初対面の相手に「What do you do?」と聞かれて、一瞬固まってしまった経験はありませんか。日本語なら「営業をしています」「出版社で編集をしています」と一言で済むのに、英語になると主語も動詞も前置詞も同時に迷ってしまう。その結果、あいまいな笑顔でやり過ごしてしまう——これは英単語の量が足りないからではありません。

原因は「型」を持っていないことにあります。逆に言えば、答えの順番をひとつ決めてしまえば、職種が何であっても同じ流れで話せるようになります。この記事では、職業名・勤務先・部署・業務内容・勤務時間・仕事への思いまでを順序立てて伝える型を、対訳付きの会話例と誤用例つきで組み立てていきます。読み終えたその日から、20秒の自己紹介として口に出せる状態を目指します。

実際の会話で使えるところまで仕上げたい方は、英語教室のようにその場で反応が返ってくる環境と組み合わせると、覚えた型が定着しやすくなります。まずは、答えの骨組みから確認していきましょう。

目次 [ close ]
  1. 「自分の仕事」を英語で伝える型は4ステップで決まる
  2. What do you do? が「お仕事は何ですか?」になる理由
    1. 質問のバリエーションを増やす
  3. 混同しやすい質問文との違いを整理する
    1. What are you doing? との違い
    2. How do you do? は挨拶
    3. 文末が付くと意味が変わる
  4. 自分の職業を答える基本の型は5階層で整理する
    1. 職業名で答える:I'm a/an + 職業
    2. 分野で答える:I'm in + 職種・分野
    3. 「~として働く」:I work as + 職業
    4. 勤続年数を添える:I've been with ~
  5. work for / at / in / with の使い分けを一度で決める
    1. work for + 会社名・人名:雇われている
    2. work at + 場所・会社名:どこで働いているか
    3. work in + 部署・業界・分野・地域:どの領域か
    4. work with + 人・もの:誰と、何を扱うか
    5. 関係代名詞 that の働きをもう少し詳しく
  6. 業務内容を具体的に伝える5つの表現
    1. it's ~ to… で感想を添える
  7. 会社と業界を一文で説明する
  8. 職業名の英語一覧をひととおり確認する
  9. 勤務時間・通勤・休みの話に広げる
    1. 始業・終業
    2. 通勤
    3. 残業・休み
  10. 仕事の感想を伝え、相手に共感を返す
    1. 自分の仕事について
    2. 相手の話への反応
    3. 聞き返しの定番
  11. 基本のモデル会話:職業を聞かれてから生活の話へ
    1. 語句のワンポイント確認
  12. 場面別モデル会話:名刺交換・パーティー・面接・オンライン会議
    1. 名刺交換の直後
    2. パーティーでの雑談
    3. 面接での短い自己紹介
    4. オンライン会議の冒頭
  13. つまずきやすいポイントと失礼を避ける配慮
    1. 「サラリーマン」は英語ではない
    2. 現在形で語る
    3. What's your job? の直球感
    4. 職業を聞かない文化もある
  14. 発音とリズムを整える音読練習
    1. つなげて読む練習
    2. 区別したい音
    3. 意味のまとまりで区切る
  15. 20秒の自己紹介テンプレートを作る
    1. テンプレート(空欄を埋める)
    2. 記入例(4文で20秒)
    3. 短縮版(10秒)
  16. 7日間で口に馴染ませる練習の進め方
  17. 声に出して確認したい和文英訳の練習
  18. よくある質問
  19. ひとこと

「自分の仕事」を英語で伝える型は4ステップで決まる

この章の要点
  • 答えの順番は「職業名 → 勤務先と業界 → 担当業務 → ひとこと感想」の4ステップ
  • この順番なら、相手が知りたい情報が自然に揃い、話が途切れにくい
  • 最後に How about you? を添えて相手にボールを返すのが会話を続ける鍵

自分の仕事を英語で説明するときは、4ステップの順番で並べれば十分です。すなわち、①職業名、②勤務先と業界、③担当業務、④ひとこと感想。この四つを言い切って、最後に相手へ質問を返します。

なぜこの順番が有効なのでしょうか。理由は、相手の頭の中で情報が積み上がる順序と一致しているからです。人はまず「どんな職業の人か」という大枠を知り、次に「どこで働いているのか」で具体性を得て、「何を担当しているのか」で人物像を掴み、「どう感じているのか」で感情的な接点を見つけます。逆の順番で話すと、聞き手は最後まで全体像がわからず、質問を挟むタイミングも失ってしまいます。

フレーズ
I’m an editor. I work in the publishing industry. I’m responsible for editing articles and working with writers. I like my work, but it can be demanding. How about you?
日本語訳
編集者をしています。出版業界で働いています。記事の編集とライターとのやりとりを担当しています。仕事は好きですが、なかなか大変です。あなたはどうですか。
使う場面
初対面の自己紹介、名刺交換の直後、立食パーティーでの雑談、オンライン会議の冒頭。
注意点
一文を長くつなげようとせず、短い文を四つ並べる意識で話すこと。I’m an editor and I work in the publishing industry and I’m responsible for… と and で数珠つなぎにすると聞き取りにくくなります。
発音・ニュアンス
an editor は「アン・エディター」と切らず「アネディター」とつなげます。responsible は re-SPON-si-ble と第2音節を強く。文の終わりを軽く下げ、How about you? だけ語尾を上げると自然な流れになります。

この四つを言えるようにするだけで、初対面の会話の入口はほぼ乗り切れます。ただし、そもそも相手の質問が何を尋ねているのかを取り違えると、答えが噛み合いません。では、あの「What do you do?」はなぜ職業を尋ねる質問になるのでしょうか。

What do you do? が「お仕事は何ですか?」になる理由

この章の要点
  • 元の形は What do you do for a living?(生計を立てるために何をしていますか)
  • for a living が省略されたため、直訳では意味が見えにくくなっている
  • What’s your job? は文法上正しいが直球に響くため、第一候補は What do you do?

結論から言えば、What do you do? はfor a living の省略形です。フルバージョンは What do you do for a living?。for a living は「生活のために」という意味なので、全体では「生計を立てるために何をしていますか」となります。

この背景を知っておく価値は大きいです。理由は、意味を明確にしたいときにフルバージョンへ戻せるからです。相手が学生か社会人か判断しづらい場面や、話題が飛んで文脈があいまいなときには、for a living を付けたまま尋ねても不自然になりません。

日本語でも、初対面の相手に「あなたの仕事は何ですか」と直接ぶつけることは少なく、「普段はどんなお仕事を?」と柔らかく尋ねます。英語も同じ感覚で、What’s your job? は文法的には正しいものの、事務的・詰問調に響くことがあります。相手の職業を知りたいときは What do you do? を選ぶのが無難です。

質問のバリエーションを増やす

同じ趣旨でも言い方を変えられると、会話に幅が出ます。相手や場の空気に合わせて選び分けてみてください。

  • What do you do?:いちばん一般的。カジュアルからビジネスまで幅広く使える
  • What do you do for a living?:省略なしの形。少し具体的に踏み込む響き
  • What kind of job do you have?:どんな種類の仕事をしていますか
  • What’s your occupation?:書類や公的な場面でよく見る硬めの言い方
  • What line of work are you in?:どういう業界のお仕事ですか。大人同士の落ち着いたトーン
  • Are you working at the moment?:相手が学生や求職中かもしれないときの気遣った聞き方

いきなり職業を尋ねるのが唐突に感じられる状況では、So, what brings you here today?(今日はどうしてこちらへ?)のように場の話題から入り、流れの中で What do you do? に移るとスムーズです。

フレーズ
What line of work are you in?
日本語訳
どういった分野のお仕事をされているのですか。
使う場面
年上の相手や落ち着いた会食の席。職種名をピンポイントで問わず、業界レベルで尋ねるので相手が答えやすい。
注意点
What line of work do you do? とは言いません。in と are you の組み合わせで覚えます。
発音・ニュアンス
line of work は「ラインノブワーク」と一語のようにつなげます。work are you in の in を軽く上げて終えると、丁寧な問いかけに聞こえます。

ところで、What do you do? とよく似た形なのに意味が全く違う質問がいくつかあります。次に、その取り違えを防いでおきましょう。

混同しやすい質問文との違いを整理する

この章の要点
  • What are you doing? は「今、何をしているの?」で職業の意味は含まれない
  • What do you doing? は誤り。do と doing は同時に並べられない
  • What do you do? は文末に付く語句で「職業・習慣・対処法」の三通りに変わる

似た形の質問を区別する鍵は、文末に何が付いているかです。同じ What do you do? が、後ろの語句ひとつで意味を変えます。

What are you doing? との違い

What are you doing? は現在進行形で、「今この瞬間、何をしているの?」という意味です。職業を尋ねるニュアンスはまったく含まれません。電話口で What are you doing? と言われたら、答えるべきは「今テレビを見ている」「駅に向かっている」といった目の前の行動です。

ここを取り違えると、相手が近況を尋ねているのに職業を答えてしまい、会話が噛み合わなくなります。逆に、職業を聞かれているのに「今メールを書いています」と答えると、話がそこで止まります。

注意点

What do you doing? は文法的に成り立ちません。doing を使うには be動詞が必要なので、正しくは What are you doing? です。do と doing を同時に並べないよう意識してください。焦って口を開くと出やすい誤りなので、「doing の前には are」と音でセットにして覚えるのが安全です。

How do you do? は挨拶

How do you do? は「はじめまして」に当たる挨拶で、非常にかしこまった響きがあります。現代の日常会話ではほとんど使われず、Nice to meet you. が主流です。返事は同じく How do you do? と返すのが作法ですが、古風な印象を与えるため、初対面では Nice to meet you. を選んでおけば失礼になりません。

文末が付くと意味が変わる

What do you do? の後ろに時や目的を表す語句が付くと、意味は素直に「何をしますか」へ戻ります。

  • What do you do on weekends?(週末は何をしていますか)
  • What do you do for fun?(趣味は何ですか)
  • What do you do when you get stuck?(行き詰まったときはどうしますか)
  • I’m done with my part. What do we do now?(自分の担当は終わりました。次はどうしましょう)

主語を we に変えれば「どうしよう?」という相談の表現になります。同じ形が場面によって職業・習慣・対処法の三通りに解釈されるわけです。聞き取りのときは、文末まで気を抜かずに拾いましょう。

開いたノートに書かれた英語学習メモと鉛筆、付箋、緑茶のカップが並ぶ学習デスクを真上から撮影した写真
質問文の違いと前置詞の使い分けは、一度紙に書き出して整理すると混乱しにくくなります

質問の意味が正確に取れるようになったら、いよいよ答える側の準備です。まずは答えの5階層を押さえましょう。

自分の職業を答える基本の型は5階層で整理する

この章の要点
  • 答えは「職業名/分野/勤務先/部署/業務内容」の5階層に分けて考える
  • いちばん短く確実なのは I’m a/an + 職業名の形
  • 職名を細かく言いたくないときは I’m in + 分野が便利

答え方に迷うのは、どの粒度で話すかを決めていないからです。職業名、分野、勤務先、部署、業務内容——この5階層のどこから話すかを先に決めれば、言葉に詰まりません。

職業名で答える:I’m a/an + 職業

いちばん短くて確実な答え方です。I’m an editor.(編集者です)がこの形。editor は母音で始まるので a ではなく an を使う点に注意しましょう。

  • I’m a nurse.(看護師です)
  • I’m an accountant.(会計士です)
  • I’m a sales manager.(営業部長です)
  • I’m self-employed.(自営業です)
  • I’m a freelancer. / I’m freelance.(フリーランスです)
  • I own a small restaurant.(小さな飲食店を経営しています)
  • I’m a stay-at-home mom.(家庭で子育てをしています)
  • I’m between jobs right now.(今は転職の合間です)

仕事をしていないことを伝えるなら I’m unemployed. も使えますが、I’m between jobs. や I’m job hunting at the moment. のほうが前向きで、気持ちの負担も少ない言い方です。

分野で答える:I’m in + 職種・分野

職名を細かく言うより、領域をざっくり示したいときに便利です。相手が業界の外の人でも通じやすいという利点があります。

  • I’m in sales.(営業をしています)
  • I’m in accounting.(経理です)
  • I’m in engineering.(技術職です)
  • I’m in HR.(人事です)
  • I’m in education.(教育の分野です)

「~として働く」:I work as + 職業

I work as a secretary.(秘書として働いています)のように、職務としての役割を強調できます。この形には「今はこの職だが将来は変わるかもしれない」という含みがわずかに乗ることがあります。始めたばかりなら I just started working as a secretary. と添えると、状況まで伝わります。

フレーズ
I work as a project coordinator at a construction company.
日本語訳
建設会社でプロジェクトの調整役として働いています。
使う場面
役職名が日本語独自で訳しにくいとき、役割と勤務先を一文でまとめたいとき。
注意点
as の後ろの職業名には a/an が必要です。I work as project coordinator. は冠詞が抜けた形になります。
発音・ニュアンス
work as a は「ワーカザ」とひと息で。coordinator は co-OR-di-na-tor と第2音節を強めます。役割を客観的に述べるトーンで、控えめな印象を与えます。

勤続年数を添える:I’ve been with ~

I’ve been with ABC Company for eight years.(ABC社に8年います)は、work を使うより落ち着いた響きになります。for は期間、since は起点を示します。

  • I’ve been with the same publisher for over ten years.(同じ出版社に10年以上います)
  • I’ve been a teacher for twelve years.(教員歴12年です)
  • I’ve been in this industry for about a decade.(この業界に10年ほどいます)
  • I’ve been in my current role since last spring.(今の職務は昨春からです)

ここまでで職業の言い方は揃いました。しかし、多くの学習者が最後まで迷い続けるのが「働く場所を表す前置詞」です。次の章で決着をつけましょう。

work for / at / in / with の使い分けを一度で決める

この章の要点
  • work for は雇用関係、work at は場所、work in は部署・業界・地域、work with は関わる相手や対象
  • 会社名の前は for か at。in を使うと不自然になる
  • 部署名には the を付けて I work in the sales department. とする

日本語ではどれも「~で働く」ですが、英語では前置詞によって焦点が変わります。ここを押さえると、説明の精度が一段上がります。

work for + 会社名・人名:雇われている

その組織や人に雇われていることを表します。I work for a firm that sells car parts.(車の部品を売る会社に勤めています)のように、雇用関係が明確に示されます。人物に雇われている場合も I work for Mr. Tanaka.(田中さんのところで働いています)と言えます。

work at + 場所・会社名:どこで働いているか

働いている場所に焦点があり、直接雇用かどうかは問いません。派遣や業務委託でそのオフィスに通っている場合にも使えます。I work at a hospital downtown.(街の中心部の病院で働いています)、I work at the head office.(本社勤務です)。

work in + 部署・業界・分野・地域:どの領域か

所属する領域を示します。I work in the publishing industry.(出版業界で働いています)、I work in the sales department.(営業部に所属しています)がこの用法です。ほかにも I work in human resources.(人事にいます)、I work in finance.(金融業界です)、I work in London.(ロンドンで働いています)、I work in a factory.(工場勤務です)と幅広く応用できます。

work with + 人・もの:誰と、何を扱うか

仕事で関わる相手や対象を示します。I work with children.(子どもと接する仕事です)、I work with computers.(コンピュータを扱う仕事です)。社外の企業と協業している意味にもなり、We work with several overseas suppliers.(複数の海外仕入先と協働しています)のように使えます。職種名が説明しづらいときの逃げ道としても優秀です。

注意点

I work in ABC Company. は不自然な形です。会社名の前は for(雇われている)か at(その場所で働いている)を使います。in の後ろに来るのは部署・業界・分野・地域です。また I work in sales department. のように the を落とすのもよくある誤りで、部署は特定のものなので the が必要です。

フレーズ
I work for a firm that sells car parts, and I work in the sales department.
日本語訳
車の部品を売る会社に勤めていて、営業部に所属しています。
使う場面
社名を言っても相手に伝わらないとき。関係代名詞 that で会社の事業内容を説明できます。
注意点
that の後ろの動詞は先行詞に合わせます。a firm が単数なので sell ではなく sells です。
発音・ニュアンス
work for a は「ワークフォラ」、that sells は「ザッセルズ」と軽く。firm の -rm は口をすぼめて短く閉じます。that の前で一拍置くと、聞き手が情報を整理しやすくなります。

関係代名詞 that の働きをもう少し詳しく

I work for a firm that sells car parts. の that は、直前の a firm を説明するために置かれた関係代名詞です。a firm(会社)と、it sells car parts(その会社は車の部品を売っている)という二つの情報を、that でひとつにまとめています。社名だけでは伝わらない相手に対して、非常に便利な形です。

  • I work for a company that makes medical devices.(医療機器を作る会社に勤めています)
  • I work for a firm that designs websites for small businesses.(中小企業向けにサイトを作る会社にいます)
  • I work at a school that specializes in early childhood education.(幼児教育を専門とする学校で働いています)
  • I work for a nonprofit that supports local farmers.(地元農家を支援する非営利団体に勤めています)

人が先行詞のときは who も使えます。I have a colleague who speaks five languages.(5か国語を話す同僚がいます)のように応用できます。

前置詞の迷いが消えたところで、次は相手がいちばん興味を持つ部分——「具体的に何をしているのか」の伝え方に進みます。

業務内容を具体的に伝える5つの表現

この章の要点
  • in charge of は統括、responsible for は責任の所在、handle と deal with は対応する業務を指す
  • My role is ~ing で「自分の役割」を一文で言い切れる
  • 職業名+担当業務の二段構えにすると、人物像が伝わりやすい

職業名だけでは伝わらないことも多く、相手も What exactly do you do?(具体的にはどんなことを?)や What are your main responsibilities?(主な担当は?)と踏み込んで聞いてきます。そこで役立つのが、担当を表す5つの表現です。

  • I’m in charge of ~:~を担当している。管理・統括するニュアンス。I’m in charge of leading this project.(このプロジェクトの取りまとめをしています)
  • I’m responsible for ~:~に責任を負っている。最後まで責任を持つ点に重心があります。I’m responsible for quality assurance.(品質保証の責任者です)
  • I handle ~:~の関連業務を扱う。案件やタスクへの対応を指します。I handle all the sales-related matters.(営業関連は一手に引き受けています)
  • I deal with ~:~に対応する。相手や事案とやりとりする含み。I deal with new clients.(新規のお客様を担当しています)
  • My role is ~ing:私の役割は~することです。My role is interviewing authors and editing manuscripts.(著者への取材と原稿の編集が役割です)

編集者なら I’m responsible for editing articles and working with writers.(記事の編集とライターとのやりとりを担当しています)。営業なら I’m in charge of finding new customers in the Kansai area.(関西エリアの新規開拓を担当しています)。このように、職業名の後ろに一文足すだけで具体性が生まれます。

it’s ~ to… で感想を添える

It’s very hard to get new customers.(新規のお客さんを見つけるのはとても大変です)は、to以下が本当の主語で、it は仮の主語です。仕事の説明では感想を添える場面が多いので、この型は使い回しが利きます。

  • It’s difficult to meet the deadlines.(納期に間に合わせるのが大変です)
  • It’s fun to work with young people.(若い人と働くのは楽しいです)
  • It’s not easy to explain our products to first-time clients.(初めてのお客様に自社製品を説明するのは簡単ではありません)
  • It’s rewarding to see a book on the shelf.(本が書店に並ぶのを見るのは報われる思いです)

担当業務が言えるようになったら、次は「どんな会社にいるのか」を一言で説明できるようにしておきましょう。

会社と業界を一文で説明する

この章の要点
  • 社名を言うだけでは伝わらないため、事業内容を一文添える
  • specialize in、supply、provide の3語で事業説明の大半は足りる
  • 規模の小ささはマイナスではなく、強みとセットで伝えると好印象

自分の職務を述べたら、勤め先がどんな会社かを一言添えると相手の理解が一気に進みます。次の並びを覚えておけば、そのまま短いプレゼンになります。

  • I work for ABC Trading.(ABC商事に勤めています)
  • It’s a trading company that imports auto parts.(自動車部品を輸入する商社です)
  • We supply parts to major car manufacturers.(大手自動車メーカーに部品を供給しています)
  • Our company specializes in imported components.(弊社は輸入部品を専門にしています)
  • We have about 200 employees.(従業員は200名ほどです)
  • We provide after-sales support as well.(アフターサービスも提供しています)
  • Most of our clients are based in Southeast Asia.(顧客の多くは東南アジアにあります)

規模や知名度に触れたいときは、It’s a small company, but we’re the top supplier in this niche.(小さな会社ですが、この分野では最大手です)のような言い方も好印象です。謙遜だけで終わらせず、強みを一つ添えるのが要点です。

とはいえ、そもそも自分の職業名が英語で出てこなければ会話は止まります。よく使う語を確認しておきましょう。

職業名の英語一覧をひととおり確認する

この章の要点
  • 職業名は「自分の職種+前後の職種」をまとめて覚えると会話で困らない
  • salesman より salesperson のような性別を含まない語が好まれる
  • 訳しにくい職種は work with や関係代名詞 that で言い換える

職業名は、自分の周辺までまとめて覚えるのが効率的です。同僚や取引先の職種も話題に出るため、隣接する語を一緒に押さえておくと会話が途切れません。

  • salesperson(営業)/ sales representative(営業担当)
  • accountant(会計士)/ bank clerk(銀行員)
  • engineer(エンジニア)/ researcher(研究員)
  • secretary(秘書)/ receptionist(受付)
  • office worker(会社員)/ civil servant, public employee(公務員)
  • editor(編集者)/ author, writer(作家)/ journalist(記者)
  • teacher(教員)/ professor(大学教員)
  • doctor(医師)/ nurse(看護師)/ pharmacist(薬剤師)
  • lawyer(弁護士)/ consultant(コンサルタント)
  • chef, cook(調理師)/ carpenter(大工)
  • manufacturer(製造業者)/ dealer, supplier(販売・供給業者)
  • entrepreneur(起業家)/ web designer(ウェブデザイナー)

英語圏では salesman / businessman のように性別を含む語より、salesperson / businessperson といった中立的な語が好まれます。細かい点ですが、印象を左右します。

なお、日本独自の職種や社内独自の役職は、無理に一語で訳す必要はありません。I work with data from our factories.(工場のデータを扱う仕事です)のように、扱う対象で説明すれば十分伝わります。

仕事の内容が伝わったら、会話は自然と生活のリズムの話へ移っていきます。ここが距離を縮める分かれ道です。

勤務時間・通勤・休みの話に広げる

この章の要点
  • start work / get off work / work from ~ to ~ で勤務時間は言い切れる
  • take a day off は「1日休む」、休暇の種類は paid leave / vacation / holiday で使い分ける
  • holiday は英国では休暇、米国では祝日を指すことが多い

仕事の内容だけでなく生活時間の話までできると、会話は急に親密になります。理由は単純で、勤務時間や通勤の話は誰にとっても共通の実感があるからです。「何時に家を出るか」という具体的な話題は、相手が反応しやすい格好の素材になります。

始業・終業

  • I start work at nine.(9時に始業です)
  • I begin to work at ten.(10時に仕事を始めます)
  • I get off work at six.(6時に退勤します)
  • I work from nine to six.(9時から6時までの勤務です)
  • I work shifts.(シフト勤務です)
  • I go to work at 6 a.m. and get off work at 3 p.m.(朝6時出勤、午後3時上がりです)
  • I work remotely three days a week.(週3日は在宅勤務です)

通勤

  • What time do you leave home?(何時に家を出ますか)
  • I have to leave home at six thirty.(6時半に家を出なければなりません)
  • My commute takes about an hour and a half.(通勤は1時間半ほどかかります)
  • I commute by train.(電車通勤です)
  • I live within walking distance of the office.(職場まで歩ける距離に住んでいます)

残業・休み

  • I always work till late at night.(いつも夜遅くまで働いています)
  • I often work overtime.(よく残業します)
  • I can’t take a day off easily.(休みを取りにくいです)
  • I took a day off yesterday.(昨日は休みを取りました)
  • I get two days off a week.(週休2日です)
  • I’m taking some time off next month.(来月は少し休みを取ります)

take a day off は「1日休みを取る」。休暇そのものを指すなら paid leave(有給休暇)、vacation(アメリカ英語の長期休暇)、holiday(イギリス英語では休暇、アメリカ英語では祝日)と使い分けます。イギリス出身の人が I’m on holiday next week. と言えば「来週は休暇中」という意味で、祝日の話ではありません。

フレーズ
I like my work, but I always work till late at night. And I can’t take a day off easily.
日本語訳
仕事は好きですが、いつも夜遅くまで働いています。それに、休みを取りにくいです。
使う場面
仕事の感想を聞かれたとき。良い面と大変な面を一組で話すと、会話が広がりやすくなります。
注意点
till late at night の till は until の口語形。take a day off を take off a day とは言いません。語順で覚えます。
発音・ニュアンス
till late は「ティルレイト」とつなげ、can’t は「キャーント」または「キャント」と短く。but の前で一拍置くと、対比がはっきり伝わります。

事実を並べるだけでは、会話はまだ半分です。次は気持ちの伝え方と、相手への共感の返し方を見ていきます。

仕事の感想を伝え、相手に共感を返す

この章の要点
  • challenging は「やりがいがある」という前向きな評価
  • That must be ~. で「~でしょうね」と共感を返せる
  • How about you? で相手にボールを返す習慣が、会話を長続きさせる

会話の潤いは感想から生まれます。事実の羅列に気持ちを一文添えるだけで、相手の反応が変わります。

自分の仕事について

  • I like my work.(自分の仕事が好きです)
  • My job is exciting.(この仕事は刺激的です)
  • The work is challenging.(やりがいのある仕事です)
  • It’s demanding, but rewarding.(大変ですが報われます)
  • It can be stressful during busy seasons.(繁忙期はきついこともあります)
  • I’m still learning a lot.(まだ学ぶことが多いです)

challenging は「難しくて嫌だ」ではなく、「手応えがあってやりがいがある」という前向きな評価として使われます。ネガティブに響かないので、率直に語りたいときの便利な語です。

相手の話への反応

  • That must be pretty interesting.(きっと面白いでしょうね)
  • That sounds tough.(それは大変そうですね)
  • Oh, that’s bad.(それはよくないですね)
  • I envy you.(うらやましい)
  • Wow, so early?(えっ、そんなに早く?)
  • How did you get into that field?(どうしてその分野に入ったのですか)

must be は「~に違いない」という推量です。相手の話を受けて That must be hard.(大変でしょうね)と返すだけで、聞き上手な印象になります。envy は動詞なので I envy you.、形容詞を使うなら I’m envious. です。相手の恵まれた点を素直に羨む一言は、場を和ませます。

聞き返しの定番

  • How about you?(あなたはどうですか)
  • How about your work?(お仕事の方はどうですか)
  • And you?(あなたは?)
  • What about your team?(チームの方はどうですか)

自分だけが話し続けないよう、How about you? でボールを返す習慣をつけると、会話が長く続きます。ここまでの表現を、実際の会話の流れの中で確認してみましょう。

基本のモデル会話:職業を聞かれてから生活の話へ

この章の要点
  • 「聞く → 答える → 聞き返す → 説明する → 感想 → 生活時間」が仕事トークの王道
  • この流れを丸ごと口に馴染ませておくと、本番でも詰まらない
  • 役割を入れ替えて両方の立場を練習すると応用が利く

短いやりとりの中に、仕事トークの王道の流れがそのまま入っています。まず英文だけで読み、次に対訳で確認してください。

会話(英語)
会社員A: What do you do?
学習者B: I’m an editor. I work in the publishing industry. How about you?
会社員A: I work for a firm that sells car parts. I work in the sales department.
学習者B: That must be pretty interesting.
会社員A: Yes, but it’s very hard to get new customers. How about your work?
学習者B: I like my work. But I always work till late at night. And I can’t take a day off easily.
会社員A: Oh, that’s bad. What time do you leave your home?
学習者B: Well, around 9:00. And I begin to work at 10:00.
会社員A: I envy you. I have to leave home at 6:30. And begin to work at 8:00.
学習者B: So early?
日本語訳
会社員A: どんなお仕事をされているのですか。
学習者B: 編集の仕事をしています。出版業界で働いています。あなたは?
会社員A: 車の部品を売る会社で働いています。営業部にいます。
学習者B: きっととても面白いのでしょうね。
会社員A: はい、でも新しい顧客を見つけるのはとても大変です。お仕事の方はどうですか?
学習者B: 自分の仕事が好きです。でも、いつも夜遅くまで仕事をします。それに、休みを取りにくいです。
会社員A: それは大変ですね。家は何時に出るのですか?
学習者B: ええと、9時ごろです。そして10時に仕事を始めます。
会社員A: うらやましいです。私は6時半に家を出なければなりません。そして8時に仕事を始めます。
学習者B: そんなに早くに?
使う場面
初対面の相手との雑談、社外の交流会、出張先での食事の席。10往復すべてを暗唱できると、本番で言葉に詰まりにくくなります。
注意点
Oh, that’s bad. は親しい間柄なら問題ありませんが、仕事上の相手には That sounds tough. のほうが柔らかく響きます。
発音・ニュアンス
What do you do? は「ワッデュユドゥ」と一気に。That must be は「ザッマスビ」と t を飲み込みます。So early? は語尾を大きく上げると驚きが伝わります。

語句のワンポイント確認

  • What do you do?:お仕事は何ですか
  • editor:編集者/publishing industry:出版業界
  • firm:会社、事務所/sales department:営業部
  • a firm that sells car parts:that は関係代名詞。sells car parts が a firm を修飾
  • it’s ~ to…:…するのは~だ
  • customer:顧客/till late:遅くまで
  • take a day off:休みを取る/envy ~:~をうらやむ
  • have to ~:~しなければならない

この流れが頭に入ったら、実務の具体的な場面へ落とし込んでいきます。

ホテルのラウンジで日本人男性が両手で名刺を差し出し、南アジア系の女性が笑顔で受け取っている場面
名刺交換の直後は、職業と担当業務を short に伝えるチャンスです

場面別モデル会話:名刺交換・パーティー・面接・オンライン会議

この章の要点
  • 名刺交換では「分野+担当」の二文で十分
  • パーティーでは相手が広げやすい情報を一つ混ぜる
  • 面接では職務内容に加えて具体的な数字と成果を一つ添える

場面によって情報の量と深さを変えるのが要点です。同じ職業でも、名刺交換では二文、面接では四文と、長さを調整します。

名刺交換の直後

会話(英語)
学習者: Nice to meet you. I’m from the sales division.
取引先担当者: Nice to meet you too. So, what do you do there?
学習者: I’m in sales. I’m in charge of our overseas clients.
取引先担当者: That sounds interesting. How long have you been with the company?
学習者: I’ve been with them for six years.
日本語訳
学習者: はじめまして。営業部門から参りました。
取引先担当者: こちらこそはじめまして。そちらではどんなお仕事を?
学習者: 営業です。海外のお客様を担当しています。
取引先担当者: 面白そうですね。会社にはどのくらいいらっしゃるのですか。
学習者: 6年になります。
使う場面
展示会や商談の冒頭。名刺に書かれている情報を繰り返さず、担当範囲だけを補うのが効率的です。
注意点
How long have you been with the company? に I’m with them six years. と答えると現在完了が抜けます。I’ve been with them for six years. が正しい形です。

パーティーでの雑談

会話(英語)
同席者: What line of work are you in?
学習者: I work in the publishing industry. I’m an editor.
同席者: Oh, really? What kind of books do you edit?
学習者: Mostly cookbooks and travel guides. It’s fun to work with photographers.
同席者: I envy you. My job is all spreadsheets.
日本語訳
同席者: どんな分野のお仕事ですか。
学習者: 出版業界です。編集をしています。
同席者: そうなんですか。どんな本を編集されるのですか。
学習者: 主に料理本と旅行ガイドです。写真家と一緒に仕事をするのが楽しいですね。
同席者: うらやましい。私の仕事は表計算ばかりです。
使う場面
立食形式の集まり、社外の懇親会。相手が質問を続けやすい具体名(cookbooks など)を一つ混ぜるのが会話を伸ばすコツになります。
発音・ニュアンス
Mostly は「モウス(トゥ)リ」と t をほぼ落として発音します。It’s fun to は「イッツファントゥ」と軽くつなげます。

面接での短い自己紹介

フレーズ
I’ve been working in customer support for five years. At my current company, I’m responsible for handling inquiries from corporate clients and training new staff. I handle about thirty cases a day. I’d like to use that experience in a larger team.
日本語訳
カスタマーサポートの仕事を5年続けています。現在の会社では、法人顧客からの問い合わせ対応と新人研修を担当しています。1日あたり30件ほど対応しています。その経験をより大きなチームで活かしたいと考えています。
使う場面
採用面接、社内公募、異動希望の面談。職務内容に加えて、自分で確認できる具体的な数字を一つ添えると説得力が増します。
注意点
数字は必ず実際の自分の実績を使ってください。印象づけのために事実と異なる数値を挙げると、後の質問で説明が破綻します。
発音・ニュアンス
responsible for handling は「リスポンシブルフォ・ハンドリング」と for の後で軽く区切ります。I’d like to は「アイドライクトゥ」。ここだけ少しゆっくり話すと意志が伝わります。

オンライン会議の冒頭

フレーズ
Thank you for joining. I work in the product team, and I deal with quality issues reported from our overseas offices.
日本語訳
ご参加ありがとうございます。私は製品チームに所属し、海外拠点から報告される品質の問題に対応しています。
使う場面
初顔合わせの遠隔会議。誰が何を担当しているかを一文で示すと、その後の議論で話が振られやすくなります。
注意点
音声が途切れやすい環境では、長い関係代名詞の文を避け、短い文を二つに分けて話すほうが確実に伝わります。

場面別の型が揃ったところで、次は独学で陥りやすい落とし穴を確認しておきましょう。ここを避けるだけで、印象は大きく変わります。

つまずきやすいポイントと失礼を避ける配慮

この章の要点
  • salaryman は通じにくい。office worker などに置き換える
  • 職業や日常の勤務は現在形で語る。進行形は一時的な響きになる
  • 収入の質問は避け、地域によっては職業自体を尋ねない配慮も必要

誤用の多くは、日本語の発想をそのまま移したことに起因します。以下を先に潰しておけば、伝わり方が安定します。

「サラリーマン」は英語ではない

salaryman は日本語由来の語で、そのままでは通じにくい表現です。office worker、company employee、あるいは I work for a trading company. のように、業種や職務で具体的に伝えましょう。同様に、OL や係長といった語も直訳せず、役割で説明するほうが伝わります。

現在形で語る

職業や日常の勤務は現在形で表します。I’m working as an editor. は「今この期間だけ」という一時的な響きになり、恒常的な職業の説明としてはやや外れます。短期のプロジェクトや期間限定の配属を伝えたいときにだけ進行形を選ぶと、意味の差がはっきりします。

What’s your job? の直球感

文法上は正しいものの、初対面では素っ気なく聞こえることがあります。第一候補は What do you do?。もう少し柔らかくしたいなら What do you do for a living? か What line of work are you in? を選びましょう。

注意点

英語圏では収入は極めて私的な話題です。How much do you make? は、親しい間柄でもためらわれる質問だと考えてください。勤務先の詳細な住所や社内の人事情報を掘り下げるのも避け、仕事の内容や業界の話にとどめるのが礼儀にかないます。

職業を聞かない文化もある

ヨーロッパの一部やオーストラリアなどでは、初対面で職業を尋ねることを「人を肩書きで測る」と受け取る人もいます。相手が話題を広げてこなければ深追いせず、趣味や滞在の目的など別の話題に移るのが安全です。

一方でアメリカでは、What do you do? が挨拶に近い定番の質問として使われる場面が多く、聞かれても身構える必要はありません。相手の反応を見て、踏み込む深さを調整する姿勢が何より大切です。

誤用の地雷を避けられるようになったら、あとは口が動くかどうかの勝負です。発音とリズムの練習に移りましょう。

発音とリズムを整える音読練習

この章の要点
  • 単語を切らずに音をつなげると、一気に自然な響きになる
  • work / walk、firm / farm など母音の区別に注意する
  • 意味のまとまりごとに区切って読むと、相手が聞き取りやすい

伝わる英語にするには、単語の正確さより音のつながりとリズムが効きます。理由は、聞き手が単語を一つずつ拾っているのではなく、まとまりで意味を取っているからです。

つなげて読む練習

  • What do you do? → ワッ・デュ・ユ・ドゥ を続けて「ワッデュユドゥ」
  • I work in a factory. → ワーキ・ナ・ファクトリ(work in a を一続きに)
  • I’m in charge of it. → アイミン・チャージョヴィッ(of it をつなげる)
  • take a day off → テイカ・デイオフ(take a を「テイカ」に)
  • get off work → ゲロフワーク(t が軽く弾く音になる)

区別したい音

  • work(仕事)と walk(歩く):work は口をすぼめる「アー」に近く、walk は「オー」に近い
  • firm(会社)と farm(農場):firm は舌を上げた曇った母音、farm は口を大きく開ける「アー」
  • industry:IN-dus-try と第1音節を強く。後半は弱く速く
  • responsible:re-SPON-si-ble。第2音節に力を集める
  • employee:em-ploy-EE と最後を強く。employer(雇用主)との違いに注意

意味のまとまりで区切る

I work for a firm / that sells car parts, / and I work / in the sales department. のように、スラッシュの位置で軽く息を入れて読みます。区切りが適切だと、多少発音が不完全でも内容は十分伝わります。逆に単語ごとに切ると、聞き手は意味を組み立てられません。

声に出す準備が整いました。それでは、自分の言葉に置き換える作業に入ります。

20秒の自己紹介テンプレートを作る

この章の要点
  • 「職業名 → 勤務先と業界 → 担当業務 → ひとこと感想」の4文で20秒
  • 空欄を自分の情報で埋めるだけで、そのまま使える型になる
  • 長い版と短い版の二種類を用意しておくと、場面に応じて出せる

実践の要は、自分専用の4文を先に作っておくことです。本番でゼロから組み立てようとすると、必ず言葉に詰まります。

テンプレート(空欄を埋める)

  1. I’m a/an ___.(職業名)
  2. I work for ___. It’s a company that ___.(勤務先と事業内容)
  3. I’m in charge of ___. / I handle ___.(担当業務)
  4. I like ___, but it’s hard to ___.(感想)

記入例(4文で20秒)

フレーズ
I’m a systems engineer. I work at a company that builds software for hospitals. I’m in charge of testing before release. I like the work, but it’s hard to meet the deadlines.
日本語訳
システムエンジニアです。病院向けのソフトを作る会社で働いています。リリース前のテストを担当しています。仕事は好きですが、納期に間に合わせるのが大変です。
使う場面
初対面の自己紹介全般。時間がないときは1文目と3文目だけでも成立します。
注意点
4文目を大変さだけで終えると重い印象になります。but の後ろに続く内容は一つに絞り、最後に How about you? を添えて相手に返しましょう。

短縮版(10秒)

立ち話や紹介が続く場では、I’m in sales at a car parts company. I handle overseas clients.(自動車部品の会社で営業をしています。海外のお客様を担当しています)のように二文で切り上げるほうがスマートです。相手が興味を示したら、事業内容や感想を足していけば十分です。

型ができたら、あとは反復です。無理なく続けられる練習の進め方を提案します。

自宅のデスクでノートパソコンを開き、オンラインの英語レッスンで笑顔で話している日本人の学習者
覚えた型は、実際に相手へ向けて声に出す機会と組み合わせると定着しやすくなります

7日間で口に馴染ませる練習の進め方

この章の要点
  • 1日10分、7日間で「読む→覚える→自分の言葉に置き換える→話す」まで進める
  • 録音して聞き返すと、区切りとリズムの弱点が自分で見つかる
  • 相手のいる場で使うことが、記憶を固定するいちばんの近道

短期間で使える状態にするには、段階を分けた反復が有効です。以下は無理なく回せる進め方の一例です。個人差があるため、進み具合に応じて日数は調整してください。

  1. 1日目:モデル会話を対訳と照らして黙読し、知らない語句だけ書き出す。
  2. 2日目:モデル会話を5回音読。区切りにスラッシュを入れてから読む。
  3. 3日目:work for / at / in / with の例文を、自分の勤務先に置き換えて10文作る。
  4. 4日目:担当業務の表現(in charge of / responsible for / handle / deal with)で、自分の業務を4通りに言い換える。
  5. 5日目:20秒テンプレートの4文を完成させ、録音して聞き返す。
  6. 6日目:勤務時間・通勤・休みの表現を足して、会話を10往復まで伸ばす練習をする。
  7. 7日目:実際に人に向かって話す。相手がいない場合は鏡の前で、質問と回答の両方の役を演じる。

録音の聞き返しは効果が高い作業です。自分の声を聞くと、区切りの位置や語尾の処理といった改善点が具体的に見つかります。恥ずかしさは一度だけで、得られる情報は繰り返し使えます。

とはいえ、独学でいちばん不足しやすいのは「予想外の質問に答える経験」です。想定通りの会話は練習できても、How did you get into that field? のような追加質問には、相手がいないと備えられません。

声に出して確認したい和文英訳の練習

この章の要点
  • 答えはすべて本文中に登場した表現の組み合わせ
  • まず口に出し、その後で解答例と照らし合わせる順序を守る
  • 間違えた項目は、該当する章に戻って前置詞から確認する

理解の確認は、口に出してから答え合わせの順で行ってください。目で追うだけでは、本番で音になりません。

  1. 私は編集者で、出版業界で働いています。
  2. 私は自動車部品を売る会社に勤めています。
  3. 営業部に所属し、新規顧客の開拓を担当しています。
  4. 通勤に1時間半かかるので、6時半に家を出なければなりません。
  5. 仕事は好きですが、なかなか休みが取れません。
  6. その会社にはもう8年います。
  7. 子どもと接する仕事をしています。
  8. 週に3日は在宅勤務です。
  9. 納期に間に合わせるのが大変です。
  10. 大変ですが、やりがいがあります。

解答例:1. I’m an editor. I work in the publishing industry. 2. I work for a firm that sells car parts. 3. I work in the sales department, and I’m in charge of finding new customers. 4. My commute takes an hour and a half, so I have to leave home at six thirty. 5. I like my work, but I can’t take a day off easily. 6. I’ve been with the company for eight years. 7. I work with children. 8. I work remotely three days a week. 9. It’s hard to meet the deadlines. 10. It’s demanding, but rewarding.

慣れてきたら、職業名や部署名を自分の状況に差し替えて、20秒程度で言い切れる自己紹介を組み立ててみてください。「職業名 → 勤務先と業界 → 担当業務 → ひとこと感想」の順に並べるだけで、相手が知りたい情報がきちんと揃います。

最後に、学習者からよく寄せられる疑問をまとめておきます。

よくある質問

この章の要点
  • 質問文の使い分け、前置詞、部署名の言い方に関する疑問が中心
  • 答えに迷ったら「短く言い切って、相手に質問を返す」が安全策

最後は、迷いやすい点を一問一答で片付けておきましょう。

What do you do? と What are you doing? はどう違いますか?

What do you do? は職業を尋ねる質問で、元の形は What do you do for a living? です。一方 What are you doing? は現在進行形で「今、何をしているの?」という意味になり、職業を尋ねるニュアンスはありません。なお What do you doing? は文法的に成り立たない形なので、doing を使うときは前に be動詞を置いてください。

work for と work at はどちらを使えばよいですか?

雇用関係を示したいときは work for、働いている場所を示したいときは work at を使います。I work for ABC Trading. は「ABC商事に雇われている」、I work at a hospital downtown. は「街の中心部の病院で働いている」という焦点になります。派遣や業務委託でその職場に通っている場合は work at が自然です。

部署名を言うときに the は必要ですか?

必要です。I work in the sales department. のように the を付けます。部署は特定のものを指すためです。ただし I’m in sales. や I work in human resources. のように分野として述べる場合は、the を付けずに使います。department という語を出すかどうかで判断すると覚えやすくなります。

「サラリーマンです」は英語でどう言えばよいですか?

salaryman は日本語由来の語なので、そのままでは通じにくいです。office worker や company employee と言うか、I work for a trading company. のように業種で伝えるほうが確実です。さらに I’m in sales. のように職種を添えると、相手が話題を広げやすくなります。

職業を説明するとき、現在形と現在進行形のどちらを使いますか?

恒常的な職業や日常の勤務は現在形で表します。I work as an editor. が基本の形です。I’m working as an editor. は「今この期間だけ」という一時的な響きになるため、短期のプロジェクトや期間限定の配属を伝えたいときに使い分けてください。

相手の職業を尋ねるのは失礼になりませんか?

地域や相手によって受け取り方が異なります。アメリカでは What do you do? が挨拶に近い定番の質問として使われる場面が多い一方、ヨーロッパの一部やオーストラリアなどでは、初対面で職業を尋ねることを好まない人もいます。相手が話題を広げてこなければ深追いせず、趣味や滞在の目的など別の話題へ移るのが安全です。収入を尋ねる How much do you make? は、いずれの場合も避けてください。

今は働いていない場合、どう答えればよいですか?

I’m between jobs right now.(今は転職の合間です)や I’m job hunting at the moment.(今は仕事を探しています)が使いやすい言い方です。I’m unemployed. も間違いではありませんが、前者のほうが前向きな響きになります。学業や家庭のことを話したい場合は、I’m studying accounting. や I’m a stay-at-home parent. のように現在の中心的な活動を伝えれば十分です。

用語解説:challenging

「難しい」ではなく「手応えがあってやりがいがある」という前向きな評価を表す語です。The work is challenging. と言えば、大変さと充実感の両方を含んだ肯定的な感想になります。ネガティブに響かないため、率直に仕事の実感を語りたいときに使いやすい表現です。

ひとこと

この章の要点
  • 完璧な文法より、伝えようとする姿勢が先に相手へ届く
  • 好きな点と大変な点を一組で語ると、人柄が伝わる

朝早くから働く日もあれば、夜遅くまで残る日もある。仕事には大変なことが付きものです。それでも、自分の仕事について語れる言葉を持っていると、初対面の相手との距離はぐっと縮まります。

I like my work. But it’s very hard to ~. この二文だけでも、あなたの人柄は十分に伝わります。完璧な文法よりも、伝えようとする気持ちのほうが先に相手へ届くものです。

まずは今日、自分の職業名と担当業務を英語で一文ずつ書き出してみてください。書けたら声に出す。それだけで、次に What do you do? と聞かれたときの答えは、もう用意できています。