長い休みの予定が決まると、うれしさと一緒に小さな心配も顔を出します。ベランダの鉢植え、猫のごはん、留守中に届く宅配便。ひとり暮らしなら、どうしても誰かの手を借りたくなります。
ところが英語でいきなり「Can you water the plants?」と切り出すと、頼まれた側は心の準備ができません。日本語でも「ちょっとお願いがあるんだけど」とワンクッション置くほうが、相手は気持ちよく引き受けてくれます。
英語にも、その前置きにぴったりの決まり文句があります。鍵になる単語は favor(フェイヴァ)です。この記事を読み終えるころには、友人への軽い頼みごとから、目上の人へのかしこまった依頼、そして頼まれた側の受け答えまで、ひと続きの会話として口に出せるようになります。独学で行き詰まったときに英語教室で実際に声に出して確かめる、という進め方も合わせて考えてみてください。
まずは、いちばん使用頻度の高い形から押さえていきましょう。
「お願いがあるんだけど」は favor ひと言で切り出せる
- favor は「見返りを求めない親切なひと働き」を指す名詞
- 動詞は do。do me a favor が正しい組み合わせ
- ask a favor は「お願いごとをする」という定型
- 前置きとして使い、本題は別の文で具体的に伝える
「お願いがあるんだけど」に対応する英語の型は、do me a favor と ask you a favor の二系統です。この二つを覚えるだけで、依頼の入り口はほぼ足ります。
なぜ前置きが必要なのでしょうか。理由は単純で、相手の時間や労力を使わせる話だからです。前置きがあると相手は「何か頼まれるな」と身構える準備ができ、断りたいときにも断りやすくなります。
具体的には、Can you do me a favor? と言ってから、少し間を置いて Can you water the plants? と本題に入ります。前置きと本題を分けるのが基本形で、慣れてくれば Can you do me a favor and open the door? のように一文にまとめることもできます。
- フレーズ
- Can you do me a favor?
- 日本語訳
- お願いがあるんだけど、いい?
- 使う場面
- 友人、家族、気の置けない同僚に軽い頼みごとをするとき。相手のそばに行って、まず一言置く形で使います。
- 注意点・誤用例
- Can you make me a favor? は誤りです。favor は「作る」ものではなく「してくれる」もの、と結びつけて do を選びます。
- 発音・ニュアンス
- 「キャンユー ドゥーミア フェイヴァ?」とひとかたまりで読みます。do me a がつながって「ドゥーミア」に聞こえるのが自然な発音です。文末は軽く上げます。
- フレーズ
- May I ask you a favor?
- 日本語訳
- お願いがあるのですが。
- 使う場面
- 初対面の相手、年長の隣人、関係ができていない同僚など、丁寧さを保ちたい相手に。友人にも使えますが、ややかしこまった響きになります。
- 注意点・誤用例
- May I ask a favor of you? も正しい形ですが、of の位置を間違えて May I ask a favor to you? とするのは誤りです。迷うなら ask you a favor の語順で覚えるのが安全です。
- 発音・ニュアンス
- 「メイアイ アスキュア フェイヴァ?」。ask you が「アスキュ」とつながります。ゆっくり丁寧に発音すると、そのまま丁寧さが伝わります。
このように、favor は「これから頼みごとをします」という合図の役割を果たします。合図を出したうえで具体的な用事を伝える、この二段構えが依頼の基本設計です。

では、実際の会話ではどんな流れで使われるのでしょうか。休暇前の友人同士のやりとりを丸ごと見てみましょう。
休暇前の会話でひと続きの流れをつかむ
- 依頼は「予定を話す→前置き→用事→お返し」の順で流れる
- 頼む側と頼まれる側の両方のセリフをまとめて覚える
- 用事は一度に全部言わず、ひとつずつ区切って伝える
依頼の会話は、単独のフレーズではなくひと続きの流れで覚えるほうが実戦で使えます。まずは英語だけで読んでみてください。
会話例:留守中の用事を友人に頼む
- 場面設定
- You are talking with your friend.(学習者が友人と話しています。)
- 会話
- 友人: Will you go anywhere during your vacation?
学習者: Yes. I’m going to go to New Zealand.
友人: I wish I were you.
学習者: May I ask you a favor?
友人: Sure.
学習者: Can you water the plants?
友人: My pleasure.
学習者: And can you feed the cat?
友人: All right. Is that all?
学習者: No. Can you receive a package by express delivery service?
友人: Oh, I have a lot of chores.
学習者: I’ll buy the souvenir for you.
友人: I’m looking forward to hearing your travel story.
会話の日本語訳
- 日本語訳
- 友人: 休暇中にどこかへ行くの?
学習者: うん。ニュージーランドへ行く予定なんだ。
友人: うらやましいなぁ。
学習者: お願いがあるんだけど。
友人: 良いよ。
学習者: 植物に水をやってくれる?
友人: 喜んで。
学習者: それと、猫にえさをあげられる?
友人: わかった。それだけ?
学習者: いや。宅配便の荷物を受け取ってもらえる?
友人: ああ、やることがたくさんあるね。
学習者: あなたには、おみやげを買ってくるよ。
友人: 旅のみやげ話を聞くのを楽しみにしているね。
この会話には、依頼のうまい運び方が詰まっています。予定を話して相手の関心を引き、前置きで合図を出し、用事をひとつずつ区切って伝え、最後にお返しの言葉を添える。この順序を型として持っておくと、自分の事情に入れ替えるだけで会話が成立します。
用事を三つまとめて言わずに、水やり、猫のえさ、荷物の受け取りと一つずつ出しているのも実用的です。相手は Is that all? と確認しながら、自分の負担を測ることができます。
ここから先は、この会話に出てきた語句を一つずつ分解していきます。似た単語との違いや、日本語からの直訳で起きやすいずれも一緒に確認しましょう。
会話に出てきた語句をひとつずつ確かめる
- during は期間の名詞、for は長さの数量とセット
- I wish I were you は仮定法で「うらやましい」を表す
- water や feed のような身近な動詞が家事の話を支える
- look forward to の to は前置詞なので動詞は -ing 形
会話をそのまま暗記するより、部品の働きを理解して組み替えるほうが応用が利きます。一語ずつ見ていきましょう。
during と vacation
during は「~の間に」。during your vacation で「休暇中に」となります。似た働きの for と混同しやすいので、区別を先に固めておくと便利です。
during のあとには the meeting、the summer、your vacation のように期間を表す名詞が来て、「いつ起きたか」を示します。for のあとには three days、two weeks のように長さを表す数量が来て、「どれくらい続いたか」を示します。
I stayed there during the summer(夏の間そこにいた)と I stayed there for two weeks(二週間そこにいた)を並べて覚えると、混ざりません。
vacation は「休暇」。アメリカ英語では旅行を伴う長めの休みに vacation を使い、イギリス英語では holiday が一般的です。on vacation(休暇中で)、take a vacation(休暇を取る)、summer vacation(夏休み)といった形で使われます。「有給休暇を取る」なら take a day off や use my paid leave という言い方もあります。
I wish I were you.
仮定法を使った一文です。I wish のあとに過去形を置くことで、現実とは違う願いを表します。直訳は「私があなただったらいいのに」。実際には自分はあなたではないので、そこににじむのは「いいなあ、うらやましい」という気持ちです。
be動詞が were になっているのは仮定法の形で、主語が I や he のような単数でも were を使うのが伝統的な形です。会話では I wish I was you. と言う人も多く、くだけた場面では自然に受け取られますが、書き言葉やきちんとした場面では were を選ぶほうが無難です。
「うらやましい」を伝える言い方はほかにもあります。I’m so jealous!(いいなあ)は明るいトーンでよく使われ、Lucky you!(いいねえ)は軽い相づちとして便利です。I envy you. は文法的には正しいものの、やや重く響くことがあるため、友人同士なら jealous のほうが空気に合います。That sounds amazing!(それ最高だね)のように、相手の予定を素直にほめる形で羨望を表すのもよく耳にする流れです。
May I ask you a favor?
頼みごとの前置きです。favor は「親切な行為、力になってくれること、世話」を指す名詞で、ask a favor で「お願いごとをする」という意味になります。
May I ~? を使っているので丁寧で、ややかしこまった響きがあります。親しい相手には後述のもっと軽い形のほうが自然ですが、目上の人や関係のできていない相手には、この丁寧さが役立ちます。
water the plants
water は名詞で「水」ですが、動詞では「水をやる」。water the plants で「植物に水をやる」となります。名詞がそのまま動詞として働く例で、ほかにも butter the bread(パンにバターを塗る)、salt the soup(スープに塩を入れる)などがあります。
My pleasure.
「喜んでそうします」という快諾の一言。pleasure は「喜び」で、直訳すれば「それは私の喜びです」。With pleasure. も同じように使えます。
ありがとうと言われたときの返しとしても My pleasure.(どうぞ、こちらこそ)が使われるため、依頼への返事とお礼への返事の両方で活躍します。覚える語数を増やさずに使える場面が広がる、効率のよい一言です。
feed
「えさをやる、食べさせる」。feed the cat(猫にえさをやる)、feed the baby(赤ちゃんに食べさせる)のように使います。名詞の food と同じ語源で、food は「食べ物」、feed は「食べ物を与える行為」と押さえておくと混同しません。ペットの世話をまとめて言うなら look after the cat(猫の面倒を見る)も便利です。
Is that all?
that is all で「それで全部です」。会話では Is that all?(それだけ?)と確認に使われます。店で注文したあとに店員が Is that all?(以上でよろしいですか)と聞くこともあり、その場合の答えは That’s all, thanks.(以上です、ありがとう)です。
頼みごとが続くときは Actually, one more thing.(実はもうひとつ)と切り出します。会話例で No. と答えているのは「それだけではない」という意味で、続きがあることを示しています。
receive、package、express delivery service
receive は「受け取る」、package は「荷物、小包」です。express delivery service は「宅配便」を説明的に表した言い方で、意味は通じます。ただし日常会話では、もっと短く自然な形が好まれます。
- Can you take in a package for me?(荷物を受け取っておいてくれる?)
- Could you sign for a delivery on Tuesday?(火曜に届く荷物にサインしてもらえる?)
- A courier is coming on Friday.(金曜に配達業者が来るんだ)
海外では宅配便を運ぶ会社を courier、荷物そのものを parcel(イギリス英語でよく使う)や package と呼びます。受け取りに伴う「サインする」行為を sign for と表現できると、実際の生活で通じやすくなります。
chore
「雑用、雑事」。ふだんの暮らしのなかで繰り返される小さな仕事を指します。複数形の chores で使うことが多く、household chores といえば掃除・洗濯・皿洗いなど家庭の細々した仕事全般です。
もうひとつの顔として「面倒な作業、気の重いこと」という意味もあり、Ironing is such a chore.(アイロンがけって本当に面倒)のような使い方をします。
souvenir
「記念品、みやげ」。ただし日本語の「おみやげ」とはずれる部分があるので、後半の章で詳しく取り上げます。
look forward to ~
「~を楽しみにしている」。to のあとは名詞のかたまりになるため、動詞を続けたいときは -ing 形にします。
会話では I’m looking forward to hearing your travel story. のように進行形で使うと自然で温かい響きになり、メールでは I look forward to hearing from you.(ご連絡をお待ちしております)のように現在形が定番です。
travel story
「みやげ話」を表した言い方です。英語として意味は取れますが、より自然な形は stories about your trip や all about your trip です。Tell me all about your trip when you get back.(帰ってきたら旅の話を全部聞かせて)と言えば、期待感がよく伝わります。
語句が整理できたところで、次は相手との距離に応じた言い分けに進みます。同じ favor でも、形を少し変えるだけで丁寧さが段階的に変わります。
丁寧さを三段階で使い分ける
- can → could / would に替えるだけで丁寧度が上がる
- かしこまった場面は I have a favor to ask や I was wondering if you could ~
- 本題の前にもうひと呼吸置く前置きも合わせて持つ
favor を使った前置きは、形をわずかに変えるだけで丁寧さの度合いを調整できます。軽い順に三段階で並べて押さえておきましょう。
気軽な間柄で使える形
- Do me a favor?(ちょっとお願い)
- Can you do me a favor?(お願いがあるんだけど、いい?)
- Will you do me a favor?(ちょっと頼まれてくれる?)
- Can I ask you a favor?(お願いごとがあるんだけど、いい?)
友人、家族、気の置けない同僚に向いた形です。前置きと本題をつなげて一文にすることもよくあります。
- 会話
- 学習者: Oh, Bob, can you do me a favor and open the door for me?
同僚: Sure. - 日本語訳
- 学習者: あ、ボブ、ちょっとお願い、ドアを開けてくれる?
同僚: いいよ。 - 使う場面
- 両手がふさがっているときなど、その場でとっさに頼む場面。急ぎのときは前置きと本題を and でつなぐと速く伝わります。
- 発音・ニュアンス
- favor and open が「フェイヴァランド オウプン」のようにつながります。カジュアルで軽い調子なので、目上の相手には向きません。
ひとつ丁寧にしたいとき
- Could you do me a favor?(お願いがあるのですが、よろしいでしょうか)
- Would you do me a favor?(お願いしてもかまいませんか)
- Could I ask you a favor?(ひとつお願いしてもよろしいですか)
- May I ask you a favor?(お願いがあるのですが)
can を could や would に替えるだけで、押しつけの感じが薄れます。会話例で使われていた May I ask you a favor? はこの層に入り、初対面の相手や年長者にも失礼になりません。
かしこまった場面やメールで
- I have a favor to ask (of you).(お願いしたいことがございます)
- I’d like to ask you a favor.(お願いがあるのですが)
- I was wondering if you could ~(~していただけないでしょうか)
- I was wondering if you could do me a favor.(ひとつお願いをお聞き入れいただけないでしょうか)
I was wondering if you could ~ は、丁寧さを一段引き上げたいときの主役です。「~していただけるかどうか考えていたのですが」という遠回しな組み立てが、相手に断る余地を残します。
- 会話
- 保護者A: I was wondering if you could pick her up on Friday.
保護者B: Sorry, but I have a doctor’s appointment that day. I’m only available on Thursday this week.
保護者A: Oh, then… I’ll see if I can apply for extended daycare. Thank you anyway. - 日本語訳
- 保護者A: 金曜に子どものお迎えをお願いしたいのですが。
保護者B: ごめんなさい、その日は病院の予約があるの。今週は木曜しか空いていないわ。
保護者A: そうですか…。延長保育を申し込めるか確認してみます。ありがとうございました。 - 使う場面
- 相手に負担のかかる頼みごとや、断られる可能性が十分ある依頼。ママ友、隣人、取引先など距離のある相手に向きます。
- 注意点
- I’m available on ~ は「~なら空いています」。Thank you anyway. は希望どおりの返事でなくても気遣いに感謝する一言で、断られた側が黙って引き下がるより関係が良好に保たれます。
本題に入る前にさらにひと呼吸置きたいときは、次の前置きも役立ちます。
- I’m sorry to bother you, but ~(お忙しいところすみませんが)
- Do you have a minute?(少しお時間ありますか)
- If you don’t mind me asking, ~(差し支えなければお伺いしたいのですが)
bother は「邪魔をする、煩わせる」。相手の時間を使わせることへの配慮を先に示す形で、職場でも近所づきあいでも重宝します。Do you have a minute? のように相手の余裕を確かめてから頼むのは、言語を問わず信頼される作法です。
依頼の大きさを先に言い添える
- favor に形容詞を添えて依頼の重さを予告できる
- small / big / personal / huge で温度感を調整
- 規模を先に伝えると相手は身構えずに聞ける
favor には形容詞を添えて、依頼の重さを事前に知らせることができます。規模の予告があると、相手は身構えずに話を聞けます。
- a small favor(ちょっとしたお願い)… Could you do me a small favor and write this down?(ちょっとお願い、これを書き留めてくれる?)
- a big favor(折り入ってのお願い)… I have a big favor to ask.(大きなお願いがあるんだ)
- a personal favor(個人的なお願い)… Can I ask you for a personal favor?(個人的な頼みを聞いてもらえる?)
- a huge favor(かなり厚かましいお願い)… This is a huge favor, but could you lend me your car?(かなり無理なお願いなんだけど、車を貸してもらえないかな)
留守中の水やり程度なら a small favor、一週間ペットを預かってもらうなら a big favor、という感覚です。小さな用事に a huge favor をつけると大げさに響き、逆に重い依頼を a small favor と言えば軽く見せようとしている印象になります。
では、そもそも favor という語はどんな中身を持っているのでしょうか。ここを理解すると、使ってよい場面と避けたい場面の境目が見えてきます。
favor という語の中身と関連フレーズ
- favor は「好意に甘える」頼みごと。request や task とは色合いが違う
- I owe you one や I’ll make it up to you でお返しの気持ちを表す
- お礼を言う流儀とセットで使う語
favor は「見返りを求めない親切なひと働き」を指します。仕事として頼む依頼(request)や、業務上の指示(task)とは色合いが違い、あなたの好意に甘えますという含みがあります。
だからこそ、頼むときは相手の善意に踏み込む自覚が必要で、済んだあとにきちんとお礼を言う流儀とセットになっています。この感覚が身につくと、次のような派生表現も自然に使えるようになります。
- I owe you one.(借りができたね/ひとつ恩に着るよ)
- I’ll make it up to you.(この埋め合わせはするから)
- Thanks for doing me a favor.(力になってくれてありがとう)
- He did me a huge favor last year.(去年、彼にはとても助けてもらった)
- Could you return the favor?(お返しをお願いできる?)
I owe you one. は直訳すると「ひとつ借りている」。頼みごとを引き受けてもらった直後に軽く言うと、感謝と「次は自分が」という気持ちを一度に伝えられます。返してもらう側になったときは、You don’t owe me anything.(気にしないで)と返すこともできます。
favor に使う動詞は do です。do me a favor が正しく、make me a favor は誤りなので気をつけましょう。favor は「作る」ものではなく「してくれる」ものだと結びつけて記憶すると間違えません。
好意に甘える語だという性質は、職場での使い方にも影響します。次に、仕事の場で ask a favor が浮いてしまう理由を確かめましょう。
職場で ask a favor を使うときの落とし穴
- 業務の割り振りに favor を使うとくだけすぎた印象になる
- 指示なら I have something I need you to help with.
- 同僚や上司への依頼は Could you please ~? が安全
favor は便利ですが、あらゆる場面に合うわけではありません。上司が部下に業務を割り振る場面で Can I ask you a favor? と言うと、個人的な頼みごとの響きになり、指示としてはくだけすぎた印象を与えます。
理由は前の章で見たとおり、favor が「業務ではなく好意」を指す語だからです。職責の一部として仕事をお願いするなら、次のような言い方が場に合います。
- フレーズ
- I have something I need you to help with. Would you be able to finish the presentation material by the end of the day today?
- 日本語訳
- お願いがあるんだけど、今日中にプレゼン資料を仕上げてもらえるかな。
- 使う場面
- 業務としてメンバーに作業を依頼するとき。help with という語が入ることで、命令口調にならず協力を求める形になります。
- 注意点
- 同じ内容を Can I ask you a favor? で始めると、業務ではなく私的な頼みごとに聞こえます。期限がある仕事の依頼では避けるほうが無難です。
- When you get a chance, can you take care of this?(時間があるときに、これを進めてもらえる?)
- Could you please send me the updated file?(更新版のファイルを送っていただけますか)
- Would you be able to join the call at three?(三時の通話に参加していただけますか)
When you get a chance という枕詞は、急ぎでないことを示しつつ柔らかく頼めるため、上下関係を問わず使いやすい表現です。反対に、部下から上司へ、あるいは同僚同士で仕事を依頼するときは Could you please ~? が安全な選択になります。
favor は「業務ではなく好意でお願いすること」に取っておく、と整理しておくと使い分けに迷いません。ただし職場でも、私物を借りる、休日の予定を代わってもらうといった業務外の頼みごとであれば favor が自然に働きます。
ここまでは頼む側の言い方でした。次は立場を入れ替えて、頼まれたときの返し方を用意しておきましょう。
頼まれた側はどう返すか
- 引き受ける、内容を確かめる、断るの三通りを用意する
- 即答しにくいときは It depends on what it is. で正直に反応
- 断るときは理由と気持ちを添えるのが英語でも作法
依頼の言い方だけ覚えても会話は片側だけです。自分が頼まれる立場になったときの受け答えも、あわせて用意しておきましょう。返し方は引き受ける・確かめる・断るの三通りに整理できます。
引き受けるとき
- Sure.(いいよ)
- Of course.(もちろん)
- No problem.(問題ないよ)
- My pleasure. / With pleasure.(喜んで)
- I’d be glad to.(喜んでやります)
- Absolutely.(もちろんです)
会話例の My pleasure. は、快く受ける気持ちがしっかり伝わる返事です。Sure. だけでも十分ですが、ひと言足すと温度が上がります。Sure, no problem at all.(もちろん、全然平気だよ)のような重ね方が自然です。
内容を先に確かめたいとき
- What is it?(何?)
- Sure. What is it?(いいよ、どんなこと?)
- It depends on what it is.(内容によるかな)
- What do you need?(何が必要?)
即答しにくい場合は、この段階で中身を聞くのが誠実です。安請け合いして後で断るより、It depends on what it is. と正直に反応するほうが関係を守ります。
- 会話
- 学習者: Can I ask you a favor?
友人: Sure. What is it?
学習者: Can you drive me to the station tomorrow morning? - 日本語訳
- 学習者: お願いがあるんだけど、いい?
友人: もちろん。何?
学習者: 明日の朝、駅まで車で送ってくれない? - 使う場面
- 前置き、承諾、本題という三往復の基本形。この形を身体に入れておくと、実際の会話で相手のセリフを待つ余裕が生まれます。
- 発音・ニュアンス
- What is it? は「ワッティズィット?」と軽くつなげます。強く発音すると詰問に聞こえるので、語尾を柔らかく下げるのが自然です。
断るとき
- Sorry, but I can’t ~(ごめん、~はできないんだ)
- I’d love to help, but ~(力になりたいんだけど、~)
- I’m afraid I can’t make it that day.(あいにく、その日は都合がつきません)
- I wish I could, but ~(できればそうしたいんだけど、~)
いきなり No. と返すのは冷たく響きます。断る意思は明確に、しかし理由と気持ちを添える。これが英語でも変わらない配慮です。
- 会話
- 学校の担当者: Hi. I was wondering if you could help us with the upcoming school event.
保護者: Well, it depends…
学校の担当者: Could you volunteer as a field trip chaperone next Friday?
保護者: Next Friday? I’d love to help out, but I have an important meeting I really can’t miss that day.
学校の担当者: That’s all right. I’ll ask someone else then. Thanks anyway. - 日本語訳
- 学校の担当者: こんにちは。今度の学校行事を手伝っていただけないでしょうか。
保護者: ええと、内容によりますが…。
学校の担当者: 次の金曜の校外学習の付き添いなんです、いかがですか。
保護者: 次の金曜? お力になりたいのですが、その日はどうしても外せない大事な会議があるんです。
学校の担当者: わかりました。では別の方に聞いてみます。ありがとうございました。 - 語句
- upcoming は「もうすぐの、次の」、field trip は「校外学習、遠足」、chaperone は「付き添い」。英語圏では保護者が校外学習に同行したり車を出したりする習慣があり、こうした依頼と断りのやりとりは日常的に交わされます。
- 注意点
- I’d love to help, but ~ の but のあとは、言いにくくても具体的な事情を添えます。理由を省くと、断りではなく拒絶として受け取られることがあります。
受け答えの準備ができたら、いよいよ具体的な用事の言い方です。旅行前に頼む内容は、実はかなり定型化しています。
留守中に頼みたい用事の言い方
- 植物、ペット、荷物、家の様子、鍵の五分野で覚える
- check on ~、keep an eye on ~ は負担の軽い依頼に便利
- while I’m away を添えれば前提を短く説明できる
旅行前に誰かにお願いする内容は、だいたい決まっています。そのまま口に出せる形で分野ごとにまとめておきましょう。

植物の世話
- Could you water the plants twice a week?(週に二回、植物に水をやってくれる?)
- The one on the balcony needs water every other day.(ベランダのやつは一日おきに水が必要なんだ)
- Just a little water for the succulents.(多肉植物には少しだけ水をあげて)
every other day は「一日おきに」。twice a week(週二回)、once a day(一日一回)とあわせて、頻度の言い方をひとまとめに覚えておくと便利です。succulent は多肉植物のことで、水やりの量を伝えるときに登場します。
ペットの世話
- Can you feed the cat in the morning?(朝に猫のえさをお願いできる?)
- Could you change her water and clean the litter box?(水を替えて、トイレを掃除してもらえる?)
- Would you mind checking on the dog once a day?(一日一回、犬の様子を見てもらえませんか)
litter box は猫のトイレ。check on ~ は「~の様子を見る」で、世話まで頼まないが無事かどうか確認してほしい場合にちょうどよい表現です。
Would you mind ~? に続く動詞は -ing 形になります。Would you mind check on the dog? は誤りで、checking が正しい形です。また mind は「気にする」という意味なので、引き受けるときの答えは Not at all.(かまいませんよ)のように否定で返します。Yes. と答えると「気にします、いやです」という意味になってしまいます。
荷物や郵便
- Can you take in a package for me on Wednesday?(水曜に荷物を受け取っておいてくれる?)
- Could you collect my mail while I’m away?(留守の間、郵便物を取っておいてもらえる?)
- Please put the flyers in the recycling.(チラシは資源ごみに入れておいて)
while I’m away は「留守の間」。頼みごとの前提を短く添えられる便利な言い方です。while I’m gone、while I’m out of town もほぼ同じように使えます。
家の様子を見てもらう
- Could you keep an eye on the place while I’m gone?(留守中、家の様子を見ておいてもらえる?)
- Can you open the windows to air out the room?(窓を開けて部屋の空気を入れ替えてくれる?)
- Would you take out the trash on Monday?(月曜にゴミ出しをお願いできる?)
keep an eye on ~ は「~に目を配る」。家、荷物、子ども、鍋の火など幅広く使えます。air out は「風を通す、換気する」で、湿気の多い季節の依頼で役立ちます。
鍵の受け渡し
- I’ll leave the key with you.(鍵はあなたに預けておくね)
- I’ll drop off the spare key on my way to the airport.(空港へ行く途中で予備の鍵を届けるよ)
- The key is under the mat, but please don’t tell anyone.(鍵はマットの下だけど、誰にも言わないでね)
drop off は「(人や物を)置いていく、届ける」。leave A with B は「AをBに預ける」で、鍵や荷物の受け渡しでよく使う組み合わせです。
こうした用事を語るとき、chore という単語がよく顔を出します。似た意味の語と一緒に整理しておきましょう。
chore・housework・errand の使い分け
- chore は繰り返される家庭内の細かな仕事
- housework は家事の総称で数えられない名詞
- errand は外に出て済ませる用件。run errands の形で使う
留守中の用事を語るときによく出てくる三語には、それぞれはっきりした住み分けがあります。
chore は暮らしの中で繰り返される細かな仕事、とくに家庭内で分担するような小さな作業を指します。do the chores、household chores のかたちで使い、面倒に感じられる作業を指すニュアンスも帯びます。
housework は掃除・洗濯・料理といった家事の総称です。数えられない名詞なので a housework とは言わず、do the housework と表します。
errand は「用事、使い走り」。買い物や郵便局への持ち込みなど、外に出て済ませる用件を指します。run errands(用事を済ませに出かける)という形が定番です。
- フレーズ
- I have a few chores at home and then I need to run some errands.
- 日本語訳
- 家でこまごました用事を片づけてから、外に出て用を済ませないといけない。
- 使う場面
- 週末の予定を聞かれたときや、誘いを断るときの理由として。一文で二語の違いを体感できます。
- 注意点
- errand を家の中の作業に使うと違和感が出ます。外出を伴うかどうかが分かれ目です。
会話例の I have a lot of chores. は「やることが多いね」と軽くこぼす言い方で、嫌がっているのではなく、頼まれごとが増えたことをユーモラスに受け止めている場面です。こうした軽口を軽口として受け取れると、会話の温度がわかるようになります。
souvenir の落とし穴とお土産の伝え方
- souvenir は自分のための記念品という色合いが強い
- 人に渡すお土産は get you something や a gift で表す
- 英語圏には全員に配る習慣が日本ほど強くない
日本語の「おみやげ」は、旅先で買って人に渡す品物を指します。ところが英語の souvenir は旅の記憶を残すために自分が買う記念品という色合いが強い語です。
マグネット、キーホルダー、絵はがきなど、思い出の証としての品物が souvenir にあたります。そのため、人に渡すお土産を伝えたいときは、次のような言い方のほうが意図どおりに届きます。
- I’ll get you something from New Zealand.(ニュージーランドで何か買ってくるね)
- I brought you a little something.(ちょっとしたものを買ってきたよ)
- Here’s a gift from Kyoto.(京都のお土産です)
- I picked this up for you in Auckland.(オークランドであなたのために買ってきたんだ)
a little something は「ちょっとしたもの」という控えめな表現で、渡すときの気恥ずかしさをうまく吸収してくれます。pick up は「買ってくる、手に入れる」という軽い言い方です。
英語圏では、旅行のたびに全員へ配る習慣が日本ほど強くありません。だからこそ渡されたときの喜びは大きく、Oh, you didn’t have to!(そんな気を使わなくてもよかったのに)という受け答えが返ってくることもあります。これは遠慮ではなく、ありがたさを表す決まった反応です。
お返しの言葉が出てきたところで、頼みごとを気持ちよく通すための工夫を整理しておきましょう。
頼みごとが通りやすくなる四つの工夫
- 理由を添える、逃げ道を残す、手間を具体化する、お返しを言葉にする
- No worries if you can’t. の一言が相手の負担を軽くする
- 帰国後の感謝が次に頼める関係を育てる
同じ内容でも、伝え方ひとつで相手の負担感は変わります。押さえるべき工夫は四つです。
一つ目は理由を添えること。I’ll be away for ten days, so ~(十日ほど留守にするので)のように背景を先に置くだけで、頼む側の事情が伝わり、相手も判断しやすくなります。
二つ目は逃げ道を残すこと。If it’s not too much trouble(ご迷惑でなければ)、Only if you have time(時間があるときだけで)、No worries if you can’t(無理なら気にしないで)を添えると、断る自由を相手に返すことになり、関係が保たれます。
三つ目は頻度や手間を具体的に示すこと。It’s just once a week, about five minutes.(週一回、五分くらいだよ)と伝えれば、相手は引き受けるかどうかを現実的に考えられます。曖昧なまま頼むと、必要以上に大きな負担を想像させてしまいます。
四つ目はお返しを言葉にすること。会話例で I’ll buy the souvenir for you. と言い添えているのは、いい流れです。I’ll do the same for you next time.(次はこちらが同じことをするね)、Let me buy you dinner when I’m back.(帰ったら夕食をごちそうさせて)といった一言が、頼みごとを一方通行にしません。
- フレーズ
- Thanks so much for looking after the cat. She looks happy.
- 日本語訳
- 猫の世話をありがとう。元気そうだよ。
- 使う場面
- 帰国してお土産を渡すときに、あわせて伝える一言。結果がよかったことを具体的に述べると、相手の労力が報われます。
- 言い換え
- I really appreciate you keeping an eye on the place.(家を見ていてくれて本当に助かった)。appreciate のあとは動名詞が続く点に注意します。
そして帰国後の感謝がいちばん大切です。ここまで伝えられれば、次にまた頼める関係が育ちます。次は、覚えたフレーズを声に出して整える段階に進みましょう。
声に出して整える発音とリズム
- favor は「フェイヴァ」。第一音節にアクセント
- do me a favor は一語のようにつなげて読む
- 依頼文は語尾を軽く上げると柔らかく響く
頼みごとのフレーズは短いので、音のつながりと抑揚が伝わりやすさを左右します。順に確かめましょう。
favor は「フェイヴァ」。最初の fa- を強く、あとの -vor を弱く添えます。「ファボー」と読むと通じにくくなるので、fa は「フェイ」と二重母音で伸ばす感覚を持ってください。v の音は下唇に前歯を軽くあてて震わせます。
次にリズムです。Can you do me a favor? は単語を一つずつ区切らず、「キャニュ ドゥーミア フェイヴァ」と三つのかたまりで読みます。do me a の部分がつながって短くなるのが自然な形です。
May I ask you a favor? も同じ要領で、「メイアイ アスキュア フェイヴァ」となります。ask you が「アスキュ」に変わる点だけ意識すれば、あとは自然に流れます。
- 練習フレーズ
- Can I ask you a small favor? / I was wondering if you could water my plants.
- 日本語訳
- ちょっとお願いしてもいい? / 植物に水をやっていただけないでしょうか。
- 発音のポイント
- 前者は「キャナイ アスキュア スモール フェイヴァ」。後者は wondering if you could をひとかたまりにして「ワンダリンギフユクッド」と軽く流します。丁寧な文ほど早口にならないよう、ゆっくり発音するのが向いています。
- 練習方法
- まず日本語のカタカナ表記で三回、次に文字を見ずに三回、最後に相手の名前を頭につけて三回。名前を添える形で練習すると、実際の場面にそのまま持ち出せます。
抑揚については、依頼の疑問文は語尾を軽く上げるのが基本です。下げ調子で言うと確認や指示のように響きます。ただし I was wondering if you could ~ は平叙文の形なので、語尾を上げずに穏やかに下げて終えます。
音の準備ができたら、最後の関門は文法上の細かい誤りです。日本語話者がつまずきやすい点を確認しておきましょう。
つまずきやすい六つの誤り
- make me a favor、look forward to see は代表的な誤り
- 命令文に please を足しても丁寧にはなりきらない
- favor と favour は綴りの違いだけ
誤りは覚え方を変えるだけで防げるものが多く、組み合わせで記憶するのが有効です。
一つ目、make me a favor は誤りで、do me a favor が正しい形です。動詞の組み合わせで丸ごと覚えてしまいましょう。
二つ目、favor の綴りはアメリカ英語で favor、イギリス英語で favour です。どちらも同じ語で、読み方も変わりません。書き言葉ではどちらかに統一するのが読みやすさにつながります。
三つ目、Can you ~? だけで用件を切り出すと直球すぎることがあります。前置きに favor の一言を挟むだけで、印象はぐっと柔らかくなります。
四つ目、Please ~ をつければ丁寧になると考えがちですが、命令文に please を足した形は場面によって強く響きます。頼みごとには Could you ~? や Would you mind ~? のような疑問形を選ぶほうが穏やかです。
五つ目、look forward to のあとに動詞の原形を置くのもよくある間違いです。to は不定詞ではなく前置詞なので、I’m looking forward to see you ではなく I’m looking forward to seeing you が正しい形になります。
六つ目、I wish のあとの時制です。現在の願いには過去形(I wish I had more time.)、過去への後悔には過去完了形(I wish I had told her.)を使います。時間が一段ずれる感覚をつかむと、仮定法全体が扱いやすくなります。
親しくない相手に Do me a favor. と言い切る形を使うと、命令のように響いて失礼になることがあります。とくに強い語調で言うと、英語では「いい加減にして」という皮肉の意味に取られる場合もあります。距離のある相手には Could you do me a favor? のように疑問形を選んでください。
誤りの地図が頭に入ったら、あとは自分の生活に置き換える作業だけです。
自分の状況に置き換える練習と一週間の復習計画
- 穴埋めテンプレートに自分の事情を入れて一文を作る
- 同じ内容をカジュアル版と丁寧版で言い換える
- 一週間の区切りで役割を入れ替えて練習する
学んだ形は、自分の生活に置き換えたときに定着します。次の空欄を自分の事情で埋めてみましょう。
- 穴埋めテンプレート
- Hey, ______(相手の名前). Can I ask you a small favor? I’ll be away for ______(期間), and I was wondering if you could ______(頼みたいこと). It’s just ______(頻度や所要時間). No worries if you can’t. I’ll ______(お返し) when I get back.
- 記入例
- Hey, Mika. Can I ask you a small favor? I’ll be away for a week, and I was wondering if you could water my plants. It’s just twice, about five minutes each time. No worries if you can’t. I’ll bring you something nice when I get back.
- 日本語訳
- ねえミカ、ちょっとお願いしてもいい? 一週間留守にするから、植物に水をやってもらえないかな。二回だけ、一回五分くらい。無理なら気にしないで。帰ったら何かいいもの買ってくるね。
- 丁寧版への言い換え
- 相手が近所の年長者なら、I’m sorry to bother you, but I was wondering if you could keep an eye on my apartment while I’m away next week. と組み替えられます。カジュアルと丁寧を行き来できるようになると、相手が変わっても慌てません。
練習の進め方としては、一週間ほどの区切りで役割を入れ替えながら繰り返すやり方が向いています。
- 一日目:Can you do me a favor? と May I ask you a favor? を声に出して十回ずつ。
- 二日目:留守中の用事のフレーズから、自分に必要な三つを選んで書き出す。
- 三日目:選んだ三つを使って、休暇前の会話を自分の言葉で作り直す。
- 四日目:頼まれた側になって、引き受ける・確かめる・断るの三通りを言ってみる。
- 五日目:同じ依頼をカジュアル版と丁寧版の二通りで言い換える。
- 六日目:断られた場合の Thank you anyway. まで含めて、往復のやりとりを通しで練習する。
- 七日目:テンプレートを見ずに、実際に頼みたい相手を思い浮かべて一気に言い切る。
ひとりで練習するとき、いちばん確かめにくいのは「この言い方で相手はどう感じるか」という部分です。丁寧さの度合いや声の調子は、聞いてくれる相手がいると一気に精度が上がります。

依頼のやりとりは相手あってのものなので、練習相手を確保できる環境があると習得が進みやすくなります。学習の進め方を相談してみたい方は、こちらから内容を確かめてみてください。
よくある質問
- 語順、動詞、綴りに関する疑問をまとめて解消
- Would you mind ~? の答え方は否定で返すのが基本
- お土産や look forward to の使い方も確認
最後に、学習者からよく挙がる疑問を整理しておきます。
Can you do me a favor? と Can I ask you a favor? はどう違いますか?
意味はほぼ同じで、どちらも「お願いがあるんだけど」という前置きです。主語が違うだけで、do me a favor は相手の行動に、ask you a favor は自分が尋ねる行為に視点があります。どちらを使っても失礼にはなりません。丁寧さを上げたいときは can を could に替えるか、May I ask you a favor? を選びます。
make me a favor は使えますか?
使えません。favor と組み合わせる動詞は do で、do me a favor が正しい形です。favor は誰かが「してくれる」親切な行為なので、make ではなく do と結びつけて覚えてください。過去形なら She did me a favor. のようになります。
favor と favour はどちらが正しいのですか?
どちらも正しく、同じ語です。favor はアメリカ英語の綴り、favour はイギリス英語の綴りで、発音も意味も変わりません。文章を書くときは、どちらかの綴りに統一しておくと読み手が混乱しません。
上司や部下に ask a favor を使っても大丈夫ですか?
業務として仕事を割り振る場面では避けるほうが無難です。favor は好意でしてもらう頼みごとを指すため、指示や依頼としてはくだけすぎた響きになります。部下に業務を頼むなら I have something I need you to help with. や When you get a chance, can you take care of this? が向いています。上司や同僚への依頼なら Could you please ~? が安全です。一方、私物を借りるなどの業務外の頼みごとであれば favor は自然に使えます。
Would you mind ~? に「いいですよ」と答えるにはどう言いますか?
Not at all. や Of course not. のように否定で返します。mind は「気にする」という意味なので、Yes. と答えると「気にします、いやです」という意味になってしまいます。No problem. や Sure, no problem. でも承諾は伝わるので、迷ったときはこちらでも構いません。
人に渡すお土産は souvenir と言えばいいですか?
souvenir は旅の思い出として自分のために買う記念品という色合いが強い語です。人に渡すお土産を伝えたいときは、I’ll get you something from New Zealand. や I brought you a little something. のほうが意図どおりに伝わります。渡すときは Here’s a gift from Kyoto. のように gift を使う言い方も自然です。
look forward to のあとは動詞の原形でいいですか?
原形ではなく -ing 形にします。この to は不定詞ではなく前置詞なので、あとには名詞のかたまりが来ます。I’m looking forward to seeing you. が正しく、I’m looking forward to see you. は誤りです。メールでは I look forward to hearing from you. のように現在形が定番です。
断るときに No. だけで答えてはいけませんか?
文法上は問題ありませんが、冷たく響きます。I’d love to help, but I have an important meeting that day. のように、力になりたい気持ちと具体的な理由を添えるのが英語でも一般的な配慮です。断ったあとに相手が Thanks anyway. と言うのも決まった流れなので、覚えておくと落ち着いて対応できます。
chore と errand の違いは何ですか?
chore は家の中で繰り返される細かな仕事で、household chores のように使います。errand は買い物や郵便局への持ち込みなど、外に出て済ませる用件を指し、run errands の形が定番です。外出を伴うかどうかが分かれ目になります。掃除や洗濯といった家事の総称は housework で、数えられない名詞なので do the housework と表します。
旅立つ前のひと言
- 前置きをひとつ、内容は具体的に、帰ったら感謝を
- favor は往復の関係を前提にした語
- 次の休暇の話題から実際に使ってみる
旅行の前に気がかりなのは、たいてい生き物と植物、そして届く荷物です。そういう小さな用事を安心して託せる人がいることは、それ自体がありがたいことだと思います。
頼むときは前置きをひとつ、内容は具体的に、そして帰ったら感謝とみやげ話を。favor という単語には、その往復のあたたかさが最初から含まれています。
次に休暇の予定を友人に話すときは、May I ask you a favor? と切り出してみてください。きっと Sure. What is it? と返ってきます。
See you then.

