取り違えは起きません。

日本語から英語への瞬間変換

単語表を眺めるだけでは、いざその場に立ったときに口が動きません。効くのは、日本語を見て英語を反射的に口に出す練習です。「残高を確認したい」を見て、考える間を置かずに I’d like to check my balance. と言えるまで繰り返します。

この瞬間的な言い換えを何往復かしておくと、窓口で相手に見つめられても言葉が出てきます。目安として、一つの文につき三回続けて詰まらずに言えたら次に進む、という基準を置くと練習が進みます。

もう一つ効果的なのが、実際の銀行のサイトを英語のまま読むことです。口座の種類の説明、手数料表、必要書類の一覧は、まさに窓口で交わす会話と同じ語彙で書かれています。渡航先の銀行のよくある質問ページを一通り読んでおくだけで、初めて訪れる支店の会話がかなり予測できるようになります。

では、この練習を具体的な一週間の流れに落とし込んでみましょう。

七日間で口が動くようにする練習プラン

この章の要点
  • 一日十五分、場面を一つずつ潰していけば一週間で全体を回せる
  • 覚える順番は用件、数字、質問、トラブル対応の四段階が効率的
  • 最後は声に出して通し稽古をすると本番の緊張が下がる

一度に全部を覚えようとすると、どれも定着しません。場面を一日ひとつに絞り、十五分ずつ声に出す形にすると、一週間で記事全体を一巡できます。

  1. 一日目|用件の型。I’d like to と Could you に、open an account / withdraw some money / exchange money を差し替えて十回ずつ音読する。
  2. 二日目|数字。金額と桁の読み上げ、thirty と thirteen の対、口座番号を三桁ずつ区切って読む練習をする。
  3. 三日目|口座開設。必要書類、最低入金額、維持費の免除条件を尋ねる質問を four つ選んで暗唱する。
  4. 四日目|入出金と額面。make a deposit / make a withdrawal と、紙幣の額面を指定する言い方を練習する。
  5. 五日目|両替とATM。画面表示の単語を日本語から英語、英語から日本語の両方向で確認する。
  6. 六日目|トラブル対応。紛失、暗証番号、カードが使えないときの三場面を、電話をかけるつもりで音読する。
  7. 七日目|通し稽古。会話例を担当者役と学習者役の両方で読み、詰まった箇所だけ翌週に回す。

この順番には理由があります。用件が言えれば会話は始まり、数字が聞き取れれば実害を避けられる。質問ができれば条件を確認でき、トラブル表現があれば最悪の場面に備えられます。影響の大きい順に固めていく組み立てです。

通し稽古の相手がいると効果は上がります。担当者役の質問が予想外の順番で来る経験を一度しておくと、本番で流れが乱れても落ち着いて対応できます。

銀行支店内のATMコーナーで落ち着いた表情で操作をしている学習者
画面の英語を先に覚えておけば、ATM操作は単純な作業になる

一人での音読に手応えが出てきたら、実際の相手と場面を再現してみる段階です。窓口役の質問に即座に答える練習は、独学では再現しにくい部分でもあります。

最後に、読者から寄せられやすい疑問をまとめて確認しておきましょう。

銀行英語のよくある質問

この章の要点
  • 最初のひと言と聞き返しの表現があれば、会話は成立する
  • 口座種別や手数料の言い方は、迷ったら定番の語を使えば通じる
  • 手続き上の判断は、書面の条件を確認してから決めるのが安全

銀行の窓口で最初に言うひと言は何がいいですか

I’d like to open a bank account. のように、I’d like to のあとに用件の動詞句を置く形が最も確実です。用件が引き出しなら I’d like to withdraw some money.、両替なら I’d like to change some money. と入れ替えるだけで足ります。挨拶は Hello. だけで十分で、長い前置きは必要ありません。

checking account と savings account はどちらを作るべきですか

日常の支払いや引き出しに使うなら checking account、貯蓄して利息を得たいなら savings account が基本の考え方です。生活費と貯金を分けたい場合は両方を開設する人も多く、I’d like to open both a checking and a savings account. と伝えれば同時に手続きできます。イギリス英語圏では checking ではなく current account と呼ばれるため、滞在先の呼び方を確認しておきましょう。

「手数料」は fee と charge のどちらを使えばいいですか

どちらでも通じます。銀行側は commission、service charge、bank fee など複数の言い方を使い分けますが、意味はすべて手数料です。自分から尋ねるときは Is there a fee for this? か How much is the charge? のどちらかを使えば確実に伝わります。

ATMで口座種別を選ぶ画面が出たらどうすればいいですか

現地の銀行のデビットカードで日常口座から引き出すなら Checking、貯蓄口座からなら Savings を選びます。クレジットカードで海外キャッシングをする場合は Credit を選ぶ必要があり、ここで Checking や Savings を選ぶとエラーになります。操作に不安があるときは屋外の機械を避け、支店内のATMで担当者に尋ねるほうが安全です。

カードを紛失したとき、英語でまず何と伝えればいいですか

I’ve lost my bank card. Could you please cancel it immediately? の二文を最初に言えば、あとは相手の質問に答える形で進みます。そのあと氏名、口座番号、最後に使った場所を聞かれるので、手元に情報を用意してから電話しましょう。不正利用が判明した場合は警察への届け出を求められることもあるため、届け出番号を控えておくと手続きが滞りません。

銀行員の英語が速くて聞き取れないときはどうすればいいですか

手続きの最初に Could you speak a little more slowly, please? と伝えておくと、そのあとの説明速度が変わることが多いです。聞き取れなかったときは Sorry, could you repeat that, please? を使い、金額や番号なら Could you write it down for me? と書いてもらうのも有効です。聞き返しは失礼ではなく、金額の取り違えを防ぐ手段として歓迎されます。

帰国前に口座を解約するとき、気をつけることは何ですか

家賃や公共料金の自動引き落としをすべて止めてから解約するのが原則です。順序を誤ると、解約後に引き落とし不能の請求が残ることになります。窓口では I’d like to close my account. と伝え、Is there any cancellation fee? と Can I withdraw the remaining balance in cash? を併せて確認しておくと、当日の流れが読めます。

覚えておきたいポイント

この章の要点
  • 短期の旅行でもATM、両替、送金で銀行英語が必要になる
  • account / deposit / withdraw / balance / fee / PIN / exchange rate の七語が土台
  • 四つの定番フレーズを考えずに言えるようにしておく

口座を作らない短期の旅行でも、ATMを使うとき、両替するとき、送金するときと、銀行に関わる場面は意外なところで生まれます。だからこそ、覚える量を絞って確実に使えるようにしておく価値があります。

まず語彙は、account、deposit、withdraw、balance、fee、PIN、exchange rate の七つを押さえておけば、画面表示も窓口の説明もぐっと理解しやすくなります。ここから枝を伸ばす形で、必要になった語を足していけば十分です。

そのうえで、I’d like to open a bank account.、I’d like to withdraw some money.、Could you show me how to use the ATM?、How much is the fee? の四つを、考えずに言えるようにしておきましょう。ここまで準備できていれば、初めての支店でも落ち着いて自分の用件を伝えられます。

最後に、聞き返しの一文だけは忘れずに持っていっ

てください。Sorry, could you repeat that, please? があれば、会話が止まっても立て直せます。必要な単語を覚えて、いざという時に困らないようにしておきましょう。

それではまた、See you!